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よみうりランド水族館って知ってますか? [雑談]

2026年によみうりランドに水族館がオープンするらしい。
規模の大きなものではなさそうだが、人工海水を使った海水の水槽があることなどが公表されているが、今回ここでするのはその水族館の話じゃない。
2000年まで営業していた“よみうりランド海水水族館マリンドーム”という別の水族館のことだ。

その名の通り、お碗をひっくり返したみたいな半球形のドーム型の水族館で、よみうりランドの中央付近で存在感を放っていた。
営業を終了したのは2000年だったが、その後もマナティやラッコの展示が細々と続けられていたようで、完全に閉館したのは2002年頃だったらしい。
昔から別建てだったアシカショーはその後も継続され、今も続いている。

わざわざ“海水水族館”と名乗っているあたり、海に面していない場所で海の魚を展示しているというのが売りになっていたのだろう。wikiによれば、稲村ケ崎あたりから海水を運んでいたとのことだが、それなりに大変なことだったのだろうと思う。
昔は人工海水の質が良くなかったので、それを前提とした海の生き物の展示は難しかったのだ。

入館すると、円の縁を沿うようにスロープを上がっていき、頂上まで行ったら、今度は出口方面へと向かうスロープで下りながら出口方面へ、という作り。
海水の調達が困難だったせいか大きな水槽はなく、もっとも大きな水槽は順路の最後にあったマナティがいた淡水の水槽。
当時はかなり大きな水槽に見えていたが、どのくらいだったんだろう? 少なくとも300tくらいはあったのではないかと思うのだけど……
メインのはずの海水の水槽は大きいものがなかったので、サメなど海の大型魚はほとんどおらず、サメはスロープを上がり始めてすぐくらいのところにあった上から覗き込む小さなプールにドチザメがいたくらい。
スロープを上がりきった頂上には、現在、海響館にあるシーラカンスの標本が展示されていて、そこから出口へ向かう下りのスロープにどの程度、どんな水槽があったかは覚えていない。
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スロープを下りきると、そこに淡水の水槽があって、先にも書いたがピラルクーとマナティが入ったこの水族館最大の水槽があった。できた当初はそれで終わりだったのだろうと思うのだけど、その先に後付けされたと思しきラッコ展示館で順路は終了。出口となる。

オレは閉館までの間に行ったのは、3~4回くらい。
初めて行ったのは87~88年。まだ中学生だった頃。
その頃開館から20年以上が経過していたため、古さを感じさせるようなところもあったが、それでも、閉館間際の頃からすればまだマシで、最後はもう本当にボロボロだった。
その当時はまだデジタルカメラが普及しておらず、携帯にカメラも付いていなかった時代だったので、当時のことを記録したものは残っておらず、不確かな記憶だけ。

でも、順路最後の淡水展示のことは比較的しっかりと覚えている。オレの心をとらえ続けたのはやはりここだったから。

淡水の水槽はピラルクー水槽の斜め向かいに上が開いた作りの水槽があって、そこにはレポリナスやオスカーなどが泳いでおり、仕切られた一角にピラニアがいるという定番的? なアマゾン水槽だった。
アマゾンの水槽なのに、レポリナスなどの区画に大きなワニガメが入っていて、動いているところは見たことがなかったものの、同じ水槽の魚たちを食べてしまわないのかと心配したことを覚えている。
とは言え、この水槽でワニガメやアマゾンの中~大型魚を見たのは1度だけ。この後、小型魚主体の水草水槽へと改修されたからだ。
どんな水草水槽だったかはあまり覚えていないのだけど、その水槽の中にいたカージナルテトラを見て「こんなに大きくなるの!!」と驚いたことだけはよく覚えている。
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もちろん、ピラルクーの水槽のことも忘れられない。
この水族館唯一、水面を見上げられる水槽で、間口が広く、奥行きのある作り。サンシャインラグーン水槽みたいな形だったのだろうと思う。
中にいたマナティがそこで休めるようにするためなのか、水槽奥の左右にキノコの傘みたいな突き出た部分があり、それが水槽の奥を見にくくしていて、もともとの薄暗さも手伝って、余計に水槽を大きく見せる要因になっていたのだろう。
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水槽内にはピラルクー、ブラックコロソマ、マナティが各2匹ずつ。後になって調べると、マナティは3頭いたような話もあったのだけど、2頭だったような記憶が。
その内の1頭はアマゾンマナティだったらしく、その頃はそれが珍しいものだとも知らず、マナティがいたという記憶しかないのはちょっと残念なところ。

一方、2匹いたピラルクーは2.4mあったとかで、当時日本最大と言われていた。
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確かに、飛び抜けて巨大で、当時、ピラルクーを見上げられる水槽はほとんどなかったから、目線の上を泳ぐ巨大なピラルクーに圧倒された。
また、コロソマも巨大で、1mを優に超えていただろうと思う。シンプルな構成だが、大きく存在感のある魚たちのお陰で、見応えのある水槽になっていた。
その後、都内某水族館から移籍してきたサーモンキャットなどが追加されていたこともあったが、基本的な魚種構成は閉館間際の2000年も大きくは変わっていなかった。

古い時代の施設だからか飼育環境はあまりいいものではなかったらしく、例えばマナティの水槽では、水上部分が寒くマナティが冷たい空気を吸い込むことでよく肺炎を起こしていたと他所の水族館の人から聞いたことがあった。
そのマナティ以外にもラッコがいたり、シーラカンスの標本があったりと、この水族館ができた頃はかなり経済力に余裕があったのだろうと思う。

しかし、閉館前に行った時には、どこもかしこもボロボロで、閉館に向かう水族館のもの悲しさみたいなものが強く漂っていたから、無くなるべくして無くなったのかなぁ、みたいに思っていたのだけど……

水族館があったことを忘れ去った頃になってまた新たな計画? 今度はどんな水族館になるのやら……
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沖縄美ら海水族館20周年 思い出語り [雑談]

11月1日、沖縄美ら海水族館が開館20周年を迎えたそうだ。
比較的新しい水族館だと思っていたのに、もうそんなになるのか!! と驚かされる。

20周年記念で、水族館の公式SNSでは“水族館の思い出を語ってください”というお題が出されていたので、それに乗ってみようかと。
公式SNSでなく、ここに載せても企画の趣旨とは違っているんだけど……

美ら海水族館には結構行ってるとは思うんだけど、それでも開館当初のことは知らなくて、初めて行ったのは開館から7年めの2009年。オレが知っているのはそれ以降の13年間。

美ら海水族館がオープンして以降、“水族館好きなんです”みたいな話をすると、大抵、
「美ら海水族館行ったことある? えっ、水族館好きなのに行ったことないの?」
そんなやり取りが何度かあった。
水族館マニアなんて名乗っていながら、話題の施設に行ったことがないという負い目みたいなものがあったのも確か。
だからという訳ではないけれど、金もないのに、ええい、行ってしまえ!! と沖縄へ。
当時はまだ水族館まで直行できるバスはなく、名護まで行ってそこから路線バスに乗り換え。やけに遠く、長く感じたことを覚えているが、道中の初めて見る景色にワクワクしていたことも同時に思い出す。
その時の話はこちら。https://aquarium-mistral.blog.ss-blog.jp/2009-03-04
期待値が大きすぎたが故に冷めた感じの内容だけど、この時はこの先、何度も行くようになるとは思ってなかった。

水族館のある海洋博公園の綺麗さに驚き、憧れの美ら海水族館へ。
その時、最初に撮った写真がこれ。
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この時、一番驚き、感動したのは、多分、入ってすぐにサンゴの水槽。
サンゴが成長し、大きく茂った今と比べれば驚くほどではなかったのかも知れないけれど、初めての時は水のクリアさとその先にある光景の美しさに大いに感動したものだった。

とは言え、オレにとって美ら海水族館と言えば、やっぱりマンタだ。
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07年から連続繁殖に成功していたメス個体。13年に死亡。この写真は13年に撮ったものなので、この後しばらくして死んでしまったのだ。

07年に水槽内繁殖に成功して以降、連続して繁殖が続いていたため、その仔が産まれ出る瞬間が見られるかも、と10年以降、出産が見込まれそうな時期に沖縄行きが始まった。
連続繁殖に成功していたペアのメスが13年に死んでしまい、深く深く落ち込んだり、その後、別のペアによる繁殖が実現しそうで、15年には“もう産まれそう”と、水族館スタッフが24時間観察を続けるような状況に居合わし、開館から閉館まで大水槽前でその瞬間を待ち続けたりなど、緊迫した数日間を過ごしたこともいい思い出だ。
結局、出産シーンを見るのはまだ叶っていない夢だが、その後、生きたオニイトマキエイを見せてくれるという別の形でマンタに関するオレの夢を叶えてくれている。
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夢の魚と言えば、2016年にホオジロザメが見られたことも素晴らしい思い出だが、個人的にはイタチザメも忘れがたい。
正直言うと、イタチザメはそれほど好きなサメではなかった。しかし、それがオレの中で特別なものとなったのが2015年。
定置網の見学に行った時に目の前で獲れた3.8mの個体が水族館に搬入され、展示されたからだ。その時のイタチザメのことは「オレのイタチ」と呼んでた(笑)
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“オレのイタチ”は残念ながらそれほど長くは生きなかったが、その次にやってきたもっと大きな個体は、水槽内で出産するというこれまた大きな驚きを与えてくれた。
その出産に立ち会うことはできていないが、産まれた直後から今年まで、その成長を部分的にでも見続けることができたことは“財産”と言ってもいい経験だ。

マンタの出産を見たい!! そう思って以降、それにつながる情報を集めるため、何か聞けそうな機会があれば、美ら海水族館の関係者ならそれこそ誰にでも話を聞いてまわったのも今ではいい? 思い出だ。
それがきっかけとなり、水族館でも顔見知りの人ができたし、その中には仲良くなった人や、水族館で顔を合わせても、魚や水族館とは関係ない話をするようになった人もいる。
他にも、水族館の近所に住む常連さんと仲良くなったり、それによって水族館や沖縄がより身近に感じられるような気がしていて、その2つをさらに好きになった理由になっているとも感じている。
施設がある場所にまで愛着を感じるような水族館なんて、ほとんどない。

エイやサメの話に終始してしまったが、ずっと見てみたかったが叶った!! は他にも沢山ある。見たことのない魚やイルカを数多く見せてもらったことも、それぞれの初めての時のことはすべてが有難い思い出だ。

2019年頃までの外国人観光客を中心とした大混雑に辟易して、もう行くの止めようかと思ったことも、思い出と言えるかも知れない。
無くなってしまった訳ではないから、今後も新しい思い出はまだまだ作り続けて行ける。
嬉しい変化、そうでない変化も含め、この先も楽しませてもらおうと思っている。
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ゴビウスの大水槽とアリゲーターガー [雑談]

かにっこ館の翌日はゴビウスへ。11年ぶりの訪問だ。
のんびりと周辺施設も見学したりして、楽しい再訪となった。

順路最後に現れる宍道湖大水槽。通路を挟んで向かい合う左側(淡水側)に、本来宍道湖にはいないはずのアリゲーターガーが入っていた。
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90㎝弱くらいの、あまり大きくない個体だが、それ以前に顔が歪んでいて、ヒレも変形している。正直、かなり残念なクオリティの個体。
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水族館では、その魚本来の姿形からかけ離れた状態のものは展示して欲しくないと常々思っているので、その考えからすると“あり得ない”ものではあるのだけど、この個体に関しては残念さ以上に、飼育し続けてくれているゴビウスへの感謝が先に沸き立った。

この個体は松江市内の川で捕獲されたものなのだそうだ。
クソッタレ飼育者が不法に遺棄したもの、ということ。狭い水槽で無理な飼われ方をしていたのだろう。顔やヒレの変形は遺棄される前の飼い方に問題があったからなのだろうと推測する。

同じく外来の野良生活者でも、保護され、引き取り手を探してもらえるネコとは異なり、アリゲーターガーは見た目やイメージ、さらに特定外来指定種であることもあり、見つかれば捕獲され、殺処分されてしまうのが普通だ。
しかし、ゴビウスにいる個体は、保護され、安定した飼育環境を得るという、奇跡みたいなラッキーに恵まれた稀有なケース。
見つかったのが特定外来になる前だったから、というのもあるのだろうが、水槽は十分な広さがあるし、攻撃したりヒレを齧るような同居魚もいない。
恐らく死ぬまでこの水槽でのんびり暮らせるのだろうと思う。

この個体が産まれてこれまでに辿ってきた人(魚)生を想像すると、心の底から「よかったね!!」という思いが湧き上がってくるし、同時に、展示向きとは言えないクオリティの個体なのに、ちゃんとした環境で飼ってくれてありがとう。あらためてゴビウスに感謝したくなった。

ゴビウスに来る人にアリゲーターガーを紹介する存在となったのだから、本来のカッコよさを伝えられるような個体であって欲しかったともあらためて思うが、この個体だからこそ伝えられることもある。バカな飼育者がいたこと、こんな魚を非常識な安値で流通させた業者、そしてその結果、特定外来生物とされてしまったことなどの愚行の数々を。

アリゲーターガーを眺めながら、いろいろな思いを巡らせていると、背後から視線を感じる。振り返ってみると……
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クエ。30㎝くらいの小さな個体。
ずっと通路側を向いていて、オレのことを見てる? みたいな感じ。若い個体ならではのピカピカしたような肌つや感と、綺麗な目。
サイズの小ささもあって、“なんて可愛いんだ!!”と顔がにやけてしまう。

こういうのを見る度に思うのが、このくらいの大きさで止まってくれるならウチに連れて帰りたい…… というヤツ(笑)

もちろん、家でクエを飼うことはないが、大型ハタは大きくなると置物のようになってしまうから、そうなる前のこの可愛さをずっと楽しめるといいなぁ、と。
とは言え、この子がずっとこの大きさのままいてくれたとしても、ゴビウスは遠いのでそう簡単に会いに来ることはできないのだけど……

この可愛いクエも含め、その体色は派手と言えるようなものではなく、華やかさという点では一般的な淡水魚とも大きくは変わらないな、と。
淡水魚といえば、ネット記事などで度々“地味”と言われてしまい、それが主役の水族館というと地味だから面白くない、的な紹介をされてしまうことも少なくない。
ゴビウスは淡水魚専門の水族館ではないものの、それこそ地味と言われてしまいそうなハゼ類など小さな淡水魚も多く展示されている。
色味はたいして変わらないのに、どうして淡水魚はいつも地味だと言われてしまうのか。タイやスズキ、コショウダイなどが泳ぐ水槽を眺めながらふと思った。
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大きさ、なのかなぁ?

水槽にはマダイとクロダイとヘダイがいたが、40~50㎝はあろうかというそれらはじっくり眺めるまでもなく赤いのと黒いのと丸いの、くらいの区別ができる。
しかし、10㎝に満たないタナゴやモロコ、ヨシノボリなどが入った水槽で同じような3種類を見分けるには水槽を横目で眺めるだけでは無理で、しっかり観察しなくちゃならない。それ以前に水槽内を逃げ惑う小魚は観察することも簡単でないことも多く、興味が薄い人なら、色のない小魚が泳いでた、くらいの印象しか残らないかも知れない。

同じ銀色の魚でも簡単に見られて、区別もできる海の魚と、小さく見にくい淡水魚。
「淡水魚=地味」というイメージはそうしてできたものでは? なんてあらためて思ったのだけど、どうだろう?

水槽を眺めつつ、そんなことを考えていたら、目の前にひと際大きな魚が降りてきた。
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マツダイ。
水面に向かうエアーレーションの上で横になって漂っていたらしい。
個人的に好きな魚のひとつだが、水族館では意外と短命らしく、見掛ける機会のあまり多くない魚だ。
しかも、こんなに大きい個体となるとなおさらに。

でもさ、地味か派手かで言えば、やっぱり地味だよねぇ。海の魚だけど……
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油壷マリンパーク思い出語り Vol.2 [雑談]

油壷マリンパークでは「すいぞくかん学園」という名称でさまざまな体験プログラムが行われていた。
バックヤードツアーや餌やり体験などの“定番”だけでなく、時には“こんな体験ができるの!!”みたいなものもあったりして、今回はそんな体験プログラムに参加した時の話。
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オレが参加したのは「1日飼育係体験」。その名の通り、開館から丸1日、海獣チームの作業を体験させてもらうというもの。参加したのは2006~07年頃のことだったので、まだ「すいぞくかん学園」という名称は付いていなかったけれど、今でも鮮明にその日のことを思い出せるくらい、忘れることができない体験をさせてもらうことができた。

集合時間となった開館時刻に集まった当日の参加者はオレを含めて3名。
その日のメニューや注意点などが話された後、長靴を渡され、調餌室へと案内された。
体験イベントだからして、調餌風景を眺めるだけではない。早速、大きなシンクで水に浸かった冷凍サバのブロックをバラすように指示された。
ショーや給餌の準備に忙しい飼育スタッフの人たちからすれば、オレたち参加者は招かれざる客というのが本音だったのだろう。委縮してしまいそうなほどのアウェー感で、正直、歓迎ムードではなかった。
オレの目の前には水に浸かった冷凍サバのブロック。つまり、氷水である。シンクに突っ込んだ手はただただ冷たく、辛い。
ガチガチのサバはまるでほぐれないのに、オレの心は早々に折れ、「こんなの毎日やってるの!? オレに飼育員は無理だな」と、体験イベント開始から30分も経たない内にしっかり悟った。
それでも目の前のサバブロックを何とかしなくてはと、必死になって崩していたら、「皮がめくれるから力任せにやらないで!!」と注意された。
皮がめくれてたって食うだろ? と思いつつも、そこまで求められるのかと、仕事の厳しさはあらためて実感した。何しろ、この作業は日々のこと、なのだからね。
結局、調餌室では氷水との格闘以外に、バラけたサバを軽量し、個体の名前が書かれたバケツに入れていく作業とか、給餌が終わって戻ってきたそのバケツを洗うとか色々と。
最初から最後まで全部やった訳ではないけれど、それだけでも飼育スタッフの大変さはイヤというくらいに体験できた。

調餌室よりも長い時間を過ごしたのが、ファンタジアムのバックステージ。
ショーを準備段階から裏側から見学させてもらった。実際のショーも観客席からではなく、ステージ脇、緞帳に隠れるようにしながらステージサイドからの見学だった。
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そこに案内された時に言われたのが「ここをアシカが通るから、アシカがいる時は動かないで。警戒して噛むかもしれないから」という注意。
そんな説明してくれたのは、雰囲気からしてベテラン感が漂う男性スタッフ。恐らくは現場責任者だったのだろう。オレたち参加者に説明や指示を終えると、着ぐるみペンギンの頭を被りステージへと出ていった。
今でもショーのペンギンはあの時の人が続けておられるのだろうか?
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ショーが始まると、出番を控えたアシカが出てきた。
最初に出てきたメスのアシカはオレに目もくれることなく素早く駆け抜けていったのに、その次に登場する大きなオスアシカはオレの目の前でステイ。その距離は30㎝くらい
大型犬くらいだと思っていたアシカは、目の前で見ると大きさに圧倒されるほどの巨大さ。正直、怖くてチビりそうになりながら言いつけを守り直立不動、というか恐怖に体を強張らせていた。
そんなオレをオスアシカは、誰だコイツ? みたいな顔でチラリと一瞥しただけで特に警戒する様子もなく通り過ぎて行った。ベテランアシカはしなくていいことはしないのだ。
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多分、この個体。08年撮影。

ショーの後はトレーナー体験。こういうプログラムに参加する人の一番のお楽しみだ。
トレーナー氏が連れて出てきたのは小ぶりなメスアシカだった。他の参加者が楽しそうに餌を与えているのを、オレの番はパスでいいのに、と思って見ていたことを思い出す。当時のオレはとにかく海獣が怖かったのだ。
アシカだけでなく、イルカにも指示を出して、何かしらのパフォーマンスをしてもらったと思うのだけど、その記憶がまるでなく、アシカもイルカも怖かったことしか憶えてない。今なら同じことをするにしても、もう少し違った感想を残せたように思うのだけど……
アシカとのトレーナー体験の後は、ファンタジアムのステージを少しだけブラシ掛け。あのステージをデッキブラシでゴシゴシした経験がある人なんて、あんまりいないんじゃないだろうか? 自慢にはなりそうもないが、ちょっと自慢したい経験だ(笑)

その日最後のメニューは、イルカとのふれあい。
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触れたのはこの2頭のどちらか(多分)。08年撮影。

イルカに触ったのもこの時が初めて。
プールの淵に座ったオレの足に身を預けてくるイルカのズシっと来る重量感をやけに意識したこと、新品タイヤのサイドウォールみたいな触り心地だったことはよく憶えている。
イルカをゆっくり撫でていたら、案内してくれたトレーナー氏が「口の中触ってあげると喜ぶんで、触ってあげてください」と。
すると、イルカは体勢を変え、こちらに向けて口をあーん。
当然、そこには細かな歯がずらりと並んでいる訳で…… マジか!! ここに手を入れろと? 再びビビりモード全開。今のオレなら喜んでやるが、当時はイルカのことなんか何も知らないし、沢山の歯が並んだ口の中に手を突っ込むなんて恐怖以外の何物でもない。
だけど“怖い”というのも恥ずかしく、痛い思いや血まみれになることを想像しつつ、意を決して手を出した…… までは憶えているのだけど、口の中の触り心地がどうだったかについては何の記憶もない。
多分、手をちょっと入れたくらい終わったんだろうな。

1日の体験を終え、帰路に就くクルマの中。疲労感と全身から匂い立つサバ臭に包まれながら、何とも言えない充足感に満たされていたことを思い出す。
駆け出しの水族館マニアには、何も知らないイルカやアシカのことを知れる機会だったのと同時に、水族館への理解を少し深めてくれたような1日だった。

懐かしいなぁ、という思いと、こういう記憶が、本当に“かつての思い出”になってしまうことへの残念さ。
やっぱり、よく知った水族館が無くなってしまうというのは寂しいものだねぇ。
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油壷マリンパーク思い出語り Vol.1 [雑談]

残念ながら今月いっぱいで閉館してしまう油壷マリンパーク。

東京住まいのオレには最寄りでこそなかったけれど、それほど遠くないこともあって足を運んだ回数も多く、それなりに思い出を紡いできた施設でもあった。
長い歴史を持つ施設だけに、色んな人がオレと同じように沢山の思い出を作ってきたのだろうと思う。それだけに閉館は残念だが、思い出の一部を文字に残しておきたい。備忘録的な意味からも。

マイファースト油壷マリンパークは37年前。
世田谷区が三浦に所有していた施設(今でもあるのかな?)に小学校の林間学校で行った時のことだ。
その頃の油壷マリンパークはと言うと…… 基本的には今と大きく変わってないない。(その頃から変わってないが正しい?)でも、イルカショープール「ファンタジアム」はその3年ほど前にできたばかりで、まだ新築の匂いが残るようなピカピカの状態。
その時観たショーの内容は憶えていないのに、しっかり記憶に残っているのがショーに登場したオタリアのこと。
“オタリアの〇〇ちゃんです!!”と紹介された黒い海獣を見て、オタリア!? アシカじゃないの? と違和感を持ったからだ。
その頃持っていた動物図鑑に載っていなかったこともあり、オタリアなんていう動物がいることを知らなかったのだ。
という訳で、その時がオレの初オタリア。
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※画像は今年6月に撮影したもの※
もっとも、オタリアとその他アシカ科とを見分けられるようになるのは、そのずっと後のことになるのだけどね。

81年オープンのファンタジアムには太地からイルカが搬入されたが、画期的なことだったらしい。
当時、太地のイルカが供給されていたのは西日本の施設だけ。関東やそれ以北の施設まで生かしたまま運べるのか分からなかったからだ。
その長距離移送に挑戦し、成功させたのが油壷マリンパーク。無事に成し遂げられたことで、以降、他の施設もその後に続き、ここから水族館のイルカは太地から、という流れができたのだ。
もちろん、初めて行った時にそんなことは知らなかったけれど。

水族館1Fのサメ水槽は当時、ピラルクーなどの大型の淡水魚の水槽だったこともよく憶えている。
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とりわけ強い記憶として残っているのが、ピラルクーやレッドテールキャットなどアマゾンの大型魚と一緒にソウギョとかオオウナギが入っていたこと。
当時ウチでも小さなソウギョを飼っていたので、自分の水槽にもいる魚が、憧れのピラルクーと一緒に泳いでる光景に、変な親近感? を覚えたなぁ……
2Fのドーナツ水槽にノコギリエイやシロワニはまだいなかったが、ビックリするほど大きなエイが沢山いたことはよく憶えている。今見たらそれほど大きいものではないのかも知れないけれど、当時のオレにはとにかく巨大なエイが沢山いる!! と驚いのだ。
これまた余談ながら、油壷に初めてのノコギリエイが搬入されたのはその数年後。その時見てはいないのだけど、新聞に載っていたことを憶えている。
今いる個体はその時のものではないが、油壷マリンパークはノコギリエイの飼育、展示にかなり早くから取り組んでいたのだ。

2度めの訪問となったのは、初めてから8年くらい後。この頃、何度か行ってるはずなのだけど、海の魚にほとんど興味のない時期だったからか、この頃の記憶はあまり残っていない。
それでも当時お気に入りだった水槽のことはよく憶えていて、チョウザメ水槽の向かいの角の部分の水槽がアロワナやポリプテルスなど古代魚の水槽で、そこばかり見ていたから。
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2Fのドーナツ水槽が小さなマグロだけの水槽になっていたような記憶も。殺風景な水槽の中、マグロのみがグルグル泳ぎ回る水槽が当時のオレには面白く思えず、残念に思ったような記憶があるのだけど、この記憶はかなり曖昧で、ちょっと自信がない。

その後しばらく疎遠になっていたのだけど、水族館の全国制覇を目指し、手近なところを攻め始めてた頃、油壷に水族館があったことを思い出した。
その前の訪問から15年近くも間が開いたことで結構な変化が。かつていたピラルクーや大型ナマズは姿を消し、ピラルクーがいた水槽にはシンガポールから来た小さなオオメジロザメ(今いるものではない)が泳いでいた。
2Fのドーナツ水槽には、シロワニが3匹、ノコギリエイも5匹もいて、仕切られた区画にイタチザメも泳いでいた。
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昔のコンデジで撮影したその時のイタチザメ。偶然残った1枚。
オオメジロはもちろん、イタチザメを見たのもこの時が初めて。
ノコギリエイにイタチザメ、オオメジロザメ、シロワニやレモンザメもいて、油壷、スゲェ!! と大いに驚かされた。
その頃はまだ行った水族館の数も少なく、オオメジロザメやイタチザメが美ら海水族館にいるらしいことは知っていたけれど、沖縄をはるか遠く感じていた当時のオレには、油壷を介して美ら海水族館を夢見ていた、みたいなところがあったかも知れない。

現在、みうら自然観になっている建物は、当時、DSワンダーという深海生物の展示館になっていて、深海生物専門の展示施設自体が珍しかったのに加え、そこで以前展示されたという生きたミツクリザメの写真を見て“こんなのが展示されたことがあったなんて!!”と心底驚いたこともよく憶えている。
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その時はまさか、生きたミツクリザメをその後何度も見られるとは思ってもみなかった。

大型のサメが充実した油壷マリンパークは水族館マニアとして歩み始めたばかりの当時のオレにとって、もっともお気に入りの水族館だった。
だから、個人的に油壷のピークはその頃だと思ってる。もっともよく行っていたのもその頃。その当時はまだコンデジしか持っておらず、その写真もPCのトラブルの時に失ってしまったので、そのく頃のことは記憶にしか残っていないのが残念。

でも、あらためて振り返ると懐かしいなぁ。

続く…… かも(笑)
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水族館の入館料は高いのか!? [雑談]

水族館の入館料が高い!!

そんな声をしばしば見聞きする。
旅行サイトなんかにあがってる水族館の口コミなんかを見ても“料金が高い”という投稿は比較的よく見かける感想だったりする。

その一方で、水族館好きな人たちからすれば、“安い!!”と思ってる人も多い。
それこそ、このブログを見てくれているような人なら、水族館に大いに価値を見出しているだろうし、支払った料金以上に何かを得ている人たちばかりだろうから、水族館の入館料が高いと感じている人は少ないと思う。

実際、水族館の入館料は安いのだ。

対価以上の感動とか満足感とか、気持ち的なことではなく、物理的に水族館を運営していくのに必要な膨大な経費を考えれば、間違いなく安い。
そもそも、1000~2000円程度のところが多い日本の水族館は世界的に見てもかなり格安で、個人的にはもう少し高くてもいいと思っているくらいだ。
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海外施設は日本より高いことが普通で、欧米だと3000~4000円が多い印象。高いところでは中国の珠海長隆海洋王国など6000円くらいするところもある。
余談ながら、世界一物価が高いとされるスイスのアクアティス水族館の料金が3500円ほどだったことは意外だった。
その料金設定がどう思われているかまでは調べなかったから、高い!! と思っている人がどの程度いるかまでは分からないけれど……

水族館の料金が高いと言ってる人を見ると、どうしてそう思うのか、いくらならいいのか、こういう話題を見聞きする度に思う。

魚や生き物に興味ないから? 面白いと感じなかったから? ショーがなかった(海獣類がいなかった)から?
人それぞれいろいろな理由があるのだろう。それは仕方がない。
オレだって、この水族館にこの料金は高いな、と思った経験は何度かある。
でも、日本人が貧しくなりつつあって、もはや2000円の水族館の入館料すら高く感じてしまうようになっているのだとしたらショックだけれど。

影響しているかも? なんて思っているのが沖縄美ら海水族館の存在。
普段水族館に行かない人でも沖縄に旅行に行けばほぼ漏れなく訪れる観光スポットだが、その入館料は1880円。
滅多に水族館に行かない人がそれを基準に他の水族館を見ると、割高に思えてしまうのかも、と。関係ないかな?
でも、美ら海水族館に限らず、極端に安い公営施設(葛西臨海水族園など)は、民営施設を割高に見せてしまうよなぁ、というのはちょっと気になるところ。

でも、高いと言ってる人に“高くない”理由をどれだけ並べても意味はない。
視点を変えて、“高い”と思う人の側目線で考えてみた。

オレがまず行かない施設。例えば、東京ディズニーランド。
その料金は8700円もするのだそうだ。オレにはとてつもなく高額に感じる金額だが、コロナ禍となる前にはそれでも1800万人近い人が入場していたらしい。
そんなに高額な入園料が必要なのに、日本の主要な水族館が束になっても敵わないような集客数にはただただ驚かされる。

オレにはあまりにも高く感じるので絶対に行かないが、それが3000円だったとしても「えっ!! 3000円もするの!? 高いねぇ!!」と言うような気がする。
なら300円ならいいのか? 流石に300円なら高いとは思わないけれど、それなら行くかと言われれば、多分、行かない。

そこで分かった。
興味がなく、必要としていないものは、いくらであっても要らないのだ、と。

水族館の料金が高いという人も恐らく同じで、それが500円だろうが、150円だろうが、きっと高く感じるのだろうと思う。
つまり、料金が高い!! は、興味がないという宣言なのだろう。

高いと思った料金を支払って展示を見てみたら、とても面白くてハマってしまった、なんてことも起きるかも知れないが、入る前から“高い”(≒興味ない)と言ってる人には恐らくそれも期待できないと思う。

ということで結論。
もし、身近にそういう人がいたなら、例え親しかったとしても、その人とは水族館には一緒に行かない方がいい。
高いと言うその人だけでなく、水族館好きのあなた自身も楽しめなってしまうから。
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さよなら 須磨海浜水族園 [雑談]

リニューアルのため、須磨海浜水族園の段階的な閉館が始まった。
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イルカライブ館やアマゾン館など大半の展示館が2月いっぱいで閉館。本館は現状のまま営業が続くそうだが、それもあとしばらく。
本館もいずれ閉館するが、その時が即ち、これまで見知ってきた須磨海浜水族園の消滅である。

あと何年かすれば、同じ場所に新しい水族館がオープンするのは間違いない。
入館料の値上がりが話題になっていたが、規模もより大きくなるようだし、発表されている計画では、これまでの須磨水族園にはなかった展示などもできるようだ。
老朽化した現施設よりも、そっちの方が楽しみ!! という人もいるだろうと思う。
とは言えオレ個人は、新しい水族館への期待感よりも、現施設の消失する寂しさの方が強いなぁ、やっぱり。

生まれも育ちも東京のオレにとって、須磨海浜水族園は特別馴染み深い施設という訳ではない。
行った回数にしたって、1987年のオープン以降、10回にも満たないと思う。
それでも、どこか特別な思い入れがあるのは、オレが水族館デビューしたのが須磨海浜水族園の前身たる須磨水族館だったからだ。もう45年近く前の話だけれど。

1987年(昭和62年)にオープンした現施設、須磨海浜水族園は、1957年(昭和32年)に開館した須磨水族館を礎に、“同じ水族館”としての歴史を紡ぎ続けてきた。
しかし、新水族館計画とともに指定管理者が変わり、2020年4月からはそれまでとは別の団体による運営がなされるようになった。つまり、その時点で“別の水族館”になってしまったのだ。
例えて言うなら、着ている服が同じでも、それを着る人が変わってしまったような感覚だ。
新たな管理者は、これまでの古くなった服から、新しい服へと着替えようとしている。今回の閉館は、古くなった服を少しずつ脱ぎ捨てていく過程だ。

もちろん、指定管理者が変わるのが悪い訳じゃない!! 管理者が変わったことで、それ以前よりも良くなった施設もあるし、新しい管理者による須磨の新水族館だってこれまで以上に素晴らしいかも知れない。

でも、こういう形で知ってる水族館が無くなることもあるんだなぁ、と思い知ったのと同時に、何とも言えない寂しさが。
無くなってしまう前にオリジナルの須磨海浜水族園に行っておきたくて、指定管理者が変わる昨年3月、行く予定を立てた。しかし、非常事態宣言に阻まれ、水族館も閉館したまま管理者の変更を迎えてしまった。
行けないまま終わってしまったことは大変な心残りだが、閉館中にひっそり水族館を離れることになった関係者の人もいたのだろうなぁ…… なんて考えると、ちょっぴり切なくなる。

須磨海浜水族園と言えばコレ!! みたいな展示が個人的にいくつかあった。
新水族館にそれらが引き継がれることは恐らくないのだろうけれど、ノコギリエイの標本とロングノーズガーだけはできれば引き継いで欲しいなぁ、と思う。
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ノコギリエイの標本はオレが初めて行った頃からあって、その記憶も残っているが、以降、それを見る度に“須磨に来てるんだ”と意識させてくれる存在になってた。
昔からあったのは知っていたが、オレが生まれるより前(1971年)からあったそうで、ソマリアから来たものなのだそうだ。
ノコギリエイは生きたものを日本国内の水族館で見ることができるが、今現在、日本にいるものとは産地が異なるという点で、もしかしたらそれらとは違う種類かも知れないし、今となっては標本ですら海外から入手するのがほぼ不可能になってることを考えれば、貴重な財産と言っていい。

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そしてロングノーズガーは、1977年に須磨水族館で産まれた個体が現存している。須磨水族館時代にも展示されていたはずで、オレも見ているのだろうけれど、生憎その頃の記憶が残っておらず、須磨のロングノーズとしての認識は海浜水族園になって以降のこと。
しかし、産卵やふ化の日が明確に分かる個体が何年生きるのかが分かる貴重な例であることは間違いないし、あの大震災をも生き延びて展示が続けられていることなど、そういう意味でも“財産”ではないかと思う。

これらを残して欲しい理由はジジイが昔を懐かしみたいからというだけでなく、この2つは須磨水族館時代から展示され続けている“須磨の水族館”の歴史そのものだからだ。
あの場所にある須磨海浜水族園の後継施設として、その歴史も部分的にでも引き継いでもらえたらな、と思ってしまうのだが、それまでとは関係のない別組織によって“違う水族館”になってしまう以上、やっぱり無理な相談かなぁ?

現在発表されている計画では、これまでとはずいぶん雰囲気の異なる水族館になるようだし……
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いつまでもあると思うな水族館 [雑談]

先週、1月末のことだ。
何気なくTwitterを眺めていると、驚きのニュースが目に飛び込んできた。

志摩マリンランドが営業を休止するという。
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タイトルは犬吠埼マリンパークが閉館した時、某SNSに書いたものだが、今回再び、それを思い出した。
志摩マリンランドがそうなるとは思ってもみず、まずは大いに驚いた。

その日の内に出た新聞報道や、その後のTweetなどを見る限り、休止といっても事実上の閉館のようだ。
その理由として施設の老朽化と説明されていたが、開館から50年。確かに老朽化も激しかったのだろう。そこに昨今のコロナ禍である。弱っていたところに止めを刺された、みたいな感じだろうか。

水族館(の建物)は劣化が速い。同じようなサイズ、構造の建物と比較しても、ずっと速い速度で傷みが進行するのだそうだ。
その理由は主に海水。建物内に満たされた海水は少しずつ躯体を蝕み、新築から20年もすれば傷みが目立つようになり、補修が必要になるという。
30年もすれば施設の傷みはかなり激しくなるらしく、大規模リニューアルされる水族館はそのくらいの頃に行われることが多い。
例えば、葛西臨海水族園のリニューアル計画が公表されているが、その葛西も今年で32年めを迎える施設である。

開館から50年を迎えるという志摩マリンランドは、お客から見えないところはかなり傷んでいるのだろうと思う。それも、ボロボロと言っていいくらいに。
フルリニューアル計画みたいな話が出たこともあったのかも知れないが、新しい水族館を作るには少なくない費用が必要だ。残念だが、その投資を行うのは難しいと判断されてしまったのだろう。

でも、これは志摩マリンランドだけの問題ではない。
老朽化していると思われる古い建物のまま、営業を続けている施設は他にもあるし、それらの施設だってコロナの影響は等しく受けているはず。
今回の志摩マリンランドのように、ある日突然、閉館のアナウンスを聞かされるなんてこともあるかも知れない。
もちろん、そんなことが起こらないことを願うばかりだが……
そうならないようお気に入りの施設にしっかり足を運びたいところだが、このコロナ禍の世の中、それができにくいことも何とももどかしい。

このご時世、いつまたどんなことが起きてしまうかは分からない。
無くなったら困る、行けなかったら後悔する、などの施設があるなら、行ける時に多少の無理をしてでも行っておくことを強くお勧めしておきたいのだけれど……

新しくできる水族館に比べれば、無くなる施設は少ないが、無くなってしまうとなるとやはり寂しいもの。
それでも救いと言えるのは、突然閉まってしまった犬吠埼とは違い、志摩マリンランドは営業終了まで別れを惜しむ若干の時間的余裕があること。
オレの住まう東京は緊急事態宣言が延長されてしまったが、それが予定通りに解除されれば、最後にもう1度行ける!? かな!?
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2020年を振り返って [雑談]

2020年は良くも悪くも記憶に残る1年だったと言っていいと思う。
水族館好きにとっても、実に印象深い年だったのではないだろうか。

まず、何と言っても四国水族館、DMMかりゆし水族館、カワスイと、新しい水族館が3つもできたし、新しい水族館へと生まれ変わった足摺海洋館も含めれば4施設のオープンがあった。
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さらに、クラゲの新展示が4つもオープンしたこともトピックスだった。
2020年の日本の水族館は、その歴史におけるヴィンテージイヤーだったことは間違いない。ただ、コロナ禍が大いに災いしたことで記念すべき年を大いに満喫できなかったことは残念だった。
今年オープンの水族館や水槽にとっては、十分に話題にできなかったり、予測していた集客(≒収入)を得られなかったりしたことは、本当に気の毒に思う。
今年こそ、昨年の分も取り返して欲しいところだが、明けて2021年、いきなり非常事態宣言が発出されたりと、何とも暗雲垂れこめたような出だし。
どうなることやら……
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個人的には色々な意味で“勉強になった”年だった。
水族館の関係者でも、水族館を作る訳でもないのに勉強になったというのも変な話だが、新しくできた水族館がそれぞれの方法や見せ方で“新しさ”や“それまでなかったもの”を生み出そうとしたチャレンジやその結果を見ることができたことで、多くの“なるほど~!!”という発見? 驚き? 感心? を得ることができたからだ。
そして、新しい水族館以上に勉強になったのが、サンシャイン、すみだ、京都、大洗の4つのクラゲ新展示。
例えるなら、4人の料理人が同じ素材を使って同じものを作ったはずなのに、まるで違ったものができあがった、みたいな感じだろうか。
それぞれの違いは、同じミズクラゲの大水槽ながら、こうも違うものができあがるのか!! と単純に面白かったし、これまた“なるほど~!!”と感心させられることも多く得られた。
好みもあるかも知れないが、個人的にはサンシャインが1番だと思う。次点は京都かな?
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ところで今年は水族館にこうしたニュースは何かあるんだろうか?
こんな世の中になってしまったこともあるけれど、新しい水族館とかリニューアルのニュースなど、そういう話はひとまず聞こえてきてはいないけれど……

生き物のニュースとしては、アクアマリンふくしまで11年ぶりに展示されたバショウカジキがやはりトップだろうか?
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身震いするほど、みたいなものはあまりなかったような気がするけれど(カジキに関しては11年前にそれを済ませているから)、コロナに翻弄され続けた割に、初めて見るようなものにも何度か遭遇できたり、水族館の関係者の皆さんには頭の下がる思い。

ただ、2011年以降、毎年続けていたサケ遡上遠征を自粛してしまったり、2010年以降、毎年1回以上は必ず行っていた竹島水族館についぞ足を運ぶことができなかったりなど、結果的に行けなかった水族館もいくつかあった。
とは言え、コロナ禍の中にあって、35もの施設に行けたことはラッキーだった。

ラッキーと言えば、世界中でコロナが猛威を振るいだす直前にドバイの水族館に行けたことも大きい。
比較的新しい海外の水族館を見られたことは、これまた色々な意味で大きな収穫だった。
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日本にはない規模の大きな水槽を泳ぐ魚たちの多くが、これまで見たことのないものだったことも手伝って、久しぶりに心の底から水族館を楽しんだような気がしたし、それらの見せ方に、その国の嗜好性みたいなものを感じられたりと、大きな満足感が得られた。

これを契機に、他の国々の水族館も見てみたい!! そう強く思うようになったものの、その後のコロナ禍で、海外何て行けるようになるのがいつのことになるのか分からない世の中になってしまい、この先、行ける日が来た時に、オレ自身が行ける状態にあるのか? とか、気になることも多々あるが、まずは気兼ねなくどこにでも行ける世の中に早く戻ってくれることを願うばかり。

ホント、今年はどんな年になるんだろう? ひとまず今以上に酷くなりませんように……
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アートアクアリウム美術館(東京) [雑談]

アートアクアリウムに行ってきた。
期間限定のイベントとして、これまでも各地で何度も開催されてきたものが、常設となったらしい。
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もともとイルミネーションとかプロジェクションマッピングとか、そういうものにまるで関心がなく、見ても“ふーん”以上の感想を抱かないオレからすると、アートアクアリウムはまったく“刺さらない”もの。
おまけに、金魚もあまり好きじゃないとくれば、まさに行く理由がなく、期間限定イベントの時代から、1度も足を運んだことがなかった。

それが、ちょっと見に行ってみようかな? となったのは、昨今、話題になっていたから。
SNSから火が付き、それに追随してTVでも取り上げられていたそうだが、とにかく中の金魚が酷い状態らしいのだ。
実際、Twitterで多く流れてきた写真は、金魚好きの人なら間違いなく気分を悪くしそうなほどの悲惨なもの。
とは言え、行こうと思ったのは、阿鼻叫喚の地獄絵図を見たかったからじゃない。
本当にそんなに酷い状態でやっているのか、という部分も気にはなったが、それ以上に、どんな人たちが、どんな風に楽しんでいるのかを見てみたくなったのだ。

期間限定とは言え、これまで何度も開催されていて、それを常設にするというからには、ある程度以上の集客が見込めるからなのだろうし、2300円という決して安いとは言えない観覧料が必要で、それを支払ってまで見に来るお客はどんな楽しみ方をしているのか。
自分のよく知る世界のフリをした見知らぬ世界。そう考えるとちょっとワクワクする!?

入館するといきなり、このイベントの作り手である木村某氏の言葉……
どうやら、自己顕示欲の強めな人らしく、会場各所に実績アピール的な表示があり、それがちょっと鼻につく感じ。
まぁ、この人のイベントなのだろうし、好きにすればいいんだけど、見に来ている人たちはその人自体には興味や関心ないんじゃないかなぁ?

それはともかく、2300円もするだけあって、まぁまぁな水槽数。ここでは“水槽”ではなく“作品”だそうだが…
そのすべてに金魚(一部、錦鯉)がひしめいていて、魚の数もそれなりに、というか水量に対してかなり多め。
会場は全体が“和”テイストで統一されているが、詫び寂びというよりは、もっと毒々しい雰囲気。キルビルに出てくる日本、みたいな印象。
館内はかなり暗く、水槽(中身じゃなくて水槽そのもの)が照明の効果もあってしっかりよく見えるようになっているが、その照明はどぎつい色で、かつ目まぐるしく変化する。
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“作品”だけに水槽はしっかり見える反面、金魚の色はよく分からない。白と黒の金魚なのかと思って見ていたら、照明の色が変わった途端、赤と白の金魚だったことに気づく、みたいな具合。行く前から分かっていたことだけど、金魚そのものの綺麗さとか可愛さを紹介するための“展示”が目的ではないことを実感する。そういう意味では“普通の水族館”として楽しむ施設ではない。
なお、中を泳ぐ金魚たちに、Twitterで盛り上がっていたみたいな悲惨な状態のものは見当たらなかった。入れ替えた? のだろうね。
各水槽は水が溢れるようになっていたり、上が開いていたりなど、水そのものが人と近い。
あれだけの数の金魚が泳ぐ水だけに、臭いが気になるところだが、会場は線香みたいな匂いが充満していて、よほど水に鼻でも近づけない限り、いわゆる金魚水の臭いは感じなかった。
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こうした色とりどりの水槽にはどこか見覚えがあった。
記憶を辿ると、アクアテラス錦が丘を思い出した。
もしかしたら、ここの作り手の弟子とか関係者? そう思うくらいによく似ていた。アクアテラスが目指したものはこれだったんだろうな。
他にも、どこぞのクラゲ水槽を連想させるような水槽もあったりして、どちらが先かは知らないけれど、水族館へも影響を及ぼしている? そんな風に思うものもいくつか。

来ているお客は、普通の水族館みたいに小さな子連れファミリーもいたが、圧倒的に女性、それも比較的若めな年齢層の人が多い模様。
そんな人たちは、水槽を近くで見るより先に、スマートフォンを向けるのが流儀らしい。その後、水槽をバックに自撮り、みたいな光景をそこかしこで見掛けた。
観覧者から“綺麗~!!”という声が聞こえることは何度もあったし、イルミネーションとか電飾とか好きな人なら、普通に楽しめるのだろうと思う。
魚好きや金魚好き、飼育を趣味にする人と、そうでない人との感じ方の差みたいなものも顕著で、大きめの丼みたいな水槽? に入った琉金を見て、オレは“これ、ずっとここに入れておくのかな?”と、まずは気になったが、同じ水槽を眺めていたカップルは“可愛い”“こういうの好き”と好評な様子。
そういうのも、違った文化に触れてるような感覚だった。
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先にも書いたように、水槽の数は多い。しかし、水槽の形や大きさこそ違えど、賑やかな光に照らされた中に金魚が入っている、という点ではどれも同じ。
中に入っている金魚は、全部に違った品種が入っている訳でないことも、形の違う同じものを見続けてる感につながっているような印象だった。
そのため、入館して3つめのフロアあたりで、もういいや、な気分になり、出口に向かってしまった。
なお、一度出口まで来てしまうと、基本的に“もう1周”はできないそうだ。
ちなみに、観覧時間30分弱。感覚的には1分100円な感じ? そう考えると高いなぁ!! と思うけど、知らない世界を覗き見るための費用だと思えばまぁ、納得。
分かってはいたことだけど、オレには“合わない”世界であることを再認識した。
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とは言え、それはオレの問題。水族館好きなら漏れなく否定的な印象を抱くという訳でもないのだろうし、もし、何かしらの興味を引かれたなら、行ってみるのも悪くないのかも。
それが“いいもの”とは限らないけれど、何かしらの発見はあると思うから。
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