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初めてのモロネ(ストライプドバス)を見になかがわ水遊園へ [淡水魚]

なかがわ水遊園が施設改修のための休館を終え、3月1日から再オープンした。
それに合わせて「世界一周 魚toトラベル」という企画展を開催するという。
まぁ、そこまではいい。
展示予定の魚の中に、ストライプドバスの写真があることに気が付いた。本当にいるなら見過ごすことはできない。
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日本にはおらず、かつ特定外来生物の指定種なので、日本で生きた姿を見るのは難しい魚だ。もちろん、これまで見たことはない。生きているものが見られるなら是非、見たい。
しかし、生きたストライプドバスなんてあり得るのだろうか? この企画展のために輸入するというのはあまりにも非現実的過ぎる気がするし、だとしたら展示されているのは標本? などなど思いを巡らせていたら、オープン初日に出掛けた知人が教えてくれた。
“生きたものが展示されている”と。
それなら見に行くしかない!! ということで1年半ぶりくらいのなかがわ水遊園へ。

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これがストライプドバスなのか!!
写真などでは何度も見たことがあったが、初めて見る実物は想像していたものとはずいぶん印象が違っていて、ひと目見た時の印象は“悪そ~!!”だった。
ここでの“悪そう”は、攻撃的とか飼育上での悪いではなく、これが日本の自然環境下に放たれた時のインパクト、みたいなイメージ。
特定外来生物に指定されているのも、これなら仕方ないな、と納得した。見るまではもっと細長い魚を想像していたのに、実物はやけにマッチョで見るからに力強い。
“バス”と呼称されているから、その名に意識が引っ張られてしまうが、科から違う種類で両者はさほど近い間柄でもなく、ブラックバスと似ていないのも当たり前のこと。
海でも淡水でも住めて、最大2mになるというから、場合によっては、ブラックバスよりもタチが悪いかも知れない。
あらためて特定外来に指定されていることにホッとした、そんな風にも思った。
とは言えこれも、生きたものを実際に見たから思えたこと。日本で見ることが難しいこの魚を見られる機会をくれたなかがわ水遊園に感謝したい。

釣り好きが人気のターゲットをなんとかバスと呼ぶのが好きではないので、ここからは科(属)名であるモロネと表記することにする。
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展示されていたのは3匹。60㎝はありそうな大きめの個体1匹と35㎝ほどのものが2匹。
水槽に入ってからまだ日が浅いのか、ややビビりモード。小さな個体が大きな個体の下に入って隠れたがる、みたいな感じ。
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もともとこういう感じなのか、それとも環境に不慣れだからなのかは分からないが、3月初旬の時点では水槽内を泳ぎ回る、みたいな感じではなかった。

気になるのはその3匹がどこから来たのか、という点だが、その答えは水槽前に掲示されていた。
釣りをしないので知らなかったのだけど、どうやらこのモロネを釣ることができる釣り堀が国内にあるようで、そこからやってきたものらしい。
特定外来生物は生きたままの移動も禁じられているので、展示するにも特別な(面倒くさい)許可が必要だったはずで、そんな意味でもありがたい展示と言っていいと思う。
企画展の期間が終わったら展示が終了になるのか、そのまま展示され続けるのかは分からないが、できることなら展示が続いて欲しいところ。外来生物の問題を考えるひとつのきっかけにはなるように思うから。

モロネは企画展の展示のひとつとして展示されていたものだが、他の展示の多くが企画展のために暫定的に置かれた水槽であったのに対し、モロネの水槽は常設の水槽。
個体も水槽に見合ったサイズがあったことから、常設の展示にも見劣りしない水槽となっていたことも、魚自体の印象に影響しているような気がする。
これがその他の水槽と同じような小さな幼魚だったなら、見て受ける印象も違っていたことだろう。
だから、企画展で展示されていた魚で特別な印象を抱いたものは少なかったのだけど、モロネ以外ではコレゴヌスが強く印象に残った。
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企画展の順路内にある水槽にいたのだけど、これも企画展内の展示のひとつ? なのかは分からないが、これも日本には生息しないサケ科魚類のひとつ。
ただ、日本国内でも養殖がなされていて、シナノユキマスという名称が付けられている。
水族館でも見掛けることがあるものの、その機会は稀。ということもあって、おおっ!! コレゴヌスもいるのか!! となった。
近い仲間では、琵琶湖博物館のバイカル湖の水槽にいたオームリが同属。サケ科なのにコイ科の魚みたいな姿形をした変わり種だ。
モロネ同様、こちらも養殖されているものが展示されているのか、水槽を泳いでいるのは立派なサイズ。しかも、オレがこれまで見た中ではもっとも綺麗な個体が揃っていた。と言っても、本種を見た回数なんて、数回程度でしかないのだけど…

できたらこちらも、常設展示として残ってくれると良いのだけれど。

モロネや企画展を見になかがわ水遊園へ出掛けるという人は、このコレゴヌスもしっかり見てくることをオススメしておきたいイチ押し魚種だ。
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カワスイの気になる魚 Vol.3 [淡水魚]

いつまで経っても終わりが見えないコロナ禍だけでもうんざりなのに、戦争が始まってしまった。
この先、どうなってしまうんだろう? と不安は増すばかり。おまけに今月は仕事もヒマときてる。
家でいろいろ考えていても気が変になりそうになるだけだからと、ひとまず家を出た。
向かった先は、4か月半くらいぶりのカワスイ。用もないのにフラッと出掛けられる水族館、ホントにありがたい!!

いつものように水槽を眺めつつ、館内をふらふらしてたら、アロワナの水槽にこれまでカワスイでは見たことがなかったスネークヘッド(C.マルリオイデス)の姿が。
あれ!? こんなの入ったんだ!! と思いつつカメラを向けていたら、横から「つい最近入ったばっかりなんですよ」という声が。
振り向くとそこに飼育員氏。入ったばかりのスネークヘッドが先住者たちとうまくやっているかチェックしにきていたらしい。
確かに、スネークヘッドは混泳という意味では、信用できない。ずっと問題なさそうに混泳していても、ある時突然ダメになったりする。しかもそのダメは、大抵、どちらかの死を意味していたりするからややこしい。
そんな話をしたついでに、他の水槽にいたとある魚について聞いてみた。
その魚とはマレーコッド。オーストラリア産の大型魚。
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カワスイで見たのは初めてで、おおっ!! マレーコッド入ったんだ!! と喜びの声を上げそうになったほど、個人的に好きな魚。
スネークヘッド水槽の担当氏は、その水槽の担当もしていて、聞けば「1年以上前からこの水槽にいたんですよ」とのこと。
小さい時からずっと水槽には入っていたそうなのだけど、見えないところに隠れていたらしい。大きくなって自信がついたのか、見えるところにも出てくるようになったそうだ。
現在のサイズは40㎝ほどだろうか。
このマレーコッド、基本的に隠れがちなビビりなのだけど、反面、テリトリー意識が強く喧嘩は強い。つまり、混泳に向かない魚なのだ。
しかし、同じ水槽にはノーザンバラムンディやニューギニアダトニオ、ネオケラ、大型ハゼ2種類なんかが入っている。大丈夫なのだろうか? と気になったのだ。

そこからまたいろいろな話を聞かせてくれたのだけど、限られた水槽で展示したい魚が多くいるとなると、どうしてもひとつの水槽で複数種を、ということになる訳だが、そこにはやはり、いろいろ難しいことが多いらしい。
例えば、A、B、C、Dという魚を展示したいとする。AとCは混泳可能。CとBも大丈夫。でも、AとBがダメ、DはA、Bといけるが、Cがダメ、といった具合に。
話を聞かせてくれた飼育員氏は「パズルみたいですよ」と言っていたが、バックヤードに展示待ちの魚が控えていたりすると、そのパズルはますますややこしさを増す。展示水槽を見ながら、日々、頭を悩ませているようだった。

混泳が難儀さ度合いで担当の飼育員氏をうんざりさせるほどだったというのが、円柱形の水槽にいるシマイサキ科、カルボ、シルバーパーチ、スパングルパーチの3種類。
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シルバーパーチ
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スパングルパーチ

シマイサキ科の淡水魚は海の魚が淡水生活するようになったグループで、ニューギニア辺りに多い。日本でも西表島に近縁種が何種かいたりするのが面白いグループだ。
全方位ダメな混泳の難しさで、この3種のみの展示に落ち着いたらしい。
ちなみにこれらは日本の水族館ではカワスイでしか見られない。それもあって、この水槽は個人的にはお気に入りのひとつでもある。

中でもカルボはすごく綺麗な個体なので、こんなに綺麗になるならウチの水槽にも、みたいなことを話したら、即座に「止めた方がいいですよ」と(笑)
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カルボ
とにかく気が強いそうで、円柱水槽でもボスの座にあるとか。
そんな話を聞いたお陰で、ウチで飼おうという気は失せたが、ありがたいことにすぐに行けるカワスイにいてくれるので、今後もここで見て楽しむことにしよう!!

ウチでも飼いたいと言えば、オセアニアゾーンの最初の水槽にいるレインボー、メラノタエニア・トリファスキアータ。
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行く度に綺麗になってる? と思うほど、体色も体型も綺麗に仕上がってる。
こんなの見れば欲しくなるのも無理はないでしょ? カルボと違って、ウチに迎えても問題はないのだし。でも、なかなか売ってなくて手に入れられずにいる。
カワスイのレインボーはどれもビックリするほど綺麗だが、飼育員氏によれば、朝一はもっと綺麗らしい。
飼育員氏、レインボーたちの体色、体型、サイズにもこだわりがある模様で、その辺のこだわりも聞かせてもらったんだけど、何でも、オーストラリア産のこのトリファと、ニューギニア産のハーフオレンジやブルーレインボーを一緒に展示しているのが引っ掛かって? いるらしく、できたら分けて展示したいとのだそうだ。
そういうこだわり、ホント、いいと思う(笑) 実現が叶うよう応援したい。

会話の中で飼育員氏が言った印象的なひと言。
「オセアニアの魚をこれだけの種類数展示している水族館、日本では他に無いですよ」

そう!! その通りなのである!! それがどれだけの人に“刺さる”かは分からないが、人によってはカワスイに行く理由になるかも知れない。
少なくともオレは、4か月半ぶりのカワスイはほぼこのエリアだけで十分満足して帰ってこれた。
もちろん、マニアックな飼育員氏のお陰によるところも少なくないのだけれど。
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コロソマの話 [淡水魚]

減ったと思うと爆発的に増えを繰り返すコロナ感染。
お陰で行きたいと思う水族館にもなかなか行けず、このブログもほぼ休止状態。
行きたいところに行けず、いつになれば行けるようになるのかも分からない。時間だけが無駄に過ぎていっているようで、気分が悪いですな。

それはともかく、たまには更新しておかないと、なし崩し的にフェードアウトしそうなので、何となく思い付いたコロソマの話でも。

コロソマ。アマゾン水槽とか大型淡水魚がいる水槽にほぼ必ずと言っていいくらいいる大型のカラシンだ。
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レッドコロソマ大型個体(Piaractus brachypomus)@北の大地の水族館

決して人気がある訳ではないと思う(個人的にも、正直、好きじゃない・笑)のだけど、きわめて丈夫で長命、大型で存在感があること、おまけに単価も安い。この魚が昔から水族館でよく見る理由はそんなところじゃないかと思っている。

小さい頃から水族館のアマゾン水槽に強い憧れを持っていたオレは、ウチにもそれが欲しい!! と思っていて、当然、その構成要員であるコロソマも欲しかった時期があった。
上記のように、コロソマは安いので、それは早々に実現する。
オレの水槽にやってきた500円玉くらいの幼魚は、好き嫌いなく何でも食べ、すぐに50㎝くらいまで大きくなった。
丈夫で何でも食べる魚というのは飼ってる分には楽しい。しかし、その物怖じしない性格と強い歯は、次第に“余計なこと”を引き起こすようになってきた。
結局、それが理由で手放すことになったのだけど、その“余計なこと”は水族館でもしばしば見られる。
例えば、同じ水槽にアリゲーターガーなんかがいて、そのヒレが短くなっていたとしたら、犯人はほぼ間違いなくコロソマだ。

さて、その水族館で見られるコロソマだが、厳密にはコロソマでないことが多い。
それらのほとんどは、Piaractus brachypomusという種類であることが多く、“本当の”コロソマであるColossoma macropomumは少数派だったりする。
でも、そのよく見られる方のP. brachypomusもかつてはコロソマ属に分類されていたので、それを“かつての名前”で紹介するのもまぁ、いいだろう。
でも、時々、ブラックコロソマとして紹介されていることがあるのはちょっと気になるところ。
よく見られる“コロソマ”であるP. brachypomusの通称名はレッドコロソマが一般的。水族館で見掛ける姿は黒いのでレッド? と思うかも知れないが、小さい内は赤いのだ。だからレッドコロソマ。
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レッドコロソマの30㎝くらいの個体@カワスイ

では、“本当の”ブラックコロソマはと言うと、“本当の”コロソマであるC. macropomumがそれに当たる。
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ブラックコロソマの30㎝くらいの個体@カワスイ

ブラックコロソマは小さくても赤くないので、30㎝未満なら色で区別ができる。
なお、この両者、現地では美味しい食用魚であることからか、ちゃんと区別されていて、レッドはパクー、もしくはピラピチンガ。ブラックはタンバッキーと呼ばれている。
パクーと呼ばれる魚にはかなり多くの種類が含まれるのでややこしいが、日本での呼称もピラピチンガとタンバッキーとしていたなら、そもそも区別する必要なんてなかったのに……
ちなみにどちらも最大で1m以上になり、ブラックの方はカラシン科最重量種だ。
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ブラックコロソマ大型個体@海響館

もっとも、両者をしっかり区別したいというニーズは日本にはほぼ、ない。
水族館でも区別されているような印象はないし。
そもそも、ブラックコロソマはあまり見掛けないので、それを区別する場面自体が少ないのだけど、もし、両者をきちんと見分けたい!! という人がいたなら、まずは顔や体型に注目してみて欲しい。
ブラックの方が顔が尖っているような感じで、前後が低いラグビーボール風な形。一方、レッドは丸く、全体的に楕円形な感じ。
この両者の差は、カワウソとラッコくらいには違っていると思うだけど、どうだろう?

また、脂ビレを見れば見分けられる、と聞いたことがあって、確かにそれを実感したような場面もあったのだけど、あらためて写真で見比べていても今ひとつ確信が持てないので、そういう方法もあるみたいだよ、くらいに止めておきたい。
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多分、ブラックコロソマ@しながわ水族館 両者の特徴を感じさせる曖昧な個体。ハイブリッド?

各施設で撮ったであろう個体写真を見比べようかと思って探してみたのだけど、まぁ、少ないこと。好きじゃない魚にはカメラも向けないもののようだ。
過去写真を漁った限りでは、海響館、カワスイ、しながわ、おたるで2種が揃っている模様。カワスイ、しながわ以外の施設に今現在もいるかどうかは定かではないけれど。

ただ、見分けたい人を惑わす可能性があるのが、両者のハイブリッドがいるらしいこと。
明確にハイブリッドであるという個体を見たことがないので何とも言えないが、どっち!? みたいな個体に遭遇したことはあったので、そういうややこしいのがいることも追記しておく。

と、まぁ、こんなブログを書いておいて何だけど、気が向いたら見分けてみてね。
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2021年の水族館収めはしながわ水族館で [水族館紀行]

2021年も残り3日となった12月29日、しながわ水族館に行ってきた。
サンゴ礁の水槽に珍しい魚がいるらしい、という噂を聞いて、行きたいと思っていたところに、閉館した志摩マリンランドの魚たちが移籍してきたという話も加わり、行こう行こうと思いながら結局このタイミング。相変わらずの腰の重さよ。

世間はすでに冬休みに突入していたからか、館内はそれなりに混雑していた。それでもイルカショーが始まると館内から人が少なくなるので、そのタイミングで各水槽を見学。
それでも案外楽しめるものだなぁ、と1年半ぶりのしながわ水族館を堪能してきた。

その楽しさの多くは、志摩マリン移籍組みによってもたらされたものだ。
元・志摩マリンの魚たちがいる大水槽へと行くと、早速見覚えのある姿が目に入った。

いかにも水族館暮らしが長そうな仕上がり具合の、年季の入った大きなセンネンダイ。
3年半ぶりくらいだが、まさか東京で再開しようとは!!
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センネンダイとの再開にひととき浸っていたら、オレの前を大型のマルコバンたちが横切っていく。
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魚名板にはヨコヅナマルコバンと紹介されていたが、そういえば、志摩マリンランドのTwitterでその辺りの話が呟かれていたことがあったよな…… みたいなことを思い出した。

志摩マリンランドの回遊水槽と言えば、の巨大ゴマフエダイたちもしながわの水槽で健在だった。
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久しぶり!!
そういえば、志摩マリンランドでもこうやって数匹まとまっていたよね、と、かつての暮らしぶりを思い出す。

1匹だけいたキツネフエフキも移籍してきていた。
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キツネフエフキって美ら海水族館と志摩マリンランド以外では見ない魚だったから、ここで見られるのはなかなかラッキーなことと言っていい。

志摩マリンランドの閉館の時にはそこに行くことをしなかったので、こうして見覚えのある魚たちに再開できたことは本当に嬉しい。
これらの魚たちが好みのタイプだというのもあると思うが、長年飼育されてきた、良くも悪くも仕上がった魚たちの存在感は、しながわ水族館の大水槽に合った年代感? が戻ってきたように感じた。
しながわ水族館も今やそこそこのネオヒストリックの部類。そんな水族館の大水槽には、昨日今日採ってきたような若魚よりも、仕上がった老成魚の方が似合うと思うのだ。
だからという訳ではないけれど、オレ自身、かつてないくらいにしながわ水族館の大水槽を楽しんだ。

目的のひとつであったサンゴ礁水槽の珍魚の姿は見当たらなかったが、ジャングル水槽に“こんなのいたっけ?”みたいな魚がいたり、個人的にしながわと言えば、な魚が元気な姿を見せてくれたりと、想像以上に幸せな水族館収めとなった。

ただ、家に戻って撮った写真を見て、あまりに酷いクオリティにガッカリするまでは、だけど。
また近い内に、写真の撮り直しも兼ねて、志摩マリン移籍組みに会いに行くとしよう。
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4年ぶりの北の大地の水族館 [水族館紀行]

明けましておめでとうございます。
昨年2021年は2020年よりも酷い年だったように感じている。
水族館も長い休館を強いられた施設も多かったし、残念ながら閉館してしまった施設もいくつか。
そんなこともあって、オレが行ったのも13施設25回と例年にない少なさ。
広がりつつあるオミクロンの影響もあり、今年もどうなるかはまだ分からないけれど、2021年よりはいい年になってもらいたいものですね。

新年1発目のブログは、昨年11月に行った北の大地の水族館の話から。

エビスザメを見に標津サーモン科学館に行ったというのはひとつ前のブログ(12/11アップ)に書いた通り。
標津(サーモン科学館)に行くなら、中標津空港を利用するのが普通。でも、今回は女満別空港から行ったので、帰る翌日は早めに標津を出発する必要があった。
午前中だけエビスザメを眺めて、みたいなことを考えていたのだけど、どうせ女満別空港まで行くのだし、ということで、これまた遡上の時期に行くことができなかった北の大地の水族館へ行くことにした。

北の大地の水族館に最後に行ったのはもう4年も前。
今回は明確な目的があった訳ではないのだけど、久しぶりに見る水槽はすごく良くなっていた。
とりわけ感動的だったのが、川辺の生き物エリアの小水槽。
かつてはちょっと素っ気ない印象もあった水槽が、そこに展示されてる生物が生息環境ごと詰め込まれたみたいな感じになっててすごく良かった。
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どの水槽もそこで展示される生物種の生息環境が再現されているのだけど、緻密、というほどではなくて、何となくその生息環境がイメージできる感じ。
環境再現も精度を高めすぎると、展示対象が見えなくなるという問題が出てきてしまうものだが、ここの水槽は適度なところでそれが止められているから、展示生物もちゃんと見える。つまり、ちょうどいいのだ。
これらの展示を見ながら「あぁ、水族館って楽しい!!」
そう思えたことが何よりよかった。

実を言うと、北海道に来る前のオレは、ちょっと水族館嫌いになりかけてた。
水族館の話題にさえ触れたくないとすら思っていたのだけど、2日連続で“いいもの(展示)”が見られたお陰で、荒んだ心も癒されたようで、文字通り、水族館の“癒し効果”を実感することになった。

見たいと思っていた四季の水槽のカラフトマスの展示は既に終了していたが、かろうじて残っていたサケは見ることができた。
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もうちょっと早くに来られていれば、もっといい状態を見ることができたのだろうけど、今年はもう見られないと思っていたから、ここで見られただけでもラッキーだった。

北海道に行ったのも、サケを見たのも久しぶりだったからなのか、本当に楽しかった。
何より、水族館嫌いにならずに踏みとどまれたのは間違いなくこの時行った2館のお陰。
今年こそは、遡上時期に普通に行けると良いのだけれど……
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エビスザメ@標津サーモン科学館 [サメ]

8月の終わり頃のことだっただろうか。
朝、携帯にメッセージが来たことを知らせる通知音が鳴った。
送り主は、早朝の乗船業務を終えて帰港したばかりの標津サーモン科学館の副館長だった。
「こんなの捕れました」の一文に添えられていた画像には何とエビスザメが!!
標津でも珍しいものだそうで、漁獲記録はなく、副館長も見るのは初めてだったとか。
そのエビスザメ、そのままサーモン科学館へと搬入され、その日の内に展示がスタート。すぐにアナウンスされたこともあって、その日のTwitterはサメ好きによってちょっとした“エビスザメ祭り”となっていた。

エビスザメは珍しいサメで、日本で展示されることは滅多にない。
オレが知るここ15年以内では海遊館の1例だけ(のはず)で、その展示が終了して以降、日本の水族館で見ることはもうないかも、と思っていたから、展示されたというニュースはかなりの驚きだった。
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しかし、その頃はコロナ感染者数も多く、すぐに駆け付けるのは無理。
実を言うと、その時はごく短期間の展示で終わってしまうだろうと思っていたから、移動制限がなかったとしても、すぐに駆け付けることをしなかったと思う。
しかし、事態は思いもよらない方へと動いた。何と、2匹めが搬入されたというのだ。
その時の2匹めは搬入時点で弱っていたようでごく短期間の展示に終わってしまったようだが(後日、さらにもう1匹が搬入され、2匹の展示は続けられている)、そんなニュースと前後して、遡上してきたカラフトマスやサケの話題が増えていく。
今年こそ見に行きたい。エビスザメもいることだし。
ということで緊急事態宣言が明ける9月12日に標津へ向かうことにした…… のだけど、緊急事態宣言は解除されることなく、さらに延長されてしまった。
その時点で、今年も行けなかった…… と例年以上に大きく落胆した訳だが、目的のひとつでもあったエビスザメはその時点でもとても状態がよさそうで、これなら来年でも間に合うかも、なんて淡い期待も。

緊急事態宣言が明けると、エビスザメを見てきた知人の話を見聞きするようになった。
それらの人は一様に“早めに行った方がいい”と言う。
サメで“早く”というワードが出てくる場合、考えられる理由は主に2つ。
調子が悪くなったか、水槽内で扱いにくくなってきたか、のどちらかだ。
伝わり聞こえてくる話では、状態はよさそう。だとすると、水槽内の厄介者になってる!?

そんなところに、再び副館長から連絡が。
「エビスザメ、展示するの止めるかも」と。

聞けば、展示中止が決まった、という訳ではないようだった。でも、来年行った時に見ようと思っていたオレの希望的計画が危うくなったことは間違いない。
ここで行っておかなければ後悔するだろうと標津へ行くことにした。
標津に行くのにその目的はサケではなくサメ。何だか間違ったことしているような違和感? があったのが自分でも不思議だった(笑)

2年ぶりのサーモン科学館に到着すると、出掛けようとする館長に遭遇。
オレの顔を見るなり「もう1時間予報出てますよ!!」と。11月のサーモン科学館と言えば産卵展示だ。その言葉に慌てるようにまずは魚道水槽へ。
水槽前に行くと、カメラを出す暇もなく産卵が始まってしまった。写真に収めることはできなかったけれど、2年ぶりの訪問を歓迎してくれているのだろうと解釈。いきなりいいものを見せてもらった。
でも、今回はサケではなくサメを見に来たのだから、目的のサメがいる大水槽へ。
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知ってはいたことだけど、2匹のエビスザメが泳ぐ様はやはり驚かずにはいられない。
その姿を見るのも9年ぶりのこと。しかも2匹。2匹の生きたエビスザメなんて、日本の水族館史上に残る出来事と言っていいんじゃないだろうか?
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8月からいる1匹めは見るからに調子がよさそうで、体もふっくら。さまざまな行動も観察されているそうで、非常にうまく飼えていることが見て取れた。


副館長によれば、水温や水槽内の造り、水流などの条件が合っているのだろう、とのこと。
珍しいサメがうまく飼えて、長期間展示されるというのはいいことだと思うのだけど、喜ばしいことばかりではないようで、どうやら同居魚を襲っているらしい、とのこと。
確かに、体に傷がついたサケやニシンがいたが……
でも、その時は“容疑”なだけで、襲う場面は目撃されていなかったそうだが、後日、カレイが捕食されるシーンが目撃されてしまったらしい。
サメ好き目線で見ると、混泳魚を襲うくらい元気がよくて良かった!! かも知れないが、館長以下、強烈なサケ愛を持つサーモン科学館の人たちからすれば、サケが襲われる可能性があるというだけで、まさしく“冗談じゃない!!”こと。そもそも、館長は搬入することすら強く反対していたらしい。
エビスザメが捕食したのがカレイではなくサケだったなら、水槽から引きずり出されてたかも知れない!?

個人的には、せっかくうまく飼えているのだから、そのまま展示を続けて欲しいと思う。
でも、サケが絶対的な主役の水族館で、それに危害を加える恐れのあるものを置くことはできない、というのも分かる。
この先、どこか他所の水族館でひょっこり再開、なんてことがあるのかも知れないが、ひとまずよく知った水族館で貴重な魚を見られたことに感謝したい。
このサメがいてくれたからこそ、今年は見られないと思っていたサケも何とか見られたのだしね。
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いつまで展示が続けられるのかは分からないが、見に行ける人は行っておいた方がいいと思う。あっ、でも、今休館中だね(汗)
サメに会いに行く計画を立てようという人は、営業期間とサメがまだいることを確認の上、出掛けることをオススメしておきます。
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海遊館の気になる魚 Vol.2(クック海峡水槽の話) [海の魚]

見たことがないものが見たいので、海外の水族館に行きたいのである!!

そう強く思うようになって間もなく、世界はコロナ禍に見舞われ、外国はおろか、国内移動さえもできない世の中になってしまった。
幸い、日本では新規感染者数も落ち着き始め、各種制限も緩和されつつあるが、海外はまだしばらく無理そうだなぁ…… なんて思っていたところに、今のオレが求めてた水槽が海遊館にあった。ニュージーランド産の魚を展示したクック海峡の水槽だ。
海遊館がオープンした時からある、これまで何度も見てきたはずの水槽だが、オレの趣味嗜好が変化したのもあって、今頃になってその価値に気付いた。

最後にこの水槽を見たのは3年半前だが、その頃とはいくつか変わった点もあったようで、魚の数が増え(たような気がする?)、ウミガメの数が減り、照明が暗くなっていた。
魚が増え、カメが減るのは大歓迎だが、照明が暗くなるのはありがたくない変更だ。しかも、明るくなったり暗くなったりするので、ずっと見ているとそれが鬱陶しく感じた。
あと、魚名パネルがずいぶんあっさりとしたものに変わっていた。とは言えそこも、外国の水族館風で、個人的には調べてやろうじゃねぇか!! と、ちょっと心に火が付く感じ(笑) という訳で、この水槽の魚はほぼ全種撮り。家に帰ってからの宿題と相成った。

この水槽の主役は沢山いるブルーマオマオである!! それはよく分かっていたが、その群れの中に、少し小ぶりで青くない個体が混じっている。
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最初はブルーマオマオの若い個体かな? と思った。でも、それにしては体型も短く、丸い。やはり別種なのかな!?
調べてみると、ブルーマオマオと同じイスズミ科のスウィープ(Scorpis lineolata)という魚のようだ。
同科同属ということもあり、ヒレの形状や付いた位置はほぼ同じで、しかも一緒に群れていたりするから同種の年齢違いかと思ったという訳だ。
ニュージーランドでは全域に生息しているようで、北島周辺に生息するブルーマオマオより珍しいものではなさそう。
ただ、日本では海遊館のこの水槽でしか見られない激レア種であることはどちらも同じだ。

カメラを向けると水槽の奥の方に向きなおしてしまうスウィープを撮るのに苦労していた時、体高の高いブダイのような魚が目の前を横切った。
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見たことない、知らない魚を見掛けると、とりあえず適当な名前を付けたりするのだけど、こやつのことは“ニュージーランドまくぶ”と呼ぶことにした。
まくぶとはシロクラベラの沖縄名だが、その時はその未知のベラがまくぶに似ているように見えたのだ。後で見たらビックリするほど似てなかったけど……

さて、その“ニュージーランドまくぶ”の正体だが、現地ではスポッティと呼ばれているNotolabrus celidotusという種類のようだ。
体色に派手さはないが、これでもオス。葛西風に言うなら、そのターミナルフェイズ?
ニュージーランド周辺には幅広く分布しているようだが、日本の水族館では激レアだ。

ベラと言えば、ピンク色のツユベラみたいなやつもいた。
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ひと目で見たことがない種類だと分かるピンクツユベラの正体は、サンダガーズラス(Coris sandageri)という種類らしい。
ピンクなのはメス。オスは色、柄ともにかなり違っているようで、できればそれも見てみたかった。
ニュージーランドの水族館に行けば見られるのかな? でも、それよりも今いる個体がオスに性転換するのを期待した方が早そうだ。何年後かに行けば見られたりしないかなぁ?

外国産の魚で見てみたいものには、タイの仲間が結構いるんだけど、この水槽にもそれらしき姿が。
縞々模様のタイのような魚がいることに気付いた。
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ん!? タイではない…!? タイというよりはタカノハダイか!? みたいに思って見ていたのだけど、その読みは間違いではなかったらしい。タカノハダイ科のレッドモキ(Cheilodactylus spectabilis)という種類のようだった。
ニュージーランド周辺にはタカノハダイの仲間が多いようで、何種類かがいる模様。
このレッドモキはニュージーランド周辺にくまなく生息しているらしく、現地では普通種なのだろう。
余談ながら、この水槽にもう1種、タカノハダイ科のマグパイパーチが入っていたが、マグパイパーチは南オーストラリアの魚(という認識)。ニュージーランドにもいるのかは分からないが、マグパイパーチは葛西臨海水族園でも見ることができるので、やや馴染みがある感じかな。

今回この水槽で見た魚の中で、もっとも興味を引かれた、というか、何だあれ!? と思わせてくれたのが、この魚。
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回遊魚のような尾びれを持った、マグロとかブリとか、そういう雰囲気の魚だが、マグロやカツオなどサバ科ではなさそうだし、ブリにも似てるからアジ科の魚なのか!? とか色々思いを巡らせつつ、家に帰って調べてみると、どうやらカウアイ(かその近縁種)という魚らしいことが分かった。
和名はマルスズキ。現地ではカウアイの他に、オーストラリアンサーモンとか呼ばれることもあるらしいが、どちらも非常に分かりにくい名前。
スズキ目だが、狭義のスズキの仲間ではなく、もちろんサケも関係ない。
ニュージーランドや南オーストラリアでは割とよく見られる魚のようで、海だけでなく淡水域にも侵入してくる、釣り魚としてはメジャーなもののようだ。
それはともかく、この時、この水槽でオレをもっともときめかせてくれたのはこの魚だ。
だって、絶対に見たことがなく、日本にもいない魚という、今のオレを大いに満足させてくれる条件を備えていたから。
水槽には2匹がいたようだが、よくもまぁ、こんな魚を展示してくれたものだ。それは他の魚にも言えるけれど……

水槽の上の方を泳いでいることが多くて、下の方に来ても結構な速さで泳ぎ去っていくので、じっくり見るとはいかなかったけれど、これまで知らなかったこれらの魚を知ることができただけで大いなる収穫だった。
お陰で、久々の海遊館では大きな満足感を得ることができた。楽しかった~!! ブログもこのままこの水槽でもう1週やっちゃおうかな?(笑)
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イトマキエイ 2021 @海遊館 [エイ]

10 月29日、神戸に新しい水族館、「atoa(アトア)」がオープンした。
AQUARIUM×ARTでatoa。光や音を使った“イマドキ水族館”である。
atoaの説明によれば“水族館”ではなく“アクアリウム”であるとのこと。
水ではなくウォーターです!! みたいに聞こえるオレには、水族館をアクアリウムと言い違える意味がよく分からないのだけど、とにかく従来の水族館とは違ったものである、ということなのだろう……

本来なら、この続きが今回の内容だったはずなのだけど、自分のブログだからと好きなように書いたら、オープン翌日に出す内容じゃないよなぁと、自粛(笑)
という訳でここから先は全然別の話。

atoaに行った前日のこと。
久しぶりの関西ということで、海遊館に行くことにした。実に3年半ぶりくらい。
3匹めのイトマキエイが入ったり、ゾウギンザメの展示が開始されたりと、行きたい理由はあったのだけど、コロナ前の海遊館ときたら、すっかり中国人観光客に占拠されて“中国の水族館”みたいになってたから、なかなか足が向きにくくなっていた。
ちょうどコロナも落ち着き始め、中国人観光客も戻っていない今、まさに行き時だったのかも知れない。

海遊館に到着し、まずは大水槽へ。
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あぁ、綺麗だ……

イトマキエイを見るは本当に久しぶり。その美しい姿に、何とも言えないありがたみ。
内側からじんわりくるみたいな感動。
イトマキエイはもちろんだが、ジンベエザメもシュモクザメも、今年になって見るのは初めて。これまで、見たきゃ見に行きゃいいじゃん!! なんて思ってたけど、それができなくなって、当たり前に見られると思ってた魚たちが見られなくなってみて、あらためてそのありがたみを実感した。ホント、ありがたい。

動画


前に見てから3年半前も経ってるから、ずいぶん大きくなってた。でも、初代の個体と比べると、まだそこまでのサイズにはなっていなさそう。
でも、体はふっくらしてて、よく食べてるんだろうなぁ、というのが見て取れた。
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3匹めと思しき個体は、その前からいた2匹(と思しき個体)と比べると少し小さいようで、他の個体と近づくとちょっと小さいことが分かる。
搬入から今回も含め、見たのはたったの3回だけ。だから個体識別ができない。でも、連れ立って泳ぐことの多い2匹と、その2匹とはあまり近づかない1匹がいて、後から追加されたのは1匹でいることが多い個体なのだろうと推測。
どうせなら3匹でいるところを写真に収めたかったのだけど、5時間の間で3匹が近寄ったのは2回くらいしか見掛けなかった。
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3匹が近寄った貴重な? ショット。この程度にしか集まってくれない。

イトマキエイ(Mobula japonica)は海遊館でしか見られない。
美ら海水族館でも展示されたことがあったけれど、長期飼育が簡単ではないのだろう。その期間は1年未満でしかなかった。
でも、海遊館ではパイオニアならではの何かがあるのか、現在の3匹もうまく飼えているようだ。
搬入直後の小さな頃から、美ら海水族館の大水槽にいるのと同じような魚たちと混泳しているのに、それによるトラブルなどもなく順調そう。何が違うんだろう?
でも、頭鰭が曲がって(開き気味になって)いる個体がいた。
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美ら海水族館にいた個体でも見られたが、最後の頃、左右に開いてしまっていたその個体ほどは酷くはないが、横から見た時のフォルムがマンタよりも尖っているように見えるイトマキエイなので、ここの形が崩れてしまうのはそのカッコよさ、美しさにも影響するようで非常に惜しい。
見たところ、水槽にしっかり順応しているようで、どこかにぶつかってしまうようには思えないのだけど……

十字型をした海遊館の大水槽は、泳ぎ回る魚にとっては理想的とは言い難いように思う。
でも、見る側からすれば、狭くなった十字の先端部分に魚が来てくれれば近く見えるという利点がある。
また、水面から水底まで余すことなくさまざまな角度から見られるのもありがたい。
美ら海水族館でもどかしい思いを何度もしてきた身からすると、海遊館の視点の多さ、近さは魅力だとあらためて思った。
しかし、今回たまたまなのか、それともそういうものなのかは分からないが、やけに水が白濁りしているように感じたのが気になった。
照明の問題? はたまたアクリルの劣化? 海遊館も開館から30年もが経過した年代物であるからして、アクリルの透明さも当然、オープン時と比べれば落ちているはず。そのせいかも知れないが、クリアに見えないように感じたのは気になった。
もっとも、劣化してるのはオレの目かも知れないけれど。それだったらショックだな。
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でもまぁ、ホント、いいもの見た感。好きな魚を見られて幸せなひとときでした。
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油壷マリンパークのノコギリエイ その後 [エイ]

惜しまれつつも先月で閉館してしまった油壷マリンパーク…… なのだけど、今、気になるのはそこにいた住人たちの行先だろう。
アシカやペンギンなどは早々に移動が開始されているようだが、大型のサメなどの魚たちはどこに行くんだろう? と個人的にも気になっていた。
あの魚が行くとしたらあそこかな? みたいな勝手な予測をしたりしていたのだけど、オレがもっとも気にしていた1匹は早々に新たな住み家への移動が終了していたらしい。

10月6日のことだ。
何気なくTwitterを眺めていたら、知人がノコギリエイの画像を上げてた。
個体も背景も見覚えのあるもの。そう、油壷のノコギリエイはアクアパーク品川へと移動していたのだ。
こういう情報を得るのは、やはりTwitterが圧倒的に早いね!!
翌日、品川の近くで用があったので、ちょっとアクアパークへも寄ってみた。

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久しぶり!! というほどには時間が経っていないが、約3週間ぶりの再開はこれまで彼女がいたはずの水槽とはまるで違った水槽だったことが新鮮な感じ。
大きな魚の移動にはリスクしかないし、とりわけ大きなノコギリエイの移動なんて、無事にできるのだろうかと心配していたが、どうやらそんな心配は杞憂だったようで、魚体はとても綺麗な状態。うまく運べたことが見て取れた。
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生きて無事に移動できて本当によかった!!

これまで何度も見てきた個体だが、違う水槽で見ると受ける印象も変わるもので、まず最初に驚いたのが、こんなに大きかったんだ!! とその大きさに驚かされた。
もちろん、小さいと思っていた訳ではないけれど、油壷で見ていた時よりもずっと大きく感じたのだ。
トンネル床のタイルで大体の大きさを測ってみたが、全長3.2~3.3mくらい。
アクアパーク品川にもともといるP.zijsronほどには大きくないのだけど、それでもかなり立派な個体だったことにあらためて驚かされた。
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オレが行った時は、ちょうどトンネル水槽に餌が与えられていたが、その餌を食べるそぶりはまだなかった。
周辺に落ちてくる餌を求めて、他のエイがやってくると、それを避けるように動き出すが、またすぐに着底する、みたいな繰り返し。
そういうタイミングが泳ぐところを見るチャンスだったりもするのだけど、油壷では王者のごとく振舞っていたことを思うと、他の魚を嫌がって避けるなんていう行動自体が意外に見えてしまう。
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奥行きに余裕のない油壷の水槽で器用にターンするのが習慣になっていたからか、アクアパークの水槽でも同じ場所でグルっとターンする泳ぎを見せてくれる。
これはアクアパークの個体では多分、できない芸当だ。この先もそういう泳ぎ方をするのかは分からないが、油壷出身らしい部分と言えるのではないだろうか。

この先気になるのは、この個体が新しい環境にうまく馴染んでくれるか、という点。
同じ水槽で長く暮らしている個体ほど、新しい環境に馴染みにくいもの。
とりわけ、今回引っ越してきた個体のような、若くない個体ならなおさらで、新しい環境に馴染み、餌を食べるようになるまでにはある程度の時間が掛ってもおかしくはない。
個体の性格にもよるのだけど、最悪、新しい環境に馴染めないまま、餌を受け入れずに死ぬ、なんていう可能性もなくはないので、なるべく早くに水槽に馴染み、以前のような“態度のデカさ”を見せてくれることを願うばかり。

油壷マリンパークの個体が移動してきたことで、アクアパーク品川では3種4匹のノコギリエイが展示されることとなった。
4匹のノコギリエイは、現在日本の水族館にいる2/3に相当する。この先、それが増えることはまずあり得ないことに加えて、3種類ものノコギリエイを展示する水族館なんて、世界唯一!? かも知れない。
アクアパーク品川はまさしく日本におけるノコギリエイの聖地と言ったところだろう。ついでに、エイの種類も16種類に!!
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アクアパーク品川のトンネル水槽も、大きなエイがあれだけいる水槽としては決して広々とは言えないが、それでも油壷マリンパークの回遊水槽よりは大きいことは間違いない。この先、水槽に馴染めば、奥行きに余裕のないこれまでの水槽とは違った泳ぎや行動を見せてくれるようになるかも知れない。
何より、個人的には油壷の1/3ほどの時間で行ける水族館だから、その姿を見に行くのはこれまでよりもずっと簡単になったことはありがたい。

当のエイからすれば、移動などしたくなかっただろうけれど、現時点ではポジティブな引っ越しだったと歓迎したい。
あとは1日も早く今の環境に馴染んでくれることを重ねて願うのみ、だな。
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油壷マリンパーク思い出語り Vol.2 [雑談]

油壷マリンパークでは「すいぞくかん学園」という名称でさまざまな体験プログラムが行われていた。
バックヤードツアーや餌やり体験などの“定番”だけでなく、時には“こんな体験ができるの!!”みたいなものもあったりして、今回はそんな体験プログラムに参加した時の話。
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オレが参加したのは「1日飼育係体験」。その名の通り、開館から丸1日、海獣チームの作業を体験させてもらうというもの。参加したのは2006~07年頃のことだったので、まだ「すいぞくかん学園」という名称は付いていなかったけれど、今でも鮮明にその日のことを思い出せるくらい、忘れることができない体験をさせてもらうことができた。

集合時間となった開館時刻に集まった当日の参加者はオレを含めて3名。
その日のメニューや注意点などが話された後、長靴を渡され、調餌室へと案内された。
体験イベントだからして、調餌風景を眺めるだけではない。早速、大きなシンクで水に浸かった冷凍サバのブロックをバラすように指示された。
ショーや給餌の準備に忙しい飼育スタッフの人たちからすれば、オレたち参加者は招かれざる客というのが本音だったのだろう。委縮してしまいそうなほどのアウェー感で、正直、歓迎ムードではなかった。
オレの目の前には水に浸かった冷凍サバのブロック。つまり、氷水である。シンクに突っ込んだ手はただただ冷たく、辛い。
ガチガチのサバはまるでほぐれないのに、オレの心は早々に折れ、「こんなの毎日やってるの!? オレに飼育員は無理だな」と、体験イベント開始から30分も経たない内にしっかり悟った。
それでも目の前のサバブロックを何とかしなくてはと、必死になって崩していたら、「皮がめくれるから力任せにやらないで!!」と注意された。
皮がめくれてたって食うだろ? と思いつつも、そこまで求められるのかと、仕事の厳しさはあらためて実感した。何しろ、この作業は日々のこと、なのだからね。
結局、調餌室では氷水との格闘以外に、バラけたサバを軽量し、個体の名前が書かれたバケツに入れていく作業とか、給餌が終わって戻ってきたそのバケツを洗うとか色々と。
最初から最後まで全部やった訳ではないけれど、それだけでも飼育スタッフの大変さはイヤというくらいに体験できた。

調餌室よりも長い時間を過ごしたのが、ファンタジアムのバックステージ。
ショーを準備段階から裏側から見学させてもらった。実際のショーも観客席からではなく、ステージ脇、緞帳に隠れるようにしながらステージサイドからの見学だった。
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そこに案内された時に言われたのが「ここをアシカが通るから、アシカがいる時は動かないで。警戒して噛むかもしれないから」という注意。
そんな説明してくれたのは、雰囲気からしてベテラン感が漂う男性スタッフ。恐らくは現場責任者だったのだろう。オレたち参加者に説明や指示を終えると、着ぐるみペンギンの頭を被りステージへと出ていった。
今でもショーのペンギンはあの時の人が続けておられるのだろうか?
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ショーが始まると、出番を控えたアシカが出てきた。
最初に出てきたメスのアシカはオレに目もくれることなく素早く駆け抜けていったのに、その次に登場する大きなオスアシカはオレの目の前でステイ。その距離は30㎝くらい
大型犬くらいだと思っていたアシカは、目の前で見ると大きさに圧倒されるほどの巨大さ。正直、怖くてチビりそうになりながら言いつけを守り直立不動、というか恐怖に体を強張らせていた。
そんなオレをオスアシカは、誰だコイツ? みたいな顔でチラリと一瞥しただけで特に警戒する様子もなく通り過ぎて行った。ベテランアシカはしなくていいことはしないのだ。
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多分、この個体。08年撮影。

ショーの後はトレーナー体験。こういうプログラムに参加する人の一番のお楽しみだ。
トレーナー氏が連れて出てきたのは小ぶりなメスアシカだった。他の参加者が楽しそうに餌を与えているのを、オレの番はパスでいいのに、と思って見ていたことを思い出す。当時のオレはとにかく海獣が怖かったのだ。
アシカだけでなく、イルカにも指示を出して、何かしらのパフォーマンスをしてもらったと思うのだけど、その記憶がまるでなく、アシカもイルカも怖かったことしか憶えてない。今なら同じことをするにしても、もう少し違った感想を残せたように思うのだけど……
アシカとのトレーナー体験の後は、ファンタジアムのステージを少しだけブラシ掛け。あのステージをデッキブラシでゴシゴシした経験がある人なんて、あんまりいないんじゃないだろうか? 自慢にはなりそうもないが、ちょっと自慢したい経験だ(笑)

その日最後のメニューは、イルカとのふれあい。
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触れたのはこの2頭のどちらか(多分)。08年撮影。

イルカに触ったのもこの時が初めて。
プールの淵に座ったオレの足に身を預けてくるイルカのズシっと来る重量感をやけに意識したこと、新品タイヤのサイドウォールみたいな触り心地だったことはよく憶えている。
イルカをゆっくり撫でていたら、案内してくれたトレーナー氏が「口の中触ってあげると喜ぶんで、触ってあげてください」と。
すると、イルカは体勢を変え、こちらに向けて口をあーん。
当然、そこには細かな歯がずらりと並んでいる訳で…… マジか!! ここに手を入れろと? 再びビビりモード全開。今のオレなら喜んでやるが、当時はイルカのことなんか何も知らないし、沢山の歯が並んだ口の中に手を突っ込むなんて恐怖以外の何物でもない。
だけど“怖い”というのも恥ずかしく、痛い思いや血まみれになることを想像しつつ、意を決して手を出した…… までは憶えているのだけど、口の中の触り心地がどうだったかについては何の記憶もない。
多分、手をちょっと入れたくらい終わったんだろうな。

1日の体験を終え、帰路に就くクルマの中。疲労感と全身から匂い立つサバ臭に包まれながら、何とも言えない充足感に満たされていたことを思い出す。
駆け出しの水族館マニアには、何も知らないイルカやアシカのことを知れる機会だったのと同時に、水族館への理解を少し深めてくれたような1日だった。

懐かしいなぁ、という思いと、こういう記憶が、本当に“かつての思い出”になってしまうことへの残念さ。
やっぱり、よく知った水族館が無くなってしまうというのは寂しいものだねぇ。
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