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水族館に魚名板は必要か!? [雑談]

今年(2020年)新たにオープンした四国水族館、DMMかりゆし水族館、カワスイ 川崎水族館に共通する特徴……

それは“魚名板がない”こと。
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四国水族館の水槽。解説などは水槽横の白く光っている部分のみ。

厳密に言えば無い訳ではなく、四国水族館は伝える情報を限定して表示。DMMかりゆし水族館は専用アプリで、カワスイ 川崎水族館では水槽下のQRコードを読み込む、という方法で展示生物の情報を得られるようになっている。
アプリのダウンロードやQRコードを読み込ませるなどのアクションが必要だが、一応、情報は用意されている。
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カワスイ。水槽下にQRコードが載っているのが分かるかな?

しかし、この“魚名板がない”という試みは、好評ではないようだ。

振り返れば、かつてアクアパーク品川がオープンして間もない頃、当時はエプソン品川アクアスタジアムだったけれど、やはり魚名板がなく、展示種が知りたい人には飼育魚種が載ったパンフレットが配られていた。
そのスタイルは比較的短期間で終了してしまったような記憶があるから、その時も評判がよくなかったのかも知れない。

魚名板がないことの不満、その理由をざっくりTwitterで探ってみたところ…

シンプルに“魚の名前を知りたい”というものから、寂しい、つまらない、など。
また、水槽の中の生き物を蔑ろにしているように感じる、とか、水族館は伝える場所なのだから、魚名板がないことは本来の役割を放棄しているのと同じである、などの意見もあった。
また、専用アプリやQRコードは“面倒くさい”という意見も多く見られた。まぁ、そうだよね。実際、それらを使ってまで展示種名を知りたいという人はそれほど多くなさそうな印象だ。
そのせいか、カワスイでは水槽に直接、マジックで種名を書き込むという雰囲気も見やすさもぶち壊しにする暴挙に出ているらしい(笑)

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一般的な魚名板。

水族館に来る人の多くは、水槽を泳ぐ魚と、魚名板を交互に見ながら絵合わせをする。
水槽前でよく見掛ける、ごく一般的な水族館の楽しみ方だ。
魚の名前が知りたい訳ではなくても、魚名板がなければ、そんな楽しみ方はできなくなってしまう。
つまり、上記3施設ではこれができない。

しかしながら、魚名板はともかく、水槽周辺にある解説などの掲示物はほとんど見られていないという調査結果もあるくらいで、見ている人でもその内容まで持ち帰る(頭に入れる)人なんてほとんどいないらしい。
このあたりの話は、竹島水族館小林館長の著書でも色々と触れられている。

だから、魚名板や解説を重要と考えている人がそんなにいることが、ちょっと意外だった。
もしかしたら、声を上げるのが無いことに否定的な人たちだけ、なんてこともあるのかも!?
案外、無くても困っていないという人も多いのかも知れない。

こんな例もある。
美ら海水族館の大水槽横で表示されている魚名板は、8種類くらいだけ。しかもその8種類はジンベエザメやマンタなど、むしろ魚名板の必要がない超主役級のみ。
魚名板がないのとほとんど変わらない。
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でも、新しい3施設みたいな不満を耳にしない気がするのは、メジャー種数種のみでも0ではないから、なのだろうか?

そこで改めて。魚名板、いる?

とは言えオレも、無くていいとまでは思っていない。あれば便利なのは間違いないから。
でも、無いなら無いでもいいかなぁ、と。とりあえず、絶対無くちゃダメ!! とまでは思っていない。
あるにしても、情報は種名、学名程度で十分。本やネットですぐに調べられるような内容の情報や解説は要らない。
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情報はこのくらいで十分だとオレは思う。

あと、用がある(見たい)ところが流れてしまうと、再び表示されるまで用のない画面を見続けなくちゃならないデジタル魚名板は正直、好きじゃないので、昔からあるようなシンプルなものがいい。
もし、知らない魚に遭遇したら…… その施設の人がいるなら聞くし、それが無理なら自分で調べればいいと思っている。
自分で調べると、適当に魚名板を見た時よりも、調べた対象のことがしっかり頭に残る。

あって当たり前の魚名板。それを無くす(表示しない)理由は色々あるのだろうけど、まずは“水槽まわりをすっきりさせるため”だろう。

そんなことのために!! と怒る人もいるかも知れないが、水族館ならではの事情もある。

水族館の展示物(生き物)は、水槽という光や周辺のものを映り込ませる性質があるものに隔てられた中にいる。
水が入っていようといまいと、展示物は、その対象を明るく、周囲(観覧通路側)を暗くするのが見やすくするためにはベターな方法だから、見やすさ(中の展示物をしっかり見せること)を考えれば、展示(水槽)に対して、観覧通路はなるべく暗い方がいい。
しかしそこに、文字数の多い解説などの掲示物をきちんと見えるように設置するとなれば、必然的にそれが見えるだけの明るさが必要になるため、水槽の見えやすさに影響が生じたり、それそのものが映り込みとなり、見にくさの原因にもなる。
それは本末転倒というものだろう。
そもそも、水槽周辺に掲示物などが色々あると、ごちゃごちゃしてるような印象を受けるし、掲示物によっては安っぽかったり、きたならしく見えてしまうこともある。
雰囲気を重視した施設や、見た目の綺麗さにこだわった水槽なら、それができるだけ綺麗に見えるようにしたい。そのために水槽周辺はできる限りすっきりさせたいと思うのも理解できる。

一方、水族館によっては独自に調査、研究などを行っているところもあるが、その中で得られた知見や研究結果などは何らかの形で伝えて欲しい、とも思う。
しかしながら、水族館だからできる生きた本物を見るというせっかくの体験の邪魔にはなってもらいたくない。
理想は、水槽とは別の場所に、そうした成果の展示があると(美ら海水族館とかアクアマリンふくしまみたいな)嬉しいのだけど、見る人が少ないと分かってるものに、そこまでする施設は…… あんまり無いんだろうなぁ……
タグ:水族館
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コメント 2

Kazu

魚名板問題ありがとうございます。訪れる人によって、魚名を知ることの意義も違うでしょうから、難しい問題ですよね。掲示してても、必ずしも全種類網羅して掲示できてるわけではなかったり、ネット検索して苦労して同定することもありますし、それが楽しみだったりなんだったり。デジタル掲示板は時間をとられるので私も苦手です。
by Kazu (2020-08-30 16:31) 

ミストラル

>kazuさん

基本的には“あるべきもの”なのだろうと思います。

でも、言われるように、すべての種類を網羅していないことも多かったりするし、魚名板のない魚の正体探しが楽しかったりする場合もあるので、これまた言われるように、何が正解か分かりにくいですよね。
by ミストラル (2020-09-05 12:51) 

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