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新生・琵琶湖博物館水族展示室 [水族館インプレッション]

4日前の14日、約1年の閉館期間を経てリニューアルオープンを果たした琵琶湖博物館水族展示室。
新規館のオープンやリニューアルの話も少ない今年、もっとも大きな注目案件と言っていいだろう。

正直言うと、不安だった。

琵琶湖博物館の水族展示室はお気に入りの水族館であり、現状で不満がない、つまりは変化を求めていない水族館だったからだ。
これまで、リニューアルによって生まれ変わったことで、以前のようには足が向かなくなってしまった水族館もあったから、琵琶湖博物館にはそうなって欲しくなかったのだ。
しかし、リニューアルに関して聞こえてくるニュースと言ったら…… 変化を望んでいないオレには、何とも不安になるようなものばかり。
不安と期待を抱きつつ、生まれ変わった水族展示室へと向かう足は、決して軽いものではなかった。

結果的にはオレの不安は杞憂に終わった。
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壁の色、水槽内の照明、レイアウト等々…… 確かに変わっていた。
これまでただの通路だった場所にも、様々なパネルなどが設置され、見所はそれまでより大幅に増やされている。
しかし、水槽そのものは、リニューアル前と同じ。
水族展示室と同じくリニューアルした上階のC展示室がガラリと様変わりしていることを考えると、いくつか新しい水槽はできているとは言え、“変わった”という印象は薄い。
大きな水槽やその壁が建物の構造体となっている事情もあって、C展示室のようにその場を更地にして1から作り直すことができなかったという事情もあったそうだが、“リニューアル”というよりは“リフォーム”と言った方がイメージしやすいかも知れない!?
オレにとっては変化の少なさは好印象だったけれど、それが水族館的に良かったことなのかは分からない。ドラスティックな変化を期待していた人にとっては拍子抜け、かも知れないから。

新しくできた展示も良かった。
「暮らしの中の魚たち」の展示ゾーン、最後のところに作られた鮮魚店「魚滋」。
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鮮魚店、と言っても、もちろん本物ではなく、並んだ商品も含めて精巧に再現されたレプリカ店舗だ。
琵琶湖周辺地域は昔から、そこで獲れる魚を使った独自の食文化を発展させてきた。
有名なのは鮒寿司だが、それ以外にもその地域ならではの特産品も多い。
ほとんどの人にとって、魚の興味といえば何よりその“味”だろうと思うのだが、湖産魚類の利用方法と、食文化をひと目見ただけで分かるように紹介された展示は、多くの人の興味を引くのだろうし、オレはそこに並んだ魚やその料理を食べてみたいと思った。

そして、まったく新しく作られた水槽が、カットリヤナを再現した水槽だ。
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カットリヤナは、湖の魚を漁獲するためのひとつである「梁・やな」の1種。
湖から流入河川へ遡上するる魚たちの姿や、場合によっては梁を飛び越えようとジャンプしたり、季節によってはそこで産卵する姿も見せられるかも知れない、とのこと。
この水槽にはアユ、ハス、ニゴイが入っていたけれど、しばらく誰も通らなかった水槽前に急遽大勢の人がやって来たせいか、ハスが盛んにジャンプを繰り返す。
遊泳力の強い魚だということは知っていたつもりだったけれど、こんなに跳ぶの!! というくらいのジャンプを何度か見せてくれた。
水槽から出ちゃうんじゃないかとヒヤヒヤするくらいの大ジャンプ。
運が良ければ、そんなシーンにも遭遇できることもある? 水槽だ。

そして、バイカルアザラシが展示されることで話題となった「世界の古代湖」ゾーン。
ここはリニューアル前、「世界の湖」だったコーナーだ。
チョウザメ水槽とタンガニイカ湖の水槽だけは手つかずで残ったが、それ以外は中身丸ごと、あるいは水槽ごと変更になった。
展示内容的にはもっとも変化が大きかった部分だが、話題性ではやはりバイカルアザラシだろう。オレが行った内覧会当日も、午前中は報道陣が、午後は特別入場していた年パス保有者たちが水槽前を埋め尽くしていた。

バイカル湖の展示は今回のリニューアル最大のトピックスだ。
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アザラシ用も含めれば4つの水槽があてがわれているが、正直、アザラシなんてオマケみたいなもの。関西で初めての展示らしいのだけど、琵琶湖博物館以外でも見られるので驚きやありがたみは少ない。
一方、固有の魚類と大型ヨコエビは、ここでしか見られない超激レア生物である。
寒い地域の魚なので、サケ科、カジカが多く、後はコイ科少々といったラインナップだが、どれも見たことがないものばかりどころか、名前すら聞いたことがないものがほとんど。
飼い方だってよく分からない未知の魚たちを、こうして生きた姿で紹介してくれたことは本当に凄いと思うし、ありがたいと思う。

中でも、2種類の大型ヨコエビ類は、その何とも気持ちわ…… じゃなかった、カッコいい強烈ルックスも手伝って、今回のリニューアルの超目玉。琵琶湖博物館のフラッグシップ展示と言っていいんじゃない? みたいなインパクトがある。
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TwitterやYoutubeでの人気ぶりを見ていると、もしかすると、本当にダイオウグソクムシ以来のブームが到来するかも!? みたいな気がしたくらいだ。
展示に出ているもの以外にも、まだいくつか隠し球があるらしいので、それらが展示に登場する日も心待ちにしたいと思う。
新装オープン間もない今は、とても混雑しているらしい。でも、このバイカル湖の生物たちが見られるだけでも、混雑をかいくぐる価値はあると思う。
元々素晴らしかった琵琶湖産生物たちは、相変わらず素晴らしいまま見られるのだからね。

標津サーモン科学館(北海道) [水族館インプレッション]

遡上してきたサケを自然に近い状態で観察できる施設が日本に3カ所ある。
川で捕まえた個体を水槽展示したものではなく、遡上する川や水路に観察窓を取り付けて、自然のまま、あるいはそれに近い状態を見ることができる施設のことだ。
その内の2カ所、千歳水族館と新潟のイヨボヤ会館は既に訪問済み。残るひとつは北海道の東、標津にある標津サーモン科学館。
前々から行ってみたいと思っていたんだけど、昨年の遡上時期(9月初旬)にようやく行ってきた。
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標津サーモン科学館は遡上サケを観察できる3カ所中でも、もっとも東に位置していることもあり、一番早い時期からサケの遡上が見られる。
8月の中旬頃からサクラマス、カラフトマス、シロザケの順で始まり、11月中旬頃まで続くとのこと。標津は北海道でも多くのサケが集まってくる地域のようで、その時期には沢山の漁獲があるらしい。
先にも書いたように、オレが行ったのは9月初旬。他の2カ所には遡上がなく観察できないカラフトマスを狙って出掛けたのだけど、狙い通り、その遡上を見ることができた。

到着し、入館…… の前に、館の横を通り抜けて、まず、その先にある標津川まで行ってみる。
そこには観覧橋が掛かっていて、標津川とそこに設置されたウライ(遡上サケの捕獲装置)を見ることができる。川を泳ぐサケたちの姿だけでなく、捕獲されたサケたちの選別などの作業も見学できる。
川には沢山の遡上サケたちの姿が。天気が今ひとつだったので、川の中はハッキリとは見えなかったが、それでもかなりの数のサケがいることが見て取れた。
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大きなシロザケは分かるのだけど、はたしてこの中にカラフトマスもいるのかまでは当日の天気(光条件)では分からなかった。

川のサケを見た後、ようやく入館。
入館すると標津の海をテーマにした大水槽に迎えられる。
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泳いでいたのは海で捕獲された遡上前のサクラマスやカラフトマス。そしてソイやカレイ、カスベなど標津周辺で漁獲される魚、ブリやボラなど回遊してくる? 魚などが泳ぐ地域性の強いもの。
標津周辺の海を想像できるラインナップである反面、サケ・マス類がいない秋以外の時期だと少々寂しいのかも? そういう意味ではやはりサケの遡上時期がオススメの大水槽なのかも知れない。

大水槽の隣の部屋は、遡上サケを観察できるこの施設のメインというべき観察室。

とは言え、標津川に面した観察窓がある訳ではなく、標津川から引き込まれた水路に観察窓が取り付けられている作り。
そういう意味では千歳水族館よりも、新潟のイヨボヤ会館に近い。
しかし、窓はより大きく、水位も高いので目の前を泳ぐサケたちの姿はよりダイナミックだ。
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大雨などの翌日は遡上数が増えるので狙い目だが、水が強く濁るので見にくくなる。オレが行った日は微妙な天気で、水の濁りも強かった。本降りの雨ではなかったためか、水路を泳ぐ個体数は多くなかったものの、成熟したカラフトマスとシロザケが泳いでいた。カラフトマスを目当てに9月の早い時期に行ったのが当たったようで、水路を泳いでいるのはカラフトマスの方が多い。それが目的だったので、大きな満足感が得られたが、時期が遅くなると、両者の数が逆転してくるのだそうだ。
運がよければ繁殖行動も見られることがあるらしい。

標津サーモン科学館なんていう名前の施設だから、その主役は当然、サケ・マス類なのだけど、もうひとつの主役はチョウザメだと思う。
標津周辺では回遊してきたダウリアチョウザメが漁獲されることがあるようで、オレが行った時にも、大型のダウリアチョウザメが何匹かストックされていたのに加え、ダウリアチョウザメとベステルの交雑品種である「ベスカル」なるチョウザメを多数展示している。
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このチョウザメが相当に楽しませてくれたので、その話はこの次のブログで改めて。

これらのチョウザメの他にも、水槽展示されたサケ・マス類など、遡上時期でない時でもそれらの姿を見ることができるが、わざわざ行くなら、やはりサケの遡上時期に合わせて行きたいと思ってしまうのは、オレがサケの遡上に縁のない地域に住まう者だからだろうか?
ついでに言うと、科学館横にあるレストランでは、この時期ならではのサケを舌でも楽しむことができるし、買って帰る(食材として)こともできるしね。

目的だった遡上カラフトマスも見られたし、チョウザメも面白かった。
そういう訳で、個人的にはかなり楽しい施設だったし、サケの遡上が見たい人、チョウザメが好きだという人なら、その時期に行きさえすれば間違いなく楽しめる施設じゃないかと思う。
難点があるとするなら、ウチから遠く行きにくいことだろうか?

新生・サケのふるさと 千歳水族館(北海道) [水族館インプレッション]

昨年、2015年は新規オープンや大規模なリニューアルなどが続いた水族館の当たり年だった。
7月25日にオープンした「サケのふるさと 千歳水族館」もそのひとつ。
「千歳 サケのふるさと館」が大規模リニューアルを経て生まれ変わった施設だ。
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オープンしたのは昨年7月。オレが行ったのはその約3ヶ月後の10月末。
今頃? と言われてしまいそうだけど(汗)… 半年以上も前の話で、それ以降行っていないので、変わっている点もありそうだけど……

千歳水族館、というか、サケのふるさと館は、立地の利便性もあり、北海道の水族館ではもっとも多く足を運んだ施設であり、個人的にも好きな水族館のひとつだ。
それが大規模リニューアルするというのだから、当然、期待してしまうというものだ。
とは言えそこは北海道の水族館である。行きやすい場所にあるとは言え、簡単には行けない場所。どうせ行くならサケの遡上時期に合わせたいところだが、2015年のサケ遡上遠征は標津に行ってしまっていたので、2015年中には行けないかも、なんて思っていたところに、降って沸いたように北海道での仕事。幸運にも行くことができた。

ふるさと館の時代から、館の横を流れる千歳川の水面下を館内から観察できる観察室が自慢であり、この施設ならではの見所ともなっているため、サケの遡上時期には1年でもっとも多くのお客が集まるという。まぁ、オレもそのひとりではあるのだけど、サケが遡上しない時期の観客の満足度を高め、年間を通して入館者数を増やすというのも、リニューアルの目的だったようだ。

先にも書いたように、オレが行ったのは10月末。それも3連休の中日というタイミング。
リニューアル3ヶ月後のサケの遡上時期、3連休中日。もう完璧なまでの混雑条件。
ええ、それはもう激混みでしたよ。水族館に隣接する道の駅もリニューアルしていたことも手伝って、駐車場に入るだけでも待ち時間が発生していたほど。
流石にそんな混雑は落ち着いているのだろうけど、条件が揃うとそのくらいの混雑もあり得るということ。

人の波を掻き分けるようにしながら入館。
入館直後からそれまでとは雰囲気が変えられていて、違う施設であることが演出されているのだけど、メインの大水槽とその脇に並ぶ大きめの水槽の配置は変わっていないが、フロアも以前より暗くされ、水槽がより際立った印象。
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大水槽の照明も変更され、それまでよりも暗くなった反面、今まで以上の奥行き感のある、より大きな水槽に見えるように演出され、今どきの水族館らしい雰囲気の水槽となった。

水槽の数も増えていて、中でも注目は新設された支笏湖大水槽だ。
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千歳川の源流でもある支笏湖は、千歳市にある湖であり、千歳川をテーマにする水族館としては避けて通れない? 展示である。
以前のふるさと館にも支笏湖水槽はあったけれど、新水槽は大水槽と銘打たれているくらいで、チョウザメの泳ぐ大水槽に次ぐ大きなもの。
天井に向かってそびえるようなクリアで大量の水と、その奥に広がる青さ、そして水に揺れる水草。そのどれもが清涼感たっぷりで、暑い時期ならとても気持ちよく見えるのだろうと思う。
水槽の中を泳ぐのは、支笏湖を代表するヒメマスの他、ニジマスやフナ、エゾウグイなどと、いずれも小ぶりで色味も地味な小魚ばかり。
この水槽で楽しむべきは、魚そのものよりも、水の透明度や冷たさなど、支笏湖のイメージを膨らませられることなのかなぁ、と思ったり。
ただ、気になるのは揺らめく水草が本物だったこと。オレが見た時から、既に半年が経過しているのだけど、ちゃんと綺麗なまま育っているのかなぁ、とちょっと心配。あの水草がなくなると、水槽の印象もかなり違ったものになりそうだから……

新しい支笏湖大水槽、そしてその裏手には大きなタッチング水槽が2つ。
よくこんなスペースがあったなぁ!! と驚くところだが、ここは以前あったシアターの跡地。立派なシアタースペースを持つ水族館は少なくないけれど、個人的に水族館にシアターは要らない!! と思っているので、それが水槽に代わったことはいいことだと思う。

その先の千歳川ゾーンも大きく変更された。
壁面に沿った水槽は、それまで片側だけだったのが両側に水槽が作られ、その周辺には擬岩まで配されている。
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ただ、その分、通路が狭くなったので、館内が混雑している時には渋滞発生ゾーンになってしまう。通路の両側に水槽があるため、狭い通路が完全に詰まってしまうのだ。
だから、というだけの理由ではないけれど、通路の水槽はこれまで通り、片側だけで良かったんじゃない? というのがオレの意見。

そしてその先、世界の淡水魚ゾーンも大きく変更された展示ゾーンだ。
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先にも書いたように、ふるさと館時代は、サケの遡上のない時期は、来客数が少なくなる傾向があったそうだ。
そんなサケがいない時期でも水族館の楽しさを高めることを目的に作られた展示ゾーンだ。
変わった形の置き型水槽に、ピラニアや淡水エイなど、驚くほど珍しいものではないけれど、普通の人には“ちょっと変わった”魚たちが顔を揃えている。
淡水魚の水族館だから、こういうのがいてもいいと思うのだけど、それぞれ形の違った水槽が並び、そのいずれもが中の魚にマッチしたとは言い難い形状、サイズだったりする。
タッチング水槽のところでも感じたのだけど、まるで水槽のショールームのような感じで、見せたいのは水槽? みたいな印象。
正直、ちょっとガッカリした部分でもあった。

千歳川にサケがおらず、館内は大混雑。外は大雨という三重苦でしっかり楽しめなかったことも影響していると思うのだけど、個人的にはリニューアル前の方が好きだったかも、と思ってしまった。
その時受けた印象がそのままなのか、気分の問題だったのか。
また足を運んで、再確認してこなくちゃ!! と思っている。

渋川マリン水族館(岡山) [水族館インプレッション]

最近はちょっと検索すれば、行ったことのない水族館でも様々な情報が得られる。
HPなどが充実している施設なら、行く前からある程度の情報を把握できたりするけれど、それが小規模施設になると、得られる情報も少なくなってしまうことが多い。
4月の四国水族館遠征の最後に行った渋川マリン水族館も、そんな情報の少ない水族館のひとつ。以前は「玉野海洋博物館」という少々お堅い? 名前だった施設だ。
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岡山駅や空港などからのアクセスは正直、良好とは言えないが、屋島のある高松からだと比較的最寄りの宇野港までフェリーで行けて、そこからはバスで約30分ほど。むしろ高松からの方がアクセスがいい。
行ってみて知ったのだけど、60年を超す長い歴史のある水族館なのだという。しかし、その知名度と言ったら…… やっぱり水族館と名乗るようになって日が浅いから? とは言え、考えていた以上にちゃんと水族館だった。

大小30ほどが並んだ水槽の展示は瀬戸内海に特化している… 訳でもないようで、瀬戸内海や岡山にまつわる展示はさほど多くない。しかしその反面、南の海から寒い海まで、幅広い魚種が展示されている。大きめのサメもいるし、庭に出てみると、アザラシやペンギン、ウミガメもいる。ショープログラムこそないけれど、大規模施設の内容を規模に合わせて縮小した、みたいな感じ。
屋外のアザラシプールや、1羽しかいない古びたペンギンプールとか、長い歴史を感じさせる部分もあるけれど、現在の建物で数代目になるという水族館は、水槽もすっきり綺麗で、水槽サイズがあまり大きくないことと、照明がやや暗い点が今風ではないけれど、古くさい感じはしない。
でも、突っ込みどころがないというか、目立って悪いところもないのだけど、強い印象も残らない… そんな優等生的? な印象だった。
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ここでしか見られないような珍しいものはいないけれど、瀬戸内海に面した場所で、まさかタカアシガニやエゾメバルに会えたのは驚きだった。
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一方、岡山の水族館らしさを感じさせてくれるのが、地元の名産であるサッパが、それだけに水槽ひとつがあてがわれて展示されていたこと。
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サッパ? その名前でピンと来なくても、“ままかり”と言えば聞いたことはあるだろう。
岡山駅や岡山空港では、必ずこのサッパが載った押し寿司などのお弁当が売られている。
決して珍しい魚ではないはずだが、小さく地味な魚だからか、水族館では見掛ける機会もそう多くない。
酢で締められていないものは、こんな姿形をしているのだ!!

屋外の池には2頭の若いゴマフアザラシがいたが、かつてはここにオタリアがいて、ちょっとしたパフォーマンスを披露していたらしいのだけど、高齢で死んでしまった代わりにやってきたのがアザラシたち。
以前はアシカショー? 的なものもあったようだが、アザラシということもあってか、ショーなどは行われていないようだ。
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決して規模の大きな施設ではないけれど、上記の水族館にちょっとした博物館的展示も併設されていて、入館料はたったの500円。
地元密着型の施設としては、水族館らしさは十分に味わえるし、なかなか満足度も高いのではないだろうか?

ニフレル(大阪) [水族館インプレッション]

昨日19日、大阪の万博公園に「NIFREL」(ニフレル)がオープンした。
新規オープンや大規模なリニューアルが連続した2015年の最後を締めくくる大型施設。
“感性に触れる”をテーマに、海遊館がプロデュースする“生きたミュージアム”だという。
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ニフレルの周辺には、ららぽーとやシネコンを備えた超大型の複合商業施設が同時にオープンしている。大阪に新名所誕生、というワケだ。
大阪モノレール、万博記念公園駅から徒歩2分とアクセスは抜群に良好で、新しい商業施設群の中でも、もっとも駅寄りの位置にあるのがこのニフレル。しばらくはかなりの混雑を覚悟した方がよさそうだ。

このニフレルの展示、水族館とか動物園とか、既存の枠には当てはまらない新しい見せ方、展示を目指した施設であることは間違いない。
日本の水族館のほとんどを見てきた者からすると、例え新たにオープンした水族館でも、「この水槽はどこそこの水槽に似てる」とか「この水族館の雰囲気はあそこに似てる」みたいなことがあるものだが、このニフレルにはそれがない。
そもそも、ニフレルを手掛けたのは同じ大阪の海遊館である。同じような水族館を作ったところで、客の奪い合いにしかならない危険性もあるワケで、既存の水族館を作るわけにはいかない、という事情もあったのだろうと推測する。

最近オープンした水族館の例に倣い? 真っ白な外観を持つ建物に入館すると、そこに並ぶのは綺麗にディスプレイされた水槽群。
館内の展示ゾーンは「いろ」「わざ」「すがた」「みずべ」「うごき」「つながり」と、フロアごとにテーマが設定され、それに沿った展示がなされていて、魚類など、いわゆる水族展示は1Fの「いろ」「わざ」「すがた」の3つ。
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水槽はいずれも高さが低く、蓋がない。魚名板は小さなプレートが水槽の中に設置されているのみ。並んだ水槽そのものがガラスアートのようで、それ自体で完結しているようにも感じた。
一般的な水族館の展示とは一線を画しているけれど、水槽の中身が入ってようと、何もいなかろうと、見え方は変わらないのかなぁ、と。

水槽の展示ゾーンを抜けると、ニフレル最大の展示物である「ワンダーモーメンツ」というプロジェクション投影される大きな球体が現れる。
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フロアぶち抜きの大きな球体と床に描き出される流行りのプロジェクションマッピング。
水槽や壁に映し出されるものとは違い、そのために作られたものだから、規模も迫力も段違い。でも、水族館や動物園の展示…!?
それがここの最大かつ象徴的な展示になっていることからも、ニフレルの施設としての性格が見て取れるのではないかと思う。

2Fは「みずべ」「うごき」「つながり」の展示ゾーン。
行ってみるまで“ニフレルは水族館”だと思っていたのだけど、そこでそんなイメージは覆された。
2Fは陸上動物、それもかなりの大型動物が中心。水族館だと考えた場所で白いベンガルトラを見ようとは!!
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トラの所だけでなく、同じフロアにいるイリエワニやコビトカバのプールにも魚が泳いでいるのが水族館らしいところか。

さらに進んで「うごき」のゾーンに進むと、そこには放し飼いにされたワオキツネザルや鳥たちが飛び回る小動物園的なフロア。
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観客の足元をキツネザルが歩いていたり、頭上を鳥が飛んでいたりと、動物たちを身近に感じることのできる展示ゾーンで、ペンギンやカワウソもいたりするけれど、水族館的な“水感”はほぼなし。
でも、もっとも人気を集める展示ゾーンは、多分、ここだと思う。

驚いたのは、臭いがしないこと。
水槽はすべて上がオープンになってるのに、飼育水の臭いがしないし、動物がいるゾーンでも、飼育舎はすべてオープンな作りで、トラとコビトカバの間にカフェがあったりもするのだけど、臭いがまったく気にならなかったのには凄いと思った。

斬新と思える、これまでにない展示。
個人的な好みはともかく、それがいいのか悪いのか、オレには分からない。
オレ以外の水族館好き、動物園好き、そしてそのどちらにも当てはまらない人。
そんな人たちがこの展示を見てどう思い、感じるのか。そこに一番興味を惹かれる。

まずは一度、見てみて欲しいと思う。

思い出の… 新屋島水族館(香川) [水族館インプレッション]

先日、マリンピア松島水族館が惜しまれつつも、88年の歴史に幕を下ろした。
閉館の理由は、老朽化のため。水族館があるのが国立公園内ということで、その場での建て替えが許されないというのが閉館の理由だった。
それと同じ理由で、今年いっぱいでの閉館が予定されているのが香川県の新屋島水族館。
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今年で46年目を迎えるという老舗だけに、少々残念ではある。
それにしても、山頂まで行ける道も整備されているとは言え、こんな場所にイルカや海の生き物が見られる水族館があるという事実は、あらためて考えると驚きだ。今でこそもっと高い場所にも海水の水族館があるが、屋島水族館が作られたのは半世紀近くも前のこと。こんな場所に水族館を作ろうと考えた人に話を聞いてみたい気分だ。

正確な閉館時期は“今年中”ということ以外、決まっていないそうだが、閉館するのは間違いないらしい。
ならばその前に足を運んでおこうと出掛けてきた。

東京に住むオレにとっては、決して行きやすい水族館ではないのだけど、ごく小さな頃から何度か行ったことのある水族館でもあった。
最初に行ったのは、もう40年くらい前。入り口のピラルクー水槽ができてすぐの頃で、その時は館内にいたワニに強く心引かれたことを記憶している。そういえば、屋島山上の交通手段は、今や廃墟のようになっている屋島ケーブルカーだった。

最後に行ったのは25~26年くらい前。まだイルカプールはなく、マナティもいなかった。
それくらいぶりの訪問となると、あちこち変わっていたので、懐かしいというよりは、初めて来た水族館に近い感覚。しかし、小さい頃に輪投げをしたアシカショープールやピラルクー水槽など、昔から大きく変わっていない場所も残っており、館内をウロウロしている内に、昔はここにこんな水槽があった…… 等々、少しずつ昔の記憶が蘇ってきた。
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2Fの円形の回遊水槽はクラゲの展示コーナーに様変わりしていた。

水槽の中身までは流石に憶えておらず、昔と比べてどうか、ということはなかったけれど、展示には別段驚かされる点もなく、むしろ、ここがこうだったらもっといいのに…… みたいな思う点も残念ながら少なくなかった。
閉館が決まっている水族館だからなのだろうか?

でも、海獣類のショーやフィーディングタイムなども充実していて、考えていた以上に、長く楽しい時間を過ごすことができたのは幸いだった。

中でも、予想外に楽しめたのがアシカショーだった。
ショープール同様に年季の入った? 1頭のオス、ナックくんが登場する。
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高齢ということもあってか、一般的なアシカショーとは違い“顔芸”がメイン。
それでも、吐息が掛かりそうなほど近い位置でそれを行うので、小ぶりな技でも迫力を感じたし、逆立ちとか輪投げとか、アシカショーの定番演目がなくてもアシカショーってちゃんと成立するんだなぁ、という発見? でもあった。

遠い昔、100円入れると動く子供用のカートが走り回っていた場所に、小さなイルカプールが作られていて、ショーが観られるようになっていた。
屋島でイルカショーを観るのは初めて。屋島水族館のイルカショーというと、“斜め上を行く”と評される寸劇タイプのショーが行われているそうで、楽しみにしていた。
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しかし、件のショープログラムは土日のみ。平日は“普通の”イルカショー。
でも、ショープールが近く、着水の際に客席に水飛沫が勢いよく飛んできたりと、プールの大きさに見合わない迫力を感じられた。

イルカショープールの向かいには、水族館では少数派のゼニガタアザラシのいるアザラシプールがある。
オレが初めて見た鯨類はスナメリで、4歳の頃。そのスナメリが泳いでいたプールがあったのが、まさにこの辺りだった。

アザラシプールには、ドーナツ型の水槽が設置されている。
この水槽自体は、登別のマリンパークニクスのアザラシプールにもあって、そこで見たことがあったので、あらためて驚くことはなかったけれど、アザラシのフィーディングタイムが終わってしばらく経った頃、アザラシプールの掃除を始めた飼育スタッフ氏がそのドーナツ型水槽に入って、掃除しながら中を何周かしたのを見たのには驚かされた。
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中に空気が溜まってしまうからか、作業は息を止めたまま。
よく息が続くもんだなぁ、と変な感心をしてしまった(笑)

そのアザラシプール前に置かれていたドーム状のアフリカンシクリッドの水槽が。
太陽光が降り注ぐためか、魚たちの体色は非常に美しく、繁茂したコケの緑をバックに、非常に綺麗に見えた。
余談ながら、個人的には屋島でもっとも印象深い水槽だったような気がしている。

幼い頃の思い出が蘇ってきた屋島水族館も、先にも書いた通り、本当に思い出の中だけの存在になってしまうことが決まっている。
香川県には、それに代わる水族館施設のプロジェクトが複数あるようなのだけど、屋島水族館は今年いっぱいで見納めの予定だ。
いつもと変わらない水族館HPや、その後、何の情報も伝わってこない現状からは“本当に閉館するの?” みたいな気分にもなるけれど、気が付いたら閉館してた、なんてことになる前に、少しでも気になるなら、行ける内に行っておくことをオススメしておく。

“今年中”が本当なら、チャンスはあと4ヶ月しかないのだからね。

水環境館(福岡) [水族館インプレッション]

九州の水族館はすべて巡り終えた訳ではないけれど、あらかた終わった。そう思ってた。
特に規模の大きなマリンワールド海の中道を擁する福岡県には、それ以外の水族館はないと思っていたから、すっかり終わった気でいた。
しかし、そうでないことを知ってしまった。福岡市から約70㎞ほど離れた北九州市の小倉に、水環境館という小規模な水族館相当施設があったのだ。
知ってしまった以上、行かない訳にはいかないよね…
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名前だけでは分かりにくいが、小倉を流れる紫川という川をテーマにした淡水魚の水族館で、川沿いに建つ紫江’sというレストランなんかが入った建物の地下にある。
その紫江’sが小倉のまさに中心街にあって、辺りはとても賑やか。水族館がある場所らしくないというのか、少々場違い? な感じ。目的の水族館が地下だということもあって、入り口に気付かず素通りしてしまった。

入館料は何とタダ!! とは言えこんな街中で無料の施設。知名度も高くないし、正直、期待はしなかった… のだけど、行ってみて驚いた。
想像以上にちゃんと水族館だったからだ。
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並んでいる水槽はどれも小さいものばかりなのだけど、数は多く、何より、その水槽に展示されている生き物が住まう環境がしっかり作り込まれていたことには感心させられた。やったことがある人なら分かると思うが、小さな水槽にそれを収め、さらにその維持、管理は相当大変なことだからだ。これが無料で楽しめてしまうと思うと、かなりの満足感だ。
しかも、この水族館では、カゼトゲタナゴなど地域の河川の稀少タナゴの血統維持も行っているらしい。
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それに携わるスタッフ氏がどれだけいるのかは分からないが、きっといろいろ大忙しの日々を送っているのだろうなぁ。

水槽の中の魚たちも綺麗なものが多かったのだけど、中でもオヤニラミの綺麗さと大きさには驚かされた。
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淡水魚の水族館でなら、どこでも普通に見られる魚だが、ここの個体は10㎝以上はある大きさで、まず「こんなに大きくなるの!!」と大きさに驚き、さらに、色も鮮やか。赤いヒレにはブルーの模様が入り、「これ綺麗じゃん!!」と色の綺麗さでも驚かされた。
今でこそ日本各地で見られるオヤニラミは元々、西日本の魚。九州はその産地のひとつ。
そのせいか、こんなオヤニラミ、見たことない!! と思うほどの、どこよりも素晴らしい個体が揃っていた。

先にも書いた通り、この水環境館は地下にある。その理由がこれ。
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アクリルパネルの向こうの濁り水こそ、建物のすぐ脇を流れる紫川。
サケのふるさと千歳水族館ばりに、建物の中から川の中を覗けるようになっているのだ。
とは言え、建物は河口に近い場所にあるため、川の透明度はほとんどない。時々、アクリルパネルのすぐ側まで魚が泳いでくることもあるらしいのだけど、川の中がどうなっているのかはほとんど分からない。

それでも、アクリルパネル前に腰を下ろして、目を凝らせば、目の前の泥の上で小さな貝やカニなどが動いているのが見つけられる。
大きな感動とまではいかないけれど、街中を流れる川にも結構色々な生き物がいることが実際に見て取れるし、これはこれで結構楽しい。

上の階に上がれば食事もできるし、そのついでに立ち寄る、なんていうデート? なんかにも都合がよさそう。
すぐ近くには城があったりと、小倉の街の観光ついでにもよさそうだ。
何しろ、これを無料で楽しませてくれるというのだから、かなりの満足感が得られると思う。

ヨコハマおもしろ水族館(神奈川) [水族館インプレッション]

関東の、簡単に行ける水族館はほぼ巡り終えた。
しかし、簡単に行けるのに、まだ行ったことのない水族館がひとつあった。
横浜中華街にある「よしもとおもしろ水族館」だ。
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行こうと思えば、横浜はすぐに行ける。仕事や用事で近くまで行くこともあったし、実を言うと水族館の目の前までは行ったこともあった。
以前、某SNSで繋がりのあった人から「ミストラルさんには絶対合わないと思う」というアドバイス? の効果、というワケでもないのだけど、この水族館を紹介する時にしばしば登場する「寿司店水槽」とか「たこ焼き水槽」などのダジャレやジョークをテーマにした水槽は、見てみたいと思わせるものではなかったからだ。

それがどうして行く気になったかというと、吉本興業との関係がなくなり、現在の名称となった2年ほど前くらいから、積極的に深海生物をテーマにしたイベントを開催したり、普通の水族館? みたいな活動も増え、どうやらそれまでの「おもしろ水族館」の路線からは少々変わったようだったから。友人や知人からも、珍しいものも見られる、という話も聞こえていたし。
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館内に並ぶ水槽は考えていた以上に数が多かったことには少し驚かされたが、水槽はいずれも小さいものばかりで、その中を泳ぐのは水槽のサイズに見合った幼魚が中心。それらも驚くようなものは少なく、言葉悪く例えるなら、熱帯魚店的、といった感じだろうか。
もちろん、それは分かっていた。水族館があるのはビルの1フロアに過ぎないのだからね。
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吉本時代の名残り? 「寿司店水槽」とか「たこ焼き水槽」なども健在だった。

そこまでの展示は、概ね想像通り。しかし、深海コーナーには少なからず驚かされた。
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深海コーナーも他と同じく、小さな水槽がいくつか並んだ熱帯魚店的な作りなのだけど、そんな水槽には「何でこんなのいるの!!」みたいな深海生物が入っていたりしたからだ。
中でも、オオグソクムシのアルビノ個体が有名だが、個人的にはヒメコンニャクウオに特に驚かされた。
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いかにも深海魚的な形をした魚が、調子良さそうに泳いでいるというだけでも驚きに値するが、そんな激レア生物に、まさかここで遭遇できるとは思っても見なかったので余計に驚かされた感じだろうか。まったく、水族館やそこで働く人たちには失礼だけどねぇ(笑)

また、それぞれの水槽は深海生物の水槽にしては明るいので、それら珍生物を観察しやすいのもよかった。
個人的には深海生物マニアではないのだけど、このエリアの展示だけで1400円を支払う価値は十分あったと思うし、大きな満足感が得られた。
それに小さな魚も見られる、と思えば、かなりの満足感とすら思えたくらいだ。

ただ、オレがこの水族館に行ったのは、半年近く前の2月のこと。
そのため、オレが見たものがそのまま見られるとは限らないけれど、最近では、ここのスタッフ氏が手作りしたシュモクザメの全身骨格標本が展示されていたりと、何かしら面白そうなものは見られるはず。
中華街に食事や買い物に来たついでに立ち寄ってみるには、珍しいものも見られるし、中華街散策がより楽しくなる要素としては十分以上の魅力がある施設、じゃないかな?

本日オープン 生まれ変わったエプソンアクアパーク品川 [水族館インプレッション]

今日7月10日、半年の休業を経て「エプソンアクアパーク品川」がオープンする。
今週に入ってからTVなどでも報道されているから、知っている人も多いと思うのだけど、このエプソンアクアパーク品川は、今年の1月まで「エプソン品川アクアスタジアム」だった水族館がリニューアルしたもの。
仙台うみの杜水族館のようなまったく新しい水族館ではないものの、その中身はアクアスタジアム時代から大きく変わっていて、違う水族館に生まれ変わったと言ってもいいくらい、大きな変化を遂げていた。

入り口こそこれまでと変わらないものの、その周辺は照明なども変わり、大きく雰囲気を変えていて、そこから“違う水族館に来たんだ”という演出が始まっている。
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以前ともっとも大きな違いは、1Fから水族館が始まっていること。
かつては、チケットを買うとエスカレーターで2Fへと上がり、そこからが水族館の始まりだったけれど、単純に水族館スペースは倍になったことになる。

アクアスタジアム時代から“デートにピッタリな水族館”というイメージの強い施設だったが、全般的な印象としてそのイメージはより高められたという印象。とりわけ新設された1Fがそのイメージをより強いものにしているように感じられた。

以前からあったメリーゴーランドなどのアトラクションや、タッチパネル水槽など、子供も楽しめる施設もあるけれど、立ち飲みのバーカウンターがあったり、色とりどりの光の演出がなされたクラゲコーナー(ジェリーフィッシュランブル)なんかは、まさにオトナのカップル向け、と言ったところだろう。
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そこから2Fへと進むと、イルカショースタジアムへと導かれる。
スタジアムはその他の展示ゾーンと比べると、大きな変化はないが、この水族館の最大の売りと言ってもいいイルカショーは新しいプログラムへと変わっている。
新たに設けられた水のカーテンによる演出で、それまでとは違ったショーになっている。
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水のカーテンによる演出は確かに綺麗。
ただ、それとイルカの動きがリンクしていないというのか、まだその新しい装備を生かし切れていないような印象はあったけれど、イルカたちの構成が若干変わっていたりと、今後の進化、変貌が楽しみな要素もある。
これまでレベルの高いイルカショーを見せてくれていた施設だけに、今後の展開を楽しみに期待したいと思う。

もうひとつの売りであるマンタが泳ぐトンネル水槽。
こちらもイルカショースタジアム同様、変化の少なかった部分だが、水槽内を泳ぐメンバーに若干の変化があった模様。
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最大のトピックスはシノノメサカタザメの追加だろう。
他にも数種類のエイが追加され、この水槽だけで12~3種類のエイが見られる。
他のエリアの水槽にいる種類も含めると、日本でもっとも多くの種類のエイが見られる水族館では? と思うほど、エイ類は充実している。
他にも、2Fは以前とは大きく変貌を遂げており、アクアスタジアム時代によく行っていた人なら、その変貌ぶりにきっと驚くことだろう。

変化という点では、もっとも大きな変化と言えるのが、新設ゾーン「アクアジャングル」だろう。
ここは以前、アシカショースタジアムだった場所だ。
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そこに以前はいなかったピラルクーなどの淡水魚や爬虫類などが展示されている。
あのアシカショーを無くしてまで…!? と思うところもあるものの、展示の盛りだくさん感は高まった。
余談ながら、このゾーンにも淡水エイが沢山いるし、人気のカピバラもいる。
その分、アシカショーは以前より簡素なものになってしまうが、オットセイは常時見られるようになっているし、最近人気急上昇中のコツメカワウソも見られる。
海獣濃度もかなり高まっている。
エンターテイメント路線も強化された印象だが、水族館としてのコンテンツの充実にも力が注がれたことは間違いない。

ターミナル駅からの近さなど圧倒的な行きやすさは変わっていない。
その変貌ぶりは、是非、自身の目で、体で、体感してみて欲しい。

速報 仙台うみの杜水族館(宮城) [水族館インプレッション]

これまで宮城県の水族館といえば、マリンピア松島水族館だった。
しかし、松島水族館は老朽化のため、先日5月10日、惜しまれつつ88年の歴史に幕を下ろした。
それと入れ替わるように産声を上げるのが、7月1日にオープンする「仙台うみの杜水族館」だ。
仙台(宮城)の新しい水族館として、歴史ある松島水族館の後継園館として。あるいは震災で大きな被害を被った宮城県の復興の象徴として… 等々、さまざまな使命や意義を帯びた、とりわけ大きな期待が集まる中での出発だ。
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仙台うみの杜水族館をひと言で言い表すなら、21世紀のマリンピア松島水族館、といったところだろうか。
新水族館の展示には、マリンピア松島水族館の展示物の多くが受け継がれていることもそう感じた理由だと思うのだけど、総合水族館としてマリンピア松島水族館に無かった要素、大水槽とイルカショーがプラスされ、館内や水槽の作り、照明などが現代風になり、マリンピア松島水族館が生まれ変わったらこんな風になったんだろうな、というのを具現化したような水族館だと思ったからだ。
とは言えオレは、マリンピア松島水族館はアウェーだし、特別な思い入れもなかったから、地元の人や、そこに強い思い入れがある人からすれば、また違って見えるのかも知れないけれど……

マリンピア松島水族館は、水族館に行きたい人が、見たい物、期待するものがひと通り揃った総合水族館だったけれど、仙台うみの杜水族館にもそれは受け継がれている。
想像していたほど大きな水族館ではなかったけれど(小さい水族館という意味ではないよ)、ひと通り展示を見終えて水族館を出た時、“水族館に行ってきた”という確かな満足感が得られるはずだ。

新水族館の“顔”でもある大水槽は三陸の海をテーマにしたもの。
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容量は990t。幅や奥行きもさることながら、水深は7.5mと深めに設定されているのが特徴の大水槽で、水槽上部には屋根がないので太陽光が降り注ぐ。天気のいい日に行くと、より一層綺麗に見える。
できてまだ日が浅い水槽のはずなのに、水の透明度はかなり高く、入念に準備されたことが窺える。
冷たい海の魚、暖かい海の魚が入り交じる三陸の海の大水槽だけに、様々な魚が泳いでいる。主役はやはり形を変化させ続けるイワシの群れ… などではなく、2匹いるヨシキリザメにこそ注目して欲しい。(※6/30追記 ヨシキリザメは死亡により、現在は見られないそうです)
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漁獲量は多い種類だが、水族館では超激レア種で、オレも見たのは初めて。
飼育不可能種に近いこのサメを水槽の主役に据え、困難な飼育にチャレンジしていることには賞賛と応援を送りたいと思う。
サメの話については、また。
ちなみにこの大水槽、フロアぶち抜きで1Fからも2Fからも見ることができるが、イワシの群れやヨシキリザメを見るなら、2Fがオススメだ!!

仙台うみの杜水族館のもうひとつの“顔”となるのが、イルカショーだ。
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宮城県では初のイルカショーとなるだけでなく、東北地方ではイルカショーを見られるのは青森の浅虫水族館のみと、これまた貴重な存在。宮城の人たちからすると、待望の、かも知れない。
プールと客席の間には、アクリルも柵もないので、とても近く感じられるのがいい。
そのため、ショーの時はできるだけ前の方に座った方がその魅力を感じやすいと思う。
心配される水飛沫も、オレは一番前の席で観ていたけれど、ほとんど濡らされることはなかった。たまたまかも知れないけど。

新たにオープンした水族館のイルカショーというと、イルカがこなせる技が限られショーとしてはかなりグダグダなものも多いけれど、ここのものは違った。
運営を手掛ける八景島シーパラダイスからやってきたイルカたちは、仙台に来るよりずっと前からトレーニングを開始。仙台へも早々にやってきて、新しいプールでのトレーニングをスタートしていたため、ちゃんとショーとして成立するレベルに仕上げられている。
完全な状態を100とするなら、60~70くらいのレベルには達していると思う。
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ショーにはアシカも登場するが、それらも5月10日まで松島でショーを行っていたベテランたち。安心して? 楽しませてもらえる。

ピラルクー水槽と、亜南極種のペンギンが暮らす水槽など、観覧通路が明るすぎて水槽内が見にくいなど、残念に感じた部分も無くはなかったけれど、何れにせよできたばかりの水族館である。
残念と感じる人が多ければ、この先対策されていくのだろうし、水槽の展示も変化、発展し、もっとよくなっていくのだろうと思う。
余談ながら、ピラルクー水槽は天気の悪い日の(暗い)方が見やすいと思う。大水槽やイルカショーは晴天の日がオススメなので、どっちを取るか、なんだけど…

水槽や展示の進化、発展も含め、この先もずっとワクワクさせてくれそうな新水族館だ。
館内にはかなりちゃんとしたフードコートもあるから、1日掛けて水族館を堪能する!! なんて人でも大丈夫。

ただし、しばらくは相当の混雑を覚悟した方がよさそうだけど。
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