SSブログ

S.E.A.アクアリウムの気になる魚 Vol.2(知ってたけど見たことなかった魚編) [海の魚]

S.E.A.アクアリウムでは知らない、見たことない魚に数多く遭遇できた、という話は前回のブログに書いた通り。
それまで見たことなかった魚でも、何これ!? こんな魚知らないぞ、というのと、名前や姿形は知っていたけど、実際に見たことはない、というものとがある。
今回は後者。知っていたけど初めて見る魚たち。知っている≒見てみたい、であることも多いので、実際に見られたことが嬉しかった魚たちでもある。

最初の1匹はイエローテールスナッパー。
01.jpg
ひとつ前のブログに登場させた、ヒシカイワリと同じ水槽にいた大西洋産のフエダイ科。
産地の関係もあるのか、北米の水族館にはよくいるようなのだけど、日本の水族館で見たことはなく、その特徴的な姿形から見てみたい魚のひとつだった。
これが北米の水族館でなら、施設によっては見飽きるほどいたりするのだろうけど、そこは大西洋が遠いシンガポールの水族館である。
個体数はそれほど多くはなかった。でも、見せてくれてありがとう!! である。
これがいた水槽は円柱形で、水流もかなり強そうだったが、そんな水流もものともせず、力強く泳いでいた。見るからに遊泳力強そうだし。

見てみたかった憧れの魚と言えば、ホグフィッシュ(Lachnolaimus maximus)に会えたことも嬉しい収穫だった。
02.jpg
イエローテールスナッパーと同じく大西洋産の大型ベラで、インパクトある姿形が最高に魅力的な魚だ。
やはり大西洋側の水族館ではしばしば展示されているようで、いつか見に行きたい!! と強く思っていた魚だった。
日本の水族館では展示されていないが、観賞魚として日本に輸入されることもあるらしく、葛西とかサンシャインとか、カリブ海水槽があるどこかの水族館で展示してくれることを密かに期待していたりもしていたのだけど…… ひとまず念願は叶った。

S.E.Aアクアリウムにいた個体は、葛西風に言うところの“イニシャルフェイズ”。まだ先がある状態。
どうせなら、“ターミナルフェイズ”の状態で会いたかったが、贅沢は言うまい。
動きはナポレオンフィッシュ的なゆっくりしたものなのかと思っていたが、それよりは慌ただしく、同じコースをずっと泳ぎ回っていた。そういう魚なのか、はたまた個体の性格なのか。
それも含め、また別の個体も見てみたい。あらためてそう強く思った1匹だった。

ホグフィッシュがいた水槽は、サンシャイン水族館にあるのと同じようなカリブ海の水槽だったんだけど、そこには何種類か“カリブのイサキ”が。
そのうち、見たことがなかったのがスパニッシュグラント(Haemulon macrostomum)。
03.jpg
かなり大きい立派な個体ではあったのだけど、こちらはホグフィッシュに目が釘付け。
それでも水槽の前の方、目立つ位置に出てきてくれるので、その度にカメラを向ける、そんな感じだった。
日本の水族館では見たことがないし、S.E.A.アクアリウムでも1~2匹しかいなかったけれど、例えばフロリダのどこかの水族館にでも行けば、前出のホグフィッシュやイエローテールスナッパーも含め、山ほどいるんだろうなぁ。
シンガポールで遠くアメリカに思いを馳せるひと時。
とは言え、これら3種はシンガポールから遠くの大西洋の魚たち。ホント、見られる機会を与えてくれてありがとうとしか言えないよね。

S.E.Aアクアリウムにはゾウギンザメもいる。
真っ青な照明の円形のベアタンクで、正直、見慣れたサンシャイン水族館の水槽の方が良く見えるような気がしたが、ゾウギンザメそのものに見逃せない理由があるのだ。
04.jpg
サンシャイン水族館や海遊館で展示されているゾウギンザメはオーストラリア産のCallorhinchus milii。
S.E.AアクアリウムにもC.miliiはいる。だが、それとは別に南アフリカ産のC.capensisも展示されているのだ。これこそ注目の1匹という訳。
日本でのゾウギンザメの展示はサンシャイン水族館が初ではなく、かつて葛西臨海水族園でも展示されていたことがあったらしい。その時のものは南米産のC.callorynchusだったそうで、オレが知る限りでは南アフリカ産のC.capensisは日本で展示されたことがないと思われる。
とは言え、見た目には見慣れたC.miliiとほとんど、というかまったく同じ形をしていて、違いと言えば、C.capensisは柄がない、あるいは薄いくらいで全体的に銀色っぽいことくらい。
そのため、初めて見たというのに、猛烈な感動…… みたいなことはなかったのだけど、これもまぁ、遠く南アフリカまで行かなければ見られないはずの魚なので、こんな魚、見せてくれてありがとう!! なのである。

最後の1匹、ケルプの水槽にいたゼブラフィッシュ(Girella zebra)。
05.jpg
オーストラリア南部に生息するメジナの仲間。
オーストラリア産なのに、何故だかアメリカ沿岸? みたいな水槽にいた。
日本のメジナと同属ということもあり、形は比較的よく見知った感じ。でも、体色は何ともエキゾチック。この体色のせいだろうか。ちょっと可愛く見える(笑)
この魚も海外の水族館の画像などで見たことはあったけれど、生きたものを見たのはもちろん初めて。
今回ここに並べた上の4種類よりは近いものの、やはり遠くから来た魚を生息地外で見る不思議な感覚。
やっぱり、遠くのこんな魚、見せてくれてありがとう、だな。
nice!(1)  コメント(2) 

S.E.A.アクアリウムの気になる魚 Vol.1(知らなかった魚編) [海の魚]

海外水族館に行く最大の楽しみは、日本では見られない魚が見られること。
正直、シンガポールの水族館にはその点、それほど大きな期待はしていなかった。
沖縄なんかで見られる魚と同じような種類が多いのだろう、そう思っていたからだ。
しかし、実際は…… 世界中から魚を集めてきましたと言わんばかりのコレクションで、シンガポール周辺エリアの魚もいたにはいたが、それ以外の地域の見たことない魚たちにも多く会うことができた。

知らない魚との遭遇は、入館してすぐ。最初の水槽から始まった。
水中トンネルでアカメモドキを見つけ、その姿を写真に収めようとしていた時のこと。
目線の端で、ヨスジフエダイが何匹か泳いでいくのが見えた。すると、その後を追う、やけに色の濃い個体が。
「ん!?」と、その魚が泳ぎ去った方へと追いかけていくと、見知らぬフエダイ。
001.jpg
何だこれは!! と、あらためて調べてみるとスパニッシュフラッグスナッパー(Lutjanus carponotatus)という種類らしい。
アミメフエダイにヨスジフエダイ感を足したみたいな感じのフエダイで、茶色の縦縞模様が特徴的。東南アジアに広く分布している種類らしい。でも、その分布域は沖縄周辺までには達していないのか、日本の水族館では見たことがない。
入館後いきなりの“見たことない魚”との遭遇に、嬉しさとこの先の期待感が高まったのは言うまでもない。
この感覚、海外水族館ならではの醍醐味だ。

順路を進んでいったところにあったサンゴの水槽。
どうやらその水槽は見たことなさそうな魚が多くいるような感じ。その中でも真っ先に目に飛び込んできたのが、黄色いサンゴアマダイの姿。
002.jpg
大きさは12~13cmほど。それほど大きくはないのだけど、何せこの色である。
この水槽が目に入った瞬間から、その存在に気付くほど目立っていた。
イエロータイルフィッシュ(Hoplolatilus luteus)というらしく、観賞魚として日本へも入ってきているようなので、日本でもどこかの水族館にいるかも知れない。
ただ、オレはこの魚を日本の水族館で見たことはない(と思う)ので、オレとしては初めて見た、で間違いないと思う。

さらに順路を進んでいくと、フロアぶち抜きの円柱形水槽が。
そこには黄色いヒレのアジが群れで泳いでいて、そういう展示をした水槽なのかと思いつつ近づいていくと、アジの群れを掻き分けるようにギラギラの体の大型アジが姿を現した。
003.jpg
長く伸長した背ビレと臀ビレ、ギラギラした体、そして角ばった頭に、裂けた大きな口…… オキアジみたいな悪人顔だ。何これ!? 見たことないぞ!!
帰って調べてみると、ヒシカイワリだと分かった。和名のある種類とは思わなかった!!
日本近海での漁獲記録はあるようだが、成魚の記録はないらしい。
見たことない魚≒知らない魚だったりするので、初めましてな1匹だったのだけど、この水槽以外にも、大水槽など複数の水槽でその姿が見られた。
大型種ではあるが、ロウニンアジほど巨大化しないらしい。
日本では見られない大型アジ。これを見られた(知れた)のは大きな収穫だった。

大水槽で行き交う魚を眺めていると、丸い形の見知らぬ魚の姿を見つけた。
見るからに“見たことない感”全開の特徴的な体型。
何だあれ!? 顔つきからタイ科? と思ったが、どうやら違ったらしい。
ユウダチスダレダイというスダレダイ科の魚だった。
004.jpg
ヒシカイワリと同じく、和名があるのに、日本では記録がある程度の珍種で、展示している水族館は現在はない模様。
もちろんオレも見るのは初めて。何でもこのユウダチスダレダイ、台湾あたりでは漁獲されているらしく、それなら沖縄あたりでも獲れてよさそうなのに、日本では希種。
日本人には珍しい魚がここには沢山。多分、シンガポールの周辺では普通に見られる種類なのだろうと思う。
姿形が独特なので、特別なものを見ている感があるのもいい!!

順路を進み、水深のあるケルプの海の冷水系水槽。
葛西にもあるような水槽で、カリフォルニア周辺、東部太平洋をイメージした水槽のようなのだけど、入っている魚種は違っている模様。ついでに、ケルプは本物ではなかった。
そこには見たことのない魚がいくつかいたんだけど、そのひとつがハーフムーン(Medialuna californiensis)
005.jpg
タカベ科の魚らしい。結構大きくて、あんまりタカベなイメージではないけれど。

最初、「何だこの尖ったヒレしたイスズミみたいな魚は!?」と思いながらも、過去の記憶を必死に思い起こす。
どこかで見たことなかったっけ? 葛西にいた? 海遊館のニュージーランドの水槽にいたかも!? 等々。しかし、見た記憶はない。
魚名板もあるんだけど、デジタルパネルで5種類ずつくらいが表示され、それが目まぐるしく変わっていくタイプ。その前で知りたい魚の情報が出てくるのを待ち続ける必要があり、しかも、出てこないこともあった。
結局、家に戻ってから調べなおしたのだけど、どうやら見たことがない魚らしかった。

種小名からカリフォルニア周辺に住まう魚だということは分かるけれど、こういう地味で観光客受けしなさそうな、しかも冷やさなきゃいけない魚を展示するってスゴイよね。
シンガポールからは遠いところの魚を、これまた生息地からは遠いところから来た人間が初めて見る。
何だか不思議な体験だね(笑
nice!(1)  コメント(0) 

S.E.A.アクアリウム(シンガポール) [海外水族館インプレ]

デカい!! とにかくデカい。
S1.jpg
2012年のオープン時には世界最大の水族館だっただけあって、その規模は半端じゃない。
一般的な日本の水族館3~4つ分くらいありそうな規模で、大水槽は3つもあるし、普通に見て回るだけでも疲れてしまうくらいのボリュームの巨大さ。順路を進んでも進んでも、まだあるの!! みたいな感じ。しかもそれが水槽展示だけで、である。
実際、総水量は美ら海水族館や海遊館の4倍以上もある。もちろん、オレがこれまで行った水族館の中では間違いなく最大規模の施設である。
入館料は41SD(約4200円)と日本の一般的な水族館の1.5~2倍くらいするけれど、水量あたりの料金はむしろお得と言えるかもしれない。

当然、その規模だからして、展示も世界中の魚が揃っているような感じで、場所柄か、暖かい海の展示が多いものの、冷水系、深海、クラゲ、淡水などちょっとずつ幅広く揃っている。それぞれのカテゴリーに特化、注力している施設に比べればそこまでの専門性はないものの、まぁ、ほんと、何でもいる、みたいな感じ。
その一方で海獣類の展示は少なく、イルカがいる水槽があるだけ(それも超巨大)で、鰭脚類やペンギン、意外にもウミガメもいない。
館を通しての展示テーマなどは特にないようで、大きい水槽にその傾向が強いのだが、魚の産地などにはこだわっていない模様。海、淡水ともにシンガポールにまつわるような展示はない。
例えば、順路の最初と最後に登場する大水槽はシンガポール周辺海域を意識した展示なのかと思いきや、大西洋の魚も入っていたりする。
S4.jpg
日本の水族館は、その施設がある地の海なんかをテーマに掲げていることが多いけれど、ここはそういう博物館的な役割よりも、世界から来る観光客のための“国を代表する観光スポット”という役割の方が大きそうだ。
だから、地元に即した展示よりも“世界最大”みたいな分かりやすいステータスが重視されているような印象で、水槽を泳ぐ魚も、大きな水槽を満たすだけとにかくいろんな魚を集めました、みたいな感じ。そのチョイスにテーマ性やコンセプトみたいなものは感じなかった。
S2.jpg
メインの大水槽は1万8000tもの容量があるらしいのだけど、それだけの大水槽でもジンベエザメを入れていないことには感心した。日本だとこの1/10ほどの容量しかない水槽でもジンベエザメを入れてしまっているので、狙いがあるのか、たまたまなのかは分からないけれど、節度ある感じ? は非常に好感が持てた。
余談だが、大水槽の奥には四角い窓が並んでいるのが見えるのだけど、それは「オーシャンスイート」という5つ星ホテルの客室だそうで、部屋から大水槽を堪能することもできるらしい。

先にも書いたように、イルカにも驚かずにはいられない超巨大水槽があてがわれていた。
S5.jpg
水族館とは別に、イルカおさわり施設が他にあるようで、そこと連動したイルカ水槽のようなのだけど、とてつもなく広い水槽にたった3頭しか入ってなくて、もしかして海外水準だとイルカ3頭はこの広さが必要なのか!! と大いに驚くと同時に、いろいろ考えさせられた。ここも日本の水族館が見習うべき部分なのだと思う。

大水槽以外の水槽もまさに世界各国の魚が揃う、みたいな感じ。
薄く、広く、ではあるのだけど、カリブ海とか北太平洋とか、シンガポールから遠く離れた地域の魚もいたりして、それらの中には日本の水族館では見られない種類も多く、ここで初めて見たという魚も多かった。
水槽の数も多いが、人気なのはやはり大きな水槽で、その周辺やトンネルは混雑していることが多い反面、そうした人気の水槽の周辺にある水槽のいくつかは、そこまで手が回らなかった? のか、力を感じない水槽もいくつかあった。これだけの規模になれば、やはりすべての水槽が最高とはいかないのかも知れない。

シンガポールを代表する観光スポットのひとつだから、混雑を覚悟していたのだけど、平日だったからなのか、思ったほど混雑しておらず、来ている人たちの観覧マナーもいいので、しっかりじっくり水槽を見ることができた。
オレは開館から閉館くらいまでいたが、館内には高級なレストランもあるし、メインの大水槽前でも軽食が販売されているから丸1日、水族館から出なくても大丈夫だ。とは言え、食事の選択肢は外の方が多く、再入場も可能なのでオレは外で食べたけれど。

シンガポールの水族館と言えば、かつて、アンダーウォーターワールドという別の水族館があった。奇しくも、S.E.A.アクアリウムがあるセントーサ島に、である。
かつて行ったことがあるのだけど、こじんまりした水族館だった記憶がある。
S.E.A.アクアリウムができて、2か所回れるじゃーん!! なんて思っていたのは過去の話。
2016年に閉館してしまったらしいのだけど、同じ島内にこんな水族館ができてしまったら、古く小さな水族館が生き永らえるのは無理な話。
今となってはセントーサ島では1か所のみの水族館となってしまったが、こんな超巨大水族館なら、ひとつでも十分。
もし、今でもアンダーウォーターワールドがあったとしても、1日で両施設のハシゴはオレには難しかったような気がする。
S3.jpg
でもまぁ、この巨大さだけでも一見の価値ありだと思う。
nice!(0)  コメント(0)