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アクアトトぎふの気になる魚・カラシン編 [淡水魚]

以前のブログにも書いた通り、アクアトトぎふで開催されているアマゾン展のテーマはカラシン。
実を言うと、カラシンの仲間はあまり好きではないというか、むしろ好きじゃないグループだったりするのだけど、思った以上に楽しめたのは、定番のピラルクーや大ナマズじゃなかったからなのかも、なんて思ったり。

でも、同じアマゾンのカラシンでも、企画展にいたものよりもずっと驚きと感動をくれたのは、ピラルクー水槽の隣、滝が落ちる水槽にいたミレウス属のパクーたちだった。
上のフロアから、滝を眺めていたら、そこにアロワナやカラシン類、シクリッドが泳いでいるのが見え、大型ナマズが泳いでいた6年前とは変わっていることはその時点で分かったのだけど、改めて水槽の前に行ってみて驚かされた。
パッと見ただけでも分かるパクーたちが、ひしめくように泳いでいるのが目に入ったからだ。
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どれもデカイ!!

観賞魚としても比較的古くから知られているグループながら、最近は産地が明記されて輸入されてきたり、以前は見られなかった種類が輸入されてきていたりと、マニアックな楽しみ方ができるグループになってるようだ。
とは言えオレは、この手の魚は完全な門外漢。目の前を泳いでいるのが、何という種類なのかはほとんど分からないのだけど、それがミレウス属の魚であることと、デカイとか、綺麗だということくらいは分かる。

こういう魚って、遊泳スペースに余裕のある水槽で飼うと、こんな立派になるのね!!
ひとつ前のブログで紹介したメコン川水槽の大型コイ科魚類同様、そんな風に強く思わされた。

水槽には何種類ものパクーが泳いでいるのだけど、まずは見知ったものから。

パクー1 Myleus pacu? M. setiger?
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同じ種類がなかがわ水遊園にもいて、「こんな色の種類がいるの!!」と驚かされた種類。
アクアトトにいたものは、発色の鮮やかさではなかがわ水遊園のものには劣るけれど、個体数の多さでは大きく上回っていた。
長いヒレをヒラヒラさせながら泳ぐ様は、多くのパクーがひしめく中でも目を引かれる。

もっとも驚いたのが、パクー2 M.micans?
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まず、その大きさ。
この手の魚の大きさって、DVDより2まわりくらいのサイズ、みたいな印象があったのだけど、宅配ピザのLサイズくらいありそうな大きさがあって、こんなに大きい種類がいるの!! とまずビックリ。
しかも、同じ形、顔つきをした大きなものの中には、まるで血をにじませたみたいな赤いスポットを散りばめた個体もおり、デカイだけじゃなくて綺麗さでも印象に残る1匹となった。写真が残念なのが何だけど…

赤さ、という点では、この個体が1番凄かった。
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バンデッドメティニス(.M.schomburgki)だと思うのだけど、真っ赤なのはこの1匹だけ。
他の個体とは違い、この個体は水槽の奥まったところでジッとしていることが多く、見えやすい位置にはほとんど泳いできてくれない。
その強烈な赤さ故に、隠れていても見つけることはできるのだけど…
この写真は、1度だけ泳ぎだした時に何とか撮ったものだけど、1発で決めることができず、こんなピンボケ写真に。
これしかないので掲載したけれど、その“赤さ”は伝わったはず。

アクアトトに行ったら探してみて欲しい。
こんなの見てると、この筋のマニアの気持ちが少しは分かるような気がするのだけど、こういうよさを引き出すには、このサイズの水槽…
そう考えると、やっぱりウチでは無理だなぁ…
とりあえずは、イマイチな写真を撮り直しに行きたい!!

最後に、アフリカンカラシンもひとつ。
アクアトトの個人的お気に入り水槽のひとつである、コンゴ川水槽。
そこにいたロングノーズ・クラウンテトラも驚きの1匹だった。
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だって、もはやクラウンでも何でもない、巨大な魚だったから(笑)
クラウンテトラは巨大化すると、色が薄れる傾向にあるのは知ってる。
6年前に見た時には、それでもまだクラウン柄が見て取れた。
久しぶりに見たこの水槽のクラウンテトラたちは、さらに巨大に、そして分厚くなっていたけれど、色、柄は見事に消えてた(笑)

クラウンテトラってこんなになるの!! と、ここでも見知らぬ魚を見たような驚き。

知らない魚を見るのは楽しいけれど、知ってる魚の知らない姿を見るのは、さらに楽しい。
好きじゃないはずのコイとカラシンに楽しませてもらった久しぶりのアクアトト訪問、でした。

アクアトトぎふの気になる魚・コイ編 [淡水魚]

ひとつ前のブログに書いた通り、アクアトトではコイ科魚類に心奪われる瞬間が多かった。
コイ科魚類はあまり好きじゃない!! と思ってたはずなのに、それがカッコよければ、普通に感動できるものらしい。
好きではないヤツが見ても感動できるのだから、きっと、その筋のマニアが見れば、感涙ものであることは間違いないはず。

馴染み深い反面、数が少なくなっているものも多く、結果的に珍しい魚になってしまっているものも少なくない。
そんな希少種のひとつがウシモツゴ。
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岐阜や愛知に生息するモツゴ(関東人にはクチボソと言った方が伝わりやすいだろうか?)の1種で、生息環境の減少によって数を減らしている希少種である。
アクアトトでは、まさに地元の魚ということもあってか、数多くが展示されていた。
その希少性よりも、「おっ!!」と思わされたのは、その体型と顔つき。
小魚にしてはやけにイヤらしさのある顔つきをしているし、体型もこのまま巨大化すれば、ソウギョやアオウオみたいになりそうな、かなりのしっかり体型。
クチボソって、こんな厳つい魚じゃなかったよなぁ… 別種だから違っていて当たり前なんだけど、帰って調べてみたら、ケンカモロコなんて呼ばれることもある魚なのだとか。
水槽ではさほど喧嘩をしているようでもなかったけれど、実物を見てみると、そんな気の強さも納得できるように思えた。
やっぱり、実物を見て得られることって絶大だよなぁ、とあらためて実感させられた。

日本産のコイ科魚類をもうひとつ。
日本の淡水魚でもっとも華やかな美しさを持ったものと言えば、やはりタナゴだろう。
発色される色合いは種類ごとに異なり、それぞれ独自の美しさを見せてくれるのも魅力だ。
今回のアクアトトでは、カネヒラが美しい姿を見せてくれた。
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カネヒラはタナゴ類としては大型なので、普通にしていても見栄えがするが、小ぶりな水槽に入っていたのもよかったのか、その美しさを誇示するように水槽の真ん中にやってきてくれる。
動きが速いのは他のタナゴと同様で、ライバルのオスがやって来ると、それを追って、追いかけられて、すぐにどこかに行ってしまうので、じっくり堪能するという感じではないかも知れないけれど…

カネヒラの斜向かいあたりの水槽にいたカワアカメも気になる1匹(種)だった。
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銀色に輝く細身の魚。いかにもコイ科魚類といった雰囲気だけど、日本にはいないタイプ。
揚子江産の魚として展示されていたが、顔つきや体型はどことなくソウギョを連想させる。
大陸にはわりとよくいるタイプのコイ科魚類のようで、ヨーロッパにも似たようなのがいるらしい。
隣の水槽に大きなアオウオがいたせいか、見た目もサイズも地味目? な本種の注目度はあまり高くないようだったけれど、意外と綺麗なので行った際には、ちょっと水槽を覗き込んでみて欲しい。動きはせわしないけれど。

お次はメコンオオナマズの水槽にいた脇役のひとつ、タイガーバルブ。
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売られているのを見たことがある程度の魚だったのだけど、まず、こんなに大きくなる魚だったことに驚いた。
数匹の群れで底砂をモソモソしていて、あの水槽ではコリドラスみたいな動きをしていたけれど、いずれも60㎝以上はありそうな巨体。周りがもっと大きいので大きさは実感しにくいけれど、デカイ!!
しかも、メリハリのある縦縞模様と真っ赤な眼が、あの水槽ではひときわ目を引く。
とは言え、顔はコイそのものだけど。
食欲も旺盛で、メコンオオナマズが食べ損ねた餌団子に群がって、モリモリ食べる。
あの様子では、次に見に行った時にはもっと巨大化してるんじゃないかなぁ?
コイ科魚類のマニアでないオレが見ても、この脇役たちの立派さには感動したので、この手が好きな人には是非、見てみて欲しい水槽だと思った。

最後の1匹は、やはり同じ水槽にいたパーカーホ。
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コイ科魚類最大種と言われる魚で、あの水槽でもメコンオオナマズと並ぶもうひとつの主役だ。
とは言え、その見た目はとにかく気持ち悪い、というか不気味。
寸詰まって見える体高の高い体に、ヒラヒラした大きめのヒレ。巨大な頭にはこれまた大きな口と、下向きの眼…
あの超巨大ヘラブナのような形で、3mにもなるというのだから、想像しただけでも鳥肌が立ちそうだ(笑)

でも、パーカーホの魅力って、そんな不気味さなんじゃない? なんて思っていたりする。
それを展示している水族館があまりないのもあるけれど、そんな不気味さを楽しめる水族館はあまりない。
その点、アクアトトはその不気味さを堪能するには打って付けの水族館だ。
水槽の前に腰を下ろせば、目の前を通り過ぎていくパーカーホと目が合うくらいの距離感でその魅力? が味わえる。

それもまたアクアトトならではの価値ある? 体験じゃないかなぁ?(笑)

相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはらの気になる魚 Vol.2 [淡水魚]

1月の3連休。天気のよさに誘われ? フラリと相模川ふれあい科学館へ。
訪れるのは9ヶ月ぶりだが、その間にひとつ大きな変化が。
科学館前のバス停を降りて、帰りのバスの時間を確認しておこうと、反対側のバス停に行こうとすると… あれ!? ないぞ!?
バス停があったはずの場所に、バス停がない。
慌てつつ、駐車場にいたスタッフの人に聞いてみると、相模原駅方面行きのバス停はなくなってしまったとのこと。
なので、帰りはひとつ先の水郷田名バス停まで行かなくちゃならなくなっていたのだ。
まぁ、行かなきゃいけないとは言っても、歩いて5分も掛からないくらいなので、不便になったというほどではないけれど、知らないと慌てるので、バスで行く人はそのつもりで。

休日ということもあり、館内はそれなりに混雑していた。
水槽を順番に眺めていくも、9ヶ月前の時のように、じっくり魚を撮影するという訳にはいかないから、この日はさほど粘らなくても撮れるものだけ。
まずは9ヶ月前、失敗写真を量産していたニゴイ。
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ここには良型のニゴイが揃っているのだ。
ほどよいサイズに加え、水槽内ではそれほど速く動く訳でもないので、被写体としては格好の相手。
しかし、そこに油断が産まれてしまうようで、簡単な相手で失敗してしまうのだ。
という訳で今回は、油断せずにしっかり撮ってきました。
ニゴイを見たい、撮りたい人、相模川ふれあい科学館、オススメです!!

ニゴイにとりあえず満足しつつ、並びの水槽に目をやると、これまたカッコいいハスを見つけた。
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前に来た時にこんなのいたっけか? と思いながら、家に戻って9ヶ月前の写真をチェックしたら、その時も撮ってた。
しかし、今回見たものとは違う、まだまだ若い個体。
9ヶ月の間に成長したのか、はたまた大きな個体と入れ替わったのか。
いずれにしても、いかにもハスらしい、すごくカッコいい個体が揃っていた。
ハスはコイ科魚類にありながら、魚食に特化した変わり種で、口に歯を持たない代わりに、への字型に変化した唇を持ち、捕らえた魚を逃がさないようになっている。
一見、色の薄いオイカワのようだが、その顔つきはプレデターらしいイヤらしさがあり、どことなく南米のドラドを連想させる。
圧倒的な遊泳力の高さで、泳ぐ魚を追いかけて捕まえる、なんてところもドラドに通じる部分だろうか。
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今でこそ相模川にもいるらしいのだけど、元々は琵琶湖水系の固有種である。
今みたいに淡水魚の水族館なんてなかったオレが小さい頃には、図鑑や本でしか見られない、それこそ外国の魚と同じような存在だった。
図鑑で見た堰を跳び越すハスの姿や、その特異な顔つきにシビれた幼い頃の経験のせいか、そんなイメージに近い姿が見られると、嬉しさがこみ上げてきてしまうのだ。

ぶっ飛び級の珍魚、ではないけれど、水族館では見掛ける機会は少ない。
とりわけ、今回ここに載せたみたいな、厳つい顔をした成魚はなかなか見られない。
それが見られるというだけでも、相模原に足を運ぶ価値は十分以上にあると思う。

外国産のものに比べると、小さく地味なものが多い印象の日本産淡水魚だけど、イトウやアカメ以外にも、こんなにカッコいいのがいるんだぜ!! と思わせてくれるはずだから。

千歳サケのふるさと館の気になる魚 [淡水魚]

サケの遡上の話をしたかったから、順序は前後してしまったけれど、今年の北海道遠征で最後に足を運んだのが千歳サケのふるさと館。
今年の12月から、リニューアルのために閉館し、来夏「サケのふるさと千歳水族館」として再オープンを果たす。
そのリニューアルを手掛けるのは、同じ北海道で「北の大地の水族館」を大成功へと導いた水族館プロデューサーの中村元氏。
中村さんのことだから、きっとあらゆる仕掛けを考えていて、話題の施設となること必至。
それはそれですごく楽しみな反面、すごく混雑してゆっくり見学するのが難しくなるんだろうなぁ… と思うと、ちょっぴり複雑でもある。
という訳で、今回は、サケのふるさと館としては、最後となるだろう訪問だった。

この時期(9月末)に行くからして、目的はサケとその遡上を見ることだったんだけど、川を泳ぐ姿は見られなかった、というのは以前のブログにも書いた通り。

川から搬入された遡上個体を水槽で見るだけで終わってしまった。
これはこれで、いろいろな意味で美しい姿だと思うのだけど、やはりちょっと物足りないような…
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でも、ある意味“死に装束”を纏ったサケたちの儚くも美しい姿を眺めていたら、数匹のカラフトマスがいることに気付いた。
まだいたんだ!! ラッキー!! とばかりにアクリル面へと近づくと、水底付近にいた1匹の個体に目が行った。
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スゲェ!! その他の個体とは比較にならないほどの背中の盛り上がりっぷり。
まるでChitala属のナイフフィッシュのような、弧を描くようなラインで著しく盛り上がっている。その割にボリュームのない薄い体つきが、余計にナイフフィッシュ的。
これまで見たカラフトマスの遡上個体なんて知れているけれど、今まで見たものの中では一番スゴくてカッコいい!!
カラフトマスにしてはサイズも比較的大きめで、周りにいるサケとポジションを巡って争っていたくらい。
ただ、アクリル面よりも低い位置にいることが多く、カッコよく撮ることができなかったのが心残りだったんだけど、いいもの見た~!! という感じ。
今年のサケ遠征では最大の収穫かな。

水中観察窓から千歳川を覗いてみても、今年はサケの姿が見えなかった、というのは以前のブログに書いた通り。
見られたものと言ったら、サケと並び、この時期の定番でもあるウグイの群れ。
そんなウグイの中に、違うフォルムの小魚が混じっているのを見付けた。
モツゴだった。
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オレを含め、関東の人間にはクチボソと言った方が馴染みがあるだろうか?
クチボソ(モツゴ)と言えば、東京周辺でも昔から普通に見られた代表的な“雑魚”。
それを写真に収めようと必死になっていたら、同じくらいの大きさのヤマメが。
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オレみたいな東京育ちからすると、それが千歳川の面白い所だと思う。
モツゴとかウグイなら、ウチからも近い多摩川なんかでも普通に見られるけれど、ヤマメはいない。見ようと思えば、よほど上流の方にでも行かなきゃならないだろう。
しかし、千歳川ではどこにでもいるような魚と、ヤマメやマスなど渓流のイメージがある魚が同じ場所で見られる。
水質的にはいいのかも知れないけれど、周辺は住宅街で、川幅も広い。
あまり渓流のイメージは沸かない景色なのだけど…

そんなことを思いつつ、濁った川を眺めてた。
やっぱり、自然を覗き見るのって、面白いねぇ。

最後の1匹は、入り口の円形水槽にいたベルーガ。
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ベルーガと言っても、シロイルカのことではなくてオオチョウザメの方ね。
まだまだ小さな個体なのだけど、ヒレなんかも綺麗。
ウチでも飼っていたことのある種類だったりするのだけど、驚くほどの成長スピードにヒレの成長が追いつかず、反ってしまいがち。
何らかの栄養素が不足しているかららしいのだけど、どんな餌を与え、どんな水質、水温で飼っているのか、聞いてみたかったなぁ、と。
ベニザケの展示開始に伴い、恐らく今は展示されていないと思うのだけど、次に会う時にはかなり大きくなっていそうで、千歳水族館に行く楽しみをより高めてくれる存在だ。

巨大化して、大水槽で泳ぐ日が来たら…
カッコいいんだろうなぁ…

サケ遡上 2014 @千歳サケのふるさと館 [淡水魚]

2011年に初めて川を遡上する姿を見て以降、秋の恒例行事となっている“サケの遡上を見に行く遠征”。
今年も例年通り? 北海道へ。目的地は千歳サケのふるさと館。北海道内なら、それが見られる場所はいくつもあることは知っているけれど、川を遡上する様子がそのまま観察できることや、川を泳ぐ様子が見られなくても、水槽展示もなされていることなどもサケを見に行くなら千歳!! となる理由だ。
東京から行く身としては、アクセスの容易さも大変な魅力だけれど。

千歳へ到着したのは、開館の1時間半ほど前だったから、駅を降りて、まっすぐふるさと館へ。
するとそこでは、遡上したサケを捕らえるインディアン水車からの回収が行われていた。
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例年なら、橋から川を覗くだけで、サケの姿が見えるものだが、濁りのせいか、はたまたその日は遡上数が少ないのか、水面から跳ねる姿が時折見られる程度で、ほとんどその姿が見えない。
川とサケの回収作業を交互に眺めていたら、サケのふるさと館のロゴが入ったトラックがやって来た。
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水車からのサケをトラックの水槽に移し替え、足早に去っていった。
どうやら、水槽展示用のサケの引き取りだったようだ。

給餌解説の時に聞いてみると、サケの搬入は週に3回ほど行われているそうで、オレが行った日はその搬入日。オレが見掛けたように、朝に行われることが多いのだとか。
週に3回も!? と思ってしまうが、繁殖を控えた遡上個体は、個体同士の闘争や、どこかにぶつかってできたキズなどにすぐに水生菌が付着し、著しく見栄えが悪くなる。そのため、定期的に個体を入れ替えて、綺麗なサケが見られるようにされているのだ。
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一方、取り出されたサケは、川で回収されたその他の個体と同様、孵化場へと運ばれるらしい。

その後、水中観察室から千歳川を覗いてみても、サケの姿は見えない。
インディアン水車で捕まっている数も心なしか少ないような…

解説していたスタッフ氏にその辺りを聞いてみると、今年はオレが行った時点では、例年よりも数が少ないらしい。
北海道は9月の10日前後、大雨に見舞われた。当然、千歳川の水位もかなり上昇し、インディアン水車も完全に水没するほどの増水ぶりだったらしい。
サケの遡上数は、大雨などで増水すると、その翌日、増えるとされている。
行くまでは、それをきっかけに遡上数が増大しているかも? なんて考えていたのだけど、確かに翌日は遡上数も増えたらしいのだけど、その後、その勢いが続かず、徐々に少なくなっていったとか。
遡上前の個体を捕獲する定置網や漁船などからの情報でも、今年の日本海側のサケは数が少ないらしい、とのこと。やはり、多い年、少ない年の波があるものらしい。

館内のサケを展示した水槽には、カラフトマスも展示されていたが、今年はカラフトマスも数が少なかったそうで、展示用にと分けてもらえたのも、今年は(卵を持たない)オスのみだったとか。
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9月11日の大雨以降、千歳川の濁りが取れないそうで、透明度はかなり残念なレベル。
おまけに数が少ないとなると、川を泳ぐサケを横から見るのは絶望的…
というワケで今年は(川では)見ることができませんでした。
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また来年、かな?

残念といえばもうひとつ。
オレが行った2日後にベニザケの展示が始まったこと。
真っ赤なベニザケは、この時期に見たいもののひとつだけど、今年はオレが行くのが少し早かったみたい。
その代わり、カラフトマスを見ることができたので、良しとするべきか。
サケの遡上、カラフトマス、そしてベニザケ。これらが1度に全部見られると理想的なのだけどねぇ…

相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはらの気になる魚 [淡水魚]

相模川ふれあい科学館は、その名の通り、相模川をテーマにした水族館である。
特定の河川をテーマにした淡水水族館は各地にあるが、相模川は人口密集地を流れるごくごく一般的な関東の河川である。
そのため、四万十川のアカメとか、北海道のイトウ、琵琶湖のビワコオオナマズなどのような特別なものはおらず、科学館の水槽を泳ぐものにも、驚くような珍品はいない。

しかし、14種類がいるタナゴは別。
これらのタナゴのほとんどは相模川には生息していないのだけど、このコレクションはリニューアル前から存在した科学館ご自慢? の展示だ。
タナゴは婚姻色の時期になると、素晴らしい美しさを見せてくれるが、そろそろその時期に入ろうかという頃。中には美しい姿を見せてくれているものもチラホラと。

そんな中で、もっとも印象的だったのが、相模川にも生息している? ヤリタナゴだ。
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館内の水槽でも展示されているけれど、それよりも屋外の池にいるものが凄い!!
強い太陽の光で照らされているのもあるけれど、アクリル面を通りがかると、遠目に見てもその綺麗さに驚かされるほど。
凄く綺麗なのだけど、その微妙な色合いが写真では表現できないのか、本物はもっと綺麗なのだけど…
これは是非、実物を見てみて欲しいな。

傾向として大型魚を好むオレにとって、タナゴ類は馴染みが薄く、あまり知らないグループだ。
婚姻色が綺麗であることは知っていても、どの種類がどんな色を発色するかまでは知らない。それも手伝って、アクアリウムさがみはらのタナゴコレクションは、オレに新鮮な驚きを次々と与えてくれた。
前述したヤリタナゴの綺麗さも驚きだったけれど、館内のカゼトゲタナゴの綺麗さにも驚いた。
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そもそも、カゼトゲタナゴなんて、名前を何となく知ってる程度の認識の魚だったからなおさら。
タナゴの中でも小さな種類なのに、頑張って写真に収めたくなる1匹だった。

多くの日本人にとってタナゴと言えば、イメージされるのは残念ながら外来種のタイリクバラタナゴなのだろうと思う。
それによって絶滅の危機に瀕しているのがニッポンバラタナゴ。
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喰われるとか、競合するとかではなく、亜種関係にあるため普通に交雑し、純粋なニッポンバラタナゴは消滅しかかっているらしい。
その“危機”については、知識として知っていても、あまりに馴染みのない小魚の話というと、現実的に捉えることは難しい。
ニッポンバラタナゴに限らず、タナゴ類の保護、保全は難問があまりにも多いけれど、それが目の前にいて、綺麗な姿を見せてくれると、こんな魚を無くしちゃいけない!! みたいな気分にさせられる。
純粋なニッポンバラタナゴは今や稀少な存在なので、そういう意味でも、価値ある展示と言えるかも。

そんな日本の淡水魚の問題のひとつでもある国内移入種。
外来種ばかりが注目されるが、場合によってはもっと深刻かも知れない。
そんな国内移入種の現状は、流れのアクアリウムでも見ることができた。
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オイカワやウグイに混じって、ハスがいたこと。
何でハスがいるの? と驚いたが、周りの水槽を見れば、ワタカやらヒガイなどもいる。
本来、琵琶湖の魚であるはずのそれらの魚も、今や関東でも珍しいものではないらしい。
いずれも日本産の魚なので、外来種のように注目されることはないが、かつては相模川にはいなかった魚たちだ。
ハスもワタカも、個人的には好きな魚だが、何だか複雑な気分。

琵琶湖水系産の魚が全国に広まったのは、全国の河川に放流されている琵琶湖産のアユにそれらが混じっているから、とされているけれど、相模川で琵琶湖産のアユを釣るのも、健全な話とは言えないよね。
オレが行った時の相模川ふれあい科学館では、アユ展が開催されていた。
もちろん、展示内容はそんなシリアスなものばかりではなく、生体もいくつか。
その中に珍しい青アユが。
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青アユとは、突然変異で脳下垂体中葉がない状態で生まれたもので、体色が黒くなるためのホルモンを分泌しないため、水色の体色をしている。
一般的には? コバルト個体と呼ばれ、アユに限らず、ニジマスなどでも見られるが、数万匹に1匹程度の割合で生まれてくるため、かなり珍しいものであるのは間違いない。
脳下垂体中葉がないことで、成熟できず繁殖能力がない反面、通常のアユよりもずっと長命なようなので、アユ展が終了した後も見られるかも?

もちろん、企画展の展示のひとつである以上、企画展の終了と同時に展示終了となる可能性も高い訳で、気になる人はアユ展が開催されている5月11日までに足を運んだ方がいいだろう。

東山動物園 世界のメダカ館の気になる魚 [淡水魚]

メダカ館の気になる魚…
少しの日本産淡水魚を除くと、メダカと膨大なカダヤシがいる施設であるからして、気になる魚も当然、メダカとカダヤシということになる。
メダカ(Oryzias属)の魚については、以前、メダカの本の執筆に携わったこともあるため、名前と姿形くらいは知っている。とは言え、初めて見る種類も多かったけれど…

メダカ館なのだから、気になる魚もやっぱりメダカであるべきだろう!!
その充実ぶりに驚いたというのは、ひとつ前のブログにも書いた通りだが、とりわけスラウェシ島産のものの充実ぶりにはひたすら驚きだった。
中でも、エバースメダカ(Oryzias eversi)は、とてつもない存在なんだろうと思う。
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2012年に新種記載されたばかりという新しい種類で、見たのはもちろん、存在を知ったのも初めて。
“コモリメダカ”と呼ばれることもあるO.saracinorumと同じく、腹ビレで抱卵する習性の持ち主だそうで、体型もどことなくサラキノルムを彷彿とさせるやや細長いもの。
インターネットでざっと検索してみた程度では、観賞魚としては流通していない模様。
とりあえず、かなり珍しいものであることは間違いないようだ。
インドネシアのスラウェシ島には、メダカの仲間が多く生息しているが、このエヴァーシィみたいに、知られていないメダカはまだいるのだろうね。

メダカ館なのだから、メダカで… なんて書いたけれど、ここからはカダヤシ。
メダカの仲間は色や形に若干の差はあれど、結局どれも“メダカ”なのに対し、カダヤシは形や色、生態が千差万別。その多様性とバリエーションの幅広さは、この類に特別な興味のないオレみたいな者にとっては、やはりより面白く感じるものだ。

そんな中で、オレが知ってた数少ないもののひとつが、ランプリクティス・タンガニカヌス
(Lamprichthys tanganicanus)。
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タンガニイカ湖産のカダヤシ類の1種で、カダヤシ類としてはもっとも大きくなるもののひとつ。
余所の水族館でも時々見掛けることがあるけれど、脇役的な扱いであることが多く、それに目がいくことは少ない種類だ。
しかし、ここでは本種だけの水槽が与えられるVIP? 待遇で、個体数も多い。
そのためか、どの個体もデカイ!! 色も綺麗。
カダヤシ類としては、比較的知名度のある種類だと思うのだけど、この手の魚を専門に展示している水族館だけに、やっぱりどこで見たものよりも大きくて綺麗。流石である。

メダカ館で展示されている魚の大半は、余所の水族館では見掛けないものばかりなのだけど、かつて“アフリカの卵目”と呼ばれていたグループもそのひとつ。
どれも強烈に鮮やかな体色を持っているものの、飼育、繁殖に特別な手間が必要なため、観賞魚趣味の世界でも特殊な存在となっているグループだ。
その小ささからか、はたまた寿命の短さからか、水族館で見たことはなかったけれど、ここにはそれも沢山いた。

中でもオレが気に入ったのが、フンデュロパンチャックス・シェステディ(Fundulopanchax sjostedti)。
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展示名は旧学名であるアフィオセミオン・シェステディのままとされていた。
それはともかく、小さなものが多いこの手の仲間の中にあって、10㎝を超えるサイズにまず驚き。
流石にそれだけの大きさがあると、そのド派手な体色も手伝って、非常に見応えがする。同属の他種と比べても、圧倒的な存在感にすっかりお気に入りの1匹となった。
的が大きい分、いくらか写真が撮りやすかったのもお気に入りの理由なのかも!?(笑)

体色の鮮やかさと、それを積極的にアピールしてきてくれたことで、印象に残ったのがアフィオセミオン・ボルカヌム(Aphyosemion volcanum)だ。
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小さな体ながら、各ヒレを目一杯に広げてアピールする様は、文句なく綺麗。
この仲間では、もっとも綺麗だと思っていた種類が別にいたのだけど、実物を見比べると、それよりもこちらの綺麗さが圧倒的。
水槽の前にいても隠れてしまうことが少なく、ヒレを広げた姿を何度も見せてくれたこともあるかも知れないけど、自分の知らない魚の、それも圧倒的な綺麗さを見せつけられると、何だかちょっと得したような気分になれる。
そんな気分にしてくれた1匹だった。

最後の1匹も、オレを驚かせた綺麗さの持ち主の、スクリプトアフィオセミオン・グィグナルディ(Scriptaphyosemion guignardi)。
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展示名は旧学名のロロフィア・グィグナルディ。
前出のF.シェステディとか、A.ボルカヌムみたいな派手さはない(十分派手か!?)ものの、内から滲み出てくるような強烈なメタリックブルーが凄い。
前出の2匹みたいな、強烈アピールはなく、水底でジッとしていることが多かったのも、あまり派手さを感じなかった理由かも知れないけれど、色合い的には一番好みな1匹だった。

見学していた他のお客からもそんな声が聞こえていたけれど、メダカ館にいる魚の名前はどれも少々ややこしい。
ほとんどが外国産で和名がなく、展示名はすべて学名のカタカナ表記とされているためだが、カダヤシ類はとりわけ長ったらしい名前が付いてる。
そんな名前が書かれた魚名板をしっかり声に出して読めば、滑舌のトレーニングもできるかも!?

千歳サケのふるさと館の気になる魚 [淡水魚]

千歳サケのふるさと館に行くと、楽しみなのは、いつも違った“何か”を見せてくれる千歳川の水中観察室だ。
しかし、ひとつ前のブログに書いた通り、今回はほとんど何も見ることができず、これまででもっとも寂しい景観を見続けることに。
サケはおろか、ウグイもたったの2匹だけ。しかもそれも、窓の前を一瞬通り過ぎていっただけ。あとは水流に翻る葉っぱだけ…
それでも諦めずに“サケ待ち”をしていたら、砂利の上で何かが動くのに気付いた。
動いた辺りをジッと見つめていると、また動いた!!
ハナカジカだった。
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砂利の上ではほとんど分からない色に加え、その大きさはたったの7~8㎝ほど。
動けば気付くものの、見つけてもすぐに見失ってしまう。
写真中央付近、白っぽい石の脇あたりに写っているはずなのだけど、どこにいるのかは撮ったはずのオレでさえ分からないくらい(笑)
でも、水中観察室で唯一、と言っていい、ちゃんと(と言っていいのか分からないけど)見られた魚だったので、嬉しかったという意味でもここに掲載。
とは言え、この写真じゃあまりにも、なので、水槽で撮ったものも。
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これが川の中で見ると、まったく分からなくなる見事な保護色なのだ。


気になる魚と言えば、入り口の水槽で展示されていた期間限定のベニザケだ。
水槽には3匹が入っていたのだけど、その内の1匹、色も形ももっとも綺麗な個体の顎下に、何やらぶら下がっている。
ブヨブヨしたナメクジみたいな、それはそれは不気味な何か。
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ヒダビルという沿岸性のヒルだそうだ。
遡上前の海でくっついたものらしいのだけど、それが目に付く度に「何て気持ち悪い!!」と口に出てしまう。
何でも、無理矢理引きはがすと、魚体に影響を与えるのでそのままにしてあるのだとか。
展示水槽は海水ではないので、海水棲のヒルは徐々に弱って脱落してしまうのだそうで、オレが行った数日後、ふるさと館のTwitterで脱落したことが書き込まれていた。
あまりにも気持ち悪いので有り難みは感じなかったけれど、なかなか珍しいものらしい。
でもまぁ、いろいろな意味で“気になる”存在だったのは間違いない!!

ベニザケと言えば、陸封型はヒメマスだが、そのヒメマスの有名な産地として知られているのが、千歳にある支笏湖である。
当然、千歳市にあるサケのふるさと館でも展示されているんだけど、あらためて綺麗な魚だなぁ、と。
これまで強い印象に残っていなかったものが、急に気になるようになったのは、最近、琵琶湖博物館で期間限定で展示されたクニマスの影響、なのかも!?
オレは写真で見ただけだけど、オレにはまるで見分けがつかないほどによく似ている。
もっとも、この両者は亜種関係にあるため、似ているのは当たり前なんだけど。
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クニマスに似てるなぁ、なんて思いつつヒメマスを眺めていたら、成熟したオスと思しき厳つい顔つきの個体が数匹。
よく見れば体色もうっすらとピンクがかっているような…
ベニザケと同じ魚だということをあらためて実感させてくれた。
というのが、この個体がここに登場した理由だ。


最後の1匹、というか1種はアムールチョウザメ。
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サケのふるさと館は、北海道大学などと共同でチョウザメ養殖の研究を続けているが、このチビたちも、飼育中の個体から人工繁殖によって産まれたものだ。
チョウザメの人工繁殖はとても難しいのだそうだ。ふるさと館の以前のチャレンジでも、アムールは全滅。昨年のシロチョウザメは展示されている3匹を除いてやはり全滅。
採卵数が万単位であることを考えると、驚異的な歩留まりの悪さだ。
だが、そうした失敗によって積み重ねられたノウハウの賜物か、今回はかなりうまくいっている様子。大水槽の前に置かれた水槽には、多くの稚魚が泳いでいた。
まだ10㎝にも満たない小さな稚魚たちだが、ここまで来ればひと安心、と言ったところだろうか。
アムールチョウザメは観賞魚として流通する機会が少ないため、このサイズのものを見ることはなかなかなく、新鮮に見える。
しかし、思いの外奇形、とりわけ矮小(ショートボディ)個体が多いのが気になった。
これも人工孵化による弊害だったりするのだろうか? 興味は尽きない。

もっとも、多少形が歪でも、将来的な採卵や食用にするには、問題はないのだけれど。

秋のサケ第二弾・千歳サケのふるさと館 [淡水魚]

昨日、八景島シーパラダイスにミツクリザメが11匹も搬入されたというニュースが発表されて以降、「ミツクリザメ・八景島シーパラダイス」の検索結果で“祭り”状態になってる当ブログ(笑)
自他共に認める? ミツクリNo.1ブログとしては、本来、その話をすべきところなんだろうけど、今回は生憎出張中。残念ながら行くことができず、もどかしい思いをしている。
行けるとしても来週の話。大きめの個体もいるようだけど、流石にそこまではもたないだろうなぁ。
ミツクリザメの話は、間に合ったら、その時に改めて。

と言うワケで、今回は新潟のイヨボヤ会館に行ったちょうど1週間後、北海道に行ってきた、という話。
秋の恒例行事となりつつある千歳サケのふるさと館とおたる水族館に行くことが目的だ。
どれだけサケ好きだよ!! と言われそうだが、LCCのお陰で、金額的には北海道は金額的にはずいぶん身近になった。そのため、新潟行きよりも前から決まっていた予定だった。
とは言え、今年は少々出遅れた感があったのは否めない。
昨年、一昨年よりも1ヶ月少々遅いのだから、千歳川でサケは見られないかも知れない… そんな思いを抱えつつ、空港からまっすぐサケのふるさと館へと直行した。

橋の上から千歳川を覗き込むと、群れているはずのサケの姿はなく、インディアン水車に捕まる個体もいない。
今年は昨年よりも遡上数は少ないそうだが、やはり遅かったようだ。
だが、水流の強い場所などをよく見てみると、少ないながらサケを見つけることができた。
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また、観察窓を埋め尽くしていたウグイが移動したのか、水車周辺には小さな魚が群れているのも見えた。
しかし、北海道はやっぱり凄い!!
サケの遡上はこの1週間前に小さな種川で見たばかりだが、それに比べると、千歳川の圧倒的な水量はちょっとした恐ろしさすら感じたほどだ。
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入館し、観察窓に行ってみると、やはりそこにはサケの姿はなかった。
時折、奥の方で何かしら動いているような気配はあるが、思ったより水の濁りが強く、ハッキリは見えない。と言うか、サケはおろか、生き物の姿自体がほとんどなく、何とも寂しい河川観察窓だった。やはり時期が悪かったせいだろうか?

川でサケを見るのは諦め、おとなしく水槽のサケを見ることに。
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残念ながら、もっとも遡上時期の早いカラフトマスはもう見ることができなかったが、真っ赤に色づいたベニザケは今年も見ることができた。
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見るのは2回目だが、この時期だけということもあり、その鮮やかな色合いはとてもありがたいものに見えてくる。

水槽に収容されたシロザケ(遡上したもの)は、例によってテリトリー争いに忙しく、ここでも激しいバトルを繰り広げていた。

儚くも鮮やかなその姿を眺めていたら、見ている目の前で産卵が始まってしまった。
砂利のない水槽なので、産卵には適した環境ではないのだろうけど、この時期のサケは、子孫を残すという本能には抗えないのだろう。
その前段階までは何度か目にしているけれど、実際の産卵を見たのは初めて。
まさか水槽でそれを見ることになろうとは…
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ペアが産卵、放精をした瞬間、周囲のオスが群がり、一斉に放精する。
一瞬でその周囲は煙幕が立ちこめたように真っ白。
煙幕の下からは産み落とされたばかりの卵がポロポロと溢れるように転げている。
転げ出た卵は、水槽内に何匹かいるヤマメに片っ端から食べられてしまい、産み落とされた卵の大半は、それこそアッという間にヤマメの腹に収まってしまった。
もしかすると、この水槽のヤマメたちは、こんな役割のために入れられているものなのかも…!? なんて勘ぐってみたり。

千歳川を泳ぐサケの姿は(観察窓からは)見えなかったけれど、遡上したサケは新潟で見たし、北海道では産卵シーンも見ることができた。
今年はサケに関しては、個人的には当たり年だったのかなぁ、と。

おんねゆ温泉 山の水族館の気になる魚&ピラルクー水槽 [淡水魚]

おんねゆ温泉 山の水族館へは、中村元氏主催のツアーで行ったワケだけど、そのため、水族館を後にしてからも、宿泊する旅館で中村氏による水族館ナイトが行われたり、参加者全員で宴会があったりした、という話は前のブログに書いた通り。
その宴会には、おんねゆ水族館の2名のスタッフ氏も参加してくれていて、それぞれじっくり話を聞くことができた。
小さい水族館とは言っても、たった2名だけですべてを回すのはやはり大変らしい。
しかも、水族館がオープンするまでの過程では、通常、水族館のスタッフはやらないような作業でも、せざるを得なかったこともあったらしい。リニューアル前からメインのスタッフとして水族館に携わってきた佐藤主任の話は、なかなかグッとくるものがあった。

そんな佐藤主任がオススメしてくれた展示が、ジャンプ水槽だ。
もっとも苦労した水槽だけに、思い入れも強いのだそうだ。
というのも、最初、魚が飛ばず、それを飛ばすために、魚種の選定をやり直し、水の流し方、水位が下がる時間の調整など、あらゆることを試し、迫り来るオープン日のプレッシャーの中、何とか完成させたのが現在の展示水槽なのだ。

水槽にはヤマメをメインに展示がなされているが、これも温根湯周辺で見られる魚は、ほぼすべての種類でテストを行った結果によるもの。
ヤマメがもっとも積極的だったため、選ばれたものなのだという。
川魚のジャンプ水槽は、新江ノ島水族館や姫路市立水族館にもあるが、サケ科魚類の滝登りが見られるのはここだけ。
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苦労話を聞いた後であらためて水槽を見ると、流れを遡っていくヤマメの姿がやけに嬉しかった。
ちなみに、このヤマメたち、水位が下がってもすぐには上っていかないようで、その遡上シーンを見るためには、少し水槽の前で待っている必要があるようだ。


おんねゆ水族館のもうひとりのスタッフが、若い山内さん。
水族館の管理、運営以外の雑務にも追われ、忙しい日々を送っているとのことだが、そんな山内さんのオススメは、四季(凍る)の水槽にいるアメマス。
「今の時期はあまり泳がないんですけど、良型のアメマスがいるので、それを見て欲しいですね」と教えてくれた。
水槽を覗き込むと、確かにいた。でも、山内さんの言葉通り、沈んで泳がない。
凍る水槽で写真を撮るなら、やっぱり氷バックがいいなぁ、なんて思うと、泳いでくれないアメマスでそれを実現するのは難しい、というか無理だった。
というワケで、氷を背景に泳いでいたヤマメ(ニジマスかも!?)を代役に(笑)
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ニジマスなら綺麗なのがいたし、アメマスだったらもっとよかったんだけど、ちょうどいい位置を泳いでくれたのがこの個体だったということで…
アメマスは何匹かいるので、是非、実際に行って見てみてください(笑)


これまではスタッフ氏オススメ水槽&魚の話だったワケだが、おんねゆ水族館との魚と言えば、やはりイトウは外せないだろう。
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ひとつ前のブログにも書いた通り、ここで展示されているのは天然もの。
そのせいなのかは分からないけれど、水族館で展示されているものと比べると、顔つきのシャープさが失われていないのが大きな特徴だ。
水温が約10℃ほどと低い上に、もともと活発に泳ぎ回る魚ではないため、動きによる迫力は餌の時間(週に2回行われるいただきますライブ)にしか感じることはできないが、水槽内にひしめく40匹もの1mオーバーの天然イトウ。
その条件だけでも見に行ってみたいと思う人はいるのではないだろうか?


おんねゆ水族館にはピラルクーもいる。
イトウの水槽に次ぐ2番目に大きな水槽があてがわれていて、こちらは保温が必要なこともあり、ずいぶん立派なろ過槽も完備。
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水槽は明るく、水もクリアでキラキラしてる。
基本、アマゾン水槽なのでピラルクー以外に、レッドテールキャット、タイガーショベル、コロソマ、水槽の端でジッとしているので目立たないけれど、2匹のガーがいる。
ガーたちはアマゾンの魚ではないし、それ以前に同居の大きな魚たちに気圧されてイジけ気味なので、どこか別の水槽に移動してやって欲しいなぁ、と。

肝心のピラルクーは1匹。
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まだ2年目の若い個体で、体長こそ1.4mほどあるものの、体表もツルツルピカピカで、顔つきにはまだあどけなさがある。
赤みはまだまだなのだけど、体が綺麗なので、綺麗な個体として見ることができる。
イトウ同様、こちらも週に3回、いただきますライブが開催されるらしい。
それを見ることはできなかったけれど、バックヤードツアーの時、人の姿を見つけてすぐに水面まで近寄ってきた様子を見ると、その食欲ぶりが想像できる。体つきもムチムチしてるしね(笑)

北海道の水族館でピラルクーが見られる所は意外と少なくて、おんねゆとおたる、札幌のサンピアザの3カ所だけ。そういう意味では貴重な1匹と言えるかも知れない。
水族館の進化、発展に合わせて、この個体のこの先の成長ぶりも、この水族館ならではの楽しみのひとつと言っていいんじゃないかな?