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さいたま水族館の多国籍屋外池 [淡水魚]

さいたま水族館でもっとも感動したのは、実は水族館を取り囲むように配された池だったというのは、ひとつ前のブログでも書いた通り。
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水深は大人の股下くらいしかない浅いものだが、面積は広く、アオウオやコイなどの大きな魚が過密に飼われている。

水族館前の広い池には、コイやアオウオ。その隣の池にはチョウザメ、水族館裏手の池ではナイルテラピアがそれぞれのメイン。
それぞれの池は水路や川でつながっており、どの池も基本的には同じ水で満たされている。

最初に池を覗き込んだ時、餌に群がるコイやソウギョに混じって、小さな魚も数多く泳いでいるのが目に入った。池の縁にしゃがんで覗き込んでみると、オイカワやモツゴに混じって、小さなテラピアの姿が。
夏の間に放たれたものなのだろう。冬が来れば、これらは死んでしまうんだろうなぁ…
なんて思いながら眺めていた。
その池はチョウザメが暮らす隣の池ともつながっているし、それ以前に屋外の広大な池であるからして、保温しているとは考えにくいからだ。

とは言え、この浅さでは、真夏はかなり水温が高まってしまうはずで、水車が回り、エアーレーションはなされていたが、それでもチョウザメには少々厳しいのでは!? もしかして湧き水や地下水が用いられているのかも? と、チョウザメの給餌の際、説明をしていたスタッフ氏に尋ねてみた。

すると、思った通り、池の水には湧き水が使われており、その水温は真夏真冬で±2℃程度の上下動はあるものの、基本は23℃程度。
湧き水としてはかなりの高温だが、冷たくも温かくもないその温度は、南方の魚と北方の魚を同じ水で飼育することを可能にしている。
オレのような魚飼いにとっては、まさに垂涎ものの夢のような水だ。
もしウチにこの湧き水があったら、何を飼うだろう? その瞬間に宝くじが当たった時みたいな妄想を楽しめる(笑)

そのため、テラピアたちは、この池で問題なく越冬し、それどころか少しずつその数を増やしているという。つまり、オレが見かけた小さな個体は、この池で増えたものの一部というワケだ。
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先にも書いたように、テラピアたちはもっとも上流にあたる、水族館裏手の池にいる。
テラピア池も見に行こうかと、そこの池まで行って驚いた。

池の前に立った瞬間、ナイルテラピアに混じって、何匹かフラミンゴシクリッドの姿が見えた。“ああ、フラミンゴもいるんだ”と思いつつ、池を覗き込んでみると、青い小魚が沢山いるのが見えた。
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テラピアの幼魚かと思いきや、マラウィ湖産のシクリッド、ゴールデンゼブラだった。
周辺には黄色く発色した成魚もおり、沢山いる小さな個体は、やはりこの池で増えたものらしい。
ゴールデンゼブラだけでなく、イエローストライプシクリッド、L.カエルレウスと、もっとも簡単に手に入る“マラウィ湖のムブナ”3種が揃っていた。
いずれも本来の生息地よろしく、池の中に生えるコケをついばみながら、それぞれの生活を送っているのだろう。
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驚きつつもムブナたちを観察していると、水面を覆うように茂った草の影に目立つ縦縞の入った細長い魚を見つけた。
その雰囲気は明らかに日本の魚のそれではない。
逃げてしまわないよう、そっと草の間を覗き込むと、これまたマラウィ湖産の魚食性シクリッド、D.コンプレシケプスだった!!
そこにいた2匹だけではない。目をこらすと、コンプレもかなりの数がいる様子で、中には自分のテリトリーを守るのに忙しそうな、20㎝ほどのオス個体の姿も。
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思わぬ魚たちを見つけて驚いたのをきっかけに、他にもいるかも!? と真剣に水の中を覗いて回ると、オレンジ色のソードテールの姿を発見。
さらに、池の端の方の石積みの周辺を眺めると、代表的なタンガニイカシクリッド、N.ブリシャルディを発見。
ブリシャルディは2匹しか見なかったが、あの環境があれば、すぐにその数を増やすだろう。恐らく、その他のシクリッドたちと同じく、既に繁殖はしているものと思われる。

一部分だけを見ると、自分がいるのが埼玉とは思えない光景だが、そんなアフリカンシクリッドに混じって、オイカワやモツゴも泳いでおり、まさに和洋折衷、多国籍な環境が作り出されていた。
魚種や、池の中のレイアウトなんかを工夫すれば、ミニ・マラウィ湖やミニ・タンガニイカ湖を作れてしまうワケで、アフリカンシクリッドマニアではないオレでも、なんだかドキドキ楽しくなってしまった。
だって、水槽よりも広くて、太陽光も降り注ぐ。生き餌もあって、水は新しい水がコンスタントに注入される… 条件的には、魚が綺麗に育つはずのものばかりが揃っている。

ここであらためて思った。この池がオレのものだったなら…
日本の淡水魚に興味はないよ、なんて嘯く前に、1度この池で魚を観察してみて欲しい。
泳いでいる魚そのものに興味が無くても、シクリッド好きなら、きっとときめくはずだ。
気付くと、オレと同じような妄想が頭の中で始まっていることだろう。
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コメント 2

モニタン

読んでるだけで、ワクワクします!
この環境の整いようは、もはや自然! 
ザリガニもいますね! 
こういう池のような飼育は、大雨の時に、冠水して水があふれる→魚がいなくなる というのを避ける為に、どのような仕組みになってるんですかね? なんか、心配しちゃいます 笑
by モニタン (2012-10-31 12:34) 

ミストラル

>モニタンさん

ワクワクしますよね~。
保温もなしに、アフリカの魚が池で飼えちゃうんですからね。

しかも、勝手に殖えてる小魚とかザリガニとか、ちょっとした生態系ですよね。
新しい水が常に入ってる池なので、オーバーフローした水が出ていくような作りになってました。
かなり太い排水パイプが取り付けられてましたから、大雨でも大丈夫なんでしょうね。
でも、大雨で増水すると、上流の池の小魚は下の池までは流されちゃうようですよ。
by ミストラル (2012-10-31 21:45) 

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