SSブログ

名古屋に出張中の鴨川ステラファミリー [鯨類]

南知多でコマッコウを見てたら、近くまで来てることも手伝ってか、ステラに会いたくなってきた。
どうせ帰り道である。というワケで名古屋港もハシゴ。
“名古屋生まれのシャチの赤ちゃん”なんてポスターがそこいら中に貼られているのを見ると、何ともムッとさせられる。
くどいようだけど、それ、鴨川のシャチだから!!

鴨川のステラ一家が出張して以来、個人的な印象が悪くなりつつある名古屋港水族館なのだけど、それでも、実際のシャチたちに会うと、イヤな気分も忘れてしまう。
IMG_3501.jpg
つい先日、リンという名前が付いたステラ仔と会うのは、昨年の12月以来。
ずいぶん大きくなっていて、1頭で遊び回っていることもしばしば。
IMG_3465.jpg
それに加えて、ランがずいぶんしっかりした感じになっていて、それも驚きだった。
鴨川にいた頃は、ガキンチョって感じだったのに…
その成長ぶりが嬉しく感じる反面、取られてしまったような寂しさも。

ステラのゴッドマザーぶりも健在だった。
入館した直後、観覧面のある手前のプールにランとリンの姿を見つけたと思っていたら、奥のプールからステラが、見ているオレが後ずさりしてしまいそうな勢いで出てきた。
ステラが身を翻したと思ったら、ランもリンもそれに付いて奥のプールへと消えてしまった。最初の突進は「誰がそっち行っていいって言ったの!!」という感じだったんだろうな。
IMG_3440.jpg
その後、待てど暮らせど、観覧面のある方のプールには誰もやって来ない。
名古屋に暮らす友人の話だと、いつもそんな感じらしい。
他に見たいものも特になかったし、シャチに会いに来たのだからという理由で、意地? になってその場で待っていたら、餌を与える時間になったのか、ステラ一家全頭がやって来た。
IMG_3452.jpg
ジャンプなどをしていたようで、水が激しく泡立つ。
鴨川で何度も見ていたはずのビンゴも、目の前を通り過ぎていく姿というのは新鮮で、あらためてその大きさに圧倒されたり。
IMG_3468.jpg
出張中の鴨川のシャチたちの元気な様子を見ていると、嬉しくなるけれど、同時に、鴨川に帰ってこないんじゃないか、みたいな不安感もよぎる。
そんなオレの回りで、自慢げ(そう聞こえる)にシャチを語る地元の人の話し声にもムッとすることも。
産まれたのは名古屋でも、妊娠したのは鴨川での話だし、産んだのも鴨川のシャチ。
そこにいるのは名古屋のシャチではありません!!!!
と言ってやりたくなるのを抑えつつ、何とも複雑な気分に。

帰りがけ、プールの上から奥のプールを眺めに行ったんだけど、反対側のメインプールではトレーナーとイルカたちが技の練習に励んでいた。
もちろん、練習中だからというのもあったんだろうけど、シャチとトレーナーたちの間には、何だか見えない壁があるような…!?
シャチのレンタル契約など、再展示に至るまでの経緯は、現場で働くスタッフ氏のはるか頭上で行われて決定されることなんだろうけど、実際、自分の働く現場に、そういう政治的な決定でやってきた存在というのは、どう映るんだろうなぁ。
イルカのトレーニング風景を眺めながら、ふと、そんなことを思った。

ステラ仔のリンや、ランの成長ぶりを見ていたら、随分長く行ってない鴨川に行きたくなってきた。ステラ仔よりも先に生まれたラビー仔のルーナも大きくなってるんだろうなぁ。

激レア小型鯨類、コマッコウ@南知多ビーチランド [鯨類]

日本の水族館では2013年6月現在、16種類の鯨類を見ることができる。
その内、スジイルカ、ハセイルカ、コマッコウの3種類は各1頭ずつしか飼育されていない激レア種。
しかし、その中でも特に珍しいと言えるのがコマッコウだろう。
以前、水族館で飼育、展示がなされていた例もあるが、いずれもストランディング個体などを保護したもの。これまでの最長飼育記録は鴨川シーワールドでの394日。健康な個体が搬入されたワケでないことも大きいのだろうけど、飼育も難しいのかも知れない。
そのコマッコウが4月7日に保護され、南知多ビーチランドに搬入されたという。
それも過去の例と同様、ストランディングしたもの。
幸いにも死んでしまうこともなく、無事に水槽へと搬入され、餌も食べるようになったとブログでは書かれていた。
スナメリや魚が泳ぐ大水槽で保護されているため、搬入直後から観客の目に触れる場所にいたため、オレの友人にはスクランブルした人が数名(笑)

オレとしては、漠然と見てみたいとは思いつつも、何が何でも、というほどではなかったので、いつか… なんて思っていたんだけど、その“いつか”がふいに訪れた。
愛知で仕事になったので、その翌日、まだ見ぬコマッコウに会いに行ってきた。

入館してすぐ、大型魚の回遊水槽から、流行りのイワシの水槽へと模様替えした大水槽へと向かう。コマッコウはそこにいるからだ。
IMG_3133.jpg
でも、暗い… と言うか、明るい所と暗い所の差が激しく、コマッコウはアクリル面の近くまで来てくれないのも手伝って、陽の光が差し込んでいるというのに暗く感じてしまうのだ。
水槽は、中にあった岩山がなくなっていて、広く見えるようになった反面、瓦礫みたいな底砂利がやけに目に付くような気が。暗くなったお陰で、以前より古くさく見えるようになってしまったようで、ちょっと残念。
でも、以前よりアクリルが綺麗になったような気がするし、スナメリによって刺激されるからか、イワシの群れは動きもよく、最近増えたイワシ水槽の中でももっとも綺麗に見える群れだと思った。
話が逸れてしまったけれど、その薄暗い中、目を凝らして探すと、奥の方に目的のコマッコウの姿を見つけた。
IMG_3079.jpg
頭を下に向けて、立ち泳ぎのような状態のままずっとその場にいる。
どこかおかしいの? なんて思ってしまうけれど、何しろ初めて見る生き物だから、それが普通なのか、おかしいのか、見当も付かない。
しばらくすると、呼吸のために浮上し、それまでいた側とは逆側の水面へと移動し、しばらくそこで浮かんでる。
IMG_3159.jpg
その繰り返しだった。
同じ水槽には2頭のスナメリや、沢山の小魚が入っているが、それらと遊んだり、捕まえたりすることもなく、水面に浮かんでいるか、頭を下に向けてじっとしているかのどちらか。不思議な生き物だ。

顔つきは、カバをロングノーズにしたみたい、というかムーミンのよう。
のんびりした動き(それも普通なのかは分からないけど)も手伝って、優しそうに見える。
スナメリにはない背ビレがあり、頭部先端からはかなり後ろにある口は細く、小さい。
胸ビレもかなり小さめだ。
IMG_3327.jpg
可愛い… のかなぁ!?

時々泳ぎ回ったり、水面からジャンプして跳び上がることもあったけれど、同居のスナメリと比べると、ジッとしている時間が長い。
大きさはほぼ同じくらいか、少しコマッコウが大きいくらい。
背中はげっそりこけているようで、かなり痩せているように見える。また、肌もデコボコしていて、荒れているような…
でも、それが異常なのか、そういう状態が普通なのかは分からない。何せ初めて見る生き物だから…

ホンの一瞬、スナメリとつるむようなそぶりを見せたけれど、あまり関心はない様子。
でも、水槽内にいるクロウミガメにはかなり関心があるようで、カメにまとわりつくような様子が何度か見られた。
一見、鳥羽水族館のジュゴン、セレナとアオウミガメのカメ吉を連想させるが、クロウミガメはまったくの無関心。
IMG_3314.jpg
それにしても、クロウミガメとコマッコウの2ショットなんて、ウルトラ激レアショット!! これが撮れただけでも、南知多まで足を運んだ甲斐があったというものだ。

保護されてから2ヶ月が経過し、餌もちゃんと食べているという。
決していい状態とは言えないようだけど、元気になって、これが本来のコマッコウの姿、というのが見られることを願うばかり。
知られていないことも多い種類だけに、1日も長い長期飼育が実現されることを期待したい。

沖縄美ら海水族館で珍に会う・鯨類編 [鯨類]

そういう名前の本が出る、という話ではありませんよ(笑)

6月1日、ジンベエザメが泳ぐ黒潮大水槽でマダライルカの展示が始められた。
http://oki-churaumi.jp/info/news/archives/8368
それによって沖縄美ら海水族館は、国内2カ所目となるマダライルカの展示館となった。

このニュースの公表以降、オレの見える範囲? ではかなりの反響で、SNSなどに“見に行きたい!!”という書き込みもチラホラ。
とは言え、大水槽でイルカと魚の混泳は美ら海水族館が初めてではないし、ジンベエザメとイルカの混泳だって初めてじゃない。もっともこちらは一時的に、だけど。
珍しいマダライルカだから? それともあの大水槽にイルカがいることが凄い?

オレが美ら海水族館に行ったのは、以前のブログにも書いた通り5月10日前後のこと。その時点では大水槽での展示は始まっていなかったけれど、マダライルカが搬入されたことは和歌山遠征の際に教えてもらっていたから、既に知っていた。
今回の美ら海水族館も、目的はマンタの出産シーンだったことは以前のブログに書いたけれど、マダライルカを探すことも目的のひとつだった。
オレの予想では、オキちゃん劇場のショープールの裏側、もしくは向かって左側のプールにいるだろうと考えていたんだけど、結構自信があったその読みも見事に外れ。まったく予想もしない所にいた。

水族館に到着し、マンタの仔が産まれていないことを確認した後、大水槽の上部へ。
眼下の予備水槽にいるサメなんかを眺めていると、響き渡るようなピターン、ピターンという音が聞こえてくる。
魚でも跳ねたのかと思ったのだけど、それにしてはずっと続いてる。
何が跳んでるんだ? と音のする方を見てみると、何とイルカ。
IMG_9742.jpg
「あっ!! こんな所にいた!!」話に聞いていたマダライルカは、大水槽の一角を仕切った簡易生け簀の中にいた。
IMG_9753.jpg
近くにいた飼育スタッフ氏をつかまえて、早速話を聞く。
オレ:「マダライルカって、大水槽で泳がせるんですか?」
スタッフ氏:「その予定です」
オ:「魚を食べちゃったり、他の魚に悪戯したりしません?」
ス:「小さい魚を食べちゃうことはあるでしょうね。ジンベエザメとかにちょっかいを出すようなことはしないと思います」
オ:「いつから公開ですか?」
ス:「一応、6月頃からの予定なんですが、どうなるか分かりません。今も開館前とかに生け簀から放して泳がせてみるんですが、あまり出て行こうとしないんですよね」
IMG_3054.jpg
神経質で環境の変化に敏感であるという太地で聞いた話、そして「あまり出て行きたがらない…」という上記の話を鑑みると、大水槽で泳ぐのは結構先の話になりそうだな、なんて考えていたんだけど、その読みもまたまた外れ。
予定通り? 6月からの公開に漕ぎ着けたようだ。

何かで読んだのだけど、美ら海水族館の飼育スタッフ氏のインタビューだったかな?
「大水槽にイルカを入れてみたい」なんて一節があったような記憶があるが、あの大水槽にイルカを泳がせてみるという計画(妄想に近い?)は結構前からあったようなのだ。
それが美ら海水族館のオープンから10年経った今、ようやく実現したというワケだ。
それがマダライルカだった、というのは少々驚きだったけれど…

余談ながら、美ら海水族館以外にもう1館、マダライルカを搬入した水族館があるそうなのだけど、公式発表が何もないので、どこの水族館かはここには書かない。
でも、太地くじら博物館の4頭、美ら海水族館の3頭、そしてもう1館が何頭搬入したかは分からないけど、仮に1頭だけだったとしても飼育下のマダライルカの頭数は、シャチと同じ8頭ということになり、飼育頭数の少なさによる希少性という点では、中ランクくらいになったことになる。
IMG_3066.jpg
美ら海水族館に話を限定すると、そこでしか飼われていないミナミバンドウイルカやシワハイルカの方が数が少なく珍しい、ということになるんだけど…
IMG_2983.jpg
シワハイルカのミンタとミナミバンドウイルカのムク。

そこは“旬”な話題として、やっぱり注目しておくべきかな?
ここに掲載しているのは公開前の画像のみ。大水槽を泳ぐ様子もあった方がいいよね? というワケでYoutubeにアップされてたものをリンクしておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=eZa9Sg5qHrA

オレが美ら海水族館に行かなくちゃならない理由は無くなってしまったけれど、この先もどこかで行くことになるだろうから、その時は大水槽を泳ぐイルカの姿を載せたいと思う。

太地町立くじらの博物館の激レアイルカ [鯨類]

水族館好きの知人に、太地町のくじら博物館に行くと話したら
「はるかがいなくなって残念だね」と言われた。

たった1頭しかいない、きわめて貴重な変異個体だったから、確かに残念ではあった。
でもオレは、そうした希少な変異個体よりも、その種類本来の魅力をしっかり伝えてくれるような、極上のノーマル個体の方が好き。見たことのない種類が多い鯨類なら、まだ見ぬ種類に会える方が嬉しいかも知れない。
くじら博物館には、そんなオレにとって、“はるか”以上に見てみたいものがあったのだ。

それがスジイルカ、マダライルカのStenella属の2種類。
IMG_2232.jpg
スジイルカ
IMG_2241.jpg
マダライルカ

今回の紀伊半島遠征の大きな目的でもあり、特にスジイルカは前々から見てみたいと思っていたもののひとつだった。
腹ビレイルカのように、この世に1頭だけ、というものではないものの、現在飼育下にあるものはこの1頭だけという大変珍しい種類で、くじら博物館でしか見られない。
ほぼ全世界に生息していて、太地では追い込み漁による捕獲対象種のひとつでもあるのに、どうしてどこの水族館にもいないのか。
その理由は、“飼えない”種類だから。
美ら海水族館元館長の内田詮三氏の著書でも、イトマキエイやオサガメと共に、水族館での飼育に向かない例として紹介されていた種類で、一部のサメなどと同様、飼育を受け付けにくい、というか受け付けないと言った方がいいかも知れない種類なのである。
その本には、水から上げるとショック死してしまうことがある、と書かれていた。

飼うのが難しいイルカ、というのが常々疑問だった。
水への依存度が高い魚類ならば、水質に極端に敏感だったり、能力的に壁が認識できないものがあるのも分かる。しかし、そこは哺乳類で魚類よりも高い知能を持っているはずのイルカである。
水から上げるのが問題なら、水から上げずに移動すれば済む話なのでは? 実際、美ら海水族館で飼われているミナミバンドウイルカは、最初、そのように移動していたという。
そこで、何がどう難しいのか聞いてみた。

スジイルカやマダライルカの飼いにくさは、神経質で環境の変化に弱いのが最大の理由らしい。
プールへ無事移動できたとしても、閉鎖環境に対応することができず、泳げなくなってしまうのだとか。バンドウイルカなどに比べると、より沖合で生活している種類なようだが、まさに外洋性種らしい反応だ。

環境を認識し、そこで泳げるようになったように見えても、突如泳げなくなったりすることもあるらしい。イルカの場合、泳げなくなる=溺死であるからして、搬入後しばらくは24時間体制の監視が必要なのだそうだ。
そうして無事、プールに順応できても、これまでは短命に終わってしまうことが多かったそうだが、現在飼育中の個体は既に1年以上が飼育されているという。

マダライルカに至っては、2頭いる内の1頭は5年以上も飼育されているそうで、夏休みシーズンなどには、ショーに登場したりすることもあるのだとか。
現在は3頭とも、ショーなどには出ていないがトレーニングは続けられている。種類による差よりも、個体の性格など、個体差による部分が大きいトレーニングについては、スジイルカだから、マダライルカだから難しい、簡単、ということはないようだ。

スジイルカはこれまで飼育されたものも少なく、長期飼育に至っているのは現在飼育中の1頭のみなので、それがこの個体ならではのものなのか、種類によるものなのかの判断が難しいとのことだが、マダライルカはバンドウイルカ以上に人に懐きやすい種類らしく、ふれ合いなどにはより向いているかも、と話を聞かせてくれたスタッフ氏。
IMG_2108.jpg
実際、マダライルカはプール前に立つオレの前にやってきて、口をパクパクさせていた。
1頭を構っていると、もう1頭もその間に割り込むようにやってきたりと、飼育スタッフ氏が言うように、かなりの“かまってちゃん”なようだ。

一方、スジイルカも短時間ではあったけれど、寄ってきてくれた。若い個体ということもあってか、かなり可愛らしい。
IMG_2082.jpg
飼育下にある世界唯一の個体だと思うと、非常に贅沢な気分になれる(笑)

どちらのイルカも、同属ということもあり、初めて見た時には、どちらがどちらだか分からないほどよく似ている。
スジイルカの方が名前通り、ライン模様が鮮明で、マダライルカの方が色が濃く、腹部に名前の由来ともなった斑点が入っていた。
見慣れたバンドウイルカよりも小柄で、体の作りもほっそりしている。吻もより細長く、その口の中には細かい歯が多く並んでいた。
IMG_2223.jpg
スジイルカはともかく、マダライルカはその飼育法が何となく確立しつつある? スタッフ氏の話は、そんな風に思えるようだった。
多くのイルカ好きは、こうした珍しい種類よりも、特定の個体を好む傾向が強いような気がするけれど、個体としての魅力も優れた3頭だったから、鯨類好きやイルカ好きには是非とも会いに行ってみて欲しい。
遠い太地まで行かなくては見られないが、その価値は十分にある。
くじら博物館ならではのスーパースターなのだからね。

※5/28追記
5/18にスジイルカ、マダライルカはマナリウムのトンネル水槽に移動になったとのこと。
http://kujihaku.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/3-a0ec.html
なお、5/16には新たなマダライルカ2頭が搬入され、トンネル水槽では珍しい5頭が泳いでいるのを観察できるようになったらしい。
これは素晴らしいことですな!!

アドベンチャーワールドのイルカショー [鯨類]

人一倍水族館に出かけてるオレはイルカショーを見る機会も多い。
加えて、東京近郊の水族館には、レベルの高いイルカショーが見られる園館も多く、それらを普段から見ているせいか、イルカショーで驚かされることはあまりない。
言い方を変えれば、イルカショーを見る目は肥えているつもり。

でも、アドベンチャーワールドのイルカショーときたら、そんなオレでも驚かされた。
もちろん、オレが驚いたから凄い、というワケではないけれど、そのレベルの高さは、イルカショーを見慣れている、もしくは、イルカショーには一家言あるという人にこそ見てみて欲しい。そう思った。

どんなことでもそうだけど、期待のしすぎはよくない。
イルカショーに限らず、例えば行ったことのない水族館なんかでも、期待が高すぎると、肩すかしを食らうようなことも少なくない。
しかし、ひとつ前のブログでも書いた通り、アシカも登場する動物ショー、アニマルアクションに驚かされたお陰で、続くイルカショー、マリンライブへの期待は大きく高められることになった。

ショーが行われるスタジアムは、ビッグオーシャンと名付けられたかなり大きなもの。
IMG_1812.jpg
斜面にそびえるように建っていて、谷を挟んで向かいには南紀白浜空港の滑走路が見えるというロケーション。
イルカショースタジアムというと、海に向かって広がっていることが多いイメージがあるため、目の前に広がる景色はちょっと異質だが、いい景色であることは間違いない。
時間が合えば(調べてないけど)、イルカショーのバックに離着陸中の飛行機を写り込ませることもできるのかも知れない。
スタジアムは屋内ではないけれど、ショープール部分以外はすべて壁や屋根に覆われた作り。そのため、ショー中の写真は逆光気味になりがちだ。

ショープールもかなりの大きさで、47×21×8mもある。
ショーに出るイルカたちが暮らすサブプールも合わせれば、容量は1万tにもなるという。日本のイルカショープールとしては、名古屋港水族館に次ぐ2番目の大きさのはず。

ショープールが大きいと、様々な技が繰り出せるようになる反面、イルカが跳んだ程度ではこぢんまり見えてしまう難点がある。
だが、アドベンチャーワールドではその難点を数でカバーしている。
IMG_1416.jpg
ショーの主力は大きなオキゴンドウで、それが4頭も登場する。4頭が1度に登場して、パフォーマンスできてしまう点からもプールの大きさが想像できると思うが、バンドウイルカなんて10頭以上が1度に出てくる。
それらが一斉に跳べば、それが普通のジャンプでも、驚けるものなのだ。
ショーの最後には、そのバンドウイルカとオキゴンドウが揃ってジャンプを繰り出す。
いくら広いプールとは言え、14頭ものイルカが跳ぶと、流石に壮観で、度肝を抜かれた。
IMG_1428.jpg

また、このプールの特徴的な部分でもあるのだけど、イルカの出入り口はプールの深い場所にあるようで、スタジアム側からはイルカの出入りが分からない。
そのため、イルカの登場に唐突感があって、突然の数が増えたような演出も手伝って、その度に驚かされるのだ。
IMG_1483.jpg

アニマルアクション同様、マリンライブ(ショー)にもMCはなく、トレーナーも喋らない。
トレーナーたちはウェットスーツに身を包み、積極的に水に入り、サーフィンライドやロケットジャンプなどの大技を次々に繰り出していく。
ひとつひとつの技や、イルカたちのパフォーマンスはどれも、どこかの水族館で似たようなものや、同じものを見たことがあったりするのだけど、トレーナー、イルカ、どちらもレベルは高いようで、それぞれがしっかり完成されている。
中でも特に、主力選手でもあるオキゴンドウが凄い!!
複数の技が組み合わされた数分にも渡る長い種目を、女性トレーナーと1対1でこなしていく。種目の間は、餌をもらわずに、だ。
IMG_1479.jpg
トレーナー氏に聞いたところ、ひとつの技に対して餌、というパターンと比べると、ひとつひとつの技のレベルはどうしても落ちてしまうそうなのだけど、それでもちゃんとショーは成立しているし、観客のオレにはレベルが低いようには見えなかった。
とは言え、難しい種目であることは間違いないようで、4頭いるオキゴンドウの内、この長いパートをこなせるのは2頭だけなのだとか。

ショーに出ているオキゴンドウには、沖縄のゴンちゃんみたいな芸達者な個体が少なくないが、ここの2頭もそんなスーパーな個体だ。
その妙技は一見の価値ありだし、今後、さらにすごい技を身につけ、見せてくれるような気がする。

普段行かない水族館では、なるべくすべての回のショーを観るようにしているけれど、他に見たいものがある場合、諦めることも多い。
でも、このマリンライブは、行われていた3回すべてを観に行った。
そうしたくなるショーだったからだ。
アドベンチャーワールドには2日券なんていうのもあったけれど、その設定にも納得だ。

イルカショーを目当てにアドベンチャーワールドに行っても後悔しない。そう断言する。
このブログを読んで期待を高めて行ったとしても、きっと想像以上に驚けるはずだ。

ステラに会いに行ってきた [鯨類]

あけましておめでとうございます。

今年最初の更新だけど、ブログの内容はまだ2012年(笑)
クリスマスが明け、2013年の到来まで1週間を切った年末のある日、名古屋へと行ってきた。
ステラに会うためだ。
IMG_8635.jpg
昨年11月に5頭めとなるメスの仔を無事、出産したステラ。
経験豊富なだけに、名古屋の地でも今までと変わらず、しっかり子育てをしているようだ。
アースやルーナの時みたいに、それが鴨川での話なら、すぐにすっ飛んで行っただろう。
しかし、今現在、ステラたちがいるのは、ウチから300㎞離れた名古屋である。
新幹線に乗ってしまえばすぐに行ける!! と分かっていても、気分的に、はたまた金銭的に、フラッと行くにはちょっと遠い。
でも、今回は10月以降ほとんど水族館に行けなかったことや、竹島水族館の新しい展示が見たかったことに加え、オスカーの死で“あの時行っておくんだった”という後悔もオレを後押しした。

名古屋港水族館は20周年を迎えたらしい。
それを告知するポスターが地下鉄の駅などにも貼られていたが、そこに大きく載せられているステラやビンゴ、ランの写真を見る度に、複雑な気分に。
それ、鴨川のシャチだから!!
3月の時にも同じことを思ったけれど、最近、名古屋に来る度に、馴染み深い鴨川のシャチを取られてしまったような気分になって、実に複雑だ。
それはともかく、入館したらまっすぐステラたちが暮らすプールへ。
IMG_8478.jpg
ショースタジアムの大型モニターの映像。そこにいるのに、どうしてモニターで見なきゃいけないの!? と思ってしまうよ。

現在、鴨川シャチファミリーは奥のプールにいる。
公開はされていないので、その様子はショースタジアムの大型モニターなどでライブ映像が流されているに過ぎないのだけど、プールを取り囲む後ろ側の擬岩状の壁から覗ける部分があって、そこから何とか見ることができるのだ。
そういえば、公開前のナミを見たのも、3月に3頭のトレーニング風景を見たのもそこ。
オレにとっては、名古屋でシャチと言ったらプール脇の壁の所、みたいな印象になってる(笑)
IMG_8669.jpg
カメラを構えつつ、ステラとその仔が顔を上げるのを待つ… のだけど、その日の名古屋は気温3℃。加えてスタジアムに吹きつける強烈な北風のお陰で、気分はステラの生まれ故郷、アイスランドばり。
アイスランド行ったことないけど…

とにかく、死ぬほど寒くて、待っているのも20分が限界。
あまりの寒さに、周りにはライバルは誰もおらず、やってきてもすぐにいなくなってしまう。オレ的にはその点は悪くないんだけど、オレ自身も指先がかじかんでカメラのシャッターを押せない。
20分くらいで耐えられなくなり、建物内に駆け込み、凍えきった体が動けるようになるまで暖まっての繰り返し。
それでも、トータル1時間半ほどは粘っただろうか?
IMG_8607.jpg
そんな頑張りの甲斐あって? お陰で久しぶりにステラとそのファミリーの様子を見ることができた。
天気はよかったから、シャッタースピードはやや速めにしてあったのだけど、強風のせいか、はたまた寒さに激しく震えていたせいか、かなり手ブレ写真が多め。
IMG_8641.jpg
産まれたステラ仔も、生後1ヶ月を過ぎているからか、止まることなく泳ぎ続けるだけでなく、ステラに甘えてみたり、ララにじゃれついたりすることもあったりと可愛らしい。
呼吸するタイミングでしか見えないんだけど、噴気孔だけを出して呼吸する大人たちに対して、ステラ仔はまるでジャンプするみたいに大きく顔を突き出して呼吸するので、顔まで見える。
白いアイパッチはまだ茶色っぽくて、まだ産まれて間もないことが見て取れる。

そんな姿を見ていると、アースやルーナが産まれた頃のことを思い出すが、同時に、ステラが鴨川で出産してくれていれば、もっと見やすかったんだろうなぁ… そんな風な重いが頭をよぎると、またもや複雑な気分に。
オスカーを亡くしてしまったっこともあるけれど、早く帰ってきて欲しいなぁ。そんな重いがより強くなった。

ステラたちが名古屋に行った意味があったとするなら、広大なプールで生活できること、我々観客からすれば水中の姿が見やすいことの2点。
出産後も見ることができた鴨川時代を思い出すと、現在の見にくさは、名古屋行った意味ないじゃん!! とも感じてしまう。
もちろん、ファンとしては嫌な思いはしたくないから、慎重な扱いをしてくれることに越したことはないと分かっているけれど。

再び水中のステラの姿が見られる日が待ち遠しい。
ステラ仔の順調な生育と、春休み頃とされる再公開が早く訪れることを祈るばかりだ。

追悼 シャチのオスカー [鯨類]

昨日(2012年12月20日)、鴨川シーワールドのシャチ、オスカーが死んだ。
27歳だそうだ。
http://www.kamogawa-seaworld.jp/n_news/topics_20121221.html
IMG_0660.jpg
7月にラビーがルーナを出産し、11月にはステラも仔を産んだ。
今年はシャチに関しては、ものすごくいい年だ。なんて思っていたのだけど、年末になって残念なニュースを聞くことになろうとは。

1988年にアイスランドからやってきて、それから約25年。
鴨川生まれのラビーとの間に、アースとルーナという2頭の仔を残し、また、ショーでは大きな体から繰り出される豪快なジャンプなどを楽しませてくれた。
それがもう見られないと思うと、やはり残念でならない。
雄のシャチの平均寿命は30年ほどと言われているので、27歳のオスカーは寿命ということなのかも知れない。

オレがオスカーを初めて見たのは、今から約20年前のこと。
鴨川シーワールドに行ったのも初めてだったその時の記憶は曖昧で、シャチのショーがあったことくらいしか憶えていないのだけど、そこからこれまで、何度眺めてきただろうか?
IMG_35850.jpg
とは言え、個人的には印象の薄い個体でもあった。
ステラみたいに特別な思い入れはないし、同じオスのビンゴよりも小さく、そのせいか、ジャンプにもビンゴほどの豪快さはなかったように思う。
ステラやその娘たちのように、観客に近寄ってくることもなかったし、ショー以外の時間は1頭で浮かんでいたり、ゆっくり泳いでいるかのどちらか。
遊び回る姿なんて、ほとんど見た印象がない。
雄のシャチなんてそんなものなのかも知れないけど。

とにかく、オスカーはビンゴほどの華がない。オレはそう思ってた。
ジャンプも低かったし、とにかく動きが重そうだったし。
なんて思いながら、あらためて鴨川で撮った写真のフォルダを開いてみると、オスカーの写真は山ほどあった。
やはり、決めるべき所はしっかり決めていたのだ。
ステラがランを妊娠して以降は、ビンゴに代わり、ショーの主役を務めてきた。
つまり、オレにとって、鴨川のシャチのショーと言えば、オスカーのショーのことだった。
IMG_1042.jpg
しかし、そんなオスカーの重そうなジャンプも、もう見ることはできない。

鴨川に行きさえすれば、いつも必ずそこにいる。そう思っていた。
ルーナも大きくなってきたようだし、久しぶりに、なんて思っていた矢先のできごとだった。
鴨川シーワールドの公式発表よりも前に、水族館好きのつぶやきによってそれを知った。
こういう情報網はありがたく便利な反面、知りたくない事実もいち早く知ってしまう残念さもある。鴨川のHPには発表されていなかったから、嘘であって欲しい。きっと嘘だ。
そんな風に思っていたのだけど…
忙しさとか、そういうのを言い訳に、行かなかった自分が今になって腹立たしい。

おつかれさまなのか、ありがとうなのか、こういう時になんて言えばいいのか分からないけど、とりあえず、オスカーというシャチに会えてよかった。
そういう意味では、やっぱり感謝なんだろうな。
トレーナー氏によると、まじめだが、気難しいところもある性格だったそうだ。
IMG_35890.jpg
海獣に限らず、水の中に住まう生き物たちときたら、死ぬときはあまりにも呆気ない。
調子が悪い… なんて言ってたと思ったら、その数日後には死んでる、なんて話もこれまで沢山見たり聞いたりしてきたし。
やっぱり、水族館は思い立ったらすぐに行っておいた方がいいようだ。
こんな後悔はもうしたくないからね。

沖縄海洋博公園のオキゴンドウ ゴンちゃん [鯨類]

美ら海水族館に行った際の楽しみのひとつが、屋外エリアのイルカショーだ。
コンスタントに混雑しているし、回数も多いからそのすべてを見るなんてことはしないけれど、行けば1日に2回は見てる。
ショープールのバックに広がる借景がどこよりも素晴らしいことはもちろん、イルカたちのレベルもかなり高いし、なかなかのショーを見せてくれるのだ。
美ら海水族館を始めとする沖縄海洋博公園は国営の施設だが、国営なんて聞くと、いかにもお役所的なイメージを抱きがちだが、ここのショーは民間施設に遜色ないくらいに、ちゃんとエンターテイメント要素の強いショーになっている。
そのイルカショーの中でも、重要な役所を担っているのがオキゴンドウのゴンちゃんだ。
IMG_8153.jpg
ゴンちゃんなんて名前だが、実はメス。活躍はショーだけでなく、かつては繁殖に成功した実績もあるほど、海洋博公園に多くのものをもたらしたイルカ界のスーパースターだ。
イルカショーに出演しているオキゴンドウのすべてを見たワケではないんだけど、オキゴンドウ部門では日本で一番能力が高いんじゃないか!? とオレは思っている。
IMG_8837.jpg
多彩な技や、ブレない集中力もさることながら、ゴンちゃんがスゴイのはプロっぽさを感じさせること。
この道29年の大ベテランと言うことも関係しているのかも知れないが、自分がすべきことを完璧に理解している感じで、その時に何をすべきか、どうすればいいのか、ということを分かった上で技を繰り出す。
種目を嫌がったり集中力を切らしたりすることもなく、きわめて安定的に指示された技を淡々とこなす感じ。
もしかすると、サインではなく言葉で指示を出しても、ゴンちゃんなら何とかしてくれるんじゃないか、そんな風にさえ思うほどだ。
IMG_8829.jpg
ショーのオープニングは、沖縄の民謡に合わせてトレーナーと一緒にカチャーシー(沖縄のトラディショナルな踊り)を踊る。

また、態度にも強いプロ意識? みたいなものが感じられて、ショー以外の時間、プールのイルカたちははしゃぎ回っているんだけど、ゴンちゃんはその中には加わることはない。
水を落とした際、スタッフがプールに降りる階段の所に身体を乗せて、ジッとしている。
まるで“ショー以外の時間に無駄に動き回りたくない”と言わんばかりに。
ショーの時間が近づくと、音楽が流れ始める。この音楽はいつも決まった楽曲が流れ、その順序も変わらない。ショーが始まる直前の曲になると、ようやく階段からプールへと移動する。トレーナーたちがステージに現れるのと変わらないくらいのタイミングで泳ぎ始めるのだ。そんな行動にすら、大スターの風格が漂っている。

ショーの中での大技のほとんどは、もっとも多彩な技を持つゴンちゃんによって披露されるのだけど、中でもゴンちゃんにしかできないのが口に入れられた餌をペッと吐き出すこと。
IMG_8839.jpg
ここはショーの中でのお笑いパートなのだけど、初めて見た時は、一瞬、何が起きたのか分からなかった。
だって、よほど変なものでも入れない限り、動物が口に入った餌を吐き出すなんてあり得ないことだからだ。
しかし、ゴンちゃんは何度やっても、同じように吐き出す。



これまで、ショーの内容や構成は何度か変わっているのに、この“ゴンちゃんの見せ場”だけは絶対に組み入れられている。

これは何度見ても笑えるんだけど、ここでスゴイのは、間違っても飲み込んでしまわないこと。
餌を投げ込むトレーナーによって、口に投げ入れる回数が多かったり少なかったりするんだけど、何回やってもちゃんとペッとできる。
その後にちゃんともらえることが分かっているからだ。
動画を見ても分かるように、自分のすべきことが終わると、そそくさとプールに帰っていくところも、“出番は終わりでしょ!!”と言っているようで、これまた大スター的(笑)

通常、イルカショーでの大技というと、難しいジャンプなど“動”なものが多いが、ゴンちゃんみたいな“静”の大技をもっている個体はそうそういないはず。
IMG_8846.jpg
ジャンプとかもちゃんとできる!!

動画であらましは伝わると思うんだけど、それを見た上でも、実際に見れば笑える。
オレだって、実際に何度も見ているのに、動画を見るとやはり笑ってしまうから。

沖縄美ら海水族館まで行って、よもや見忘れる人はいないと思うけれど、大スターのゴンちゃんならではの妙技は、絶対に見逃すことのできないものだ。
その輝くスター性は、イルカなど鯨類に特別な思い入れがないオレにでも会いに行きたいと思わせるほどだ。
これは是非、沖縄まで足を運んで実際に見てみて欲しいと思う。
もっとも、ショーでは素晴らしいゴンちゃんだが、愛想を振りまいてくれるようなことはまずないんだけどね。

鴨川のシャチ ラビーの仔が産まれた [鯨類]

既にニュースなどで聞き及んでいる人も多いと思うが、鴨川シーワールドで19日、シャチの仔が生まれた。
IMG_0175.jpg
母親はラビー。父親はオスカー。
このペアによる繁殖は、4年前のアースに次いで2頭め。今回はメスだそうだ。
というワケで、鴨川まで行ってきましたよ。
IMG_0113.jpg
本来なら、個人的に水族館のオフシーズンに突入してるはずなんだけど、ラビーの仔が生まれたとあれば、それは見に行っておかなくちゃならないでしょう!!

4年前、アースが生まれたばかりの時にも行ったけれど、その時と比べると、ラビーがリラックスしてるというのか、ピリピリした感じがなくて、何だか手慣れた感じに。
ほぼノンストップで泳ぎ続けているのは4年前と変わらなかったけど、やたら早いペースで周回してた4年前に比べると、どことなくのんびりしていて、そんなラビーを見ていると“別に慌てる必要はないからね”と言ってるようで、ものすごく頼もしい。
IMG_0156.jpg
授乳もスムーズで、生まれた仔も4日めとは思えないほどのびのびした感じ。
そこには、鯨類の繁殖の難しさが嘘のような、ものすごく“しっかりした母娘”の姿があった。
ラビー、スゲェ!! そう思わずにはいられなかった。
IMG_0235.jpg
産まれて4日めだというのに、結構大きい。こんなもんなのかね!?

一応、動画も…
http://youtu.be/sHjFs7r982w

その凄さは、これまで何度もシャチの繁殖を成功させている鴨川シーワールドの飼育技術による部分も大きいんだろうけど、やはりラビーの母親であるステラが凄かったんだろうなぁ、と。
ラビーはステラの長女として98年に生まれて以降、ララ、サラ、ランの3頭の出産に立ち会い、その育成のサポートをしてきている。
そこで見てきたこと、経験してきたことが、自分の繁殖にも役だっているのだと思う。
飼育下で生まれたシャチの生存率は約50%程度だそうなのだけど、ステラに限ると75%と確率が高まり、ラビーも失敗しやすいと言われる初産でもしっかり成功させた。
頼もしいラビーの姿を見ていると、今回生まれた仔も、何事もなく大きくなっていくことを確信させてくれるような気がするのだ。

同居してるララも、時々、ラビーのサポートをする。
こうしてステラから続く鴨川シャチファミリーの技みたいなものが受け継がれていくんだろうね。
シャチの一家は母系社会。ステラは鴨川のゴッドマザーだったワケだけど、ステラがいない今、ラビーはもうその立場になったのだろうか?

まだ4歳のアースは、すっかり相手にしてもらえなくなって、ちょっと可愛そうなような気も。
IMG_0169.jpg
誰かと喧嘩をしたのか、体中傷だらけなのが男の子らしい?

ラビーは無事に出産を終えた。
後はこのまま何もなく、生まれた仔が大きくなるのを願うのみ。
次は名古屋にいるステラの番だ。予定では12月頃に生まれるらしい。
これまで4頭もの子を育ててきたゴッドマザーだから、その点は心配ないけど、これまでと環境の違う名古屋の地で、大丈夫だろうか!?

ステラの仔が生まれた暁には、名古屋へも足を運ぼうと思います!!

名古屋で鴨川のシャチに逢ってきた [鯨類]

名古屋港水族館では、今日から鴨川のシャチファミリーの公開が公式にスタートする。

シャチたちは大きな観覧パネルを持つシャチプール1に登場しているので、実質的には3月の初め頃から公開されているみたいなものだが、正式な公開は今日からなのだ。
そのことはずいぶん前からアナウンスされていたから、今日はきっとものすごい混雑をするだろうと思う。

公開に向けたプールの馴致トレーニングは以前から続けられていたが、3月7日頃からシャチプール1に入れるようになり、ステラ、ラン母娘はそこで過ごすことが多い… という情報を得ていたから、会いに行きたいなぁ、なんて思ってた。
そんなところに、久しぶりのクライアントからの電話。
「Oさん、明日、空いてますか? 名古屋に行って欲しいんですけど…」
仕事のスタート時間は14時からだと言う。
これってもう、シャチに会いに行け!! ってことでしょ!?

というワケで3月9日の9時30分。オレは名古屋港にいた。
入館すると、最初に目に付く水槽(シャチ1プール)に2頭のシャチが泳いでいるのが見えた。
IMG_0257.jpg
やった!! 見られた。
正式な公開ではないから、見られるかどうかはシャチ次第。見られればいいなぁ、くらいの気持ちで行ったんだけど、実質的には公開スタートみたいなもので、アクリルパネルの前には、常に人だかりができ、早くも圧倒的な人気を集めていた。

何より、ステラはものすごく愛想がいい。
鴨川時代からプールの前に行けば、顔を上げて寄ってきてくれる子だったけれど、同じ高さで顔を合わせられるようになった今では、観客の真ん前まで来てくれる。
久しぶりに会ったステラに、大きく手を振ったら、すぐにオレの前にやって来てくれた。
IMG_0039.jpg
やぁ、ステラ!! 久しぶりだね。元気だった? なんて問いかけに応えるように、口をぱくぱく。
トレーナーの話だけを聞くと、ひたすら恐怖の鴨川のゴッドマザーだが、こうして顔をつきあわせている分には、そんな恐ろしさは微塵も感じさせない。
それどころか、これまで見てきたどのシャチよりも魅力的だと思わせてくれるくらいだ。
何しろ、鯨類にさほど興味のないオレが、わざわざ早起きして逢いに来るくらいなのだから、それはそれは魅力的なのだ。
別にオレのシャチではないんだけど、名古屋の人たちに対し、自慢げな気分にすらなってくる。鴨川のシャチはこんなにも素敵だったんだ、って。

オレのそんな想いを知ってか、朝一はずっとオレの前にいてくれた。
IMG_0225.jpg
周りには何人かのライバルがいたけれど、こっちは鴨川時代からの付き合いなのだ。オレが相手じゃ、悔しい思いをするだけだぜ!! なんて調子に乗ってたら、幼稚園の遠足が。

集団だから? 反応がいいから? ステラは小さい子が好きなのか、次から次へとやってくる幼稚園児の前を離れない。
これから名古屋港に行く皆さん、幼稚園児の集団には絶対勝てないことをお伝えしときます。

でも、ステラは常にアクリルパネル前にいて、まるで記念撮影に応じるかのように、少しずつ移動しながら、ほぼすべての観客の前に顔を見せて回る。
ランもそういうことをしている時があるけれど、ステラほど観客が好きではないらしく、ステラが相手をしてくれないと分かると、ひとりでフラフラ泳いでる。
IMG_0251.jpg
水中のランの姿は初めて見たけれど、あんなに大きくなってたことに驚いた。
1歳くらいの頃から見てきているから、小さいと思っていたのに、知らない内にステラと変わらないくらいの大きさになってた。
しかも、今いる名古屋のプールは、鴨川で暮らしていた時よりずっと広くて深い。
そんな中を、ギュンギュン泳いでいるのを見てると、不本意ながら“よかったね!!”なんて感情が沸き上がってくる。

名古屋への移動は、鴨川シーワールド好きからすれば、何だか取られてしまうようで、気持ちの中では反対していたんだけど、こうして鴨川ではあり得なかったスピードで泳いでいる姿を目の当たりにすると、力ずくで納得させられてしまったような、何だか複雑な気分。それにしても、見知ったシャチが泳いでいるのを見て、あらためて名古屋港水族館の巨大さを実感させられた。

愛想よく姿を見せてくれるステラやランとは違って、ビンゴはシャチプール1に出てくることはなかった。あまり人が好きではないのかも知れない。
屋内の医療用プールから屋外のシャチ2プールへは3頭のウチ、最初に出たそうで、そこでくつろいでいたりしたらしいけど、シャチ1プールはあまり好みではないらしい。
オレが見ていた間でも、ゲート前まで来ただけで、引き返していった。
IMG_0083.jpg
ビンゴは医療用プールで引きこもっているから、会いたい人は給餌の時間がチャンスだ。

愛想のいいステラは、きっと名古屋港水族館に人を集めるだろう。
夏休みくらいになれば、メインプールでのショーも始められるかも知れない。
さらに、冬にはステラの出産が控えており、来年初め頃には小さな仔を連れだって泳ぐ姿が見られるはずだ。つまり、この先ずっと、ステラは名古屋港水族館に人を集め続けるということ。
先にも書いた通り、ものすごく魅力的な個体なんだけど、ステラのひとり勝ちの前に、近隣の水族館に影響が出るのでは? と大きなお世話ながら心配になってくる。

オレもこの先、ステラに逢うために名古屋に足を運ぶ機会が増えると思う。
でも、そんな時には、他の水族館にも寄ろうと思う。
でも、逆に言えば、そんな心配をしたくなるくらい、ステラは素敵だってこと。
名古屋や近隣に住む人たちは是非、会いに行ってみて欲しい。その魅力の前に、きっとやられるはずだから。