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ゴビウスの大水槽とアリゲーターガー [雑談]

かにっこ館の翌日はゴビウスへ。11年ぶりの訪問だ。
のんびりと周辺施設も見学したりして、楽しい再訪となった。

順路最後に現れる宍道湖大水槽。通路を挟んで向かい合う左側(淡水側)に、本来宍道湖にはいないはずのアリゲーターガーが入っていた。
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90㎝弱くらいの、あまり大きくない個体だが、それ以前に顔が歪んでいて、ヒレも変形している。正直、かなり残念なクオリティの個体。
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水族館では、その魚本来の姿形からかけ離れた状態のものは展示して欲しくないと常々思っているので、その考えからすると“あり得ない”ものではあるのだけど、この個体に関しては残念さ以上に、飼育し続けてくれているゴビウスへの感謝が先に沸き立った。

この個体は松江市内の川で捕獲されたものなのだそうだ。
クソッタレ飼育者が不法に遺棄したもの、ということ。狭い水槽で無理な飼われ方をしていたのだろう。顔やヒレの変形は遺棄される前の飼い方に問題があったからなのだろうと推測する。

同じく外来の野良生活者でも、保護され、引き取り手を探してもらえるネコとは異なり、アリゲーターガーは見た目やイメージ、さらに特定外来指定種であることもあり、見つかれば捕獲され、殺処分されてしまうのが普通だ。
しかし、ゴビウスにいる個体は、保護され、安定した飼育環境を得るという、奇跡みたいなラッキーに恵まれた稀有なケース。
見つかったのが特定外来になる前だったから、というのもあるのだろうが、水槽は十分な広さがあるし、攻撃したりヒレを齧るような同居魚もいない。
恐らく死ぬまでこの水槽でのんびり暮らせるのだろうと思う。

この個体が産まれてこれまでに辿ってきた人(魚)生を想像すると、心の底から「よかったね!!」という思いが湧き上がってくるし、同時に、展示向きとは言えないクオリティの個体なのに、ちゃんとした環境で飼ってくれてありがとう。あらためてゴビウスに感謝したくなった。

ゴビウスに来る人にアリゲーターガーを紹介する存在となったのだから、本来のカッコよさを伝えられるような個体であって欲しかったともあらためて思うが、この個体だからこそ伝えられることもある。バカな飼育者がいたこと、こんな魚を非常識な安値で流通させた業者、そしてその結果、特定外来生物とされてしまったことなどの愚行の数々を。

アリゲーターガーを眺めながら、いろいろな思いを巡らせていると、背後から視線を感じる。振り返ってみると……
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クエ。30㎝くらいの小さな個体。
ずっと通路側を向いていて、オレのことを見てる? みたいな感じ。若い個体ならではのピカピカしたような肌つや感と、綺麗な目。
サイズの小ささもあって、“なんて可愛いんだ!!”と顔がにやけてしまう。

こういうのを見る度に思うのが、このくらいの大きさで止まってくれるならウチに連れて帰りたい…… というヤツ(笑)

もちろん、家でクエを飼うことはないが、大型ハタは大きくなると置物のようになってしまうから、そうなる前のこの可愛さをずっと楽しめるといいなぁ、と。
とは言え、この子がずっとこの大きさのままいてくれたとしても、ゴビウスは遠いのでそう簡単に会いに来ることはできないのだけど……

この可愛いクエも含め、その体色は派手と言えるようなものではなく、華やかさという点では一般的な淡水魚とも大きくは変わらないな、と。
淡水魚といえば、ネット記事などで度々“地味”と言われてしまい、それが主役の水族館というと地味だから面白くない、的な紹介をされてしまうことも少なくない。
ゴビウスは淡水魚専門の水族館ではないものの、それこそ地味と言われてしまいそうなハゼ類など小さな淡水魚も多く展示されている。
色味はたいして変わらないのに、どうして淡水魚はいつも地味だと言われてしまうのか。タイやスズキ、コショウダイなどが泳ぐ水槽を眺めながらふと思った。
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大きさ、なのかなぁ?

水槽にはマダイとクロダイとヘダイがいたが、40~50㎝はあろうかというそれらはじっくり眺めるまでもなく赤いのと黒いのと丸いの、くらいの区別ができる。
しかし、10㎝に満たないタナゴやモロコ、ヨシノボリなどが入った水槽で同じような3種類を見分けるには水槽を横目で眺めるだけでは無理で、しっかり観察しなくちゃならない。それ以前に水槽内を逃げ惑う小魚は観察することも簡単でないことも多く、興味が薄い人なら、色のない小魚が泳いでた、くらいの印象しか残らないかも知れない。

同じ銀色の魚でも簡単に見られて、区別もできる海の魚と、小さく見にくい淡水魚。
「淡水魚=地味」というイメージはそうしてできたものでは? なんてあらためて思ったのだけど、どうだろう?

水槽を眺めつつ、そんなことを考えていたら、目の前にひと際大きな魚が降りてきた。
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マツダイ。
水面に向かうエアーレーションの上で横になって漂っていたらしい。
個人的に好きな魚のひとつだが、水族館では意外と短命らしく、見掛ける機会のあまり多くない魚だ。
しかも、こんなに大きい個体となるとなおさらに。

でもさ、地味か派手かで言えば、やっぱり地味だよねぇ。海の魚だけど……
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コメント 3

Kazu

以前、アクアスに行ったときにゴビウスまで足をのばすか迷ったのですが、やはり良い環境なのですね。小さいながらも、宍道湖固有のハゼなどが紹介されていて、一度見てみたいと思っていました。夏に山口にいくときに、今度こそ行ってみたいと思います。
by Kazu (2022-04-17 18:51) 

ミストラル

>kazuさん

規模の大きな水族館ではないですが、綺麗で味わい深い施設だと思います。
いい水族館ですよ。

でも、山口から行くのはちょっと大変そうですが……!?
by ミストラル (2022-04-23 14:29) 

Kazu

やはり山口からだと、行けてもアクアス止まりでしょうか(笑)岡山を起点にしたら、ギリギリ…??
by Kazu (2022-04-23 15:34) 

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