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日本のノコギリエイ・完全? 版 [エイ]

以前(というか、何度も?)書いた通り、日本で見ることができるノコギリエイは、5園館10個体のみ。そのすべてを、3月に登別マリンパークニクスに行ったことで、この目で見ることができたということも、これまた何度も書いた通り(笑)
以前は海遊館やマリンワールド海の中道、しながわ水族館なんかにもいたことがあるが、今現在はその10匹がすべて。ちなみにオレは、海遊館としながわ水族館にいたものは見たことがある。
4月の頭に、2年ぶりに油壺マリンパークに行き、ノコギリエイを見てきたので、あらためて日本のノコギリエイについて書いてみたい。

ノコギリエイというのは、結構難解な魚なのだ。
記載されているのは2属5種類だが、それらすべてがほとんど同じ形、色をしているので、外見から種類を同定するのが難しい上、日本にいない魚なので、“ノコギリエイ”という以外の和名もなく、英名もどれもこれも似たようなものばかりで参考にできない。ノコギリエイの分類が何を基準に行われているのか知らないけど、仮にその同定方法を知ったとしても、水族館で飼われている魚である以上、見た目で分かる部分や、その場にいるスタッフ氏に聞ける範囲だけで相違、共通点を見つけなくちゃならないのだ。
博物館に行って、古い記載論文(ノコギリエイが記載されたのはいずれも遠い昔の話)の写しを泣きながら訳し、解読するのも正解を知るためには重要なんだけど、ただのマニアとしては、目の前のノコギリエイを見ながら、あーでもないこーでもないと想像を巡らせている方が楽しかったりするものだ。だから、目で見て分かる範囲だけで、内容のない話をもっともらしい話のように語ってみようと思う(笑)

日本の水族館にいるノコギリエイはPristis pristis、P.zjisron、P.clavataの3種類。それらのほぼすべて(油壺のものは未確認。すべての可能性もある)がオーストラリアからやって来ているため、その周辺にいる種類なら来ている可能性はあるが、とりあえず確実なことは、大西洋を中心に生息しているP.pectinataはいないことと、P.perottetiもいない可能性がきわめて高いこと。それから、エプソン品川アクアスタジアムにいるP.clavata(ドワーフソーフィッシュ)に関しても間違いないはず。英名通りに巨大化していないし、鼻先のノコギリも短い。ちなみに、P.clavataは原産地でも滅多に獲れないらしい幻に近い魚なんだとか。日本ではもちろん、世界的にも展示されているのはこの2匹だけのようだ。同じ水槽に別種がいることで、その特徴が分かりやすいのもいい。
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エプソン品川アクアスタジアムのP.clavata(ドワーフソーフィッシュ)

エプソン品川アクアスタジアムのP.clavataを除いた8匹に関してだが、
登別、油壺、二見、志摩にいるのがP.pristis
エプソン品川、油壺にいるのがP.zjisron
ということのようだ。

さて、そのP.pristisだけど、日本の水族館では主力選手であり、10匹中6匹がそれに当たり、油壺、二見、志摩、登別で見ることができる。
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登別マリンパークニクスのP.pristis
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二見シーパラダイスのP.pristis 日本の最長飼育記録を更新中
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志摩マリンランドのP.pristis

個人的なP.pristisの見分けポイントとしては、体色がかなり濃く、体に対して目が小さい。顔の先端が丸みを帯びていて、その先に突き出るようにノコギリが生えている。
油壺のように、他の種類がいる水槽でなら比較しながらその違いを納得しやすいのだけど、ほとんどの園館では1匹しかいないので、比較のしようもないのだけど…

一方、エプソン品川、油壺にいるP.zjisron。ロングコームソーフィッシュ、グリーンソーフィッシュなどの英名を持つ種類で、日本ではエプソン品川、油壺の2匹のみ。
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油壺マリンパークのP.zjisron 同じ水槽にP.pristisもいる

最大730㎝に達する(ノコギリエイはほとんどの種類がこのくらいになるんだけど)超大型魚らしく、エプソン品川アクアスタジアムにいる個体は4m近い大きさがある。もちろん、国内では最大のノコギリエイだ。
グリーンソーフィッシュの名前がある通り、体色は明るい茶色。緑がかって見えなくもない色をしている。P.pristisに比べると、目が大きくぱっちりしていて、オレ的には美形な顔つき(笑)
また、顔つきも先端に行くに従いなめらかに細くなっていて、その先にノコギリがついている。その点で丸い顔にノコギリが生えた感じのP.pristisとは大きく違って見えるのが個人的な識別ポイントだ。

何度も書いているように、日本の水族館には10匹しかいないノコギリエイだが、残念ながら、今後、その数が増える可能性はかなり低そうだ。
というのも、2007年のワシントン条約会議において、ノコギリエイ科全種が付属書Ⅰに格上げされてしまったからだ。
つまり、よほど特殊な事情でもない限り、新たな個体が輸入されてくる可能性はきわめて低いということ。
今いる10匹が死んでしまえば、生きた姿を日本で見ることは難しくなることは間違いない。そんな意味でも、きわめて貴重な存在なのだ。

自宅で飼いたくて仕方がないくらいのノコギリエイ好きとしては、10匹すべてが見てみたくて、結局優先的に見て回った。日本全国あちこちに散らばっているけれど、たったの5館回るだけでそのすべてが見られてしまうのだからね。
特に、東京や神奈川に住んでいる人なら、3種すべてをエプソン品川と油壺に行くだけで見ることができるので、日本にいるすべての種類を見るのも簡単に達成できる。
もし、ノコギリエイが好きなら、見られなくなって後悔する前に見ておくことをオススメする!!
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