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ロストチェンバー水族館の気になるエイ [エイ]

今週も引き続き、ロストチェンバー水族館の大水槽の話。

ロストチェンバー水族館の大水槽にはエイも沢山泳いでいた。
同じ種類を重複カウントしている可能性もあるけれど、ざっと見た限り、11種類。
オレの見立て通りなら、かなりの多さだ。

マダラトビエイやシノノメサカタザメなど、日本の水族館でもよく見られる種類もいる。でも、シノノメはともかく、マダラトビエイは白い柄が大きくはっきりしていて、その面積も大きい。別種なのか!? みたいに思えてしまうのだけど……
しかし、同じく水槽に沢山いたウシバナトビエイは日本で見るものとは違う種類だと思う。
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写真では分かりにくいが、とにかくデカいのだ!!
日本で見るウシバナトビエイというと、体の幅が1mくらいの大きさのものが普通で、それほど巨大なエイというイメージはないと思う。
しかし、ここの大水槽を泳いでいるものときたら、どれも1.5mはありそうな大きさ。
こんなデカいウシバナ、見たことない!!
気になるのはその種類。日本の水族館でも見られるRhinoptera javanicaではなさそうだが、FishBaseによると最大165㎝なんて書いてあるから、それならこれもあり得るのか?
泳いでいた個体はどれも、結構年季が入っていそうな雰囲気だったけれど、日本の水族館で10年以上飼われている個体でも、こんなサイズ、雰囲気のものは見たことがない。
サイズ的には最大2mになるというR.marginataが近そうだ。地中海産とのことなので、ドバイからもそう遠くないし……

日本で馴染み深いけれど、ウシバナ同様、見知ったものとは違う!? みたいな感じだったのはヒョウモンオトメエイ。
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サイズはともかく、明確なヒョウ柄の個体がおらず、どちらかというと細かいスポット状の模様のものが多かった。
ヒョウモンオトメエイというと、派手な印象があるが、ここで泳いでいたものは派手さは控えめ。むしろ、一般的なエイみたいな色合い。
細かいスポット模様のヒョウモンオトメエイというと、シーライフ名古屋にいるHimantura australisを思い浮かべるが、同種なのだろうか? 雰囲気は結構違っているように感じたが…… H.australisは1匹しか見たことがないので何とも……

ヒョウモンオトメエイもいくつかの種類が知られているけれど、これもまた未知の種類なのだろうか。それとも、老成するとこんな感じになるんだろうか?

未知なウシバナトビエイにヒョウモンオトメエイ。まるでシーライフ名古屋のエイ話みたいだが、もうひとつ。
日本ではシーライフ名古屋だけで見られるツカエイもいた。それも沢山!!
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次から次へと登場する見たことない魚の前に、茶色いエイまで気が回らなかったが、よく見るとヒラヒラした尻尾。ツカエイだった。
数も多く何匹いるのかは分からないくらいで、ここではまるで珍しくないくらいにはいる。
しかも、デカい!!
このツカエイに限らず、日本では珍しいけど、ここには沢山いる、みたいな魚も多く、そういう意味ではホント、気の休まらない(笑)幸せな水槽だった。

日本ではあまり気にしないのに、ここではやけに気になったのがトンガリサカタザメ。
数こそ多くなかったものの、この水槽では最大級の大きさで、かつ水槽内を循環するように泳いでいてくれるので、定期的に目の前に現れる、そんな感じだった。

気になった理由は、日本の水族館で見知ったものとはこれまた違った気がしたから。
2種類(タイプ?)いて、まずはトンガリⅠ。
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濃い茶色い体に、小さな白いスポットが並ぶ。
ここまでは日本の水族館でも見られるRhynchobatus djiddensisでも普通に見られる特徴だが、この個体はその白いスポットがきちんと2列になっていて、規則正しく並んでいる。
その整然とした模様の並びが気になったのだけど、こんなにきちんとした2列の白点を持つ個体を見た憶えはない。R.djiddensisとは違う種類だろうか?
はたまた個体差の範疇か?

気になるトンガリサカタザメ(トンガリⅡ)はもう1匹いて、こちらはサイズが上記トンガリⅠよりも大きい。
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さらに、模様は花びらみたいな柄が密に並んでいるが、規則性はなく、その色も薄い。
また、体色もトンガリⅠよりも薄く、こげ茶に対して黄土色、みたいな感じ。
体色はともかく、柄に関しては、こんな個体はこれまで見たことがなく、これまた見たことない種類? となった訳だが、家に帰って以降、Rhynchobatus属のエイたちをいろいろ画像検索してみるも、外見からはどれも同じようにしか見えず……
もしかするとこの個体も、R.djiddensisのカラーバリエーションのひとつ、なのかも知れない?

サメとかエイとか、外見から種類が分かりづらいものは、正体に辿り着きにくく、想像や妄想に近いのだけど、オレがやってることは研究や分類ではないので、それでもいいと思っている。楽しんでるだけなのでね。
でも、水族館から戻った後にも、これだけ楽しませてもらえたのだから、やっぱりロストチェンバー水族館は楽しかった!! という結論に尽きるのだけどね。
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シーライフ名古屋の気になるエイ(板鰓類) [エイ]

先週のブログでも書いた通り、シーライフ名古屋まで出掛けたのは“ここでしか見られないエイ”を見るため。
シーライフ名古屋では8種類のエイが展示されているが、そのすべてがスティングレイ・ベイというエイたちが主役の水槽にいる。
初めて行った時にも、この水槽にはツカエイとオーストラリア産のウシバナトビエイ(R.neglecta)という、他所の施設では見られない珍しいエイがいたが、1年半ぶりに見るスティングレイ・ベイ水槽は、それらのエイが大きくなっていただけでなく、かつてはいなかった多くのエイがひしめく賑やかな水槽になっていた。
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Rhinoptera neglecta オーストラリア産ウシバナトビエイ
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ツカエイ

以前からいた上記2種とリーフスティングレイ以外に、アカエイとカラスエイ、ヒョウモンオトメエイとオジロエイが追加されていて、それほど大きくない水槽はまさにエイだらけ。リーフスティングレイはこの水槽で殖えてもいるらしく、バックヤードツアーでは水槽産まれの幼魚たちも見ることができた。

今回の目的は、そのヒョウモンオトメエイとオジロエイ。
ヒョウモンオトメエイ? 見られる水族館、沢山あるだろ!? と思うだろう。
確かに、ヒョウモンオトメエイはあちこちの水族館で展示されている。でも、それはHimantura uarnakのこと。
シーライフ名古屋には2匹のヒョウモンオトメエイがいて、その内の1匹は他所の水族館でも見られるH.uarnak。しかし、そのもう1匹こそ、日本で唯一、シーライフ名古屋だけで見られるエイのひとつであるH.australisという種類なのだ。
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“一般的な”ヒョウモンオトメエイと比べると、柄が細かく、例えていうなら、ヒョウとチーターの差、みたいな感じ? 隙間なく柄が密に入るuarnak種と比べると、そこまで派手ではないような印象だ。
ただ、見た目で明らかに“見たことない”ヒョウモンオトメエイだということが分かるし、見やすい位置にも来てくれるので、エイ好きなら確かな満足感が得られるはずだ。

そしてもうひとつの珍エイがオジロエイ。
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その名の通り、尾が途中から白くなっているのが特徴のエイ。
ごくごく標準的なエイらしい色、形をしているが、そこから伸びた白い尾が“変わってる”感を醸し出している。
かつて、本に載った写真を見たことがあったけれど、尾が白いことなんて、実物を見て初めて知った。
日本近海にはいない種類なので、見られるのはシーライフ名古屋いる1匹だけという、これまた大変珍しい種類だ。
姿形もエイらしいが、性質もいかにもエイらしい陽気さで、見えやすい位置に出てきてくれるだけでなく、よく動き回るので見ていても楽しい。

よく動くエイたちは、見えやすい位置にもひっきりなしに来てくれるのだけど、床から立ち上がった水槽なので、エイたちがいるのは床とほぼ同じ高さ。
珍しいエイたちをじっくり見ようと思うと、必然的に水槽前にしゃがむ必要がある。
そして、水槽上部はオープンになっているので、人が水槽に近づくと、ウシバナトビエイとカラスエイが集まってきて水面付近でバシャバシャやるものだから、結構水が飛んでくる。
その飛んだ海水が滴った跡、新しい水滴、そして沢山のエイたちがひっきりなしに砂を掻きまわすので濁りもそこそこ。さらに水槽のアクリルはラウンドしている。
そして、エイがいるのは床と面位置。
つまり、かなり写真は撮りにくい。

今回このブログのタイトルが気になるエイだけでなく、板鰓類とカッコ書きしてるのは、サメの話もしたいから。
上記のエイと同じく、オーストラリアからやってきた、日本でここだけのオグロメジロザメがいたから。
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実はこのオグロメジロザメ、お隣、レゴランドのアトラクションで以前から展示されていたそうで、サメを見るためだけにレゴランドに入園したという強者もいたらしい。
でも、この2匹がシーライフへと移動になったことで、オグロメジロザメに会いたいだけのサメファンがレゴランドに入園する必要がなくなったという訳だ。
ちなみにオレは、アトラクションにオグロがいることは知っていたけれど、シーライフに移動していたことを知らず、何ともラッキーな遭遇となった。

オグロメジロザメは、TVや動画などで海外の海中が映るような場面では、必ずと言っていいくらいに登場する種類で、メジロザメ類としては生きた姿を(映像などで)目にする機会は多いのだけど、日本近海に生息していないからなのだろう。日本の水族館では稀種で、10年くらい前にしながわ水族館で展示されていた以来。

吻、というか、口から先の頭部が長いような印象の顔つきは、同居のツマグロとはまるで違っていて興味深い。

オグロメジロザメに、エイが4種類。日本でここだけの板鰓類が5種類。その手の魚が好きな人なら、それだけで行く理由になる、ではないだろうか?
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お姫さまのお成り@沖縄美ら海水族館 [エイ]

ヒメイトマキエイを見に行ってきた。
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例によって? 輸送や飼育が難しく、これまでなかなか実現しなかった展示がようやく実現した。
捕獲後の畜養や輸送方法、餌付けの方法などに工夫を重ねたことで、水槽での安定した飼育に成功。
文字にするとたった50文字ほど。しかし、そこに至るまでに多くの苦労を伴っていることは言うまでもなく、そのお陰でまた、未知の珍魚の生きた姿を見ることができた。
公式発表されたのは10月に入ってからだったが、水槽に搬入されたのはそれより2ヵ月ほど前だったらしい。つまり、現時点で既に4ヵ月ほど展示されており、そこからも色々うまくいっていることが分かるだろう。

美ら海水族館へは昨年12月にもMobula属の最大種、オニイトマキエイを見るため出掛けたが、その1年後、今度は最小種に会うために足を運ぶことになるなんて、何だか運命的!?(笑)
でも、搬入後すぐに駆け付けたオニイトマキエイの時と違って、今回は4ヵ月も経ってから。実物を見た今となっては、もっと早く見ておけばよかったと少し後悔。
想像していたものとは違っていて、大きな驚きもあったから。

初めて水槽を泳ぐヒメイトマキエイを見て思ったこと。

“小さい!!”

とにかく小さくて、2匹いる内の小さい方は体盤幅1mくらいのサイズ感。
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あの大きな水槽ではすぐにその姿を見失ってしまうくらいに小さい。でも、その小ささがまるでおもちゃみたいで、何とも可愛らしい。
ヒメイトマキエイは日本近海に生息するイトマキエイ属の最小種だが、だからといってここまで小さい訳じゃない!!
成長すれば2m程度にはなるらしいので、展示個体も倍くらいには成長するようだ。
2m!! デカいじゃん!! と思うかも知れないが、ナンヨウマンタなら産まれた直後でもほぼその大きさ。そう考えると、小さいのかも? みたいな気がしてこないだろうか?

それはともかく。

形は思った通り、イトマキエイによく似ていた。でも、目がもっとパッチリしているようで、それも可愛く見える要因かも知れない。
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イトマキエイはいつも頭鰭をしっかり巻いて泳いでいたような印象があるが、ヒメは時々ダラリとすることもあったり、イトマキエイがよくやる“バンザイ”(左右のヒレを上に向けて漂うような泳ぎ方)はほとんどやらない。
この辺りは個体のクセや好みもあるだろうから、一概には言えないけれど、やっぱり違う種類なんだなぁ、と実感させてくれる。
最大の違い? は、体色だ。
体表に艶があるというのか、光を反射してちょっとメタリックに光る。イトマキエイはこんなにピカピカしていない。
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そして、その体色も上から見るとちょっと赤みがかっているような印象だったのも意外だった。

これがヒメイトマキエイなのか~!! と、その美しさに浸っていると、知ってる飼育スタッフ氏に、

“餌食べるところを是非、見てみて欲しい”

イトマキエイと同じ感じじゃないの? とか思いつつも、わざわざそんなことを言ってきてくれるくらいだから、何か違うのかな? くらいの感じで給餌の時間を迎えると……

何これ!! スゴイ!!

結論から先に言おう。ヒメイトマキエイを見に美ら海水族館まで行く人は、その摂餌シーンは絶対に見るべき。
イトマキエイともマンタとも違う、ヒメならではの食べ方を見せてくれたから。

餌が投げ込まれると、その塊に向かって突進するというのがその食べ方。
文字の説明では、他種と変わらないのだけど、餌に向かって突進する時の加速がまるで違う。
イトマキエイやマンタが常識的な(想像できるくらいの)加速だとしたら、ヒメのそれは、まるで輪ゴムで弾いたみたいに、一気にダッシュする。
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それを水面でやるものだから、下から見上げていると、水面に石を投げる水切りみたい。
マンタやイトマキエイが見せるその場でグルグル回りながらの摂餌は見せず、ひたすら急加速で餌に突っ込んでいく。
でも、時々、餌の位置とちょっとずれた場所に突っ込んだりと、それほど効率がいいようにも思えず、辺りには食べこぼしも多数。
それを覚えたマンタが、ヒメの後について泳いでいて、大きな口を開けてその食べこぼしをさらっていく。あらためて、マンタの学習能力の高さも垣間見えた。
一連の摂餌シーンを動画で撮ろうと思ったのだけど、遠さ、速さの2つに阻まれ、ロクなのが撮れず断念。

ただ難点があって、この摂餌シーン、少々見にくいのだ。
ヒメの給餌は、大水槽の正面、奥側で行われる。正面のアクリルパネルのちょうど対面の位置。直線で27m離れた場所なので、正面からはほぼ見えない。
もっとも見えやすいのは、2Fの美ら海シアター。その次が水槽横カフェ、オーシャンブルーの指定席1番かなぁ? 1番席は強いて言えば、のレベルだけど……

是非、実際に見に行って驚いてみて欲しい。
少なくとも、摂餌シーンのインパクトは、オニイトマキエイよりもスゴイから!!
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鬼、来たる!! @沖縄美ら海水族館 [エイ]

オレの長年の憧れにして、夢の魚のひとつでもあったオニイトマキエイ。
沖縄美ら海水族館で昨年11月16日より展示が開始され、夢がまたひとつ、叶ってしまった。
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昔から、何となく俗っぽい感じがするように感じていた“マンタ”という呼び名が好きじゃなかった。
反面、和名の“オニイトマキエイ”はカッコよく感じていて、好んで使っていた。

しかし9年前、マンタが実は2種類で、美ら海水族館やアクアパーク品川にいるものはManta alfrediという種類であることが発表され、新しい和名として“ナンヨウマンタ”が提唱された。
その時点で、知っていると、見たことがあると思っていたオニイトマキエイは未知の魚となり、好きこのんで使っていたオニイトマキエイという呼び名も使えなくなってしまった。
余談だが、そのMantaの属名もMobla属に統合され、今やその属名を持つエイはいなくなってしまったのだけど……

どんな魚なんだろう!?
オレの知ってるマンタ(ナンヨウ)とは何がどう違うんだろう?
できることなら、生きた姿を見てみたい……

好きな(興味のある)魚だけに思いは募る。
しかしそれが、外洋の、それも海外の住人である、という情報を目にして、“オニ”への思いは、次第に心の片隅で小さなものへと萎んでいった。

しかし、2014年、心の片隅にしまい込まれた、未知の魚への思いが再燃し始めた。

美ら海水族館の大水槽前で、マンタをワッチしていた飼育スタッフ氏にいろいろ聞かせてもらっていた時のことだ。
「オニイトマキエイをやってみたいんですよね」というひと言がきっかけだった。
そのスタッフ氏は実物も見たことがあって、搬入を前提とした移動にチャレンジしたとも話してくれた。
そんな話を聞いて、のけぞるくらいに驚いたと同時に、これは見られるかも知れない…
“夢”が“希望”へ、ほんの少しだけ現実味を帯びたような気がした。

その翌年の末、オレを心をざわつかせるようなニュースが飛び込んできた。
全身真っ黒のマンタが搬入されたのだ。
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今も展示が続けられているブラックマンタだが、オニイトマキエイは腹面の模様に特徴的なパターンがあるが、腹面全部が黒い個体なら、もしかすると“オニ”の可能性があるかも知れないと思ったからだ。
しかし、結果はご存知の通り、ナンヨウの黒い個体。
夢なんてそんな簡単に叶うものじゃないとは思いつつも、その直後にホオジロザメの生体を目にする機会を得て、これはオニも見られる日が来るかも知れない……

ブラックマンタの搬入から2年半後、そんな思いは、さらに確信へと近づいた。
美ら海水族館の生け簀にオニイトマキエイがいるらしい、という噂を耳にしたのだ。
それが本当なら、とうとう夢が叶う。あとはそれが無事に水族館の水槽に移送されることを願うのみ。
いつ移送がなされるのかも分からないまま、夢が叶う日を待ちわびる日々。
そして11月27日、ついに発表された。オニイトマキエイが水槽に搬入された、と。
それはもう行くしかないだろう。オレは沖縄へと飛んだ。

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水槽を泳ぐオニイトマキエイ。死ぬまでに叶えたい夢のひとつがクリアされた瞬間だった。

色、姿形、そしてサイズ感。そのすべてが、元から大水槽にいたナンヨウマンタに思った以上に似ていたが、それでもひと目でそれが夢の魚であることは分かった。
背中側の白い模様がナンヨウよりも大きく、くっきり際立っていて、その白さで“あれがオニだ!!”と瞬時に気づくことができた。
写真などで見て感じていた頭鰭の長さも、やっぱり長い気がする!!
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水槽に搬入されたオニイトマキエイは4.6m。
大水槽にいたナンヨウマンタの最大個体は3.6mなので、1m大きく、水槽最大。
しかし、あんまりその大きさを意識させられなかったのは、オニイトマキエイのヒレの形にあったのだろうと思う。

先に行くにしたがって細長く伸びたような形状で、航空機風に言うなら、主翼のアスペクト比はナンヨウマンタよりも大きい。緩やかに先細るヒレは、ボーイング787の主翼のよう。
もしかすると、同じ大きさのナンヨウマンタと同じ速度で泳いだ場合、オニイトマキエイの方がカロリー消費量(≒餌の量)が少なくて済む、なんてことがあるのかも!?
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その長い主翼を広げて、水中を滑空するのかと思いきや、柔らかく波打たせるような羽ばたきで、そこに擬音を当てるなら“ふわん”とか“ひらり”みたいな感じ。
ナンヨウマンタの羽ばたきの方がよっぽど力強さを感じさせる。
どうやら、その“ふわんふわん”した主翼の動きが血液循環にも影響しているらしく、そのことがオニイトマキエイの移動の難しさにもつながっているのではないか、と聞いた。
そこまでやるの? みたいな輸送作戦は、TVでも全国放送されたから、見たという人もいるかも知れないが、その輸送はナンヨウマンタとは比較にならないくらい困難なのだそうだ。

ずっと眺めていると、よく似た両者の様々な違いに気付かされる。
ここまで似ていることも、実物を見比べられたからこそ分かったことのひとつだけれど。
そうしたディティールのひとつひとつが、夢が叶ったんだ、という実感を高めてくれる。長いヒレがふわりと羽ばたく度に、喜びがじわじわと溢れ出てくるようで、あらためて水族館ってありがたいなぁ、と思わされた。
何しろ、沖縄周辺では稀少種なことに加えて、きわめて困難な輸送を乗り越えたなど、いくつものラッキーが重なったからこそ叶った夢だからね。

動画


長年の夢が叶ったのは、奇しくもクリスマスの直前。
行ったタイミングがたまたまそこだっただけの話ではあるんだけど、オレにとっては、間違いなく最高のクリスマスプレゼントだった。
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イトマキエイ展示開始@沖縄美ら海水族館 [エイ]

沖縄美ら海水族館の大水槽では、昨年10月頃から、イトマキエイ(モブラ)を展示している。
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美ら海水族館ではこれまでも、イトマキエイの搬入、展示が何度か行われていたようなのだけど、いずれも長期飼育にはつながらなかったのか、少なくともオレは1度も(美ら海水族館では)見たことがなかった。

イトマキエイの飼育、展示を行っている海遊館で聞いた話では、輸送が難しいそうで、生かして水族館まで運べても、その後、餌を受け付けなかったりして、長期間の飼育に結びつけるのが簡単ではないらしい。
美ら海水族館でも、それまでとは違う輸送や、餌付けの方法が編み出されたことが、今回の展示につながったのだろう。

と、ここまではオレの推測だけど、展示されている水槽からは“何があっても成功させる”みたいな気概? が感じられるのだ。
と言うのも、大水槽で展示されている多くの魚種の内、そのいくつかが見当たらないのだ。
これまで、いつ行ってもいたはずの、言わばレギュラーメンバーが、である。
これも、イトマキ対策らしいのだ。と言うのも、大水槽で泳いでいるイトマキエイはかなり小さな個体なので、大きな魚が数多く泳ぐ大水槽では、捕食されることはなくても、ちょっかいを出すようなヤツもいるかも知れない…… というワケで、その可能性がありそうな魚たちはすべて移動されたというほどの念の入れようなのだ。
そんな至れり尽くせりな待遇に気をよくしてなのか、大水槽の中を機嫌よさげに泳ぐ様子を見ることができる。
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それを眺めていると、綺麗だなぁ~、可愛いなぁ~ とニヤけてしまうのだけど、いかに綺麗で可愛くて、いつまでも眺めてたくなる…… としても、それだけじゃ驚けないのである!!(なんか無理矢理・汗)
だって、イトマキエイは海遊館でも見ることができるし、そのお陰でオレは何度か見たことがあるからだ。

でも、美ら海水族館にはそこならではの、イトマキエイの楽しみ方ができるのだ。
それは、今回の展示で初めて可能になった、マンタとの直接比較。
かつて海遊館でも同じ水槽で2種類が展示されていたことはあったけれど、水槽が仕切られて、それぞれ別の場所にいたので、直接見比べることはできなかった。
オレはどちらの種類も見ているけれど、同じ水槽でじっくり見比べたのは初めて。意外なくらい違いがあることを発見できたことが面白かった。
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すぐに分かるのが、泳ぎ方の違い。
イトマキエイは鰭を上に向けたバンザイ状態で漂うように泳ぐことが多いけれど、マンタはほとんどそれをしない。
また、頭鰭をダラリとしたまま泳いでいることが多いマンタに対し、イトマキエイは常にきちんと巻いた状態で泳いでいて、頭鰭を開くところはなかなか見られない。
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イトマキエイ(開いた瞬間)
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マンタ(ブラック)

また、マンタは連れ立って泳いだりすることがよくあるのに、イトマキエイとランデヴーすることはなく、逆もまた然り。
人の目にはよく似た姿形の両者だが、当のエイたちにとっては他人であることをきちんと認識しているようなのだ。

先週のブログで、11時半からの水中給餌の話をしたけれど、そこでは両者の異なる餌へのアプローチの仕方を見ることができる。
マンタは餌に突進すると、その場でグルグル宙返りを始める。だが、イトマキエイはというと、勢いよく突っ込んでくるまでは同じなのに、その場でグルグルすることはなく、そのまま通過していき、再アプローチする…… みたいな感じ。
身体能力的にはグルグルもできそうなのに、それをやらないのはそういう習性なのか、はたまた、自分よりはるかに大きなマンタに遠慮してなのか。
これはまた次の機会に、じっくり観察、だな。
とは言え、エイの人気は、例えそれがイトマキエイやマンタとは言え、サメほどの人気はないから、こんな楽しみ方ができる人は、そう多くないのかも知れないけれど……

まだ飼育、展示が始まって日が浅いし、小さな個体が1匹展示されただけなので、何とも気が早い話だけれど、将来的な繁殖や、複数個体の群泳、あるいは同属他種の搬入なんかにも期待してしまいたくなる(笑)
似たような形をしたマンタでは、飼育、展示だけでなく、現在はストップしているけれど繁殖にも連続成功しており、大水槽には水槽産まれの個体が泳いでいるし、他にも珍しい黒色個体(ブラックマンタ)の展示など、とんでもない実績を持ってる美ら海水族館だからこそ、期待しちゃうのである。

自然さながら マンタの回転給餌@沖縄美ら海水族館 [エイ]

今さらですが、あけましておめでとうございます!!

携帯サイトとの棲み分けの難しさから、あるいは苦労して撮った写真をパクられまくるのにうんざりしていたりと、ブログの更新を長らく休止していました。
このまま止めてしまおうかなぁ、なんてことも考えたりしたのですが、更新を待ってくれてるようなことを言ってくれる人が、意外にもいてくれたりして、そんな声に後押しされ? 久しぶりの更新。
何だか調子づいてますなぁ、我ながら(汗)

久しぶりの更新だけに、一発目はやっぱり美ら海水族館のマンタの話だろう!! という訳で、その話。

水族館や動物園の話題がメディアで扱われる時、しばしば聞かれるようになった言葉が「行動展示」というフレーズ。
その生き物が本来持った能力を見せる展示のことだが、水族館でもそんな展示を行う施設が増えているような気がする。
例えば、美ら海水族館のジンベエザメの垂直採餌なんかはまさにそれ。
そこに加えて、マンタでも自然下さながらの摂餌シーンが見られるようになったのだ。
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美ら海水族館のマンタの給餌は、ジンベエザメに給餌が行われる15時と17時の前後に行われている。
だがそれは、水槽の両端で柄杓を使い、水面に餌を流すようにして与える飼育下ならではの給餌法。水槽出口側のアクアルーム(トンネル状になった部分)から見上げれば、その様子を見ることができるが、それは別に驚くようなものじゃない。

マンタは泳ぐ勢いを利用して餌を口の中へと押し込むので、餌の密度が高い場所では、その場に長く止まりつつ、かつ、餌を効率よく口へと押し込むため、その場でグルグルと宙返りを繰り返す。
エアーレーションなどの泡に向かって、グルグルする様子は水族館でも見られることがあったが、グルグルしながら餌を食べる様子はこれまで見ることはできなかった。
そこで、飼育スタッフ氏たちは考えたらしい。どうにかしてマンタ本来の摂餌シーンを見せられないものかと。

そこで考案された結果が、11時半から行われている水槽解説で披露されている。
勢いよく水中へと突き出される棒の先に、餌の入った袋が付いていて、それが水中で傘が開くように開き、中の餌が水中へ撒かれる。
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餌は一気に水中へと広がらず、しばらく密度の高いまま漂っているので、そこに水槽の中で暮らすマンタたちがその場へ急行し、一斉にグルグルと宙返りを始める。

ひところに4匹ものマンタが集まってきて一斉にグルグルし始める。しかも、その他の個体を避けながら、器用に、しかもすごい勢いでグルグルする様子は、海での生態を知っていようといまいと、素直に“凄い!!”と思える。
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動画


ここで興味深いのは、グルグルするマンタに対して、イトマキエイ(モブラ)はグルグルしないこと。
美ら海水族館の大水槽には、現在、イトマキエイも泳いでいるのだ!!
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よく似た両者なのに採餌スタイルは違っているようで、餌に対して勢いよくアプローチするまでは同じなのに、モブラはグルグルはしない。そんな違いが目の当たりにできたことも、個人的には大きな収穫だった。
イトマキエイの話については、この次のブログで!!

ただ、ひとつ問題? があって、このマンタの給餌が行われる水槽前解説が11時30分から始まること。
11時から始まる、オキちゃん劇場のイルカショーの初回と時間が被ってしまうのだ。
イルカショーが終わってすぐ、慌てて大水槽の前まで戻ってくればギリギリ間に合うか? 時間に余裕がある人はイルカショーは次回(13時~)を見に行ってもらうことをオススメしたい。だって、マンタのこの給餌は、11時30分からの給餌解説の時だけだから。
バスツアーとかで、時間に限りがある人には、どちらを取るか悩ましいところ、かも知れない。

個人的にはオキちゃん劇場のイルカショーも見逃して欲しくはないけれど、マンタの摂餌シーンは一見の価値大ありだから、時間がない人は、覚悟を決めてダッシュ、かな?

イトマキエイ 再来@海遊館 [エイ]

少ないとは言え、国内2カ所で見ることができるマンタに対して、13年2月以降、見ることができなかったイトマキエイ。
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似たような形をした両者だが、水族館の水槽でも繁殖まで実現したマンタとは違い、イトマキエイは飼育、展示が実現したこと自体が奇跡、みたいな飼育の難しい魚である。
海遊館では高知の定置網に入網した個体を、以布利センターで馴致し、大阪へと運ぶというチャレンジをこれまで何度か行っている。
それが成功したのが08年から13年2月まで飼育、展示がなされていた個体。長期飼育、展示を成功させた世界唯一の例だ。
以降、以布利での飼育に成功しても、大阪への輸送ができない、というのが何度かあった。
その中にはオレが失意のドン底に突き落とされることになるタイワンイトマキエイも含まれている。それだって、輸送にこそ失敗しているけれど、飼育には成功していたのだから。
そんなイトマキエイ(Mobula)属の飼育に関するノウハウと実績で他館を大きくリードする海遊館なのだけど、またまたやってくれた!!
11月12日、2匹のイトマキエイが搬入され、展示が開始されたのだ。
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その時点で知っていれば、ニフレルに行った時に駆けつけたのだけど、オレが知ったのは11月も末頃になってから。
何となく眺めてたtwitterで「海遊館行きました~」みたいなつぶやきのジンベエザメ画像の背景に、イトマキエイの姿が。日付は今年。
慌てて海遊館に問い合わせてみたら、公式発表はまだですが、展示はしています、とのこと。というワケで、再び大阪へ行くハメに。

今回搬入されたのはオスとメスがそれぞれ1匹ずつの2匹。
驚いたのはその小ささ。いずれも体盤幅1.5mほどの幼魚で、その姿を見つけた瞬間、思わず「小っさ!!」と声を上げてしまったほど。
感覚的には、大きめのウシバナトビエイくらいのサイズ感。
恐らく、産まれて間もない個体なのだろうと思うのだけど、このサイズの個体が複数匹獲れたということも驚きだ。
高知周辺にはイトマキエイが多く生息しているのだろうか?

大阪にやってきたこの2匹、水槽にすっかり順応しているのか、とてもリラックスしているように見える。
あまりに小さくて、クラスパーの有無もはっきり確認できなかったのだけど、オスと思しき個体がより小さく、同じ場所でグルグルと回っていることが多かった。
少し大きいメスと思しき個体は、水槽内を広く回遊し、アクリルパネルの前にもやって来る。ここに掲載している写真は、そのメス(と思しき)個体のものだ。

すっかり見慣れた感のあるマンタとは違い、これまで数えるほどしか見たことがないイトマキエイ。似ているような両者だが、こうして眺めていると随分印象が異なることに気付かされる。
例えば、泳ぎ方。
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イトマキエイはヒレを上に上げたバンザイ状態で漂っていることが多かったのだけど、マンタはそれをしない。
また、マンタの頭鰭は大きいからか、ダラリとさせたままでいることも多いのに、イトマキエイはいつもしっかり巻いていて、開くことがほとんどなかった。だから、ヒレというよりも、角のように見える。
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また、体型もマンタよりも頭が小さく、前に向かって狭まっているので、より華奢な感じ。
白黒メリハリのはっきりした体色と相まって、マンタよりエレガントに見える気がするのは贔屓目か。その体色も、個体差が大きいマンタと比べると、どの個体も同じような色をしているような気がする。

マンタに比べて水槽に順応しにくいというイトマキエイだが、少なくとも海遊館の2匹に関しては、ホントにそうなの? と思ってしまうほど、どこかにぶつかったり、体を擦ったりすることもなく、優雅に泳いでいた。
もちろん、そうできるのも、海遊館のノウハウがあってこそ、なのかも知れないけれど。

今回はその小ささを活かして、輸送方法をこれまでとは違う方法で輸送したのが功を奏して、非常に状態よく運べたようだ。
いずれにせよ、これだけ小さな個体であるからして、この先の成長を見ることができるというのもありがたい。
定期的に大阪に出掛ける用事ができた、ということかも知れないなぁ(笑)

動画
https://www.youtube.com/watch?v=GsRrR_4pFtg

小さいエイつながり? 8月末にはいなかったものすごく小さなシノノメサカタザメも大水槽に仲間入りしていた。
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サンシャイン水族館のシノノメサカタザメ・成長記録 [エイ]

久しぶり、と言っても半年ぶりだけど、サンシャイン水族館に行ってきた。
12月だから、という訳でもないのだけど、中途半端に時間がなく、月も半ばになって、ようやく行けた水族館がサンシャイン水族館だった。

いつものように、カメラ片手に館内とお気に入りの魚たちを眺めて回っていたら、ラグーン水槽の主たるシノノメサカタザメの成長ぶりに驚いた。
こんなに大きかったっけ!? って。
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2014年12月

この個体がサンシャイン水族館へとやってきたのは2011年8月のリニューアルオープンの時。もう3年半くらいになる。
大きくなるのも当たり前の話ではあるのだけど、いつも小さいイメージがあったせいか、見る度に大きくなっていて驚かされてしまうのだ。

ちなみに、3年半前、2011年8月、リニューアルオープン直後の時はこんな感じ。
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当時はまだ50㎝くらいしかない、恐らく産まれて間もない個体。
成魚には見られない柄もハッキリしていて、頭ばかりが大きいアンバランスさが可愛らしかった。ちょっとカブトガニっぽい?

サンシャイン水族館でシノノメサカタザメを飼育、展示するのはこの個体が初めて。
また、1日も早く水槽の“顔”へと成長させるため、その当時、話を聞いたスタッフ氏は「食べるだけ餌を与えています」と言っていたのを憶えている。
その効果か、リニューアルオープンから3ヶ月後、2011年11月には早くも少し大きくなってた。
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2011年11月

そこからさらに4ヶ月後の2012年3月。水槽の主としての風格を身に付けつつある?
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上の写真からさらに1年半ほどが経過した2013年8月。見た目はかなり立派になってきて、サイズも1.3mほどにはなっていただろうか。
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水槽内での存在感はもちろん、同じ水槽のトラフザメやヒョウモンオトメエイと進路が重なっても避けることはなく、態度? も水槽の王者になってた。

そして最初の写真へと至る訳だけど、シノノメサカタザメのフルサイズは3mオーバー。
つまり、今はまだ成長過程で、この先もまだまだ大きくなっていくはずなのだ。
ラグーン水槽は視覚的効果で実際の大きさよりも大きく見えるようになっているのだけど、このまま順調に大きくなると、そんな意図がぶち壊しになっちゃうのかも? と思う反面、そのくらい大きくなってくれればいいなぁ、とも思う。

それに会えるだけでも結構スゴイことなのに、その成長ぶりを追いかけるなんていう貴重な経験ができたのは、シノノメファンとしてはすごくラッキーなことだったと思う。
サンシャイン水族館には、このシノノメサカタザメの他にも、個人的に成長ぶりを追いかけてる魚が何匹かいるんだけど、比較的簡単に行ける水族館にそういう魚(生き物)がいてくれるというのは、ホント、ありがたい話。

この先もその成長ぶりを楽しみに、今後はもう少し足を運びたいと思う(笑)

マンタの出産 2013 本当の結末@沖縄美ら海水族館 [エイ]

11月23日、東京大学の弥生講堂で開催された「マリノサイエンスフォーラム 海獣三昧」という講演会に行ってきた。
“イルカとの会話”を目指し、認知機能の研究を続けておられる東海大学の村山司教授を中心に開催されているフォーラムで、イベント名の通り、海獣の話題が共通テーマとなっている。
今回の講演テーマは鯨類。登壇された話し手は全部で6名。それぞれが披露された話はいずれも大変興味深く、東京大学という、オレには何とも縁遠いところで開催されていたのも手伝ってか、フォーラム終了後は何だか賢くなったような気分に(笑)

先にも書いたように、いずれの話も大変興味深い内容だったのだけど、中でも、美ら海水族館の植田啓一獣医師の話は、いろいろな意味でとりわけ深く印象に残った。
植田啓一獣医師と言えば、先日死んだイルカのフジの人工尾ビレの発案者であり、その開発にも深く携わった人物として知られているが、現在は主に魚類を担当しているとのこと。
そのため、氏の話には鯨類だけでなく、魚類、それも板鰓類の話題が多く、披露された話、そして写真に、最前列で聴講していたにも関わらず、あっ!! とか おー!! とか、声を漏らしてしまったことも何度か…(汗)

そんな植田獣医師の話で、特に印象深かったのは、やはりマンタの繁殖について。
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死んだ母親個体。この写真を撮った2週間後くらいに…

このブログでも話題にしているが、2013年、それまで6年連続で繁殖に成功していたメス親が死んでしまった。
水族館の発表では、産後に死んでしまい、産まれた仔もその後、死んだとされていたが、実はそうではなかったらしいのだ。
結論から言うと、母親が死んだのは産後ではなく、仔も産まれた訳ではなかったのだ。

植田獣医師が公開した動画によると、出産を直前に控えた母親は突如、状態を崩し、泳ぎが弱くなり、まるで墜落するみたいに不安定に着底。すぐに仰向けになってしまい、素人目にも“もうだめだ”と思えてしまうような状態だった。
その瞬間を見るために、これまで毎年のように美ら海水族館に足を運んだ身としては、母親個体の死にゆく様子は、やはり何とも言えないものがあった。
まるで目の前でそれが起きているかのような、目の前で流れる動画。死亡を知った時の落胆が蘇ってくるようだった。

しかし、そこからが凄かった。
植田獣医師を始めとする数名の水族館のスタッフ氏たちが一斉に入水。今まさに事切れようとしている母親個体を観客から見えない位置へと運ぶと、植田獣医師が総排出腔に手を突っ込んで、胎内から胎仔を取り出すという荒技に出た。
タイミング的には産まれる寸前。もしかしたら胎仔だけでも救えるかも知れない。そんな思いで胎仔を引っ張り出す。
誰も経験したことがなく、もちろんデータもないチャレンジだ。
そもそも、マンタの飼育下での繁殖例自体、美ら海水族館の例しかないのだからね。

出そうで出てこない胎仔。辺りには溢れ出た子宮ミルクが煙幕のようにモワモワと漂う。
動画でしか見たことがないけれど、マンタの本来の出産は、まさに排出されるみたいな感じ。折りたたまれた仔魚は、フラフラと沈んでいきながら、思い出したみたいに左右のヒレを広げ、不器用に泳ぎ出すのだ。

しかし、苦労の末に引っ張り出された仔魚は、折りたたまれたまま動こうとしない。
植田獣医師を始めとするスタッフたちは、口を動かしてエラに水を送り込んだり、ヒレを広げて動かしてみたりと、生まれ出たことを気付かすべく努力を続けた。
プールの中で仔魚を抱き、ヒレを動かし続けること数時間。ようやく自発的な遊泳行動が見られ始めた。
取り出されて4時間ほどで、何とか泳げるようになったことから、育成用の生け簀へ。

でも、結果は残念ながらご存じの通り。
すぐに死んでしまったのだと思っていたんだけど、2日くらいは生きていたらしい。

フォーラム終了後、植田獣医師から直接話を聞くことができたのだけど、マンタの出産や繁殖等々、まだまだ分からないことばかりなのだそうだ。
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父親個体。現在は展示はされていないけれど、健在のはず。

何しろ、繁殖例は同一ペアの6回のみ。それだけあれば、と思ってしまうが、妊娠期間や繁殖スパンなどなど、すべてのマンタがそうなのか、それともあのペアだけがそうなのか、など、やはり複数の例と比較してみなくては、結論付けはできないものらしい。
そりゃあ、そうだよね。

植田獣医師は、様々な治療や処置など、マンタやジンベエザメなど大型の生物とやり取りのことを“戦い”と言っていたけれど、ここでしたマンタの話に関連する動画、そしてその他の動画を見ると、それが冗談でも何でもなく、本当に戦いなんだろうなぁ、と納得させられてしまった。

植田獣医師の話は、オレの特別興味のある内容だったので深く印象に残ったけれど、水族館のスタッフの人たちは、どこでも似たような“戦い”を繰り広げているのだろうと思う。

水族館ってスゴイよね、まったく。

沖縄美ら海水族館 マンタの話あれこれ [エイ]

2010年以降、沖縄行きの原動力となっていたのは、美ら海水族館のマンタの出産シーンを見ること、だった。
連続出産を成し遂げていた母親個体が昨年死んでしまい、その目的を失ってしまったというのは、以前のブログでも書いた通り。
昨年の時点で大水槽を泳いでいた5匹は、いずれも血縁関係があるのに加え、その内4匹は大水槽生まれの個体のため、年齢的にも若く、今後の繁殖計画はどうなってしまうんだろう? オレが貴重なシーンに遭遇する可能性はもうないかも知れない…
悲観的な気分になるばかりだった。

そして今年。オレが行くより1ヶ月半ほど前に行った友人によると、マンタが4匹とあった。
5匹いたはずなのに…
いろいろ気になって仕方がない。
そして今年の沖縄遠征。到着初日は水族館に行かない予定だったのに、時間的に行けそうだったので、1時間半ばかり。
オレを美ら海水族館へと導くのは、結局、いつもマンタだ。
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早速、大水槽に向かうと、確かに4匹しかいない。
しかし、昨年までいた個体とは違っているようで、少なくとも2匹は確実に変わっていた。
ちょうど、その場に飼育スタッフ氏がいたので聞いてみると、昨年までの個体とはやはり入れ替わっているそうで、その時からいる大水槽生まれの個体は1匹だけ。
それ以外の4匹は予備槽へと移動になったのだとか。
その理由は、もちろん繁殖を見越してのこと。以前の5匹は先にも書いた通り、血縁関係にあるため、そのまま同居を続けていると血が濃くなってしまう恐れがあるから。
つまり、将来的なこともいろいろ考えた上でのメンバーチェンジだったという訳だ。

水槽のマンタに目をやると、雄が雌を追い回すこともしばしば。
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交尾を終えると、それ以降、追尾することはあまりないらしいのだけど、このオスはかなりやる気があるらしい?

「あれなら、近い将来、繁殖もうまくいきそうですね」なんてスタッフ氏に投げかけると、「実は、今年、交尾が確認されてるんですよ」とそのスタッフ氏。
「!!!!!!!」
昨年までの母親個体の死亡で、見ることを切望していたシーンが再び見られるかも知れない、ってことだ。
目の前がパアッと明るくなったような気がした。
もちろん、来年見られるとは限らないし、見られない可能性の方がはるかに高いのだろうけど、飛び跳ねたくなるみたいな気分だった。
その後、今後の計画についての話をいろいろ聞かせてもらっていると、その会話の中で、「オニイトマキエイをやってみたいんですよね」

ちびりそうになった(笑)

オニイトマキエイもマンタの1種だが、美ら海水族館にいるナンヨウマンタ(Manta alfredi)よりも大型化するとされるM. birostorisのことである。
沖縄の近海なんかにはいないのかと思っていたら、定置網に入ることがあるそうで、しかも、展示を目指して水族館へ搬入したことがあるとのこと。
だが、展示されていないのは、捕獲されるものが大型個体であることも手伝ってか、同属でもナンヨウマンタより扱いが難しいらしい。
とは言え、それを見られる可能性はある訳で、いや、実際に見ることができないとしても、見られるかも知れない、という夢が見られただけでもラッキーだ。
だって、見られる可能性があるなんて、思いもよらなかったのだからね。
ただ、稀種であることは間違いないようで、話を聞かせてくれたスタッフ氏も「2回しか見たことないです」と言う。
でも、2回も見たことがある訳で、これは期待せずにはいられないよね。

ラッキーついで? に、5月にオレが失意のどん底に落ちる原因となったモブラ(イトマキエイ)についても聞いてみると、イトマキエイやヒメイトマキエイが定置網に入網することがあるそうで、こちらも展示に向けた取り組みを行ったことがあるとのこと。
こちらは餌付けが難しいそうで、いい状態で運べても、餌をなかなか受け付けてくれないらしい。
でも、こちらについては、オニイトマキエイよりも見られる可能性は高いのかなぁ? 話を聞いていて、そんな風に感じたのだけど…

話の内容がないようだけに、すっかり時間を忘れてしまい、宿の食事の時間を過ぎてしまった。後ろ髪を強烈に引かれながら、その場を後にしたのだけど、惜しむらくは、そのスタッフ氏の名前を聞いてくるのを忘れたこと。
オレの心を見透かすかのように、オレ好みな話題を次から次へと。心をがっちり掴まれた感じですわ(笑)まったくありがたい限り。

美ら海水族館では、出口前で「わくわくアクアラボ」という簡易的なトークショーが日に2回、行われている。
タイミングよくその近くを通ったので、話を聞いていくことに、お題は魚の給餌について、だった。
そこに出てきたのがマンタ用の給餌器。飼育スタッフ氏によって作られたものだ。
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長い竿の先に付けられた柄杓に、500~800gの餌を入れて、ひとりが2匹のマンタに給餌をするのだそうだ。ちなみに、水温が高く活性の高い今時期は、1匹あたり8㎏ほどの餌を食べるらしい。

マンタの餌やりは、エプソン品川アクアスタジアムで何度も経験しているし、水族館が違ってもやり方は同じ。だから、美ら海水族館でもやってみたいなぁ、なんて思ってた。
しかし、エプソン品川よりも水槽も個体も大きい。ヒレが壁に触れないよう、できるだけ壁から離れた位置で給餌したいと、竿はかなり長め。3mくらいあるだろうか?
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美ら海水族館の給餌風景。撮影したのは今年じゃないけど。

そこに1回分500gの餌(と同量の重り)を入れたものを持たせてもらったのだけど、端を持っていることもあって、数字からは想像もできない重さで、両手がプルプルしてくる。
その場で話を聞かせてくれたスタッフ氏によれば「重いですけど、女の子のスタッフもやってますよ」とのこと。
最初はフラフラしながらでも、だんだん慣れて(力が付いて)、できるようになるらしい。
でも、夏場の今時期の給餌量なら1匹あたり約15回。2匹でその倍。
やっぱりオレには無理そうだ…

と、マンタについていろいろ聞かせてもらうことのできた今回の美ら海水族館訪問。
話的には、これまででもっとも内容充実で満足感が高かった。
やっぱり、美ら海水族館って凄いねぇ… 結局はそのひと言に尽きるような気がしたよ。