東山動物園 世界のメダカ館 （愛知）

ひと通り回ったつもりでいた愛知県の水族館。
しかし、まだ1度も行ったことがない所が一カ所あった。
それは、東山動物園内にある世界のメダカ館。

行こうと思えば簡単に行ける所なのに、これまで足を運ばなかったのは、特別な目的がない限り、回る対象とはしていない動物園の展示のひとつという位置づけであることと、メダカなどの小型魚に対するオレの関心の低さがその理由。
愛知在住の友人に、太地に連れて行ってもらえることになったので、そのついでに見に行ってみるか。そんな軽い気持ちでフラリと東山動物園へと足を運んだ。

せっかく動物園に行ったというのに、動物たちの様子はほとんど見ることなく、まっすぐメダカ館へと向かう。

思った以上に立派な施設だった。

入館すると、メダカが泳ぐジオラマ風の巨大なアクアテラリウムに出迎えられる。

窓からの光は多少射し込むものの、植栽は基本的には照明で育成されている。
メダカ館で、自国のメダカを展示する水槽であるからして、もっとも贅沢な作りの水槽があてがわれていた。
そしてそのフロアの端にあったのが、海外のメダカの展示水槽群。

世界中（というかアジア）に生息するほぼ全種のメダカがここに並んでおり、まさに“世界のメダカ館”の名に偽りなし、と言ったところ。
しかし、館の主役とも言っていいメダカたちがいるのは、フロアの隅っこ。
そのひっそりとした感じに、凄いコレクションなのだから、もうちょっとアピールしようよ!!　と、その扱いが少々もったいなく思えた。

メダカ館たるメダカの展示は、この1Fフロアで完結。実は“世界のメダカ館”はここで終わりなのだ。
というのも、それ以降に展示されているものは、すべてメダカではないから。
つまり、残りはすべてオマケみたいなもの。
でもそのオマケがまた凄かった!!　むしろ、オマケの方が凄くて、それを目当てに買っちゃう雑誌やお菓子みたいに、オマケを目的に足を運んでいる人もきっといると思う（笑）

このメダカ館が紹介される際、登場する機会が多いのが1Fから2Fへ上がるスロープだ。

スロープの両脇には、上流から下流へと至る川の流れが再現されており、日本の淡水魚が展示されている。
ただ、メダカ館であるからして、ひとつひとつの水槽は小さく、その他の淡水魚水族館に比べると、少々物足りなく感じるかも知れない。
水草が植えられた水草は綺麗なものが多く、水の中にいる地味な小魚を眺めているよりも、上の階からフロア全体を眺めた方が綺麗さが堪能できるんじゃないかと思う。

2Fに上がると、小さな水槽がコの字型に配置された3つの小部屋があり、北中米、アフリカに住まうカダヤシの仲間を展示している。

小さな水槽に1種類ずつ入ったコレクションの数は膨大で、それをすべて見ようとすると、ここだけで2時間くらいはかかるのではないだろうか？
よくもまぁ、これだけ集めたものだなぁ、とひたすら感心させられてしまう。

ところで、メダカ館にどうしてこれだけカダヤシ類が展示されているかというと、メダカとカダヤシは以前は同じ仲間とされていたから。
今となっては目（もく）まで違う、縁もゆかりもない両者。そのため、メダカ館にこれだけ沢山のカダヤシがいるのは本当はおかしなこと。
パネルなどでそれも紹介されていたけれど、そこはもっと分かりやすく、ちゃんと紹介して欲しいなぁ、と、ちょっぴり気になった。

とは言え、そのコレクションは本当に凄い。
グッピーやソードテールなど観賞魚としても一般的な種類も多いグループだが、そういった品種化されたものは一切おらず、原種、野生種のみを展示しているのもこだわりを感じさせる。
ただ、惜しむらくは、その凄さが、多くの人に伝わりにくいこと。
ほとんどの人にとっては、一部を除き、地味で小さい小魚に過ぎないからだ。
オレもこの手の魚は門外漢だから、何がどれほど珍しいのかなど、ほとんど知らない。
そう考えると、これだけのコレクションは一体誰に向けたもの？　と少々疑問に思ってしまうのだけど、オレの知る限り、日本でもっともマニアックな水族館だと思う。

この手の魚のマニアならば、狂喜乱舞できるのかも知れないけれど、そうではない人がこの水族館で思い切り楽しむには、少し予習をしてからの方がいいかも知れない。
ただし、ここにいる魚の多くは、普通の熱帯魚の本には載っていないから、その時点で既にハードルが高い？
でも、本当に凄いよ。マニアな小型魚ファンなら、間違いなく楽しめると思う。
ただし、ボリュームも凄いので、動物園も見学しながら、となると、時間が足りなくなるかも知れない。

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