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おたる水族館のエイ(大水槽の話) [エイ]

入館するとすぐにパノラマ大水槽という容量420tの大水槽に迎えられる。
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おたる水族館では最大の水槽なんだけど、とにかく横幅が広く、どこまで続いてるの!? と思うくらい横に長く広がっている(ように見える)。
その割に容量がさほどでもないのは、奥行きと高さが少ないからだと思うのだけど、照明が暗く、水槽の奥がほとんど見えないことも手伝ってか、見た目には1000t級の大水槽に見える。
でも、よくある水族館の大水槽とは違って、中を泳いでいるのは基本的にサメとエイ。
それ以外はサバの大きな群れが入っている程度で、魚種のバリエーションは少ないのだけど、反面、そこにいるエイの充実ぶりは少々意外だったほど。
同じ水槽にいるサメもエイを上回る種類数がいるのだけど、泳ぎ回って存在感をアピールするようなサメは1種類しかおらず、全体的にあまり目立たないのでエイが主役と言っていいと思う。
北海道でエイといえば、地元の海で捕れるメガネカスベなどのガンギエイ類を連想するが、この水槽を泳いでいるのは、いずれも沖縄など南方からやってきた種類ばかり。
つい先日も沖縄からウシバナトビエイがやって来たばかり。
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ウチから近いエプソン品川にもいるせいか、はたまた沖縄美ら海水族館で山ほど見ているからか、個人的にはさほど珍しい印象のないエイだが、北海道初上陸だとのこと。
そういう意味では、おたる水族館でもっとも“旬”な魚。
そんな風に聞くと、ちょっと特別なものに見えてくるでしょ!?(笑)

その他にも大きなホシエイやマダラトビエイが泳いでいるのだけど、驚きなのはこれまた北海道唯一のシノノメサカタザメ。
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導入された際、HPでアナウンスされているのを見た憶えがあったのだけど、その時の印象からもっと小さな個体を想像してた。でも、実物を見てビックリ!!
現在日本の水族館で展示されている個体としては、沖縄美ら海水族館にいるものに次ぐ大きさではないだろうか?
日本中の水族館でシノノメを見てきたオレが驚いたくらいだから、相当な大きさのはずだ。
幅広い水槽をゆっくりと回遊するように、泳ぎ続けていて、目の前を通り過ぎてもしばらく待っているとまた戻ってきてくれる。
北海道ではおたる水族館だけで見られる唯一の個体。というか、茨城(大洗以北)の東日本でも唯一の個体だ。
個人的な余談だが、おたるの個体を見たことで、まだ見ぬシノノメは大分のうみたまごのものを残すのみとなった。

エイが主役!! としてしまうのには、予期せず遭遇したヒョウモンオトメエイの存在も大きい。
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これもいつぞやHPでアナウンスがなされていたような記憶もうっすらあるのだけど、昨年やって来たらしい比較的小さな個体が2匹(だと思う)。
どちらも鮮やかなヒョウ柄が綺麗な個体だ。
比較的水槽の前面にいることが多いので、その姿がすぐに見つかるのも嬉しいところ。
もちろん、このヒョウモンオトメエイも北海道では唯一の展示館である。

スター性の高いエイの中にあって、種類数では上回るサメは泳がない種類が多いせいか、ちょっと目立っていないが、これまた北海道ではここでしか見られないクロヘリメジロが唯一、その存在感を見せつけている。
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水族館で泳ぐサメ(メジロザメ類)といえば、ほぼツマグロがメインなのだけど、おたる水族館にはそのツマグロがおらず、その役はまだ若いクロヘリメジロが引き受けている。
ツマグロよりも大きくなる種類であり、その成長が楽しみな存在でもある。
大きさでは同じ水槽のホシエイやシノノメサカタザメに負けているけれど、サバの群れを掻き分け、その中を悠々と泳いでくる様は、この水槽の主はオレだ!! と言わんばかりの風格だ。やっぱりカッコいいサメだね。いつ、どこで見ても満足感の高い魚だよ。

同じ水槽にはトラフザメやネムリブカも入っているのだけど、未確認ながら、これらのサメも北海道ではおたる水族館でしか見られない種類である可能性が高い。
板鰓類に関しては、ほぼすべてが“北海道でここだけ!!” 北海道のサメ・エイ好きには、たまらない水槽なはずだ。
そう考えると、もう少し水槽が明るいと、もっと嬉しいのだけどねぇ…

エノスイの気になる魚 8月後半編・その2 [エイ]

以前に比べれば行く回数は減ったけれど、それでも年に数回は絶対に行ってるエノスイ。
そのお陰で、エノスイで産まれたものや、入館時に小さかった個体の成長をリアルタイムで見続けることができる楽しさがある。
もっともそれはどこの水族館でも味わえる楽しみでもあるんだけど。

ひとつ前のブログに登場させたツチホゼリはまさにそれ。
大きく成長し、大水槽に移動した今も変わらぬ元気な姿を見せてくれると、自分の魚でもないのにちょっと嬉しくなる。
エノスイでそんな気分にさせてくれる魚はほかにもいる。
大水槽のシノノメサカタザメだ。
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3年前の年末にやってきた時には、ビックリするほど小さかったのに、今では1mを超える立派なサイズに成長。1匹だけになってしまった今でも、ちゃんと“この水槽にシノノメあり!!”という存在感を放つくらいにはなってる。

この個体のお陰で、生まれたての個体の色、柄。そしてその変化を見て、知ることができた。今はもうかなりオトナ色になっているが、まだ若いせいか、白い雲状模様(の数)が多く、色鮮やか。以前いた綺麗なオス個体を思い起こさせる。
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大きくなったとは言え、まだフルサイズから考えれば半分くらいの大きさしかないので、これから先の成長も楽しみな1匹だ。
もちろん現在も成長の最中にあり、食欲も旺盛な様子。オレが行った日も、ダイバーから大きなカニを手渡しされ、見てる目の前で2匹を食べた。食事の度に大きなストレスを感じてた抜歯したてのその時のオレには、甲羅ごとバリバリいく爽快なその食事シーンに、つくづくサメ・エイ類の歯(のシステム)が羨ましく見えた(笑)

そういえばツマグロの成長ぶりにも驚かされた。
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産まれてすぐくらいのタイミングでこのブログでも話題にしたが、昨年産まれ仔たちが、すっかり大人っぽくなってた。
エイと違い、サメは産まれた瞬間から“サメらしい”。顔つきも泳ぎも、ちゃんとサメとして完成されてる。でも、大人と比べると体つきがヒョロッとしてたり、色が薄かったりと、やはり幼魚ならではの弱々しさもある。
それでも、写真で見せられれば、それが小さな幼魚だということはなかなか分かりにくかったりするのだけど。

サンゴの水槽の水面付近をいつも回遊してる2匹、特に大きめの方の個体が著しいが、幼魚ならではのヒョロッとした感じは消え失せ、すっかりメジロザメらしいマッチョな体躯に。
生まれたての頃には、周りの小魚たちのすぐ近くを泳いでも、慌てずに逃げる、みたいな感じだったのに、今ではちゃんと、急いで逃げるみたいになってた。
きっと、捕食性のサメならではの緊張感みたいなものも醸し出すようになったのだろうね。
ツチホゼリと同じく、もう少し大きくなれば、隣のサメ水槽へと移動になってしまうのだろうから、明るい水槽でその姿を楽しめるのもそう長くはないはず。
嬉しいような、寂しいような…
でもまぁ、産まれてから今のサイズになるまでの時間や過程を見ることができたのは、オレにとっても何かしらの財産になっているはずなのだ。
そんな意味では、この2匹と、エノスイに感謝しなくちゃだな。
また次の仔たちが産まれるといいのだけどねぇ。

仔ツマグロが泳ぐ水槽には、1匹、小さなコバンザメが入っていて、ツマグロとあまり変わらない大きさなのに、いつもぶら下がって、それも小さい方の個体にくっついてる。
いつもくっついてたのに、オレが行った日はどうしたワケかツマグロから離れ、水槽左端のアクリル面に貼り付いていた。
だけど、泳いでくれるサメと違って、動かないアクリルでは落ち着かないのか、定期的に上の方へと泳いでいき、一瞬静止した後、反転してアクリルに貼り付き、くっついたまま元の位置に滑り降りてくる、みたいなことを繰り返していた。
まるでポーズを決めるかのように静止するんだけど、その時のフォルムが綺麗で、意外なものを見たような、ちょっとした驚きだった。
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他者にくっつくのに都合がいい平らな背面、その状態で効率的に餌が食べられる突出した下あごなど、理に適った体つきに感心させられると同時に、やけに大きな胸ビレがちょっとした翼のようで、コバンザメってこんな綺麗な形をしていたんだなぁって。
でも、ずっと眺めてたら、細長いメダカのようにも見えてきたり…(笑)

水族館でコバンザメというと、ジンベエザメなどの巨大魚がいる水槽では、それにくっついているのを見ることができるが、泳ぎ回るワケでもないのにたっぷりの餌にありつけるお陰で、お腹がはち切れんばかりの醜い状態になっていたり、小さな水槽にいるものでは壁面などに貼り付いて動かなかったりと、魅力的に感じることのない魚だったりする。
だからこその驚きだったのだ。

エノスイのコバンザメと言えば余談ながら、大水槽にいる大きな個体もちょっと変わっていて? 誰にもくっつくことなくいつも泳いでいる。
コバンザメとしてはフルサイズ級の大きさがあり、同じ水槽にいるホシエイやシノノメではくっつく相手として不足だからなのか、いつも変わらない場所で、水流に乗っている。そんな泳ぎ続ける生活が功を奏しているのか? どこのものより綺麗な体型をキープしている。綺麗なコバンザメを見てみたいという人にはオススメだ!!

エノスイにいるものは、どちらもコバンザメ(Echeneis naucrates)だが、コバンザメと呼ばれる魚には、10種類近い種類がいる結構マニアックな魚。
あまりいいイメージの魚ではないせいか? 注目度も低く、それがフィーチャーされることはほとんどない。種類ごとに好んで貼り付く対象も違っているらしい… 等々、調べてみれば面白そう。簡単に得られる情報はかなり少ないのがネックだけど。
同じような内容を以前も書いたような憶えもあるけれど、もう少し調べられたら、あらためてコバンザメの話をしてみたいと思います!!

サンシャイン水族館のエイ [エイ]

以前のブログで、新生サンシャイン水族館のピラルクーの話をしたけれど、今後が楽しみなのはそれだけじゃないこともその時に書いた通り。
新しいサンシャイン水族館はどうしたワケか、エイも充実している。というか、オレ好みな種類が揃っている。
見られるのは全部で6種類。その内の5種類はサンシャインラグーンにいるんだけど、ビックリだったのはやはりシノノメサカタザメだろう。
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オレの知る限り、国内ではこれまで9カ所でしか展示されていないかなりのレア魚だが、新生サンシャイン水族館は、その記念すべき10カ所めの展示館となった。
それだけでも驚きなのだけど、その小ささにもビックリ。
現在エノスイや、アクアワールド大洗にいる個体も、入ったばかりの時は相当小さくて驚かされたが、それよりもさらに小さくて50㎝ほどしかない。恐らく、産まれて間もないものなのだろう。
オープンに向けて魚の手配を進めている時に捕獲された連絡があり、すぐに確保、入手したものらしい。台湾からやってきたそうだ。
大型魚の幼魚らしく、ものすごい食欲でよく餌を食べているのだとか。
サンシャイン水族館としても初めて飼育する魚だけに、今は食べるだけの餌を与えているとのこと。
ちなみに、エノスイにいる個体の例では、オレがイメージしていたような恐ろしいほどの急成長はせず、ジワジワと“あれっ!? 大きくなった?”みたいな成長の仕方だった。エノスイでどういう餌の与え方をしていたのかは知らないけれど、さぁて、どんな成長を見せてくれるだろう。今後、サンシャイン水族館に足を運ぶ大きな楽しみである。

今は小さくてとにかく可愛い。
ハッキリした体の模様も成魚とは違う、小さい内ならではのもの。
しかも、水槽の中を大きく泳ぎ回り、ちゃんとガラスの目の前を横切っていく役者ぶり(笑)
新しい水族館を代表する人気者になること間違いなしだ!!

サンシャインラグーンには、会える水族館はシノノメサカタザメよりも少なく、これまたオレの大好きなエイがもう1種類入ってる。
ヒョウモンオトメエイだ。
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こちらは同じ都内のエプソン品川アクアスタジアムにもいるが、サンシャインのものはそれよりも若く、ずっと小さい。それでも、エプソン品川の個体がやって来たばかりの頃よりは大きいかな? 真っ白い砂と明るい水槽の中では、ヒョウ柄がよく映えて綺麗に見えるのもいい。
もともと南国のエイだから、こうした水槽にはピッタリなのだ!!
個人的な印象ながら、こちらは成長が速いように思う。エプソンの個体は3年くらいでフルサイズ近くまで大きくなったから、きっとこの個体もぐんぐん大きくなってくれるものと思う。
サンシャインの個体は、ものすごくよく泳ぐのはいいのだけど、ちょっと残念なのはその遊泳ルート。
自分の姿を見せつけるようにガラスの前を横切ってくれるシノノメとは違い、正面のガラスが近づくと上昇してしまい、近くでは腹面しか見せてくれないのだ。
もう少しいい位置で、その美しいヒョウ柄を見せてくれるといいんだけど…
シノノメ同様、コイツも新しい水族館の超人気者候補である。

シノノメやヒョウモンオトメエイほどの人気は獲得しないだろうけど、個人的にはいてくれて嬉しかったのがナルトビエイだ。
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同属のマダラトビエイはよく見るけれど、こちらはほとんど見ない。
少なくとも、すぐに行ける東京や神奈川の水族館にはいない。東京初登場かも知れない。
マダラトビエイのような色、柄がなく、地味だというのもあるんだろうけど、顔つきはマダラより優しい感じで、より可愛らしいとオレは思っている。
何匹かいるのだけど、そのほとんどは水槽正面のガラス面付近を泳いでいるので、その可愛い顔つきを堪能することができる。
同じ水槽にはマダラトビエイもいるから、是非、顔を見比べてみて欲しい。オレの言ってることに納得してもらえるはずだ。

他のエイと同じく、やはり小ぶりな個体が選ばれており、その成長ぶりも楽しみなんだけど、いずれの個体も痩せ気味なのが少々気に掛かる。
そこで、本来、飼育の人には聞きにくいことなんだけど、思い切って聞いてみた。
すると、餌はちゃんと食べているとのこと。
大きなマダラトビエイに対し、小さなナルトビエイという設定? になってるそうで、大きなエイばかりになってしまうのも困るので、餌の量を調節しているとのこと。
トビエイはダイバーショーの際、ダイバーにまとわりつく役割を与えられているため、餌はダイバーの裁量で与えられているらしい。たっぷり与えて満腹にしてしまうと、寄りが悪くなるという事情もあるようだ。
痩せ気味なのは、もしかすると虫がいるのかも? という可能性についても話してくれた。
また、このナルトビエイたちには、白い砂の白さをキープするため、表面をハムハムする(砂の表面を動かす)任務も与えられているので、そんな意味でも常時満腹はマズイのかも知れない。見た目には元気そうなので、単にオレが心配しすぎてるだけかも知れないけど…

いずれにしても、この先も元気で泳ぎ回っていてくれれば、池袋まで足を運ぶ甲斐があるってもんだ。まぁ、これに関してはオレだけかも知れないけど(笑)

ダイバーショーではナルトビエイと共にダイバーにまとわりつく役のマダラトビエイも綺麗。驚くほどの大きさではないけれど、この水槽では大きさ担当。
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エプソン品川のマンタ&ノコギリエイといい、オレにとっては嬉しくもありがたいことに、山手線で行ける都内の水族館のエイが充実してきた。
ピラルクー共々、その成長ぶりなど様々な変化を今後も楽しませてくれそうだ。

美ら海水族館 マンタベビー 2011の旅 [エイ]

6/24、AM3時16分、沖縄美ら海水族館で5回目となるナンヨウマンタの出産があり、メスの仔魚が産まれたとのこと。
http://oki-churaumi.jp/info/blogs/
5年連続の快挙であり、美ら海水族館だからこそ成し遂げられたものすごい快挙なんだけど、オレとしてはかなり複雑な気分で、両手を挙げて喜ぶことはできなかった。
何故って?
その貴重な瞬間をこの目で見るべく、2年前の今頃より準備を始め、昨年は失敗。
今年こそと、昨年以上に入念な準備を進め、沖縄行きを目前に控えたタイミングでのこのニュース。
嬉しさよりも“またやられた”というのが、正直な感想だったのだ。
昨年に続く不戦敗。しかも、沖縄に行く1週間も前に負けが確定してしまったので、もうホント、ガックリですよ(泣)

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5年連続の出産を成し遂げたメス
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ペアのオス。繁殖はずっとこの2匹によって行われている。

オレのチャレンジは昨年から始まったのだけど、昨年は過去3年分の交尾から出産までの日数の平均で“このくらいだろう”と目星を付けたのだけど、結果は誤差2日。
水族館で“もう産まれちゃいました”というひと言に、その場にへたり込んでしまいそうなガッカリ感を味わった。
だが、まったくの無駄足でもなくて、“これまでの出産は大潮の日だったんです”という、きわめて大きな収穫も得られた。
つまり、日付をある程度特定できるということ。
その瞬間、勝利を確信した。その年の失敗も、その場で忘れ去ることができた。
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大水槽に仲間入りした2010ベビー。できれば生まれ出るその瞬間に会いたかったよ!!

東京に戻り、すぐに6後半から7月前半頃、沖縄周辺の大潮の日を調べたことは言うまでもない。
沖縄の2011年6月の大潮は16~18日と、30日~7/3日の2回。
妊娠日数から考えると、16~18日は多分ないだろうと。6月末~7月初めの大潮は、潮位もより高まることから、可能性が高いと判断。中でも、1日は潮位がもっとも高くなることから、出産日はそこだろうと結論づけた。
と、ここまでは2011年になるより前の話。その時点で、具体的な沖縄行きの日程まで決めることができていた。

そして今年。
6月も半ばになると、オレの期待もどんどん高まっていた。
16~18日の大潮も、オレの読み通り、産まれることなく乗り切ったので、またまたそこで、今年はイケる!! と確信。
写真はもちろん、貴重な瞬間を押さえようと、動画対応のカメラを買ってしまおうと、家電店まで出掛けたほどだったのだ。

しかし、出発を6日後に控えた6/24、冒頭のニュースが。
誤差1週間。誤差2日の昨年より酷い惨敗。
しかも、出産のあった24日は小潮。
大潮、関係ないじゃーん!!
出発の6日前にして、沖縄遠征は目的も大義名分も失ってしまった。

その悔しさを紛らわせるには、次へつながる情報を得ることくらい。
何しろ、ウチから約1700㎞も離れた水族館までやってきたのだからね。
というワケで、飼育スタッフの人を捕まえて、あれこれ質問をぶつけてみた。

今年を除く過去の出産例は、いずれも大潮の日。やはり、大潮の日の可能性は高いようだ。
それなのに今年は何故?
本当のところは当のエイに聞いてみないと分からないが、出産があった頃、沖縄には台風が迫っており、気圧が急激に下がっていたらしい。
どうやら、それが引き金になったのでは!? と話してくれた。
6月の沖縄は、6月としては珍しく、2つの台風がやってきて、しかもそのひとつはやはり6月としては異常なほど勢いが強かったのだとか。
もちろん、影響はあったのだろうけど、そんな不確定でまったく読めない要素が加わってしまうと、今後、出産シーンに遭遇できる可能性が下がってしまうような気がして、ますます残念な気分に。その貴重な瞬間を見るには、プライベートジェットが必要なんじゃない!? そんな風にも思えたくらい。

でもまぁ、今年も交尾が確認されたとのことだし、大潮の日の可能性が高い、という所に賭けて、来年、またチャレンジしたいと思います!!
こうなりゃもう、見られるまで諦めないぞ!!

日本のノコギリエイ・完全? 版 [エイ]

以前(というか、何度も?)書いた通り、日本で見ることができるノコギリエイは、5園館10個体のみ。そのすべてを、3月に登別マリンパークニクスに行ったことで、この目で見ることができたということも、これまた何度も書いた通り(笑)
以前は海遊館やマリンワールド海の中道、しながわ水族館なんかにもいたことがあるが、今現在はその10匹がすべて。ちなみにオレは、海遊館としながわ水族館にいたものは見たことがある。
4月の頭に、2年ぶりに油壺マリンパークに行き、ノコギリエイを見てきたので、あらためて日本のノコギリエイについて書いてみたい。

ノコギリエイというのは、結構難解な魚なのだ。
記載されているのは2属5種類だが、それらすべてがほとんど同じ形、色をしているので、外見から種類を同定するのが難しい上、日本にいない魚なので、“ノコギリエイ”という以外の和名もなく、英名もどれもこれも似たようなものばかりで参考にできない。ノコギリエイの分類が何を基準に行われているのか知らないけど、仮にその同定方法を知ったとしても、水族館で飼われている魚である以上、見た目で分かる部分や、その場にいるスタッフ氏に聞ける範囲だけで相違、共通点を見つけなくちゃならないのだ。
博物館に行って、古い記載論文(ノコギリエイが記載されたのはいずれも遠い昔の話)の写しを泣きながら訳し、解読するのも正解を知るためには重要なんだけど、ただのマニアとしては、目の前のノコギリエイを見ながら、あーでもないこーでもないと想像を巡らせている方が楽しかったりするものだ。だから、目で見て分かる範囲だけで、内容のない話をもっともらしい話のように語ってみようと思う(笑)

日本の水族館にいるノコギリエイはPristis pristis、P.zjisron、P.clavataの3種類。それらのほぼすべて(油壺のものは未確認。すべての可能性もある)がオーストラリアからやって来ているため、その周辺にいる種類なら来ている可能性はあるが、とりあえず確実なことは、大西洋を中心に生息しているP.pectinataはいないことと、P.perottetiもいない可能性がきわめて高いこと。それから、エプソン品川アクアスタジアムにいるP.clavata(ドワーフソーフィッシュ)に関しても間違いないはず。英名通りに巨大化していないし、鼻先のノコギリも短い。ちなみに、P.clavataは原産地でも滅多に獲れないらしい幻に近い魚なんだとか。日本ではもちろん、世界的にも展示されているのはこの2匹だけのようだ。同じ水槽に別種がいることで、その特徴が分かりやすいのもいい。
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エプソン品川アクアスタジアムのP.clavata(ドワーフソーフィッシュ)

エプソン品川アクアスタジアムのP.clavataを除いた8匹に関してだが、
登別、油壺、二見、志摩にいるのがP.pristis
エプソン品川、油壺にいるのがP.zjisron
ということのようだ。

さて、そのP.pristisだけど、日本の水族館では主力選手であり、10匹中6匹がそれに当たり、油壺、二見、志摩、登別で見ることができる。
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登別マリンパークニクスのP.pristis
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二見シーパラダイスのP.pristis 日本の最長飼育記録を更新中
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志摩マリンランドのP.pristis

個人的なP.pristisの見分けポイントとしては、体色がかなり濃く、体に対して目が小さい。顔の先端が丸みを帯びていて、その先に突き出るようにノコギリが生えている。
油壺のように、他の種類がいる水槽でなら比較しながらその違いを納得しやすいのだけど、ほとんどの園館では1匹しかいないので、比較のしようもないのだけど…

一方、エプソン品川、油壺にいるP.zjisron。ロングコームソーフィッシュ、グリーンソーフィッシュなどの英名を持つ種類で、日本ではエプソン品川、油壺の2匹のみ。
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油壺マリンパークのP.zjisron 同じ水槽にP.pristisもいる

最大730㎝に達する(ノコギリエイはほとんどの種類がこのくらいになるんだけど)超大型魚らしく、エプソン品川アクアスタジアムにいる個体は4m近い大きさがある。もちろん、国内では最大のノコギリエイだ。
グリーンソーフィッシュの名前がある通り、体色は明るい茶色。緑がかって見えなくもない色をしている。P.pristisに比べると、目が大きくぱっちりしていて、オレ的には美形な顔つき(笑)
また、顔つきも先端に行くに従いなめらかに細くなっていて、その先にノコギリがついている。その点で丸い顔にノコギリが生えた感じのP.pristisとは大きく違って見えるのが個人的な識別ポイントだ。

何度も書いているように、日本の水族館には10匹しかいないノコギリエイだが、残念ながら、今後、その数が増える可能性はかなり低そうだ。
というのも、2007年のワシントン条約会議において、ノコギリエイ科全種が付属書Ⅰに格上げされてしまったからだ。
つまり、よほど特殊な事情でもない限り、新たな個体が輸入されてくる可能性はきわめて低いということ。
今いる10匹が死んでしまえば、生きた姿を日本で見ることは難しくなることは間違いない。そんな意味でも、きわめて貴重な存在なのだ。

自宅で飼いたくて仕方がないくらいのノコギリエイ好きとしては、10匹すべてが見てみたくて、結局優先的に見て回った。日本全国あちこちに散らばっているけれど、たったの5館回るだけでそのすべてが見られてしまうのだからね。
特に、東京や神奈川に住んでいる人なら、3種すべてをエプソン品川と油壺に行くだけで見ることができるので、日本にいるすべての種類を見るのも簡単に達成できる。
もし、ノコギリエイが好きなら、見られなくなって後悔する前に見ておくことをオススメする!!

登別マリンパークニクスのノコギリエイ [エイ]

日本中の水族館を制覇してやろうとは常々思っているけれど、どこから行くかなど、優先順位はやはり、積極的に見たいもの、オレの場合は魚だが、がいるかどうかによる。
北海道の水族館の中で、ニクスに行ってみたかった最大の理由もノコギリエイがいるから。
いつぞやのブログにも書いたが、日本中でノコギリエイが見られる水族館は5館しかなく、その中でまだ行ったことがなかったのがニクスだったということは、いつぞやのブログにも書いた通り。

ニクスにいたノコギリエイは、オーストラリアから来たという1匹だけ。
北海道ではもちろん、オレが知る限りでは東京以北では唯一の個体。日本中でも10匹しかいない内の1匹。
種類は不明とのことだが、Pristis microdonの剥製が展示されていたから、もしかすると生体も同じP.microdonなのかも知れない。だとすると、他の水族館で見られるものと同じということになるんだけど…

FRPで作られた沈船の中にセットされた7tの水槽の中で暮らしている。
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この船はオープン当初からあったらしいが、最初は水中映像が流れるモニターが設置されていたのだそうだ。それを現在のサメ・エイコーナーへと変更。その際の目玉として、輸入されたのが現在いるノコギリエイ。現在は1匹のみだが、当初は2匹いたらしい。
水槽は2匹のノコギリエイを飼うこともあり、船の中に設置できる限界サイズ。容量7tということは、3.5×2×1mくらいってことだろう。実際、その位なんだけど、水族館でノコギリエイがいる水槽としては大きくない。二見シーパラダイスの水槽とどっちが大きいかなぁ、というレベル。既に2mを超えていそうなノコギリエイには十分な広さとは言えないようで、そろそろ本気でトンネル水槽などへの移動を考える必要がありそうだと、バックヤードツアーで案内してくれたスタッフ氏は話してくれた。
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狭いよ~
広い場所へ移れば、もっと巨大化するのは間違いない。そうすれば。北海道でもエプソン品川アクアスタジアムばりにトンネルの上で昼寝する巨大ノコギリエイの姿が見られるようになるかも知れない。

ニクスは全体的に暗い水族館なんだけど、このノコギリエイがいる水槽もかなり暗め。
写真を撮るには絶望的な暗さだ。
加えて、船の側面からちょっと奥まった位置に水槽があるんだけど、水槽正面に合わせた切り欠きに1カ所飛び出てる部分があって、写真を撮ろうとしたり、よく見ようとして水槽に近づくと、大抵、この突き出た部分に頭をぶつけることになる。
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しかも、ノコギリエイはその飛び出た部分のすぐそばにいることが多いので、オレも何度もぶつけた。船は擬岩などと同様、FRPで作られているので、ぶつけても強烈に痛いほどではないんだけど、痛くないワケではないから、その度にイラッとさせられた(笑) もっとも、あそこでそこまで必死に写真を撮ろうという人もあまりいないだろうから、頭をぶつける人もいないのかも!?
水槽にへばりつきたいほどのノコギリエイ好きの人は、気をつけて!!

これで、日本の水族館にいるノコギリエイはすべて見たことになる。次なるコンプリート狙いの魚は、シノノメサカタザメかな?

のとじま水族館の気になる魚 [エイ]

どんな水族館でも、地元やその周辺海域に多い魚が数多く展示されることが多い。
だから、日本海に面したのとじま水族館の展示水槽で泳いでいるのは、自ずと日本海産のものが多いということになるのだろう。
日本海に馴染みの薄い東京の人間には、日本海には寒く、冷たい海というイメージがある。
だから、少ないとは言えジンベエザメも捕れるなんて、ものすごい驚きなのだ。
そんなワケで、展示に期待してしまうのは冷たい海の魚。
ホッケやソイなんかの冷たい海の代表選手? はもちろん展示されているんだけど、どこでも見られるそれらの魚では流石に驚けなかった。でも、オオッ!! と思わせてくれたのがマダラ(真鱈)だ。
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鍋物などで馴染み深いあっさり白身の魚というイメージは誰にもあると思うけど、その丸のままの形、それも生きている姿を知っている人はあまりいないのではないだろうか?
水族館ではあまり見かけない魚だし、たらふく(鱈腹)なんて言葉が生まれるほど何でも食べる魚だとされているのに、飼うのは意外と難しいらしい。
オレもこれまで見たことがあるのは小さなものばかりだったのだけど、のとじまには1m程度の大きな個体が3匹もいた。
ボテッとした頭ばかり大きい魚、みたいなイメージがあったのに、実物はそんなイメージとはかけ離れたカッコいい魚だった。
色や柄もさることながら、その体型、顔つきは洗練されたフィッシュイーターといった雰囲気に溢れていた。海藻の陰に潜み、射程に入った獲物を瞬く間に捕食する、そんな光景が明確にイメージできるのだ。タラを鱈腹たらしめているのは、きっと、オレのイメージしたようなスマートかつ豪快な捕食シーンを繰り広げているからなんだろうね。

タラが入っていた水槽には、底面を埋め尽くすほどのカレイが入っていたのだけど、そのカレイたちもまた、強い印象を残した魚となった。
カレイというと、砂に潜ってジッとしている、みたいなイメージがある魚だ。
しかし、飼育下では必ずしもそうではないようで、よく泳ぐのに加え、表情も豊か。
つまり、見ていて楽しいってこと。
それどころか、その数多くの個体が、わらわらと泳ぎ回るものだから、あまり動かないタラを撮影するのに邪魔になるほど。
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ババガレイ
水槽にはババガレイとヌマガレイの2種類がおり、どちらも同じくらいよく泳ぐのだけど、ババガレイの方が数も多く、サイズも大きいので表情まで観察するならそちらがオススメ。でも、綺麗さという点では、ヌマガレイの方が上だとオレは思う。

ジンベエザメ水槽からもいくつか。

ジンベエザメ館に入ってすぐアクリルパネルは水槽の最上部にあたる。
そこにやってくる小さいナルトビエイは、のとじまでもっとも印象深い魚になった。
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だって、ものすごく可愛いから(笑)
通常、こうした混泳水槽で泳ぐエイといえば、マダラトビエイであることが多い。
マダラトビエイもいたけど、小さいのが1匹だけ。比較的目に付くトビエイは、いずれもナルトビエイだった。
ナルトビエイとマダラトビエイは共にAetobatus属で、どちらもよく似た形をしているけれど、白い柄を持つマダラに比べ、柄のないナルは地味な印象があるせいか、水族館で見かけることは少ない。
でも、顔はナルの方が可愛い(と思う)のだ。マダラも可愛いのだけど、よく見ると目は捕食者系のそれ。その点、ナルの目は黒目がちで、それはそれは…(笑)
そんな可愛いナルトビエイが、しかもあどけなさを感じさせる小さな個体が、アクリル越しにこちらの方へやってくるのだ。もうたまらん!! って感じ。
ナルトビエイの可愛さに萌え萌えしてたら、アクリルパネルのところにやってきたオバチャンが「あら、エイってチワワみたいな顔してるのね!!」と。
そう、そうだよマダム!! チワワだよ。ナルトビエイの顔は確かにチワワっぽい。
まぁ、オレ的にはチワワよりもナルトビエイの方が可愛く見えるけど(笑)、あの目で見つめられれば、オレも“どーする、アイフル♪”みたいなことになってしまいそうなのは同じだ。ただ、チワワと違って、消費者金融で借りられる資金くらいでは、ナルトビエイは迎えられないってところが大きな問題だな(笑)
ナルトビエイの圧倒的可愛さに萌えたいなら、のとじまのジンベエザメ館、それも水面付近のアクリルパネルが超オススメだ!!

ジンベエザメ水槽には驚きの魚もいた。
ナルトビエイの可愛さに骨抜きにされながら、気を取り直して水槽内を眺めてあらためてビックリ!! 思わず“何でここにいるの!!”と叫んでしまったほどだ。心の中でだけど。

IMG_1585.jpgそれがイバラエイ。
イバラエイはこのブログにも登場しているけれど、沖縄の美ら海水族館で公開されている1匹のみが日本で展示されている唯一の個体だと思ってた。
何しろ、日本では沖縄周辺で数匹が捕獲されただけという超稀種だから、まさかここで会おうとは思っても見なかったので、ホント、ビックリ!!
しかも、あの美ら海水族館ですら1匹しか展示していないのに、ここには2匹も!!
ジンベエザメなんて、それこそ日本で5カ所も展示館があるし、公開個体は9匹もいるけれど、イバラエイはオレの知る限り、2館3匹のみ。そんな意味ではジンベエザメなんかよりもはるかに貴重かつスゴイ展示なのだ!!
美ら海水族館で見た時には、“何て小汚いエイなんだ”と変な驚き方をしたものだけど、のとじまの水槽は砂も何も入っていないからなのか、小汚い印象はなく、それどころか、2匹いるウチの1匹は綺麗とさえ思ったほど。
今回、ここで紹介しているのも、白い模様がハッキリ見えるので、オレが勝手に“スノーフレーク”と呼んでた綺麗な方だ。

ジンベエザメ館の珍しいエイをもう1匹。

イバラエイに驚きつつシャッターチャンスを狙っていたら、目の前をひし形のエイが横切った。それがこのヤジリエイ。
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あまり大きい個体ではなかったから、一瞬、アカエイ? 黒っぽいからホシエイかな? なんて思っていたのだけど、体盤の先端が長すぎるくらいに尖っていて、体の厚みもない。
そこで思った。コイツは見たことない種類かも、って。
吻端の長さや体型、全体的な雰囲気はHimantura chaophrayaに似てるように思ったんだけど、Himantura属のエイに共通して見られる特徴が見当たらないので、そうではないのかも、ということも想像できた。
家に帰って調べても分からなかったんだけど、偶然、答えが見つかってしまった。
ヤジリエイというDasyatis(アカエイ)属のエイで、1988年に記載された比較的新しい種類(←変な言い方だけど)。
もちろん、オレは見たことがなかったし、激レアな1匹であることは間違いなさそう。
水族館で見られるのはのとじまのこの1匹だけかと思ったら、海遊館にもいるらしい。

2匹のイバラエイもそうだけど、こんなエイがいるなんていうのも、まったく期待も予測もしてなかったから、ホント、ビックリ!!
どちらもものすごく珍しいので、ジンベエザメ館ではこの3匹に是非、注目してみて欲しい!! もっとも、これらのエイで喜べるマニアがどれだけいるかは? だけど(笑)

沖縄美ら海水族館の気になるエイ [エイ]

今年、美ら海水族館に行ったのは、ナンヨウマンタの出産シーンをこの目で見るため。
しかし、それが間に合わなかったことは、以前のブログにも書いた通り。
遠い沖縄まで行ったのに無駄足では残念すぎるのだけど、そこは流石に美ら海水族館。
ブログのネタはたっぷりあった。ここまでいろいろ沖縄ネタを続けてきたけど、とりあえず、今回と次でそれもお終い(の予定)。

目的だったナンヨウマンタの出産シーンを見ることができず、沖縄まで来ていながら、今ひとつテンションが上がらないまま美ら海水族館通いを続けた最終日、いつものように何気なく水槽を眺めていたら、総排出腔より膜に包まれたような黒いものが飛び出たオグロオトメエイのメスを見つけた。
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その個体の背中は大きく盛り上がり、心なしか苦しそうに泳ぎ回っている。
これは出産の直前に違いない!! ナンヨウマンタは見られなかったけど、この際、オグロオトメエイでもいいや!! なんて思いながら、カメラを構えつつ、その瞬間を待った。
しかし、いつまで経っても変化はない。
そこで、解説員の人に、撮った写真を確認してもらった。すると…
「これは腸洗いですね。餌を食べ過ぎると飛び出てきてしまうようなんです。オグロオトメエイで妊娠してる個体はいないんですよ。」と、にこやかに話してくれた。
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人騒がせなヤツめ!!(笑)

自分よりだいぶ若い女性と、随分変な話をしてるなぁ、などと若干の違和感を感じつつ、食い意地の張った意地汚いエイが、腸が飛び出すほど餌を食べてしまい、それを見たバカが“仔が産まれる!!”と勝手に色めきだったという、下らなさすぎる話にガッカリする。

気を取り直して、エイの話をもうひとつ。

美ら海水族館には“ここにしかいない”が数多くいるが、黒潮大水槽に1匹だけいるイバラエイもそんな貴重な展示のひとつ。
昨年も見たいと思って探し回っていたのだけど、どうやら展示に出ていなかったらしい。
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その名の通り、体中に棘が生えたエイで、日本では数匹しか捕獲されていない超稀種。
それが展示に出されたことを知って、行く前から、見られることを楽しみにしていた。
目的のイバラエイはあの広い水槽の中でも、すぐに見つけることができた。しかし、ようやく生きた姿を見ることができたというのに、喜びは沸き上がってこなかった。何故なら、“何て小汚いエイなんだ”と思ってしまうような、お世辞にも素敵とは言えないエイだったから。
体型は楕円形で、同じ水槽にいる2種類のオトメエイやウシエイとは別属であることはひと目で分かる。目の位置なんかも体盤の先端に位置していて、見た目にも独特な印象だ。また、大きさも同じ水槽で暮らす他のエイたちより小ぶりなようで、それも含めて特別な感じはする。しかしながら、その姿はまったくフォトジェニックじゃない。
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同じ水槽にいるヒョウモンオトメエイやマダラトビエイ、ナンヨウマンタ等々、どう撮ってもカッコいいエイたちとは違い、どうやって撮っても小汚いのだ。恐らく、砂をまぶしたような斑模様と、棘が立った背中が汚らしさの理由なんだろうけど、珍しさではそれらをはるかに上回っているというのに、何か残念…
きっと、古くなって黒ずんだサンゴ砂が堆積したような場所にいれば、その姿はまったく見えなくなるんだろうと思う。
砂の上を積極的に這いずり回ったり、他の種類のメスのエイを追尾したりと、なかなか活動的ではあるのだけど、どれだけ見ていても素敵に見えることはなかった。
でも、ものすごく珍しいエイであることは間違いないので、美ら海水族館に行った際にはお見逃しのないように!!

ナンヨウマンタ [エイ]

日本でマンタに会える水族館は、大阪海遊館、沖縄美ら海水族館、エプソン品川アクアスタジアムの3館があるのはご存知の通り。このブログにも度々登場させているしね。
しかし、つい先日、大変な出来事が起こった。それら3館で、ネームプレートに書かれる和名がオニイトマキエイからナンヨウマンタに改められたのだ。
何だそれだけ? と思うかも知れないが、オレにとってはものすごく大ごとなのだ。

マンタはこれまで、オニイトマキエイの和名を持つManta birostrisのみの1属1種だとされてきたが、09年12月に発表された論文で、新たにM.alfrediという種類が追加され、2種類に分類し直された。
つまり、これまでひとつだと考えられてきた魚の中に、明確に異なる形質、特徴を持っているものがいて、別種であることが分かったということ。
そのM.alfrediの新和名として、展示している水族館主導で提案されているのが「ナンヨウマンタ」。
日本の3つの水族館で飼育されているすべての個体が、M.alfrediであることが分かったことから、展示名が変更されたというワケ。同時に、これまでずっと慣れ親しんできたはずの“オニイトマキエイ”は、見たことのない未知の存在となってしまった。
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大阪海遊館の“ナンヨウマンタ”
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沖縄美ら海水族館の“ナンヨウマンタ”
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エプソン品川アクアスタジアムの“ナンヨウマンタ”

たかが和名なのだけど、大好きな魚でもあることから、この名称変更は個人的にあまり嬉しいものではない。
もともとオレは“マンタ”という呼称が何だか安っぽく聞こえて、好きではなかった。だから、このブログでは頑ななまでに和名を用いてきたのだけど、新しい和名にはその“マンタ”が使われている。しかも、馴染みがないためか、カッコ悪い気がしてならない。声に出して呼んでみた時の感じも、いかにもすぐに思いつく単語を並べただけのような配列も、正直、すべて気に入らない。

魚の名前が変わってしまうことは、よくある話。
特に大昔に記載された魚種、グループ、現在進行形で研究、精査が進んでいる魚種やグループで多い。オレの知る限りでは、前者はシクリッドやダトニオなど、後者は淡水エイやプレコなんかがそれに当たる。
実際、興味があった魚の名前や、分類される属や科が変わってしまうことで、興味がなくなってしまった、みたいなこともあったように思う。
だって、知り合った時からずっと「たかし」という名前だった人が、急に、今日から「たろう」になりました、みたいな話。
「たかし」は好きだけど、「たろう」はねぇ… みたいなことなのだ。
ナンヨウイトマキエイとか、ミナミオニイトマキエイとか、そういうのじゃダメだったのかね?

和名なんて、国際的には通用するものではないし、世界的に見れば、ある種の地方名みたいなものだけど、大好きな魚が、ある日を境に、急に変な和名の魚になってしまうなんて、違和感以外の何者でもない。
でもまぁ、決まってしまったなら、それに従いますがね。(というワケで、過去のブログも含め、すべてナンヨウマンタに変更しました)
ただ、標準和名(日本国内の学会で通用する正式な和名)ではないので、今後、変更される可能性も高そうだ。
引き続き、注目していきたいと思う。

美ら海水族館 ナンヨウマンタベビー2010の旅 [エイ]

6/26、今年も美ら海水族館でナンヨウマンタの仔が産まれた。
ニュースなどでも報道されていたので、既に知っている人もいるかも知れないが、4年連続の快挙である。
今年生まれの仔は、体盤長182㎝、66㎏のメスだとのこと。

昨年の6/30のブログで、“来年の出産シーンを見に行くぞ!!”と、決意? を語っていたのだけど、それを実際のものにするべく、美ら海水族館に行ってきた。
オレが行ったのは6/28だったので、結果的に出産シーンも、産まれた仔も見ることはできなかったのだけど、来年の出産シーンに向けた収穫は得られたように思う(←負け惜しみ)
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間に合わなかったのは、過去のデータ(数字)のみを参考にし過ぎたから。
07年は374日、08年は366日、09年は372日。その3回を平均すると約370.7となるため、昨年の出産日である6/24の370日後あたりに狙いを定め、沖縄へと向かった。
昨年のブログにも書いた通り、オレの読みでは6/29~7/4あたりに産まれてくるだろうと考えていたのだ。
しかし、結果は6/26。オレがまだ東京にいた時点で産まれてしまっていたのだ。
ちなみに、今年のデータは09年6/24に交尾、10年6/26に出産。妊娠期間は367日。

水族館に到着するや否や、他の水槽には目もくれず、大水槽へと向かう。
しかし、目的の母親個体は、何だか“薄い”。出産直前ならもっと膨らんでいてもおかしくないはずなのに… イヤな予感を頭によぎらせながら、水槽解説を控えたスタッフの人に聞いてみると、
“もう産まれました。2日前の26日の7時頃に産まれたんですよ”
それを聞いた瞬間、崩れ落ちそうだった。沖縄まで来たっていうのに。同時に、目標も予定もなくなってしまったということ。
近くの水族館なら、きびすを返すところだけど、ここはウチから1700㎞くらい離れた場所。仕方ないけど、意味もなく30日までの2日半、美ら海水族館で過ごすことになってしまった。ある意味、すごい贅沢なことなんだけどね。お陰で現在、命の危険を感じるくらいにお金がありませんです(泣)

さて、出産したナンヨウマンタだけど、今年も出産後、交尾が確認されたとのこと。
つまり、来年もまたチャンスがあるということ。
しかも、今回はほぼ、その日に狙いをつけられる大ヒントを教えてもらったので、来年こそ、出産シーンを目の当たりにできる可能性は高まった。
でも、同時に“また行かなくちゃいけないのかよ!!”的な部分も少しあるんだけど(笑)

新しいベビーが誕生する瞬間こそ見られなかったものの、この水槽で産まれた2匹には逢うことができた。
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08ベビー(多分)
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09ベビー

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美ら海水族館生まれの兄妹。

09ベビーはまだ小さいし、1匹で泳いでいることが多いのですぐに分かるけれど、08ベビーはもう他の4匹に近い大きさがあって、しかも大人たちと連なって泳ぐことが多いので、分かりにくいかも知れない。
ナンヨウマンタの個体識別はお腹側の模様で行うことが普通なのだけど、水槽生まれの2匹に関しては、やはり若い分、肌つやも明らかによくて、体の白い部分の白さが際立っていて、大人の個体と比べると、ゴムとシルクくらいの差があるように見える。また、顔つきも、若いというのか、他の4匹とは違っているのですぐに分かった。つまり、ちょっと小さめで、キズもなく、色が綺麗な個体がいたら、それが水槽生まれの仔である可能性が高いってこと。
あれだけ通ってるエノスイのイルカたちを今だに見分けられないオレなのに、ナンヨウマンタなら一瞬で、それも顔つきで識別できてしまうことに、我ながらスゲェ!! なんて感心(笑)でも、写真になるとそこまで自信が持てずにいて、ここに掲載した個体で多分間違いないはずだけど…

2匹が追加されたことで、大水槽のナンヨウマンタは6匹に。
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まさに“マンタ・スクランブル”である。そんな光景が水族館の水槽で、オレの目の前で繰り広げられてる。それってものすごいことだよな、と改めて思った。
体盤長4.5mもある個体が、急旋回して翻るようなトリッキーな泳ぎ方をするのを見ながら、今さらながら美ら海水族館の大水槽の巨大さ、凄さを実感させられる。

やっぱり、美ら海水族館ってスゴイよね。
来年の今時期まで生きながらえることができたなら、またチャレンジしてみようと思います!!