SSブログ

出の山淡水魚水族館の気になる魚 [淡水魚]

出の山淡水魚水族館で展示されている魚たちは、マスやアユ、コイなど日本の淡水魚もいるが、それら日本の淡水魚はごくわずかで、外国の魚中心のラインナップ。
とは言え、数多くいる外国産の魚も、ポピュラー種が多く、驚くような珍品はいない。
だが、それらは長く飼われているのか、大きく育ったものが多く、それほど大きくない水槽の中で、いっぱいに成長しているものが数多くいた。
それらの魚を飼っている人も多いだろうから、親近感を感じるという人も多いのではないだろうか?

それらの中で、俺が「おっ!!」と思ったのがレッドテールキャット。
IMG_8200.jpg
円柱形のピラルクー水槽の中にいた2匹の内の1匹で、1mを超える大きな個体だ。
大きさもさることながら、体型崩れもなく綺麗に育っていることが評価のポイント。
このサイズのレッドテールで、綺麗な個体は意外と少ないのだ。
加えて、この綺麗で大きな方はよく泳ぐので、目につきやすい。一見、地味な色のものが多い水槽内にあっては、ビジュアルリーダーの役割を自ら演じるような感じ。
そんな泳ぐレッドテールを見て、ふと気づいたのが、肛門からビラビラしたものが飛び出ていたこと。もちろん、それが何かはハッキリ分からないんだけど、輸卵管じゃないのかなぁ? なんて思ったり。
レッドテールキャットはブリードものが流通しているから、人為的な繁殖はなされているはずだが、水槽内での自然繁殖例は多分、ないはずだ。
もしそれが実現したら、それはとてもすごいことである。
どこよりもいい水が手に入る水族館だけに、そんな偉業もあるいは… なんて思ってしまうのだけど。考え過ぎかな?


大きさで驚いたのは、プロトプテルス・アネクテンスだ。
IMG_8169.jpg
1m以上あっただろうか?
1mの肺魚なんて、驚くようなものではないだろ? なんて思う人もいるかもしれない。
しかし、ここにいる肺魚はエチオではなく、あまり大きくならないとされているアネクなのである。
このサイズのアネクなら、「おおっ!!」と思ってもいいんじゃないかな?
少なくとも、オレはこのサイズのアネクは見たことなかったし。
ひょっとすると、日本で一番大きいアネクだったりするのかも!?
巨大エチオと違い、ヒョロッと細長い感じがするが、ほとんど水槽の幅と同じくらいに成長した姿は一見の価値アリだと思う。


水族館で展示されている外国産の魚の多くは、一般の飼育者同様、業者から購入されることが普通だ。
しかし、スタッフ自らが熱帯魚店に出向いて、個体を選んでくるようなことは少なく、業者に直接注文し、それが届けられることで水族館へとやってくるというケースが多い。
そのため、どんな個体がやってくるかは、運によるところも大きく、真剣に個体を選んでくるマニアの水槽と比べると、どうしても個体レベルでは見劣りがすることが少なくない。
しかし、この水族館には、マニアの水槽にいるようなとてもレベルの高いモトロがいた。
IMG_8208.jpg
ペア飼いされていて、繁殖にも成功しているらしく、小さな個体もいた。
1匹はスポットも不明瞭で綺麗とは言えないんだけど、写真の個体はかなりの美個体。
いわゆる、コロンビアモトロの極上個体だ。
マニアの水槽でならいざ知らず、水族館では、いや、専門店でも簡単にはお目にかかれないレベルの個体であることは間違いない。
繁殖に成功していることからも分かるが、いかにも健康そうで、機嫌よさそうに水槽内をヒラヒラしていたのが好印象だった。
あんな水(湧水)を好きなだけ使えると、淡水エイもラクに飼えてしまうんだろうね。
やっぱり、それが一番羨ましいな。


この水族館ならではの展示と言えるのがチョウザメだ。
宮崎県は県の事業としてチョウザメ養殖を行っているが、その養殖場に隣接しており、養殖池の一部が展示水槽としての役割を与えられていることもあり、チョウザメの数はどこよりも多い。
日本のチョウザメ養殖はベステルを中心に行われているが、宮崎ではホワイトスタージョンがメイン。
そういう意味では宮崎ならではの魚とも言える。
IMG_8264.jpg
当然、養殖池にいるのもホワイトスタージョンばかりなのかと思いきや、意外にもベステルもいるし、コチョウザメやシベリアチョウザメなど、ホワイトスタージョン以外の種類も沢山いた。
名前の表示が出ていたのはホワイトスタージョンとベステルだけだったが、水族館に隣接した覗き窓のついた3つの池の中で、一番右側、大きな個体を中心に育成している池では、2mはありそうなベルーガも何匹かいた。
種類だけでなく、サイズも様々で、横から見られる池は3つだけだが、上から眺めるなら、駐車場と水族館の間にある池にも沢山の個体がいる。つまり、チョウザメマニアにとっては、かなり楽しめる場所であるということ。
IMG_8273.jpg
しかし、そこは養殖池である。
過密に個体が収容されているため、いかに良質な湧水を常時注水していると言っても、水の濁りはかなり強く、また、ヒレや体型の崩れ、キズなど、見た目が綺麗でない個体も多く、管理用のタグが背ビレに付けられていたりと、観賞魚的目線で見ると、残念なものも少なくなかった。しっかり見ようと思えば思うほど、展示を目的としたものではないのだなぁと実感させられる。
チョウザメ養殖の目的は、食用としてや、採卵のためだったりするもので、見た目を楽しむ物ではないし、見た目が良くなくても、味や卵を採るという本来の目的には何の影響もないのだからね。

濁り、映り込みなど、写真を撮るのが厳しい条件が多すぎたので、コンデジで動画を。
http://www.youtube.com/watch?v=_WiRbkiCoHY

展示や水槽を楽しむタイプの水族館ではない反面、魚の魅力はどこよりも濃厚に味わえる。
とりわけ、チョウザメ好きならかなりお腹いっぱいになれること間違いなしだ!!

オガサワラヨシノボリ@すみだ水族館 [淡水魚]

世界でもっとも遠い東京である小笠原からやってきた魚を展示しているすみだ水族館。
孤立した海洋島であり、川はあるものの人為分布している外来種を除けば、淡水魚はほとんどいない。固有種であるオガサワラヨシノボリが唯一と言っていいのかも知れない。
そんなオガサワラヨシノボリを、小笠原諸島以外で唯一、展示しているのがすみだ水族館なのだ。
小笠原の固有種なんだけど、見た目はごく普通のヨシノボリと変わらなくて、スゴイものを見てる感はほとんどないんだけど、実はとても珍しいものなのだ。
IMG_7799.jpg
絶滅危惧種に指定されているけれど、現地の川には沢山いるらしい。
だが、小笠原の特定の島にしかいない種類であり、もし、そこで何かがあると、一気に絶滅してしまう危険性がある。そのため、絶滅危惧種に指定されているのだそうだ。

すみだ水族館では、そんなオガサワラヨシノボリの繁殖に成功している。
一部ニュースなどで流れたので、聞き覚えがある人もいるかも知れない。

少し前の話になるが、9月13日のこと。
閉館間際のすみだ水族館で、水草水槽を眺めていると、その脇にあるすみだラボで何やら作業が。
水と簡単なエアーレーションだけがなされた小さな水槽がそこに置かれ、中には産まれて間もないと思しき、小さく透き通った稚魚の姿が。
それこそが件のすみだ水族館生まれのオガサワラヨシノボリの稚魚だったのだ。
恐らく、誰よりも早くこれを見たのは、多分、オレだ。
と言っても、あらかじめ聞いていたワケでも、特別に見せてもらったワケではなく、たまたま閉館間際にそこにいただけなんだけど(笑)

水槽を覗き込んでいると、その水槽、つまり繁殖を手掛けたスタッフ氏が出てきたので、話を聞かせてもらった。

ヨシノボリのは川で産まれた稚魚がそのまま海まで流され、海で稚魚期を過ごし、少し成長すると再び川に戻るのだそうだ。
そのため、水槽内でも卵を淡水で孵した後、水槽内の海水濃度を少しずつ高め、完全な海水に。その後しばらくしたら、再び海水濃度を下げ、再び真水へと戻していくという作業が必要になる。
また、大卵型と小卵型があり、オガサワラは後者。
それがまた難しさのレベルを押し上げる。
淡水魚の稚魚は大きめで、卵から孵ってすぐに、餌として一般的なブラインシュリンプ(アルテミア)を食べることができる。反面、海水魚の稚魚はとても小さく、ブラインシュリンプは食べられない。そこで、より小さなワムシというプランクトンを用意しなくちゃならないんだけど、ブラインみたいに簡単に手に入らないので、まずそこが大変。
すみだ水族館でもワムシの手配が間に合わなかったそうで、初期飼料は代用品でまかなったらしい。
担当スタッフ氏は、前任の水族館でも様々な実績を残してきているベテランだけに、ここまでの面倒な作業も、勘と経験でこなせてしまうのだろう。

この時期の稚魚はとにかく餌切れに弱く、残餌が出るほどたっぷりと給餌する。
もちろん、水が汚れるから、水換えも毎日行う。この時はフィルターもついていなかったから、汚れたら換える!! が基本。
「フィルターがついてると、どうしてもそれをアテにしてしまうので、何だかんだでサボってしまう。でも、ついてないなら手をかけるしかないので、世話がおろそかにならないんですよ」と、そのスタッフ氏。

繁殖に成功して、そのやり方が分かったので、これからはコンスタントに殖やせるそうだ。

となると、絶滅危惧種に指定されている種類だけに、放流も、なんて考えてしまうが、そんな単純な話ではないらしい。
というのも、天然では1匹のメスが産んだ卵から成魚になれるのは、多くても1~2匹。
外敵がおらず、成長するよう人が手をかける水族館では、30~50匹が成魚になれる。
採集した川が分かっていて、そこに戻したとしても、特定の血統の数が多くなりすぎることになり、遺伝子汚染が起きてしまうのだそうだ。
とりわけ、寿命の短い生き物では、それが顕著に出やすいのだという。
飼育下の生き物を野生に戻すということは、何かと難しいようだ。

9月以降、すみだ水族館には何度か足を運んでいるが、透き通った数㎜の稚魚たちは、しっかり成長し、小さな幼魚となっていた。
とは言え、オレの機材では小さすぎて写真が撮れないので、写真はないが、最後に行ってからもう1ヶ月が経過してるから、今行くと、またまたその成長ぶりに驚かされるのだろう。

とても小さな小魚だけど、ここでしか見られないオガサワラヨシノボリ、そして大変な手間を経て成長した水族館生まれの幼魚たち。
シロワニやペンギンばかりに目を奪われがちだが、それに劣らず、いや、ある意味ではそれ以上に貴重で珍しい魚だから、ちょっと覗いてみることをオススメしておく。

さいたま水族館の気になる魚 中国四大家魚の話 [淡水魚]

さいたま水族館は荒川をテーマに、その流域に住まう魚をメインに展示を行っている水族館だ。
だが実際には、荒川よりも利根川が近くに流れており、水族館のある羽生は利根川で繁殖が確認されているハクレンの繁殖行動が見られる場所でもある。
そんなこともあり、個人的にはずっと、利根川の水族館かと思っていたほどだ。

でも、利根川の水族館だと考えると、納得いく部分もある。
例えば、館内の水槽、館外の池にそれぞれいる、中国四大家魚の存在だ。
中国四大家魚とは、ソウギョ、アオウオ、ハクレン、コクレンのこと。
中国では食用に家畜のように家の池で飼うことがあったそうだが、それぞれ食性が異なることから、餌を与えることなく畜養できるものとされていたらしい。

池の周辺の草を刈り、それを池に入れておけば、それをソウギョが食べ、その糞で植物プランクトンが発生する。それをハクレンが食べると同時に、植物プランクトンを食べる動物プランクトンの発生により、それを食べるコクレンも飼える。
さらに、池にコケなどが生えれば、それを食べるタニシなどの貝類が増え、それを食べるアオウオも飼える、といった具合だ。

それらの魚は、明治時代以降~戦中にかけて、食用目的で大量に輸入され、各地に放流されたが、定着したのは利根川などごく一部の河川のみ。
それ故、利根川と言えば、これら中国原産の大型魚、というイメージが強いのだ。
移入された割合は、ハクレンが90%、ソウギョが10%で、アオウオ、コクレンは1%にも満たなかったらしい。

さいたま水族館では、これらすべてを見ることができる。

まずはアオウオ。
IMG_7710.jpg
外の池に巨大なものが数多く泳いでいる他、館内の水槽にもちゃんといる。
水底の貝類などを食しており、口はやや下向き。しかし、外の池にいるものは完全に餌付けされており、以前のブログに書いた通り、水面から顔を突き出すようにしてお客から餌をもらおうとする。
個人で飼っている人の話では、アオウオは用心深く、コイのように慣れることはなく、浮いた餌を食べない、なんて話を聞いたのがちょっと意外だったほどだ。
さいたま水族館から帰った後、馴染みの観賞魚店で「アオウオ欲しい!!」なんて話していたら、最近は流通がなく、手に入らない魚になっているらしい。
コイの愛好家でも、欲しがっている人がかなり多いようだ。池にあんなのがいたらカッコいいもんね!!

お次はソウギョ。
IMG_7712.jpg
埼玉県では天然繁殖だけでなく、種苗養殖も行っているらしく、アルビノも固定されている。水族館にもアルビノソウギョが数多くおり、外の池ではよく目立っていた。
上から見るとアオウオに似ているように思うが、より頭が丸く、アオウオほどカッコよくない(←オレ主観)。
除草目的で、ゴルフ場の池に放すのが人気とかで、意外とニーズは高いらしい。


前にも書いたが、羽生と言えばハクレンである。
IMG_7713.jpg
繁殖の時期になると、増水した川の中でジャンプを繰り返し、実際にそれを見ると、かなり見応えがあるらしい。
というワケで、羽生にある水族館には、是非ともいて欲しい魚ではあるんだけど、水槽にいるものを見ると、正直、気持ち悪い。
眼がかなり下の方についているのがハクレン、コクレンに共通する特徴だが、もちろんそんなことはよく知っているのだけど、その違和感が拭い去れず…

外の池でも、あまり大きくはなかったけれど、その姿を見つけた。
顔の目の前に餌を投げてみたのだけど、浮いた餌を食べないのか、反応がなかった。
何を与えているんだろうか? 本当に水中の植物プランクトンだけで飼えるのかなぁ!?

最後はコクレン。
IMG_7708.jpg
アオウオと並び、数少ないレア魚。
水槽では何匹か展示されていたが、このサイズのもの自体、珍しいはずである。
小さい個体が時々、観賞魚として流通するけれど、なかなか大きくならないらしい。

それにしても、気持ちが悪い(笑)
ハクレン同様、下過ぎる目の位置の違和感に加え、下唇がやけに突き出していて、その顔つきの気持ち悪さは、ハクレンが可愛く見えたほど。
好きになれば、この顔つきがきっと何よりの魅力になるんだろうけど…
口が大きく、どことなくメコン川の巨鯉、パーカーホを彷彿とさせる。そういえば、あの魚もプランクトンフィーダーだったっけな!?
ハクレンも含め、この手の魚には何をどのくらい与えているのか、ちょっと聞いてみたいところだ。と言っても、自分では絶対に飼わないけどね。

川では圧倒的に数が少ないはずなのに、水槽内ではハクレンよりも数が多く、その水槽の主役となっていた。やはり珍しいから!?

利根川でしか繁殖が見られないせいもあるだろうが、他の淡水魚の水族館ではこれらがこれだけ揃っている所はなく、これら中国四大家魚を見るなら、さいたま水族館は国内最高峰の施設と言っていいだろう。
アオウオやソウギョとは、ふれあいや餌やりも楽しめるしね。

さいたま水族館の多国籍屋外池 [淡水魚]

さいたま水族館でもっとも感動したのは、実は水族館を取り囲むように配された池だったというのは、ひとつ前のブログでも書いた通り。
IMG_7742.jpg
水深は大人の股下くらいしかない浅いものだが、面積は広く、アオウオやコイなどの大きな魚が過密に飼われている。

水族館前の広い池には、コイやアオウオ。その隣の池にはチョウザメ、水族館裏手の池ではナイルテラピアがそれぞれのメイン。
それぞれの池は水路や川でつながっており、どの池も基本的には同じ水で満たされている。

最初に池を覗き込んだ時、餌に群がるコイやソウギョに混じって、小さな魚も数多く泳いでいるのが目に入った。池の縁にしゃがんで覗き込んでみると、オイカワやモツゴに混じって、小さなテラピアの姿が。
夏の間に放たれたものなのだろう。冬が来れば、これらは死んでしまうんだろうなぁ…
なんて思いながら眺めていた。
その池はチョウザメが暮らす隣の池ともつながっているし、それ以前に屋外の広大な池であるからして、保温しているとは考えにくいからだ。

とは言え、この浅さでは、真夏はかなり水温が高まってしまうはずで、水車が回り、エアーレーションはなされていたが、それでもチョウザメには少々厳しいのでは!? もしかして湧き水や地下水が用いられているのかも? と、チョウザメの給餌の際、説明をしていたスタッフ氏に尋ねてみた。

すると、思った通り、池の水には湧き水が使われており、その水温は真夏真冬で±2℃程度の上下動はあるものの、基本は23℃程度。
湧き水としてはかなりの高温だが、冷たくも温かくもないその温度は、南方の魚と北方の魚を同じ水で飼育することを可能にしている。
オレのような魚飼いにとっては、まさに垂涎ものの夢のような水だ。
もしウチにこの湧き水があったら、何を飼うだろう? その瞬間に宝くじが当たった時みたいな妄想を楽しめる(笑)

そのため、テラピアたちは、この池で問題なく越冬し、それどころか少しずつその数を増やしているという。つまり、オレが見かけた小さな個体は、この池で増えたものの一部というワケだ。
IMG_7743.jpg
先にも書いたように、テラピアたちはもっとも上流にあたる、水族館裏手の池にいる。
テラピア池も見に行こうかと、そこの池まで行って驚いた。

池の前に立った瞬間、ナイルテラピアに混じって、何匹かフラミンゴシクリッドの姿が見えた。“ああ、フラミンゴもいるんだ”と思いつつ、池を覗き込んでみると、青い小魚が沢山いるのが見えた。
IMG_7737.jpg
テラピアの幼魚かと思いきや、マラウィ湖産のシクリッド、ゴールデンゼブラだった。
周辺には黄色く発色した成魚もおり、沢山いる小さな個体は、やはりこの池で増えたものらしい。
ゴールデンゼブラだけでなく、イエローストライプシクリッド、L.カエルレウスと、もっとも簡単に手に入る“マラウィ湖のムブナ”3種が揃っていた。
いずれも本来の生息地よろしく、池の中に生えるコケをついばみながら、それぞれの生活を送っているのだろう。
IMG_7739.jpg
驚きつつもムブナたちを観察していると、水面を覆うように茂った草の影に目立つ縦縞の入った細長い魚を見つけた。
その雰囲気は明らかに日本の魚のそれではない。
逃げてしまわないよう、そっと草の間を覗き込むと、これまたマラウィ湖産の魚食性シクリッド、D.コンプレシケプスだった!!
そこにいた2匹だけではない。目をこらすと、コンプレもかなりの数がいる様子で、中には自分のテリトリーを守るのに忙しそうな、20㎝ほどのオス個体の姿も。
IMG_7747.jpg
思わぬ魚たちを見つけて驚いたのをきっかけに、他にもいるかも!? と真剣に水の中を覗いて回ると、オレンジ色のソードテールの姿を発見。
さらに、池の端の方の石積みの周辺を眺めると、代表的なタンガニイカシクリッド、N.ブリシャルディを発見。
ブリシャルディは2匹しか見なかったが、あの環境があれば、すぐにその数を増やすだろう。恐らく、その他のシクリッドたちと同じく、既に繁殖はしているものと思われる。

一部分だけを見ると、自分がいるのが埼玉とは思えない光景だが、そんなアフリカンシクリッドに混じって、オイカワやモツゴも泳いでおり、まさに和洋折衷、多国籍な環境が作り出されていた。
魚種や、池の中のレイアウトなんかを工夫すれば、ミニ・マラウィ湖やミニ・タンガニイカ湖を作れてしまうワケで、アフリカンシクリッドマニアではないオレでも、なんだかドキドキ楽しくなってしまった。
だって、水槽よりも広くて、太陽光も降り注ぐ。生き餌もあって、水は新しい水がコンスタントに注入される… 条件的には、魚が綺麗に育つはずのものばかりが揃っている。

ここであらためて思った。この池がオレのものだったなら…
日本の淡水魚に興味はないよ、なんて嘯く前に、1度この池で魚を観察してみて欲しい。
泳いでいる魚そのものに興味が無くても、シクリッド好きなら、きっとときめくはずだ。
気付くと、オレと同じような妄想が頭の中で始まっていることだろう。

北海道の秋と言えばサケ!! 千歳サケのふるさと館 [淡水魚]

おたる水族館は個人的に大好きな水族館なので、常々、行きたいなぁと思っていた。
ジンベエザメが背中を押してくれたことで、北海道へ行く踏ん切りがついたのだけど、せっかくこの時期(9月末)に行くなら、サケの遡上も見たい!!

千歳サケのふるさと館のTwitterをフォローしているのだけど、8月の初旬に「サケの遡上が始まりました」というツイートがあり、その後も、遡上が続いていることが度々書き込まれていた。
それを見る度に“行きたいなぁ~”となっていたんだけど、北海道に行くことにしたので、その見たかったものも見に行くことに。

おたる水族館だけなら、無理すれば日帰りも可能だが、サケの遡上が見たいが故に1泊することに。
というワケで、北海道に到着したオレがまっすぐ向かった先は、千歳サケのふるさと館だ。

入館し、まずは千歳川から搬入された今年のサケを見に行く。
IMG_0725.jpg
水底で繁殖行動を盛んに行っている個体を除けば、ほとんどの個体が水槽の上部に固まっていて、見やすい位置にいてくれる個体が少なかったけれど、この時期ならではの何とも言えない体色や、命かかってます!! みたいなギリギリな感じとか、やはり何とも言えない魅力、この場合、説得力と言った方がいいかな? が伝わってくる。
昨年は同じ水槽に背中が著しく盛り上がったカラフトマスがいたが、今年は展示されていなかったのがちょっと物足りない感じ。

続いて、水中観察室から川の中を覗いてみる。
IMG_0734.jpg
窓という窓は、すべてウグイで覆い尽くされていて、何も見えない!!
何でも、オレが行くまでの北海道は、連日の大雨で千歳川も増水し、強い流れを好まないウグイたちは、少し奥まって流れが弱まる観察室の窓前にたまってしまうらしい。
しかも濁りも強く、その日の透明度が書き込まれるボードには0.5~2mとある。
つまり、ウグイたちがいなくても、見えにくい状態というワケだ。
それでも、北海道まで来たということで、ウグイの隙間に目をこらすと、何匹かのサケの姿を確認できた。
IMG_0874.jpg
ウグイたちが嫌がる強い流れも、サケたちには問題ないようで、他のサケが来ると、まるで流れなんてないみたいな勢いで追い散らしに行く。

橋の上から覗き込めば、川の中央付近にかなりの数がいる模様で、インディアン水車に捕獲されたサケが暴れるドカンバタンという音がしばしば響く。
昨年行った時と比べると、天気が今ひとつだったせいか、川の中までは綺麗に見えなかったが、泳いでいる姿も見ることができた。
IMG_0901.jpg
サケの遡上シーンは、秋の北海道へ来る醍醐味だと思う。
2年連続で千歳川(千歳サケのふるさと館)で見ているけれど、この次は別の所でも見てみたいなぁ、なんて思ったり。

千歳サケのふるさと館では、嬉しい出会いも。
IMG_0783.jpg
秋になると搬入される遡上サケ類は、サケ(シロザケ)、カラフトマス、ベニザケがあるが、昨年はベニザケの搬入時期が遅く、見ることができなかった。
真っ赤に染まったベニザケは、是非とも見てみたかったものだが、それがようやく叶った。

入ってすぐのお土産店の前の円形水槽に4~5匹が入っていたが、本物を見るのは初めて。
ベニザケの名前通りの紅色に染まった体は、アジアアロワナや錦鯉などとは違う、独特の色合い。
鯉やアロワナの赤が塗ったような感じなら、サケのそれは内から湧き出してきているような感じで、赤みに力強さも感じるが、どことなく柔らかく暖かみのある色に見える。
また、頭部や尾ビレ付近は黄色に染まり、体の赤みとの対比が本当に綺麗。
展示水槽は素っ気ないベアタンクだったが、例えば、黒っぽい砂利が敷かれた中で見ると、また違った美しさを感じられるかも知れない。
前々から見てみたかったのもあるが、想像以上の綺麗さに、到着するまで色々あって体はヘトヘトだったんだけど、そんな疲れを忘れてしまうほど、夢中で写真を撮りまくった。
メディアの中身は赤い魚だらけ(笑)

余談だが、このベニザケの遡上個体は、千歳サケのふるさと館と、おたる水族館でしか展示されないものなのだそうだ。
オレが行った時には、おたる水族館にはいなかったが、今は展示されているはず。

サケの遡上を見られること自体が感動的なんだけど、今年はベニザケも見られた。
LCCを使えば、北海道も安く行けることが判明したので、この続きはまた来年… かな!?

アロワナが跳ぶ!! 八景島シーパラダイス [淡水魚]

ひとつ前のブログで書いた通り、7月5日に八景島に行ってきた。
その目的は、オレが行った1週間ほど前に産まれたシロイルカの仔を見ること。
オレにとってシロイルカは、それほど強い興味のある生き物ではないんだけど、頻繁に産まれるものではないから、産まれて間もないものは滅多に見られるものじゃない、と言うワケで、オレには珍しくイルカを目的に出掛けてみたのだけど…
ご存知の通り、その後、残念な結果になってしまったため、ブログはイルカ以外の話。

半年ぶりくらいの八景島は、イルカ以外にも新しくなったショーを見ることも目的だったんだけど、ショースタジアムに行く前、手前にあるアロワナがいる水槽の前で何となく魚たちを眺めていると、ウェットスーツに身を包んだスタッフ氏がやって来た。
これから水槽の掃除を始めると言う。でも、その前に餌を与えるというので、その回のショーは諦めて、給餌シーンを見せてもらうことにした。

以前のブログ(2011.11.26)でも触れているが、八景島ではアロワナのジャンプ給餌を行っている。
IMG_9582.jpg
11/26のブログでは、まだショーとしてのジャンプ給餌が始まっていなかったので、内容をぼやかして書いたが、その時は年明けに向けたジャンプ給餌の練習をしていた。
今年の干支は辰年ということで、龍魚を龍らしく飛ばしてみようというものだったようだ。
正月のイベントが終了した後も、イベントとしては行っていなかったものの、給餌の度に飛ばしていたと飼育スタッフ氏。
そんなジャンプして餌を食べるアロワナたちに再び脚光が。
先にも書いた通り、オレが行ったのは7月5日。オリンピック開幕を控えたタイミングだった。水族館でもオリンピックに関連した様々なイベントが企画されていたが、そのひとつがアロワナによるくす玉割り。
くす玉の先に付いた餌にめがけてジャンプし、それによってくす玉が開くというものだ。

そんなイベントが控えていただけに、練習にも熱が入る。
と言うか、昨年からジャンプ給餌を続けていたアロワナたちは、すっかり慣れたもの。
IMG_9597.jpg
餌を付ける紅白の棒を見つけると、すぐにその場に集まり、跳び上がるために体を弓なりにする。
昨年末に見た時は、小さな個体が多く、軽々とピョンピョン飛び跳ねていたが、アロワナたちも成長し、どれも60~70㎝前後の大きさ。
あまり大きくなると飛び跳ねなくなるものだが、日頃の練習の成果か、このサイズでも水面からかなり離れた餌まで大きく跳び上がる。
IMG_9574.jpg
身体が大きくなった分、以前よりもはねる水を多くなり、周辺は結構濡れる。水槽に近づくと濡れること間違いなしだ。

アロワナ以上に驚かせてくれるのが、同居のドラードの跳躍だ。
IMG_4041.jpg
アロワナほど高くは飛ばないものの、餌を水面付近に近づけると、全身が水中から露出する程度には飛び出してくる。
鮮やかな黄色の体色が、水しぶきと共に弾ける様は、一瞬のことながらまるで花火のよう。
しかし、アロワナと違い、ドラードは動きが圧倒的に速く、このジャンプは一瞬。瞬きひとつで見逃してしまうほど。しかも、餌の取り損じがないため、何度もジャンプをすることがない。

アロワナのジャンプを見せている(た)水族館はいくつかあるが、ドラードのジャンプが見られるのは八景島だけ。
しかも、八景島のドラードは屋外飼育の恩恵か、黄色みが強く綺麗なので見応えがある。
個人的にはドラードよりもアロワナの方が好きなオレだが、このジャンプ給餌の圧倒的なスピードと鮮やかさには、すっかりやられてしまった。
ドラード好きなら、いや、南米の魚が好きな人や、かつてオーパを読んだことがある人なら感動できること間違いなしだ。
かつては3匹いる内の1匹しかジャンプして餌を取れなかったそうだが、今では3匹がそれをできるようになっているそうなので、遭遇するチャンスは増えているはず。

主役はあくまでアロワナで、見たことがない人にはそれも十分以上に驚ける。
ただし、これらのジャンプ給餌はレギュラープログラムではないため、行けば必ず見られるとは限らない。
今回のオリンピックの関連イベントのようなものがあれば、その期間は見られるはずだが、そうでない時は、練習に遭遇すれば、というのがちょっと難しいところ。
でも、見てみる価値は大いにあるので、見てみたいという人は、水槽付近にいるスタッフ氏に聞いてみるといいだろう。
だが、いつぞやのオレのように「今日はもう終わっちゃいました…」なんて答えが返ってくることもあるんだけどね。

琵琶湖博物館の気になる魚 Vol.2 [淡水魚]

関西遠征の最終日は、これまた久しぶりの琵琶湖博物館に行ってきた。
以前行った時は、枯れ葉舞う初冬の頃。博物館の周辺、とりわけ植物園は寂しげな雰囲気に包まれていたけれど、今回は違う。
新緑まぶしい5月末ということもあり、道中の田んぼも青としており、博物館裏の琵琶湖岸にも水生植物が力強く生い茂っていた。寂しげだった植物園も、鬱蒼と植物たちが生い茂り、花が咲き乱れ、以前行ったのと同じ場所とは思えないほどだった。
水族館(水族展示室)の魅力や、その良し悪しには外の気候は影響しないけど、博物館の周辺散策などを楽しむなら、初夏の頃がもっとも気持ちいいんじゃないかな?
ただし、オレが行った日は日射しが強く、植物園から博物館に戻った頃は、ちょっとぐったりしていたけれど。

琵琶湖博物館に行くのは2回目なのだけど、やっぱりいい水族館だねぇ、とあらためて実感。
最初の3つの大型水槽は、琵琶湖の中にいるような濃厚な水中感を味わえるし、その後に登場する展示も充実しているし、何より綺麗。
もっと近くだったらいいのにと、行く度に思うお気に入りの水族館だ。
そこでオレの気になる魚と言えば、やはりチョウザメ… というのは間違いではないんだけど、今回のネタはそれとは別。
そのチョウザメも、自宅で飼うようになったことで理解度が増したのだろうか? 前回は同じようにしか見えなかったバイカルとレイクが、まるで違うものに見えるようになっていたのが個人的に嬉しい発見だった。

でも、今回もっとも気になったというか、そのカッコよさに痺れさせられたのはアオウオだった。

屋外の池に1匹飼われているのだけど、池の縁に立つと、コイの中に真っ黒な大きな魚が2匹。1.2mくらいはあるだろうか? 尖った頭、大きな胸ビレ。上からしか見ることができないけれど、それがアオウオであることはすぐに分かった。
IMG_2571.jpg
先端に向かって細く尖るような頭部は、真っ黒で細長い胴体と相まって、まるで潜水艦。泳ぎ方もゆっくりしていて、体を大きくくねらすことなく潜行、浮上を繰り返していた動き方も潜水艦的。
また、横に大きく突き出た胸ビレは、翼のようで、これまたカッコいいなぁ、と。
錦鯉の愛好家が、自分の池にアオウオを欲しがる人が多いと聞いたことがあるが、このカッコよさと大きさなら、その気持ちも理解できる。
ウチに池はないけれど、オレも欲しくなったからね(笑)

飼われているアオウオは1匹と書いてあるのに、大きな魚が2匹という説明に? と感じた人もいるかも知れない。
実はその2匹の内の1匹はソウギョだったのだ。
IMG_2581.jpg
池を覗き込むと、黒くて大きい細長い魚が2匹見える。
でも、その2匹をよく見ると頭の形が違っていることに気付き、アオウオではなくソウギョであることが分かった。ソウギョの方が頭が丸く、尖ったアオウオほどカッコいい感じはしないのだけど、これはこれでなかなかのカッコよさだ。

横から見れば一目瞭然に違いが分かる両者だが、上からだと色もフォルムもよく似ているから、一瞬、同じものに見えるのだ。
でも、違う魚だからして、しばらく眺めているとちゃんと違うものに見えるようになってくる。
博物館のA展示室に両者の骨格標本が展示されていたのだけど、骨格だと頭部形状の違いがより鮮明で、その違いを非常に分かりやすく納得させてくれる。
池の2匹の違いに気付いたら、A展示室の骨格標本も見てみて欲しい。この骨格標本は常設展示なのかは分からないけれど…


オレが行った5月末頃は、ちょうど魚たちの繁殖シーズンに当たっていたようで、鮮やかな婚姻色を呈したものが多く、その鮮やかさが目を楽しませてくれた。
琵琶湖博物館の水槽も、その他の淡水魚水族館と同様、水槽部分が屋外になっているものが多く、差し込む太陽光が魚たちを鮮やかに照らし出し、より一層綺麗に見せてくれる。
そんな中でもっとも印象が強かったのがヌマムツだ。
IMG_2588.jpg
それまでカワムツA型とされていたタイプで、03年に別種として分けられたもの。
正直、興味がある魚ではなかったから、その両者の違いは分からなかったし、今でもハッキリとは分からない。
でも、琵琶湖博物館では両者が同じ水槽におり、それぞれ婚姻色を呈していたことで、何となく違いが分かった。

カワムツたちのフィンスプレッティングを眺めていると、よく知ったカワムツ色のものと、
黒っぽいものの2タイプがいることに気付き、もしかして、と思ってネームプレートを見てみると、ヌマムツとのこと。
このヌマムツの方が全体的に色が濃いようだ。
婚姻色だったので、両者の違いは分かりやすかったが、そうでない時期でも見分けは付くのだろうか? やはりこれも慣れの問題かな?


琵琶湖博物館なので、琵琶湖らしい魚もひとつ。
琵琶湖と言えば、ビワコオオナマズやハス、ワタカ、ニゴロブナなど、ここが本場だという魚がいくつもいる。もちろん、それらは琵琶湖博物館で展示がなされているんだけど、飼育されているはずなのに、やはり琵琶湖の固有種であるイワトコナマズの姿を見た記憶がない。
順路最初のトンネル水槽にいたらしいのだけど、どこかに隠れてしまっていたのか、まるで印象に残っていなかった。
博物館の2Fからこのトンネル水槽の上部を覗き込める場所があるんだけど、アクリルパネルの前にしゃがみ込み、中を見てみると、正面にイワトコナマズの姿を見つけた。
IMG_2718.jpg
“流石は本場!!”と唸ってしまうような、それはそれは立派な個体。
アクリル面に沿ってエアーが立ち上がっているので、見るのはおろか、写真を撮るのは大変だったけれど、撮れるまでチャレンジしたくなるような見事な個体だった。
馴染みの薄さも手伝って、イワトコナマズには小さくて貧弱なイメージがあったのだけど、そんなイメージが覆されたことは言うまでもない。
インパクトという意味では、ビワコオオナマズ以上だったかも!?
とりあえず、日本産ナマズやSilurus属好きにとっては、最高の水族館であることは間違いないはずだ。


最後に外国の魚も1匹。
先にも書いたように、今回は日本の淡水魚たちが鮮やかな婚姻色を見せてくれていたので、普段ならこちらがメインとなりそうな外国の魚たちも、今回ばかりはオマケ的。
それでも、ちゃんと水槽を見て回っていると、トンレサップ湖の水槽で縁からこちらを覗く視線を感じた。
ダトニオだった。
IMG_2810.jpg
物陰に隠れるのが好きで、様子をうかがうように上目がちにこちらを見てくる。
大胆な性格の個体なら、隠れずにその姿を見せてくれるのだが、ここの個体はいわゆる、ダトニオらしい性格のようで、待っていても出てきてはくれないだろうと水槽前を後にした。
閉館直前、再びダトニオのいる水槽の前に行ってみると、先ほどが嘘のように、水槽の中央でダンスでも踊るかのように、身をくねらせていた。
上の写真はその時に撮ったものだが、まるでポーズを取るかのように、カメラを向ける度に一瞬、動きを止めて、写真を撮らせてくれた。
ご覧の通り、なかなかの良個体で、写真を撮らせてくれるのも、自分の美しさを知っているから? 魚のノリの良さ? に感化され、メディアの後半はこのダトニオの写真だらけ(笑)
その時がそうだったのか、いつもそうなのかは知らないけれど、琵琶湖博物館でダトニオを撮るなら、閉館間際がいいかも知れません。

ブログを書きつつ写真を見直してみて思う。琵琶湖博物館の魚、ホント、いいねぇ~
博物館としても楽しいから、もっと頻繁に行きたいのだけど、ウチからの遠さが難点だな。

板橋グリーンドームねったい館 温室の水槽の話 [淡水魚]

日本人にとって春の花と言えば桜だけれど、オレにとっては「ヒスイカズラ」なのである!!
IMG_0592.jpg
その妖艶な色にすっかり魅了され、毎年見に行くのを楽しみにしている。
3月頃から咲き始めるので、その時期になると「今年はどこに見に行こうかなぁ!?」と思いを巡らせ始めるのが春先の恒例行事(笑)
でも、いつも真っ先に思い浮かぶのは、高島平にある板橋グリーンドームねったい館だ。
そこは目的の花が間近で見られるのも大きな理由なんだけど、その温室内にある池を見るという楽しみもあるからだ。
その池は、最大の淡水魚のひとつであるヒマントゥラ・チャオプラヤを始めとするアジアの淡水魚がひしめく、きわめて魅力的な展示水槽でもある。
規模はそれよりもずっと小さいものの、淡水魚の水槽としては、なかがわ水遊園のアマゾン水槽に匹敵するくらい魅力的、なんて言ったら言い過ぎだろうか?

この水槽を最後に見たのは、ちょうど1年ほど前のこと。
久しぶりに見る水槽は、2匹のエイやアロワナたちが大きくなったのも手伝って、ずいぶん混雑してるように見えるようになってきた。
IMG_0683.jpg
初めてこの植物園に来た時には、魚も3種類ほどしか入ってなくて、“魚もいるんだな”くらいの印象だったのに、今は魚種も増え、オレが行った時には泳いでいなかったけど、比較的最近、ボルネオカワガメも仲間入りしたらしい。
2匹の巨大エイ、そして大型のカメ。水槽は大きくならないから、ちょっとこの先が心配になるような…
でも、相変わらずエイたちは絶好調で、見ていて気持ちがいいくらい。
IMG_0690.jpg
ここで見ていると、右へ左へ、水槽の奥へとずっと泳ぎ回っていて、遊泳性の強いエイなんだってことが分かる。より大きな水槽だともっと泳ぐのだろうか?

この水槽ではポストフィッシュや、ドーキンシア・フィラメントーサが勝手に殖えているそうで、その幼魚の姿も見られるのだけど、アロワナやナイフフィッシュ、大型のカメやエイがいる中で、小さな魚がどうして食べられないんだろう? 不思議に感じていた。
IMG_0708.jpg
沢山いるグッピーや、成長過程にある幼魚は多少、食べられてしまうこともあると聞いたが、それでもいなくなってしまわないのは、なかがわ水遊園でも聞いた“平常心の法則”なんだろうね。普段通りにしている魚は襲われないというヤツだ。

家庭の水槽で同じことをしようとすると、まず間違いなく喰う、喰われるの惨事になってしまうワケで、それがどのくらいのサイズの水槽だと可能になるんだろうか?
なかがわ水遊園も、ここの水槽も、中を泳ぐ魚の産地が概ね似通っているのも関係していたりするのかな!?

いずれにしても、混泳というヤツは奥が深い。
IMG_0712.jpg
小さなD.フィラメントーサが大きなアロワナやオスフロに臆することなく機嫌よさそうに泳いでいたり、自分よりはるかに大きなエイをあまり気にしてない様子のクラウンローチを眺めながら、そんなことを思った、という話でした。

同じ東京23区内でも、高島平は意外と遠いので、この水槽を眺めに行くのはまた1年後かな?
その時、チャオプラヤがどこまで巨大化してるか楽しみ!!

なかがわ水遊園の気になる魚 Vol.2 [淡水魚]

70~80年代の東京に育ったオレにとっては、日本の淡水魚はまるで馴染みが薄い。
熱帯魚店で会えたアマゾンの魚よりも縁遠く、昔から水族館で見る存在だった。
小さい頃から熱帯魚店に入り浸ってたから、昔懐かしいという意味でも、淡水魚と言えば、アマゾンを始めとした外国の魚たち、なのである。
加えて、日本の淡水魚はどれも小さく、色も地味。
大きさ、色、形、そのいずれもがバラエティに富んだ外国産の魚を知ると、何だかつまらないものに感じていた。
しかし、先日、番匠おさかな館でカワムツに感動したように、時としてビックリするような綺麗さに遭遇することもある。そんな姿を知らず、期待していない分だけ、より大きな驚きや感動が得られてしまうのだ。

なかがわ水遊園といえば、アマゾンなのである!! そう確信しているのだけど、今回は日本の淡水魚の綺麗さに驚かされてきた。
その美しさに息を呑まされたのがオイカワだった。
IMG_0309.jpg
婚姻色に染まった体に太陽光が降り注いだ瞬間、まるで花火みたいに鮮やかな体色が弾ける。
訪れた3月末頃は、河川の水温が上昇し始め、淡水魚たちの繁殖シーズンに当たる。
オイカワもその例に漏れず、鮮やかな婚姻色を発し、オス同士の優劣を決めるためのフィンスプレッティングを盛んに行う。
つまり、美しさに息を呑む瞬間が度々訪れるということだ。
パッと見ではそれほどの派手さはないけれど、いくつかの条件が重なると、驚くほどの綺麗さを見せてくれるのだ。
そういう意味では、今はオイカワの魅力を再発見するのに最適な季節である、と言えるのだろうね。

鮮やかな婚姻色はオイカワだけではなく、同じ水槽にいるウグイたちも華やかさを増していた。
IMG_0276.jpg
ブルーを基調としたオイカワとは違い、こちらはオレンジがメイン。
でも、色の鮮やかさはこちらの方が上で、オイカワが花火なら、ウグイは火そのもの、といった感じ。
でも、時期的にまだピークに達していないようで、赤く染まった個体もまだ少なく、その赤さもまだ少し弱かった。今頃なら、もうすべての個体が強い赤みを発して、水槽内が燃えるようになっているのかも。
日本産淡水魚への興味、関心が薄いオレだが、ウグイだけは結構好き。
その好きの理由のひとつに、この鮮やかさがあることは言うまでもないだろう。

この時のなかがわ水遊園の日本の淡水魚水槽は本当に賑やかで、婚姻色を発色する種類はどれも、鮮やかな色を楽しませてくれた。
オイカワ、ウグイに続いては、タナゴたちが鮮やかさを競っていた。
IMG_0494.jpg
何種類かいたタナゴの中で、オレがもっとも綺麗だと思ったのがタイリクバラタナゴ。
いわゆる外来種のひとつで、何となく悪いイメージのある種類だが、両隣に並んだ稀少な種類よりもずっと華やかな姿は、そんなネガティブなイメージも吹き飛ばしてしまう。
もちろん、外来種問題は魚が悪いワケではないけれど、
タイリクバラタナゴははオレが小学生の頃、家で飼ってたことがあるけれど、こんなに綺麗な魚だったっけなぁ? 


日本の淡水魚の話でまとめようと思っていたのだけど、そこはなかがわ水遊園の魚である。
アマゾン水槽の魚たちに触れないワケにはやはりいかないのだ!!
あの水槽にはピラニアを含む中~大型カラシンが沢山入っているが、その中で気になるのがメティニス、ミレウス類。
個人的には好きな魚ではなく、どちらかと言えば好きではないグループ。
そのため、その姿を見ても、なんていう種類なのかは分からないのだけど、どこかで似たような種類を見た記憶があったりと、何となく知ってるような気がするグループだ。
ただし、なかがわ水遊園にいるものは、オレが見知ったものよりも大きく、綺麗。
体の大きさと遊泳力を考えると、こういう飼い方をするのが正しいんだろうなぁ、と思わされる、非常に説得力のある体つきと、体色を楽しませてくれる。
ここ最近、一部のマニアの間で人気が高まっているグループらしいが、そんな人なら、きっとこの水槽の前から離れられなくなるに違いない。
興味のないオレでも、引きつけられるくらいだからね。
というワケで、今回、特に気になった2匹。
IMG_0396.jpg
ブラックバンドメティニスって言われてるヤツ? Myleus sp.(←名前知らない)
IMG_0381.jpg
形がやけに菱形で、その他の種類とは雰囲気が違っていたもの。何ていう種類だろう?

でも、とりあえず、この手が好きな人にもたまらない水槽なんじゃないかな?

番匠おさかな館の気になる魚 [淡水魚]

番匠おさかな館の水槽が驚くほど綺麗だったというのは、ひとつ前のブログでした通り。
そんな水槽で飼われている魚たちだからなのか、これまたビックリするほど綺麗で、興味や関心がないどころか、それほどいい印象のなかった魚がよく見えてしまったほどだった。

まず最初にオレを驚かせてくれたのは、カワムツだった。
IMG_9393.jpg
個人的には何もかも中途半端な魚という印象で、正直、好きな魚ではなかった。
だって、似たような形をしているオイカワみたいに、キリッとした美しさもないし、大きさも中途半端。おまけに顔つきも丸っこくて、何だか冴えないなぁ、と。
入ってすぐの上~中流の水槽にいたカワムツは、オレのそんな印象を吹き飛ばした。
流れに向かって泳ぐ群れの綺麗さと言ったら、「カワムツ!? だよね!?」と自分の目を疑ったほど。見せ方次第でカワムツでも感動の対象になるんだってことを知った。

カワムツに続いて、カマツカでも驚かされることになった。
コイやフナがいる隣の水槽を眺めていると、砂の上にカマツカがいるのが目に入った。
結構な数がいるようで、砂が敷いてある所には数匹ずつがいて、砂に口先を突っ込んでハムハム。ここまではよくある光景。
しかし、水槽の奥から、とびきりデカイ個体がやってきて、その中に加わったのを見てぶっ飛んだ。「カマツカってこんなにデカくなるの!!」って。
デカイと言っても、せいぜい30㎝あるかどうかといったところだと思うのだけど、大きくても10㎝くらいの魚、なんてイメージがあったものだから、その巨大さにビックリさせられたのだ。
IMG_9413.jpg
砂の上にはコケが生えていたりして、集まったカマツカたちが芝生の庭でくつろいでいるように見えて、何とも気持ちよさそうだなぁ、と(笑)
このカマツカたちがいる所は、ガラス面から少し離れているのでちょっと分かりにくいんだけど、実際に見るときっと気持ちよさそうに見えると思う。

日本の淡水魚の水槽にもいろいろ驚かされたが、温室内の外国の魚たちにもビックリだった。
まず、そのあまりの綺麗さに驚かされたのがエンゼルだ。
IMG_9513.jpg
ワイルドのスカラレ。
ワイルドエンゼルの中でも、スカラレは比較的水族館でも見かける機会が多い方で、中にはかなり綺麗に飼育、展示をしている水族館もある。
でも、ここにいたものときたら、オレが今まで見てきたすべてのスカラレの中でもトップクラスの綺麗さ。眺めている間は、一番綺麗なんじゃないか!? なんて思ったくらい。
プロポーション、ブルーを発色した体色、そのどれもが完璧と言っていい仕上がり。
しかも、超スペシャルな1匹がいた、という話ではなく、その水槽にいた個体はどれも綺麗で、エキノドルス(水草ね)の茎の間にそれらが群れている姿は、あまりにも綺麗で見とれてしまった。
ネームプレートには何故か“アルタムエンゼル”と表記されていたが、下手なアルタムでは到底及ばないクオリティ。むしろ、スカラレであることを誇って欲しい!! そう強く思った。

エンゼルとそのエンゼルが暮らすアマゾン水槽は、一緒に入ったテトラ類もとても綺麗だったんだけど、温室内のその他の水槽にいる魚たちもどれも綺麗で感動的。中でも印象的だったのが、タンガニイカ湖水槽に1匹だけいたギベローサだ。
IMG_9459.jpg
強い印象の理由はすごく簡単で、これまた綺麗だったから。
明るい環境で飼われているせいか、体色は黒っぽいのだけど、青いところはきちんと青くて、さらに光が差すと、背ビレがオレンジ色に輝き、あらためて「こんな色がある魚なんだ!!」という驚きが。
水族館ではあまり見かけない魚というのもあるけれど、色、体型ともに綺麗な個体というと、意外と見るのが難しいような印象があったんだけど、この個体なら文句なし!!
番匠川をテーマに、そこに住まう魚を展示した水族館だというのに、家に帰って撮った写真を見てみたら、ギベローサの写真がやけに沢山あった(笑)

タンガニイカ湖の水槽は、大きい分だけギベローサが目立つのだけど、その他に3種類いたシクリッドたちも見逃せなかった。
N.レレウピィの成魚だけは不思議と色がよくなかったけれど、状態は最高にいいようで、他の2種類同様、繁殖を繰り返している様子。水槽内には3種類の各サイズの個体がひしめいていて、環境のよさを物語っているようだ。

何度も書いている通り、この水族館の魚はどれもとにかく綺麗だ。
ここに限らず、水槽が綺麗な水族館の魚というのは、やはり綺麗なものなのだ。そういう意味では、水槽があれだけピカピカにされているのだから、魚が綺麗なのも必然といったところなのかも知れない。それにしても綺麗すぎる。
その理由は何なんだろう?
太陽の光が差し込むことも関係していると思うけど、やっぱり水なのかな?
九州は名水が多いようだけど、この周辺の水もやはりいいのだろうか?
そんなことを思いつつ、水族館を出た後、裏手を流れる川を覗いてみたんだけど、底の砂利がハッキリ見えるくらいの清流だった。
IMG_1170.jpg
飼育水にあんな水が使えるのだとしたら、魚も綺麗に仕上がってしまうのかも知れないね。

オレが得た感動を多くの人にも味わって欲しいと思うのだけど、その魚の綺麗な姿と、そうでない状態の両方を知っていないと、そこで驚くことはできないのかも、とちょっと心配。そういう意味ではちょっとマニアックな水族館と言えるのかも知れないけれど、綺麗なものを見て得られる純粋な感動は、誰でも同じなはず。

水槽を覗き込んで、そこに泳ぐ魚たちを眺めてみれば、きっとそれまで気付かなかった美しさにハッとさせられると思う。是非、そんな未知の感動を楽しんでみて欲しい。