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葛西臨海水族園の深海ラボで深海サメ話 [サメ]

2月の3連休、葛西臨海水族園では「深海ラボ」というイベントが開催されていた。
その少し前、HPで見て知ったのだけど、そこに掲載されていた写真は、大きなトレーの上に並べられたミツクリザメ、ラブカ、ギンザメの標本を手に、来場者に説明をしているような光景が写っていた。

咄嗟に「これは行かなくちゃ!!」と、本来ならばあまり近づきたくない連休の葛西臨海水族園へと向かった。
イベントの開始30分ほど前に到着したのだけど、会場前はまだひっそり。
館内をぐるりと1周して、開始5分くらい前に戻ってくると、かなりの行列が。
ウチのブログでも深海生物の話を書くと、グンとアクセス数が伸びるけれど、その注目度は相当高いらしい。

イベントは、標本やスライドなどを使った講演的なものを想像していたのだけど、実際はフロアに並べられた標本などの前に説明するスタッフ氏がいて、それぞれのコーナーごとに説明などを行うという、どことなく縁日みたいなスタイルだった。
それらの中でも特に多くの人を引きつけていたのが、オレの目的でもあったミツクリザメなどの“触れる標本”だった。
冷凍保存されていたミツクリザメやラブカ、ミドリフサアンコウやメンダコなどの標本に触れることができるコーナーだ。
ネコザメなどサメに触れるタッチプールは今日珍しくはないが、ミツクリザメやラブカとなると話は別だ。
標本はアルコール固定などがなされていない“生”の状態なので、その臭いまで感じられてしまうという、かなりプレミアム? 体験だった。
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オレは標本にこそ手を触れなかったけれど、目的だった? ミツクリザメの話を少しだけだったけど聞いてくることができた。
触れる標本として出されていたものは、先月に捕獲され、生きて水族園に搬入されたものなのだとか。
しかし、搬入時の状態が悪く、展示には至らなかったとのこと。
久しぶりに葛西でミツクリザメに会えたかと思うと残念だが、仕方がない。

網にかかるタイミングも重要で、かかってからすぐに引き上げられると生きて揚がる可能性が高まるという。
もちろん、そこからの移動、運搬は慎重に行われるが、やはり急減圧の影響は大きいようで、船上に揚げたばかりの時は元気でも、徐々に弱ってきてしまうのだという。
状態が落ちてくると、葛西臨海水族園が誇る圧力水槽へと収容されるが、やはり船に揚げるまでに急減圧してしまって(状態を落として)いるので、そこから加圧しても復活しないそうだ。
しかし、葛西臨海水族園では、ミツクリザメを最長14日間生存させているが、その記録もその圧力水槽でのものだ。ちなみに、その14日間で餌を口にすることはなかったそうだ。
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08年に葛西臨海水族園で展示された個体

深海生物が死んでしまう原因は、やはり急減圧の影響が大きい。
サメの場合、内臓に影響が出るというよりも、数日で鰭の先が壊死し始め、溶けたようになってきてしまうという。
これはミツクリザメに限ったことではなく、水族館に搬入されたその他の種類にも見られる症状だ。なお、同様の症状はサメ以外の魚にも見られるらしい。
血流が滞り、鰭の先までうまく血液が回らなくなるのだろうと推測されているが、もちろん正確な理由は分かっていない。
水圧がなくなれば、その分、血行はよくなりそうな気がしてしまうのだけど、やはり深海に適応した体は、高水圧から解放されてしまうと何かと都合が悪いのだろうね。
同じトレーの上に置かれていたミドリフサアンコウやアカグツなど、アンコウの仲間は、いかにもすぐ死んでしまいそうな感じなのに、サメよりは生きて展示できる可能性が高いとか。見た目によらないというか、深海サメはやっぱり儚い存在なのだ。

可能なら、深海で獲れた魚を時間をかけて少しずつ揚げたり、水中で圧力水槽へ収容できたりすればいいんだろうけど、何しろ人が行くことができない場所だけにそれも難しい。
そう考えると、長期飼育が実現しているハマダイとかナガタチカマスの存在って凄いんだなぁ、とあらためて思わされる。

触れる標本の中には、40㎝くらいの可愛らしい? ラブカの姿もあったけれど、やはりラブカは圧倒的に弱いらしく、水族園に搬入しても1日くらいしか保たないのだそうだ。
これまで、ラブカ搬入のニュースを聞いて駆けつけても、間に合った試しがなかったため、生命力が弱いんだろうと思っていたんだけど、やっぱりそのようだ。
昨年末、沼津港で展示された個体の生存4日という記録は、驚異的な大記録と言ってよさそう。今になってますます惜しくなってくるよ(笑)

これまでも、ミツクリザメを扱ったことがあるという水族館スタッフ氏から話を聞いたことがあったけれど、実績、飼育日数ともにトップを行くのが葛西臨海水族園である。
それだけに、とても興味深い話を聞くことができたのが何よりの収穫だった。
イベントの合間だったので、話を聞けたのはせいぜい5分ほどのごく短いものだったのだけど、これまたもっと聞いてみたくなっちゃったなぁ。

それが叶った暁には、再びこのブログで!!
次回の深海ラボの予定は? だが、今回行けなかったという人は、次回に備えてHPを要チェック!!
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