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海遊館以布利センター [水族館インプレッション]

さてさて、長々と続いた高知の話もこれで最後。

今回の高知遠征の目的は、アカメとその生息環境を見ることがひとつ大きな目標だった。でも、それと同じくらい重要な目標だったのが、以布利センターへの訪問だ。
以布利センターとは、土佐清水市以布利漁港にある海遊館の研究施設で、海遊館で展示される魚の畜養や、研究などがなされている施設だ。
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そのため、通常は一般公開されていないが、龍馬博の開催に合わせ、土佐清水市からの要請で土日祝日の午前中(9~12時)のみ、一般公開がなされている。前々から非常に気になっていた施設だったので、これは幸いとばかりに遠征の予定に組み込んだ。

大きな目標だからして、訪問する日の朝は、ものすごく気合いが入っていた。
普段は朝食を食べないのだけど、その日ばかりは、朝から唐揚げが入った大きなおにぎりを食べ、身も心も万全の状態? で乗り込んだ。
何故、それほどまで気合いが入っていたかというと、訪問の直前、イトマキエイ(マンタじゃないよ!!)が搬入され、しかもそれが子供を産んだという話を聞いていたから。
イトマキエイだけでも驚きなのに、仔魚までいるとなると、気合いが入らない方がおかしいってもんでしょ。
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9時のオープンとほぼ同時に、入り口を潜り、観察窓の所へと急いだ。といっても2~3歩だけど。
先にも書いたように、以布利センターは水族館ではなく、巨大な水槽に必要な設備と、観察窓がついただけみたいな施設。早い話が、建物自体が水槽そのものみたいなもの。
だから、観察窓も通路に2つのアクリルパネルが設けられているだけのシンプルな作り。
一応、一般公開もされているから、簡単な解説パネルも付いているけど、普通の水族館と比べると、素っ気ないほどのシンプルさ。まぁ、そこは研究施設だからね。
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でも、水槽は奥が見えないくらい広い。
容量は3300tと、国内では美ら海水族館、海遊館の水槽に次ぐ大きさ。水深は5mとそれらの水槽より浅いものの、30mを超える奥行きは美ら海水族館の水槽にも匹敵するほどの巨大さだ。
水槽を覗き込んだ瞬間、何もいないように見えるほどの広さに、思わず「ウワーッ!!」と声が漏れる。
しかし、その広さのせいか、目的のイトマキエイはどれだけ探しても見つからない。
そこにいた案内の人に聞いてみると、“母子ともに死んでしまいました”とのこと。
“せっかく以布利まで来たのに~”と、ものすごい気合いが空振りになったことで、かなりのガッカリ感を味わうことに。
沿岸域にも生息するナンヨウマンタと比べると、外洋性のイトマキエイは飼育が難しい、というか、水槽という閉鎖的な環境に慣らすこと自体が難しいのだそうだ。産み落とされた仔も、水槽に導入されたショックで早産で生み出されてしまったものらしい。最初はヒラヒラと蝶のように泳いでいたと言うが、やはり長期飼育は叶わなかったとのこと。
そう考えると、大阪で泳いでいるイトマキエイは、奇跡の1匹と言えるのかも知れない。
イトマキ母子生前の姿は…(水族館プロデューサー中村元氏のブログ)
http://blogs.yahoo.co.jp/kapaguy/59321851.html

気を取り直して、広い広い水槽を再び眺める。
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ほぼこれでフルメンバー。

そこで暮らしているのは、2匹のジンベエザメと7匹のサメ(メジロザメ類2種? 4匹、アカシュモクザメ、シロザメ、ドチザメ各1匹)、掃除屋と思しきボラの群れ(その中に1匹、ヒメジが混じっていたけど)だけという贅沢さ。一見したところ、ジンベエザメしかいないように見えるくらいだ。
オス、メス1匹ずついるジンベエザメは、ほとんど誰もいない水槽の中を、グルグルと結構なスピードで泳ぎ回る。“ジンベエザメって、こんなに速く泳ぐんだ!!”と驚いたほど。
その泳ぐ姿は、心なしか、美ら海や海遊館で泳いでいるものよりも、楽しそうに見えた。
ジンベエザメの魅力を堪能したいなら、それらの園館よりもオススメかも知れない。
観光バスでもやってこない限りは空いているし、やってきた観客もすぐに帰ってしまうから、ゆっくりじっくり見られる。あんなにじっくりとジンベエザメを見たのはオレ自身も初めてだった。
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10時からは給餌も行われ、その前に簡単な解説も行われていた。

土佐清水の中心街から5㎞ほどと近く、クルマなら5分ほどで到着できる。
龍馬博の開催期間中のみなので、公開は来年(2011年)の1月10日まで。また、見学には龍馬博、または足摺海洋館で見学券をもらってくる必要があるのを忘れずに。
オレは足摺海洋館でもらってきた。
ただし、その券さえあれば、見学自体は無料!! あれだけの施設を無料開放なんて、まったく、海遊館には足を向けて寝られないよ!!
期間限定の公開ながら、ジンベエザメ好きなら1月10日までに以布利に行く価値はあると思う。
ちなみに、水温が上がる夏場は、以布利の沖合いの生け簀でジンベエザメダイビングも行われているそうなので、その時期を狙って行ってみるのもいいかも知れない。
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コメント 2

pomu.

せっかく行ったのに、イトマキエイには会えませんでしたか……
残念でしたね><
動物園でみる動物たちに比べると、水の中の生き物たちは「会えなくなる確率」が高いような気がして
それだけ飼育が難しいのかなぁと思ったりします

イトマキエイは残念でしたが、この施設はいいですねー^^
飼育員さんたちが意趣を凝らした水槽も魅力的ですが
こんなふうにシンプルなのも素敵です

テレビやネット等で見る、海遊館や美ら海にいるジンベエザメのイメージは「悠然」ですが
ここではイキイキとした姿を見ることができるんですね
高知県に行ったら行きたいところがまたひとつ増えました
by pomu. (2010-07-03 21:13) 

ミストラル

>pomuさん

飼えない生き物って、こういう言い方すると生き物に申し訳ないですが、
“海のロマン”に思えます。
存在はよく知っていて、食材などではよく見知った魚でも、どうやって飼えばいいか分からない。
よく知っているようで、実は全然分かってないんですよね。
その答えを探る最前線が水族館で、その片鱗を垣間見られるだけでも幸せなことのように思います。

以布利センターの水槽はとにかく広い!! 青い!!
魚の数はビックリするほど少ないので、ジンベエザメものびのびしてます。
高知の、それも土佐清水まで行かれるなら、足摺海洋館でチケットをもらってここにも行ってみて下さい。
by ミストラル (2010-07-03 23:30) 

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