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油壺マリンパークでダイオウイカに遭遇 [無セキツイ]

少し(かなり?)前の話だけれど、油壺マリンパークにオオメジロザメのメスが搬入された。
知っているスタッフ氏と顔を合わせた時、それについて聞いてみたら「ヤジブカも来たんですよ」と教えてもらった。
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見に行かなきゃ!! と思っている間に世間は夏休みシーズンに突入。結局、見に行くことができたのは9月も半ばになってから(汗)

目的のサメの水槽に向かうと、その周辺にはTVの取材と思しき人たちが陣取っていた。
それもひと組みだけではなく、複数のチームがいたようだ。
目的はダイオウイカの標本らしく、その前で小さな子供などに「今日はダイオウイカを見に来たの?」みたいなインタビューをしていた。
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頭を上に固定しているのは、窪寺博士のこだわり? らしい。

オレはというと、ダイオウイカの標本は今までも何度か見たことがあったし、それに比べると随分小さかったので、そちらに背を向けるようにして、ヤジブカに夢中になっていた。
それもオレがモノを知らなさすぎるが故の行動だったことが後で判明するのだけど、そんな時、オレにそれらのサメのことを教えてくれた知り合いのスタッフ氏に遭遇した。

イカの標本を指さして「今日はこれですか?」
「いや、サメを… 」と間抜けな答えをするオレに、
「今日からですよ!!」と、そのスタッフ氏。
狙ったワケではないけれど、図らずもダイオウイカの標本の公開日に当たってしまった。
しかも「2時から窪寺先生の講演もありますから、聞いてってください」と、とっておきの情報まで。
窪寺先生とは、ダイオウイカの研究で一躍、時の人となった科学博物館所属の博士である。
昨年、NHKで放送されたダイオウイカの生体映像は世界的な話題となったが、その映像を撮影した潜水艇に乗り、生きたダイオウイカを観察したその人、である。

正直言うと、オレはダイオウイカにはそれほど興味もない。
それがどんなに貴重なものだとしても、標本や剥製には今ひとつありがたみを感じにくい。
オレは生き物好きだから、見たいのは、“生きた姿”なのだ。
ダイオウイカを始めと、深海生物に対する興味が薄いのは、生きた姿が見られないから、というのもあると思う。

しかし、その研究の第一人者が聞かせてくれる話には、大いに興味があった。
オレが知らないことを山ほど知っていて、そしてオレがしたことがない、できない経験を数多くしてきた人である。そんな人が話す話がつまらないワケがないのだ。
しかも、今では超人気で超多忙なはずの人。聞きたいと思っても簡単に聞くことはできないだろう。そんな人の話を、入館料のみで聞けちゃうというのだから、油壺マリンパークの太っ腹ぶりにひたすら感謝、である。
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話の内容は、窪寺博士がこれまで調査してきた、種同定の話がメイン。
見つかった体の破片から、何種類も記載されてきたダイオウイカ。全部同じ種類であるという論文もある中で、果たして1種類なのか、それとも何種類もあるのか、ということを長らく調査してきたのだそうだ。
その調査内容、方法等が聞かせてもらえたのだけど、大変興味深い内容で、講演が始まって10分もしない内に、オレはすっかり話に引き込まれてた。
窪寺博士の話は、一般の人に向けて、適度に軽く、そして情熱的で、いくらでも聞いていたい… そんな聞き心地のよさ、なんて言っては失礼だが、それがあったように感じた。

小さい子の多さにも驚いた。
幼稚園くらいから、小学生くらいだろうか。とにかく小さな子が多くいた。
それも何となく参加したワケではないようで、どの子も一様にダイオウイカの本を携え、質問を募れば「触腕が~」なんて、質問する子。
オジサンはキミくらいの年齢の頃、触腕なんて言葉、知らなかったぞ!!
講演が終了すれば、窪寺博士の周りをそうした子たちが取り囲み、記念撮影やサイン責め。
ダイオウイカ博士は、今や少年少女のアイドルだったらしい(笑)

ダイオウイカは繁殖生体がまったく分かっていないそうだ。
これまで幼体が見つかったことが1度もないから。
オレが“小さい”を理由に驚かなかった油壺の標本は、むしろ、小さいからこそ驚くべきものだったのだ。
こんなに小さいものは珍しいらしく、また、解剖では墨袋が大きく、捕獲時には墨を吐いたことも報告されている。
つまり、若い個体は墨を吐く意味のある場所、光の影響がある浅い場所に住んでいる可能性があるということ。
ダイオウイカの生態が解明されるきっかけになるかも知れない、貴重な1匹、だったのだ!!

確かに、“深海の巨大イカ”という雰囲気ではないけれど、逆のこのサイズ(小さい)ものは超稀少。そういう意味では、とても貴重な、価値ある標本と言える。
ダイオウイカ好きはもちろん、窪寺博士の後に続く、未来の頭足類博士は、見て、知っておくべき1体じゃないかな?

それにしても、偶然、こんな機会に遭遇するオレの水族館運のよさ、凄いね!!
それと同時に、図らずもこんな機会をオレにプレゼントしてくれた油壺マリンパークには、ひたすら感謝。
というワケで、サメの話は次回に続きます。

加茂水族館の気になるクラゲ・その2 [無セキツイ]

前回の気になるクラゲが概ね好評だったようで、知人から続編希望も頂きました(笑)
というワケでクラゲの話をもうひとつ。
クラゲの話なんて、これがもう最後になるかも? そこはオレのブログだからね。

加茂水族館のクラゲたちが綺麗だったというのは、前のブログでも書いた通り。
照明やその当て方など、クラゲ水族館ならではの見せ方のノウハウがあるのだろうと思うのだけど、クラゲそのものもやはり綺麗な個体を揃えているのだろうなぁ、と。

例えば、人気が高く、多くの水族館で見掛ける機会の多いカラージェリー。
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記念撮影用の水槽に何となく入ってるという感じでいたんだけど、その水槽だけは、他の種類みたいなこだわりを感じなかった。と言うか、とりあえずいます、みたいな感じ。
どこででも見られる種類だからか、“こんなのはウチで見せるまでもないでしょ?”的なプライドか?
でも、そんな水槽の中を泳ぐものは、余所の水族館で見るものよりも大きく、青みも強い。
クラゲの個体の良し悪しはよく分からないのだけど、素人目にも“良さそう”に見えるのだ。
やはり、クラゲ水族館だけに、扱い方などが違う、ということなのだろうか?

ポコポコよく動くカラージェリーは可愛らしいと人気だが、形の可愛さで言えばコティロリーザ・ツベルクラータもかなりイケてる(と思う)。
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以前、エノスイでも展示されていたことがあって、その時に「綺麗なクラゲだなぁ」と印象に残った種類で、久しぶりにその姿を見た。
所々が紫色に彩られた口腕だか触手だかがこの種類ならではの美点。傘の部分は典型的なキノコ型で、カラージェリーみたいにポコポコと泳ぎそうなのに、実際は漂っていることが多く、ほとんど動かない。
地中海産のクラゲだそうで、クラゲに力を入れている水族館でなら時々見られる。
加茂水族館にいたものも、エノスイで見たものも小さかったけれど、意外と大きくなる種類らしい。

可愛らしいクラゲ、それもポコポコ動いて色も可愛らしかったのがビゼンクラゲ。
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似たようなスナイロクラゲとか、タコクラゲもいたけれど、色や形はビゼンクラゲが一番可愛らしく思えた。
あのエチゼンクラゲとも近いらしく、そう言えばフォルムも似ているような…
展示されていたものは大きなものでも拳くらいの大きさだったけれど、これもかなり大きくなる種類なのだとか。
余談だが、このビゼンクラゲ、水族館の生き物というより、食材としての方が知名度が高い種類らしい。

オレ好みな種類をもうひとつ。ニチリンヤナギクラゲ。
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前のブログでも書いた通り、クラゲの写真を撮る場合、この手のヒラヒラ系が一番楽しい。
傘が丸いタイプと比べると、フワリフワリとした動きが優雅で、触手や口腕もヒラヒラ長くゴージャスな感じ。
動きもゆったりしていて撮りやすいし、何より綺麗に写ってくれる(ような気がする)から。そこがお気に入りの理由(笑)
並びの水槽にいたヤナギクラゲも綺麗だったけれど、少しアカクラゲにも似たこちらもなかなかでした。

ゆったりふんわり漂うビラビラ系クラゲに対して、今ひとつ気分的に盛り上がらないのが有櫛動物系のクラゲ。
光を反射してキラキラしているのは見ている分には確かに綺麗なんだけど、造形的には刺胞動物のクラゲの方がやはり綺麗な気がするのは単に好みの問題なのか?
写真を撮るのも悩ましくて、形はシンプルなものが多い反面、だからこそどこを狙えばいいのか困ってしまうのだ。
そんな有櫛動物系クラゲも沢山いたけれど、個体数も膨大だったのはシンカイウリクラゲ。
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その名の通り、深海に生息する種類だそうだけど、庄内浜では春に浅場で見られるのだとか。
そのせいか、水槽内には奥が見えないくらいの数がひしめいていて、ちょっぴり不気味に思えたほど。

次に加茂水族館に行く機会があるのなら、それまでにどうすればこの手のクラゲがカッコよく見えるのか答えを探す、というのがとりあえずの課題だな。
やっぱり、動画、なのかなぁ…!?

加茂水族館 クラゲドリーム館の大水槽 [無セキツイ]

新しい水族館ができる時、その館を象徴するような大(フラッグシップ)水槽が作られる。
その水族館が紹介される時には、必ずその水槽の画像や映像が使われるような、その水族館の顔とも言うべき水槽だ。

加茂水族館は世界一のクラゲ水族館であるからして、当然、そのフラッグシップ水槽もクラゲの水槽とされていることは言うまでもない。
大量のミズクラゲが漂う大水槽… その話は新しい加茂水族館がオープンするよりずっと前から、それができる(作られる)ことが公表されていたけれど、どんなに大きくても直径30㎝にも満たないミズクラゲを、いくら大量とは言え、大水槽で展示するなんて… 
デカけりゃいいってもんでもないだろう、実はそんな風に思っていた。

オープンの直前、完成した水槽の画像が公開されているのを見た時、大きな水槽の中を漂う白い小さなクラゲが、まるで宙を舞うホコリみたいに見えて、“ほら、やっぱり綺麗じゃないじゃん!!”と思っていたからだ。
実際に新生加茂水族館に足を運び、この水槽を前にした時、そこにあったのは自分が考えていたものとは違うものだった。
実際の水槽は、写真などで見たものとは、クラゲの大きさと密度、何より照明の色や光の向きなどがまったく違っていて、ひと目見ただけでその綺麗さに驚かされた。
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それまで、ミズクラゲで大水槽なんて、と思っていたオレの考えは瞬時に覆り、これはアリだな!! と考えを改めることに(笑)
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そんな力強い説得力を持ったこの大水槽、その前に立てば直径5mの大きな丸いアクリルパネルは、青い壁のようにも見えるけれど、容量はたったの40tと、数字上では大水槽と言うには小さすぎるくらいのもの。水量に対するパフォーマンスは随一かも知れない。
しかし、この大水槽がフラッグシップ水槽として機能し続けることができるのは、加茂水族館のクラゲ飼育技術があってこそ。
1日あたり最大で1000匹ほど殖やせるという量産体制? が整っていて、必要な数を常時確保できるからこそのミズクラゲ大水槽な訳なのだからね。

大水槽の主役を務めるミズクラゲは、加茂水族館にとっても大切な存在なのか、クラネタリウムの中でも、そこまでの展示の流れとは分けられた、独立した展示コーナーが与えられている。
大水槽もそのひとつなのだけど、その前にある2つの大きめの水槽には、大水槽に行く前の状態の小さなクラゲが無数に漂っている。
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こちらはオレが最初に思ったみたいな、漂うホコリみたいであまり美しくはないんだけど、大水槽を楽しむための序章と思えば、これもアリなのかな?
しかし、水槽の前に腰を下ろし、壁のようにそびえる大水槽を見上げていると、何となくゆったりした気分になってきて、水量の話とか、クラゲの量産体制とか、そんなことどうでもよくなってくる。
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水中をふんわりと、ゆったり漂うクラゲたちを眺めていたら、知らない間にそのまま寝落ちたりすることもあって、気付くと数十分が経過してた、なんてことも。
パッと見ただけでも綺麗な水槽だけど、できれば、水槽の前のベンチに座って、水槽全体をじっくり眺めてみて欲しい。
クラゲとそれを通して見る水のゆったりとした動きが、リラックス効果とでも言うのか、ゆったりした気分にさせてくれるのがこの水槽ならでの魅力だと思う。
水族館を評価する言葉としては、個人的に好きではないので普段は使わない“癒し”なんて言葉がしっくりくるのかも知れない。
いろいろな意味で、加茂水族館らしい大水槽だと言えると思う。

クラネタリウムにはもうひとつ、大水槽をそのまま小さくしたみたいな大きめのクラゲ水槽があって、大きなサムクラゲが1匹で展示されている。
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巨大なサムクラゲも、ミズクラゲの量産体制があればこその加茂水族館ならではの展示のひとつ。
英名では目玉焼きクラゲなんて呼ばれているけれど、ここまで巨大化すると溶き卵みたいな色は無くなり、白い巨大な塊みたいになってしまうんだなぁ、と。
種類の珍しさ、という意味では、大水槽のミズクラゲよりもこちらの方が稀少なので、こちらもお見逃しなく!!
と言っても、綺麗なのはミズクラゲ大水槽の方、なんだけどね。

加茂水族館クラゲドリーム館の気になる魚ならぬ、気になるクラゲ [無セキツイ]

加茂水族館の話題が出る時、枕詞のように「世界一のクラゲ水族館」と紹介される。
村上館長のインタビュー記事などでも、館長自らがクラゲ水族館と紹介してるくらいだから、魚なんていないのかと思ってた。
でも、実際に行ってみると、淡水魚から海の魚まで、地元の魚たちが思った以上に展示されていた。展示全体の1/3くらいにはなるだろうか。
しかし、その印象は薄い。身近な種類が中心だからか、はたまたオレの好きな魚が少ないからか。いやいや、そこはやはりクラゲ水族館だから、なのだろう。
世界一のクラゲ水族館では、魚なんて気にならないのだ。
と言うワケで今回は、気になるクラゲ。

個人的にあまり興味のない対象だったこともあって、真面目に写真を撮ったりすることもなかったのがクラゲ。
たまに気まぐれに撮ってみても、まともに撮れることがなく、オレには撮れないもの、みたいなイメージがあった。それが加茂水族館に足が向かない理由にもなっていた。
しかし、昨年、「水族館で珍に会う」の時、本のプロデューサーでもあった中村元氏が撮った写真を見た時、クラゲや無脊椎など、自分が撮れないものの写真の良さがとりわけ強い印象に残った。
中村氏は常々、水族館の生き物に特別な興味はないと公言しているけれど、それでもあれだけ撮れていることを思えば、興味の有無なんて関係ないと証明されてしまったみたいなもので、オレもクラゲを撮れるようになりたい!! と、練習を重ね、気のせいかも知れないけれど、昨年の海きららでちょっとした手応えを感じた。
もう加茂水族館に行っても平気かも知れない、と。
加茂水族館ではいつになくクラゲの写真ばかり撮ったけれど、撮れば撮るほど難敵だ。何しろ、眼がないから、そもそもどこを狙ったらいいのか分からないからだ。

そんな苦労をしつつ、真っ先に狙ったのがハナガサクラゲ。
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山形花笠祭りの花笠が名前の由来だそうで、それもあって加茂水族館の象徴のような種類、とのこと。
余所の水族館でもしばしば見掛ける種類だが、大抵は何かに絡まってジッとしてる、そんな印象しかない種類だった。水族館では泳ぐのを止めてしまうらしい。
しかし、加茂水族館で展示されていたものは、サイズこそ小ぶりだったけれど、水流に乗って漂うという、クラゲのあるべき姿? を見せてくれた。
こんなに綺麗な種類だったんだ!! と初めて思った。実はオープン日に行った友人が撮った動画を見て、その綺麗さに驚き、行く前から狙っていたのだ。

その並びにいたサラクラゲも印象的な綺麗さを持った種類だった。
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大きさは手のひらくらいか、少し大きいくらい。
透明感の強い傘からは、よく目立つ大きな十字の生殖腺が目を引く。
それがまた、触手をなびかせながら、いかにもクラゲらしい動き方でぴょこんぴょこんとよく動くのも魅力的に見える要因だったんだろうな。

同じくその並びにいたキタユウレイクラゲもやはり強く印象に残った。
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オレ的にはオサガメの好物、くらいのイメージしかないクラゲだったのだけど、そうめんみたいな触手をふわんふわんとたなびかせながら、水槽内をアクティブに動き回る様を見ていると、結構綺麗な種類なんじゃない!? みたいに思って、さらにじっくり眺めることに。
そうめんの中には、ピンクや黄色の色がついたものが混ざっていて、なかなか綺麗。
後で調べてみたら、かなり大きくなる種類らしい。展示されていたものは、一般的なハンバーガーくらいの大きさ。
余談ながら、毒の強さは最強レベルらしい。それを好んで食べるというオサガメの口や顔って、どういう構造になってるんだろうか?

お次はラビアータ(Aurelia labiata)。
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ミズクラゲと同属で、よく似ているが、口腕が長く、サイズもずっと大きい。
そのため、ゴージャスなミズクラゲといった印象。
似たような種類を通してふと思う。ミズクラゲって綺麗な種類なのかも、って。

最後の1種類はヤナギクラゲ。
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綺麗でしょ? それがすべて。
このヤナギクラゲや、それとよく似たニチリンヤナギクラゲ、今回はいなかったようだけどオキクラゲなど、ビラビラ系のクラゲはどうもオレの好みのタイプらしい。
と言うのも、この手の写真を撮ってる時は何となく楽しいのだ。
動きが大きい割に、ゆっくりなので、綺麗に映ってくれやすい、からなのかも。

というワケで、加茂水族館の気になるクラゲ、でした。
反響次第で続く… かも!?

今の鳥羽水族館と言えば… [無セキツイ]

ダイオウグソクムシ、なんだろうね、やっぱり…

鳥羽水族館の飼育生物は、種類数で日本一を数えるが、その膨大な展示生物の中でもダイオウグソクムシはある種のキワモノ的存在だったはずだ。
これまたブームの深海の住人とは言え、巨大なダンゴムシ(の仲間)であり、オレの趣味の問題ではなく、本来なら“気持ち悪い!!”と言われるような類の生き物だ。
しかし、今やそれが、“可愛い”なんて言われて女の子からも注目されるようになっていたり、リアルに作られた大きなぬいぐるみ、しかもそれが結構高いというのに、即日完売するほどの人気だったりと、まさしくブームになっている。
ダイオウグソクムシがこれほどの脚光を浴びることになるとは誰が予想できただろうか?

その大ブレイクのきっかけを作ったのが、長期間餌を食べなかったことで注目を集めた鳥羽水族館のダイオウグソクムシ個体No.1、通称、1号たんである。
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手前が1号たんだ。

鳥羽水族館には、そんなダイオウグソクムシを主役に据えた? 新展示施設、「へんないきもの研究所」が夏休みにオープンしており、何やら面白そうな展示がなされているようで、行きたいなぁ、なんて思っていたら、そのチャンスがふいに訪れた。

「へんないきもの研究所」は、ウミグモやヌタウナギ、変わったカニやナマコなど、激レア生物というより、普通の人が見れば、変わってると感じるような生き物ばかりが集められた小規模展示館だ。
今年1月に発売された拙著「水族館で珍に会う」のコンセプトとも似ていて、個人的に親近感を憶えるところがあったり…

水族館のHPの写真を見た限りでは、熱帯魚店のようなものを想像していたのだけど、実際に行ってみると、外から想像するよりも中は広くてすっきりしている。
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大きな水槽こそないものの、ちゃんと研究所風な雰囲気になっていて、そこにいるのが何となく楽しい。
展示生物の飼育設備も水槽周辺に見えるように配置されているのも研究所的。
例えば、ダイオウグソクムシの水槽周辺の設備を見る限りでは、家でも飼えるんじゃない? なんて思えてくるもの。ダイオウグソクムシはかなり高価なので、家庭で飼うには少々ハードルが高いけれど、設備的には何とかなりそうな感じ。そんな部分にも、グソクファンなら夢を見られるのではないだろうか?

展示されている生物の多くは小さいので、整然と並べられた小さな水槽は、もっとも見やすい形というワケだ。

とは言え、冒頭にも書いたように、主役はやはり、ダイオウグソクムシなのだろう。
入ってすぐの所に、その水槽が配置されていた。
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餌すらも食べない生き物である。
つまり、動かない。
注目の“1号たん”は水槽の中央にいたけれど、1号たんを含め、すべての個体が微動だにしない。
その魅力がよく分からないオレには、やはりブームには乗れないようだ。
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でも、水槽の脇にはこんな手書きのホワイトボードが置かれていて、各個体の配置が分かるようになっているので、お気に入りの個体も迷わず見つけられる!! グソクムシファンにはたまらない配慮なのだろう、きっと(笑)

ダイオウグソクムシも遠くメキシコ湾の深海からやってきた激レア生物だが、グソクムシファンなら、それ以上に注目したいのがニューカレドニア産のオオグソクムシ。
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日本では鳥羽水族館にしかいない超激レアグソクムシだ。
と言っても、サイズといい形といい、日本産のオオグソクムシと大きくは変わらないのだけど…
解説によると、ニューカレドニアの青すぎる海のせいか、日本産とはひと味ちがうエレガントさや、体の透明感を感じさせるのだとか(笑)

グソクムシ界のニューヒーローの誕生… なのか!?

エノスイの新クラゲ展示 [無セキツイ]

クラゲが人気だ。
もちろん、水族館での話だけれど、新しくできる水族館や、リニューアルが行われたりすると、必ずクラゲコーナーが作られるし、実際、そうしたコーナーは混雑していることが多い。
クラゲの魅力が分からないオレには? と不思議に思えてしまうのだけど…

そんなクラゲにこだわり、古くからその飼育、展示に力を注いできたのが江ノ島水族館だ。
現在の新江ノ島水族館になる時にも、クラゲファンタジーホールは広く、大きくなり、イルカ(ショー)、相模湾と並ぶ、エノスイの主力看板展示となっている。

先日、エノスイは小規模な部分リニューアルを行った。
リニューアルと言っても、既存の建物内に新たな水槽が追加されただけなんだけど、注目すべきはその中身。すべてがクラゲなのだ。
現在、水族館でクラゲと言えば、“世界一のクラゲ水族館”を名乗り、専用の展示ゾーンでは常時30~40種が展示されているらしい山形の加茂水族館が有名だが、エノスイは、そのNo.1の座を奪還しようとしているらしい?

新しいクラゲ展示コーナーが完成したことで、50種類ものコレクションが実現しているのだとか。
注目は既存のクラゲコーナーに作られた球体水槽だ。
今回のリニューアルの象徴的な新水槽だ。
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薄暗いクラゲコーナーの中心に、浮かび上がるように配置された球体。
外側には球体を包み込むように水が流れていて、中にはカラージェリーがポコポコと泳ぎ回っていた。

今回、エノスイへは友人、知人たちと連れだって行っていたんだけど、
(水族館オフ会:http://page.mixi.jp/view_page.pl?page_id=204792
そこに来ていた人の中には、球が思ったより小さくインパクトに欠ける、とか、中が見にくいなどの意見もあったようだ。
確かに、中は見にくい。と言うか見えない。
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こんな感じ。
“でも、いいんじゃない!?”というのがオレの意見。
だって、クラゲを見に来ている人というのは、クラゲのディティールはそれほど重要じゃなくて、水中をふわふわ漂う浮遊感? なんかを楽しんでいるのだろうから、中のクラゲが漂っているのさえ感じられれば、それでいいんじゃないのかなぁ、と。

ただし、この水槽、技術的にはかなり大変なものだったらしい。
球体全面にまんべんなく水を流す(そもそもそれがすごく難しいらしい)ための注水量、クラゲを漂わせる水流、オーバーフローした水にクラゲが吸われてしまわないようにする水流や水量の調整など、それはそれは大変だったようだ。
観客がクラゲが暮らす水を直接感じられるよう、水槽から溢れた水は触れられるようになっているが、日焼け止めや虫除けなど、クラゲに有毒な物質が飼育水に混入する可能性もあるため、その循環には新鮮海水が多めに注水されているのだとか。
江ノ島周辺の海水の質が落ちるこの時期に、それもまた大変そうだ。

他にも、水槽設置に至るまでの苦労話、技術的な話など、いろいろ聞かせてもらうことができたが、そんな話を聞いた後では、“この水槽、大変だったんだなぁ…”と、ついついしみじみしてしまう(笑)
この球形水槽、実はスゴイんです!!

新しいクラゲ水槽は球形水槽だけじゃない。
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サンゴ礁やサメの水槽なんかがある隣のフロアにまで広がっているのだ。
丸い小さな水槽が互い違いに並んだ中には、これまた多数のクラゲが。

50種の内訳の大半は、ここに並んでいる。
まずは50種類を揃えただけでもスゴイ。でも、中で漂うクラゲたちのほとんどは、オレには残念ながら同じに見える(笑)
スペースが限られるという事情もあったようだが、この水槽群、かなりメンテナンス性が悪いらしい。飼育スタッフ氏の苦労? の上に成り立っている水槽なのだそうだ。
丸い水槽の下の軸の中に、循環経路などが収められているなど、小さいけれど、その作りもかなりのスペシャル。
球形水槽も含め、これまでにないものを形にするというのもテーマだったようなのだけど、何事も初めてというのは、何かと大変なものだ。

小さな水槽の中のクラゲたちは、小さい種類が中心で、老眼気味の目にはちょっとしんどいほどだったりするんだけど、その種類ならではの小ささを感じてもらいたい、というのも、担当スタッフ氏の思いとしてあったようだ。

こんなクラゲたちが漂っている。
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今回は、同行した友人の中に、エノスイにずっと通っていて、スタッフ氏たちとも親しい人がいたお陰で、様々な話を聞かせてもらうことができた。
個人的に興味の薄いクラゲだが、それについてとても楽しそうに語る担当スタッフ氏の話は、オレに知識や親しみがない分、何もかもが新鮮で珍しく、ずっと聞いていたいと思うくらい楽しいものだった。
そんな機会のきっかけを作ってくれた友人には感謝しなくちゃ、だな。

できれば、「水族珍」をやる前に、こんな話が聞けてたらなぁ、と、今さらながらに思ったり…

和歌山県立自然博物館で聞いたサンゴの話 [無セキツイ]

沖縄美ら海水族館の超ショッキングな話題から気を取り直して? 再び和歌山県立自然博物館の話。

水族館での一般的な滞在時間は1~2時間と言ったところだろうか?
和歌山県立自然博物館くらいの規模ならば、1時間少しくらいかな?
しかし、当然ながら、オレは違う(笑)
頻繁に来られる場所でもないし、帰りの飛行機の時間の都合もあったから、限られた時間の中で濃厚な展示をしっかり見ようと必死。

その間、館内を見回っていたスタッフ氏と何度かすれ違ったけれど、どのタイミングにもいるオレが不思議だったのか、「熱心に観察されてますね」と声をかけてきてくれた。
そのスタッフ氏の担当は、オレにとっては興味が薄く、ほとんど知らない無脊椎動物。
いろいろと話を聞かせてくれたのだけど、ほとんど知らないものが対象ということもあって、話してくれた内容のすべてが興味深く、楽しかった。
スタッフ氏は業務の合間。オレにもタイムリミットが迫っていたから、ある程度で失礼したけど、それでも1時間半ほど話を聞かせてもらえただろうか。
まったくありがたい限り。お陰で実に有意義な水族館訪問とさせてもらえた。

展示されているほぼすべての無脊椎動物がそのスタッフ氏の担当で、その展示と管理を一手に手掛けているという。
無脊椎と言えば、管理が大変だという話をしばしば耳にする。
例えば、同じカニでも、種類が違えばまったく違う飼い方を要求され、そのほとんどは頑ななまでに生活スタイルを変えないため、スペースが限られた水槽内にそのカニが生きられる環境を作り出さなくてはならないのだ。しかも、水族館である以上、ちゃんと見せられるようにしなくてはならないことも、飼育の難易度をより一層高めるのだという。

中でもとりわけ難しいのがサンゴだ。
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和歌山は造礁サンゴの生息域の北限にあたり、和歌山をテーマにした展示を行うなら、無くてはならないもののひとつである。
サンゴの育成には十分な光、清浄な水、適度な水流などが必要だが、それらを揃えるのは言葉で言うほど簡単ではないらしい。
ここの水族館は、海にせり出すように建っているから、水の心配はないのかと思いきや、同じ和歌山でも串本などと比べると、水質はサンゴに適したものとは言いにくいらしい。
和歌山県でも北部に位置する海南市は、季節によっては、大阪方面から流れてくる水の影響を受け、東京から行くと、十分綺麗に見える水も、サンゴには向かない水質になるらしい。また、水族館から沖合1㎞ほどの所にあるという取水場所も、内湾に位置しているため、塩分濃度が常に一定でないなどの難しさがあるそうだ。
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歴史のある施設のため、飼育設備も最新の、というワケにはいかないようで、かつてはサンゴの飼育、展示がうまくいっていなかった時期もあったとか。
現在はろ過設備にベルリンシステムを用いているが、それも市販品をそのまま使うのではなく、水族館の水槽や飼育生物に合わせて、スタッフ氏が手作りしたものなのだそうだ。
試行錯誤を繰り返し、現在はサンゴの展示も概ねうまくいっているとのことだが、それでも、種類によってはうまく飼えないものもいるらしい。

個人的にサンゴ以上に驚き、感動したのが、サンゴ水槽と並んで展示されていたウミシダの水槽だ。
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ウミシダ自体は珍しいものではないが、同じ水槽にいた白い色をしたこれ。
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ウミシダの1種? そんな印象だが、何か分かるだろうか。
答えはテヅルモヅル。
水族館でもしばしば見掛ける不思議生物だが、細かな腕が複雑に絡み合って、どんな形の生き物なのか分からないのが普通。
テヅルモヅルを知っている人でも、茹でる前の即席ラーメンみたいな姿を想像することだろう。
もちろん、それらのすべてが同じ種類ではないんだろうけど、実は、こんな綺麗な姿を見せてくれる(こともある?)生き物だったのだ!!

ウミシダやテヅルモヅルは暗い環境を好むものの、餌の匂いを水流に乗せてやれば、それにつられて、多少明るくても腕を広げた姿を見せてくれるという。
サンゴなどと比べると簡単に飼えるというこれらだが、難しい部分もあって、例えば、餌は何が最適なのかなど、頭を悩ますこともあるらしい。
海では微細なデトリタスを食べているこれらの仲間だが、水槽の中では魚に与えたオキアミの破片や、ブラインシュリンプなども上手に巻き取って食べてしまうらしい。
しかし、それらを消化することができず、体内で餌が腐り、破裂するようにバラバラになって死んでしまうのだとか。
綺麗に開かせるには餌が必要だが、その餌によって死んでしまうこともあり得る…
とは言え、自然界で食べているようなものを用意し、与えることは困難…
難しいなぁ。でも、ウミシダもテヅルモヅルも、とても綺麗な姿を見せてくれていたので、その辺も含め、うまく飼えているということなんだろうけれど。

話を聞かせてくれたスタッフ氏は、入ってすぐの所にあった水槽を他のスタッフ氏と共同で整備していた。
何でも、新たに中身をリニューアルしたのだと教えてくれた。
オレが行った時は、ゴールデンウィークを控えたタイミングということもあり、よりよい状態にしようと、岩組みを作り替えたり、大変な作業が行われていた。
「1年後にまた見に来て下さい。今よりもっとよくなっていますから」とそのスタッフ氏。
そんな風に言われちゃったら、行かないワケにはいかないよね。
というワケで、この続きはまた1年後に。

深海生物シーズン到来@竹島水族館 [無セキツイ]

今回の愛知遠征的は、ステラとその仔に会いたかったことも目的だが、蒲郡の竹島水族館に行きたかったことも大きな目的だった。
以前、標本展示室だったスペースが“まったりうむ”として生まれ変わったのに加え、竹島水族館ならではの深海生物展示が本格的にスタートしたという話を聞きつけたからだ。

竹島水族館が誇るタッチングプール“さわりんプール”にも大きく立派なタカアシガニが入っていたりと、すっかり深海モード。
まだ入り始めだと言うものの、小窓水槽は珍しい深海生物で満たされていた。
何でも、珍品がいきなりまとめてやってきたらしい。

とは言え、やはりそこは無脊椎動物が中心で魚類は少なめ。
体の作りの関係上、やはり生きて上がってくる可能性は無脊椎動物の方が高いのだ。
しかしまぁ、オレとしてはそっち方面はまったくの門外漢。
どれが珍しくて、どう凄いのか、なんてことはまったく分からない。
でも、それぞれが収容された水槽には、珍しさをアピールするプレートが付けられているので、見逃す心配がないのも竹島水族館ならではだ。

しかし、見た目からして“コイツは珍しいだろう!!”なんて思わせるものもいくつかいて、そのひとつがアシボソシンカイヤドカリ。
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ヤドカリといえば貝殻を背負ってるはずだが、コイツは何だか手みたいな形をしたものを背負ってる。
その背負った“手”が質感といい、色といい、何とも不気味。
深海生物担当のスタッフ氏に聞いたところ、これは深海性のスナギンチャクの仲間だそうで、ヤドカリはそこに穴を開けて入り込んでいるのだとか。

ものすごく珍しい種類だそうだが、飼育は難しく、搬入後しばらくすると背中のスナギンチャクが開かなくなってくるらしい。
また、ヤドカリ自体も普通のヤドカリのような餌を食べることをせず、海底に沈んだ微細な有機物などを食べているらしい。
つまり、何を食べているのかが明確に分からず、餌付けが困難だということ。
見られてラッキー級のスペシャル深海生物のひとつだそうだ。


ドラゴンオサテエビも見た目からして珍しさが分かる深海生物だ。
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色のない体、退化して痕跡だけになった眼など、見た目からしていかにも深海生物らしい。
これまたものすごい珍品らしいのだけど、オレがその有り難みを今ひとつ理解できてないのが実にもったいないところ。
見た目はアナジャコのような感じだけど、ちゃんとエビの仲間。
ドラゴンじゃないオサテエビ(これまた深海棲のエビ)というのもいて、長手蝦(オサテエビ)の名前通り、片手が長いのが特徴らしい。
オサテエビも珍しいものだと思うんだけど、さらにドラゴンである。書いていて意味が分からないけど、とにかく、スゴイものだということは間違いないらしい。


知らない生き物だと、どんなに珍しくても有り難みが分からないだけでなく、書いてることまでワケが分からなくなってくるので(笑)、知ってるものも。
というワケでタカアシガニ。
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竹島水族館と言えばタカアシガニである。
タッチプールにも“こんなのが!!”と驚くほど大きくて、足も揃った立派な完品個体が入っていて、流石だなぁ!! と思わせてくれるのだけど、それ以上に、小さなタカアシガニが何匹もいるのには驚かされた。
タカアシガニ自体は、各地の水族館で見掛けるが、甲幅が手のひらよりも小さいものは滅多に見ない。
もちろん、タカアシガニだって産まれた時は極小なプランクトンなのだから、小さなものだっているはずなのだけど、滅多に獲れないのだろう。
しかし、そこは竹島水族館である。
世界一大きなカニの小さな個体が3~4匹はいただろうか?
巨大な個体よりも、見たことあるのを自慢できるのは、こんな小さいものの方だ。


馴染み深い深海生物をもうひとつ。
竹島水族館生まれのボタンエビ。
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嘘つきましたゴメンナサイ。食べたことがある程度で馴染み深くはないです…

美味しいエビとして知られているボタンエビだが、小窓水槽では竹島水族館で生まれ育ったという小さな個体が展示されてた。
聞けば、巷でボタンエビとして流通しているものは、ボタンエビでないものも多いらしい。
しかし、竹島水族館で展示されているチビ・エビたちは正真正銘、ボタンエビだ!!
違う物を買ってしまわないよう、その姿をしっかり目に焼き付けておくといいだろう。

色や形はちゃんとエビなのに、小さいので可愛らしい。
食べるようなサイズになるまでは、まだまだかかりそうだが、見に行く度に、“また大きくなってる!!”みたいな楽しみ方ができるんじゃないかな!?


最後に魚もひとつ。
深い海域にいる魚類は、どうしても生きまま上げるのが難しい。
口や肛門から内臓が飛び出てしまった深海魚の姿をTVなどで見たことがある人もいると思うが、高水圧の環境から一気に減圧させるため、どうしてもああなってしまうのだ。
そんな風になってしまうことから、展示が難しい魚のひとつがイトマキフグ。
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ハコフグのような硬い体のため、体ははち切れていないが、肛門から腸が飛び出てしまうのだそうだ。もちろん、そんな状態ではすぐに死んでしまうので展示は無理。
それが今回、非常にいい状態で揚がってきたため、展示することができたという。
竹島水族館にも展示できない状態のものを含めても、年に数回しか搬入されない激レア魚だそうだ。
もちろんオレも初めて見たが、イトマキと名が付くものは、フグでもエイでも珍しい存在のようだ。あっ、ヒトデは違うか!!

深海生物はとにかく飼うのが難しいという。
魚の場合は生きて持ってくること自体が難しく、鰾を持たないサメやアンコウなどは体こそ破裂していないものの、やはり急減圧によるダメージは大きく、その後生かすことが難しい。
一方、生きて揚がってくることの多いカニなど無脊椎動物でも、その後の飼育は大変で、搬入直後は状態がよくても、徐々に弱って死んでしまうものや、その後水を換えたり、水槽を移動したりすると死んでしまうものなど、とにかく扱いが難しいらしい。
だから、今回ここで紹介した生き物たちも、行ったらいなかった、なんてことも考えられる。
そもそも、飼育法を探求できるほどの個体数も手に入らないだろうし、やはり行った時に見られたらラッキー、そんな感じなのだろう。

冬の竹島水族館は、そんなラッキーに巡り会える可能性がきわめて高い水族館だ。
加えて、水槽が明るく、貴重な深海生物がとにかく見やすい。
何が見られるかは時の運、みたいな部分もあるけれど、深海生物ファンならシーズン中、1度は行っておくべきではないかな!?

行ってみることをオススメしているが、竹島水族館からは何ももらってないどころか、ちゃんと入館料を支払って、普通に入館しているので、変な誤解のなきよう!!

メンダコ [無セキツイ]

メンダコって知ってますか?
頭部に耳のような鰭がついた深海棲の頭足類(タコ)のひとつ。

その可愛らしい形? から、深海生物としては比較的メジャーな部類だと思うのだけど、多くの深海生物がそうであるように、このメンダコもやはり“飼えない”生き物のひとつでもある。
でも、比較的簡単に獲れるのか、水族館に搬入される機会も珍しくないが、水槽内では1日ほどしか生きないようで、搬入されましたのニュースの直後には必ず、展示を終了しましたという案内が続くのがお決まりのパターンだ。

日曜日(22日)、そんなメンダコがエノスイで展示されているという情報がもたらされた。
幸い、翌日は予定がなく、朝の時点で展示終了のアナウンスもなかったから、行ってみた。
いた!!
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でも、まったく動かない。

実を言うと、メンダコを見るのは初めてではない。
昨年末、沼津港深海水族館に行った時、そこの目玉として展示されていたのがこのメンダコだったのだ。
しかし、その時に見たものは、暗い水槽の中で、逆さになって転がっており、生きているのか死んでいるのかさえ分からない状態。
それに比べれば、逆さになってない分、今回のものの方がよかったのかも知れないけど、でも、まったく動かないのは変わらないので、やはり“生きてるの?”と思ってしまった。

何度か水槽の前に行ったんだけど、1度だけ、腕を伸ばす瞬間を見られたので、どうやら生きていた模様。
しかし、特徴である耳のような鰭が動いている所は1度も見られなかった。
閉館が近づくにつれ、体がどんどん潰れていくような感じで立体感がなくなっていく。
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素人目にも、“死んじゃったの?”と思うような状態だ。
結局、その日の閉館後、展示終了のアナウンス。オレが見た時には既に事切れていたのかも知れない。

まったく動かないせいか、はたまた、オレの好みの生き物ではないせいか、正直、ものすごく感動!! という感じでもなかったけど、まぁ、珍しいものが見られた、という話でした。
オレの撮った写真は酷くて何が何だかよく分からないので、綺麗な写真はオレに情報をもたらしてくれた友人のブログでどうぞ!!
http://minto628.exblog.jp/15107901/

エノスイで頭足類といえば、個人的にはカミナリイカがオススメ!!
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こちらも今時期しか見られない期間限定の展示であり、何よりすごく綺麗。
しかも、この派手な色が変化し続けるので、ずっと見ていても見飽きることがないし。
メンダコを見に行ったはずなのに、カミナリイカの水槽の前でいた時間の方がずっと長かったし、写真の点数もはるかに多かったくらい(笑)

珍しさだけで言えばメンダコなんだけどねぇ…

葛西の珍ウミウシ2 [無セキツイ]

以前、このブログでヤマトメリベという珍しいウミウシの話をしたことがあった。
9月まで葛西臨海水族園で展示されていて、オレにも驚きを与えてくれたのだけど、先月末に行った時には、ヤマトメリベの姿はなかった。

飼育するのがとても困難な生き物らしいから、生きた姿を見られただけでもラッキーだったのだろうな。
見れば見るほど面白くて、ついつい引き込まれてしまうような魅力を持った生き物だった。

だが、そのヤマトメリベがいた水槽には、またまた珍しいウミウシ、ハナデンシャが導入されていた。
ヤマトメリベ同様、珍しくてあまり見ることができず、やはり長期飼育が困難なものらしい。もちろんオレも初めて見た。
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体はその名の通り、飾り付けをしたみたいだけれど、どこが頭なのかが分からない。
着底しているものがいたり、水流に漂っているものもいたりと、どれが正しい状態なのかも分からない。
そもそも、それが元気なのかどうかも分からないし、それ以前に生きてるのか死んでるのかさえ分からない。
とにかく分からないずくしなのだ。
そのため、絶えず動き回り、形を変え続けるヤマトメリベに比べると、それほどの感動はなかったというのが正直なところ。
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しかしながら、滅多に見られない貴重なものであることは間違いない。
今度の展示は、“いつまで展示できるか分かりません”と張り紙されるほどの貴重品。
オレが見たのは10月末だったけれど、2週間経った今でも元気でいるかは不明。
もし、興味がある方は、急いだ方がいいかも知れない。
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でも、無駄足にならないよう、あらかじめ水族館に問い合わせてみるのがいいかも!?
タグ:水族館
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