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しものせき水族館 海響館 [水族館インプレッション]

今週から、通常の更新に戻します。
というワケで今回は、1月に行った海響館の話。海響館は津波等の被害等もなく、通常営業しているそうです。

オレが泊まった小倉から下関行きの電車に乗ってすぐ、門司という駅に着く。
停車するとすぐに、電気の切り替え? を行うとアナウンスがあり、車内の電気が消える。九州と本州では電車への電気の供給方式が違っているらしい。本州に住んでいる身でありながら、九州から入る本州というのは、何だかちょっと“違う場所”に行くようなドキドキ感があった。
門司駅を出発した電車は、関門海峡を渡って… と思いきや、駅を出てすぐに進入した長いトンネルを抜けると、そこはもう下関駅だった。
橋を渡るものだと思っていたのに、鉄道は海の下をトンネルで渡るらしい。

自分が住まう本州に戻る形にはなったものの、下関はおろか、山口県自体、来るのは初めて。とは言え、その余韻に浸ることもなくバスに飛び乗り、しものせき水族館 海響館へと向かう。
バスに乗ると10分ほどで到着。下関駅からは1.1㎞しかないとのこと。お陰で開館よりも30分ほど早く着いてしまった。
北風が吹きすさぶ中、水族館の裏手の関門海峡でも眺めようと歩いていくと、水族館の建物の全体像もじっくり見ることができた。
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資金力でも定評がある? 水族館だが、お金のある水族館は建物からして違うものだ。
これまた巨大で、見るからに高そう(お金がかかっていそう)な雰囲気。
建物の色合いこそ落ち着いたものとされていたが、曲線が組み合わされて形作られた建物は、まるで巨大な和菓子のようで、周辺の景色の中では異彩を放っていた。

入館し、順路に従いチューブ状のエスカレーターを上がっていくと、最初は関門海峡水槽に出迎えられる。
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水面が窓の外に広がる関門海峡と面位置に見えるように作られており、まるでその中に潜り込んでいくような感覚を味わえる。
水槽は3つに仕切られていて、右から日本海、関門海峡、瀬戸内海となっている。本州の端に位置する下関の海を分かりやすく再現したものだ。
しかも、狭い海峡で海流同士がぶつかり合うことで作り出される渦潮も水槽内に再現されており、正面の関門海峡水槽を眺めていると、突如、左の方から小さい渦潮が観客の方へ向かって流れてくる。

生き物ではないから、それに注目する観客はあまりいないように見えたが、これもまたかなりお金のかかった装備らしい。
魚は中央の関門海峡水槽以外は見にくくて、チューブトンネルになっている瀬戸内海水槽はともかく、右側の日本海水槽はかなり見にくい。中にお目当ての魚がいる場合は、少々残念な思いをしなくてはならないかも知れない。

大水槽の次に現れるのが、この水族館を象徴する世界一のフグ・コレクションだ。
詳細は次のブログに譲るが、短い区間にフグ目の魚ばかりいる水槽が並んでいるので、濃密に凝縮された感じがあり、フグ好きにはたまらないはずだ。
そんなにフグに興味がないオレだからなのかも知れないが、見たことがないようなものも多く、“へぇ~!!”と思わされたものもひとつやふたつではなかった。

関門海峡、フグと下関にまつわる展示に続くのは、魚の展示が中心のフロア。
しかし、そこには北海道のアザラシがいたり、アマゾンやサンゴ礁の水槽があったりと、そこだけは特に下関と関連づけられていない展示が行われていた。
ここにはそれほど大きな水槽はないものの、適度に環境再現がなされた綺麗な水槽が並ぶ。その中でオレが特に気に入ったのは、やはりと言うべきか(笑)アマゾンの水槽だ。
でも、ピラルクーがいるそれではなく(それも気に入ったんだけど)、小型魚と水草を展示した水槽の方だ。
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ピラルクーの水槽の話は、この先のブログに続けるが、アマゾンの小型魚水槽には色々とこだわりを感じさせられたから。
水草レイアウトが施された淡水魚の水槽は水族館でもしばしば見られるが、海峡館のものは、中の魚と水草のチョイスが並ではない感じなのだ。
主役はエンゼルフィッシュとディスカス。でも、エンゼルもディスカスも改良品種ではなくワイルド。しかもディスカスは、ヘッケルというチョイス。グリーンやブルーではなく、ヘッケル!! ものすごく綺麗な個体だったというワケではないけれど、わざわざヘッケルをチョイスしているあたりに、この水槽の担当者のこだわりを感じさせる。
その他、コリドラスやファロウェラなども“並”ではないチョイス。
果たして、そのこだわりがどれだけの人に伝わっているのか少々心配になるほど。
でも、エンゼルは、隣のピラルクー水槽の前からでも分かるほどの綺麗さ。観賞魚としてはあまりにもメジャーな魚だけに、それだけでも十分、一見の価値があるというものだ。

レイアウトはコケが出ていたり、一部まばらになっていたりする部分もあったから、完璧とは言えないのだろうけど、草がすべて南米産になっている点は評価したい。
水族館で見られる水草レイアウト水槽では、南米の魚が泳ぐ水槽でも水草が南米産のものでないことも多いのだ。南米産以外の強健種を一切使わず、ある程度の状態で維持、管理されているというだけでも、十分評価に値すると思う。とりあえず、この水槽を作った担当スタッフ氏には、是非、話を聞いてみたいと思った(笑)

規模の大きな水族館らしく、イルカ、アシカの海獣パフォーマンスももちろんある。
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水族館の規模から考えれば、小ぶりなプール、ショースタジアムなのだけど、客席からは関門海峡橋が見えたりなど、贅沢な水族館らしいロケーションも考えられた作り。
肝心のショーはアシカとイルカが同時に登場し、簡単なストーリーの合間に様々なパフォーマンスが披露されるという展開。
驚くほどの大技が繰り出されるワケではなかったものの、アシカの活躍によって要所要所に笑いが盛り込まれたショーになっていた。
とりあえず、ショーで中心的な活躍を見せる大きなオスアシカ、彼はかなり“デキル”ヤツなようだ。

ショースタジアムの反対側には、話題の新施設、ペンギン村がそびえる。
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建設費用や規模、エンリッチメント大賞の受賞等々、オープン以来様々な話題で盛り上がっているが、そうした評判に違わぬ施設だった。
というワケで、これも以降のブログに続く予定。

それからもうひとつ。とてもよかったのがバックヤードツアーだ。
ピラルクーの給餌の時に、解説してくれていた人に声を掛けてもらい、参加することにした。ツアーが始まった時、案内してくれたスタッフの人はこう切り出した。
「ボクは獣医です。だから、それに関係する部分の解説が増えるかも知れません。案内する人間によって、その人間が得意な部分を案内することになるので、今度来てもらった時には、また違った案内になってるかも知れません」
すごくいいと思ったのはまさにそこ。案内する担当が、その人の担当箇所などを案内し、その人流に解説をする。しかも、案内、解説する人が変わる度に、内容も変わるのだとしたら、行く度にバックヤードツアーに行きたくなるという意味でも。
案内してくれた獣医さんは、調餌室や水槽の裏側の他、病気の動物を診察する部屋で、医療器具や薬について、色々聞かせてくれた。
まったく知らない分野の話だし、水族館のバックヤードツアーでもあまり案内される場所ではないから、初めて聞くような内容ばかりで、そのひとつひとつがとても興味深いものだったので、実に楽しい数十分だった。
もし、今後、海響館に行く機会があった時にも、バックヤードツアーだけは必ず参加しようと思ってるくらいだ。

規模の大きな水族館なので、特筆すべき内容が多いのは仕方がないけれど、フグやペンギンだけでなく、それ以外の部分でも何かとこだわりを感じさせる。探さなくてもマニアックな楽しみ方ができる“濃い”水族館だと思った。
でも、それらが濃すぎるほどでもなく、楽しいと胸焼けのギリギリのラインに収まるちょうどいい濃度。少々ワケの分からない説明だけど、海響館の展示をじっくり見れば、オレの言ってることも分かってもらえると思う。
バックヤードツアーの前後でいろいろな話を聞けたことも手伝って、すっかりお腹いっぱいになって下関を後にすることができたのだった。
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pomu.

アマゾンの小型魚水槽のこだわりっぷりは、ここでお話をうかがわなかったらまったく気付かないままになるところでした
もし行く機会があれば、そのつもりで見てみたいと思います

バックヤードツアーもおもしろそうです!
案内してくださるかたによって違う話を聞くことができるなんて、何度でも楽しめそうですし
それぞれの得意分野の説明だったら、きっとすごくいきいきと話してくれそうな気がします

大きくて濃い水族館、いいですねぇ♪
by pomu. (2011-03-24 21:28) 

ミストラル

>pomuさん

その水槽があるフロアの中では、小さい水槽で、
しかもピラルクー水槽の直後に出てくるので、チラ見だけで通り過ぎてしまう人も多い水槽なのですが、
想像以上にこだわりが詰まった水槽でした。
そういう水槽、他にも多かったように思います。
スタッフ氏が水槽を作り込む際、そういうこだわりを盛り込むことが許されているんでしょうね。
探していくと、なかなか面白いです。

バックヤードツアーは、また行ってみたいですね。
案内してくれた獣医さんの解説は、調餌室でも獣医さんらしい解説をしてくれました。
違う人の案内だと、どう違うのか、是非、行ってみたいです。
pomuさんにもオススメの水族館ですよ。ちょっと遠いけど(笑)
by ミストラル (2011-03-25 10:31) 

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