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S.E.A.アクアリウムのサメ水槽 [サメ]

更新頻度の少なさも手伝って、長々と続くことになったS.E.A.アクアリウムの話も今回で最後。
最後を締めくくるのはサメの水槽。
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以前のブログにも書いた通り、S.E.A.アクアリウムには大水槽と言える規模の水槽が3つある。サメの水槽もそのひとつ。
その時々によって、順路の方向は逆になるらしいのだけど、オレが行った時にはほぼ順路の最後に登場する水槽だった。

そのS.E.A.アクアリウムのサメ水槽だが、かなりの大きさがありそうで、そこにツマジロがいる、ということまでは知っていた。
その時はまだ、日本の水族館でツマジロが見られる日が来るとは思っていなかったから、いつか行かなきゃ、と漠然と思っていたんだけど、その時からはかなり時間が経ってしまったけどようやく見ることができた。

S.E.A.アクアリウムはどこを見ても、まず最初に出てくる感想は「デカい!!」なんだけど、サメの水槽でもそれは同じ。
3つある大水槽の中では一番小さいはずだが、それでも日本に持ってくれば有数の大きさがありそうな規模感。少なくとも2000t以上の水量はありそうだ。その広さもさることながら、水深も深くて8mくらいはありそう。水中トンネルもあるが、そこから見上げると水面ははるか上にある。
そこを泳ぐのは5種類のメジロザメ属を中心とした9種類のサメ。それ以外にはオヤビッチャが少しいるくらいで、圧倒的にサメ!!
3mはありそうな大型の個体が何匹もいて、それらがそれこそビュンビュン泳ぎ回っているのに狭さを感じさせることがない。

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種類で言えば、日本で見られない種類はおらず、そういう意味では驚きは少ないものの、個体数やその大きさは驚きに値すると思う。
しかしながら、日本では美ら海水族館に2匹がいるだけのツマジロや、シーライフ名古屋にしかいないオグロメジロザメ(まだ見られるのかな?)あたりは日本人には珍しいと言っていい。それらが何匹もいて、しかもデカい!! ツマジロなんて大きいものは3mくらいありそうで、見知ったはずの種類なのに初めて見るみたいな感覚。
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ツマジロ
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オグロメジロザメ

日本だとなかなか大きな個体を見掛けないアカシュモクザメもちゃんとデカくて、シュモクザメ以外の種類も、大きいだけではなく、体に擦れ傷や擦れてできる瘤みたいなのがある個体もいない。
それを見て思った。やっぱり、遊泳性のサメは広さだな、大きくないとダメだな、って。
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サメ、それもこの水槽にいるような種類は、そこそこの大きさがあって、しかもそれが泳ぎ回るのだから、ある程度以上の大きさがなければダメだというのはサメを飼ったことがなくても想像ができること。
飼育実績のある種類も多く、どの種類はどのくらいの水槽がなければ長く飼えない、みたいなことも分かりつつあるものもいる。
でも、それができていない日本の水族館は案外、多い。
シュモクザメを展示している水族館はいくつもあるのに、大きく成長した個体を見られる施設となると極端に少なくなるが、そういうことだ。

S.E.A.アクアリウムみたいに、サメを展示するのにこれだけの水槽を宛がえればそれは素晴らしいことだ。
しかし、それができないのであれば、その水槽で無理なく飼える種類を飼うべきなんじゃないか、と思う。

まぁ、それはともかく。

S.E.A.アクアリウムで一番どの水槽がよかった? と聞かれたら、オレはこのサメ水槽をあげる。
オレがサメが好きなのを差し引いても、魅力的な水槽だと思う。実際、水槽を眺めている人たちの立ち止まっている時間は、あと2つの大水槽よりも長かったような気がしたくらいだ。

世界中の水族館を見た訳じゃないけれど、これを上回るサメ水槽、他にあるんだろうか? そんな風にさえ思う水槽だった。
サメが好きなら、1度見ておいて損はない水槽だと思う。
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神話の海の大水槽 2022 [サメ]

アクアスで楽しみにしていたのが、サメの大水槽「神話の海の大水槽」だ。
沢山のサメ、大きなドタブカがいたことをよく覚えていて、11年前もこの水槽の周辺で長い時間を過ごした記憶がある。

水槽の前までやってくると…… あれ!? 暗くなってる?
記憶では普通に明るい水槽だったような覚えがあるのだけど、薄暗い感じになっていた。
また、以前はサメ以外の脇役、コショウダイやイサキ、スギなどが多く泳いでいたが、それらの姿はほとんどなく、サメ以外の魚種のバリエーションは大きく減っていた。その代わりなのか、豆アジサイズの小さなマアジが沢山入っていたけれど。

このあたりは個人的にはちょっぴり残念な変化だったのだけど、気を取り直して、お目当てのサメたちを眺めようじゃないか。
サメは相変わらず沢山泳いでいたが、それらを眺めていても「この個体は11年前にもいた!!」とはならなかったけれど、その頃から健在の個体はいるのだろうか?
ただ、このレモンザメは11年前にもいたような気がする。何となく、だけど。
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サメの顔ぶれも少し変わったようで、以前はドチザメやシロザメなどドチザメ科の種類もかなり多く入っていたような覚えがあるが、ドチザメはいたけれどシロザメやエイラクブカの姿はなく、魚名板にその名を残すのみ。
その一方、メジロザメ類は以前よりも数が増えているような印象で、アクアスのサメ水槽の看板的存在? のドタブカに加え、ヤジブカなどが多数。
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11年前に見た個体はまだ残っていたのだろうか?

魚名板にはなかったけれど、こんなサメの姿も。
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これ、カマストガリザメだよね!? 
11年前にはいなかったはずの種類だ。個体数は少ないようで(1匹だけ?)、それが残念なことに、水槽の上のばかりを泳ぐので、目の前まで来てくれることはなかったけれど、某水族館の人に輸送が難しいらしいことを聞いていたので、それがいることにありがたみを感じてしまう。

メジロザメというと、似ているものが多く外見で種類が分かりにくい。そのため、その仲間が多く泳いでいる水槽では、このカマストガリザメと思しき個体のように、ドタブカ、ヤジブカ以外の種類もいるような気がしてくる。
実際に何度も見たことがあるカマストガリザメはちょっと自信があるものの、それ以外の種類だと自信がない。正直言うと、ドタブカさえも怪しいところ。
この水槽にこれまで見たことのない種類はいないはずだが、もっと“サメを見る目”は鍛えたいところ。
東京近郊にはメジロザメが多くいる、それが可能な施設は意外にもなく、アクアスがもっと近ければ…… とあらためて思わされる

そしてこちら。これは自信を持って言える!! ポートジャクソンシャーク。
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水中トンネルの上にポツンと1匹。下から見上げていただけでは沢山いるネコザメの1匹にしか思っていなかったが、その下を通り抜けること数度、ふと柄が違っていることに気付いた。
もしかしたら数匹いるかも知れないカマストガリザメとは違い、こちらは1匹だけしかいない模様。オレが行った時はトンネル入り口周辺の水槽の端あたりにいることが多いようだったので、探したい人はそのあたりに注目してみて欲しい。

11年ぶりの訪問で時間が足りない~!! とか言ってた訳だけど、結局、この水槽で時間を取られてしまうので、どうしても他を見る時間に影響を及ぼしてしまうらしい。
このブログを書いていて、あらためてメジロザメ類がちゃんと見たくなってきた。
仕方ない。それが沢山いそうな施設への訪問計画でも練るとしよう。
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超激レア深海ザメ・カグラザメ @竹島水族館 [サメ]

竹島水族館には2010年以降、少なくとも年に1回以上は足を運んでいたのだけど、コロナ禍以降、すっかりご無沙汰。
行かなくなるとさらに足が向きにくくなるものだが、そんなところにカグラザメが入ったらしいという話が聞こえてきた。
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水族館からも公式発表があり、それと前後するようにTwitterには駆け付けた人たちによる沢山のカグラザメの画像が並んだ。
つまり、オレが見たいものは簡単には見られない状況なのだろうなぁ…… 行こうかどうしようか迷っていたら、平日の混雑具合はそれほどでもないとも。
しかも、目的のカグラザメも元気にしている模様。
コロナ禍以降、以前よりもずっと重くなってしまった腰をカグラザメに押してもらい、3年ぶりの竹島水族館へ。

目的のサメはというと……
いた!! 個人的にはその姿を見るのは7年ぶり2回目。
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公式発表直後にTwitterなどで見た画像と比べると、体表のスレ感や眼の表面の傷みが進んだような感じだったけれど、それでも体の状態はとても綺麗。
搬入されたのは発表されたよりも少し前だったそうで、既に10日以上は展示されているという好成績ぶり。状態よく漁獲され、その後のケアもよかったのだろう。
まだ本格的なシーズン前だというのに、いきなりこんな大ネタ。こんなこともあるものなのかと驚かされた。
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7年前に見た個体はもっと黒っぽかったような印象があるが、竹島水族館で展示されているものは以前見たものよりも色合いが薄く、照明の影響もあるのか紫がかったような色合い。
サイズは全長で70㎝といったところ。恐らく産まれて間もないのだろう。どことなくヒョロッとしていて、顔つきにはあどけなさがある。
でも、つるんとした背中や、6対の鰓孔などカグラザメならではの特徴はきちんと見ることができる。
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基本的に着底していて、そこでジッとしているのだけど、時々泳ぎ始めると、水槽内をグルグルと泳ぎ、しばらく動くとまた着底してジッとする、みたいな行動パターン。

これがこういうものなのか、はたまた状態がいいのか悪いのか。もちろん分からないのだけど、担当のスタッフさんからすると気が気じゃないようで、泳がなくていいからジッとしてて!! と思ったりするらしい。
泳ぎ回ることで体に傷がつくかも、とか、眼を擦るかも、とか、心配しだすときりがない。
そういえば、同じような話をどこかの水族館でも聞いたなぁ…… スタッフさんの話を聞きながら、飼いにくいサメに四苦八苦していた他施設のスタッフを顔を思い浮かべたりなど。

カグラザメが水族館に搬入された例は少なく、生きた姿を見るのはかなり難しい種類、そう思っていたのだけど、展示個体を漁獲した漁師の人の話では、よく獲れるものらしく、別段珍しいものではないのだそうだ。
しかも、今回展示された個体の状態が特別いい訳ではなく、漁獲直後のケアがある程度はなされたものの、その扱いはごく普通に、というものだったとか。
海水温が下がる時期に、もっと丁寧にケアを行えば、今以上にいい状態で搬入される可能性もある!?
水族館のスタッフさんの話を聞いていると、そんな風にも思えたのだけど……

とは言え、現時点ではなかなか見られない極めて珍しい種類であることは間違いないし、もしかしたら今回の展示個体が最後の機会である可能性だってある。
展示された2匹には1日でも長く生きて欲しいが、この先、状態が悪くなってしまうことも考えられる。

例によって、だが、見たい人はなるべく早く行くことをオススメしておく。
とりあえず、この週末は大丈夫。だと思う。多分……
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久しぶりの再会 水槽生まれのイタチザメ [サメ]

2017年に美ら海水族館のサメ水槽で産まれたイタチザメを覚えているだろうか?

約30匹が産まれた内の1匹が約2mまで成長し、2019年には産まれた水槽で展示もされた。
https://aquarium-mistral.blog.ss-blog.jp/2019-07-06(展示された時の話)

しかし、その後、調子を崩したとかで、水槽での展示は終了してしまった。
そういう発表≒個体の死亡であることがサメではとりわけ多いけれど、この個体に関しては違う。海上生け簀に移された後、元気を取り戻し、今も健在だ。
OSCの生け簀ツアーに参加すると、その姿を見られるということで会いに行ってきた。

生け簀の縁に下ろしてもらって、給餌を見学するのだけど「くれぐれも手は入れないでください」と注意される。
生け簀を覗き込むと、大きなオオテンジクザメの姿が見えた。それも3m以上あるかなりの大型個体だ。そんなのがいるところに誰が手を入れる? なんて思っていたら、イタチザメが自分の真下にその姿を現した。
それを目の当たりにした時、正直、引いた。想像以上にデカかったのだ。
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3mは軽く超えていただろう。もしかしたら4m近くあったかも知れない。そんなサイズ感だ。
手を伸ばせば届いてしまいそうなところにそんなのが泳いでいるのだ。動きはゆっくりしていたし、飼われている個体だからか緊張感が漲る、みたいな感じでもなかった。それでも、言い知れぬ恐怖感に身体がゾワッとした。
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給餌棒に餌がセットされ、水面へと差し出されると、ゆっくりと近づいてきて、ガバッと食らいつく。
水面を割って飛び出す顔がまた大きく、感動と恐怖が入り混じったような感情が声と一緒に溢れ出してくるようで、サメが餌を食べる度に“うひょー”みたいな声を出していたような気がする。
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巨大に育ったイタチザメの姿は、何とも感慨深かった。最後に見た時、2019年の水槽だったが、その頃はまだ2mだったのに、さらにその2年前、あんなひょろひょろの幼魚だったのに、それがこんなに大きくなったなんて!! 嬉しいような、信じられないような、いろいろな感情が行ったり来たり、まさにそんな気分だった。

それにしても、水槽だとうまく泳げなくなったりしてしまうイタチザメが、何故、生け簀なら飼えてしまうのだろうか。
壁は避けられなくても、網なら避けられるのか。はたまた、何か別の要因があるのだろうか?
いずれにせよ、ここまで大きくなってしまうと、再び水槽で、というのはもはや現実的ではないかも知れない。
この個体がこの先どこまで大きくなるのかは分からないが、これ以上大きくなるようなら、今の生け簀で飼い続けることだって難しくなるのだろうし、どうなっちゃうんだろう? みたいに気になってしまうところもあるが、この個体は産まれた日時まで正確に分かり、現在のサイズまでの成長過程がすべて分かっている世界唯一のイタチザメである。そこからもたらされる知見は計り知れない。
これからもずっと長く生きて、いろいろなことを教えて欲しいと思う。
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でも、そんなことよりも久しぶりに再会できたこと、そしてこんなに大きくなっていたことの2点を何よりも喜びたいと思う。

会えてよかった。しかも、こんなに大きくなった姿を見せてくれるなんて。
生け簀に来るのは久しぶりだったけれど、やっぱり楽しかった。
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エビスザメ@標津サーモン科学館 [サメ]

8月の終わり頃のことだっただろうか。
朝、携帯にメッセージが来たことを知らせる通知音が鳴った。
送り主は、早朝の乗船業務を終えて帰港したばかりの標津サーモン科学館の副館長だった。
「こんなの捕れました」の一文に添えられていた画像には何とエビスザメが!!
標津でも珍しいものだそうで、漁獲記録はなく、副館長も見るのは初めてだったとか。
そのエビスザメ、そのままサーモン科学館へと搬入され、その日の内に展示がスタート。すぐにアナウンスされたこともあって、その日のTwitterはサメ好きによってちょっとした“エビスザメ祭り”となっていた。

エビスザメは珍しいサメで、日本で展示されることは滅多にない。
オレが知るここ15年以内では海遊館の1例だけ(のはず)で、その展示が終了して以降、日本の水族館で見ることはもうないかも、と思っていたから、展示されたというニュースはかなりの驚きだった。
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しかし、その頃はコロナ感染者数も多く、すぐに駆け付けるのは無理。
実を言うと、その時はごく短期間の展示で終わってしまうだろうと思っていたから、移動制限がなかったとしても、すぐに駆け付けることをしなかったと思う。
しかし、事態は思いもよらない方へと動いた。何と、2匹めが搬入されたというのだ。
その時の2匹めは搬入時点で弱っていたようでごく短期間の展示に終わってしまったようだが(後日、さらにもう1匹が搬入され、2匹の展示は続けられている)、そんなニュースと前後して、遡上してきたカラフトマスやサケの話題が増えていく。
今年こそ見に行きたい。エビスザメもいることだし。
ということで緊急事態宣言が明ける9月12日に標津へ向かうことにした…… のだけど、緊急事態宣言は解除されることなく、さらに延長されてしまった。
その時点で、今年も行けなかった…… と例年以上に大きく落胆した訳だが、目的のひとつでもあったエビスザメはその時点でもとても状態がよさそうで、これなら来年でも間に合うかも、なんて淡い期待も。

緊急事態宣言が明けると、エビスザメを見てきた知人の話を見聞きするようになった。
それらの人は一様に“早めに行った方がいい”と言う。
サメで“早く”というワードが出てくる場合、考えられる理由は主に2つ。
調子が悪くなったか、水槽内で扱いにくくなってきたか、のどちらかだ。
伝わり聞こえてくる話では、状態はよさそう。だとすると、水槽内の厄介者になってる!?

そんなところに、再び副館長から連絡が。
「エビスザメ、展示するの止めるかも」と。

聞けば、展示中止が決まった、という訳ではないようだった。でも、来年行った時に見ようと思っていたオレの希望的計画が危うくなったことは間違いない。
ここで行っておかなければ後悔するだろうと標津へ行くことにした。
標津に行くのにその目的はサケではなくサメ。何だか間違ったことしているような違和感? があったのが自分でも不思議だった(笑)

2年ぶりのサーモン科学館に到着すると、出掛けようとする館長に遭遇。
オレの顔を見るなり「もう1時間予報出てますよ!!」と。11月のサーモン科学館と言えば産卵展示だ。その言葉に慌てるようにまずは魚道水槽へ。
水槽前に行くと、カメラを出す暇もなく産卵が始まってしまった。写真に収めることはできなかったけれど、2年ぶりの訪問を歓迎してくれているのだろうと解釈。いきなりいいものを見せてもらった。
でも、今回はサケではなくサメを見に来たのだから、目的のサメがいる大水槽へ。
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知ってはいたことだけど、2匹のエビスザメが泳ぐ様はやはり驚かずにはいられない。
その姿を見るのも9年ぶりのこと。しかも2匹。2匹の生きたエビスザメなんて、日本の水族館史上に残る出来事と言っていいんじゃないだろうか?
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8月からいる1匹めは見るからに調子がよさそうで、体もふっくら。さまざまな行動も観察されているそうで、非常にうまく飼えていることが見て取れた。


副館長によれば、水温や水槽内の造り、水流などの条件が合っているのだろう、とのこと。
珍しいサメがうまく飼えて、長期間展示されるというのはいいことだと思うのだけど、喜ばしいことばかりではないようで、どうやら同居魚を襲っているらしい、とのこと。
確かに、体に傷がついたサケやニシンがいたが……
でも、その時は“容疑”なだけで、襲う場面は目撃されていなかったそうだが、後日、カレイが捕食されるシーンが目撃されてしまったらしい。
サメ好き目線で見ると、混泳魚を襲うくらい元気がよくて良かった!! かも知れないが、館長以下、強烈なサケ愛を持つサーモン科学館の人たちからすれば、サケが襲われる可能性があるというだけで、まさしく“冗談じゃない!!”こと。そもそも、館長は搬入することすら強く反対していたらしい。
エビスザメが捕食したのがカレイではなくサケだったなら、水槽から引きずり出されてたかも知れない!?

個人的には、せっかくうまく飼えているのだから、そのまま展示を続けて欲しいと思う。
でも、サケが絶対的な主役の水族館で、それに危害を加える恐れのあるものを置くことはできない、というのも分かる。
この先、どこか他所の水族館でひょっこり再開、なんてことがあるのかも知れないが、ひとまずよく知った水族館で貴重な魚を見られたことに感謝したい。
このサメがいてくれたからこそ、今年は見られないと思っていたサケも何とか見られたのだしね。
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いつまで展示が続けられるのかは分からないが、見に行ける人は行っておいた方がいいと思う。あっ、でも、今休館中だね(汗)
サメに会いに行く計画を立てようという人は、営業期間とサメがまだいることを確認の上、出掛けることをオススメしておきます。
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沖縄美ら海水族館 メスのジンベエザメ死亡【訃報】 [サメ]

沖縄美ら海水族館では雌雄2匹のジンベエザメを展示していたが、その内のメスの状態が悪化し、治療のため6月12日、海上生け簀へと移動されていたが、17日、残念ながら死んでしまったらしい。

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死んでしまったメス個体。全盛期? な2015年。

以下、美ら海水族館HPより引用

本個体の死亡について

海上生簀へ移動後も獣医チームを中心に最善の治療を続けておりましたが、残念ながら死亡が確認されました。
【剖検結果】
■飼育年数:13年2ヵ月(予備水槽での飼育期間含む)
■死 亡 日:令和3年6月17日(木)
■死亡原因:詳細に剖検を行った結果、上下顎を支持する舌弓の骨格系である基舌軟骨および角舌軟骨と神経頭蓋前部腹面が上方に著しく傾くことで開口幅が制限されるなど、骨格構造に異常*が確認されました。
過去の飼育記録より、水族館での飼育開始以前に外的要因による異常が発生し、成長とともにこれらの変形の悪化が進行、摂餌障害を引き起こしやすい状態だったと考えられます。
また、生前より超音波画像診断で胃と腸を繋ぐ幽門部の通過異常が確認され、剖検では顕著な捻じれの異常があることが分かりました。
これらの症状により、取り入れたエサが消化器官内で停滞し、十分な量の栄養を腸で吸収することが困難であったことが示唆されました。
当館では、さらにCT等の画像診断による詳細な分析を進め、科学的知見の収集と情報の共有に努めてまいります。
本個体は、日本国内で最も長く飼育されたメスのジンベエザメ個体でした。当館での13年間の観察を通し、多くの新知見が得られ学術論文で公表されるなど、繁殖生理や生態の解明に大きな貢献をしました。
沖縄美ら海水族館では、今後もジンベエザメの生態や生理学的研究を通して、本種の繁殖や保全に寄与していきたいと考えております。
*Harvey?Carroll et al. (2021)で報告されたblunt trauma (鈍的外傷)と同様の症状

https://churaumi.okinawa/topics/1623465430/

この個体が大水槽に搬入されたのは2012年10月23日。オレが初めて見たのはその4ヵ月後の2013年2月。
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その時の大きさは5.8m。頭部が少ししゃくれたような形をしている分かりやすい身体的特徴があったことから、個人的に“スプーンヘッド”と呼んでた。
どこかにぶつけた? みたいな違和感がある体型ながら、スプーンヘッドなジンベエザメは、この個体以外にも写真などで見たことがあったから、そういう体型の個体もいるのだろう、その時はそう思ってた。
発表された解剖結果を見ると、やはりあの特徴的なスプーンヘッドは正常な状態ではなく、それどころか死亡につながる理由のひとつだったようだ。

大水槽に搬入された“スプーンヘッド”は、ものすごい勢いで餌を食べ、ぐんぐん成長していった。その頃は見る度に大きくなっていて、毎回のように驚かされていた。
それを裏付けるかのように食欲も凄まじいほどで、ずっと大きいジンタ(オス個体)と同じ量の餌を食べていたらしい。
だからその頃の“スプーンヘッド”はふっくら丸々としていて、大きなジンタが細長く見えたくらい。メスらしい体型ってことなのかなぁ? とか思って見ていた。
水槽にはもう1匹メス個体がいたが、どことなく控えめな感じのその個体に比べると、この“スプーンヘッド”は餌へのがっつき方なんかもイケイケな感じ。
ちょうどその頃に性成熟に達したジンタもそんな“スプーンヘッド”がお気に入りだったようで、自分よりずっと小さく、まだ性成熟にも達していないのに追いかけまわしてた。
その追尾、場合によってはかなり激しいものだったらしい。

しかし、2018年頃だっただろうか。痩せが見られるようになってきた。
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餌の時間になっても水面に上がってくることをせず、反応を見せなくなった。
オレが給餌の瞬間に立ち会うなんて、1年の内せいぜい10日くらいのものだが、その間、いつ見ても餌を食べるところが見られない。
聞けば、摂餌にムラがあり、食べる時もあれば、食べない時もある。食べない時はしばらく続くこともあるし、食べても少しだけ食べて止めてしまうとか、そんな感じだったらしい。
ジンタのしつこい追尾のストレス? なんて想像したりしていたのだけど、どうやらこの頃から死因のひとつである消化器系の問題が顕在化しつつあったのかも知れない。

2019年になると、痩せはさらに進行。もう著しく痩せ細った、みたいな状態。
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げっそりしたオタマジャクシみたいな体つき。体側のキールに沿って、深い溝ができるみたいな、見るからに不健全な姿。
痩せて頭ばかりが目立つフォルムになってしまったせいか、はたまた傾きが進行したのか、この頃になるとスプーンヘッドがより際立って、まるで体が折れてるみたいに見えてしまうのが痛々しかった。
2019年はついぞ1度も餌を食べているところを見ることはできず、以降、顔見知りの飼育スタッフ氏や解説員氏と顔を合わすと、挨拶のように“餌食べた?”と尋ねるのが恒例となってしまっていた。
しかし、2020年にはオレの見ている前で餌を食べたのだ。
相変わらずげっそり痩せてはいたけれど、1日3回ある給餌時間のいずれの時もちゃんと浮上し、与えられた餌をしっかり食べる姿を見せてくれた。
かつてのような垂直の摂餌姿勢こそ取らないものの、かつての姿を見るような餌に対する集中力(執着?)で、本当に安心したし、良かったと思えた。
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このまましっかり食べ続けてくれれば、またかつての姿を取り戻してくれるはず、そう思ってた。
しかし、結果は残念ながら……

彼女を死なす理由にもなった“スプーンヘッド”は、他の個体と明確に見分けることのできるこの個体ならではの個性となっており、だからこそ愛着を感じていたところもあったと思う。それだけに死んでしまったことはひたすら残念でならない。
また、性成熟が近いとされていたことも残念さをより強くする。その先にある繁殖生態の解明の糸口になるかも知れないと期待されていた個体でもあったのだ。
仕方がないこととは言え、それが失われてしまったことは、美ら海水族館に所属する研究者諸氏を大きく落胆させただろうと想像するが、死後もその原因の解明だけでなく、そこから分かったことも多分、少なくなかったのだろうと思う。
そういう意味では、我々人間がジンベエザメという魚に対する理解を深めるのにものすごく貢献してくれた個体だったとも言える。

以前のことを思い出しつつこのブログを書いていたら、かつて話を聞かせてくれた水族館の飼育スタッフ氏の言葉を思い出した。

「長く飼われているけど、簡単に飼えてる訳じゃないよ」

ジンベエザメの正しい飼い方なんて誰も知らないのだ。そもそも、そのジンベエザメ自体がまだまだ分からないことだらけの存在なのだし。
美ら海水族館に行さえすればその姿を見ることができていたから、いるのが当たり前のつもりになっていたけど、“いてくれてありがとう”だったんだなぁ、と失われた今になってあらためて思う。
残ったジンタにはこれからも元気でいてくれることを願わずにはいられない。
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アオザメがやってきた!! @葛西臨海水族園 [サメ]

またひとつ“夢”が叶ってしまった。

11月20日、葛西臨海水族園にアオザメが搬入され、翌日より展示がされたからだ。
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アオザメ。個人的にもっとも見てみたかったサメのひとつであり、夢の魚。
その飼育はきわめて難しいらしく、これまでも串本、須磨、むろとなどの各施設に生きて搬入され、展示されたことはあったものの、いずれも短時間で終了。
駆け付けようにも、展示終了までの時間が短すぎて間に合ったことはなかった。
残念ながら今回も、22日朝の時点で展示終了が発表され、1日のみの展示期間となった。
つまり、水族館で生きた姿が見られるなんて、限りなく奇跡に近い。よほどの幸運に恵まれない限り、その泳ぐ姿は拝めるものではない。

少し前、葛西ではイタチザメの幼魚が搬入されており、その筋のマニアたちがTwitterのTLを賑わせて? いた。
そのイタチ仔を見に行くつもりで、21日の朝、混雑状況でも見ようと葛西臨海水族園のTwitterを見てみたら…… 何とアオザメを搬入しました、と。
動転しそうになったが、あらためて日付を確認すると、2019年11月20日とある!! 降って沸いた超ラッキーに、取る物も取り敢えず葛西へと駆け付けた。

アオザメがいるとされる回遊水槽へ。
しかし、いくら見回してもその姿が見えない。間に合わなかったか!?
落胆しかけていたら、ウェットスーツを着たスタッフ氏が入水。大きなマグロが泳ぐエリアとの仕切り部分から、何かを引き上げている。
案の定、それが目的のアオザメだった。引き上げられたアオザメは、それからゆっくりと泳ぎ始め、スマやハガツオが泳ぐエリアまで泳ぎ出てきた。

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初めて見た!! 当たり前だけど。
思っていた以上に青くなかったこともちょっとした驚きだったが、それよりも各ヒレの小ささに驚かされた。
胸鰭も背鰭も“これだけ?”と思うくらいに小さい。とりわけ、第2背鰭と臀鰭の小ささは、これ、付いてる意味あるの? と思ってしまうくらいに小さかった。
アオザメはサメの中でもっとも速く泳ぐ種類と言われているが、鋭く尖った円錐形の吻端とか、力強い筋肉で形作られた丸太のような胴体は、どこかコンコルドを連想させる。そこに小さなヒレを組み合わせた形こそ、無駄をそぎ落とした“サメにおける最速フォルム”なのだろう。
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遊泳の際の体の振りも回数が多く、鰭の揚力に頼らず、大きな尾鰭をブンブン振って泳ぎ続けるスタイルなのか!? 揚力以上に推力重視!? そんな部分もコンコルド的イメージ。燃費も悪いのだろうか? ただ、体の振り回数が多いのは、もしかすると状態の影響の可能性もあるけれど……
得られた驚きや発見の多さは、やはり生きた実物が見られたからこそだ。今回のこの展示に携わった葛西臨海水族園と、スタッフ氏にあらためて感謝したい。



でも、生きて泳ぐアオザメは、それを継続して飼う難しさも見せてくれたような気がした。

かつて、美ら海水族館の前館長、内田詮三氏が「アオザメみたいな、沖合でビュンビュン泳いでいるようなタイプは、カッコはいいが、水槽では壁を認識しないので飼いにくい。」と仰っているのを聞いたことがあったが、そんな言葉が頭に蘇ってくるほどに、水槽のアオザメは壁や障害物を避けられていなかった。

眼が大きく視力も良さそうなのに、水槽の端まで行くとアクリルにぶつかったり、特に水槽内側に張り出したアクリルパネルの端の部分が鬼門だったようで、そこにぶつかり引っ掛かってしまうことが度々見られた。
そんなところが障害になるの? みたいな部分だが、アオザメを水槽で飼うなら、まず、水槽内の突起物はどんな小さなものでも無くさなくてはならないようだ。
いろいろと妄想は膨らむが、そもそもアオザメなんて、生きて輸送するのが究極に難しい部類なはずで、それをわざわざ水槽を作ってまで長期飼育にチャレンジする施設、出てくるかなぁ…… チャレンジしてくれるところがあれば嬉しいけれど。

状態がよくないのもあってか、どこかに引っ掛かったりすると、そのまま泳ぐのを止めて沈んでしまう。
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アオザメの場合、止まる=窒息だから、着底してしまうや否や、長い棒に取り付けられた網やその枠などが伸びてきて、サメの遊泳を促したり、どこかに引っ掛かってしまった際は、そこから外したりと、ケアが続けられていた。
時間の経過とともに、着底してしまうことも増えていたが、その度に誘導棒が下りてくるので、担当スタッフ氏はきっと、付ききりだったのだろうと思われる。
そのお陰で、21日の開館中はとりあえず遊泳状態を見ることができたし、しかもそれが、人口が多い東京の、行きやすい水族館に来てくれたこともラッキーだった。
オレと同じく夢が叶った人もいただろうし、少なくないサメファンが、一生に一度かも知れない幸運を掴めたのだからね。

そもそも、葛西に行くきっかけとなったイタチザメ幼魚はというと……
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元気に泳いでた。
毎年、今くらいの時期になると、全国あちこちの水族館で“イタチザメを展示しました”というニュースが聞かれるような気がするけれど、暖かい海域で産まれた幼魚が黒潮に乗って本州沿岸にやってくる、みたいなことだろうか?
今回、葛西にやってきた個体も、産まれて日が浅そうな幼魚。
既に餌も食べ始めているそうで、すぐに死んでしまうとかいうことはなさそう。
でも、長期飼育が困難な種類であることは間違いないので、今だけの可愛い姿を見ておきたい人は、なるべく早く行っておくことをオススメしておきたい。
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サメ水槽のメンバーチェンジ@沖縄美ら海水族館 [サメ]

沖縄美ら海水族館のサメ水槽(サメ博士の部屋)のメンバーが変更された。

水槽のメンバーチェンジなんて普通のことだろ!? と思うだろう。しかし、大型のサメを展示したあの水槽のメンバーチェンジは普通のことではない。
何故なら、魚の入れ替えが簡単ではない、というか、とても困難だから。
そのため、いつ行っても比較的変化の少ない水槽だった。
しかし、それがガラリと変貌を遂げた。ほぼすべてのメンバーが入れ替わった。

美ら海水族館へは10年通い続けているけど、ここまで大きな変化は初めてだ。

新たにサメ水槽にやってきたのは、ツマジロ、クロトガリザメ、そして7/6のブログに書いた水族館産まれのイタチザメだ。
それによって現在のメンバー(サメ)は、イタチザメ、ツマジロ、クロトガリザメ、オオメジロザメ、以前からいたドタブカ、ヤジブカのメジロザメ科のみ6種類。イタチザメを除く5種類はすべてCarcharinus(メジロザメ)属という、実にメジロザメ率の高い水槽になっている。
イタチザメの話は、7/6のブログを見てもらうとして、他のサメについて。
ツマジロは2017年に水族館に搬入され、大水槽を泳いでいたもの。
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搬入時1mに満たなかった小さな体が2年の歳月を経て見違えるように逞しくなり、晴れて? サメ水槽の住人となった。

大きくなり、大水槽でもそれなりに存在感はあったけれど、大水槽に比べると小さいサメ水槽ではその存在感は強烈なほど。
そしてそれがものすごくいい(見やすい)位置を泳いでくれるので、水槽の前に立つだけでその姿をしっかりじっくり見ることができる。
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成長した姿をあらためて、これまで以上に間近で眺めると、そのあまりの美しさにため息しか出ない。
ホント、綺麗なサメであることを今さらながらに強く実感させてくれる。

ツマジロと同じく、大水槽からの引っ越してきたのはもう1匹、クロトガリザメもだ。
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こちらはツマジロより遅れること約1年後に大水槽に搬入され、最初はそのあまりの小ささにその姿を見失うこともしばしばだったのに、サメ水槽を泳ぐその姿を見て“こんなに大きかったの!!”と、立派なサイズ感にひたすら驚かされた。
このサメを大水槽から取り上げた飼育スタッフ氏も、ここまで大きいとは思っていなかったらしく、捕まえた時の想像以上の大きさに驚かされたのだとか。
まぁ、それはともかく、こちらもその美しいフォルムに感動させられるだろう。
ツマジロみたいな堂々とした体躯、という感じではないけれど、“トガリ”とその名に付いているように、シャープで細身なスタイルはこのサメならではだ。

これら3匹は、1カ月ほど前までジンベエザメの泳ぐ大水槽で暮らしていた。
そこからどうやって3匹のサメを取り出すのか。気になるところだろう。
ジンベエザメや複数のマンタが泳ぐ水槽でもあることから、大きな漁網などで仕切ることはできない。
ならばどうするか。
飼育員が網を持って潜水し、捕まえるのだそうだ。
もちろん、人海戦術的なこともあるようだが、いかに水槽とは言え、泳ぐサメを泳いで捕まえるってスゴイ。これもまた引っ越しにまつわる驚きのエピソードだった。

メンバーチェンジと言えば、以前、この水槽には飼育40年の伝説のオオメジロザメが展示されていたが、その姿が見えなくなっている。
とは言っても、死んでしまった、とかではもちろんない。
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Mr.美ら海(オオメジロのことね)は、数多の同居魚を襲ってきたという伝説の持ち主である。もちろん、サメもその例外ではなく、新たに引っ越してくるツマジロやクロトガリザメ、水族館産まれのイタチザメは当然一緒にすることはできない。
というワケで予備槽に移動されたのだが、Mr.の移動はやはり大変らしい。
3m級の大きさもさることながら、やはりその性質上、少なからず危険性があるらしく、その移動は“できればやりたくない”作業なのだそうだ。まぁ、当たり前だよね。

サメ水槽が今の状態となるまでには……
オオメジロ(Mr.)、レモンザメの移動→生け簀よりイタチザメ搬入→大水槽からツマジロ、クロトガリザメを移動、ということなんだけど、そのひとつひとつのステップの裏側に大変さがあって、それらを経て今のサメ水槽になったと思うと、何だか感慨深く思えてこないだろうか?

余談ながら、新生サメ水槽にも小ぶりなオオメジロザメがいるけれど、これは新たに搬入されたものだ。
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まぁ、そんな話はともかく、大水槽時代よりも見やすくなったツマジロやクロトガリザメは是非とも見てみて欲しい。
美ら海水族館でしか見られない(ツマジロ)こともあるけれど、とにかくその圧倒的な美しさを堪能しやすくなった分、その魅力はより伝わるようになっているはずだから。
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水槽生まれのイタチザメ展示開始@沖縄美ら海水族館 [サメ]

先月末頃、と言っても1週間ほど前の話だが、美ら海水族館に行ってきた。
半年ぶりながら、水槽を泳ぐ顔ぶれには多少の変化が見られたが、とりわけサメ水槽は大きな変貌を遂げていた。
新たに展示されたサメの中に1匹のイタチザメが。
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サイズは2mほどと、この水槽で展示されるイタチザメにしては小ぶり。
だが、この個体、ただのイタチザメではない。“特別な”個体なのだ。

話は遡って2017年3月初め頃、美ら海水族館に大きなイタチザメが搬入された。
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過去最大級の重さだというその個体は、どうやら妊娠しているらしい、とのことだった。
お腹の子がいつ、どうやって産まれてくるのか。ほとんど知られていないイタチザメの繁殖様式の解明という意味でも、きわめて貴重なサンプルでもあった。
出産は搬入から3週間と少し経った2017年3月23日。約30匹の仔が産まれ出てきた。
残念ながら、オレはその場に居合わすことはできなかったのだけど、イタチザメの出産が世界で初めて水槽で観察された歴史的な日として記憶されている。

回収された仔ザメたちは、水槽横の予備槽に収容され、黒潮探検の通路からも見ることができた。
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細長く、ヒョロッとした仔魚。全長こそ80㎝くらいあったけれど、4m近い巨体の母親個体と比べると、同じ魚とは思えないくらい弱々しく、そして可愛かった。
当時、飼育スタッフ氏が「ぬいぐるみみたいな目してて、ホントに可愛い!!」と、頬を緩ませながら話してくれたことを思い出す。

その当時の仔魚は、ゆらゆらと立ち泳ぎのような泳ぎ方をしていた。
イタチザメの産まれて間もない幼魚は、時折、水族館でも展示されることがあるが、これまでオレが見たことがあったものはいずれも立ち泳ぎのような泳ぎ方をしていたので、こんなものなのかな? なんて思っていたのだけど、やはりそれは正常な状態と言えるものではなかったようだ。
その後、遊泳状態が通常の状態になると、途端に成長速度が高まり、体つきもしっかりとしてきたのだという。

出産から約1年半後の2018年7月、図らずもこの幼魚と再会。生け簀ツアーでのことだった。
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水面付近に姿を現した小ぶりなイタチザメが、水槽産まれの個体であることには気づけなかったくらい、大きく、たくましく成長していた。
実を言うと、成長させるのは無理なのだろうと思っていたし、もういないものだと思っていたので、それが水槽産まれの個体であることを聞いた時には、ものすごく驚いたのと同時に、とても嬉しかった。
飼育スタッフ氏によれば、過保護なくらい、手塩に掛けて育てられたのだそうだ。

そしてその遭遇から半年後、今度は水槽で再会。
生け簀の時とは違い、今回はすぐにピンときた。この個体、もしかして…!? と。
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サメ水槽を泳ぐイタチザメは、これまで展示されたものも、水面付近の壁に沿うように泳いでいることが多く、水槽生まれベイビーもそれは同じ。
だから、見やすい位置を泳いでくれる他のサメたち(それらがやたら魅力的なこともあるけれど)に目を奪われ、やや目に入りづらい。
同様に、アクリルの近くには来てくれず、水面付近しか泳いでいないので、綺麗に写真を撮るのはかなり困難だ。

先にも書いたように、サイズは約2m。
生後2年で2mは、大型種の幼魚とは言え、かなりの成長速度なのだそうだ。
水槽に移った今も、餌はよく食べているようなので、この先もそんな成長が続けば、次に会う時にはこれまた驚きの大きさになっていて驚かせてくれるのかも。

いずれにしても、産まれ出た瞬間から2年間、その成長が観察された唯一のイタチザメである。
この個体が教えてくれることはこの先も数知れないほどあるのだろうと思う。
それがこの個体が“特別な1匹”である理由だけど、それにしても、その成長の要所要所で遭遇できるオレも、この個体とよほどご縁があるらしい。
自分で言うのも何だけれど、何かスゴイなぁ、と思っちゃったよ(笑)

このイタチザメも含め、新生サメ水槽、今までにも増して素敵になってます!!
美ら海水族館に行った際にはお見逃しのないよう、強くオススメしておきたいと思います!!
サメ水槽の話も、またいずれ。
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記録に挑戦!? サメ(板鰓類)の話 [サメ]

4月4日、仙台うみの杜水族館で飼育、展示中のヨシキリザメが、同館が持つヨシキリザメの飼育記録、252日を更新した。
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今日の時点で262日めに突入しているはずで、このまま順調にいけば、1年に届く!? そんな期待が持ててしまう快挙だ。

マンボウ展示を目的とした比較的大きな水槽で、全長1mにも満たない小さな個体をたった1匹。他には賑やかし役? のサバが少しいるくらいという、とても贅沢な環境で飼われている。
水流なども調整されているそうなのだけど、そういうのも含め、現時点ではヨシキリザメの飼い方としては、これがもっとも正解に近い、と言えるのかも知れない。

そもそも、ヨシキリザメに限らず、野生の生き物の正しい飼い方を知っている人は誰もいないし、100%の正解もないのだろうと思う。
でも、それが正しければ(間違っていなければ)、成長した個体が繁殖し、その産まれた個体が成長し、繁殖する。
そんなサイクルが確立された時、あらためてそれが“正しい飼い方”だったと言えるようになるのかも知れない。

仙台うみの杜水族館のヨシキリザメは今、その正解に向けた答えを探している最中で、現時点ではもっとも正解に近い環境や日常の管理は、これまでに飼育されてきた個体によって積み上げられてきたデータやノウハウから、手探り状態であれこれ試してきた中で辿り着いたものだ。

オレはそんなチャレンジを遠くから眺めているだけでしかないのだけど、時々こうして聞こえてくるチャレンジの一端を目や耳にする度、とんでもなくワクワクしてしまうのだ。

水族館から聞こえてきた、オレをワクワクさせて仕方ない話はいくつもあったけれど、ヨシキリザメ記録更新を記念? して、サメを中心とした“チャレンジの記憶”を振り返ってみたい。

かつて、ヨシキリザメの飼育記録を保持していたのは葛西臨海水族園だ。
ヨシキリザメは更新されてしまったけれど、葛西臨海水族園は他にもとんでもない記録を保持している。
サメに限れば、あのミツクリザメの記録保持者でもある。
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2014年に打ち立てられた15日が現在のレコード。
たった15日!? と言うなかれ。
大抵、水族館に搬入されても1~2日で展示終了してしまうミツクリザメを2週間以上も展示を続けただけでなく、その間、ちゃんと泳ぐ姿も見せてくれていたのだ。
残念ながら、摂餌には至らず、飼育記録というよりは展示記録だが、輸送方法や魚の取り扱い方など、活かすための方法が編み出されたのだろう。
この記録をさらに伸ばしてくれることを期待したい。

大記録と言えば、先月(3月)、飼育25年めに突入した、沖縄美ら海水族館のジンベエザメ、ジンタだ。
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ジンベエザメの展示を行う施設は、海外まで含めれば結構あるような印象だが、それでもこんなに長く同一の個体を飼育、展示しているのは美ら海水族館だけ。
今回も自らが持つレコードを更新することになった訳だが、今後、この記録に追いつく施設は出てくるのだろうか? そんな風にさえ思えるくらいの大記録だ。
95年の飼育開始時に4.6mだったものが、現在は8.7mとなり、数年前には性成熟に達したことも確認されている。
つまり、現時点でもっとも正解に近い飼い方の結果であると言え、同じようにすれば、うまく飼える可能性が高いということでもある。

サメではないけれど、伊勢シーパラダイスのノコギリエイもとんでもない記録を更新中だ。
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今日の時点で飼育日数11529日め(31年半くらい)を迎え、未確認ながら恐らく世界記録だろう、とのこと。
余談ながら、伊勢シーパラダイスの魚類担当チームの誰よりも年長らしい(笑)
仙台のヨシキリザメと同じように、30年前に水族館にやってきた当時、飼い方が分からない中で色々なチャレンジがなされた結果、今日に続く記録へとつながった。
“たまたま生きちゃった”訳ではないのだ。

ノコギリエイはこの先、新たな個体の輸入が期待できないものとなってしまったこともあり、この記録がどこまで伸びるのかに注目すると同時に、いつまでも続いてくれることを願うばかり。

伊勢シーパラのノコギリエイも凄いのだけど、それ以上の記録を持つサメが1匹いる。
美ら海水族館で現在も飼育、展示が続けられているオオメジロザメだ。
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沖縄海洋博が終わった頃に搬入されたものが、今でも生き続けていて、飼育日数は今年で41年め。まさに美ら海水族館の生き証人とも言うべき存在だ。
ちなみに、この個体、美ら海水族館(当時は海洋博記念水族館)が飼育を手掛けた最初の個体である。
長く飼われているだけでなく、繁殖にも度々成功し、現在、油壷マリンパークで飼われているものも、この個体の血を引いている。
そもそも、オオメジロザメって何年生きるの? という疑問さえ超越するような記録だが、とりあえずとんでもなく凄いことは間違いない。
生き物なのだから、いつかは死ぬ日も来るのだろうけど、今なお新たな武勇伝が伝わり聞こえてくることを思うと、この個体に限っては、そんなことはないのかも? みたいにすら思えてしまう。

とりあえず、目指せ、50年、といったところかな?
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