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城崎マリンワールドの気になるあれこれ [鰭脚類]

最近、ブログであんまり生き物の話をしてないような気がするので、久しぶりに。
とは言え、城崎マリンワールドの水族館「SeaZoo」は、あまり魚の印象が強くなくて、記憶により強く残っているのは海獣が中心。
そういう意味では、海獣が主役の水族館、ということなのだろうか?

深さでは日本一の水槽があるけれど、中を泳ぐ魚は、その深さと関連付けられているような印象はなく、深さありき、なのかなぁ? と。
結局、SeaZooで一番いいと思った水槽は、この深い大水槽ではなく、深場のカニを展示した水槽だった。
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泥が敷かれた水槽の底にズワイガニなどのカニがいるんだけど、それがいかにも海底に佇むカニの姿をリアルに想像できるようで、この水槽いい!! と思わされた。
城崎マリンワールドの関連会社には「かに道楽」があるけれど、それだけにズワイガニの展示には力が入っている、ということだろうか?
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ほとんど動きがないズワイガニだけに、いつ見ても同じ位置にカニがいるほぼ動きのない水槽。そのため、ずっと眺めていたい!! とは思わなかったけれど……

結局、いちばん印象に残ったのは「Tube」にいたアシカと、「Dolphine Tank」にいたカマイルカだったような気がする。
イルカについては、2つ前のブログにも書いた通りなのだけど、今回はアシカ、それもTubeにいたトイくん(多分)。
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アクリルチューブの中を右へ左へ泳いでいたので、何気なく手に持っていた飲み物のペットボトルをかざしてみた。すると、思いのほか反応が良く、こちらの方を覗きに来た。
どうやら、好奇心旺盛なようだ。
だけど、手に持っていたものを色々見せてみるも、反応があったり、なかったり。
とりわけスマートフォンは、誰もかれもがやるのだろう。横目でチラリと見るだけで、一瞬でも止まってくれることはなかった。
ならば仕方ない。全国各地の水族館でイルカや鰭脚たちの心を虜にし続けてきた伝家の宝刀、カメラバッグのタオルを投入。
するとどうだ。上の写真のように心をつかむことに成功した訳だが、トイくんと遊んでいると、何やら視線を感じる。
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視線の方を見ると、アザラシも釣れてた(笑)
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ただ、鰭脚でもイルカでもそうだが、複数頭を集めてしまうと、1頭に対しての遊び方が散漫になるのか、すぐに反応が悪くなり、その場を離れてしまう。
1度離れてしまった個体は、同じアイテムで呼び寄せるのが難しくなる。
するとそこに、お土産のぬいぐるみを持った家族連れがやってきた。

オレのタオルに興味を失いつつあったトイくんは、すぐさまそちらへ。
オレのところに戻ってきてくれることはなかった。

余談ながら、このトイくん、だるまさんが転んだができる。
バックヤードツアーに参加して、ツアー中に出されたクイズに全問正解したことで、だるまさんが転んだを体験させてもらえた。
しゃがんだ状態で振り返ると、大きな眼でこちらを見てる顔がどんどん近づいてくる。
189㎝、100㎏ほどの体はオスアシカとしてはまだ小ぶりだが、同じ目線でそれを見ると少々怖いくらいには大きい。
噛まれたら痛いかなぁ? とかいう思いがほんの少し、頭の中をよぎる中、オレの背中にトイくんの大きな前脚が触れた。
バシッとくるかと覚悟をしていたのに、驚くほどソフトに、ソッと手を置く感じ。
ショーには出演していないけれど、しっかりトレーニングされた賢い子だった。

バックヤードツアーは有料だが、運が良ければ、こういう体験もできるらしい。
個人的には、DIVEのフロートよりそちらをオススメしたいと思う(笑)
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2015年最初のブログはトドの話 [鰭脚類]

明けましておめでとうございます。

12月は更新をサボっていたら、気付けば2015年になってた。
やってる自分でも驚きなのだけど、このブログを始めて今年で7年目にもなる。
我ながらよく続けてきたものだと思ってしまうね(笑)

このブログを始めた目的や意図はいろいろあったのだけど、開設当初から目標にしていたのが、水族館プロデューサー中村元氏の「ブログ水族館」だった。
今は水族館がテーマのブログもいくつもあると思うのだけど、7年前にはほとんどなくて、あったのかも知れないけれど、検索してヒットするのは中村さんのものばかり。それならそれをアクセス数で抜いてやろうじゃん!! とチャレンジを開始。
そしてそれから6年半。ようやくブログ水族館のアクセス数を抜き去ることができた。
超多忙な中村さんは、ブログの更新どころではなく、今や何かの告知でもない限り、ほとんど更新はなく、実質休止中みたいなもの。
それでもそのアクセス数を抜くのにここまで掛かってしまったのは、中村ブランドの凄さ、なのだろうね。オレがだらしないだけかも知れないけど…
超個人的なものとは言え、ひとつの目標をクリアしてしまったからなのか、更新意欲が湧かず…、というのが12月にほとんど更新しなかった理由(汗)

でも、今年もいろいろ水族館に行く計画だけはしているので、引き続き、よろしくお願いします。

新年最初の更新は、昨年12月に行った鴨川シーワールドの話。

昨年(2014年)11月4日に千葉の海岸で保護されたトドの話を憶えているだろうか?
打ち上げられるくらいだから、衰弱していた訳だけど、シーワールドで適切な治療を受けた結果、状態が回復。12月6日にその他のトドたちが暮らす飼育プールへと移された。
そんなニュースを聞いて、それを目的に出掛けた訳ではなかったものの、見てみるのを楽しみにしていたのだ。

トドプールへと行ってみると、いた!!

保護されるような個体だから、もっと小さい(若い)個体なのかと思っていたんだけど、思っていた以上に大きい。大人のメス。
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しかも、結構な美人(美トド)じゃないか!!

餌を食べるようになって痩せていた体も随分復調し、保護時から100㎏くらい増えて、現在は250㎏ほどになっているのだとか。

他のトドに遠慮しているのか、プールの端の方でおとなしくしているんだけど、この個体も、元からいた個体たちも、さほどお互いを気にする風でもなく、それなりに仲良くしていそうな感じ。

トドを見るなら、どこよりもおたる水族館!! と断言するけれど、美しい遊泳シーンや、こんな水中でリラックスする様子は見ることができない。
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小さい仔トドも寄ってきてくれたし、これだけでも価値ある眺め、なのだろうと思う。

幸(さち)と名付けられた保護個体は、ダルマザメの噛み痕が少々痛々しいものの、そんな傷も治り掛かっているし、いずれその内、子を産んで、鴨川トドファミリーの一員になるのだろうと思う。
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それにしても、不思議な経験をしたトドだなぁ、と。
恐らく、北海道とか、それとももっと北の方か、そちらの方で産まれて育った個体が、何らかの理由で群れからはぐれ、調子が悪かったのか、はたまた能力的な問題か、餌を捕れなくなり、千葉の浜まで流され、生息地では命を狙われることもある人によって命を救われ、野生から飼育下へ。本来トドが住まう地域にはいないダルマザメに囓られる、なんていうのも、普通ならトドはするはずのない経験だ。
そんな不思議な巡り合わせで鴨川シーワールドへとやってきたサチを眺めつつ、人生って何が起こるか分からないものだなぁ、と何とも不思議な気分に(笑)

という訳で、これを見てくれている皆さんに、そしてオレ自身に、不思議で面白い人生の巡り合わせが訪れますことを…!!

トドを好きにならずにはいられない@おたる水族館 [鰭脚類]

2011年以降続けている“秋の北海道サケ遠征”は、千歳サケのふるさと館だけでなく、おたる水族館にも足を運ぶのが通例になっている。

サケと言えば、昨年、トドのショーでエースのモンキチがサケを丸飲みにするというパフォーマンス? を披露していたが、今年もそれを楽しみに出掛けた。
秋のおたる水族館でサケと言ったら、これなのである!!

海獣公園に降りると、ショーが始まるまでは、アザラシやトドたちを見て回る。
トドのプールを見ると、プールのボスであるガンタロウが何だか小さくなってしまったように見えた。痩せているし、どことなくみすぼらしい感じも。
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そんな様子に驚いていたら、それと対照的に、全身健康美みたいな若く立派なオスの姿が。
こんなに大きいオス、いたっけ? と思っていたら、何と、ソユンだった。時期ボス候補と目される個体だ。
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大きさはガンタロウとほとんど変わらず、その見た目は凛々しく、美しい。見た目にはすっかり世代交代といった雰囲気。
そこに知っているスタッフ氏が通りがかったので、いろいろ聞いてみると、「ソユンはこの1年でものすごく大きくなりました」とのこと。

一方、みすぼらしく見えたガンタロウの姿は、発情~換毛期を終えて、1年でもっとも痩せている時期なのだそうで、これから太って体型も戻っていくらしい。
とは言えガンタロウは20歳を越えた高齢。対するソユンは全身から漲ってるみたいに、若さ全開!!
長年ボスの座にあるガンタロウには失礼かも知れないけれど、このままでは若いソユンにボスの座から追い落とされてしまうのでは… と心配になってきてしまうのだ。
それを聞いてみると、やはり発情時期にはそういう心配もあるらしく、隔離するなどの対策がなされるとのこと。

そんな成長著しいソユンなので、プールの近くに行くと、「餌くれ~!!」と大声で叫んでくる。餌の魚を投げれば、誰にも譲らん!! とばかりに、その巨体が餌に向かって勢いよく飛んでくる。
この調子だと、次に行く時には、もっと大きくなってたりするんだろうなぁ。

トドプールのトドたち、というかソユンにすっかり見とれてしまったのだけど、おたる水族館でトドと言ったら、トドショーなのである!!
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スピード感と迫力の中に見え隠れするトドの可愛さが魅力のショーだけど、昨年まで基本的に4頭で行われていたものが、完全に6頭立てになっていて、その魅力がさらに高まった。
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6頭もいると、ジャンプ台からのジャンプも、お腹いっぱいなくらいに飛んでくれるし、逆立ちだって、6頭もいるとそれだけで“スゲェ~!!”となる。
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ショーに出演中の若い個体が、どれもモンキチ級の大きさに成長したら… そう考えただけでワクワクしてくる。

さて、おたる水族館で見たかったもののひとつだった、トドショーでのサケの丸飲み。
残念ながら今年は見ることができなかったのだけど、スタッフ氏に聞いた感じでは、どうやらここでもサケの少なさが影響していそうな印象。
ただ、計画はしているそうなので、これから先、見られるかも知れない。

今回のおたる水族館では、いつにも増して、海獣公園で長く過ごしたような気がする。
こんなブログを書くくらいだから、ショーを含めてトドを眺めている時間が長かったんだけど、オレ、こんなにトド、好きだったっけか? みたいに思うほど(笑)
余所の水族館ではここまで長く眺めていることはないんだけど…

本場であるということも関係ありそうだけど、やっぱりおたる水族館のトドは好きにならずにはいられない。
トドなんて、ウァウァ唸ってるだけのデカイだけの動物、みたいなイメージを持ってる人にこそ見に行ってみて欲しい。そんなイメージは180°覆されることになるはずだから。

ゴマフアザラシにビックリ@北陸3県の水族館 [鰭脚類]

以前のブログでも書いたような気がするのだけど、明確な目的を持たず、久しぶりの水族館に行くと、海獣類の印象が強く残る、そんな気がしている。
今回の北陸3県の遠征でも、やはりそうだった。
特別な目的があると、時間が足りずに見ないで済ませてしまうこともある海獣類だが、目的がなければ、それらをじっくり眺めることもできるし、寄ってきてくれるならそれと遊ぶ、なんてことができるからなんだろうなぁ。

越前松島水族館では、若いゴマフアザラシに遊んでもらった。
換毛が済んだばかりの、とても綺麗な柄をした個体。
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プールには何頭かいるというのに、1頭だけやけに愛想がよくて、アクリル面に近寄ってきては、手や持ち物、果ては人が動くときにできる影を追いかけてみたりと、とにかく反応がいい。
そもそもアザラシはあまり愛想がいい動物ではなく、そうだとしても、若い内のごく短い期間だけ。次に行った時にはきっと、相手にしてくれないのだろうと思う。
そういえば1年前に行った時、真っ白な毛に包まれた仔がいたけれど、年齢的にもその仔だったのかなぁ、と。
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同じ子かな? 確認はしなかったけれど…

翌日行ったのとじま水族館でも、これまたゴマフアザラシが強く印象に残ることに。

到着してすぐ、次から次へとやって来る遠足の子供らを避けるように、屋外のイルカショープールへ。
そこから館内へと戻ろうとした時、海の自然生態館の横で、アザラシのふれあいが行われており、開館間もない時間だったせいか、ほとんど人もいなかったことからフラフラと近づいて行った。
そこに出ていたのは、のとじま生まれのキュー。
彼には初めて見るスゴ技を披露してもらった。
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笑うアザラシ。笑うアシカはよくいるけれど、アザラシは初めて見た。
しかも、見ようによっては怒っているようにも見えるアシカよりも、より笑顔な感じ。
キューが笑顔を作る度、こちらもニヤリとしてしまう。
できればこれは、実際に見に行ってみて欲しいなぁ。
でも、近い将来、あちこちの水族館で見られるようになるんだろうなぁ、とも思ったり。

ふれあい担当? として客前まで出てくるのはキュー1頭だけ。
それ以外は自然生態館の水槽(アザラシ万華鏡)の中にいる。
フィーディングタイムにちょっとした技を披露してくれた。
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アクリルにチュー(笑)
技を見せてくれるのは2頭だけなんだけど、アクリルを隔てているとは言え、ほぼ目線に近い高さで目の前なので、なかなか見応えがある。
アクリルに隔てられているのがいいのか、2頭とも集中力が高く、外の観客を気にすることなくOKの合図が出るまでしっかり技をこなす。
目の前に大きなアザラシが横たわっているのだから、それなりに迫力があるのだけど、動きや表情が可愛くて、こちらも楽しませてもらった。

のとじま水族館の翌日は、富山の魚津水族館へ。
魚津水族館の話は、後のブログに続けるが、ひとまず先にアザラシの話だけ。
そこにもやはり、3頭のゴマフアザラシがいて、これまた楽しませてもらったから。
魚津水族館のアザラシプールは、越前松島水族館やのとじま水族館のものと比べると、一番こぢんまりとした、昔ながらの、といった雰囲気。
館内からも見られるけれど、外に出て、直接プールの前まで行って見るのがオススメだ。
プールの側まで行くと、3頭の中で一番若いマチコが近寄ってきて、顔を覗きにくる。
何度か見に来ると、もう来なくなってしまうのだけど、それはそれで可愛らしい。
魚津水族館でも給餌に合わせてちょっとした技を見せてくれるのだけど、魚津歴が長い順に1頭ずつ順番に行われる。
愛想はいいけれど、一番若く、魚津歴が短いマチコは最後。
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でも、一番の大技? を披露してくれた。

魚津のアザラシたちは、ハンドサインも出していたそうだけど、言葉による指示で種目をこなしていく。
言葉(だけではないのだけど)の指示でパフォーマンスするなんて、セイウチみたいじゃん!! とゴマフアザラシの知られざる能力を見たようで、予想外に? 驚かされた。

今回の北陸遠征では、イルカよりもアシカよりも、アザラシに驚かされ、楽しませてもらった。
そのお陰で? 今回の遠征の印象はというと、ありふれたゴマフアザラシがその1/3くらいを占めているような気がするよ。

鴨川シーワールドの気になる鰭脚類 [鰭脚類]

今(少し前?)の鴨川シーワールドでもっとも注目すべきベビーと言ったら、やはりワモンアザラシだろう。
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ワモンアザラシの飼育下における繁殖例はきわめて少なく、世界中でたった2例しかない。その2回目というのが、今年の2月17日、鴨川シーワールドでのことなのだ。
余談だが、今回の鴨川の繁殖例以前、つまり世界で唯一の繁殖記録を持っていたのは、北海道のおたる水族館なのだ!!

ワモンアザラシの仔と言えば、真っ白な毛に包まれた、それはそれは可愛い姿をしているが、アザラシの新生仔の成長は速い。オレが行った3月末には、すっかり大人と同じ柄になっていた。
けど、可愛い(笑)

アザラシの仔が一番可愛いのは、個人的には、白い毛が抜け替わった直後だと思っている。
もちろん負け惜しみなんかじゃないよ。
白い毛はフワフワしてると可愛いけれど、撥水性がないので水に濡れるとペタッとしてしまうし、汚れも目立つ。
当たり前の話だけれど、生え替わった直後の毛は、大人色になった最初の毛。その個体の人生(アザラシ生?)の中で、もっとも綺麗な色をしているはずなのだ。
ほ~ら、何だかいいものに思えてきたでしょ?(笑)

この時期の仔は、いろいろなものに興味を示すので、とにかく見ていて楽しい。
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オレが行ったこの日は、プールに水を注水する注水口が気になっていたようで、吹き出す水に噛みついたり、顔を突っ込んだりを繰り返していた。
同じプールにいた母親個体なんて、ついぞ動いている所を見ずに済んだというのに…
ガラス越しに観客の所までやって来ることが多いのもこの時期ならでは。

ワモンアザラシの仔なんて、滅多に見られるものじゃないし、それ以前にまだまだ体も小さく、可愛らしいので、興味がある人は早めに行っておくことをオススメしたい。

小さいアザラシが寄ってきてくれる可能性が高いのは間違いないけど、大人でも個体の性格や、その時の気分次第では寄ってきてくれることも。
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ゴマフアザラシが寄ってきてくれた。
こちらも換毛が済んだばかりなのか、綺麗な色、柄をしていた。
でも、アザラシは近くまで来てくれても、アシカやオットセイみたいに、ずっと遊んでくれることはなく、すぐにどこかへ行ってしまうし、1度離れると、もう1度来てくれることはないので、ちょっと得した気分に。

大混雑の園内で、少しでも空いてる場所を探しながら移動していたら、トドプールの周辺が少し空いていたので、そこに吸い寄せられるように近づいていった。
正面の岩の上には2頭がいて、プールには小さい仔を連れたメスが泳いでいた。
ここでもベビーに遭遇できた。
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岩の上にいた2頭も、大きさはほとんど同じようなサイズながら、どうやら親子のようで、少しだけ小さい方の個体が、盛んにじゃれついている。
母親個体は、大きな仔が背中に乗ったりしても、怒ることもなく、なすがままにしている。重いだろうに… なんて心配になってしまうのだけど…
そこに鴨川のハーレムマスターたる父親個体が上陸してきた。母親にじゃれついてた仔は、今度は父親にもじゃれつき始めるが、父親もそれを怒ることなく適度に相手をしている。
そんな様子をしばらく眺めていたら、何だかほのぼのした気分に。
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鴨川トドファミリー

おたる水族館に何度か足を運んで以来、トドに対するイメージはすっかり変わったけれど、おたるのトレーナー氏から何度か聞いた「トドは優しいです」という言葉をあらためて思い出した。

大混雑の中だったけれど、これだけ見られれば、まぁ、満足かな。
そう思わせてくれた鰭脚たちでした。

秋のサケ第三弾・おたる水族館 [鰭脚類]

秋、それも9月27日におたる水族館に行くのが恒例化しつつあったが、今年のその日は長崎ペンギン水族館にいた。
今年の秋は北海道はナシだな… そんな風にも思っていたんだけど、何だかすべきことをしていないような、気持ちの中にずっと何かが引っかかっているような気がしていた。
結局、行くことにしたのだけど、オレの背中を押したのは、考えていた以上に少ない予算で行ける事実に加え、おたる水族館の海獣公園でこの時期だけ見られる、ある“パフォーマンス”が見てみたい!! というのが決め手となった。
その“パフォーマンス”も、もちろんサケに関わりのある、北海道らしいものだ。

開館と同時に入館したおたる水族館では、目的のパフォーマンスの時間までも結構忙しい。お気に入りの水族館であるため、魚たちを見たり、イルカショーを観たりしている内に、本来の目的を忘れそうになりつつ、目的の海獣公園へ。

海獣公園ではアザラシ、ペンギン、トドと3つのショーが行われているが、中でもトドショーでは、トドという動物の凄さを分かりやすい形で紹介されている。
今回のオレの目的というのも、そのトドショーだったのだ。
えっ!? サケ関係ないじゃん!!
いやいや、それが大いに関係があって、遡上してきたサケがショーの見せ場を作る。
トドショーのエース、600㎏のモンキチが、70~80㎝はあろうかという大きなサケを丸飲みにしていくという、サケの遡上時期に合わせた見せ場? が期間限定で用意されていたのだ。
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ショーの回数分だけ、サケを丸飲みにできるモンキチ

トドの一般的なイメージはあまりいいものではない。
例えば、デブな人がダラダラしていると、トドみたい、と例えられてしまうように。
でも、おたる水族館のトドショーは、トドのそんなイメージを大きく覆す。
とにかく速く、パワフルで器用。その上、可愛らしさまで感じさせてくれる。
本来、トドというのは、そういう動物なのだということが、このショーを観れば強く実感できる。

その巨体に向かって、トレーナーがサケを投げ与えると、いとも簡単にグイグイ飲み込んでいく。
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ただ餌を食べてるだけじゃん!! と思うなかれ。
実際に見るまでは、もっと大変そうにするのかと思いきや、拍子抜けするくらいにあっさりと、スルリと?んでしまうのだ。
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1回目のショーでは、あまりに一瞬過ぎて、もう終わり? なんて思ったくらい。

おたる水族館のトドショーでは、これまでもトドの凄さをいろいろと見せてもらったが、今回のこのサケの丸飲みパフォーマンスも、トドのスゴイ一面なんだと思う。
海で暮らすトドたちは、こんな風にサケを丸飲みにしているのだろうからね。
でも、同時に、凶暴でも、人を襲うような動物でもないトドが、海のギャング、なんて呼ばれることがあるが、その理由が垣間見えたような気もした。

このサケの丸飲みは11月末までの期間限定。
そろそろ終わってしまうから、見たいという人はお早めに!!
来年もやるのかなぁ? だとしたら、また見に行きたいと思う。


トド以外にも見るのを楽しみにしていたものが。
6月に水族館にやって来たというクラカケアザラシのさくら。
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保護された個体なので、まだ鞍掛模様もない子供。
そのため、すごく好奇心が旺盛で、水槽の前に行くと、とりあえず寄ってくる(笑)
気を引こうと、撮影機材やら、カメラバッグ、タオルとか、手に持ってるものを次から次へと差し出すと、それらのほぼすべてに反応し、「何それ?」みたいな顔して近寄ってくる。
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クラカケアザラシは特に可愛い顔の種類なのか、以前いた個体もすごく可愛かったけれど、さくらの可愛さもかなりのものだ。
水槽の前に行く度に、そこから離れられない… みたいな気分になってしまった(笑)

でも、昨年まで寄ってきてくれたワモンアザラシのミントが、ほとんど寄ってきてくれなくなってた。
成長したということなんだろうけど、ちょっとした寂しさも。
さくらも、来年か再来年にはあまり寄ってきてくれなくなるのかも… そう思うと、この可愛らしさを独り占めにできるのは今だけ、なのかも。
そういう意味では、こちらも早めに会いに行った方がいいのかも知れない。
もっとも、体の模様がクラカケアザラシらしくなるのは、もう少し経ってから、なんだけどね。

やっぱりスゴイ!! おたる水族館のアザラシ [鰭脚類]

あわしまマリンパークでアザラシやアシカのショー、そしてそのトレーニングの話を聞いてきたお次は、アザラシショーの本場? おたる水族館の話。

北海道のファースト・ジンベエザメに背中を押されて、急遽、おたる水族館へと足を運んだという話は以前のブログに書いた通り。
でも、そこはおたる水族館である。
いざ行ってしまうと、どこよりも魅力的なアザラシ達に心ときめかすことになり、なかなか海獣公園を離れることができなくなってしまうのだ。
でも、水族館の魚たちも見たい。結局、水族館から海獣公園へと至る坂を何度も上り下りすることに。

まずは、初回のアザラシショーの時間に合わせて海獣公園へ降りる。
おたるのアザラシショーには、4頭のゴマフアザラシが登場するが、ひとつ前のブログに書いたように、おたる水族館に行く10日ほど前に、あわしまマリンパークでアザラシのトレーニングの話を聞いたばかり。
それを踏まえつつショーを観ると、今までとはちょっと見え方が違ったような気がした。
4頭の内、2頭はまだ周囲がかなり気になる様子だったけれど、ステージ向かって左側に出てくる2頭、特にぢゃい子という子は、周りをまったく気にすることなく自分のすべきことを淡々とこなす感じ。
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アザラシをショーに出す大変さを聞いたばかりだったから、1年前は可愛いしか思えなかったショーも、今まで以上にスゴイものに感じた。

その後、顔見知りのトレーナー氏に話を聞いたのだけど、そのトレーナー氏曰く、「理想を言えば、ゼニガタアザラシでショーがしたい。もっとスゴイものが見せられるはずだから」とのこと。
その理由は、ゼニガタアザラシの方が頭がよく、加えて体の柔らかさ、身体能力の高さがゴマフアザラシを上回っており、ゴマフではできないことも、ゼニガタならできてしまうからなのだそうだ。
氷の上で暮らす種類と、岩場で暮らす種類の違いなのだろうと話してくれた。

そのポテンシャルの高さは、時として余計な? ことにも発揮されるらしく、アゴヒゲアザラシの隣、繁殖用プールにいるオス個体が、特にそんな傾向が強いとか。
それを教えてもらっていたから、餌の時間の頃にそのプールへ行ってみると、スタッフ氏が隣のプールでアゴヒゲアザラシに餌を与えていると、扉を開けて、そこに置いてあるバケツをひっくり返し、勝手に食事を始めた。
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写真を撮ってたら、振り返って「何見てるんだよ!!」

反対側のプールの給餌が始まると、鉄格子に登って、自分をアピール?
こんな風にしっかり立ち上がれるのは、ゼニガタアザラシならではで、ゴマフには真似のできない芸当なのだそうだ。
話を聞いた上で、こうした行動を見せられると、ただただ“スゲェ!!”としか思えず、それをショーに出しちゃったらどうなるんだろう!? みたいな期待が高まってくる。
今は飼育頭数が多くないので、ショーに出すことはしていないそうだが、それでもゼニガタアザラシのショーが観られるとしたら、やはりおたる水族館がもっとも可能性が高いはず。
今のゴマフアザラシのショーも可愛くて楽しいけれど、ゼニガタアザラシの能力の高さに驚かされてみたいものだ。

おたる水族館の海獣公園に行くと、どこよりもアザラシの凄さ、可愛さを濃厚に感じられるため、ついついにわかアザラシマニアになってしまうのだけど、今回の個人的No.1はこの子。
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ワモンアザラシのミント。
昨年行ったときにも、可愛さを振りまいてくれたのだけど、今年はそれ以上のサービスぶり。
水槽の前に行くと、スーッと寄ってきて、かざした手に反応したり、手の動きに合わせてくるくる回ったり、短い手をパタパタ振って見せてくたりと、とにかく愛想がいい。
水槽の前にいる間は、ずっと目の前にいてくれる。
しかも、この水槽の前に来る人はそれほど多くなくて、来てもすぐに行ってしまうので、長い間、この可愛さを独占できた(笑)
屋外プールのショーの見応えはそれだけでお腹いっぱいになれるくらいのものだけど、おたる水族館まで来て、この子たちの可愛さを見ずに帰るなんて、目の前に落ちてる1万円札を無視して通り過ぎるみたいなものだ!!
でも、困ったことに、別の物を見に行こうと水槽の前を離れようとすると、あの大きな眼でジッと見上げてくるので、水槽の前から離れられなくなってしまう。

ワモンアザラシはきわめて神経質で臆病だそうなのだけど、この愛想のよさはちょっとアザラシのイメージが覆りそうだ。
こんなに可愛くて愛想のいいミントだが、その愛想のよさもアクリルを隔てているからこそのものらしい。
アクリルを介している分には、自分に危害が及ばないことを理解しているから。
もし、知らない人が飼育スペースに入ってこようものなら、それがアクリル越しに仲良く遊んでいた人だったとしても、パニックを起こしてしまうのだとか。

そういう意味では、全国の水族館で見られるゴマフアザラシは、同じように神経質で臆病とは言え、やはり圧倒的に飼いやすい種類のようだ。
とは言え、屋外のプールで暮らすそれら“比較的飼いやすい”種類でも、可愛いことには変わりはない。
特に、育成用プールにいた若い個体たちはとても可愛かった。
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プールに近づくと、魚をもらおうと近寄ってきて、一斉に見上げてくる。
ゼニガタアザラシはやはりプールの壁に体を預けながら立ち上がり、餌をもらうためのアピールをする。
餌を持っていないと分かると、そそくさとその場からいなくなってしまうのだけど、そんな所も含めて可愛いでしょ!?

幸い? 今年から販売される餌バケツに40㎝くらいありそうな2匹のマダラと、沢山のホッケが入った特大サイズが登場したから、今まで以上にアザラシやトドたちに餌をあげることができるようになった。

アザラシたちの話を沢山聞き、その可愛さ、凄さを実際に目の当たりにできる場所。
それがおたる水族館の海獣公園だ。
何にせよ、やはり本場は違うってことなのかな!?

あわしまマリンパーク アシカショー [鰭脚類]

おたる水族館の話を始めたばかりだけど、またまたあわしまマリンパークの話。

あわしまマリンパークへ行ったのは、以前のブログにも書いた通り、ジンベエザメが目当て。しかし、いざ行ってしまうと、当然、それ以外の展示やショーも楽しんでしまうワケだが、中でもアシカショーは見逃せないお気に入りのひとつだ。

アシカショーにつまらないものは少ない反面、マンネリ化しやすく、いつ見ても変わらない… なんて感じてしまうものもまた事実。
イルカショーなら、トレーナーがイルカ同様のパフォーマーとして活躍することでそれを避けられるが、アシカショーではそうもいかないのだろう。

だが、あわしまマリンパークのアシカショーは、個体ごとに披露される技が異なっており、ショーがプログラム化されていないので、1日すべてのショーを観ても、1回目と2回目とでは違ったものが観られたりする。そのため、“いつ見ても同じ感”が少ない。
もっとも、オレの場合、2年ぶりだったから、もっと頻繁に訪れていれば、同じように見えるのかも知れないけれど。

今回の訪問では、3回あったすべての回のショーを観たけれど、登場した個体はメスのカリフォルニアアシカ、ミクちゃんと、あわしまならではの天才アザラシ、パルくんの2頭。この2頭がすべての回に登場したけれど、それはここでは珍しいことのようで、普段はショーごとに登場個体や出順が変わったりする。
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なかなか観られないアザラシのショーということで、どうしてもパルくんに注目してしまうのだけど、アシカだってなかなかのものだ。
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ミクちゃんの笑顔。歯を剥き出しにして怒ってるみたい!?

ショー中、その勇姿を写真に撮っていたら、ショー後、トレーナー氏に話しかけられた。
何でも、全部の回のショーを観る人はあまりいないのだそうで、それもあちこち移動して写真を撮っていたから、印象に残っていたとのこと。
あわしまマリンパークのトレーナーやスタッフ氏は、声を掛けてきてくれる人が多く、話も聞きやすいのだ。

そこで、鰭脚類トレーニングについての話を聞かせてもらった。
鯨類同様、鰭脚類にも魚類ほどの興味、関心はないのだけど、そのトレーニング(の話)については、興味深いことが多く、水族館でのオレの好物のひとつになっている(笑)

あわしまマリンパークでは、“褒めて伸ばす”のが基本だという。
それはどこの園館でも同様だと思うが、それをする動物たちが楽しんでできるよう、トレーニングしていくのだそうだ。
そのため、ショーで披露される技も、“技”や“パフォーマンス”という言葉を使わず、“遊び”と言う。ショーも遊びの延長であるというのがあわしまマリンパークの流儀なようだ。

もちろん、個体の性格、また種類による向き、不向き、得意不得意は当然ある。
例えばアシカとアザラシなら、アザラシはとにかく神経質で臆病なため、ショー向きではないが、アシカは好奇心が強く、個体による差はあれ、アザラシほどには神経質でなく、様々な条件に比較的慣れやすいのだという。
でも、中には例外もあって、それがパルくん。

周囲をほとんど気にすることなく、クルマにも乗れるし、台車に載せてそのまま船に乗り、島外へ出るなんてこともできるらしい。
パルくんが披露しているような技は、他のアザラシでも能力的には可能だそうだが、とにかく神経質で臆病な性質が、ショーに登場することを阻む。

現在、19歳になるパルくんの後継者を育成中とのことで、その練習風景も見せてもらったが、現在はショープールに出てきて、そこのプールに入れるようにする練習をしていた。
パルくんが一緒にショープールへと登場することで、後継者となるべくトレーニングを受けている個体も安心するらしい。
単独生活が基本で、個体間の交流がないというアザラシだが、自分以外のアザラシが平気なら、自分も平気だろうと考えるのだとか。
パルくんとは違い、まだ周囲を気にしているそぶりを見せるし、ショープールに長い時間はいられないそうなので、1頭でショーに出られるようになるまでには、しかも、嫌々ではなく自分から出て行けるようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。

一方、アシカであるミクちゃんも、今のようにショーに出るまでには時間がかかったらしい。
と言うのも、鼻先にボールなどを乗せるバランス芸が苦手で、それができるようになるまで数年を要したから。
アシカショーと言えば、鼻先にボールを乗せる、みたいなイメージが誰にでもあると思う。あんなのはアシカなら誰でもできるものかとオレも思っていたが、それができない子もいるらしい。
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しかし、ミクちゃんはジャンプ系の技は得意で、飛び上がって空中で回転する技などは喜んで披露してくれるのだとか。

つまりは、そこ。
動物たちの顔色を見ながら、その子がその時喜んで(楽しんで)やる技を披露する。
あわしまマリンパークのショーが楽しそうに見えるのは、そんな所に理由があるようだ。

しかし、トレーナー達は大変。
物を言わぬ動物たちの顔色を見極めて、その時々に合った技を引き出し、ショーを成立させなくちゃいけないからだ。
ショー後のトレーニング時には、新人トレーナーも参加していたが、話を聞かせてくれたトレーナー氏によれば、彼女は動物との意思疎通がまだきちんとできないそうで、動物同様、彼女自身もトレーニングを積んでいる所なのだと話してくれた。

動物のトレーニングも、園館やトレーナーごとに考え方や方法が異なっているので、実に奥が深い。
オレはそのごく一部を話して聞かせてもらってるに過ぎないのだけど、オレの感じた“へぇ~!!”という驚きは、多くの人にも感じて欲しいと思った。

とりあえず、海獣トレーニングについての本でも作れるとしたら、あわしまマリンパークのトレーナー氏には、是非、取材させてもらいたいなぁ。
興味深い話がもっともっと聞けそうだからね。

おたる水族館 海獣公園の話・その2 アザラシ編 [鰭脚類]

これまで、様々な水族館や動物園でアザラシを見てきたけれど、それが魅力的だと思ったことは正直、あまりなかった。
だって、大抵は同じ姿勢のまま水中を右から左に行ったり来たりしているだけ。さもなければ陸上で寝ているかのどちらか。アザラシが大好きなら、それでも楽しいのかも知れないけど、特別な思い入れのないオレからすると、やっぱりそれでは楽しくないのである。

しかし、おたる水族館のアザラシは違った。
他の水族館では、アザラシ水槽の前を素通りしてしまうようなオレが、アザラシたちに心をときめかせ、その可愛さにとろけ、すっかり楽しい気分にさせられてしまったと言えば、その凄さが伝わるだろうか? 海獣公園に半日もいれば、誰でもきっとアザラシ好きになってしまうことだろう。

まず、海獣公園のアザラシたちは寝てない。
プールに観客が近づくと、それこそ目の色を変えて集まってくる。
とは言え、それは観客のことが大好きだからでも、サービス精神が旺盛だからでもなく、単に餌が欲しいから。
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ひとつ前のブログでも書いたように、海獣公園ではバケツに入った魚が売られていて、アザラシやトドにあげることができる。
つまり、アザラシやトドからすると、観客=魚というワケなのだ。
そのため、バケツを持っていようがいまいが、プールに人が近づくと、とりあえずそこに集まってきて、一斉にこちらを見上げてくる。例え餌が目当てだとしても、最初の内は動物が自分を見て、寄ってきてくれるだけで嬉しいものだ。しかもそれが何頭もいるワケだからね。

バケツを持っていなければ、集まったアザラシたちもすぐに解散してしまうのだけど、魚入りのバケツを持っているのに、与えることなく眺めていたりすると、今度は催促が始まる。その方法も1頭1頭のオリジナル。
手を振るもの、横になって体をペチペチ叩くもの、声を出して唸るものなど、実に様々。
ゼニガタアザラシは声を出さず、手を振ったりするものが多く、唸るなど声を出すのはゴマフアザラシだけだそうだ。
メインのプールは大きな個体が多く、餌を投げると大きなアザラシたちがそれに目がけて飛びつくという迫力のシーンが見られるが、今年保護された小さい子がいる陸側のプールだと、まだ小さく可愛らしい子供アザラシがその潤んだ大きな瞳でこちらを見つめてくる。もうそれだけで“魚くらいあげちゃう!!” って感じになる(笑)
ひょっとして、それも確信犯的にやってるんだろうか?
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そうやって寄ってきたアザラシを見てると、やはり自分好みの顔をした個体と、そうでないものが分かってくる。どうせなら、お気に入りの子に餌をあげたくなるんだけど、その1頭だけにあげるのが、これまたかなり難しい。
まぁ、あれだけアザラシがいると、餌をあげるだけでも、いろいろ楽しめるってことだ。

外のプールにいるアザラシ以上に可愛いのが、屋内のプールにいるクラカケアザラシだ。
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クラカケアザラシはおたる水族館でしか見られない珍しい種類。その名前の由来ともなった特徴的な体色、模様は、考えていた以上に“特別なものを見てる感”があった。
普通ならそこで、すごいなぁ、くらいで終わってしまうのだけど、ここにいるクラカケアザラシは、それだけじゃなかった。屋内のプールに3頭のメスが飼われているのだけど、その中のクララという子がそれはもう、メチャクチャ可愛い。

観客の方を見るだけでなく、ガラス越しについてきたり、かざした手に反応を見せてくれたりと、アザラシらしからぬ愛想のよさ。しかも、性格だけでなく、顔もものすごく可愛いいので、見てるだけで幸せになってくるくらい(笑)

ここにしかいない珍しいアザラシ。愛想のよさなんて期待してなかったのに、その子はメチャクチャ愛想がいい。しかも顔がものすごく可愛い。
つまり、こういうことだ。
TVでしか見たことなかったメチャクチャ可愛いアイドルだか女優だかが目の前にいる。
感じが悪いと想像していたその人がすごく親切にしてくれた、みたいな感じ?
それまでファンじゃなかったとしても、好きになっちゃうでしょ!?

驚きの可愛さは、クラカケアザラシの隣のプールにいるワモンアザラシもそう。
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オレの記憶の中には可愛い個体がいないため、オレの中では不細工なイメージが定着していた種類だったんだけど、おたる水族館のブログや、写真集で見た水族館産まれのルルというメスは、まるで心を突き刺されるような強烈な可愛さ。こんな可愛いワモンアザラシもいるんだなぁと思ったのと同時に、実物に合うのが楽しみな1頭だった。
そのルルも大きくなって、今ではすっかり大人の色になってるんだけど、その強烈な可愛さは今でも健在。目が合ったりすると、“あっ、ルルたんがこっち見た♪” 
ふと我に返った時、“ルルたん”とか言ってる自分に寒くなってしまうのだけど、アザラシが特別好きでもないオッサンでもそうなってしまうのだ。あの視線には我を忘れさせるほどの破壊力がある。きっと、真っ白な毛に包まれた子供時代だったなら、きっと数秒で頭がおかしくなってしまったことだろう。

ルルたんも殺人的な可愛さなのだけど、同じプールにいるミントという子も超可愛い。
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頭のてっぺんに傷があって、円形脱毛症みたいになってるんだけど、顔自体はこちらもすごく可愛い!! こちらはまだ3歳の若い個体だから、好奇心が強く、観客はもちろん、カメラとか色んなものに興味を示し、仕草がいちいち可愛い。

クラカケアザラシとワモンアザラシは室内のプールにいるため、魚をあげることはできないのが残念に思ったのだけど、あの顔で見られてしまうと、財布の中身をすべてアザラシの餌につぎ込んでしまいそうなので、あげられない方がいいのかも(笑)

ショーも見たい。水族館にも戻りたいと思いつつも、この3頭の前から離れがたくて、結局、オレが見たショーは初回以外、全部途中からになってしまったほどだ。
写真だとあまり可愛くないって?
それは単にオレの写真のウデの問題。是非、おたる水族館に行って、その殺人的可愛さを確かめてみて欲しい。オレが言ってることがウソや大袈裟でないことを納得してもらえるはずだ。

さもなければ、写真集「おたる水族館のいきものたち」(2011 6/15ブログ参照)、その作者であり、おたる水族館のトレーナーでもある神前さんのブログ(http://sensuibaka.exblog.jp/)を見れば、その可愛さをよりリアルに感じられると思う。
オレは写真集やブログを見てから水族館に行ったから、「あっ、この子、知ってる!!」とか「あー!!、これがあの写真集に出てた子かぁ!!」と、ミーハー的な楽しみ方ができる。
ここで予習? してから行くと、より楽しめると思うのでオススメだ。

セイウチって可愛い!! [鰭脚類]

鴨川シーワールドに行くと、魚を見てない時間はシャチを見ていることが多いオレ。
でも、ショータイムの時間の前後には、ロッキーワールドの海獣類たちにも会いに行く。
セイウチのプールを覗き込んだら、とても小さいセイウチの仔がいた。
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産まれたのだろうか?
HPなどを見る限りでは、産まれたというアナウンスはなされていないから新たに搬入されたものなのかも知れない。
セイウチは大人になっても比較的愛想がよくて、観客に対しても反応がいいことが多い。
その子供といったら…
何ていう名前なのか知らないから、とりあえず「おーい!!」と呼んでみた。
すると、すぐにこちらの方を見上げ、伸び上がろうとする。可愛いヤツだ(笑)
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その後も声をかけ続けてたら、水面でクルクル回り始めた。
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水中の観察窓からも、その子に向かって手を振ったりすると、こちらの方へやってきて、アクリル面をぺろぺろなめてる。向こうは海水の中だから、しょっぱくないものかと心配になるのだけど、オレとセイウチの間にあるアクリルがなければ、きっと犬みたいに手をなめてくれてたんだろうなぁ。

最近でこそ、セイウチが可愛い動物であるってことを知ったけれど、以前はセイウチやゾウアザラシ、トドなど大型の鰭脚類は気持ち悪いと思ってた。
芋虫みたいな巨大な体に、血走った大きな眼が飛び出てる。のそのそ這いずって、時々水中からヌーッと顔を出す。そんなのを見る度に“うへーっ!!”と思って後ずさっていたのに、今ではすっかり“いいヤツ”みたいな印象に変わったのが自分でも可笑しい。

でも、知れば知るほど、セイウチは鰭脚類の中でも特別なんじゃないかって思わされる。
愛想のよさもそうだけど、何であんなに人のことが好きなんだ? みたいに思わされることがしばしばあるから。
飼われているとは言え、もともとは北極で暮らす野生動物なワケで、人によく慣れるとか、人が好きなんていう資質は、野生で暮らす上ではまったく役に立たない、というか必要ない要素のように思えるのだけど。
あの性質なら、ペットにするにも向いてるのでは…!? みたいなことすら思えてくる。
もっとも、1tを超える巨大な海獣だから、まったく現実的ではないけれど…

八景島シーパラダイスに行った時も、ふれあいラグーンにいた個体が、声による指示だけでちょっとしたパフォーマンスを見せてくれていたことに驚かされた。
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口から水鉄砲。これも声による指示だけで行われてた。

そういうことができる、という話は聞いたことがあったけれど、実際に目の当たりにすると、やっぱり“セイウチ、すげ~!!”となるワケで、傍目に見ているだけだと、アシカよりも扱いやすそうに見えるし、もっとあちこちの園館でセイウチショー、やればいいのに!! なんて思ってしまうのだけど…
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顔だけなら、カリフォルニアアシカやオットセイの方が綺麗だし可愛いと思うけど、性質はセイウチの方がよさそう… セイウチって可愛いヤツだなぁ、と最近のオレは思ってる、という話でした。