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11年ぶりの再登場!! バショウカジキ@アクアマリンふくしま [海の魚]

10月12日、アクアマリンふくしまでバショウカジキが展示された。
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アクアマリンでのカジキ展示は2度めだが、11年前に初展示を成功させて以降、他にカジキ展示を実現させた園館はない。
今回の再展示もアクアマリンならではの快挙と言っていい。

展示が発表されて以降、オレ周辺の各種SNSはカジキ一色。
その一方でオレはというと、そんな盛り上がりっぷりに反して、自分でも不思議なくらいに気分が乗らず、駆け付ける気が起きなかった。11年前は慌ててすっ飛んで行ったというのに……
そんなところに聞こえてきたのが、吻が折れてしまったというニュース。
カジキ目当てに集まった水槽前を埋め尽くす人たちの画像もSNSで見掛けたが、そうした多くのライバルたちと闘える気もしなかったし、気持ちがラクになったというのが実は正直なところだった。
とは言え、行かないと行かないで“やらなきゃいけないことをやってない”みたいな気分になったりしていたのだけれど。

カジキの吻と言えば、まさにその象徴ともいえる部分である。
吻のないカジキなんて、カジキという魚を紹介するという上では致命的な問題だ。
例えるなら、ノコギリのないノコギリエイとか鼻のないゾウみたいなもの。
しかし同時に、生きたカジキがそこにいてくれるということはとんでもなく凄いこと。例え吻がなくとも、そこから分かること、知ることができることは沢山あるし、そもそも生きて泳ぐ姿が見られるだけでも、きわめて貴重なことであることも間違いない。
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オレも今回の個体がきっかけで知ることができたことがいくつかあった。
そのひとつが、吻が折れる=死、ではない、ということ。
自然環境下でも吻を失ったカジキはバショウカジキに限らずいるらしく、そのまま生存、成長しているものもいるのだそうだ。
事実、アクアマリンの個体も、吻を失って以降もしっかり餌を食べているようで、その様子がアクアマリンによってSNSに動画がアップされていた。
それを見る限り、吻がなくて困っているようには見えず、むしろ、あの水槽で生きるためには邪魔となる吻がない方が都合がいいのでは? みたいにすら思えてきた。
だからと言って、もちろん自分で折った訳ではないだろうけど、これもある種の適応なのではないか? と思ったくらい。生き物の底力みたいなものを見せつけられたような気がした。

オレが見たのは、搬入されてから1か月ほど経った頃だったが、折れた吻は痛々しく見えるものの、状態はよさそう。
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搬入直後に見た知人たちによれば、その頃に比べると、今の方が体型に力強さを感じるとのこと。餌もしっかり食べているようなので、成長もしているのだろう。

水槽にもしっかり順応しているようで、どこかに体を擦ったり、ぶつけたりすることもなく、ほぼ同じコースをゆったりと、スムーズに回遊していた。
搬入されてしばらくはSNSで見掛ける画像は背びれを広げているものも多かったが、オレは見に行った日には、大きく広げることはなく、先端を少し広げる程度。
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もしかしたらそれも、それも水槽への適応度合いの高まりによるものなのかも!?
速く泳ぐ必要のない水槽で、決まったコースを回遊するなら、大きな背びれをわざわざ動かす必要はないのかも知れない。

11年前の時の飼育期間は2カ月ほど。もしかしたら今回の個体はそれを上回る期間を達成できるのでは? みたいな気もしてきた。

※12月6日 追記 展示終了したとのこと※


いろいろなことを気にしない性格なのか、アクリル前を泳いでいても、その前にいる観覧者を気にするそぶりも見せないし、自分よりも大きなエイやコシナガが近くまで来ても、避けたり、逃げたりするようなこともない。それとも、自分が格上な存在だと知っているのか!?

それどころか、片方の鰓に小さなコバンザメが潜り込んでいるのを許しているくらいで。まぁ、これは自分で取れないから仕方なく、かも知れないけど。
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鰓からコバンザメの尾が飛び出ているのが分かるだろうか? 時々鰓から出てきて、その周辺で動き回っているのが何度か見えた。
それにしても、どこから付いてきたんだろう? そういう魚だから仕方ないけど、何かイヤだねぇ、コバンザメって。

水槽で泳ぐバショウカジキ(の幼魚)を見ていると、魚類最速のスピードで泳ぐ、なんて言われていることが、本当だろうか? みたいに思えてくる。
巨大な背びれも含め、尾びれ以外の鰭は綺麗に収納できるようになってはいるが、マグロ類やアオザメ、ホオジロザメなど高速遊泳魚によくある尾柄部のキールがない。
尾びれは体に対して不釣り合いなくらい大きいものの、柔らかく、クネクネした感じの泳ぎ方は、まるでシルバーアロワナのようで、同じ水槽で泳ぐマグロやカツオのような力強さを感じないし、とても“最速”が想像できない気がしてしまう。
それでもやっぱり、本気出すと速いのかな!?

バショウカジキの展示(に向けた捕獲、輸送)はアクアマリン以外にも、葛西臨海水族園や沖縄美ら海水族館がチャレンジしている。
しかし、成功しているのはアクアマリンだけ。展示に向けた取り組みを紹介したパネルが寿司カウンターのところに掲示されていたけれど、それを見る限りでは特別なことをしている訳ではなさそうに見える。
しかし、実際に成功しているのがアクアマリンだけであることを考えると、やっぱり何か、特別なノウハウみたいなものがあるんだろうなぁ。
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コメント 2

Kazu

私も10月に拝見してきました。私は貴重なタイミングに会うことがめったにないため、多くの水族館好きの方がカメラ両手に水槽の前に並んでいる景色に初めて遭遇しました。その中でまだ吻のある時期に会えたのは奇跡だったと思います。しかしながら、コバンザメに気づかれるとは…さすがです。観察力の違いに脱帽です!
by Kazu (2020-11-23 09:08) 

ミストラル

>kazuさん

行かれたのですね!!
じゃあ、オレが見た水槽前の大勢の中にいたのでしょうね。
ちゃんと見られましたか?

生きたカジキはなかなか見られないものですから、生きた姿が見られたのは何よりでした。
by ミストラル (2020-11-26 17:10) 

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