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規模では決まらない水族館の魅力 [雑談]

年に3回、お台場カルチャーカルチャーで開催されている「中村元の超水族館ナイト」
今年の2開催めとなる今回は、竹島水族館の小林学芸員がゲスト。
テーマは「ちいさな水族館の爆発力を学べ!!」

大きな水族館は、大水槽があって、イルカショーがあって、と、似たような構成、展示になっている園館もあって、後で思い返してみると意外なくらい印象に残っていないことも少なくない。
しかし、小規模水族館はテーマが明確だったり、個性的な所が多い分、大規模園館よりも印象深かったり、楽しませてくれる所が多いのだ。もっとも、どうしようもなくつまらない所もあったりするけれど…

竹島水族館もそんな楽しませてくれる水族館のひとつ。確かに、規模は大きくないものの、展示されている魚の種類数も多いし、アシカショーもある。少なくとも満足度においては、規模が大きいだけの水族館よりも高いと思う。
入場者数も多く、特に2011年のリニューアル以降は、大幅に集客を伸ばしている。
その成功譚の裏側にあった苦労話や、現在の躍進につながった取り組みなどが今回の小林学芸員の話の内容だった。
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ショー中の小林さん。

今でこそ民間の施設も多くあるが、かつて水族館というと、公営施設が大半を占めていた時代が長かったことが影響しているのか、教育施設とか博物館という肩書きを口実に、集客のための努力を怠っていたり、入館料を支払うお客に見せることよりも、研究所よろしく、生物飼育に重点を置いてしまうような飼育スタッフ氏もかつてはいたようだ。
話し手だった小林学芸員は、水族館業界に根付いたそうした慣例や風習を良しとせず、ある意味での開き直りや割り切り? で、歴史ある水族館の改革を主導してきた。
竹島水族館の今日の躍進は、それが功を奏したものと言えるのだろう。
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竹島水族館躍進の象徴的存在、さわりんプール。

場合によっては、少々刺激的に聞こえることもある小林学芸員の言葉だが、実際の竹島水族館展示はというと、ちゃんとしたものをちゃんと見せるという、基本に忠実な超正統派。
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どの水槽も、いつでもピカピカで、中を泳ぐ魚たちも綺麗。
見ていてとても気持ちがいいだけでなく、展示された対象をしっかり見ることができ、それを理解することができるのだ。
オレが竹島水族館が好きな理由もそこだ。

そもそも、水族館は、展示という形で海や水中世界、そこに住まう者たちを紹介する場所である。そのための魚や水槽が汚ければ、どんなに素晴らしい理念やコンセプトがあったとしても、意味がないとオレは思う。

竹島水族館の“ちゃんと見せる”という姿勢は、深海生物の展示にも見て取れる。
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深海生物というと、どこも真っ暗な水槽で展示していることが多い。
そういう環境に住まう生き物だから、それらしさの演出という側面もあるのだろうけど、暗い水槽ではそこで展示されているものがどんなものか、ちゃんと見えないことも多い。
また、水族館を訪れる観客は暗い水槽を好まないものだ。
エノスイでも美ら海水族館でも、珍しいものも数多く展示された深海コーナーでも、意外と空いているとは思わないだろうか?

でも、竹島水族館の深海生物水槽はかなり明るい。
もちろん、それ以外の水槽に比べれば多少は暗いものの、見るのに支障はない程度の明るさだったりする。
暗闇に暮らす深海生物にとっては、その明るさはいいことではないのかも知れない。
飼育法が確立されておらず、減圧の影響も受けている深海生物は水族館に搬入されてもすぐに死んでしまうことが多いが、同じ死ぬでも、見えにくい環境でも生き物に影響の少なささそうな方法で展示を続けるのが正しいのか、展示できる時間が短くなる可能性があったとしても、ちゃんと見せるのがいいのか。
どちらが正しいのかはオレには分からないけど、もしかすると、もう2度と見られないものかも知れないことを考えると、きちんと見せてくれる竹島水族館のやり方はオレには有り難い。
実際、その“ちゃんと見せる”という姿勢のお陰で、これまで数多くの激レア深海生物を見ることができているし。
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水族館は個人の趣味や、研究所ではない。
だとしたら、やっぱり“見せてこそ”でしょう。
自分たちの持っているもの(魚や機材など)を理解し、それをどう見せればどう伝わるのかを考え、それを実践してる。
だから竹島水族館は魅力的なんだろうなぁ、と常々思っている。

お台場でのトークショーを観ていて、何となく思ったこと。
小林学芸員は、水族館プロデューサー中村元氏の弟子なのだそうだ。
いつか中村氏がその道を退くような日が来たら、その跡を継ぐのは小林さんなのかなぁ、って。

そんな風に思った人は、きっとオレだけじゃなかったと思うんだけど…!?
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