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八景島シーパラダイスのジンベエザメ [サメ]

夏休み期間中ということもあってか、毎日沢山の人たちに見てもらっている当ブログ。
季節柄、ネット検索で我が「ミストラルの水族館ブログ」に辿り着く人も多いようなのだけど、その検索結果で特に多いのが「八景島シーパラダイスのジンベエザメ」。
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そのため、もう2年も前に書いたものにも関わらず、今でも毎日、沢山のアクセスがある。東京周辺ではTVでCMも流れているし、京浜急行に乗れば駅や車内にジンベエザメのポスターが貼られているから、それで興味を持ったという人も多いのかも知れない。

自慢じゃないけれど、ウチのブログでは、八景島以外にも国内で見られるすべてのジンベエザメと、その展示施設を紹介してきた。
しかし、世の中の人(ウチのブログを見に来てくれる人)の関心は、専ら八景島にいるものにあるようだ。ジンベエザメといえば、沖縄美ら海水族館、みたいなイメージが浸透しているのかと思ってたんだれど、必ずしもそうでもないらしい。

ただ、上記のポスターを見る度に気になってしまうのが、眼にピントがないこと。
生き物の写真は、眼にピントを合わせるのが基本中の基本であるからして、本来、あの写真はあり得ないんだけど、多分、口を開けているのがあれしかなかったからなんだろうね。
観客は絶対に真似のできない水中撮影された写真なのに、もったいないなぁ、と。
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というワケで、当ブログ読者の皆さんがもっとも気になる八景島のジンベエザメ、久しぶりに掲載します!! 夏休みだしね(笑)
7月5日に行ってきたので、写真はその時のもの。つまり、ウチのブログでは最新の八景島のジンベエザメ写真だ。
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飼われているのがショープールなので、やはりその他のジンベエ水族館と比べると、見やすくはないのだけど、東京や神奈川など関東に住んでいる人にとっては、もっとも身近で簡単に見に行けるスポットであることは間違いのない事実。
また、常時ではないものの、イルカと混泳しているのが見られるのもここならでは。
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当たり前の話だけれど、2年前にやってきた時より、体も大きくなっているし、1Fの観覧スペースは観覧窓が少し大きくされていたり、パネルでいろいろな解説がなされたジンベエコーナーが設けられているなど、それを楽しむためのスペースとしても進化している。

見に行きたくなった?

海遊館の激レア板鰓類 [サメ]

今回の関西遠征の目的は、もちろん京都水族館に行くこともあったのだけど、オレ的な本命は実は海遊館だったのだ。
これまで見たことがない、見てみたい魚がいたからだ。
最後に海遊館に行ってから3年くらいが経っているから、久しぶりに見に行きたいのもあるし、シノノメサカタザメやイタチザメなど、写真を撮り直したいものもいたから、姫路市立水族館を出たその足で、まっすぐ大阪へ。海遊館にハシゴした。

オレの目的は、今回のブログのタイトルを見れば分かる通り板鰓類。即ち、サメ、エイである。
海遊館にはそれらが比較的多く、また、そこでしか見られないものも少なくないので、時々、行きたくなるのだ。
入館し、エスカレーターで上まで行く間にカメラを準備。上階へと辿り着いたら、どこの水槽にも目もくれず、目的のチリの岩礁地帯水槽へ直行。
件の水槽はイワシが回遊してる所だが、目的はもちろんイワシじゃない。その中に1匹で泳いでいるエビスザメが見てみたかったのだ。
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サメは古い時代に出現し、その頃から大きく形を変えていない“古代魚”だが、そんなサメ類の中でも、特に古い形質を持った種類のひとつがこのエビスザメ。
丸い頭で笑ったような顔つきに見えるので、エビスの名前が付けられているそうだが、実際はそんな顔つきから想像するような穏やかな種類ではないらしい。
顔つきも特徴的だが、最大の特徴は体の後ろの方に1基しかない背ビレと、鰓孔が7対あること。
水族館では稀種で、アクアワールド大洗やマリンワールド海の中道で展示されていたことはあるようだが、オレが行った時にいたことはなかった。
というワケで、海遊館のこの個体がオレの初めて。またまた海遊館で初めてをもらってしまった。
この個体は搬入以降、かなりの長期間の飼育に成功しているが、やはり海遊館ならではの水槽の大きさが効いているのだろうか?
とは言え、その状態は絶好調… とは言えないようで、顔周辺を中心にぶつけてできたキズが目立ち、少々(かなり)痛々しい姿になっていた。
もちろん、すぐに死んでしまうということではないと思うけれど、見たいという人は急いだ方がいいかも知れない。


激レアなエビスザメを見られればそれでいい!!
そう思って出掛けた海遊館だったのだけど、まったく期待していなかった激レア種に遭遇。
それが入り口入ってすぐのトンネル水槽にいたウチワシュモクザメ。
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前に来た時にはいなかったよな~!?

このサメ、オレが知る限りではアクアワールド大洗に1匹いるだけで、他では見たことがない。
メキシコ湾、カリブ海~大西洋沿岸を中心に分布しているため、日本では手に入りにくい種類であることに加え、このサメを扱っている業者(人)が1人しかいないとかで、その入手はかなり困難らしい、という話を聞いた記憶がある。
いるだけでも驚きの、そんな激レアなシュモクザメが、あの水槽に数匹。5匹くらいいたかな? もうホント、ビックリ以外の何物でもないよね。
加えて驚きなのが、その存在を示すネームプレートの類が何もないこと。
こんなに珍しいサメが泳いでいるというのに、案内のひとつもないのは何だかもったいないことのような気が。まぁ、大きなお世話ですがね。

というワケで、トンネル水槽のシュモクザメ、激レアです!!


他の水族館で見かけない種類と言えば、大水槽のマンタ側にいるヤジリエイもそう。
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尖った鼻先が反り返ったようなエイだが、反り返っているのは本来の姿ではなく、ここの個体だけ。恐らく、どこかにぶつけたか何かで、変形してしまったものなんだと思う。

このヤジリエイ、のとじま水族館のジンベエザメ水槽で見た以外、他では見たことがない。
茶色いアカエイ科アカエイ属のエイで、色や基本的な形はいかにもそれらしい形をしているのだけど、体盤先端が細長く尖っているのが大きな特徴。
のとじま水族館で初めて見た時、見たことがあるようなないようなこの形に、知ってるエイを必死に思い浮かべていたんだけど、どれも当てはまらず、帰って調べてみたらこの種類だった。
その後、海遊館にもいることを知り、是非、会いたいと思っていた1匹だったのだ。
鼻先が反ってしまっているという意味では、完品とは言えないけれど、滅多に見られない種類だし、体も大きいので、これはこれで一見の価値があると思う。


目的のエビスザメやヤジリエイ、予定外のウチワシュモクザメを写真に収めた後は、イタチザメやシノノメサカタザメの写真を撮ろうと考えていたのだけど…
どちらもその姿を見つけることはできず、どうやら、もういない様子。
シノノメはともかく、海遊館のイタチザメは、その条件で検索し、このブログに来てくれる人も多いものだけに、綺麗な写真を撮っておきたかったなぁ、と。
でも、やはりここにしかいないイトマキエイは健在。
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思っていたより大きくなっていなかったけれど、大好きな魚が元気に泳いでいてくれるのはやはり嬉しい。
満足できる写真もあるんだけど、これまたコイツの写真ばかり山ほど撮ってしまったよ。
いつも思う。どんだけイトマキ好きなんだって(笑)
全国のイトマキファンの皆さん、5月末の話ですが、元気に泳いでましたよ!!


イタチザメはいなくなっていたけど、大水槽で存在感を増していたのがアカシュモクザメ。
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こんな大きい個体、見たことない!! と驚いたほど大きくなっていた。

アカシュモクザメ自体は特別珍しいものではなく、あちこちの水族館で見ることができるが、大きな個体というのは意外と見られないものだ。
オレの知る限りでは、葛西臨海水族園にいるものがかなり大きいが、それ以外で見られるものは大抵、2m以下。
アカシュモクザメは飼育すること自体は難しくないそうだが、それを大きくさせるには水槽の大きさが関係しているようで、1.5mを超えさせるのはかなり難しいらしい。
しかし、そこは海遊館である。ジンベエザメすら飼える超巨大水槽は、シュモクザメにも十分な広さのようで、1.5mはおろか、2mも軽く超えたサイズへの成長を可能としている。
今でも“デカッ!!”と、その大きさに驚けるが、この先どこまで大きくなるのだろうか?
もう少し大きくなって3mを超えたりすれば、それこそジンベエザメ以上に驚ける存在になるのだけど。

とは言え、2.5mはありそうな今の大きさでも十分スゴイことは間違いない!!
滅多に見られないという点では、これも激レア板鰓類ということになりそうだ。

いずれのサメ、エイたちも、今は元気に暮らしていたけど、そもそも飼育が難しい魚たちであるからして、気になる人は早めに見に行っておくことをオススメする!!
写真を綺麗に撮り直そうと出掛けた海遊館だったのだけど、レンズの調子が悪く、海遊館はもちろん、関西遠征の時の写真はことごとくガッカリなものばかり。
もう1度撮り直したいのだけど、次に行く時まで、元気でいてくれるといいのだけど。

アクアワールド大洗といったら「サメ」でしょ!! [サメ]

かすみがうら市水族館を出た後、クルマを走らせたのはアクアワールド大洗。
1時間ほどで行ける距離なので、ハシゴも可能なのだ。
かすみがうら市水族館で考えていたよりも長い時間を過ごした(笑)ことと、途中、道路工事に何度か遭遇したことで、大洗に到着したのは14時を過ぎていたけれど…

ところで、最近のアクアワールド大洗は“カピバラ推し”のようだ。
湯に浸かるカピバラがポスターなどにも使われており、駅など人目に付きやすい場所に貼り出されているから、見かける機会もある。でも、オレとしては“ちょっと待ってよ!!”と強く言いたい。
水族館の宣伝ポスターに載るということは、即ち、その水族館の顔ということである。
アクアワールド大洗の顔となるべき動物が、カピバラなんかでいいのだろうか?
もちろん、カピバラがいることを否定するものはないけれど、カピバラは今や大洗に行くまでもなくあちこちで見ることができるもの。
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それに引き替え、世界屈指のサメ・コレクションはアクアワールド大洗にしかないものだ。
やはり、大洗の顔として推すべきは、その世界一のサメ・コレクションじゃないかと思うし、どこよりもサメで勝負して欲しい!! と思う。
もっとも、比較的新しく入ったカピバラを紹介するためのポスターだったのなら、ただの“余計な心配”なんだけどね。

思いの丈を吐露したついでに? オレの希望をもうひとつ。
可能なら、サメ水槽1、2の2つの水槽を、もう少し明るくして欲しい。
写真が撮れる、撮れないではなく、せっかくのサメが綺麗に見えないように思うからだ。
それだけでも、あの水槽を眺める観客の満足度は、より高められるんじゃないかな?

とは言え、実際に行って水槽の前に立てば、やはり魅力的なサメたちに魅了される。
以前は、サメ水槽1、2の2つの水槽に釘付けになったものだが、今回は出会いの海の大水槽に釘付けだった。
以前はいなかったシノノメサカタザメの存在も大きいが、やはりメジロザメ類の圧倒的な美しさを前にすると、ついつい水槽の前から離れられなくなってしまうのだ。
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シノノメサカタザメは驚くほど巨大化してて、ものすごくカッコよくなってた。
前からいた個体(以前、サメ水槽2にいたもの)と同じ? と思ってしまうくらいに。

メジロザメ類は、サメ水槽1、2にもいるけれど、出会いの海の大水槽はそれらの水槽よりも明るく、水もクリアに見える。光に照らし出されたイワシやサバの群れをバックに泳ぐメジロザメっていうのは、もうホント、ため息ものの美しさ。
生きててよかった!! と思わせてくれる。ここはオレだけかも知れないけどね(笑)

何匹かいるメジロザメは、それぞれ色や形が違っていて、何種類かいることは分かるのだけど、詳細な種類までは分からない。給餌解説の時の説明によれば、クロヘリメジロとハナザメはいる模様。
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ハナザメ(C.brevipinna)
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クロヘリメジロ(C.brachyurus)

いずれも水槽の上の方を泳いでいるので、写真に収めるのは困難だが、狙い目は給餌の時間。それでもハナザメはあまり下の方まで来てくれないが、クロヘリメジロとシノノメサカタザメは下の方までやってくるので、カッコいい写真を撮ることができる。

外見で判別が困難と言われるメジロザメ類を、ちゃんと分かるようになりたくて、メジロザメ属全種を紹介した専門書を入手したのだけど、それによると、鼻孔の形、歯の形状、並び方、鱗の形などが種分類の決め手になっているらしく、どちらかというと外見は参考程度な感じ。ダメじゃーん!!
とは言うものの、アクアスで撮ったドタブカの写真と並べながら、前出の専門書の図版と照らし合わせながら見てみると、それぞれちゃんと違っていて、なるほど~!! と思わされる。
そこで思ったのは、水族館に搬入されたこうしたメジロザメ類は、どうやって種同定をしているのだろう、ってこと。
ヤジブカとかツマグロとか、見た目だけで分かるような種類はともかく、クロヘリメジロやハナザメ、ドタブカ、ホコサキ等々、同じような色、形をした種類は多く、生きている状態では確認できる部分も限られていると思うのだけど… 今度、行った際には是非、聞いてこよう。

メジロザメの専門書を買ったばかりだったことが幸いし、サメを眺めるのがいつも以上に楽しかったワケなんだけど、サメの企画展が開催されていたのも個人的にはタイムリーだった。飼育されているシロワニなどについてのパネル展示のほか、展示されていないものは剥製が数多く展示されていたりと、生きた姿に思いを馳せることができた。
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そういえば、数年前、生きたヨシキリザメが搬入されたことがあったんだよなぁ。大洗に行こうと駅に向かう途中、電話してみたら「展示を終了しました…」なんてことがあったことを思い出してみたり。
ヨシキリザメ、見てみたいなぁ。

やっぱり、アクアワールド大洗はサメの水族館だよね。
ということを再認識しつつ楽しんできた、という話でした。

速報!! 八景島シーパラダイスのミツクリザメ 2012 [サメ]

昨日、夕方のニュースでもやっていたそうなので、知っている人も多いかも知れないが、2/3、八景島シーパラダイスにミツクリザメが搬入された。
やはりというべきか、注目度の高いニュースなようで、Twitterでもそれにまつわるつぶやきも結構あるようだし、何より、「ミツクリザメ 八景島シーパラダイス」という検索ワードでこのブログに辿り着く人の数が、昨夜あたりから急増している。
その条件で検索すると、ヒットするのは昨年4月末に搬入された時の話。ミツクリザメNo.1ブログを自称する「ミストラルの水族館ブログ」としては、それはちょっとばかり嬉しくない状況なのだ。
というワケで、2012年のミツクリザメをお見せしたいと思う。
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オレがミツクリザメ搬入のニュースを聞いたのは、2/4の夜。
連絡をくれた友人のブログでもミツクリザメが紹介されてる。
http://t.co/kelTpYRv(友人のブログ)
翌朝、まだ大丈夫そうという情報がもたらされたため、急ぎ八景島へスクランブル。
下手すれば2時間近くかかる八景島までの道中も、電車の乗り継ぎが恐ろしいほどうまくいき、1時間少しで到着。
チケットを買い、入館するや否や、他の展示には一切目もくれず、まっすぐミツクリザメが待つ水槽へ。
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いた!! 約10ヶ月ぶりのミツクリザメ。もちろん、2012年は初めてだ。
今年も何としても見たいと思い、いろいろ準備を進めてはいたのだけど、思いの外、早く巡り会うことができた。
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刺し網で捕獲されたものだそうで、尾ビレや胸ビレの付け根部分のキズが痛々しいものの、昨年のものよりも元気がいいのか、比較的泳いでいることが多かった。
動画 http://youtu.be/YxLHA83TS4A

八景島シーパラダイスでミツクリザメに会うのは、昨年に引き続き2回目だが、今後も、再展示できるよう力を入れていくとのこと。
現在展示中の個体の長期飼育を目指すことはもちろん、深場を漁場にしている漁師の人と連携するなども行っているらしい。
つまり、今後も見られる可能性があるということ。
何せ、昨年は4月末だったことを考えても、まだチャンスはあるかも知れない。
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今回は11時頃にシーパラダイスに到着し、結局、閉館までいたんだけど、そのほとんどの時間をこの水槽の前で過ごしていたので、ミツクリザメの写真をそれこそうんざりするほど撮ることができた。
写っているだけでもラッキー!! みたいな生き物を、クオリティを追求しながら撮影できるなんて、どれだけラッキーなんだ!! と究極的な贅沢を噛みしめながら、ミツクリザメをたっぷり堪能してきた。
あらためてそれを可能にしてくれた八景島シーパラダイスと、そこにやって来てくれたミツクリザメに感謝!!
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また会えますことを…!!

2/6 23:45追記 展示中だったミツクリザメ(写真の個体)は本日、死んでしまったそうです。

アクアスの神話の海大水槽 [サメ]

今回の遠征で回る予定だった3館の中で、オレがもっとも楽しみにしていたのがこの神話の海の大水槽だった。
何故なら、大きなサメが沢山入った、サメが主役の水槽だから。
人が撮った写真を見たり、水族館のHPなどからいろいろ想像していたんだけど、実際にその水槽の前に行ってみると、規模、サメの数、大きさ等々、オレの想像を超えていた。
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トンネルがある水槽だということは知っていたのだけど、想像していたのはしながわ水族館にあるのと同じくらいのもの。でも、実際はそれよりだいぶ大きくて容量は1000t。
水槽の正面には大きな観覧面と小規模な観覧ホールがあって、トンネルはどちらかというとオマケ的。高さ(深さ)も結構あるから、正面のアクリルパネルからでも、自分の目線の上を泳ぐサメを見上げることができるのだ。

島根は数々の神話の舞台とされているが、この神話の海の水槽もその神話に因んだもの。
つまり、島根の海の展示というワケ。
サメだらけのこの水槽がどうして神話かというと、因幡の白ウサギの話を思い起こしてみて欲しい。海に並べてその上をウサギが渡ったというワニの正体はサメであるという説に基づいたサメ水槽なのである。
水槽の中にはその神話よろしく、大きなメジロザメからネコザメやドチザメなどの小さくおとなしい種類までひしめいていて、これが整列して並んだら、海も渡れちゃうかも!? みたいに思えてくるほどだ。

もちろん、オレの好きなメジロザメ類もいくつかいて、主力は大きなドタブカ。
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名前は冴えないが、メジロザメ類ならではのカッコよさのある大きなサメだ。
見られる水族館は少ないが、ここにいるものも、そう書いてあるのだからそうなんだろうけど、クロヘリメジロとどこが違うの? なんて思ってしまう。メジロザメ類はどれも似たような形、色をしているので、外見で明確な種類の判別が難しい。見慣れれば何とかなるのかも知れないけど、少なくともドタブカに関しては、見慣れられるほどあちこちで見ることはできない。
また、この水槽で典型的なメジロザメ体型のサメはドタブカとされているんだけど、ツマグロと同じくらいの大きさ(2m未満)のものは、大きなものとはちょっと体型が違っているような気がして、もしかしたら違う種類だったりするのかも!? みたいなことを思ったり。

ドタブカは2m超えの大きな個体も何匹もいたりするし、その他にもヤジブカ、ツマグロ、ネムリブカ、レモンザメ、シュモクザメなどが文字通りひしめいていて、サメ好きからすれば非常に大きな満足感が得られることは間違いない。あちこちに見たいものがあったというのに、結局、この水槽の前でもっとも長い時間を費やすことになった(笑)
でも、ドタブカの特に大きな数匹は、鼻先に大きな瘤ができてしまっていて、見た目には十分な広さがあるように見える大水槽でも、中を泳ぐサメにとっては広々、というワケでもないようだ。

カッコいいのはドタブカだけではない!!
ヤジブカのカッコよさにも惚れ惚れした。
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巨大な背ビレとグレーの体色という、特徴的な体型はどこで見てもカッコいいのだ。
ヤジブカは水底付近で泳いでいることが多いが、この水槽の底は、観覧フロアよりも少し高い位置にあるので、結果的にものすごくちょうどいい位置を泳いでくれることになる。巨大な背ビレで、小アジの群れを文字通り切り裂くように泳いでくる様は、もう鳥肌もののカッコよさ。
やはり何匹かいるのだけど、その中の1匹が脊椎に異常があるのか、ちょっと寸詰まった体型をしているものがいる。
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アロワナで言うところの強烈なスプーンヘッド。でも、まるでバイソンみたいに肩がものすごく盛り上がって見えるので、それはそれでカッコいいなぁ、と。

この水槽にはトンネルもあるんだけど、それがメインの観覧通路になっていないことと、魚の遊泳スペースをあまり邪魔しない作りになっているのもすごく好印象だ。
ただし、写真を撮るにはあまり嬉しくない作りになっている。
トンネル部分の床には、非常口の案内が取り付けられているんだけど、トンネルの内側ではどこで撮ってもそれが映り込む。
そこで思った。「こんなところにこんなもの取り付けたら、映り込むに決まってるだろ!! これを作ったヤツは頭がおかしいんじゃないか」って。
でも、普通に考えれば、水族館は写真を撮る場所ではないから、観客の安全がまず優先されるのは当たり前のこと。
オレの中には、水族館=写真を撮るところ、みたいな刷り込みがあるものだから、どうもこうしたおかしなモノの見方をしてしまうらしい(笑)
でも、その映り込みを避けながらでも、こんなカッコいい写真も撮れる。
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擬岩も何もない殺風景な水槽だが、魚自体の存在感が強いサメ水槽だけに、それもあまり気にならない。むしろ、サメの魅力が存分に伝わってくるので、好ましくすらあるくらいだ。
これまで行った各地の水族館で、とても魅力的なサメ水槽に巡り会ってきたけれど、アクアスの神話の海水槽もそんな“魅力的なサメ水槽”のひとつに加わったことは言うまでもない。
サメ好きなら是非とも見に行くべき、超オススメの大水槽だ。

まだ見ぬジンベエザメ [サメ]

昨日、8月23日、かごしま水族館に新しいジンベエザメが搬入、展示が開始されたそうだ。3.7mのオスとのこと。
今現在、日本の水族館で飼育下にある個体の中では、もっとも小さな個体だ。
オレが1月に行った際に見た個体はというと、新しくやってきた個体と入れ替わり、海上生け簀へと移動。海に帰されるトレーニングが行われるのだとか。
その個体も、ビックリするほど大きなものではなかったと思うのだけど、海に帰す(移動)なら、小さい方が何かと都合がいいのだろう。とは言っても、6m近い大きさがあったのだけど。
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海に帰された5代目ユウユウ。

公開中のジンベエザメは、すべて制覇したと思っていたのに、また見知らぬ個体がやって来てしまったよ。キリがないな(笑)

とは言え、オレが見たことがないジンベエザメが、少なくともあと1匹はいるようなのだ。
見たことない理由は簡単で、展示されていないからだ。
大阪海遊館と沖縄美ら海水族館では、展示しているもの以外に、展示水槽ではできない研究のためや、あるいは展示個体が状態を崩した際の交代要員として飼われている個体がいるのだ。

大阪海遊館が所有する非展示個体は、高知県以布利の研究センターにいるオス個体。ここにはもう1匹、メス個体が飼われていたが、こちらはつい先日、海遊館へと移動し、展示が開始された。
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海遊館に新しくやってきた個体。写真は以布利センターにいた時のもの。

それまで海遊館にいた2匹のオスは、それぞれこの研究センターを経て海に戻されたのだそうだ。海遊館もかごしま水族館同様、移動できる大きさの内に、海へ戻す飼育スタイルへと変更したのだろうか?
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海に帰った元・海遊館の飼育個体。

それはともかく、以布利センターは研究施設ということもあり、日常的な展示はなされていないが、時々公開されているようなので、見られるチャンスもある。
オレは以前の公開時に見に行ったので、現在公開されているはずのメスにもその時に会ってる。
その以布利センターには、オレが行った少し前までイトマキエイ(マンタじゃないよ)もいたそうなのだけど、残念ながらそれを見ることはできなかったことは以前のブログにも書いた通り。

一方、美ら海水族館の所有個体は、展示されているもの以外は、一般公開はされていない。大水槽の3匹以外に、現在、オス、メスを1匹ずつ飼育しているそうだが、そこにいるオス個体は、現在大水槽にいるメスと交替したものだと思われるので、だとすれば、3年前に行った時に見ている。
見たことがないのがもう1匹のメス個体だ。もちろん見てみたいとは思うのだけど、美ら海水族館のストック施設は、船に乗らなければ行けない海上の生け簀なので、海遊館の研究センターのような公開はできないのだ。
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生け簀自体は陸からも見える。

この生け簀には、大水槽生まれのマンタの仔もいたりするので、是非とも行ってみたいのだけど、行けるのは管理に携わる飼育スタッフのみで、美ら海水族館のスタッフでも行ったことがない人もいるらしい。
行ける可能性は限りなくゼロに近いんだろうけど、今後も行ってみたいとは思い続けていようと思う。何らかの機会が訪れるかも知れないしね。

そういえば、八景島にいる2匹の出身地? でもある館山の定置網に今年も2匹のジンベエザメがやってきたらしい。
まさか、八景島にあと2匹、なんてことはないだろうけど、もしかすると、またまたどこかでジンベエザメの展示が始まっちゃったり… なんてことはないよな…!?

飼育下にあるジンベエザメはすべて見る!! と決めた以上、まだ見ぬ個体たちにも会いにいくつもりではいるけれど…
永遠に終わらなさそうな気がしてきたよ。こういうのをきっと、嬉しい悲鳴と言うのだろうね(笑)

八景島シーパラダイス ジンベエザメとイルカの競演 [サメ]

昨年の10月5日、八景島シーパラダイスのショープールにジンベエザメが搬入されたことはこのブログでもレポートした通り。
それによって、八景島ご自慢のショーはイルカが登場することができない中途半端なものになってしまい、ファンをガッカリさせていた。
しかし、昨年末、2匹目のジンベエザメが搬入されたというニュースは、そんなファンをさらガッカリさせたのかも知れない。IMG_6753.jpg
とは言え、ジンベエザメは東日本では八景島シーパラダイスだけで見ることのできる展示であり、また、複数の個体による展示は今現在、八景島を除くと沖縄美ら海水族館でしか見ることができないかなりスペシャルなものなのだ。
そんな特別感も手伝ってか、ジンベエ目当ての観客も増えているらしい。
もちろん、オレにとってもジンベエザメは、フルコンプリートを目指している以上、避けては通れない重要な展示。見に行かなくちゃ!! と思い続けながらも、結局3月末になっちゃった…(汗)

新たに搬入された個体はメス。IMG_6942.jpg
八景島シーパラダイス的にはジンベエ・カップルというのが展示の売りらしい。
2011年4月現在、日本全国の水族館で展示されているジンベエザメは全部で8匹。その内メスは2匹しかおらず、八景島と沖縄美ら海水族館でしか見られない。
とは言え、雌雄で見た目が違うワケではないから、そこにスペシャル感はあまりない(笑)
新たに搬入されたメス個体は、10月搬入のオスよりも少し大きいとのことだが、2匹とも5m未満の大きさなので、見た目にはあまり変わらないように見える。

ジンベエザメがやってきた昨年10月以来、5ヶ月ぶりに見に行ったのだけど、その時と大きく違うのは、水の透明度が大幅に高められていたこと。
もう別の水槽かと思うくらい、水が透き通っていた。何か新しいろ過設備が追加されたりしたのだろうか?
いずれにしても、プールを泳ぐジンベエザメがとても綺麗に見えるようになったことは喜ばしいことだ。写真を撮るにもありがたいし。

前にも書いたように、ジンベエザメが来て以来、八景島ではイルカが登場するショーを中断していた。だが、3月からジンベエザメがいるプールにイルカを入れて、パフォーマンスを行うという新しいショープログラムを開始した。
果たして、ジンベエザメとイルカの共演なんて、どうなるんだろう? 興味津々だった。

最初はシロイルカから。
登場するのは1頭のみ。北極海のシロイルカと、暖かい海のジンベエザメがひと所にいるなんて、実に不思議な光景だと期待していたのだけど、実際はシロイルカが観客席前でパフォーマンスをしている間、ジンベエザメは奥のステージに集められ、餌が与えられる。
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※この写真は別のパート。観客席正面で餌が与えられる。
どちらも若い個体ということもあり、餌に対する反応が抜群にいい。餌を与え始めると、すぐにそこに寄っていって、気持ちいいように餌を吸い込んでいく。
つまり、シロイルカの近くへは行かないということ。
自然界では絶対に遭遇することのない2種だけに、一時的な混泳でも難しいのかも知れない。それ以前に、ジンベエザメに合わせた水温が、シロイルカには高すぎるのだろうし。
1頭しか出てこないのも、そういう事情があってのことなのかも?
登場するシロイルカは、ジンベエザメをまったく気にしていないように見えるのだけど…

お次はカマイルカとバンドウイルカが登場。やはり全頭は出てこないようだ。
最初は1頭のカマイルカがジンベエザメを追尾して、大丈夫なことをアピール。144.jpg
その後、イルカたちのジャンプパフォーマンスが披露されるのだが、イルカたちが跳び始めると、水面近くを泳いでいたジンベエザメは潜ってしまい、あまり上の方を泳がなくなる。気にしていないように見えても、案外、イヤなのだろうね。
登場しているイルカたちも、特にジンベエザメを気にしてる様子はないんだけど、ジャンプを終えて、ステージに戻ってくる際などにすれ違うと、横目で見ていたりと、何となく気にはしている様子。ちょっかいを出したりはしないけど、やはり自分より大きな相手だけに、やはり意識はしてしまうのかも知れない。
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ジンベエザメとイルカの混泳は始められたばかり。
全頭が登場しないことからも、ジンベエザメを嫌がる個体がいるのかも知れないし、慣れたら慣れたで、今度はジンベエザメに悪戯するイルカが出てくるかも知れない。もちろん、両者がうまく混泳する可能性だってあるんだけど。
それらも含めて、今後の展開に注目の八景島のショープールなのでした。
理想を言えば、島内のどこかに、ジンベエザメ館なんかが作られるのが一番いいと思うんだけどなぁ。

激(でもない!?)レアサメ第三弾!! 八景島シーパラダイスのミツクリザメ [サメ]

09年1月以来、2年4ヶ月ぶりにミツクリザメを見ることができた。
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4月29日に、三浦沖で捕獲されたものが八景島シーパラダイスに搬入されたのだ。
偶然、その日に八景島を訪れていた知人によりその情報がもたらされた。
とは言え、ゴールデンウィークの八景島である。
自慢じゃないが、オレは人混みとか渋滞が極端に苦手なのだ。それに関しては間違いなく世界スーパーヘヴィ級だし、世界で5本の指に入れる自信があるくらいだ。
そんなオレだからして、ゴールデンウィークの八景島なんて、近づくことすらイヤな場所。
だが、今年もダメだったか… と諦めていたミツクリザメが搬入されているのもまた事実。
とりあえず、電話をしてみることにした。すると…
「はい、まだ展示しております」とのこと。
もう仕方がない。行くしかない。
覚悟を決め、八景島へと向かう電車に乗った。
何でこんなに嫌々気分で水族館に行ってるんだろう? でもミツクリザメがいるし…
葛藤に揺れながら到着。八景島は思った通り、大混雑。水族館に入る前に、軽く食べてから、なんていう目論見は、入り口から人が溢れたフードコートを前に脆くも崩れ去った…
食事は諦め、素直にミツクリザメがいる水槽へと向かった。
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いた!!
先にも書いたように2年ぶりの再会。分かってはいたことだけど、かなり状態はよくないようで、排水口に吸い寄せられるようにぐったりしていた。
もちろん、それ以外に用もないから、次に動き出すまで待つ覚悟はできてる。
しかし、人の波は切れることなく次から次へと押し寄せる。しかも、ミツクリザメが入っていたのは、タカアシガニがいる水槽。
タカアシガニの名前は知らなくても、“大きなカニ”というのは小さな子供にでも分かる絶対的な記号性があり、“大きい!!”とか“おいしそう”と、老若男女を問わず人が集まってくる。つまり、水槽前には常に人だかりがあり、世界ランカーの人混み嫌いには辛く厳しい時間が続いた。

ミツクリザメは死んだようにぐったりしていたが、1時間から1時間半に1度くらい、まるで電源が入ったように動き始める。
それに合わせるかのように、人混みをかき分け、カメラを向ける。しかし、水槽が暗くて、なかなかピントが合わせられなかったり、合わせられてもぶれてしまったり。
カメラを向けると、その前を狙ったようにハシキンメやメダイたちが横切っていく。
“掬って喰っちまうぞ!!”と悪態つきながらイライラ。
結局、閉館までいたんだけど、流石に19時を過ぎると館内もひっそりと静まりかえり、サメの真下で眺めることも、好きな位置で撮影することも可能になった。だが、その反面、サメの生命力が残り少なくなっていくようで、どんどん動きがぼんやりしていく。
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サメにとっては不幸ながら、人の前に姿を晒してくれた以上、その姿態を精一杯目に、頭に、心に焼き付けることこそオレにできる唯一のこと。もちろん、大いに感謝しながらね。

今年はミツクリザメの当たり年だ。
オレの知る限りでも1月末に葛西に2匹、3月中頃にエノスイに1匹、そして今回(4月末)の1匹の4匹が水族館に搬入され、展示された。
そんな当たり年だったからこそ、こうして再び見ることができたのだけど、オレのイメージでは1月~2月前半がピーク。3月に入ると見られる可能性が低くなる、みたいに考えていたから、5月になろうかというこの時期に見られるのがものすごく意外だった。
でも、今年に限ってやけに多いというのも、ちょっと気になる。
大地震や、続く余震が深海域に何かしらの影響を与えてるのかも!? なんて考えてしまうのは、下衆の勘ぐりだろうか?
もっとも、数に関しては毎年、このくらいは捕れているのかも知れないけど、展示に出せるほどの状態のものが少ないだけ、ということかも知れない。

今年は特別としても、タイミングとちょっとした幸運にさえ恵まれれば、生きた姿を見ることができる。オレも見るのは今回で3回目。
そういう意味では、以前のブログで紹介したオオワニザメやオロシザメほどのレア度ではない。とは言え、それもミツクリザメが多く見つかる関東周辺の水族館に限っての話だが。

久しぶりに見て思ったんだけど、生きたミツクリザメは“可憐”という言葉がぴったりな生き物だ。
水族館に搬入されても1~2日、長くても3~4日程度しか生きない弱さ。生きて泳いでいる姿も、実に弱々しい。
今回搬入された個体も、体の傷が少なく、搬入直後は長期飼育が実現するかも!? と期待されるほどいい状態だったらしい。しかし、水槽へ導入後から徐々に動きが弱々しくなり、数時間後にはぐったりしてしまっていたらしい。
何が問題なのかは分からないけれど、どんなサメよりも弱いことは間違いなさそうだ。
そんな弱さに加え、独特な体色も可憐さにひと役? 買っている。
黒っぽいものが多くを占める深海ザメの中にあって、ミツクリザメの体色は異色のアイボリー。ヒラヒラと長い尾びれ、細身の体つき等々、どこからどうみても“悪鬼”には見えない優美さ。姿を晒しても、すぐに死んでしまう儚さも手伝って、まさに“可憐”なのだ。
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生きてる時は、もちろん口なんて飛び出てない

ゴブリンなんてまるで相応しくない名前をつけたヤツ、その名前で紹介したがるTVを始めとするメディア、そして口が飛び出した状態の標本や剥製を製作、展示してる施設もどうかと思う。真の姿はこんなにも儚い美しさがあるというのに。
まぁ、深海から引き上げられて、形を成せなくなったデロンデロンで血まみれの体に、不気味に飛び出た口を見れば、悪鬼にも見えるのかも知れないけど。
でも、本当はそうではないという真実は、こうして水族館で確かめることができるのだ。
搬入されたとしても、その日中、長くても翌日には死んでしまうような魚だから、その姿を見るには、情報収集と、それに対してレスポンスよく動けることが何よりも重要となる。
見てみたいけれど、まだ見たことがないという人は、来年の1月以降が勝負だ!!

暗いけれど、動いているところ
http://www.youtube.com/watch?v=9RdkyTXKIMc

激レアサメ第二弾!! 幻の深海ザメ 伊豆三津シーパラダイスのオロシザメ [サメ]

東日本大震災以降、現状や復興に関してなど、今まで以上に水族館の情報収集に努めているのだけど、そんな中で、伊豆三津シーパラダイスに珍しい深海ザメが搬入されたというニュース記事を見つけた。オロシザメという種類らしく、そのニュースには水槽を泳ぐ黒いサメの写真が掲載されていた。ものすごく小さい写真だったけど。

オロシザメ。聞いたこともない種類だった。
Oxynotus japonicusという学名が与えられていることからも想像できるように、日本近海の深海域に生息する深海ザメらしい。
情報はあまりにも少ないものの、とりあえず貴重なものであることは間違いなさそう。
これは見ておく必要があるだろう!! 

しかし、搬入されたことを知ったのは3/27。搬入は3/20とのことだったので、既に1週間が経過。もうダメだろうなぁと諦め半分で3/29に電話してみた。
すると「元気ではないですが、まだ生きています」とのこと。というワケで、急いで三津シーパラダイスに行ってきた。

三津シーパラダイスの水族館棟はリニューアルオープンしたばかり。
しかし、それらも後回しにして、まずは目的のサメが入った水槽へと直行したが、初めて見るオロシザメは、頭を下にして、まるで底砂に突き刺さるような姿勢で水流の中を力なく漂っていた。とりあえず生きてはいたが、電話の通り、いい状態ではないようだ。
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とは言え、名前も知らなかったし、写真すらも見たことがないサメだ。ひょっとするとこれが普通なのかも知れないと、餌を与えていた飼育スタッフの人に聞いてみると、搬入直後は普通の姿勢で泳いでいたらしい。
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本当はこんな感じ!?

オロシザメはざらついた肌がおろし金のようということから、オロシザメの名が付けられたらしいが、見た目には毛が生えているようで、まるで小動物のよう。深海ザメならではの大きな目も手伝って、可愛らしい感じ?
触るとザラザラしているとのことなので、マジックテープみたいな感じだろうか?
ただ、体型はいわゆるサメのそれではなく、特に腹部が顕著だが、ハコフグのように角張ったような感じに見える。ヒレも先端に向かって大きく湾曲していて、まるでバットマンが使いそうな武器みたいな雰囲気で、いわゆるサメらしい感じではない。
特に不思議に思ったのが口。
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白く丸い穴が下に向いて開いている感じの口は、とてもサメの口とは思えない。口というよりも、チューブの口みたいで、何かここから出てきそうな感じすらする。いったい、何を食べるための口なのだろうか?

不思議なサメだ。
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400種あるサメの内、多くは深海域に生息している。
その中にはミツクリザメやメガマウスみたいなスーパースターもいるが、ほとんどは黒くて小さくて目が大きい地味めなものがほとんどなのだろう。
オレが好むようなサメとはだいぶ違っているから、どんな種類がいるのかもほとんど知らないのだけど、まだまだビックリできるような種類が沢山いるんだろうね。
憧れていたワケではないので、沸き上がるような喜びはなかったんだけど、ものすごく希少なものだということは間違いない事実。偶然といってもいいくらいの運命的な出会いだったはずなのだ。
オレが見た以降に死んでしまったとのことで、今は見ることができないのが残念だが、見ることができたものすごいラッキーをちゃんと喜んでおきたいと思う。

いいもの見れて、よかった!!

激レアサメ第一弾!! 竹島水族館のオオワニザメ [サメ]

現在、その存在が知られていて、名前がある(記載されている)サメはおよそ400種類。しかし、水族館で見られる種類となるとその数はグッと少なくなり、50種類あるかないか、といったところだろう。
もちろん、その50という数字も素晴らしい飼育技術の賜物だということは分かっているけれど、写真でしか見たことがない種類というのも未だ多いのが現実だ。
例えば、フカヒレなど水産加工品の分野では一般的なヨシキリザメも、水族館では激レア種だったり、など。特にメジロザメ科、シュモクザメ科、ネズミザメ科など積極的な遊泳種にその傾向が強いようなのだが、とにかく飼育されることを受け付けてくれない。水槽という閉鎖環境の中で壁を認識できなくなるのか、まるで方向感覚を失ったようになり、あちこちに激突を繰り返すものも多い。しかし、困ったことにオレはそんなサメたちが生きて泳いでいる姿が見てみたくて仕方がない。しかも、できれば水槽の中を泳ぐ姿を。
今回、偶然、そんなチャンスに恵まれた。

リニューアルオープンを果たした竹島水族館へ行った時のことだ。
タカアシガニがいる深海の水槽の中に、水槽サイズに不釣り合いな大きなサメがいるのを見つけた。
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底に沈んでジッとしていたが、明らかに遊泳性の種類だということが分かる筋肉質で流線型の体。黒く丸い大きな眼。オオワニザメだった。
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綺麗な状態で漁獲されたということで、3月28日に運び込まれたものらしい。
大きさは1m少々、といったところだろうか!?

非常に混雑していたこともあり、話を聞くことはしなかったが、水温を下げた深海の水槽にいるということは、比較的深いところで漁獲されたものなのだろう。
余談ながら、オオワニザメは必ずしも深海性というワケではなく、水深の浅いところにも生息している。

頭が小さく、肩のあたりが力強く盛り上がった体つきは、やはりメジロザメ類とは違うネズミザメ目の種類ならではのもの、みたいに思った。
その名前から想像できるように、水族館で人気に大型種であるシロワニとも近縁にあるサメだが、水族館でのシロワニは、でっぷりと重厚感のある体つきをしているが、あれは水族館ならではのもので、本来はもっとほっそりした体型をしているのだ。竹島水族館のオオワニザメの姿は、そんな自然下のシロワニの姿をも彷彿とさせてくれる。
まさかこんな魚に巡り会えるとは思ってもいなかったから、大いに驚くと同時に、心躍った。これまでオレが見たことあるオオワニザメといえば、写真と油壺マリンパークにある標本だけ。
生きた姿なんて、一生見ることがないと思っていたから、このウルトラ級の幸運をもたらしてくれた目の前のサメ、そしてそれを見る機会を与えてくれた竹島水族館にひたすら感謝したいと思う。生きたオオワニザメなんて、大袈裟でなく最初で最後の機会かも知れないのだからね!! でも、思いもしない大物に巡り会ってしまったお陰で、新生・竹島水族館の印象が少し薄くなってしまったかも!?(笑)
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体には目立ったキズもなく、非常に綺麗な状態。
浮かんだり漂ったりすることもなく、ちゃんとお腹を下にしてジッとしていた。
生態に未知な部分の多い種類だから、こうして水底に沈んだままジッとしているのが普通なのかも知れないが、いかにも遊泳性な形をしたサメがジッとしているというのは、本来の姿とは違っているのでは…!?

ずっと見ていると、泳ぎ始めるようなこともあったが、水槽に不慣れだからか、はたまた方向感覚を失ってしまっているのか、あちこちの壁に激突を繰り返す。幸か不幸か、水槽が小さいので、激突する際の勢いが弱く、大きなキズにはならないようだが、そういう意味ではベストな状態とは言えないのかも知れない。
※今はぶつからずに泳いでいるそうです。相変わらず時々しか泳がないらしいですが。
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竹島水族館HPによると、まだ餌を受け付けていないそうで、短期間の展示になるかも、とも書かれていた。この手のサメの展示というのは、得てしてそうものなのだ。ましてや、どう扱うのが正解なのか分からない未知のサメなのだからなおさらだ。
もし、見てみたいという人は一刻も早く竹島水族館へ!! 
その生きた姿が見られるなんて、きっと人生の内に1度あるかないかの超貴重な体験になるはずだから、そのために新幹線に乗るくらい全然贅沢なことではないと思う。