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銀座にやってきた美ら海水族館生まれのレモンザメ仔 [サメ]

毎年、夏になると開催されるSONY水族館。
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数寄屋橋交差点をバックに、美ら海水族館からやってきな沖縄の魚たちが展示されるイベントだ。
何と今年で46回目!! つまり46年も続いているという事実に驚かされる。

美ら海水族館からやってきた魚とは言え、本物の美ら海水族館を知っている者からすれば、そこに“美ら海”を感じることはちょっと難しい。
加えて、水の確保も簡単ではない場所だし、さほど大きくない水槽に魚の数は多めと、飼育環境も本家とは段違い。
そのため、仕事などで近くに行った際などに、覗き込んでみると、イベント開始当初にいたものがいなくなっていたりと、イベント期間中に死んでしまうものも少なくないようだ。

イベント期間は7月19日から9月1日まで。
イベント開始から間もない7月中は、魚も綺麗で元気。
種類数も多く、何より、体色はまだ沖縄の時のものが維持されてる。
行ってみようかな? なんて思っている人は、なるべく早めに行くことをオススメする。
とりわけ、ビル内の水槽にいるイロブダイ(♂)は、本家にさえこれだけの個体はいないんじゃない!? と思っちゃうほどの美個体。
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時期が経つにつれて、色が褪せてくる可能性が高いし、そもそもあまり飼いやすい魚ではないようなので、そんな意味でもお早めに!!
東京の水族館にはいないし、コレを見るために銀座に行ってもいいと思わせてくれるくらいの個体だったからね。

SONY水族館の水槽には、いわゆる“南の海の熱帯魚”だけでなく、サメやエイ、大きなウツボなど、“キャラクターの強い”魚がいくつか入れられている。
サメはこれまで、トラフザメ、ツマグロ、ネムリブカなんかが入っていたけれど、今年のサメはスゴイ!! 何とレモンザメが2匹。
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このレモンザメ、美ら海水族館で産まれた個体なのだ。
2012年に行った時、メスのお腹はパンパンだった。
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いつ頃産まれそうですか? なんて解説員の人に聞いたら、「もうずっとこんな状態なんです」との答えが。まさか、ただの食べ過ぎ…!?
それからしばらくして、産まれたというHPでのアナウンス。そして今年、美ら海水族館で予備槽に収容された仔たちの姿を見た。
5月に見た時には、その3ヶ月前に見た時よりも確実に大きくなっていて、順調に成長しているのが見て取れた。

東京にやってきたのは、それらの内の2匹。
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※写真の個体がやってきたものと同一な訳ではありませんよ!!

生まれ出る瞬間を見た訳ではもちろんないけれど、産まれた水槽、両親、そしてこれまで育ってきた予備槽などを見てきてるからなのか、不思議と親しみを感じてしまう(笑)

今現在、2匹が泳ぐ水槽は美ら海水族館時代の予備槽よりも小さいし、水だってよくはないのだろうと思う。
しかも、イベント期間はまだあと1ヶ月半ほど残っている。
無事に乗り切ってくれることを祈るばかり。

イベント後は、この魚たちは関東の某水族館へ移動することになっているはずだけど、そこで再び、さらに大きくなったレモンザメ仔に会いたいものだ。

レモンザメは最近、見られる水族館が増えていて、関東周辺でも油壺マリンパークやアクアワールド大洗で見ることができるけれど、東京の水族館にはいないので、簡単に行ける銀座で見られる内に、1度見に行ってみて欲しい。

同じく美ら海水族館産まれのヒョウモンオトメエイ、そして上記のイロブダイなど、美ら海水族館に思いを馳せるには十分な内容だと思うから。

油壺マリンパークのオオメジロザメ [サメ]

2月に開催された超水族館ナイトに行った時のこと。
会場には水族館スタッフ氏も多くやって来ているのだけど、その中に顔見知りの油壺マリンパークのスタッフ氏の姿もあった。
そのスタッフ氏からミツクリザメの話を聞かせてもらっていたら、「そういえば、今度、オオメジロザメをドーナツ水槽へ引っ越しさせるんですよ」と教えてくれた。
ミツクリザメの話もそうなんだけど、こういう情報は本当にありがたい!!
わざわざ教えてくれたスタッフ氏に深く感謝すると同時に、せっかく教えてもらったのだから、いち早く行くのが礼儀というもの。
というワケで、オオメジロザメの引っ越しも終わり、それまで暮らしていた水槽も再公開された3/13、久しぶりに油壺まで行ってきた。

明確な目的がある時はいつもそうだけど、入館すると、他の水槽を横目で眺めつつ、まっすぐ2Fのドーナツ水槽へと向かった。
2Fに上がるとすぐに、オレの目の前を大きなサメが横切った。
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いた!! と一瞬思いそうになったけれど、以前からいたレモンザメだった。
しばらく見ない間に、ものすごく大きくなっていて、ひょっとしたらシロワニよりも大きい? と思うくらい立派さ。2mは軽く越えているだろう。
4匹のノコギリエイもシロワニも無事。どうやら、オオメジロは悪さをしていないようだ。

他のサメたちの生存確認? をしていたら、ようやくオオメジロの姿を発見。
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こちらの水槽で見てみると、思っていた以上に小さく、レモンやシロワニよりも2まわりくらい小ぶり。
狭い水槽で暮らしていたから、あまり大きくなっていなかったようだ。
油壺では5年以上飼育されているはずだが、そういう意味では順応性も高いらしい。
しかし、やけに頭が大きく、そのフォルムはシロワニやより近縁なレモンザメとも大きく印象が異なる。
やはり、そこはかとない“ヤバさ”みたいなものを漂わせているように感じるのは、沖縄で内田名誉館長の話を聞いたばかりだからなのだろうか?

引っ越して間もないこともあり、オオメジロもまだ水槽に完全には順応していないようで、ターンがスムーズでなかったり、水中に付き出したジャングルジム様の魚礁にぶつかったりすることもあった。
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狭かった水槽で擦り続けた左側の胸ビレには瘤があるので、写真を撮る場合は右頭の方がオススメです!!

一方、他の魚との関係性はというと、やはりサメ同士は何か感じるものがあるのか、シロワニやレモンザメと進路が重なると、お互いがそっと避けていく。
それがノコギリエイだと、オオメジロは避けず、ノコギリエイの方が避けていく。
サメは避けるのに、大きくてノコギリまでついているのにエイは避けない。
その辺の力関係ってどうなってるんだろう? エイごときに道は譲らないぜ!! みたいな感じなんだろうか? サメやエイを見ていてよく思うんだけど、人には見えない不思議な力関係があるようで面白い。

オオメジロザメは美ら海水族館を除けば、油壺マリンパークでしか展示されていない珍しい種類である。沖縄よりもはるかに近い油壺でそれが見られるのはとてもありがたい話だったのだけど、これまでの水槽は、まるで深海魚でも展示しているかのようなとても暗いもので、写真どころか、あまり見やすくない水槽だったから、ちゃんと見える明るい水槽への移動は、そのありがたみが大幅に高まると言っていい。
また、これまで収容されていた水槽は狭く、水槽いっぱいに育ってしまっていて、常に壁に擦り続けている胸ビレには擦れてできた瘤ができてしまっているし、片方の眼も白く擦れたようになっていた。
さらに大きくなる種類であることを考えれば、あのまま飼い続けることができないことは素人目にも明らかだ。
この引っ越しは、あの水槽で飼い続けることができないと判断されたからだろう。
つまり、サメにも、サメ好きにとっても非常に歓迎すべきニュースと言えるのだ。

しかし、そこはオオメジロザメである。
引っ越しの話を聞いた瞬間、その前日に聞いた“沖縄オオメジロ伝説”(3/16のブログ参照)が頭をよぎった。大丈夫なのだろうか?

ドーナツ水槽には、2匹のシロワニと1匹のレモンザメ、4匹のノコギリエイがいる。
中でも、シロワニとノコギリエイは、あの水槽の主とも言える存在感があり、水槽の主役と言ってもいい。加えて、どちらも非常に手に入れにくい、補充のしにくい魚なのである。
もし、オオメジロが水槽に順応し、本来の性質を発揮するようになったら…
シロワニやノコギリエイが襲われてしまう可能性だって十分あり得るはずだ。
もちろん、マリンパークだってシロワニやノコギリエイを失いたくはないだろうから、十分に餌を食べさせるとか、対策は講じるはずだと思うし、以前の水槽では、混泳していた小アジを襲うことはなかったそうなので、この子は大丈夫!! そう思いたいのだけど…
よく見えるようになってありがたい反面、やはり心配になってしまう。

でも、これまでよりもずっと大きな水槽で暮らすようになることで、少なくともレモンザメくらいの大きさにはなるはずで、その成長ぶりが楽しみだったりもする。

何より、ノコギリエイやシロワニとのツーショットは、油壺でしか見られないスペシャルな光景だ。
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これらの両者が並んだ瞬間、何だかとてもいいものを見たような気分になれた。

先にも書いたように、仮に、オオメジロがその本性を剥き出しにするようなことがあったなら、今みたいに別種とのツーショットを喜んでもいられなくなる。
そんなことにはならない!! と思いたいが、現在のような平和な混泳が崩れてしまう可能性もなくはない。
サメ好きの人は、平和な今の内に、感動的な光景を見ておくことをオススメしておく。
もちろん、この先ずっと平和であり続ける可能性もあるんだけどね。

内田詮三氏に聞いたオオメジロザメ伝説@沖縄美ら海水族館 [サメ]

沖縄から戻ってから、まだ寒い東京に拒否反応が出たのか、風邪をひいてしまい、加えてそのあたりは予定が詰まっていて、バタバタしていたのに体調不良が加わって、なかなかブログの更新にまで手が回らなかった。
というワケで、久しぶりの更新。
もう3週間も前の話になるんだけど、またまた沖縄の話。

昨年の10月、東京で美ら海水族館の名誉館長である内田詮三氏の講演に行ってきたというのは、このブログでも書いた通り。
その時は開始時刻に間に合わず、もっとも聞きたかったサメの話は少ししか聞けなかった反面、聞くことのできた鯨類の話がとても興味深かったことで、サメの話が聞けなかったことが余計に残念に感じていた。
講演終了後、内田さんに最初から話を聞けなかったことを伝え、今後、こうした講演の予定はないものかと聞いてみた。
すると「旅行社主催でやりますよ。参加者の人を水族館のバックヤードに案内したりもしますよ」とのこと。とは言え、内田さんの言う水族館とは、もちろん美ら海水族館のことである。「じゃあ次はそこに参加しますね」とは簡単に言えなかった。

しかし、成田発のLCCを使えば、沖縄も新幹線で名古屋に行くより格安で行けてしまう。寒いのにもうんざりしていたし、行っちゃうか!? なんて思ってた所に、内田さんが話されていた、旅行社主催の講演会を発見。主催の旅行社に聞いてみると、その旅行社のツアーなどを利用しなくても、講演会だけ参加することも可能とのことだったので、申し込むことにした。

講演会の会場は、普段は休憩スペースとして使われているレストラン横のイベントホール。参加者は、昨年参加したものに比べると大幅に少なくて、オレを含めて15人くらい。
旅行社主催のイベントだけに、団体ツアーの一環として参加していた人が多いようだった。参加者は大人のみで、男はオレを含め2人だけ。オバサンになると水族館が深く知りたくなる人が多いのだろうか?

講演の内容は水族館についてというよりも、サメについてだった。
オレにとっては願ったり叶ったりと言ったところだが、イベントの参加者は団体ツアーで美ら海水族館に来る人がメイン。つまり、そういう人でも分かり、かつ興味を引かれるような話題が中心。昨年の東京での講演や、内田さんの著書などを見聞きしていることもあって、初めて聞くような話題はあまり多くなかった。
じゃあつまらなかったのかと言われれば、そんなことはなくて、テーブルの上にカメラを置いてあったというのに、結局、1枚も写真を撮ることもなく、気付けばすべてのプログラムが終了してた。我ながら、これだけの集中力を学校に行ってた時代に発揮できてりゃ、もっと違った人生があったかも!? なんて思ったり。

一般の人が考えるサメのイメージと言えば、やはり“人喰い”だろう。
話の入り口もそこからだったが、具体的なデータを提示しつつ、サメによる人への攻撃、被害が、実はものすごく少ないことや、人を好んで食べるサメはいないことなどが説明された。そうした話に度々登場するのが、内田さんをして“人への襲撃率がもっとも高い”というオオメジロザメだ。
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水族館では35年前に捕獲された個体が今でも飼育されており、子、孫と代を重ねているが、このオオメジロザメ、水族館でも数々の伝説? を残している。

現在は危険ザメの水槽でサメ類のみで飼育、展示がなされているが、旧水族館時代は現在の黒潮大水槽の前身に当たる黒潮槽という大水槽で飼育されていたらしい。
そこには、ジンベエザメを始め、ナンヨウマンタなど、現在の大水槽の構成メンバーも収容されていたが、オオメジロはとにかくそれらを襲いまくったのだそうだ。
ジンベエザメ以外はすべての魚種が喰われているそうで、大きなロウニンアジにかぶりつく写真や、囓られて死んだマンタの写真などが披露された。
サメの口の形に噛み破られたマンタの死骸の写真を見ながら、「マンタも4匹くらいやられちゃってるんですよ。勿体ないですよねぇ…」と内田さん。
過去の話なのに、当時の残念さが蘇るのか、今なお勿体ないという言葉が出てしまうあたりが、何だかおかしかった(笑)
余談ながら、繁殖に成功しているペアのオス個体は、ヒレの先端が欠けているが、それもオオメジロに食いちぎられたものらしい。
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オレの知っているオオメジロと言えば、水槽の中をゆっくり泳いでいる姿だけ。だから、人への襲撃率がNo.1であるとか、混泳魚を片っ端から襲って食べるなんて聞いても、イメージしにくかったりしていたのだけど、その強烈さを見てきた人の口からそれを聞かされると、やっぱりスゲェ魚なんだなぁ、とあらためて思わされる。

オオメジロの他にも、旧水族館では様々なサメの飼育、展示に挑戦していたそうだが、水槽の中を泳ぐアオザメやヨゴレ、ハチワレ(ハビレに喰われているシーンだったけど)なんかの写真にはシビれさせられた。これらはサメの危険性についての話の中で例として登場したものだったんだけど、特に見てみたい種類が水槽を泳ぐ様子は、やはりたまらないものがあった。この先、それらを再び水槽内で目にする可能性は低そうなだけに、そんな瞬間に立ち会いたかったなぁ、と。
旧水族館には行ったことがないのだけど、今にして思えば、無理してでも行っておくべきだったなぁ、とちょっぴり後悔。

サメの話は、危険性に続いて、繁殖生態についても説明された。
前のブログで書いたジンベエザメの繁殖についての話も、一部はそこで話されたものだ。
危険性、繁殖と急ぎ足で続く話はこの辺りで40分。するとそこで、「では、そろそろ…」と終わってしまった。
ええっ!! もう終わり!? と驚いていたら、司会の人が「この後、内田元館長にバックヤードを案内していただきます」とのこと。
退いたとは言え、水族館の最高の地位にあった人が案内してくれるバックヤードツアーである。どこに連れて行ってもらえるんだろうと期待しながら、内田さんや案内スタッフの後をついていった。

そして大水槽横の搬入口へ到着。
目の前には危険ザメ水槽が見える場所へと案内された。
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そこで水槽上のクレーンの説明を受け、さぁ、これから、と気合いを入れ直した所、行けるのはここまでです、との注意が。
目の前には危険ザメの水槽がある場所まで来て、まさか搬入口でお終いとは…
大水槽を上から見られる黒潮探検ではよく見えない危険ザメ水槽を上から眺めたり、大水槽のすぐ脇を歩けるチャンスかと思っていたのに、期待が大きかった分、この多大な肩すかしは何とも残念な気分。

そんなこんなで、とっても慌ただしい約1時間だったんだけど、今回の沖縄行きの中では、一大イベントだったことは確か。
話を聞いてあらためて思ったのは、オレはやっぱりサメが好きだってこと。
自分でサメを扱うことができない分、こうした話をもっと聞いてみたい。
内田さんの話も含め、今後もこんな話を聞ける機会を積極的に探っていきたいと思う。

美ら海水族館のジンベエザメの話 [サメ]

24日、お台場で開催された「中村元の超水族館ナイト」にゲスト出演させてもらった。
会場で売られていた20冊ほどの「水族館で珍に会う」がすべて売り切れたり、“いつもブログ見てます”と声をかけてくれる人がいたりと、ありがたいことこの上ない時間を過ごさせてもらった。

当日、水族館ナイトに来場された皆さま、どうもありがとうございました。
イベントの様子は、こちらで。
http://blogs.yahoo.co.jp/kazu247jp/24102039.html(水族館が好きだから@にっし~~~氏)

さて、そんなオレはイベントの直前まで、沖縄に行ってた。
寒いからとか、昨年の10~12月は頑張ったから、とか、いろいろ理由はあるんだけど、成田から片道6950円で行けるLCCの存在はやはり大きい。
早々に格安チケットを手に入れて、ひと足お先に春を感じてきた。
とは言え、オレが沖縄まで行って、水族館に行かないワケはなくて、もちろん行ってきた。

そんな美ら海水族館と言えば、やはりジンベエザメだろう。
あの黒潮大水槽は、ジンベエザメのための水槽と言っても過言ではない
複数飼育や垂直摂餌を可能とし、さらには繁殖の可能性も視野に入れた35×27×10mという水槽サイズがそれを物語っている。
ジンベエザメ飼育のパイオニアだったり、飼育記録を更新中だったりと、ジンベエザメについてはやはり、どこよりも多くの実績とエピソードを持っている美ら海水族館だが、その水槽内繁殖の夢も、もしかすると夢でなくなる日が来るのかも知れない。

と言うのも、旧水族館時代から17年に渡って(飼育記録更新中)飼育されているオスのジンタに、性成熟の兆候が見られるようになってきた、というのがひとつ。
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ジンベエザメがどのくらいで性成熟するのかは知られておらず、8~9mほどという推測値がこれまでの定説だった。
ジンタは8mを超えてもその兆候が見られなかったそうだが、最近になって雄性ホルモン値が高まってきていると同時に、クラスパー(交接器)が伸びてきたのだそうだ。
ジンタが成熟したオスとして繁殖に使えるようになったなら、あと必要になるのは同じく成熟したメス。

09年にオレが初めて美ら海水族館に行った時、大水槽で泳いでいた3匹はいずれもオス。
それが2010年にその内の1匹がメスへと交換された。
そのメスのその時点での大きさは約5.8m。それでもその他の水族館で展示されているものよりも大きかったのだけど、あとの2匹がそれよりも大きいため、随分小さく見えたものだ。

今回の美ら海行きは8ヶ月ぶりだったんだけど、大水槽を見て、1匹がやけに小さくなっていることに気が付いた。
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アクリル面に近づいて、その個体を見上げると、メス。水槽内にメスが2匹になってた。
8ヶ月前にはメスは1匹しかいなかったから、昨年6月から今年の2月の間に交換されたということだ。

そこで、聞いてみた。
するとやはり、昨年11月に交換されたという答えが返ってきた。No.32という個体だそうだ。
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No.32という新入りちゃん。

以前いたオスは大きくなり、ジンタとぶつかったりするようになったことも、個体交換の理由になっていたとか。
新しく搬入されたメス個体はまだ小さい(恐らく6m未満?)ので、繁殖に使えるようになるまでには、まだまだ数年単位の時間がかかるだろうけど、個体構成がオス1、メス2になったことで、より繁殖の可能性が高まったと言えるはずだ。
ジンベエザメは年間30~40㎝ほど成長するそうだが、2010年に搬入されたメスも今年で7m近くまで成長するはず。あと5年ほどすれば、現在のジンタほどの大きさに達するはずで、その頃には繁殖の話も現実味を帯びていることだろう。

ちなみに、妊娠中のジンベエザメはこれまで1個体のみ見つかっていて、その胎子は何と301匹もいたとのこと。
内田前館長曰く「全国の水族館に供給してやるよ、って言ってるんですよ」とのこと。
300匹もの稚魚って、どうやって出てくるんだろう?
グッピーみたいにポロポロばらまかれるみたいに出てくるのかな?
それだけ大量に生まれ出てくると、それを回収し、育成する飼育スタッフの人たちは気が狂いそうになるんだろうけど(笑)、そんな光景も含めて見てみたいなぁ、と。

普通に考えれば、ジンベエザメの繁殖なんて、夢みたいなことなんだろうけど、以前は同じく“夢みたいなこと”だったはずのマンタの繁殖を当たり前のことにしてしまった美ら海水族館だけに、ジンベエザメも現実のものになりそうな気がする。

今や日本で5カ所もの水族館で見られるようになったジンベエザメだけど、やはり美ら海水族館が究極だと思う。
余所では不可能な繁殖への取り組みだけでなく、ジンベエ専用と言うべき水槽のお陰で、とにかく見やすく、その大きさを実感しやすい。個体のサイズもぶっちぎりで大きいんだけど。
ウチのブログではジンベエザメはとりわけ人気の高い魚だけど、日本のすべてのジンベエ水槽を見てきたオレが断言するよ。
やっぱり、ジンベエザメは美ら海水族館だよ、ってね。
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こんな写真を撮れるのは美ら海水族館だけじゃないだろうか? 写っているのはいずれもジンタ。
これまた余談ですが、美ら海水族館からは何ももらってませんから!!

葛西臨海水族園の深海ラボで深海サメ話 [サメ]

2月の3連休、葛西臨海水族園では「深海ラボ」というイベントが開催されていた。
その少し前、HPで見て知ったのだけど、そこに掲載されていた写真は、大きなトレーの上に並べられたミツクリザメ、ラブカ、ギンザメの標本を手に、来場者に説明をしているような光景が写っていた。

咄嗟に「これは行かなくちゃ!!」と、本来ならばあまり近づきたくない連休の葛西臨海水族園へと向かった。
イベントの開始30分ほど前に到着したのだけど、会場前はまだひっそり。
館内をぐるりと1周して、開始5分くらい前に戻ってくると、かなりの行列が。
ウチのブログでも深海生物の話を書くと、グンとアクセス数が伸びるけれど、その注目度は相当高いらしい。

イベントは、標本やスライドなどを使った講演的なものを想像していたのだけど、実際はフロアに並べられた標本などの前に説明するスタッフ氏がいて、それぞれのコーナーごとに説明などを行うという、どことなく縁日みたいなスタイルだった。
それらの中でも特に多くの人を引きつけていたのが、オレの目的でもあったミツクリザメなどの“触れる標本”だった。
冷凍保存されていたミツクリザメやラブカ、ミドリフサアンコウやメンダコなどの標本に触れることができるコーナーだ。
ネコザメなどサメに触れるタッチプールは今日珍しくはないが、ミツクリザメやラブカとなると話は別だ。
標本はアルコール固定などがなされていない“生”の状態なので、その臭いまで感じられてしまうという、かなりプレミアム? 体験だった。
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オレは標本にこそ手を触れなかったけれど、目的だった? ミツクリザメの話を少しだけだったけど聞いてくることができた。
触れる標本として出されていたものは、先月に捕獲され、生きて水族園に搬入されたものなのだとか。
しかし、搬入時の状態が悪く、展示には至らなかったとのこと。
久しぶりに葛西でミツクリザメに会えたかと思うと残念だが、仕方がない。

網にかかるタイミングも重要で、かかってからすぐに引き上げられると生きて揚がる可能性が高まるという。
もちろん、そこからの移動、運搬は慎重に行われるが、やはり急減圧の影響は大きいようで、船上に揚げたばかりの時は元気でも、徐々に弱ってきてしまうのだという。
状態が落ちてくると、葛西臨海水族園が誇る圧力水槽へと収容されるが、やはり船に揚げるまでに急減圧してしまって(状態を落として)いるので、そこから加圧しても復活しないそうだ。
しかし、葛西臨海水族園では、ミツクリザメを最長14日間生存させているが、その記録もその圧力水槽でのものだ。ちなみに、その14日間で餌を口にすることはなかったそうだ。
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08年に葛西臨海水族園で展示された個体

深海生物が死んでしまう原因は、やはり急減圧の影響が大きい。
サメの場合、内臓に影響が出るというよりも、数日で鰭の先が壊死し始め、溶けたようになってきてしまうという。
これはミツクリザメに限ったことではなく、水族館に搬入されたその他の種類にも見られる症状だ。なお、同様の症状はサメ以外の魚にも見られるらしい。
血流が滞り、鰭の先までうまく血液が回らなくなるのだろうと推測されているが、もちろん正確な理由は分かっていない。
水圧がなくなれば、その分、血行はよくなりそうな気がしてしまうのだけど、やはり深海に適応した体は、高水圧から解放されてしまうと何かと都合が悪いのだろうね。
同じトレーの上に置かれていたミドリフサアンコウやアカグツなど、アンコウの仲間は、いかにもすぐ死んでしまいそうな感じなのに、サメよりは生きて展示できる可能性が高いとか。見た目によらないというか、深海サメはやっぱり儚い存在なのだ。

可能なら、深海で獲れた魚を時間をかけて少しずつ揚げたり、水中で圧力水槽へ収容できたりすればいいんだろうけど、何しろ人が行くことができない場所だけにそれも難しい。
そう考えると、長期飼育が実現しているハマダイとかナガタチカマスの存在って凄いんだなぁ、とあらためて思わされる。

触れる標本の中には、40㎝くらいの可愛らしい? ラブカの姿もあったけれど、やはりラブカは圧倒的に弱いらしく、水族園に搬入しても1日くらいしか保たないのだそうだ。
これまで、ラブカ搬入のニュースを聞いて駆けつけても、間に合った試しがなかったため、生命力が弱いんだろうと思っていたんだけど、やっぱりそのようだ。
昨年末、沼津港で展示された個体の生存4日という記録は、驚異的な大記録と言ってよさそう。今になってますます惜しくなってくるよ(笑)

これまでも、ミツクリザメを扱ったことがあるという水族館スタッフ氏から話を聞いたことがあったけれど、実績、飼育日数ともにトップを行くのが葛西臨海水族園である。
それだけに、とても興味深い話を聞くことができたのが何よりの収穫だった。
イベントの合間だったので、話を聞けたのはせいぜい5分ほどのごく短いものだったのだけど、これまたもっと聞いてみたくなっちゃったなぁ。

それが叶った暁には、再びこのブログで!!
次回の深海ラボの予定は? だが、今回行けなかったという人は、次回に備えてHPを要チェック!!

超激レア深海ザメ@竹島水族館 [サメ]

日付が変わって1月19日、数時間後に北海道への出発を数時間後に控えた時のことだった。
竹島水族館にオオワニザメが搬入されたという情報を目にしたのは。

オオワニザメは飼育、展示している水族館がどこにもない。
2011年の3月末頃にも竹島水族館に搬入、展示されたことがあったけれど、それ以外では油壺マリンパークに剥製があるだけという激レアサメだ。

2年前は、偶然、見ることができたけれど、今回のものはそれよりも小さく、写真で見る限りは状態も良さそう。
見に行きたい!! でも明日から北海道だし… と葛藤に揺れながら、北海道へ。
しかし、北海道にツアー中でもオオワニザメの話題が出るなど、頭の中からそれが消え去ることはなかった。
見に行きたい!! しかし、今月はヒマ(つまり売り上げが少ない)で、そんな時に新幹線に乗ってサメを見に行っていてもいいものか。そんな葛藤の中でモヤモヤしてたんだけど、相手は滅多に見られない種類ということもあり、結局、オレは蒲郡へと向かってしまった。

入館すると同時に、オオワニザメがいるはずの水槽へと向かう。
オレが行ったのは1月23日。搬入から既に丸4日が経過している。いくら状態がいいとは言え、相手はサメ、それも深海からやってきた種類である。
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いた… んだけど、倒れてる…
年末のラブカの時のことが頭をよぎるが、エラが動いてるだけその時よりはマシか!?
前日、いや、開館時にはまだ泳いでいたというが、やはり徐々に弱ってきているとのこと。
深海生物担当氏が、わざわざ網で起こしてくれたものの、またすぐに横たわってしまう。
それでも、担当氏によれば、時々泳ぐこともあるというので、それを待つことに。
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その言葉通り、その後しばらくして、一瞬だけ動き、底を離れた。
ラッキーなことに、そのタイミングを写真に収めることはできたので(いい写真とは言えないけど)、とりあえず間に合った、ことになるかな!?
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その日は、かなり長い時間を竹島水族館で過ごしたのだけど、ついぞ動かなくなってしまい、午後には水槽から引き上げられて展示が終了。ホント、ギリギリのタイミング。これはラッキーだったんだろうな。

それにしても、2年前の時といい、なかなかオオワニザメのカッコよさを残せてない。
次の機会があるなら、その時こそ!!

サメがらみのラッキーが実はもうひとつあったのだ。
こちらは、まったく予期していなかったから、本当のラッキーだ。
オレが言った日は、土曜日ということもあってか、館内は結構な混雑ぶり。
観客がいない水槽を渡り歩きながら、写真を撮ったりしつつ見学をしていたら、深海担当のスタッフ氏が「バックヤードツアーに来ませんか?」と誘ってくれた。

そんな驚きの親切ぶりに感謝しながら、タケスイのバックヤードに初潜入。
展示水槽の綺麗さから想像できる整然としたバックヤードや、それに関連した説明等々も興味深くて、それ自体も楽しいものだった。
このツアーでは、予備水槽が置かれた別棟にも案内された。
そこには主に深海生物たちが収容されていて、さわりんプール用の交代要員や、大きすぎて展示に出せないナヌカザメなどがいた。
先ほどまで展示水槽にいたオオワニザメもそこに収容されていた。

案内してくれたスタッフ氏がそこで見せてくれたのが、このヨロイザメ(の1種?)。
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1mを超える大きさがある、なかなか立派なサイズ。
しかし、急減圧の影響か、普通に泳げなくなっていて、頭を下にした状態で沈んでしまう。
そのため、展示に出すことができず、ここ(予備槽)にいるのだとか。
体にはキズなどもなく、とても綺麗な状態だったのだけどねぇ…
見せてもらった時点では、種類などはまだ調べていないとのことで、ヨロイザメの1種と教えてもらったが、見た目の印象ではヨロイザメで間違いなさそう。
速く泳ぎそうな体つきではないものの、深海ザメらしい眼力の強い眼が印象的。
もちろん見るのは初めてだ。
この手のサメは漁獲はされていても、水族館で展示されることはほとんどなく、されたとしてもごく短命に終わってしまうことが多いはずで、やはり激レアなのである!!
オオワニザメが見られただけでも相当ラッキーなはずだけど、こんなサメまで見られて、ホント、蒲郡まで足を運んだ価値がありました!!

冬場の竹島水族館は、毎週通ったとしても、何かしらの激レア深海生物に遭遇できる。
話をサメに限定しても、ここで紹介したオオワニザメやヨロイザメ以外にも、タイワンヤモリザメやフトツノザメなんかも展示されていたらしい。(これらは見ることができなかった)
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ちなみに、ヤモリザメは展示されていた。
これも深い所で獲れる深海サメの1種であり、あまり見られない珍しい種類である。

サメに限らず、深海生物は深海域から引き上げられる際の急減圧、大幅な水温変化(今時期は表層水温の方が低いこともあり、水温が低すぎることでダメージを与えてしまうこともあるとか)などで、見た目にいい状態で揚がってきても、短命に終わってしまうことが多い。
でも、スタッフ氏の話によれは“そんなのも獲れてたの!!”みたいな種類の名前もいくつか挙がり、やはり今時期の竹島水族館からは目が離せないなぁと実感した。
1分でも早く駆けつけることが、そんな激レア生物を見るための鉄則なんだけど、蒲郡まで早く、しかもお安く行ける方法、ないものかしらん?

シーズン開幕 八景島シーパラダイスのミツクリザメ 2013 [サメ]

魚には獲れる時期、獲れない時期があり、また、美味しい時期とそうでない時期もある。
また資源保護の観点などから、海で漁獲される魚介には漁期が設定されているのが普通だ。
オレは漁業従事者ではないから、それぞれの漁期がいつなのかは知らないけれど、秋から春にかけて、深海漁が解禁になり、シーズンとなることは知っている。
つまり、水族館に水深の深い場所に棲むものがやってくる可能性が高いシーズンが開幕したということ。
また、気温や水温が低いことから、水温の低い深海からやってきた魚などが生きて水族館に届く可能性が高まる時期とも言える。

Twitterを眺めていたら、こんなつぶやきが目に入った。
“ミツクリザメが搬入されました”と。
つぶやきの主は八景島シーパラダイス。ここ最近、ミツクリザメを見られる可能性がもっとも高い水族館である。
オレがそのつぶやきを見たのが11月10日。11日いっぱいまで出張中で、12日までは行くことができない。そこまで果たして持つか。
12日の朝、開館時間と同時に電話してみると、まだ大丈夫との回答だったので、カメラを引っ提げて八景島へと向かった。
11月はどうしたワケかやけに忙しく、本当は水族館に行ってる暇はないんだけど、ミツクリザメが理由とあっちゃ仕方がないよね。(←ダメな社会人)

シーパラダイスに到着し、まっすぐミツクリザメがいる水槽へ。
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いた!! 同じ水槽で8ヶ月前に見たばかりだが、2013シーズンとしては最初の個体だ。
横須賀沖の水深400mから、刺し網で捕獲され、10日に搬入されたものだという。
八景島シーパラダイスが「これまでにないほどのいい状態」と言うだけあって、体には傷もなく、とても綺麗。オレにとっては5匹目のミツクリザメだが、過去に見てきた個体の中でも、もっとも綺麗と言っていいくらい、体の状態はよく、泳ぎにも力強さが感じられた。徐々に弱りつつあることも見てとれたが、それでもシーパラの言う「過去最高の状態」は大袈裟ではないと思う。
オレが行った月曜日には、時々横になってしまったり、水面付近で立ち泳ぎをするようなこともあったが、土日の時点では水槽の中層付近を泳ぎ回っていたそうだ。

それより何より驚きだったのが、色の濃さ。
オレの知ってる、と言うか、水族館で展示されるミツクリザメはいずれも白っぽい色をしていたのだけど、今回の個体はかなり色が濃く、灰色に近い。
状態のいいミツクリザメは、こういう色をしているものなのかも知れない。

また、面白いのは、ミツクリザメを水槽に入れると、すぐにタカアシガニが襲いかかったそうだ。それも、捕食しようとしての行動だったようだ。
よほど美味しそうな匂いがしていたのか、自然下で食べているものなのか? 同居しているその他の魚にはそのようなことはしないという。
ミツクリザメの幼魚とタカアシガニは、自然下では生息域は重なるが、もしかすると捕食者と被捕食者の間柄なのかも知れない。

個体はものすごく綺麗だったし、面白い話も聞けたのだけど、残念だったのは、水槽がものすごく暗くされていたこと。
見るだけなら何とか見えるのだけど、写真は完全にお手上げ。
仕方なくマニュアルフォーカスで挑むんだけど、老眼気味のオレの目では、あの暗さの中、ミツクリザメの小さな眼にピントを合わせることができず、チャレンジはしてみるものの、ことごとく失敗。
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というワケで、この写真は奇跡の1枚。
普段は絶対使わない超高感度、スローシャッターによる流し撮り。
マニュアルフォーカスでよくピントが合った(甘いけど)ものだと我ながら感心。

昨シーズンまでは、比較的水槽が明るく、ミツクリザメも綺麗に見えていただけに、何だか残念だなぁ、と。
もっとも、深海の雰囲気は高まった、とも言えるのだけど…

11月に最初の個体が搬入されたとなると、この先、あと何度か会えるチャンスが訪れるかも知れない。
今回見られなかった人も、次に期待していいんじゃないだろうか?

おたる水族館のジンベエザメ [サメ]

仕事の合間に、インターネットに現実逃避してた時のこと。
「ジンベエザメがやってきました」と、水槽で泳ぐジンベエザメの写真が目に入った。
それがやってきたのは、何と「おたる水族館」。
オレのもっとも好きな水族館のひとつだが、ご存じの通り、北海道の水族館である。

北海道でジンベエザメ!!
熱帯域を中心に生息している、高水温を好むジンベエザメが北海道の水族館に。
それも、どこかから連れてきたものではなく、地元(余市)の定置網で獲れたものらしい。
しかもそれが事実なんだから、もうホント、ビックリなのである!!!

もちろん、北海道の水族館で展示されるのは初めてのこと。
おたる水族館は規模の大きな水族館だが、それでもジンベエザメを飼えるような大きな水槽はない。写真では、ネズミイルカが展示されていた水槽に収容されていた。どうやら、小さい個体のようだ。

行くべきか!?
ジンベエザメなんて、これまで何度も見ているし、写真だって山ほどある。
しかも、それがいるおたる水族館に行くには、飛行機に乗らなくちゃならない。
でも、自称「No.1ジンベエザメブログ」としては、行っておいた方がいいのだろうし、海に還されたり、死んじゃったりして、北海道の最初の1匹を見逃してしまったら、きっと後悔する。
北海道航路へも就航しているLCCのサイトで運賃を確認してみると、片道1万円はかからない模様。
これは行くしかない!! と、1年ぶりにおたる水族館へと飛んだ。

水族館前のバス停に到着し、バスを降りた瞬間、目に飛び込んできたのがこれだ。
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一瞬、何のことか分からなかった。
フリーズした思考が再び動き出した時、自分の身に降りかかった不運を認識した。
何と、オレの到着のホンの数時間前、目的のジンベエザメは水槽から取り上げられ、海へと還されてしまっていたのだ。
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数時間前までジンベエザメが泳いでいたはずの水槽は、オレが知っているネズミイルカのプールへと戻っていた。

何でも、10日経っても餌付かなかったため、個体の体力がある内に海へ還そうという判断だったらしい。
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詳細はジンベエがいたはずの水槽前に立てられた案内看板に書かれていたが、水槽サイズを考えると、どちらにしても、来夏くらいには海に還すことを考えていたのだろうと思う。
しかし、餌を受け付けなかったことから、まだ水温が高い今時期にリリースすることを決めたそうだ。
単に還す時期が早まっただけの話ではあるのだけど、東京から行った身からすれば、しかも、オレの到着数時間前までそこにいたことを思うと、やはりガッカリしたというのが正直なところ。

HPによれば、3mほどの個体だったようだが、だとするなら、オレがこれまで見てきたジンベエザメの中では、もっとも小さい個体だったことになる。
でもまぁ、それよりも“北海道ファースト個体を見逃した”という事実の方が残念だけど…

聞いた話も少し。
南の海の住人であるジンベエザメが北海道に現れた、なんて聞くと、地球温暖化の影響で、なんて短絡的に考えがちだが、真夏には時々見られることもあるらしい。
今年は昨年より水温が高い影響もあるかも知れないが、のとじま水族館で展示されていることからも分かるように、ジンベエザメの回遊ルートには日本海を北上するというコースもなくはないようだ。
ただし、北海道の周辺までやってくるものに関しては、それが死滅回遊的な迷魚なのか、北海道をぐるっと1周しているという弱い海流にそのまま乗って、知床を回って太平洋側を南下しているのかは定かではないそうだ。
時間があれば、放流した個体にロガーを装着して、遊泳ルートを調査できれば理想的だったのかも知れないけれど、今回の放流が決定したのは26日の夜だったそうなので、何かを準備する時間はまったくなかったんだろうと思う。

北海道にジンベエザメが現れるのが珍しくないなら、今後の再展示の可能性… と考えてしまうが、その可能性は低いと思う。
50年以上の歴史のある水族館で、ジンベエザメの展示は今回が初めて。
この先、リニューアルなどで巨大な水槽が作られでもしない限りは、なかなか難しいのではないだろうか?

北海道の人がジンベエザメを見るためには、日本の5カ所のどこへ行くにしても飛行機に乗らなくてはならないから、見られるようになったことはいいことだ!! と思っていたんだけど、まぁ、仕方がないよね。

オレにとっても幻と消えた、北海道のジンベエザメでした。
ちなみに、おたる水族館で展示されたジンベエザメの写真は
http://sensuibaka.exblog.jp/18468049/
↑で、どうぞ。

あわしまマリンパークのジンベエザメ [サメ]

2年ぶりにあわしまマリンパークに行ってきた。
というのも、ジンベエザメが搬入され、その展示が始められたからだ。
個人的にジンベエザメは珍しい魚ではないし、その写真だって沢山あるんだけど、やはりそこは見に行っておかなくちゃ!! ということで行ってきました。
このブログでもっとも人気の高い生き物だしね。

8月28日に急遽搬入され、それ以降から展示され始めたものらしい。
だが、海を仕切った生け簀に入っていることから想像できるように、水温が高い今時期だけの期間限定展示。何でも、9月1ヶ月だけの限定(予定)なのだとか。
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3.9mと比較的小さな個体で、ツルちゃんという名前も付いてるらしい。
ちなみに、淡島だけでなく、夏場は伊豆周辺にもジンベエザメがやってくるらしく、見られることがあるのだそうだ。つまり、今回展示されているものは、そんな1匹。周辺海域で捕獲されたものらしい。
展示しているあわしまマリンパークは預かっている(場所を提供している)だけのようで、この個体が今後、どこに行くのかは水族館スタッフ氏も知らないそうだ。

期間限定ながら、国内6カ所目のジンベエザメ水族館となったあわしまマリンパーク。
先にも書いたように、それがいるのは海を仕切った生け簀の中。ということで上からしか見られない。
しかし、そこは本物の海である。ジンベエザメの周辺には、その辺に生息している魚たちが群れていて、何だか本当に自然の中にいるものを眺めているようで、同じように上から見られる八景島と比べても、かなり印象は違って見える。

それでも流石だと思わされたのは、ジンベエザメを見に来た観客が結構いたこと。
やはりその集客力はスゴイ!! まぁ、オレもそのひとりではあったんだけど(笑)

本物の海ならではのリアル感がある反面、風、波、海の濁りなど、様々な自然現象が見えやすさに大きく影響するのもここならでは。
幸い、オレが行った日は、スタッフ氏をして「最近じゃ一番の透明度」というほどで、とても綺麗に見えた。写真で見る限りは、沖縄かどこかで撮ったと言っても通用しそうなくらいだ。
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ただし、それも午前中から午後の早い時間だけ。
14時を過ぎると、徐々に潮位が高まってくるのか、波が立ち始め、そうするとその中を泳ぐジンベエザメの姿はとても見にくくなる。
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波立ってくるとこんな感じ。
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波もあり、日の向きが変わり、日陰になる夕方はこんな感じに見にくくなった。

また、天気も重要だ。
雨でも見えないことはないけれど、天気のいい日なら水中もくっきり見えるので、より綺麗に見えることは間違いない。
沖縄美ら海水族館の水槽も太陽光が降り注ぐが、ダイレクトではないし、水槽上のルーバーで適度に減衰されているから、あわしまのこの個体は、直射日光下で見られる唯一の個体なのだ。
というワケでオススメは、天気のいい日の午前中。それがこのジンベエザメをもっとも綺麗に見るための条件だ。

静岡県では現在唯一の展示個体であるのはもちろん、関東周辺や静岡の人からすれば、八景島以外の選択肢があるということでもある。
そんな機会はそうそうあるものではないはずだし、そもそも、この個体にあわしまで会えるのもあと2週間くらいしかない。見に行っておく価値はあるんじゃないかな!?

沖縄美ら海水族館 危険ザメの話 [サメ]

もう2ヶ月も前の話になるんだけど、今年も沖縄に行ってきた。
目的は例によって、“出産の立ち会い”だったんだけど、結果から言えば、今年もダメだった。3年連続の無駄足。過去最低の出費で行けてるとは言え、それでも数万円はかかっているワケで、それを思うと流石にイヤになってくる。
目的を達せなかったという落胆を差し引けば、沖縄美ら海水族館はやはりスゴイ水族館だ。
大水槽の圧倒的水量もさることながら、それ以上に“ここにしかない”が沢山あるからだ。
そんな美ら海水族館でしか見られないもののひとつが、危険ザメの海という大水槽の隣にある水槽にいるイタチザメだ。
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以前は海遊館や、油壺マリンパークにもいたが、今はここだけ。
昨年までは3mくらいある大きな個体が1匹いただけだったのだけど、今年はそれに代わって、1m前後の小さな個体が3匹になっていた。
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以前いた大きな個体は死んでしまったらしい。
「凶悪」なんて枕詞で紹介されることの多い種類だが、その飼育はきわめて困難らしく、それ故に水族館で見掛けることはほとんどない。
肌も弱いらしく、以前いた個体は壁にこすったヒレの先などに瘤ができてしまっていたが、同じ環境(水槽)で飼育しているオオメジロザメは、35年生きているばかりか、同じように擦っても瘤はほとんどできないらしい。
どちらの種類も人にとって危険とされている種類だが、同じような危険ザメでも飼ってみると両者の印象はずいぶん異なるようだ。

水槽を泳ぐ姿には、凶悪な人食いザメという印象は欠片もない。
それどころか、ほとんど餌を食べないので心配になってしまうくらいだ。
美ら海水族館のサメ水槽では、毎日、ぶつ切りにされた魚が投入される。
色めきだったサメたちが歯を剥き出しにして切り身に… とはならず、目の前に落ちてきても無視。餌に飛びつくのはシノノメサカタザメと、昨年はいなかったオグロオトメエイだけ。
大量の切り身が投入されるので、2匹のエイが思い切り食べても水槽の底にはまだまだたっぷり転がっている。しかし、サメたちは見向きもしない。
スタッフ氏に聞いてみると、いつもこんなものなのだそうだ。
サメは食いだめをするそうで、気が向いた時に気が向いた量を食べると、しばらくは何も食べないらしい。だが、いつ気が向くか分からないので、給餌は毎日行われるとか。
まったくがっつき感を見せないサメたちの中で、唯一、イタチザメだけが餌を食べるところを見せてくれた。それも2日連続で。
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他のサメたちがまったく口にしないからそう見えたのか、比較的よく食べていたように見えた。まだ小さい分、成長期なのだろうか!?

イタチザメが餌を食べているのを見たと、話を聞いたスタッフ氏に言ったら、「それはラッキーですよ!!」とのこと。
美ら海水族館に行って、危険ザメの水槽でサメが餌を食べているのを目撃できたら、ラッキーなのだそうですよ。

サメはクセ(臭い)の強いものが好みなようで、ウツボだと食べることが多いらしい。
何年か前、水槽にウツボの切り身が投入されてるのを見て、ウツボなんてあげるんだ!! と驚いた記憶があるが、サメたちにはかなりご馳走なのだそうだ。
あまり手に入らないので、ありつく機会は少ないらしいが、TVの撮影などで捕食シーンがどうしても必要な場合は、ウツボが使われることが多いとか。
そのウツボ以上に、サメたちの食欲を刺激するものがもうひとつある。
それはサメ。しかも切り身ではなく、水槽内で産まれた仔。
産み落とされたサメは、待機したスタッフによって掬い出されるが、産まれたばかりとはいえ、相手は素早く泳げるサメである。あの広い水槽で逃げまどう小さなサメを、網で掬うのはかなり困難。そうしている内に、大きなサメに食べられてしまうらしい。
数匹から十数匹生まれてくる仔サメを、すべて掬い出すことはできないそうで、必ず何匹かは食べられてしまうのだとか。
どうやら、生まれたてのサメは、サメにとっては何よりも魅力的な餌となるようだ。

水槽生まれのサメと言えば、何年か前、予備水槽で泳いでいた水槽生まれのオオメジロザメが水槽デビューを果たしていた。
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死んでしまったのか、母親個体はいなくなっていたが、父親個体は相変わらず健在。
オオメジロザメの寿命は20~25年ほどと推定されているにも関わらず、35年も飼われているもの。
その個体も飼育年数から想像するほど、老成した感じもしないし、まだまだ綺麗なのだけど、若い個体の綺麗さはやはりその上を行く。
まだ小さくて1m程度の大きさなのだけど、それより小さい頃を見ているので、大きくなったねぇ、みたいな気分になる。
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4年前の写真。この時は産まれて日が浅い頃。
この若いオオメジロの成長も、この先、美ら海水族館に行った時の楽しみになった。

余談ながら、今回、このブログで書いた話のほとんどは、解説員の人に聞いたもの。
美ら海水族館には飼育スタッフとは別に、解説員というお客への解説をメインの業務にしているスタッフがいる。ちなみに、どちらも背中に白地で“STUFF”と書かれているが、水色のシャツを着ているのが解説員の人だ。

この解説員の人がスゴイのだ。
余所の水族館にも、この解説員に近い役割の人がいる園館もあるが、そういう人に質問を投げかけても、満足な答えが得られないことが多く、話を聞く場合は、専ら飼育スタッフ氏にお願いしてた。
しかし、美ら海水族館は飼育スタッフ氏が表に出てくることが少なく、話を聞けるチャンスが少ない。そこで仕方なく、その解説員の人に聞いてみると、想像した以上にちゃんとした答えが返ってきた。
解説員の人は、若い女性であることが多いので、魚のことなんか聞いても知らないだろうなぁ、なんて思っていたんだけど、とんでもなかった。
その仕事についても聞いてみたんだけど、美ら海水族館にいる魚や生き物については、どんな質問をされても答えられるように努力しています、とのこと。
水槽前解説や給餌解説なども行っているが、そうでない時間もフロアにいることが多いので、聞いてみたことは是非、聞いてみるといい。
必ずや、満足できる答えを返してくれるはずだ。
スタッフ氏の能力の高さにも驚かされた、今回の美ら海遠征でした。