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豊平川さけ科学館の気になる魚 [淡水魚]

ひとつ前のブログにも書いたように、豊平川さけ科学館は圧倒的にサケ・マス類の種類数が多い。とにかく幅広い種類が見てみたいという人にとっては、これほど適した施設もないと断言できるくらい。
しかも、最初の展示室にいる幼魚は、1つの水槽に1種類しか入っていないので、その他の種類と見間違うということが絶対にない。
ただ、大半の種類はこの展示室にいる幼魚だけなので、大きくなったらどうなるか、とか、成長するとどういう色になるのか、などは分からないのがちょっと残念。
しかし、食用などでメジャーな種類に関しては、地下展示室で見ることができる。

そんな展示室で気になったのはカワサバ。
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ヤマメとイワナのハイブリッド。サバのような柄から、この名で呼ばれているのだそうだ。
オレは見たのも初めてだったし、存在自体も知らなかったのだけど、釣り人の間では意外と知られている魚らしい。
展示されている個体も、川で捕獲されたものと表示されていたが、本来、イワナとヤマメは混生せず、同じ河川でも生息域は異なっている。
だから、本来ならハイブリッドができる可能性はきわめて低い。属も違っているし。
しかし、イワナの生息域へのヤマメの放流、また、その逆などが原因で、こうした魚が自然下で発生してしまうのだそうだ。
魚の放流、とりわけ外来種への規制は厳しいけれど、サケ・マス類については何の規制もないのだろうか? 冷たく清浄な環境でしか生きられないとは言え、ほとんどのマス類は外来種だし、こんな魚が出現すること自体、一種の遺伝子汚染である。
カワサバ自体に生殖能力はないらしいのだけど、ちょっと考えさせられる存在だ。

北海道で初めて知ったと言えば、ミヤベイワナもそう。
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3月に千歳サケのふるさと館で見て初めて知ったのだけど、その時は北海道の然別湖にのみ住むオショロコマの亜種、という所までだったんだけど、その後、本などで調べてみて、基亜種のオショロコマよりも鰓耙数が多い、プランクトンフィーディングに適応した種類だということ知った。
そういう環境に生息しているからこその適応なんだろうけど、スゴイ!!
しかも、そこにしかいないと聞くと、より一層、特別なものに見えてくるような気がする。
さけ科学館にいたものは、やはり繁殖シーズンにあたるのか、黒っぽい婚姻色が出ており、各ヒレの棘条が白く目を引く。白い水槽で飼われているからか、色は淡いが、綺麗な魚だということは分かる。
だが、そんな姿とは裏腹に、水槽内では小競り合いが頻発。
大きな口を開けて他の個体にアタックしている様を見ていると、とてもプランクトンフィーダーには見えないのだけど…

あれだけの種類数が揃っている展示室だから、なかなか見られない種類の稚魚もいる。
例えば、レイクトラウトもそのひとつ。
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日本にも移入されたものがわずかに生息しているけれど、ほとんど見られないことは間違いない。
1mを超える大型種で、細長く尖った顔つきが特徴的な種類。
展示されていたものは、やはり7~8㎝ほどの稚魚で、その顔つきも、他と比べるといくらか尖ってるかな!? くらいな感じ。
長生きする種類な上、好適水温が10℃以下と低いので、ぐんぐん大きくなる感じではなさそうだけど、どんな風に成長していくのか見てみたい。
やっぱり、水槽で大きくなると、だんだん顔が丸くなってくるんだろうか?
でも、地下展示室の方にも大きな個体はいなかったようだし、展示室の水槽に入らないほどの大きさになった個体は、どこに行くんだろう?

大型の種類といえば、マスノスケもそれに当たる。
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帰り際、新千歳空港で寿司を食べたのだけど、そこのオススメの中に“根室産マスノスケ”とあったので頂いてみた。とても美味しかった。
脂の乗りもさることながら、何よりサケ本来の旨みが強く、回転寿司店によくある“サーモン”とはモノが違う!!
あんなに美味しいサケの寿司を食べてしまうと、もう普通のサーモンは食べられない。
流石はキングサーモンの呼び名は伊達じゃない!!

食べたのはさけ科学館に行ったより後だけど、実際、地下展示室から見える池にいた個体は、金色に光り輝き、色も綺麗だった。
同じ池にはギンザケもおり、似たような体型(顔つきがちょっと違う)の金銀が揃っていて、なかなか見応えがあった。
しかし、マスノスケはいずれの個体も、背ビレ、尾ビレに奇形があって、それが環境など後天的なものなのか、はたまた先天的なものなのかは分からないけれど、見る分にはちょっと残念に思えた。まぁ、食べる分には何の関係もないんだけどね。
でも、色の綺麗さはもちろん、あの美味しさのせいで、より一層気になる存在になったんだけどね(笑) また食べたいなぁ。

大型のサケ科魚類、しかも北海道ということで言えば、やはりイトウは外せないだろう。
イトウは積極的に養殖がなされている魚のひとつで、水族館では特別珍しいものではない。
そのため、さけ科学館にも大小様々なサイズのイトウがいるのだけど、ひとつ前のブログにも書いたように、顔が丸くて今ひとつカッコよくない。
だが、それがアルビノ個体というと、ちょっと事情が違うのではないだろうか?
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繁殖を繰り返していれば、出現する可能性はあるものの、自然下では育つことが難しいため、なかなか見られないアルビノ個体。
しかし、外敵がいない飼育下では育つことも、あるいは品種として固定することも可能なため、このアルビノイトウも既に固定化されているのかも知れない。
オレは話にこそ聞いたことがあったものの、見るのは初めて。
だが、やはりその顔つきは…

まぁ、こういう珍しい個体もいるよ、という話。

見られるものの種類数はとても多いのだけど、展示水槽はシンプルなベアタンクか、養殖池のどちらかという、非常にビジネスライクなもの。
管理を考えれば、それに勝るものはないんだけど、サケ・マス類の魅力を伝えるための展示であることを考えるなら、もう少し違った形でもよかったのでは? みたいに思う部分もあったけれど、多くの種類が見られるお得感、満足感は得られる。
食材としてもとても馴染み深い魚だから、切り身になる前の姿を眺め、感謝? して回るだけでも結構楽しめるんじゃないかと思う。
何しろ、これらはすべて無料で見られてしまうのだし。
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