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四国水族館の目玉!? マダライルカ [鯨類]

四国水族館では現在、イルカショーは行われていない。
現在のコロナ禍がある程度落ち着いたと判断されるまで再開はないかも知れない。
イルカたちのトレーニングは続けられているようで、タイミングが良ければその模様を見られるかも知れないという程度。
1日も早く、これまで通りにイルカショーを楽しめるようになることを願いつつ……

オープン直前の四国水族館に行った時のこと。
オレと同じく取材に来ていた人たちが一斉に水族館内に流れ込んでいくのを見て、「先にイルカを見に行こう」と、入場ゲートから見える階段を上がり、上階にあるイルカプールへ。
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プール周辺に取材者はおらず、そこにいたのは何かの作業をしていた何名かのスタッフの人たちのみ。
そんなところへ、荷物を抱えてやってきたひとりのスタッフ氏と目が合った。

驚いたことに知ってる人だった。
イルカトレーナー業界では有名な、レジェンド系トレーナーのひとりであるその人とは、不思議なご縁があるようで、かつてそのトレーナー氏が勤めておられた施設で声を掛けていただいて以降、その水族館以外の場所で偶然遭遇する機会が何度かあり、できたばかりの四国水族館でも、そのまた何度めかの遭遇機会が訪れた。
退職されたとは聞いていたけれど、まさかここで会うとは!!

イルカトレーナーとして豊富な経験を持つ氏も、マダライルカを手掛けたのは初めてだったそうで、挨拶もそこそこに「いや~、ここまで来るの、ホント、大変でした」と話してくれた。
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臆病で神経質なマダライルカは、トレーニングを始められるようになるまでに数カ月の時間が必要だったそうで、ショーで一般的なバンドウイルカやカマイルカが野生由来の個体でも比較的すぐにトレーニングできるようになるのに比べると、そこに至るまでの大変さが桁違いなのだという。
今でこそ、四国水族館を含め、日本で4ヵ所の施設で見ることができるマダライルカだが、以前は生きて展示することすら難しいとされていたのだから、さらにそれをトレーニングしていくとなれば、イルカトレーニングなんてしたことがないオレでもその大変さは想像できる。

スタートラインに立つまでは大変でも、そこからの進み方は他種とも大きくは変わらないらしい。しかし、臆病で神経質な性質が災いし、何かに驚いたり、怖がらせてしまうようなことがあると、途端にトレーニングは後退。一気に振り出しまで戻ってしまうみたいなこともあったようだ。
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水族館ができるよりずっと前から準備が始まり、ある程度のトレーニングを経たイルカたちを水族館のプールへ。
しかし、それまでの環境から変わったことで、再びトレーニングレベルは後退。プールや周辺の環境に慣らしつつ、開業日に向けたトレーニングが続けられた。
お客で賑わうプール周辺を怖がらないようにするため、トレーナー以外の人にプール周辺を歩き回ってもらうこともあったそうだ。
その甲斐あってか、オレが行った日のマダライルカたちは、プール周辺の知らない人たちを気にするそぶりもなく、普段? 通り、遊び回っていた。
しかし、その後の長い休館である。途中、限定的な開館があったとは言え、静かな環境に慣れて、人がいっぱいいるの怖い!! となってしまっていないだろうかと心配になった。
まぁ、ショーが再開できるようになるまではもう少し時間が掛かりそうだし、ショーは行われていないとは言え、開業している現在はプールの周辺にイルカを見に来る人も多いはず。きっと、そのくらいのことに驚かないイルカたちに成長していることだろう。

プレイングタイムと銘打たれたショーは、3月半ばの時点では、イルカがどうやって技を身に付けていく(ショーが作られていく)のか、そのトレーニング方法をできる技を交えながら紹介するような内容だった。
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言わば、公開トレーニング。
時間を掛けて準備されてきただけあって、イルカたちはすでにいくつかの技を身に付け、それが披露された。
しかし、その時はまだ集中力が低く、トレーナーの前から離れて他のイルカと遊び始めてしまったり、特別怖がりだという子はトレーナーから離れた位置でポジションを取っていたり、まだまだトレーニングのさなかにあることが見て取れたし、ジャンプ系の技もまだ高さが低かったり、集団で飛ぶにしても、飛び出す位置がバラバラだったりと、芸術点? は高いとは言えなかった。
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しかし、オレが見たのは3ヵ月も前のこと。それ以降もトレーニングは続けられていたはずだから、イルカたちの技は、オレが見た時よりも確実に洗練されているはずだ。
ただ、先にも書いたように、現在、イルカのプレイングタイムは休止中だ。
どれだけできるようになったか、確かめることができないのが何とももどかしい。

イルカショーは、イルカの持つ潜在能力を分かりやすい形で見せるための“展示”である。
それを通して、イルカが持つ基本的な能力だけでなく、バンドウイルカやカマイルカ、オキゴンドウなどの動きの違いとか、得意不得意など、種類や個体による違いなどを知ることができた。
そこに四国水族館のマダライルカが加わったことで、知られざる可能性や能力を知る機会が増えたことになる。
これまですでに、その可愛さとか魅力は十分見知ってきたつもりだが、それまでとは違った魅力を発見できる機会が増えたことを歓迎したい。
あとは1日も早く、それを楽しめるようになる日が来ることを願うばかりだ。
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四国水族館(香川) [水族館インプレッション]

遂に、四国水族館がオープンした。
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この日を待ち望んでいたという人も多かっただろうと思う。
本来のスケジュールなら、2ヵ月以上前にオープンしていたのだ。
今頃は「楽しかった」「あの水槽がよかった」とか「期待していたほど楽しくなかった」という意見もあったかも知れない。
しかしようやく、新しい水族館を話題にできる日が来た。
まだ“心おきなく”という状況ではなけれど、ひとまずはオープンしたことを喜びたい。

オレが行ったのは、3月20日のオープン前に行われた記者発表会。
その時の速報レポートはほとんど意味をなさないものになってしまったが、その時点では数日後のオープンに向けた準備がしっかりと進められており、後は観客を待つのみの状態に仕上げられていた。
それでも中には、セットしたばかりで、ベストな状態とは言えないような水槽もあったけれど、そこから2ヵ月以上の熟成期間が発生してしまったことで、オレが見た時よりも確実に水槽はよくなっているはずだし、イルカたちの修練度も高まっているはずだ。
つまり、3月20日オープンで見る水槽よりも、“より良い”ものが見られるはずなのだ。

四国最大の水族館だが、所謂、巨大水族館というほどではない。
しかし、入館すると、中で迷子になってしまいそうな、すぐには全体構造が分からないような作りになっている。
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何しろ、すぐに水槽が目に入らない。建物の奥に向かって暗く、広いフロアが広がっているのだ。そのフロアにも、というか、各所に階段があったりして、そこを上がってみると「あれ!? こんな水槽見てないぞ」みたいなこともあった。

四国各地の水景が再現された展示水槽はそのフロアから枝分かれした展示ゾーン内に収められていて、それぞれテーマに沿った展示がなされているが、明確な順路はなく、広いフロアから好きなゾーンを好きなタイミングで見に行けるような作りになっている。

水槽の数は全部で大小70。展示されているのは四国の水景。
四方を海で囲まれた四国は、さまざまな海の環境があり、また、そこに注ぐ川には、四万十川を代表するような清流も多く、そんな多様な水景が水槽内に再現され、そこから四国を感じられるようになっている。
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目玉生物は置かない方針だそうで、“日本でここだけ”みたいなものはいないが、四国にいないペンギンやアシカなどはいたりする。

水槽も特徴的だ。周辺が額縁のようになっていて、暗い館内の雰囲気もあってまるで美術館のよう。
壁に掛けられた絵画を観賞するかのような感じ。
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「四国水景」が展示テーマの施設だけに、水槽や中の生き物というより、生き物も含めた四国の水景を絵画を楽しむように観賞する、というのがこの水族館が提案する楽しみ方なのだろう。
そのせいか、魚名板など水槽周辺の情報も最小限。そのあたりも美術館風とされている。

屋外ゾーンにはショーも行われるイルカプールがある。
残念ながらショーは再開されていないが、オレ的にはこのショーこそこの水族館の“目玉”だと勝手に思っていたりする。
水族館のイルカショーと言えば、バンドウイルカが一般的だが、ここではマダライルカがその役を担う。
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マダライルカは日本で4ヵ所でしか展示されていない比較的珍しい種類だが、それがショーを、日常的に行うとなると、相当珍しいことと言っていい。
神経質で臆病な種類ということもあり、トレーニングは相当大変だそうで、3月半ばの時点ではまだ完璧とは言えない仕上がり具合。
そのため、披露されたのは完成されたショーというより、こうやってショーを作っています、みたいな公開トレーニング的な内容のものだった。名称もショーではなく「プレイングタイム」となっている。
そこから2ヵ月以上が経過しているので、オレが見た時よりもイルカの技はずっと洗練されていると思うが、まだしばらくは、行く度に“前回よりうまくなった”イルカたちの成長具合を楽しめることだろう。早く世の中が落ち着いて、早くショーを楽しめるようになることを願うばかりだ。
でも、日本でほぼ唯一と言っていいマダライルカのショーであることを考えれば、現状でも十分に驚くに値するし、オレ自身、オープンのニュースを聞いて、イルカたちの成長ぶりを見に行きたい!! と思っている。コロナ、早く落ち着け!!

ショーが行われるのは上階、サンセットデッキと名付けられた観覧席から見学するようになっていて、ショー以外の時間もそこからイルカたちを見ることができるが、入館してすぐ、水族館入り口とは反対の側にある「海豚ホール」からは、プールを水中から見ることもできる。

先にも書いたように、県をまたいだ移動はまだ避けた方がいい時期なので、オープンしたからすぐに駆け付ける、という訳にはいかないし、ショーでのイルカたちの活躍ぶりも楽しめないのがもどかしいが、図らずもできてしまった“熟成期間”によって、展示はさらに良くなっていると好意的に捉えたい。無理やりだけどね。
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