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アルビノ・バンドウイルカ@太地町立くじら博物館 [鯨類]

白いクジラ(鯨類)。

空想の世界の話かと思っていたけれど、実在するものらしい。
実際、シャチやザトウクジラなどでは写真も紹介されているけれど、そういう話を見聞きした時には、まぁ、そういうのもいるんだろうなぁ、と、どこか遠い世界の、自分とは無縁な話だと思ってた。
でも、それが水族館にやってきたとなれば話は別だ。

以前のブログでも書いたけれど、1月18日、太地町のくじら博物館にアルビノのバンドウイルカが搬入された。
そのニュースに付随していた白いイルカの画像は不鮮明だったけれど、それでもオレを慌てさせるには十分すぎるくらいの威力があった。
かつて、同じくじら博物館にいた腹ビレイルカほどではないにせよ、それでも、とても珍しいものであることは間違いない。しかも、画像で見たシャチやザトウクジラとは違い、太地まで行きさえすれば、その画像の主に会うことができるのだから…

そして3月。友人の協力によって、無事、会うことができた。
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よく見知ったバンドウイルカでも、体色は見慣れたそれとは違い、一切の色、柄を持たない全身クリーム色で、眼は赤。完全なアルビノだ。
観賞魚などではアルビノ固定された品種も珍しくないものの、オレはそういう改良品種が好きではなく、あまりいい印象を持っていなかったのだけど、同じアルビノでも人の手を介していないものは、これほどまでに美しいものなのか!!  驚きだった。
泳ぐその姿には、ちょっとした神々しさすら感じた。

同じ水槽には、3頭のマダライルカと2頭のスジイルカが暮らしているが、中でもオスのスジイルカ、ホークとは特別仲がいいようで、じゃれ合っている時間も長く、くっついて泳いでいることが多かった。
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そもそも、スジイルカだって、飼育下にいるものはここにいる2頭だけ。アルビノイルカとスジイルカという組み合わせ自体が強烈に珍しく、貴重なものなのだ。

バンドウイルカとスジイルカでは、バンドウイルカの方が大きくなるが、アルビノ個体はまだ若いので、現時点ではホーク(スジイルカ)の方が少し大きい。
一切の色柄を持たない白一色の体は、本来の体のつくり、体型が通常色の個体以上に分かりやすく見えるようで、スジイルカやマダライルカなど小さくて細身のStenella属のイルカと比べると、全体的にがっしりとごつい印象。
今は小さくても、やはりそこはより大きくなる種類だから、ということなのだろうね。

水面上からも見ていたのだけど、呼吸時、噴気孔が開くと、内側がピンク色をしていて、そんな部分も「あぁ、アルビノなんだなぁ…」と実感させられた。
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遊びたい盛りの若い個体だからなのか、水槽内を勢いよく泳ぎ回って、体をぶつけ合う、少々荒っぽい遊び方が好みなようで、水中トンネルから見上げていても、ドスンドスンと体をぶつかる音が響いていた。見ていてちょっと心配になるくらい(笑)

一方、人に対しては、少なくともオレが行った3月初めの時点では、同じ水槽にいる他の個体ほどのフレンドリーさはなくて、何となく興味はあるけど、近寄っていくのはちょっと怖い、そんな感じ。
もっとも、人に馴れやすいバンドウイルカだけに、しばらくすれば、愛想を振りまいてくれるようになるんじゃないか、なんて期待している。

アルビノの赤目は、視力が弱く、遮光性が弱く、物が眩しく見えるものなのだそうだ。
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アルビノイルカがいるプールは屋根があるので、直射日光は射さないが、それでも日中は結構明るい。
プールで目をつぶっているイルカはよく見掛けるが、アルビノの子もしばしば目をつぶっていた。
また、手渡しで給餌する際も、餌との距離感や、正確な位置の把握が、通常色の個体と比べると苦手らしく、水面を軽く叩くようにして、音で餌まで誘導していると飼育スタッフ氏は教えてくれた。
くじら博物館のブログによれば、今ではしっかりスタッフ氏の前に寄って、顔を上げて餌を食べているらしい。それどころか、体に触れられるのを喜んだり、同じ水槽を泳ぐ魚を食べてしまったりもしてるらしい。バンドウイルカらしさが出てきているようで、微笑ましい、というか安心する。

赤い眼だけでなく、白い体も紫外線に弱い。
屋外のプールから、屋根のあるマナリウムの水槽へ移されたのも、紫外線の影響を考えてのものだったようだ。

耐紫外線や視力の弱さというハンデを抱え、さらに外敵から見つかりやすい真っ白な体色など、多くのウィークポイントを抱えたアルビノ個体が、今まで海で暮らせてきたという事実にはあらためて驚かされる。
イルカに限らず、アルビノなど色彩変異個体の自然下での生存率は低いと言われるが、水族館でなら、自然下でネックとなる部分の多くは解消される。あとはそこで長生きしてくれることを祈るばかりだ。
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何より、その美しい姿を見られたことに感謝したいと思う。
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コメント 4

タカ

おはようございます。

アルピノイルカ!神々しい美しさですね。
眼も赤く完全なアルピノ個体!
これは一度見てみたいです。

それにしてもアルピノ個体が自然界でよくここまで成長したなと感心します。
紫外線の影響の他に、目立つから外敵に襲われ易いし弱視から餌を捕食し難いとか様々な問題が在ったと思うのですが・・・。
やはり群れでの生活やエコーを使っての捕食が生存を助けたのでしょうね。

最近は水温も上昇しガーの活性も上がってきました。
我が家のブリードチャパシウスは人工飼料を食わないので
この夏に餌付かせたいトコです。
by タカ (2014-05-21 08:09) 

ミストラル

>タカさん

ゴメンナサイ!!
この記事の性質上、コメントは認証を必要とする設定にしていたのですが、そのチェックの方法が分からず、放置してました(汗)

仰るように、群れでの生活がよかったのでしょうね。
結果的に捕まってしまいはしましたが、とりあえず、捕食者には見つからなかったようです。
そんな幸運もあってここまで来たのでしょうから、両方の意味で見られてラッキーな存在ですね。

人工飼料?
そんなことが考えられるだけ素晴らしいです。
ウチなんて、冷凍魚さえ食べませんし、相変わらず食いには超ムラがあるので、飼ってる気がしないくらいですよ…
by ミストラル (2014-06-21 14:08) 

たけし

来週この子等と泳いできます\(^o^)/

アルビノて魅力ありますよね(^ ^)
by たけし (2014-07-14 08:50) 

ミストラル

>たけしさん

ようこそ。

常々行きたいと思っているのですが、簡単に行けない場所だけに、うらやましいです。
スピカ(アルビノ個体)は可愛い子ですし、楽しんできてくださいね。
by ミストラル (2014-07-17 12:26) 

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