二見シーパラダイスの気になる魚

二見シーパラダイスというと、圧倒的に海獣のイメージが強い水族館だ。
実際、水族館としても海獣との触れ合いを“売り”にしており、それを前面に謳っている。しかし、淡水魚と海水魚にそれぞれ独立した展示エリアが与えられているなど、魚も想像以上に沢山いて、海獣類より魚が好きな人でもちゃんと楽しめる。

とは言え、珍しいものや、ここでしか見られないものは何ひとついない。
強いてあげるならノコギリエイだが、それとて、余所でも見ることができる。
展示コンセプトも明確なものはないようだが、そもそも、そんなことを考えながら水族館を見物するヤツなんて滅多にいないだろうし、海獣のオマケにしては十分すぎるほどのラインナップだ。

気になる魚その1は、水族館に入館してすぐの所にあるピラルクー水槽で暮らしている、2匹のダトニオたちだ。
種類は4バンドとプラスワンかな？

水槽内に隠れる場所がないせいか、ダトニオには珍しいくらい陽気？　な性格らしく、臆することなく前面を泳いでその姿を見せてくれる。

4バンドと思しき個体は、ピラルクーの鼻先にまとわりつくように泳いだり、この水槽での暮らしを楽しんでいそうに見えるのが可愛らしい。
飼育スタッフの人に聞いたところ、コロソマに与えている人工飼料を食べているらしく、そこにもビックリ!!
こんな広い水槽で隠れず泳ぎ回り、人工飼料を食べるダトニオ。
文字にして改めてビックリ。何だかウソみたいな個体だ。

どこの水族館に行っても、あり得ない混泳水槽に驚かされるのだけど、二見シーパラダイスの淡水魚展示エリアで驚かされたのが、フラミンゴシクリッドの水槽だ。

超攻撃的で、混泳に難儀するフラミンゴを複数飼育しているだけでも驚きなのに、パロットファイヤーとキッシンググーラミィ、クラウンローチが同居しているのだ。
フラミンゴ同士は多少の小競り合いをしていたが、さほど過密な水槽でもないのに、その程度で済んでいることがまず驚きなのに、同居している小魚たちをどうして殺してしまわないのか不思議で仕方がなかった。
もちろん、そこも飼育スタッフの人に聞いてみたのだけど、問題は起きておらず、平和な混泳が維持されているのだという。
言ってしまえばバランスなのだろうけど、魚ってヤツがホント、分からないよ。

魚館（海水魚展示エリア）に、お化けにまつわる魚をまとめて展示したコーナーがあったのだけど、そこにいたブラックゴーストがものすごく可愛くて気に入った。

魚そのものというより、魚にあてがわれた棺の形をした隠れ家が最高なのだ。
ブラックゴーストたちも、ちゃんとそこに入って寝ていて、その可愛らしさに微笑ましい気分になった。
これはこのアイデアを思いつき、それを実行した飼育スタッフの人に拍手を送りたい。

気になる魚と言えば、ノコギリエイに触れないワケにはいかないだろう。
何せ、この水族館、ひいては三重県遠征の目的でもあったワケだし。

国内最長飼育記録を更新中（今日で7926日目）のノコギリエイは、驚くほど小さな水槽で飼われていた。
もっともっと大きな水槽で飼育、展示を行っていた水族館でよりも長生きしているのだから、ひょっとしたら小さい水槽で飼った方が具合がいいのかしらん？
50㎝くらいの大きさでやって来て以来、ずっとここで暮らしているそうで、20年以上の時間をかけて、水槽いっぱいの大きさに成長。
水槽サイズに合わせて、水底でジッとしていることが多いのかと思いきや、グルグル泳ぐ様を見せてくれる。窮屈そうにノコギリを振り回している様は、水槽を壊して出てきてしまうんじゃないか、なんて思えてしまうほどの大迫力だ。

写真などで見る限り、P.zijsronだと思っていたのだけど、P.microdonだとのこと。
油壺やエプソン品川にいる個体とは雰囲気が違っているように見えるのだけど……
外見で判別できる魚ではないのだろうけど、興味のある魚だし、1度しっかり調べておきたいと思っている。

この水槽の前には、記念撮影用？　の“ノコギリ付きキャップ”と、本物の吻（ノコギリ）が展示されており、実際に手で触れることができる。
ノコギリエイを踏んでしまったか何かのきっかけで、このノコギリで脛を引き裂かれた人がいた、なんて話を聞いたことがあったけれど、実物の想像以上の鋭さを知ったことで、その話も大袈裟ではなかったんだなぁ、と実感した。

このノコギリエイ、二見シーパラダイスの看板魚？　だけあって、一番人気の魚なんだそうだ。

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