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なかがわ水遊園の気になる魚 Vol.2 [淡水魚]

モロネを見るために行ったなかがわ水遊園では、モロネ以外にも企画展のお陰でそれまでここでは見られなかった多くの魚を見ることができた。
それはそれでよかったんだけど、やっぱり常設の水槽とそこにいる魚たちの素晴らしい仕上がり具合はもっと大きな満足感を与えてくれる。
やっぱいいいなぁ、ここの魚たち!!

瞬間ごとに目の前を横切る魚たちのどれもいいんだけど、あらためて“いいねぇ!!”としみじみ思わせてくれたのがタイガーショベル。
なお、この名前で呼ばれるナマズには複数種類があるのだけど、ここでは個別の種類については触れないでおく。
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個体No.1
ご存じの通り、タイガーショベルは日本の水族館では珍しいものではない。外国産の淡水魚の水槽がある水族館なら大抵いるのではないかと思うのだけど、綺麗な個体、というか、タイガーショベル本来の形をした個体というと、そう簡単には見られない。
でも、それは水族館のせいではなくて、手に入るものにちゃんとしたものが少ないから。
現在、日本で手に入るものはインドネシアなどでブリードされたものが一般的で、それ故に安価で買える(それはそれで問題だけど)のだけど、そうしたブリード個体は残念ながら体型が崩れてしまっていることが多い。中でももっとも変化が大きいのが顔つきで、そこが崩れてしまうと、タイガーショベルならではの魅力自体が損なわれてしまうようで残念なのだけど、何より、本来の姿形を知らない人に、“こういう魚なのね”と思われてしまうのことは、タイガーショベルがもっとも好きなナマズのひとつである者からするとひたすら残念でならない。

しかし、なかがわ水遊園にいるものなら大丈夫!! 本来の顔つきをしてるから。
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個体No.2
大水槽には4匹? がいるようで、小さめの1匹以外はそこそこの大きさがあって、見えやすい位置にいてくれる。それら3匹はいずれも“これぞタイガーショベル!!”という顔つきをしていて、本当にいい!! 小さい個体はいるのは分かったけれど、ほとんど見ることができなかったので、他の個体と同じくいいかどうかは分からなかった。
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個体No,3 ピンタード? 見えるけどまったく動かず、遠く離れた位置にいたのでひとまず証拠写真。

先にも書いたように、このレベルの個体はどこでも見られるものではない。なかがわ水遊園に行ったら、是非、その顔つきに注目してみて欲しい。

タイガーショベルは個人的に大好きな魚だから見とれるのは分かるが、自分では飼ったことも、飼おうと思ったこともないのに、ついつい見惚れてしまう魚がいる。
大水槽を泳ぐパクーはその筆頭だ。
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パクーと言っても、レッドコロソマではなく、ミレウスなどの方。
この手の魚は以前、なかがわ水遊園にも沢山いたのに、今では種類数、個体クオリティ、密度のどれをとってもアクアトトに水をあけられている感が強い。でも、なかがわにもアクアトトにいるものに劣らない個体もいる。
上記画像の個体なんかはその筆頭。何という種類なのかは知らないのだけど、なかがわでは1匹だけ? でも、この手の中では飛び抜けて大きいサイズもあり、その鮮やかさもあって目を引き付けられる。同じ種類はアクアトトにもいるが、それよりも黒っぽくワイルドな風合い。やはり太陽光の影響だろうか?
2年前に行った時には、浅いエリアにいたが、ピラルクーがいる深い方へ移動になったようだ。
体長だけでなく、体高もあり、さらに遊泳力も強い魚だから、水族館ならではの広い環境は如実に魚の仕上がりに好影響をもたらすのだろう。
個体自体の仕上がりの素晴らしさに加え、なかがわ水遊園ならではの大小さまざまな魚との組み合わせによるコントラストも素晴らしく、魚の良さをより引き立てる。
だからこそ惜しいのが、水槽の見えにくさ。この個体はピラルクーがいる側にいて、トンネルの周辺にいるので見ることができるが、浅いエリアにいる魚はそもそもアクリル越しに見る箇所が1か所ずつしかなく、見えない部分が多くあるのが本当に残念に感じてしまう。魚がいいだけにね。

浅いエリアの水槽を眺めていると、想像の中のアマゾン河を覗き込んでいるような気分になれる、というのはこのブログにも何度も書いてきた通りだが、いろいろな魚たちが広い水槽の中でそれぞれの生活をしてる様を見られるから、というのがその理由。
特に浅い方のエリアでは水中を見られるアクリルが少なく、小さいため、全体的に見渡すことはできないが、そのため、アクリルの前にふと現れる魚に“こんなのもいたの!!”と驚かされることになる。
そんな魚のひとつがレポレルス・ヴィッタートゥス。
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アノストムス科のマニアックなカラシンだが、比較的底床に近いところを泳ぎ回る生活をしているようで、同種、他種と追いかけ、追いかけられをせわしなく続けている。
観賞魚として輸入されることもあるが、その数は少なく珍種の部類。とりわけこの水槽にいるような30㎝くらいあるようなものはなかなか見られないのではないだろうか?

以前からいることは分かったのだけど、遠くで動き回っているのが見えただけ。今回はアクリルの近くまで来てくれたので、とりあえず写真に収めることができた。
あんまりいい写真じゃないけど、前々から気になっていた1匹が撮れたので。

結局のところ、なかがわ水遊園のアマゾン水槽はいいねぇ、という結論になるのですよ。
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ピラルクーの寿命 [ピラルクー]

水族館でしばしば聞かれる超長寿魚の話。
その水族館がオープンした時からいる、みたいな話を見聞きしたことはないだろうか?
大型ナマズとかコロソマとか、ハタ等々。とりわけ古代魚と言われる魚たちは長寿なイメージが強いような気がする。
例えば、須磨水族園にいるロングノーズガーは生後40年を過ぎてもまだ元気にしているようだし、チョウザメやネオケラは100年以上生きる、なんて言われているし。

古代魚と聞いてピラルクーを想像する人は多いと思うが、代表的な大型魚でもある。
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本文中に登場する“長さん” 08年撮影

その見た目は、100年でも生きそうな雰囲気なのに、そんなイメージとは裏腹に意外と短命で、水族館(飼育下)では10年以上生きることがあまり多くないようなのだ。
以前、某水族館で中の人とピラルクーの話をしていた時のこと。
その時そこにいたものは飼育10年めを迎えるような頃。そこでその人が話していたのが“10年の壁”。
水族館で10年以上生きるものが少ないこと、10年を超えたとしてもそこからはあまり生きないことなどを話していたのだけど、確かに、久しぶりに行く水族館では個体が入れ替わっていることは珍しくない。
でも、その当時のオレは、飼育下のピラルクーが短命なのは、飼い方に問題があるのだろうと考えていた。与えている餌が合っていないとか、何か根本的に間違っていることがあるどの理由で短命になっているだけで、本来はもっと長く生きるはずだと。

でも、そうだとしたら、何十年も生きてるような個体の話をまったく聞かないのもおかしい。もしかしてピラルクーってそれほど長い寿命のある魚ではない!?
そんな風に思い始めた数年前のこと。知人が飼育していた個体が死んだ。
幼魚から育てられたその2匹は、1匹めが21年で、その2年後くらいにもう1匹が。さらにその2年後くらいに、その2匹と同じ時に輸入され、別の場所で飼われていた1匹も死んでしまった。
これらの例もあり、ピラルクーの寿命は20年前後なのでは、と考えるようになった。
20~25年という歳月は決して短い時間ではないし、魚の寿命としては長い部類と言っていいのかも知れないが、見た目のイメージか、はたまた他魚種にもっと長い寿命を持つものがいるからなのか、ずいぶん短く感じてしまう。

何故、こんな話をしたかというと、なかがわ水遊園の飼育個体を見て、あらためて20年前後寿命説が真実味を増したような気がしたからだ。
なかがわ水遊園では4匹のピラルクーが飼育、展示されているが、その内の1匹、長さんと名付けられた個体は開館時から飼われているもの。つまり、今年で21年め。個体紹介のパネルによると、99年生まれと推定されているそうなので23歳ということになる。
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体は曲がり、眼も真っ白。見るからに老成化していることが分かる仕上がり具合。まだ元気そうではあるのだけど、同じ水槽にいる若い個体と比べるとヨボヨボした感じに見えてしまう。
生後23年くらいなら、まだまだシャキッとした状態を維持している魚種も多くある中で、これだけ老成した感じになってしまうというと、やはり30年は生きなさそう、と思わされる。もちろん、なかがわ水遊園のその個体はまだ健在だし、この先も元気で生き続ける可能性もあるのだけれど……
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2012年の長さん。

その魚の寿命について、明確な答えを知っている人はほとんどいないと思う。
でも、水族館の飼育個体みたいな、飼育開始日、場合によっては誕生日まで分かっていて、さらに死んでしまった日まで分かる個体の情報はとても貴重なものだ。

モロネを見に行ったはずのなかがわ水遊園で、久しぶりにピラルクーの寿命について考えてみた、という話でした。
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初めてのモロネ(ストライプドバス)を見になかがわ水遊園へ [淡水魚]

なかがわ水遊園が施設改修のための休館を終え、3月1日から再オープンした。
それに合わせて「世界一周 魚toトラベル」という企画展を開催するという。
まぁ、そこまではいい。
展示予定の魚の中に、ストライプドバスの写真があることに気が付いた。本当にいるなら見過ごすことはできない。
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日本にはおらず、かつ特定外来生物の指定種なので、日本で生きた姿を見るのは難しい魚だ。もちろん、これまで見たことはない。生きているものが見られるなら是非、見たい。
しかし、生きたストライプドバスなんてあり得るのだろうか? この企画展のために輸入するというのはあまりにも非現実的過ぎる気がするし、だとしたら展示されているのは標本? などなど思いを巡らせていたら、オープン初日に出掛けた知人が教えてくれた。
“生きたものが展示されている”と。
それなら見に行くしかない!! ということで1年半ぶりくらいのなかがわ水遊園へ。

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これがストライプドバスなのか!!
写真などでは何度も見たことがあったが、初めて見る実物は想像していたものとはずいぶん印象が違っていて、ひと目見た時の印象は“悪そ~!!”だった。
ここでの“悪そう”は、攻撃的とか飼育上での悪いではなく、これが日本の自然環境下に放たれた時のインパクト、みたいなイメージ。
特定外来生物に指定されているのも、これなら仕方ないな、と納得した。見るまではもっと細長い魚を想像していたのに、実物はやけにマッチョで見るからに力強い。
“バス”と呼称されているから、その名に意識が引っ張られてしまうが、科から違う種類で両者はさほど近い間柄でもなく、ブラックバスと似ていないのも当たり前のこと。
海でも淡水でも住めて、最大2mになるというから、場合によっては、ブラックバスよりもタチが悪いかも知れない。
あらためて特定外来に指定されていることにホッとした、そんな風にも思った。
とは言えこれも、生きたものを実際に見たから思えたこと。日本で見ることが難しいこの魚を見られる機会をくれたなかがわ水遊園に感謝したい。

釣り好きが人気のターゲットをなんとかバスと呼ぶのが好きではないので、ここからは科(属)名であるモロネと表記することにする。
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展示されていたのは3匹。60㎝はありそうな大きめの個体1匹と35㎝ほどのものが2匹。
水槽に入ってからまだ日が浅いのか、ややビビりモード。小さな個体が大きな個体の下に入って隠れたがる、みたいな感じ。
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もともとこういう感じなのか、それとも環境に不慣れだからなのかは分からないが、3月初旬の時点では水槽内を泳ぎ回る、みたいな感じではなかった。

気になるのはその3匹がどこから来たのか、という点だが、その答えは水槽前に掲示されていた。
釣りをしないので知らなかったのだけど、どうやらこのモロネを釣ることができる釣り堀が国内にあるようで、そこからやってきたものらしい。
特定外来生物は生きたままの移動も禁じられているので、展示するにも特別な(面倒くさい)許可が必要だったはずで、そんな意味でもありがたい展示と言っていいと思う。
企画展の期間が終わったら展示が終了になるのか、そのまま展示され続けるのかは分からないが、できることなら展示が続いて欲しいところ。外来生物の問題を考えるひとつのきっかけにはなるように思うから。

モロネは企画展の展示のひとつとして展示されていたものだが、他の展示の多くが企画展のために暫定的に置かれた水槽であったのに対し、モロネの水槽は常設の水槽。
個体も水槽に見合ったサイズがあったことから、常設の展示にも見劣りしない水槽となっていたことも、魚自体の印象に影響しているような気がする。
これがその他の水槽と同じような小さな幼魚だったなら、見て受ける印象も違っていたことだろう。
だから、企画展で展示されていた魚で特別な印象を抱いたものは少なかったのだけど、モロネ以外ではコレゴヌスが強く印象に残った。
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企画展の順路内にある水槽にいたのだけど、これも企画展内の展示のひとつ? なのかは分からないが、これも日本には生息しないサケ科魚類のひとつ。
ただ、日本国内でも養殖がなされていて、シナノユキマスという名称が付けられている。
水族館でも見掛けることがあるものの、その機会は稀。ということもあって、おおっ!! コレゴヌスもいるのか!! となった。
近い仲間では、琵琶湖博物館のバイカル湖の水槽にいたオームリが同属。サケ科なのにコイ科の魚みたいな姿形をした変わり種だ。
モロネ同様、こちらも養殖されているものが展示されているのか、水槽を泳いでいるのは立派なサイズ。しかも、オレがこれまで見た中ではもっとも綺麗な個体が揃っていた。と言っても、本種を見た回数なんて、数回程度でしかないのだけど…

できたらこちらも、常設展示として残ってくれると良いのだけれど。

モロネや企画展を見になかがわ水遊園へ出掛けるという人は、このコレゴヌスもしっかり見てくることをオススメしておきたいイチ押し魚種だ。
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