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美ら海水族館 イルカのフジ [鯨類]

美ら海水族館はあらゆるメディアに取り上げられ、知名度の高さでも他の水族館を大きくリードしていると言っていい。
何しろ、飼育中のイルカが映画になってしまうくらいだからね。

その「ドルフィン・ブルー」という映画の題材にもなったイルカ、“フジ”は、動物園や水族館で飼育されている動物の中では、今やもっとも有名な個体。
知らない人はあまりいないと思うが、人工尾ビレのイルカ、と言えばピンと来る人も多いのではないだろうか?
尾ビレを失って、人工尾ビレができるまでのエピソードは、映画にもなっていることだし、“イルカのフジ”“ドルフィン・ブルー”“人工尾ビレのイルカ”などでネット検索すれば、それこそゴマンと出てくるから、それはそれで見てみて欲しい。
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美ら海水族館の担当獣医の働きかけによって、人工尾ビレの開発、製作を行ったのは、国内トップ(世界トップクラスと言った方がいいかな?)のタイヤメーカーのブリヂストン。その話を知った時、BS(ブリヂストン)も粋なことするなぁ、と思ったものだが、話は、オレの想像をはるかに上回るスゴイものだったようだ。

人工尾ビレ。
そう聞いた時、ダイビング用のフィン(足ヒレ)みたいなものを想像した。
恐らく、開発を依頼されたBSの人たちも最初はそうだったのだろう。
フジが暮らすプールの反対側にある休憩所には、歴代の試作尾ビレが展示されていたが、初期のものは、まさにオレが思ったような代物だった。
しかし、イルカの能力の原動力となっている尾ビレを、実際にイルカに装着して本来の能力を取り戻そうというのだから、よくよく考えてみれば、ホントにものすごい話なのだ。
http://www.bridgestone.co.jp/dolphin/index.html
開発の過程は、ここで詳しく見られます!!
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ブリヂストンはタイヤ以外にも、ゴルフ用品や自転車など、スポーツ用品の分野でも高い技術力を持った企業だが、フジの尾ビレの開発には、そうしたBSが持つ技術が幅広く投入されたのだそうだ。オリンピックの自転車競技のために開発された素材なども投入されているとか。
実際、展示された試作品には、CFRPとかポリカーボネイトなど、レーシングカーによく使われるような素材が多く見られた。
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現在の尾ビレによって、再びジャンプができるほどの運動能力を取り戻したということで、美談として語られるフジの話。
しかし、これまで語られていたことはないけれど、その美談の裏側には、ものすごい費用がかかっているはずなのだ。
フジの尾ビレはもちろん大量生産品ではないから、1つ1つハンドメイドでワンオフ製作されているものである。つまり、もっとも値段の高い方法で作られた物だということ。
また。そこに使われた素材は、一般の人では手に入れられないような最新鋭のもので、CFRPのように製作に大がかりな設備を必要とするようなものも使われているから、自ずと材料コストもかなりのものになっているはずだ。
それらの素材コストだけでなく、開発費用、それにかかった時間などから尾ビレの単価を割り出すと、恐らく、1つの尾ビレで500万くらいになるのではないだろうか?

そうなると、気になってくるのが、その費用は誰が出したんだろう? という点。
美ら海水族館? ブリヂストン?
BSからすれば、宣伝やイメージアップにはなるかも知れないが、技術的なメリットがあるとは思えない。それでもBS持ちだったとしたら、それはそれでものすごい美談だ。オレ的にはあまり好きじゃないんだけど、BSのタイヤ、買っちゃおうかな!? なんて考えるくらい、応援したくなってくるのだけど…
それとも、やっぱり美ら海水族館が支払ったのだろうか?
ひょっとすると、どのくらいヒットしたのか分からないけど、ドルフィン・ブルーはその費用を作り出すための映画なのかも!? みたいなことを思ったり…
まぁ、げすの勘繰りってヤツですな(笑)

話の主人公であるフジは、イルカショースタジアムの裏手にあるプールでひっそりと(でもないかな?)暮らしていた。
尾ビレを亡くしてもう7年にもなるからか、尾ビレが無い状態でも結構ちゃんと泳ぐのでビックリさせられた。
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でも、人工尾ビレがどういうものなのかちゃんと理解していて、装着すると、泳ぎが鋭くなって、複雑な動きをするようになる。
尾ビレを見せるだけで、自分から尾を差し出すのだそうだ。

日本のイルカの中でももっとも有名な超スターであるにも関わらず、愛想がよくて、いつ行っても顔を覗きに来てくれるいいヤツだった。
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名古屋港水族館の超弩級イルカプール(北館) [鯨類]

前のブログにも書いた通り、名古屋港水族館を訪れるのは12年ぶりくらい。
当時は名古屋港水族館自体が出来て間もない頃で、現在入り口のある北館なんていうのも当然、存在していなかった。
だから、今回は、その北館をしっかり見物したいというのも大きな目的だった。

現在の名古屋港水族館は、漏れなく北館から入館する順路が設定されている。
まず、入場するとすぐに、目の前の大きく深い水中窓が広がっている。
そこにイルカたちが覗き込みに来たり、アクリルの前をスイーッと通り過ぎたりしている。
まず、その時点で驚かされる。
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3頭ほどのイルカがいるだけのプールにしては、ものすごく深く大きいからだ。
しかし、その時点でのオレの驚きなんて、まだまだ序の口。
そのまま館内を進んでいくと、フロア全体が青く染まったような劇場のような空間が現れる。もちろん、フロアを青く照らしているのは、プールの水だ。
映画館のスクリーンのように巨大なアクリルパネルの向こうには、想像以上に巨大な、圧倒的な広さのあるプールが広がっていた。
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遠くに見える対岸にイルカが数頭いるのが見えるが、3mはあろうかというバンドウイルカが小虫のようにしか見えないほどだ。

ここのプールは1万3400tという、日本はもちろん、世界でも屈指の規模を誇っているが、やはり数字からイメージするのと、実際に見るのとではやはり大きく印象が異なるものだ。誰かがここのプールを“海”と表現していたのを聞いたことがあるが、それも大袈裟な感じがしないほどだ。
だから、イルカショーの最後に繰り出される複数頭でのジャンプは、まさに自然下のイルカの群れを眺めているような気分になれる。
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確かにこの規模のプールとなると、シャチくらいいないとカッコがつかないだろうなぁ、と納得できる。
鴨川では7頭のシャチファミリーがここの1/3ほどのプールで暮らしているが、プールを交換してあげられればいいのに……

オレを圧倒した規模とゴージャスさは、シロイルカが飼われたスペースにも当てはまる。
あまりにもスケールのでかいメインのショープールを見た後では、小さく感じてしまうが、シロイルカのプールとしてはどこよりも広くて深い(アクアスのは見たことないけど)。
そこでは、ここで生まれた子供を含めた4頭のシロイルカがのんびりと泳いでいた。

プールの上部へと移動すると、そこは大きなドーム型の屋根に覆われたシロイルカだけの空間。上から見ると、そのプールの巨大なことにあらためて驚かされる。
さらに、上からしか見えないサブプールがあって、そこにもう1頭。飼育個体数でも他をリードしている。現状では、繁殖に成功している国内唯一の施設でもある(アクアスの個体が妊娠しているそうだが)。

シロイルカは特にパフォーマンス等は披露していないが、日に何度か設定されたフィーディングタイムで、簡単なパフォーマンスを見せてくれる。
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飼育スタッフと遊んでいるだけとも言えるが、それがとても可愛いのだ。
初めて知ったのだが、シロイルカは口の中を触られるのが大好きなのだそうだ。
ナナ(名古屋港生まれの仔)も飼育スタッフの手を長いことくわえていたし、口を開けて飼育スタッフに甘える個体も。何でも、餌を与えるのと同じくらい喜ぶのだとか。
そういえば、鴨川シーワールドでも、口の中を撫で回していたっけなぁ、と思い出した。
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餌を食べるトレーニングを始めたナナ。今は餌より手が好きみたい。

シロイルカが好きな人なら、名古屋港水族館は行っておくべき水族館と言える。
他にも数多くの骨格標本や、実物大の模型、パネルでの展示など、鯨類の博物館としてもものすごく充実した展示がなされていて、ホント、驚かされっぱなしだった。
名古屋港水族館、スゴイです!!

鴨川シーワールド5部作 最終話 鯨類編 [鯨類]

魚好きなオレにとって、水族館は魚に会いに行く場所。
最近は海獣類やショーも好きだが、それはあくまでおまけに過ぎない。

しかし、鴨川シーワールドに関しては別かも知れない。
前のブログにも書いた通り、魚を見に行くにも最高に魅力的な場所なのだけど、ここでは本来の目的が逆転してしまうほど、海獣類を見ている時間が長くなる。つまり、おまけなつもりの海獣類なのに、それがものすごく魅力的で、楽しいってこと。

例えて言うなら、食事に行ったレストランで出てきたデザートがあまりにもおいしくて、デザートを目当てにレストランに行くようになってしまった、みたいな感覚だろうか。

国内最多の8種類を誇る鯨類の充実ぶりは素直にスゴイと思う。
鴨川でしか見られないというものこそいないものの、ハセイルカやネズミイルカは飼育、展示している水族館がほとんどないレア種だし、よく知っているように感じるシャチやシロイルカだって、それが見られる水族館はほとんどないのだ。
それ以前に、あれだけの数のシャチがいることも、ちっこいベビーに会えるのも、国内唯一の繁殖に成功している鴨川シーワールドならではのスペシャルメニューだ。
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滅多に見られない珍しいものを見られれば、やはりそれなりの満足感は得られるものだ。

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ハセイルカ
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ネズミイルカ

ここでしか見られないワケではないけれど、スペシャルなのはパフォーマンスも同じだ。
例えば、カマイルカのテールウォーク。
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余所の水族館でも見られるけれど、ここのヤツほど完成度が高いものは見たことがない。
その他の技も同じで、どれもキレがよくて、ムラも少ない。オレが知る限り、かなり高いレベルにあると思う。
広いプールでたった4頭で繰り広げられるパフォーマンスは、余所の水族館のものに比べると、ちょっと寂しいような印象を受けるが、層の厚い選手(沢山いるイルカたち)の中から選出された、その日のベストメンバー。

さて、そんな鴨川で見られるパフォーマンスが、またまたスペシャル度合いを高めた。
テレビなどでも紹介されているから、既に知っている人もいるかも知れないが、
シロイルカのデュークが、バブルリングができるようになったのだ。
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それまで、島根のアクアスの専売特許? だった技が、遠い島根まで行かなくても見られるようになったワケだ。
アクアスにも行ってみたいのだけど、見てみたかったシロイルカのバブルリングが鴨川で見られるようになったことは、時間や費用の面から言っても有り難い話だ。

しかし、魚好きのオレにとっては非常に困った話でもある。
魚をじっくり見たいというのに、ショーの時間の度に、各スタジアムに走らなくちゃならないし、写真を撮り始めると、そちらが楽しくなってきてしまうからだ。
魅力的過ぎるってのも、困りものだな(笑)

鴨川シーワールド生まれの3世シャチ [鯨類]

新聞やニュースなどでも報道されていたから、知っている人も多いと思うのだけど、今月の13日、水族館生まれのシャチから初となる3世シャチが生まれた。

先月は名古屋のシャチが死んでしまうという残念な出来事があった後だけに、なおさら嬉しい。記念すべき日本初の3世シャチに会いに、7ヶ月ぶりに鴨川シーワールドに行ってきた。

7ヶ月も間を空けてしまったお陰で、子シャチ以外にも見逃せない大きな変化が沢山あったのだけど、まずは目的の子シャチの元へとすっ飛んで行った。
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第一印象はやっぱり“小さい!!”
小さいといっても、大人のカマイルカくらいはあるのだけど、それでも、あんなに小さいシャチは初めて見た。
それまで小さいとばかり思っていたランが馬鹿でかく見えたほど。

鯨類の子供は、親とほとんど変わらない形や色をしているせいか、その他の動物の子供みたいな可愛らしさはないと思う。少し大きくなると、子供らしい動きの可愛らしさは出てくるけれど、生まれたばかりの子はひたすら泳ぎ続けているし、親から片時も離れないので、小ささ以外で可愛さを実感することは正直言ってないように思う。
むしろ、2年前に生まれたランの方が子供らしい動きで、可愛らしいほど。
まぁ、可愛いというには、もう大きすぎるけれど。

でも、まだ生後1週間しか経ってないということで、黒白模様もボンヤリしてるし、ヒレもフニャッとした感じで“生まれたばっかりなんだなぁ”という印象はあった。
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子供の存在以上に驚かされたのは、母親になったラビーやおばさんになったララが、何だか急にしっかりしちゃったみたいな雰囲気になってたこと。
2頭ともまだ若いから、じゃれて遊んだりして、(オスカーなんかと比べると)まだ子供っぽい感じもあったのに、全然そんな雰囲気を感じさせず、2頭ともすっかり大人のシャチといった感じで、子供を左右から挟むようにガードしてずっと泳ぎ続けてる。
そのせいか、ララはショーが始まっても今ひとつノリが悪いような感じで、ラビー母子に寄り添っている時間が長かった。
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母親のラビーは、止まることなくずっと泳ぎ続けていて、餌もマラソンの補給みたいに、泳ぎながら口に投げ入れてもらってた。
ノンストップなのは子供もだけど、そのタフさにもビックリだ。
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鴨川生まれのシャチとしては、初めてのオス。
生まれたばかりで気の早い話だけれど、気になるのは血縁関係のないメスが鴨川にはいないこと。
まずは無事に元気に成長してくれることが先決だが、今現在日本の飼育下にいるシャチは、鴨川の7頭を除くと、太地くじら博物館にいるナミ1頭のみ。
シャチの繁殖が何歳まで可能なのかは分からないけれど、可能性という意味では、生まれた子が成熟するまで元気でいて欲しいものだ。

鴨川シーワールドの年間パスが切れてから久しいけれど、また新しい楽しみができてしまった以上、もう1度パスを買うしかないかな? なんて思っている。

シャチの話 [鯨類]

シャチを飼うのは簡単なことではないらしい。

ニュースや新聞で見聞きしたという人も多いと思うが、昨日の朝、名古屋港水族館のクーが死んでしまったのだそうだ。
夏頃から状態を崩し、展示が中断されていたそうだが、治療の甲斐なく残念な結果になってしまった。
結局、オレは1度もクーに逢えずに終わってしまったことが、なおさら悔やまれる。
こんなことになるのだったら、さっさと名古屋に行っておくんだったと後悔するばかり。

奇しくも、伊豆三津シーパラダイスのシャチ、アスカが死んだのも1年前の9月19日だった。日本のシャチにとって、9月19日は呪われた日なのかも知れない。
昨年、今年と続いた残念なニュースによって、日本でシャチに会える水族館は2館になってしまった。

その内の1館は、言うまでもなく鴨川シーワールドである。
シャチを飼うようになって既に30年の歴史を持つパイオニアであり、今現在も6頭が暮らしている。しかも、その内の3頭は鴨川生まれだ。
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ジャンプするラビー(多分?)

シャチがどのくらい飼いにくい動物なのかは、素人のオレには見当も付かない。
名古屋港水族館のあれだけの施設をもってしても難しいのだから、相当難しいのだろう。そう考えると、飼育だけでなく、次々と繁殖を成功させている鴨川シーワールドってとんでもなく凄いんじゃない!? みたいな気がしてくる。

実際、かなりスゴイらしい。
鴨川シーワールドではない水族館の人が、“鴨川はレベルが高い”と言っているのを聞いたことがある。
同業者にさえもそう言わしめる飼育技術がなければ、シャチなんて飼えないのかも知れない。もっとも、その高い飼育技術も、30年という長い時間をかけて培ったものであることは間違いないはずだが。
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気が向くと、観客の顔を覗きに来てくれる愛想のよさ。

名古屋のクーの死はシャチのファンならずともとても残念なニュースだ。
しかし、それと引き替えの嬉しいニュースも近くに迫ってきている。
鴨川生まれのシャチ、ラビーの子が生まれるのが来月の予定なのだ。
それが無事生まれれば、日本初の飼育下3世シャチという快挙になる。
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妹のララとじゃれ合うラビー(右)。ララの下にいるのが、生まれてくる子の父親、オスカー。

残念なニュースを聞いた後だけに、より一層期待が募る。
無事生まれてくることをひたすら祈りたいと思う。

※追記
無事にオスの赤ちゃんが生まれました。(10/21ブログ参照)

エノスイのイルカショー [鯨類]

イルカショーなどの海獣パフォーマンスは、展示などと並ぶその水族館の“もうひとつの顔”である。
人気があることももちろんながら、その水族館を象徴する見せ物であるワケだから、どこも力を入れている。そんな中でも“ここのは素晴らしい!!”と思える海獣パフォーマンスを見せてくれる園館のひとつが、新江ノ島水族館だ。
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エノスイのイルカショーのパイオニアだそうだが、今現在見られるショーも面白い。
休日のみのドルフェリアと毎日行われるスプラッシュの2つの演目があるが、オレはそのどちらも好き。でも、ここに書いてる内容は、スプラッシュについてと思って欲しい。

エノスイのイルカショーは楽しい。
だけど、イルカそのものの能力は、必ずしも最高だとは思っていない。
バラけ(言うことを聞かなくなること)やすいし、よその水族館にはもっとデキるイルカもいる。
じゃあ、何で? と思うだろう。

ショーでパフォーマンスを披露するイルカやアシカは、指示された通りに動いているに過ぎない。それらのその日の状態を見極め、どこでどう動かすか判断し、その時々適当な指示を出すのはトレーナーなのだ。つまり、イルカやアシカの魅力を活かすも殺すもトレーナー次第。さらに、ショー全体の構成や演出もトレーナーが考え、行っていることを考えると、ショーの出来不出来はすべてトレーナーにかかっているのだ。オレは常々、海獣パフォーマンスの面白さはトレーナーの能力次第だと思っているのだけど、エノスイのショーが面白いのは、そういう理由なんだと思うのがひとつ。

それから、テンポがいいこと。
イルカショーでは結構ありがちなのだけど、イルカとトレーナーのタイミングが合わなかったりして、結構な“間”ができてしまうことが多い。
何となく気まずい空気になるその間が、エノスイのショーにはほとんどないのがふたつめ。

そして、スタジアムの作りも関係しているような気がするのがみっつめ。
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新江ノ島水族館になって初めてイルカショーを観た時のことだ。
その時の演目はまだスプラッシュではなかったのだけど、演目そのものよりもプールの狭さが気になった。
新しくできた水族館で、しかも外にあるプールなのに、どうしてこんなに小さく作るんだろう? かなり不思議に思った。

だけど、その狭さが、迫力を演出してるような気がするのだ。
狭いが故に、観客席から近くでイルカが飛び上がる。
まるでこちらに迫ってくるような迫力だ。
ショーの最後を締めくくる3頭立てのバックフリップなんて、例えば八景島の大きなショープールでは同じことをやっても、あそこまでの迫力は感じないはずだ。
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こう聞くと、ものすごく計算されたショー、みたいな気がしてこないだろうか?
もちろん、エノスイ以外でも素晴らしいイルカショーが見られる水族館は沢山あるのだけど、スタジアムの大きさまで考えられたショーはあまりないんじゃないだろうか?

もっとも、どこよりも回数を見ているから、単に見慣れているだけ、かも知れないけれど(笑)

イルカたちの恋 [鯨類]

イルカなどの鯨類は群れで生活する、社会性のある動物である。
だから、飼育下でも横のつながりがしっかりあって、個体同士の仲の善し悪しも結構あるらしい。
面白いのは、種類が違うもの同士でも問題なく? 仲良くなること。
異種同士の混泳が問題ないだけでなく、本来、捕食者であるはずのシャチでも自分よりはるかに小さいバンドウイルカと仲良くできてしまうのだから驚かされる。

同種、異種に関わらず、良好な関係を築けるというだけではない。
恋の対象にもなるようなのだ。

昨日、エノスイで、2Fのテラスからイルカたちを眺めていた時のこと。
ハナゴンドウと1頭のバンドウイルカが盛んにじゃれ合っている。
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身体と身体をこすりつけあうようにしながら、プールの中をグルグルと泳ぎ回っていた。しばらくそれを続けていたかと思うと、ハナゴンドウがおとなしくなり、水に身を任せるように身体を横たえた。
すると、バンドウイルカはそこに下半身を寄せるように近づき、おもむろに交尾が始まってしまった。
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ハナゴンドウの下にいるのがバンドウイルカ。
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完全に挿さっちゃってます(笑)

じゃれ合いから交尾に至るまでの流れは、その後も続いた。
彼らは、いちゃいちゃしてたってワケだ。何だか楽しそうじゃねぇか!! とちょっぴりうらやましいような感情も(笑)

同じような光景は、3月の鴨川シーワールドでも見かけた。
シロイルカとハセイルカの2頭がその時の主人公。
シロイルカはものすごく悶々としているようで、ショーどころではなかった様子。
結局、どんな指示も受け付けず、ひたすらハセイルカの後を追うばかり。
昨日のハナゴンドウもそうだったけれど、追われるメスもまんざらではなさそうな感じ。
そこで交尾に至っても、異種間雑種が生まれてしまうことは少ないようだが、それがないワケではない。数は少ないが、カマイルカ×バンドウイルカとか、バンドウイルカ×ハナゴンドウなどの異種間のハイブリッドがいる水族館もある。

そういうシーズンであることは分かるけれど、キミたち誰でもいいの? みたいに思えてくる。
ひょっとすると、飼育スタッフに恋してしまうイルカなんかもいるのかも?
今度、どこかで聞いてみることにしよう。

今日、エノスイでのサプライズ [鯨類]

知っている人もいるかも知れないが、エノスイでは今月の4日にバンドウイルカの子供が生まれている。
小さいウチにその写真を撮りに行きたいなぁ、と、予定のなかった今日、早速行ってきた。

天気は生憎の雨だったため、行こうかどうか迷いはしたものの、結果的に行ってよかった。
かなりなサプライズな出来事に遭遇したからだ。

エノスイに到着したのは、およそ13時40分頃。
ショーが始まっていたので、魚を見ずにスタジアムへと向かった。
ショーが終わり、観客がはけるタイミングを見計らって、子供のいるサイドのプールへと向かうと、プール前には観客が立ち入れないようにしてある。
おまけに、プールの全面にはテニスコートの網のようなネットが大きく張られていて、非常に中が見にくい。
「せっかくイルカの子を見に来たのに、これじゃ何にも見えないよ!!」
と少々ムッとしながら、観客席側からカメラを向ける。
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親イルカに寄り添うように泳ぐ小さなイルカを見ていて、“あれっ、2頭いる!?”
4日に生まれたイルカは1頭のはずだが、チビイルカは確実に複数頭いる。

不思議に思って、最終のショーの後、出てきたトリーターに聞いてみると…
「今日の13時に生まれたんですよ」
とのこと。

“!!!!”である。
大仰に張られた網や、入場制限も納得だ。
オレが到着するたった30~40分前にイルカが生まれていたのだ。
つまり、オレが最初に見た時は、まだ生後50分ほどの状態だったというワケだ。
もっと早く行っていれば、出産シーンに遭遇したかも知れないと思うと、残念な部分もあるけれど、
とても得したような気分になったことは言うまでもない。
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さて、その子イルカたちだが、形や色はほぼ大人と同じ。サイズだけが極端に小さいというもの。なので、その他の動物に比べると、可愛らしさは少ないように思う。
しかも、常時親にピッタリと寄り添っていて、見えにくかったりするのもその可愛らしさを感じにくい要因かも知れない。もう少し大きくなって、好奇心全開でひとり遊びをするようになれば、子供らしい可愛らしさを感じさせてくれるのだろうけど。

知らなかったのだけど、生まれたばかりの子イルカの背ビレは、身体の側に垂れ下がったようになっていた。きっと、親のお腹の中では、ヒレはたたまれたような状態になっているのだろう。

生まれたばかりということで、飛び出してしまったりなどの事故を防ぐために網を張ってあるそうだが、状態が落ち着いてきた時点で取り外すそうなので、来週にはきっと、もっと見やすい状態で子イルカを見られることだろう。
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こちらは、4日に生まれた子。背ビレはピンと立っているけれど、身体はまだまだ小さい。