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水環境館(福岡) [相当施設インプレ]

水族館のヴィンテージイヤーと言っていい2020年なはずなのに、水族館に行く回数が例年より少なかった。
まぁ、仕方がないことではあるのだけど、例えば、近隣の施設に“行こうかな?”と思っても、常に“やっぱりやめた方がいいよね?”と反射的に思ってしまう。

何が言いたいかというと…… ネタがないのである!!

それでも12月の半ば以降、ブログのアクセス数が伸びているので、何か出したいなぁ、と。
数日前のこと。「水環境館」のインプレブログに少しまとまったアクセスがあったらしい。
水環境館? 新しくなってからアップしてなかった…(汗)
という訳で新生・水環境館の話。実にリニューアルオープンから2年近くが経過。オレが行ってからも1年2か月が経ってるけれど…

ヴィンテージイヤーの今年と比べると、昨年2019年は新水族館のオープンや、リニューアルなどのニュースが非常に少なかった。
そんな中で、もっとも大きな変貌を遂げたのは北九州の水環境館だろう。
休館を伴うリニューアル期間を経た全面リニューアル。昨年4月より新生施設として運営されている。
リニューアルオープン日がなかなか発表されなかったので、オープン後すぐに行くことはしなかったんだけど、ブログに載せるのが遅くなったのはそれも影響してる?(←言い訳)

新しくなった水環境館をひと言で言うなら、博物館としての洗練度が高められた、だろうか。
入り口からして“新しくなった”と感じさせてくれるが、内装は特に多くの手が入れられたようで、隣接する紫川をテーマにした博物館として、その展示がより充実した印象。しかし、入館無料なのは以前と変わっていない。
館内から紫川が見える大きな観察窓も健在だ。
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この日は窓の前に魚が多く、以前に行った時よりも、色々見ることができた。

水族館や水槽展示についても、以前より大幅に綺麗になった。
水槽や周辺機材も統一感があって、まるでそれらのギャラリーのような印象を受けるくらい、すっきり綺麗にまとまっている。
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水槽数はリニューアル前の方が沢山あったし、壁面には大きめの躯体水槽もあって水族館的な雰囲気は以前の方が強かったような気がしたが、反面、雑然とした印象があったのも事実。

水槽の多くはアクアテラリウム的なつくりで、それもあって魚の印象が薄い。いない訳ではないのだけど、リニューアル前より数も少なく存在感が薄い。
全体的に綺麗にはなったけれど、水槽の数が減り、大きな水槽もなくなっていることから、水族館らしさという点では、以前の方がそれらしかったかも。
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水環境館と言えば、水槽内の環境再現力の高さ(中の生き物が見つからない)でも名を馳せていたが、新しくなってからもそこは健在。
水槽の中は以前と同じように、自然の水辺を切り取ってきたような、青々と茂る草やコケが美しい水景が再現されている。
水槽、それも小さな水槽の中で、これだけの環境再現力は恐れ入る他ないし、溢れんばかりの緑に満ちた水槽は単純に見ていて綺麗だ。
しかしまぁ、中にいるはずの生き物は例によって見つからない(笑)
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展示施設としてどうなんだ!? と思うところもあるけれど、無料なのだから文句は言うまい。ここは“探し出す楽しみ”として前向きに捉えよう!!

規模の小さな施設だから、水槽をさらっと見て回るだけだとあっという間に終わってしまう。じっくり生き物を探しをするくらいでちょうどいいのかも?
ただし、先にも書いたように、オレが行ったのは1年2か月も前の話なので、水槽の中身とかその配置は変わっているのではないかと思う。

施設がある場所は変わっていなくて、駅からも近い小倉の中心街。
福岡県内の水族館(相当)施設の中でも、もっとも行きやすいのではないかな?
半地下にあるのに館内は広々としていて、ゆっくりくつろげるようなスペースもあって、地元の人なのだろう。水槽を見るでもなく、のんびり休憩している人もいた。
小倉に観光しに行く場合、どこで何をするかは分からないけれど、街を散策して、その休憩がてら、水槽の美しい緑で癒される、そんな利用の仕方もいいのではないだろうか? 何しろ、入場無料だし。

とは言えやっぱり、1年2か月も前に行った施設のブログって書きにくいね。
写真を見れば思い出しては来るんだけど、熱量が足りないというのか今ひとつ書くべきことが出てきにくい。
行ったらなるべく時間を空けずに文字にする!! とあらためて反省。
という訳で、またいつか水環境館に行くことがあれば、あらためて書き直す? かも。
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琵琶湖博物館の気になる魚 Vol.3 [淡水魚]

ビワマス目当てに久しぶりに行った琵琶湖博物館はやっぱり楽しかった。
琵琶湖の魚たちはやっぱり“特別”だ。
ビワマスなどの固有種ももちろん、それ以外の種類でも琵琶湖産は“何か違う”と思ってしまうのは贔屓の引き倒しだろうか?
水族展示室最初の水槽から驚かされたのだから、そう思ってもおかしくはないよね。
最初の驚きはタナゴの大きさ。
水槽を泳ぐヤリタナゴとカネヒラの大きさには本当に驚いた。
カネヒラなんて手のひらくらいの大きさがあって、知り合いの学芸員氏に“あれ、日本のタナゴですか?”なんて聞いちゃったくらい。
でも、どれだけ大きなタナゴでも、アクリルに近寄ってきてくれなければ写真は撮れない。
残念ながら、写真に収められるほど近寄ってきてくれることはなく、撮影は断念。
でも、琵琶湖博物館に行ったら、是非、あの巨大タナゴは見てみて欲しい。驚くから。

ビワマスに喜び、タナゴに驚き、水族展示室を楽しんでいると、通路の奥、遠目に見えるバイカル湖の水槽に、何とも懐かしいシルエットが目に入ってきた。
驚きつつ、慌てて水槽に近寄ると、そこにいたのはノーザンパイク!!
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05年に施行された特定外来生物法で、いち早く指定されてしまった魚種のひとつであり、それ以降、その姿を見ることが叶わなくなった魚だ。
かつては幼魚が普通に売られていたこともあり、オレもいつかは飼うのだろうと思ってた。
水槽の都合などタイミングが合わず、結局飼わず終いとなってしまったが、飼おうと考えるくらいには好きな魚でもあったし、海外の水族館に行かなければ会えないだろうと思っていたから、この予期せぬ再開は本当に嬉しかった。
久しぶりに見ると、こんな綺麗な色だったんだなぁ、と改めて思わされる。同時に、飼っておけばよかったなぁ、とも(笑)
今、日本で見られる個体は恐らくこれだけ。そういう意味では非常に珍しい魚と言っていい。
なお、魚名板にはロシア語名で表記されていたが、それを確認してこなかったのでここではノーザンパイク(Esox lucius)とさせてもらう。

ノーザンパイクと同じ水槽にいたペルカも懐かしい顔だ。
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ヨーロピアンパーチという名で観賞魚としても流通したこともあるが、ノーザンパイク同様、05年に特定外来に指定。日本では見ることができない魚となった。
かつてもノーザンパイクほど目にする機会もなかったが、この魚が外来魚として定着してしまった国もあるらしいので、予防的な指定だったのだろうと思う。
こちらも、現在日本で見られるのはこの水槽の展示個体だけと思われる。
また、こちらもロシア語名で紹介されていたが、それを確認しなかったので、オレの知ってる名前(ペルカ・属名由来)とさせてもらった。

特定外来つながりでもう1種。ナイルパーチも登場させたい。
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ナイルパーチは特定外来に指定されたのが2016年と比較的最近だったこと、かつアクアトトぎふでも展示されていることから、上記2種と比べれば見る機会もまだある。
琵琶湖博物館で展示されているものもその1匹だが、アクアトトにいるものは恐らくコンゴ産として日本に来るものだと先日のブログに書いたが、琵琶湖博物館にいるものは恐らくナイジェリア産として日本に来ていたものと思われる。
体高が高くそこまで大型化しないコンゴ産に対し、体高が低く巨大化するナイジェリア産というのが簡単な違いだが、観賞魚の世界では値段の高いコンゴ産、安いナイジェリア産みたいな違いもあった。
オレはこの体高の低いナイジェリア産が好きなのだけど、ウチにいるのも、アクアトトにいるのもコンゴ産なので、このタイプの、しかも展示個体はそれらしい特徴がしっかり出始めた70㎝ほどの大きさで、そのサイズ感も非常にオレ好み!!
水槽に1匹しかいないこともあって、この1匹に集中できるのもいい(笑)
この子に会うために琵琶湖博物館に行ってもいい!! 個人的にはそう思うくらいの1匹だ。

残りの2種類はナイルパーチと同じく、アフリカ産のシクリッド。
まずはタンガニイカ湖水槽に新たにお目見えしたオーレオクロミス・タンガニカエ。
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あら!? ここにもいたの!! 知らない間に導入されたらしい。
それほど大きくないので、展示が開始されてまだ日が浅いのだろう。
琵琶湖博物館のタンガニイカ湖水槽はタンガニイカ湖のある特定地域を再現していて、展示魚種もそこに住まうものというリアルさにこだわった水槽だと聞いたが、同じ水域にO.タンガニカエもいるのだろうか? この水槽で展示されてるということは、いるんだろうなぁ……
O.タンガニカエはアクアトトでも見られるし、そちらの方がずっと大きくて綺麗だが、琵琶湖博物館のものも、しばらく経てばそれに見劣らないような大きさ、綺麗さを楽しませてくれることだろう。琵琶湖博物館行く楽しみがまた増えた!!

最後の1匹もアフリカ産のシクリッド。
タンガニイカ湖のシクリッドを展示した水槽はサイズや展示種類数の多少こそあれ、比較的目にする機会があるように思うが、マラウィ湖の水槽というとあまり目にしないような気がする。
琵琶湖博物館には、そんなマラウィ湖のそこそこ大きな水槽があって、比較的メジャー種のみのラインナップだが、綺麗な魚たちが展示されている。
この“綺麗”というところがポイント!! この類、飼うこと自体は簡単なのだけど、喧嘩したり繁殖したりを繰り返す内に、だんだんとその綺麗さが失われていってしまう印象だ。
しかし、琵琶湖博物館の水槽で泳いでいるものは、どれも綺麗!!
先にも書いた通り、比較的メジャーな種類が泳いでいるが、ここではその中からニムボクロミス・リヴィングストニィを登場させた。
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綺麗に仕上がっていることはもちろんだが、この水槽を泳ぐ中では目にする機会が少なさそう? だから(笑)
とは言え、上記特定外来3種に比べれば、おまけ、みたいなものかな?
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アクアマリンふくしまの気になる魚 Vol.2 [海の魚]

カジキを見るためにアクアマリンふくしまに行ってきた、というのは以前のブログに書いた通りだが、気付けば2年半ぶり。イオンモールができてからは初めて。
オレが行った日も平日にも関わらず想像以上の人の数に驚かされたが、やはりイオンモールの影響だろうか?
でも、次から次へと来る人たちはカジキにはほとんど目もくれず、イワシの大群を背に記念写真を撮る。
それが終わるとその場を移動してしまうのだけど、それが永遠に続くんじゃないか、と思うくらい次々来るので、カジキ観察はその合間を狙って。
アクアマリンには他にも見るものが色々あるので、退屈はしない。むしろ、他の水槽との間を行ったり来たりするのが疲れるくらい?

気になる最初の1匹は、親潮水槽にいるサヨリ。
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サヨリって食材としてはよく知られているのに、水族館で見ることはほとんどない。
コモチサヨリとかデルモゲニーとか、温暖地域に住まう小型種こそ見るものの、名前に何も付かない“サヨリ”の生きて水槽を泳いでいる姿を見るのは初めて? かも知れない。
もしかしたら、2回見たバショウカジキよりも希少性が高い?
生きて泳ぐ姿も、よく見知った姿形。臆病でアクリルに近づくと奥の方へ逃げてしまうが、しばらくその場でジッとしていると、戻ってきてくれる。
伸びた下顎は、カジキよろしく、いかにも折れてしまいそうな感じだが、魚に対して水槽が広いからだろうか。綺麗な状態で残っているものが多かった。
常に水面付近を泳いでくれていたので、非常に見やすかったのもよかった。

大水槽と言えば、カジキのいる黒潮側にも見てみたいものがいた。ヒラソウダだ。
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所謂、ソウダ鰹のひとつだが、これまで生きた姿は見たことがなかった。
背中にライン状の模様が入った、同居のカツオなどよりも小ぶりの魚がビュンビュン泳ぎ回っているため、パッと見はスマ? みたいに見える。
しかし、目の前を何度も通過していくのをしばらく見続けていると、顔が短く、眼がぱっちり。体つきは体高が低く細長い印象。なるほど!! これがヒラソウダなのか!! 同居のカツオやキハダなどと違っていることが分かるようになり、スマと見間違うこともなさそうな気がしてくる。

同じ水槽にはメバチもいたようなのだけど、それらしいものは見当たらなかった。搬入されたのは少し前なので、そちらはもういないのかも知れない。
生きたメバチもどんなものだったのか、見てみたかったなぁ……

今回は久しぶりの訪問とは言え、目的はほぼカジキ一択。
いつもなら気合いを入れて見るはずの親潮アイスボックスもあっさり軽めに。
と言っても、素通りさせてくれないのが困るところで、カジキの動きを気にしつつ足を止めること何度か。
足を止めた理由のひとつがベロ。
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北海道などに産するカジカの仲間。ちょっと変わった名前だが、属名(Bero elegans)に由来するもの。
その名前もさることながら、おっ!? 何か綺麗だぞ!! と。
体色は住環境に合わせて個体差があるようで、画像検索してみたりしても、展示されていた個体とは違ったものが多く出てくる。
展示個体はグリーンにピンクの模様を散りばめたような体色をしていて綺麗だった。
海藻の中にでもいたのだろうか?

ベロの並びにいたスミツキメダマウオも気になった1匹だ。
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ベロと同じく北海道などに生息する小型の底生魚。
大きめの胸鰭で底床の上で上体を起こすような態勢て定位していて、時々、条数の多い長い背鰭を動かすくらいであまり動き回らない。
長い背鰭がスネークヘッドを連想させるように感じたからなのか、馴染みのない魚にも関わらず既視感が。
しばらく眺めていると、魚もキョロっと大きめの眼で見上げてくる。
そんな様子を見ていて気が付いた。パイクシクリッドだ!! って。
パイクシクリッドにしてはやや顔が短いが、雰囲気や動き方にそれらしさを感じさせるし、底棲性と言われるタイプにとりわけよく似ている。
個人的に馴染みのある魚に似ているものを感じたからなのだろう。しばらく見ていただけなのに、よく知ってる魚みたいな気になった。初めて見たかも知れない魚だというのにね(笑)

最後の1匹はカタボシアカメバル。
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見たことがあるような、でも、多分、アクアマリン以外では見たことがない魚。
これまでもアクアマリンでは何回か見たような記憶があるが、調べてみると比較的新しく記載された種類らしい。
カニの水槽に何個体かいて、それが見やすい位置を泳いでくれていたので撮ってみたのだけど、水族館では珍しい魚なのだろうと思う。

調べてみようと検索するも、全然ヒットしない。アクアマリンが名付けた仮名なのか?
なんて思ったものの、理由は単純。ずっと「アカボシカタメバル」だと思っていたから(汗)
そのお陰で、その名前がしっかり頭に刻まれることになりました。
皆さんもお間違えの無いよう…… って、お前に言われたくないって話ですな。
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遡上ビワマス@琵琶湖博物館 [淡水魚]

秋になると、遡上してきたサケやカラフトマスを見に行くことが個人的な恒例行事…… なのだけど、今年はコロナ禍ということもあり自粛することにした。
それでもその時期になれば、標津や留辺蘂、千歳あたりから、SNSを介して遡上サケの画像が次々と流れてくる。
それらをリアルタイムで見られるのはとてもありがたい反面、行きたかった、行けばよかったかも、みたいな気持ちがより強化されるのもまた事実で、今シーズン、オレのサケ成分は大いに不足していた。
そんなところに、琵琶湖博物館の知り合い学芸員氏がビワマス遡上個体の画像をSNSにアップしているのを見てしまった。
サケ成分絶賛渇望中のオレが、婚姻色に染まったビワマスの美しい姿を見てしまえば“北海道ほど遠くないからいいかな?”みたいな気持ちになってしまうというもの。
加えて、GoToキャンペーンで想像以上の格安で行けることも後押しとなり、琵琶湖博物館まで行ってきた。
こんな時期だったので、件の学芸員氏には連絡もしていなかったのだけど、入館時に早々に遭遇。予約チェックをする当番だったそうで、行くなり嬉しい偶然に見舞われた。
氏、曰く、「いいオスが入ったばかりですよ」とのことで、他の展示を後回しにして、ビワマスがいる水槽へと向かった。

いた!! よく見えるところに大きなオスの姿が。
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体も大きく、繁殖期のオスとしてはなかなかのイケメンと言っていい立派な個体だ。
しかし、色が薄い。いい個体ってこれ? SNSで見たものに比べると、ずいぶん地味な感じだけれど……
なんて思っていたら、水槽の端の目立たないところに、美しい婚姻色を発した個体が。
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これか!! 確かに綺麗な個体だ。

ビワマスは遠い昔にヤマメやアマゴと共通の祖先からいち早く分岐し、海水適応性を捨て、琵琶湖固有の種として現在に至っているそうだが、サクラマスを連想させる体色(婚姻色)は、両者の関連性を感じさせてくれる。
サクラマスよりはサツキマスにより近いらしいのだけど、関東の人間のオレからすると、サツキマスもビワマスと同じくらい馴染みが薄く、婚姻色に染まったものは見たことがない。遡上サツキマスと比較すれば、もっと似ているものなのかも知れない。

でも、この綺麗なオス、色こそ綺麗なものの、もう1匹のオスに比べると体が小さい。
その体格差もあってか、上記のオスから追い回されたりするので、委縮してしまっている様子。
ここに産卵前のメスがいたとしても、モテなさそう……
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一方、大きなオスの方はというと、見た目だけでなく、やる気もあるらしい。
綺麗な方のオスを追い払うだけでなく、メスに対しても寄り添ったりと、繁殖期のオスらしい行動を見せ続ける。
ただ、水槽に入っているメスはすでに産卵を終えてしまったらしく、もはや死を待つだけの状態。
体色は褪せ、体も薄くペナペナ。まだ水流に抗うだけの体力は残されているようだったが、水槽の上流側から動くことはなく、いることが確認できただけ。
当然、オスからのアプローチにも反応はしない。

オレが行ったのはもう2週間近く前のことだが、その時点では新たなメスの搬入も予定されているとのことだったので、もしかすると、産卵シーンが見られたというラッキーな人もいたかも知れない?
あのオスのやる気があれば、すぐに産卵まで漕ぎ着けそうな気がする。

なお、オレが行った時にいたのは色は薄いが大きくイケメンなオス、婚姻色の綺麗な小さいオス、そしてメスの3匹が遡上個体として展示されていたものの内訳だ。
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ビワマスなんて、サケやカラフトマスよりもさらに地域性の強い、琵琶湖でしか見られない“特別な存在”だ。
その遡上個体を見られたお陰で、今シーズン、圧倒的に足りていなかった“サケ成分”を得ることができて、ひとまず満足しつつシーズンを終えられそうだ。
これを見られたのは本当にラッキーだったけど、サケやカラフトマスも見たかったなぁ、やっぱり……

余談ながら、琵琶湖博物館も3年ぶりだったのだけど、ちょうど全館リニューアルを終えたばかりというタイミング。博物館としても、水族館としても最高だった。
9月以降、アクアトト、なかがわ水遊園に続けて今回の琵琶湖博物館と、国内3トップの淡水魚水族館を回ったのだけど、奇しくも各施設6回目の訪問だった。
6回ずつ3ベストを見て回ってあらためて思ったのは、日本最高の淡水魚水族館は琵琶湖博物館かも!? と。

遡上ビワマスが見られたからという理由だけでなく、展示内容、その見せ方、そしてその見やすさ、見にくさなど、そしてそこから得られる満足感など、どこを取っても総合力では他2館を上回ってるような気がしたからだ。

惜しむらくは、いずれの施設もウチから簡単に行けるほど近くないことだが、岐阜と滋賀は隣接している。
ということは、岐阜か滋賀に住んでいれば、琵琶博とアクアトトには行きやすくなるかも知れない。

引っ越すか!?
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11年ぶりの再登場!! バショウカジキ@アクアマリンふくしま [海の魚]

10月12日、アクアマリンふくしまでバショウカジキが展示された。
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アクアマリンでのカジキ展示は2度めだが、11年前に初展示を成功させて以降、他にカジキ展示を実現させた園館はない。
今回の再展示もアクアマリンならではの快挙と言っていい。

展示が発表されて以降、オレ周辺の各種SNSはカジキ一色。
その一方でオレはというと、そんな盛り上がりっぷりに反して、自分でも不思議なくらいに気分が乗らず、駆け付ける気が起きなかった。11年前は慌ててすっ飛んで行ったというのに……
そんなところに聞こえてきたのが、吻が折れてしまったというニュース。
カジキ目当てに集まった水槽前を埋め尽くす人たちの画像もSNSで見掛けたが、そうした多くのライバルたちと闘える気もしなかったし、気持ちがラクになったというのが実は正直なところだった。
とは言え、行かないと行かないで“やらなきゃいけないことをやってない”みたいな気分になったりしていたのだけれど。

カジキの吻と言えば、まさにその象徴ともいえる部分である。
吻のないカジキなんて、カジキという魚を紹介するという上では致命的な問題だ。
例えるなら、ノコギリのないノコギリエイとか鼻のないゾウみたいなもの。
しかし同時に、生きたカジキがそこにいてくれるということはとんでもなく凄いこと。例え吻がなくとも、そこから分かること、知ることができることは沢山あるし、そもそも生きて泳ぐ姿が見られるだけでも、きわめて貴重なことであることも間違いない。
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オレも今回の個体がきっかけで知ることができたことがいくつかあった。
そのひとつが、吻が折れる=死、ではない、ということ。
自然環境下でも吻を失ったカジキはバショウカジキに限らずいるらしく、そのまま生存、成長しているものもいるのだそうだ。
事実、アクアマリンの個体も、吻を失って以降もしっかり餌を食べているようで、その様子がアクアマリンによってSNSに動画がアップされていた。
それを見る限り、吻がなくて困っているようには見えず、むしろ、あの水槽で生きるためには邪魔となる吻がない方が都合がいいのでは? みたいにすら思えてきた。
だからと言って、もちろん自分で折った訳ではないだろうけど、これもある種の適応なのではないか? と思ったくらい。生き物の底力みたいなものを見せつけられたような気がした。

オレが見たのは、搬入されてから1か月ほど経った頃だったが、折れた吻は痛々しく見えるものの、状態はよさそう。
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搬入直後に見た知人たちによれば、その頃に比べると、今の方が体型に力強さを感じるとのこと。餌もしっかり食べているようなので、成長もしているのだろう。

水槽にもしっかり順応しているようで、どこかに体を擦ったり、ぶつけたりすることもなく、ほぼ同じコースをゆったりと、スムーズに回遊していた。
搬入されてしばらくはSNSで見掛ける画像は背びれを広げているものも多かったが、オレは見に行った日には、大きく広げることはなく、先端を少し広げる程度。
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もしかしたらそれも、それも水槽への適応度合いの高まりによるものなのかも!?
速く泳ぐ必要のない水槽で、決まったコースを回遊するなら、大きな背びれをわざわざ動かす必要はないのかも知れない。

11年前の時の飼育期間は2カ月ほど。もしかしたら今回の個体はそれを上回る期間を達成できるのでは? みたいな気もしてきた。

※12月6日 追記 展示終了したとのこと※


いろいろなことを気にしない性格なのか、アクリル前を泳いでいても、その前にいる観覧者を気にするそぶりも見せないし、自分よりも大きなエイやコシナガが近くまで来ても、避けたり、逃げたりするようなこともない。それとも、自分が格上な存在だと知っているのか!?

それどころか、片方の鰓に小さなコバンザメが潜り込んでいるのを許しているくらいで。まぁ、これは自分で取れないから仕方なく、かも知れないけど。
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鰓からコバンザメの尾が飛び出ているのが分かるだろうか? 時々鰓から出てきて、その周辺で動き回っているのが何度か見えた。
それにしても、どこから付いてきたんだろう? そういう魚だから仕方ないけど、何かイヤだねぇ、コバンザメって。

水槽で泳ぐバショウカジキ(の幼魚)を見ていると、魚類最速のスピードで泳ぐ、なんて言われていることが、本当だろうか? みたいに思えてくる。
巨大な背びれも含め、尾びれ以外の鰭は綺麗に収納できるようになってはいるが、マグロ類やアオザメ、ホオジロザメなど高速遊泳魚によくある尾柄部のキールがない。
尾びれは体に対して不釣り合いなくらい大きいものの、柔らかく、クネクネした感じの泳ぎ方は、まるでシルバーアロワナのようで、同じ水槽で泳ぐマグロやカツオのような力強さを感じないし、とても“最速”が想像できない気がしてしまう。
それでもやっぱり、本気出すと速いのかな!?

バショウカジキの展示(に向けた捕獲、輸送)はアクアマリン以外にも、葛西臨海水族園や沖縄美ら海水族館がチャレンジしている。
しかし、成功しているのはアクアマリンだけ。展示に向けた取り組みを紹介したパネルが寿司カウンターのところに掲示されていたけれど、それを見る限りでは特別なことをしている訳ではなさそうに見える。
しかし、実際に成功しているのがアクアマリンだけであることを考えると、やっぱり何か、特別なノウハウみたいなものがあるんだろうなぁ。
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久しぶりのなかがわ水遊園あれこれ [水族館紀行]

以前のブログに書いたように、激レア淡水エイを見るため、久しぶりになかがわ水遊園に行ってきた。
しばらく行ってないなとは思っていたけれど、最後に行ってから5年も経ってた。
最寄り駅から遠く、バスの本数も少ないので、クルマを所有しなくなって以降、足が向きにくくなった施設のひとつとなっていたからだ。

久しぶりに行くとそれまでとは違った印象を持ったりするもので、今回あらためて思ったのは、関東にある水族館施設としては、もっとも行きにくい施設なのではないか、ということ。東京からも遠いし、宇都宮からもクルマで1時間は掛かるし。
まぁ、それはさておき。

なかがわ水遊園の水槽はどれも、太陽光が降り注ぐ作りになっているが、ガラスが多用された建物は水槽だけでなく館内も明るくする。
明るい空間は天井が高いことも手伝って、屋内ながら広々とした感じになるし、何より、太陽光の下で見る魚の綺麗さは素晴らしい。
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しかし、その明るさは、水槽への映り込みというきわめて厄介な問題も発生させる。
なかがわ水遊園のそれは本当に強烈だ。しかも困ったことに、館内のほぼすべての水槽が太陽光の影響を受けるので、日の向きや天候によって、水槽の見にくさが大きく変化する。
オレが行った日はとても天気が良かったのだけど、そのおかげで水槽の映り込みや反射(見にくさ)も最強レベル。
直接太陽光が降り注がない水槽でも、どこからか反射した光によって… 見にくい!!
温室のアマゾン水槽ではそこに木漏れ日という、これまた読みにくい見にくさ要因が加わり、見たいものと見にくさとの合間で何とも言えない気分にさせられた。
映り込みや反射による見にくさでは、別の水族館がNo.1だと思っていたけれど、もしかすると、一番はこちらかも知れない。外光の影響を受けない水槽は3~4つしかないし。

雨や曇りなど、天気の良くない日の方が水槽は見やすいかもしれない。太陽光による魚体の美しさは堪能できないという、これまた大きな難点があるけれど。

強烈な見にくさはあるけれど、水槽はいいから困る。
あらためてアマゾン水槽は日本で一番素晴らしいと思った。
水槽の大きさもあるけれど、その大きな水槽の中に泳ぐ大小さまざまな魚たちは、それぞれ自分の好きな場所、環境を見つけて、そこでその個体なり、種類なりの生活をしているように見える。
まるで、本物のアマゾンの環境を垣間見るようなこの感覚は、他の水族館では味わえないし、見にくさを何とかしてでも見たくなる魅力がある。
ただ、水槽内で傍若無人な振る舞いのカピバラはご退場願いたい。オレとしてはね。
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他の見学者が途切れたのを見計らって、アクリルパネルの前に腰を下ろし、行き交う魚たちを眺めていたら、足元に枯葉が落ちてきた。
温室内の植物は本物だから、枯葉や小枝が落ちてくることもある。
今度はオレのすぐ後ろで、またカサッと何かが落ちてきた音がした。また枯葉だろうと思いつつ振り返ったら、そこにいたのは枯葉ではなくイグアナ!!
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温室内に放し飼いになってるとは聞いていたけど、その姿を見たことはこれまで1度もなく、初めて見た!!
そのイグアナはオレのすぐ横を通り抜け、近くの植え込みに上り、水槽の上にある餌場へと行ってしまったが、ちょっと驚きの遭遇だった。
探すといないのに、気が向くとイグアナの方から出てきてくれるらしい。
なお、イグアナ探して植物をくまなく眺めていたら、アマガエルを見つけた。こやつはきっと、勝手に居ついてるだけだと思うけど(笑)
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温室の中、日の向きで変化する木漏れ日が映り込むエイのいる水槽。
うまく撮れない~ と四苦八苦していた時、ふと上を見上げるとそこにルリコンゴウインコ。いつからいたのかは知らないけれど、5年前にはおらず、これまた初めて見た。
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これまたアマゾンの住人だから、温室内のアマゾン濃度を高めてくれる存在なのだろう。
毛引きをする癖があったのか、はたまたまだ羽毛が生え揃わない若齢個体なのか、胸のあたりは本来の毛色ではなかったけれど、大好きな鳥なので目的のエイを忘れそうになりつつ、インコに声掛け。
こちらの方を見てはくれるけど、特に反応はなし。そうかと思うと、遠足でやってきた賑やかな小学生軍団には反応していたから、大声でわめき散らかす、みたいなのが好みなのかもしれない。
インコは1羽のみで、おとなしく止まり木に止まっていたが、温室内を飛び回ったりはしないのだろうか?
3羽くらいいてくれると楽しそうなんだけどなぁ(笑)

水族館ブログなのに、まるで水族館らしからぬ内容になっちゃったよ……
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アクアトトへのラブレター!? [水族館紀行]

水族館に限らず、同じような施設が複数ある場合、そのいくつかに足を運んでみると、その中で“好き”と“好きじゃない”に分かれる、なんてことがあるだろう。

オレにとっての水族館もまさにそれで、好きとそうでない施設に分かれる。そんな中でアクアトトぎふは好き側にランクされている。
とは言え、今でこそ好きの上位のアクアトトだが、初めて行った時はそれほどいいとは思わず、むしろ、“好きじゃない側”と言っていいくらいのランクだった。
好きじゃない理由は実は今でも改善されていないが、いくつかの“好きな水槽”の好き度合いが“好きじゃない”を上回ったことで“お気に入り”へと好転したのだ。

気に入らなかった最大の理由は、大きな水槽がないこと。
大きく感じる水槽がないと言うのが正しいだろうか。
水族館と言えば、大きな水槽があることが魅力であり醍醐味だと思うのだけど、そんな水槽がないことがまず不満だった。
もちろん、中の生き物が可哀そうに見えたり、将来が心配になるほどの小ささではないけれど、広々大きな水槽で伸び伸びと泳いでいる、みたいに感じる水槽は少ない。
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とりわけメコンオオナマズやピラルクー、アオウオなどの大型魚が泳ぐ水槽にそんな印象が強く、どれも“必要にして十分”というより“必要最低限”みたいな物足りなさ。
この水槽がどこそこのあの水槽みたいだったら、この魚はもっとカッコよく見えただろうに…… そんなことを思ったことも何度もあった。

また、多くの水槽でその位置が低く、フロアと水槽底面が面一だったりすることが多いため、中の魚を見ようと思えば水槽前に屈む必要があるし、それが水底付近にいる魚なら、背中を丸めて覗き込むか、そうでなければ水槽に向かって土下座するみたいな恰好になり、正直、かなり見にくい。
また、水深も浅い水槽が多く、目線より上に水面がある水槽なんて数えるほどしかない。それも水槽が大きく見えない要因となっていると思うのだけど、水槽の大きさ感が不足していること、位置が低く見にくいことは大いに不満で、その点は今でも気に入らない。

最後に行ってから6年以上の時間が経過した2015年の秋のこと。
アフリカンシクリッドの企画展が見たくて久しぶりに足を運んでみると、いくつかの水槽がすごく良くなっていた。
“好きじゃない”つもりで行ったのに、“あれ!? ここ、いいぞ!!”と。
そしてその以後、今に続く、という訳。

好きな水槽は主に3つ。コンゴ川水槽、タンガニイカ湖水槽、そしてアマゾンエリアの最初、パクー水槽。
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コンゴ川水槽
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パクー水槽

そういえば、タンガニイカ水槽とパクー水槽は水面が目線より上にある数少ない水槽でもあるね。
いずれの水槽にも共通しているのが、こだわりを感じさせる展示魚種ラインナップとその仕上がり具合。
タンガニイカ湖水槽を例に話そう。
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原産地では恐らく同所にはいないだろうメジャー種オールスターといったラインナップながら、いくつかのマニアック種の存在が“よくあるタンガニイカ湖水槽”とはひと味違ったものへと高めていると思う。
オーレオクロミス・タンガニカエについては以前も書いたけれど、6年ぶりにオレをアクアトトに引き寄せるきっかけとなったペリッソドゥスも泳いでいるし、他にも、フロントーサとギベローサの両方が入っていることとか、4種類いるシノドンティスとか、魚種ラインナップが素晴らしい。
正直、タンガニイカ湖産シノドンティスなんてもっともメジャーと思われるムルティプンクタートゥスさえいればいいんじゃない? と思う。
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しかし、この水槽にはよく似たペトリコラとポーリーの2種類もいて、それだけでも十分こだわりを感じさせるのに、さらに、タンガニイカ湖産シノドンの最高峰とされるグラヌローススまでいる。
グラヌローススなんて高価なので、実は入っていないんじゃないか!? なんて思っていたのだけど、先日行った時に本当にいるのを発見した。
とは言え、数は多くないようで、その姿は見ることができたけれど、写真には収められなかった。見てみたい人は探してみて欲しい。本当に入ってるから。
それにしても、この水槽にグラヌローススがいることで、どれだけお客が増えるかと考えると…… しかも時々しか見られない脇役なのだ。
でも、そこに産するという理由で(高価な魚を)入れる。

最高だよね。こういうこだわり、ホントに好き!!
タンガニイカ湖水槽以外でも、そういう“誰が喜ぶの?”的な魚種がいたりして、水族館によるそういう努力(投資といった方がいいかな?)に対しては、見に行くことで応えたいと思っている生き物系水族館マニアとしては、嬉しいプレッシャーを与えてくれる水族館でもある。

特定の河川に特化した展示を行う淡水の水族館は、海の水槽よりも独自色を出しやすいように感じるが、これだけ多くの水族館がひしめく日本にあって、こういうこだわりは他施設との差別化という意味でも価値あることじゃないかと思っている。
とは言え、正直、一般の人には伝わりにくい部分もあるのかも知れないけれど……

それにしても、少々過ぎたと思えるくらいに持ち上げている感がある気がしないでもないけれど、アクアトトからは何ももらってないですよ。念のため(笑)
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激レア淡水エイ@なかがわ水遊園 [エイ]

9月13日、なかがわ水遊園のFacebookページに「珍しいアマゾン川のエイを展示しました」という書き込みが上がった。
Plesiotrygon nana(プレシオトリゴン・ナナ)なる種類だそうで、載っていた画像のエイは確かに見たことがないものだった。
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プレシオトリゴン属といえば、iwamae種が知られている。
これまでずっとその1属1種だと思っていたのだけど、2011年にこのnana種が記載されていたらしく、知らない間に2種になってた!!
そんなP.nana、観賞魚として日本に入ったことはないのだろう。見たこと、聞いたことはもちろん、存在すら知らなかった。
それが展示されているとあれば、見に行かない訳にはいかないというもの。
という訳で、なかがわ水遊園まで行ってきた。

久しぶりなので色々目移りしてしまうが、なるべく他の水槽には目をくれず、目的のエイを目指す。
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これがプレシオトリゴン・ナナなのか!!
同属のiwamae種にも通じる体型と長い尾。なるほどプレシオトリゴン属らしい。
iwamae種と比べると、眼がやや大きくちょこんと飛び出しているような印象。
非常に状態がいいのか、あるいはそういう種類(個体の性格?)なのか、よく動き回る。iwamae種は動かないイメージが強かったから、ちょっと意外だったくらい。

また、体色も不思議な感じ。
柄はフラワータイガーによく似ていたけれど、大きく違うのはその色。
遠目にはオレンジ色のエイ、みたいに見える体色も、光の当たり具合によってピンク色っぽく見えたりもする赤系統の色合い。
その色合いがアルビノクロコを連想させるようで、見るほどに不思議な色合い。ひとまず綺麗なのは間違いない!!
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ペルーのウカヤリ川産だそうだが、驚くのはそこからやってきたものがそのまま展示されている訳ではないこと。展示個体は何と、水遊園生まれなのだとか!!
ペルーから連れて帰ってきた個体をバックヤードで飼育。そこから生まれたのが展示個体。
水遊園のスタッフ氏に聞いた訳ではないので定かではないが、妊娠個体から生まれたものではなさそうだ。
展示個体の状態の良さは、日本(水遊園)生まれによる部分もあるのかも知れない。

もうひとつ意外だったのがサイズ。小ささだ。
展示個体は尾が長い分、体長こそそこそこありそうだが、体盤幅は25㎝ほど。
幼魚なのかと思ったが、クラスパーはそこそこの長さがあって、幼魚ではないことが見て取れた。
つまり、P.nanaはあまり大きくならない種類だということが想像できる。
Fishbaseによれば最大サイズ24.7㎝とのことなので、十分に成熟したものであることは間違いないようだ。
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自分より小さなカラシンしかいない水槽では我が物顔に振舞っていたが、モトロやポルカドットなどに比べるとおとなしく物静かな種類なのだろうと思う。サイズもずっと小さいし。
そう考えると、将来的にアマゾン大水槽に移動するとも思いにくいし、ずっとこのままこの水槽で展示されるんだろうか? その方が間違いなく見やすいので、このエイを目的に来る人にとっては、その方がいい気がするのだけれど……

かなりマニアックな存在であることに加え、淡水エイが好きな人の間でも、Plesiotrygonはその飼いにくさもあり、人気が高いとは言えない印象があるが、とても珍しく、かつ綺麗なエイであることは間違いない。しかも、見られるのは恐らく、この展示個体が日本で唯一ではないかと思う。

サメに比べるとエイに興味がある人は少数派だが、そんな人は是非とも見に行くべきだと思う。
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スミクイウオと東海大学海洋科学博物館の気になる魚 Vol.2 [海の魚]

10月9日、「スミクイウオを展示しました」というニュースを目にした。
清水にある東海大の水族館、海洋科学博物館で展示が開始されたのだという。

名前くらいは聞いたことがあったけれど、それがどんな魚かはよく知らなかった。
そんな具合だから以前から憧れていた訳ではなかったし、掲載されていた写真にも今ひとつ心動かず、どうしようかなぁ? なんて思っていたその3日後、アクアマリンふくしまでバショウカジキが展示されたというニュースが。

水族館で展示される魚としてカジキは超スーパースターと言ってもいい華々しい存在。
それに引き換え、スミクイウオときたら、知名度も見た目もカジキのような華やかさはなく、珍しさでは劣らないはずなのに、いわきの水槽前のような賑わいぶりは聞こえてこない。
しかし、その珍しさを分かっている魚マニアもいるもので、そんな人が載せたと思しきTwitterには、スミクイウオの他にもあまり見られないレア魚がいくつか。
それらがオレの重い腰を上げてくれたこともあり、いわきではなく清水へと向かったのだった……

スミクイウオを見るために来たので、ひとまず他の水槽には目もくれず、それがいるキンメダイの水槽へ。
いた!! これがスミクイウオなのか!!
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確かに弱々しい感じで、難しそうな感じ。眼が大きくどことなくムツを連想させるのは同じく深場の住人だからか。
肌の質感はメヒカリのようでもある。
鱗が剥がれやすいそうで、漁獲されたものは大抵、ズル剥けになっているのが普通らしい。
そのため、鱗が残り、こうして色、柄が見える姿は貴重なようだ。
とは言えやはりその肌は弱いようで、体表には少しキズがある模様。
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水槽には全部で3匹いて、その内2匹はあまり動き回らないのに対し、1匹はよく泳ぐ。
初めて見るので、そういうものなのか、はたまた調子がいいのか悪いのか、全然分からないのだけど、とりあえず状態が悪そうにも見えなかったので、この先しばらくはこの水槽で見られそうな気がする。
でもまぁ、展示に至るまでが大変だったという魚であるからして、気になる人はなるべく早く見に行くことをオススメしておく。

スミクイウオを見に行くのに、それだけだと“弱い”と感じてたオレの背中を押してくれたのがカケハシハタ。
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これまた名前くらいは聞いたことがあったレベルの魚で、生きた姿を見るのは初めて。
高級食材の販売サイトでその姿を見て、ホウキハタじゃないの? と思ったのが最初。
そのサイトには“幻の”なんて紹介されていたが、実際、かなり高価な魚らしい。
サクラダイが群れる水槽に1匹いたが、15㎝ほどと小さく、水槽端の死角に隠れているので探すとなかなか見えない。
それでも、定期的にアクリル面まで出てきてくれるので、その姿を見ることはできたが、ハタらしさを感じさせてくれるには、少なくとも今の3倍くらいの大きさは欲しいところ。
まぁ、今は今で可愛いけどね。
この魚もスミクイウオと同じく、現時点では海洋科学博物館でしか見られないはず。
よく似た種類が多いだけに、初めて見てもありがたみは少ないかも知れないけど、かなり珍しいです!!

カケハシハタと同じくオレの背中を強く押してくれたのがクマサカフグ。
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見るからに珍しそうな感じなのに、魚名板は出ておらず、この個体がしばらく前からいるらしいのに、である。
顔つきこそちょっとマンボウ風なのに、魚体はいかにも“速く泳ぎますぜ”的な雰囲気に溢れた細長く銀ピカのマグロなどの高速遊泳魚の雰囲気。
その見た目のイメージに違わず、シイラやカンパチなど、よく泳ぐ魚と同じ水槽でビュンビュン泳ぎ回っていた。
メタリックのフグらしからぬ姿形は“すごいもの見てる”感も強く、初めて見たことも手伝って、清水まで来た満足感を大いに高めてくれた。
なお、他所の水族館で展示実績はあるらしいものの、かなりの珍種のようで、現在見られるのは、多分、ここの海洋科学博物館のみ、だけだと思う。
余談ながら、毒の有無が定かでないため、食用にはならないのだそうだ。

そしてもう1匹。これは個人的にはあまりありがたみとか、その価値が分からない類であるため、見られればいいかな、くらいのつもりでいたユウダチトラギス。
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全部の水槽を何度見回してもその姿が見えないし、魚名板もないことから、もう展示されていないのだろうと思ったのだけど、水槽正面アクリルの真下の死角に潜んでいたらしい。
同じ水槽にいたヒメジに押され、突如、その姿を現した。
どこかで見たことがあるような気がするものの、多分、これまで見たことがない種類なのだろう。
よく分かっていないながら、写真だけは残しておこうと、時々姿を現すタイミングを狙って撮影を試みるも、レンズ位置がかなり角度が付いてしまうためか、ビシッとピントが合わない。う~ん……

あまり見られない魚のようなので、気になる人は探してみて。
1匹しかいないようだけど……
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コラムに誘われ EpⅡ アクアトトの気になる魚Vol.4 [淡水魚]

アクアトトぎふのHPにある水族館のスタッフ氏によるブログ「おもしろ飼育コラム」。
オレはそのファンだ。
飼育スタッフ氏の目線で、対象に対する思い入れなんかが語られているのだけど、そんな話を聞く(読む)と、それに対するオレの興味の有無に関わらず、見たくなってくる。
そんな琴線に触れる内容の回に遭遇する度、「行きてー!!」となる(笑)
できることなら、そんな自慢を直接聞いてみたいくらい。いくらでも楽しく聞けそうな気がするし。

そんなアクアトトだが、思い立ってすぐに行けるほど近くないこともあり、気が付けば2年以上のご無沙汰。
その間にも、“見たい”が次々と貯まってきてしまった。
しかし、世間はコロナ禍の只中にあり、不要不急な移動は自粛するべき…… なのだろうけど、9月21日のコラム、「アトゥーが好き」をきっかけに、行っちゃった……
中部エリアの水族館には他にも行きたい施設がいくつかあったのだけど、宿泊は避けようと、今回はアクアトトだけで我慢。

オレを岐阜へと引き寄せたコラムの主、ワラゴ・アッツーはというと……
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あれっ!? 小さい!!
想像していたよりずっと小さな(と言っても70㎝くらいはあったけど)個体だったけれど、ちゃんとそのカッコよさは伝わってくる。
このアッツー、水槽ではなかなかカッコよく育たない魚で、この種ならではの薄く、長い顔つきのとてつもないカッコよさは、例えば現地で釣られた写真などでないと見られない。
水槽で育てると、うまく飼っても顔が丸まってきてしまい、アッツーらしい薄さ、長さが出ない。
おまけに、顔を潰しやすく、魅力が損なわれやすい。
アクアトトにいるものは、今のところ、綺麗に育っている。しかし、飼育下である以上、だんだん顔つきが丸まってきてしまう可能性もあるので、できれば綺麗な今のうちに見ておくことをお勧めしておきたい。
あとは、アッツー好きで「No.1美ナマズだと思う」というコラム執筆者、堀江さんに頑張ってもらって、この種ならではの超カッコいい顔つきと巨体を目指してもらいたい。

アッツーのいる水槽では、2019年10月27日のコラムに登場したロピス(Chitala lopis ボルネオナイフ)も初めて見る顔。
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アクアトトにしかいない訳ではないのだけど、そこそこの大きさがあることと、今後、さらに巨大化することに期待しつつ。
このロピス、この水槽ではオスフロ・エクソドンと並ぶマニアック種だが、アッツーも含め、せっかくの魚たちが見にくいくらいに水槽が暗いのがちょっとイヤ。
定期的に真っ暗になったりするし、隣のメコンオオナマズの水槽くらいに明るく見やすくなると良いのだけど……

同じくアジアの展示ゾーンには他にも見たかった魚が。
そのひとつが、2020年1月14日のコラムに登場したナンシオヤニラミ。
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中国産のオヤニラミの仲間で、近年、観賞魚としても流通している魚のひとつ。
普段オレが出入りしているショップでもしばしば見掛けるが、小さいのにやたら愛想がいいので、連れて帰りそうになったことが何度か(笑)
でも、これまで見たことがあるものはすべて10㎝未満のもの。10㎝以上ある個体を見たのは実は今回初めて。
もっとケツギョっぽいのかと思っていたが、色合いのせいかコクチバスみたいな雰囲気で、思い描いていた姿とはちょっと違っていた感じ。
これよりさらに大きくなるとまた違うのだろうか? そういう意味でも今後が楽しみ。

ナンシオヤニラミの展示を知らせるHPのニュース(2020年1月21日)で、同じページに並んで登場していたフォーバータイガーも会いたかった1匹だ。
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置き水槽に1匹でいたが、人通りの多い場所で、水槽叩かれたりみたいなことも多そうなのに、隠れたりいじけたりすることなく、堂々と泳いでいたいい個体(笑)
たまたまその日が機嫌がよかったのか、こういう性格の個体なのかは分からないけれど、ちゃんと泳ぐ姿が見られるダトニオはやっぱりいい。
加えて、フォーバーは好きな種類だし。
そういえば、アクアトトには以前、アッツーがいる水槽に大きめのダトニオがいたような記憶があるのだけど、あの個体はどうなったんだろう?

最後の1匹もナンシオヤニラミ、フォーバータイガーと同じニュースに登場していたナイルパーチ。
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かつてコンゴ川水槽には2匹の大きなナイルパーチがいたが、立て続けに死んでしまったそうで、2年前に行った時にはその姿を見られなかった。
特定外来に指定されてしまったこともあり、アクアトトではもう見られないと思ってた。
しかし、育成中の個体がいたらしい。再び、この水槽でナイルパーチに会えた。
現在展示されている2匹は、多分、コンゴ産として輸入されていたタイプ。一方、かつていた大きな個体は、ナイジェリア産として輸入されていたものだと思う。
コンゴ産のものは体高が高く寸詰まったような体型をしているが、ナイジェリア産は体高が低くよりスズキ的。サイズも巨大化する。
個人的にはナイジェリア産のものが好きだが、コンゴ産は自分の家にもいることもあってより馴染み深い。
当たり前だが、ウチにいるものよりもはるかに大きく立派な2匹に会うのは、この先、アクアトトに来る楽しみでもある。
今となっては、とても貴重な2匹でもある。1日でも長くその姿を見せてくれることを願うのみだ。
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