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マンタ・ジンベエの青春・2022 @沖縄美ら海水族館 [エイ]

美ら海水族館の大水槽で最後にマンタの繁殖があったのは、確か2015年だったと思う。
それまでの繁殖を考慮した個体構成から、比較的若いメスを中心とした展示メンバーへと変更になったのもこの頃から。
成熟オスの激し過ぎる追尾で、メスが大き過ぎるダメージを負ってしまうからだ。

しかし、時間の経過とともに、若い個体も成長する。大水槽のマンタたちもそういうお年頃なのか、オスがメスを追いかけるようなシーンをしばしば見掛けるようになってきた。

現在、大水槽のマンタ(ナンヨウ)は4匹でその内の1匹がオス。
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一番小さかったのに、メスの後を追うようになったようだ。
さらに、オニイトマキエイもオスである。同種のメスはいないが、同属のナンヨウマンタを追尾する様子がしばしば見られた。
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実はこのオニイトマキエイによるナンヨウマンタへの追尾は、一昨年くらいから見られていて、種類的なものなのか、個体の性格なのかは分からないが、ゆる~く追尾する、みたいな感じ。でも、今年は今まで見たよりもしつこく、頻繁に追尾をしているようで、そんなシーンを何度も見掛けた。
昨年まではお気に入りと思しき一番大きなメスばかりを追いかけていたオニだが、今シーズンはブラックも追尾対象となったようで、それを追うところも度々見られた。
ブラックマンタもほぼ搬入直後から見てきているけれど、その頃は小さかったのに、オスの追尾を受けるまでに成長したと思うと、感慨もひとしお。親戚のおじさんみたいな気分(笑)
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ピントのない写真だけど……
追尾が始まると急旋回、急潜航など遊泳軌道を極端に変える。オニはナンヨウほど小回りが利かないので、その動きにオニは着いて行けずに撒かれてしまう、みたいなことが繰り返される。
それ故に平和が保たれている部分もあるのかも知れないが、姿形はよく似ているのに、こういうところでも違いがあるのは面白い。
逆に、オニのメス、ナンヨウのオスの組み合わせならどうだったんだろう? すぐに捕まる? それとも体格差で撃退する? 想像は尽きない。



オニ、そしてオスのナンヨウマンタによる追尾は、かつていたオスほどには厳しくないものの、頻繁に見掛けるくらいにはしているようだ。
あんなに小さかったオスが追尾するようになったのか!! と、その成長ぶりを嬉しく思う反面、盛りの付いたオスの追尾の激しさを知っていると、メスたちが心配になってしまうのだ。
実際、黒のヒレには大きな傷がついていて、噛まれた跡であることは明かだ。
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この傷を付けたのがナンヨウのオスなのかオニなのかは分からないが、交尾していたり、なんてことがあるのだろうか。今回はそれを聞いてみることはできなかったが、オニと黒のハイブリッドなんてことがあり得てしまうんだろうか?
ハイブリッドとなると、もろ手を挙げて喜べるようなものではないが、搬入の頃から知ってる2匹の子となると、これまた親戚のおじさんモード発動間違いなしだ。
ここ数年、美ら海水族館でのマンタの繁殖はなく、個人的に“静かな夏”を過ごしているが、黒の仔となれば、駆け付けない訳にはいかないが、果たして……!?

繁殖とか性成熟とか追尾とか、そういう話題ならジンベエザメに触れない訳にはいかなさそうだ。
というのも、現在、大水槽に1匹でいるジンベエザメ、ジンタが絶好調。繁殖に関連するような行動が頻発しているからだ。

例えば、反転しながらクラスパーを交差させるなどの行動。以前も時々見られていたが、時期的なものなのか、今ではかなりの高頻度で見られるようだ。
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突然、目の前で始まったので、これまたピントのない写真だけど……

実際、今回の訪問でも何度かそんなシーンを目撃した。大水槽の周辺にいた時間なんて知れていたのに、である。
有り余る性衝動に突き動かされるのか、そうした衝動が高まると、水槽の周囲に貼られたシートを噛み、求愛するような行動も見られるのだとか。
盛りの付いた犬が人の足などにまとわりついて腰を振ってる、みたいな感じだろうか?
流石にそんな行動は見ることはできなかったが、常連の知人が撮った動画では確かにそんな行動が記録されていた。

当面、新たな個体は導入しないことが決定しているそうだが、確かに、ここに新たにメスを入れても、すぐさま激し過ぎる追尾や咬みつきを受けてしまいそうで、導入に慎重になるのは当たり前だろう。
もっともそれも、8.8mもある性成熟に達したオスのジンベエザメの追尾がどんなものか分かったからではあるのだけど、ジンタの成長とそれに伴う行動は、新たな知見をもたらしてくれるという意味で嬉しい反面、水槽内繁殖の成功という夢が正夢になるのはかなり難しそうだという現実も突きつけられているようで、複雑な気分だ。

ジンタの激しい追尾に耐えうる性成熟に達したメスがいれば、かなり高い確率で交尾までは成功すると思う。
しかし、そんなメスというと、恐らく10m前後はあるのだろうと思うが、そんな大きな個体があの水槽に入るのか? そもそも、生きたまま水族館まで運べるのか? 等々、課題は多そうだ。

それはともかく。
やっぱり、外洋性の超大型魚たちのこういう行動が見られたり、知らなかった何かを実際に見ることで知れたり、やっぱり美ら海水族館ってスゲェなぁ、ってあらためて思った。
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久しぶりの再会 水槽生まれのイタチザメ [サメ]

2017年に美ら海水族館のサメ水槽で産まれたイタチザメを覚えているだろうか?

約30匹が産まれた内の1匹が約2mまで成長し、2019年には産まれた水槽で展示もされた。
https://aquarium-mistral.blog.ss-blog.jp/2019-07-06(展示された時の話)

しかし、その後、調子を崩したとかで、水槽での展示は終了してしまった。
そういう発表≒個体の死亡であることがサメではとりわけ多いけれど、この個体に関しては違う。海上生け簀に移された後、元気を取り戻し、今も健在だ。
OSCの生け簀ツアーに参加すると、その姿を見られるということで会いに行ってきた。

生け簀の縁に下ろしてもらって、給餌を見学するのだけど「くれぐれも手は入れないでください」と注意される。
生け簀を覗き込むと、大きなオオテンジクザメの姿が見えた。それも3m以上あるかなりの大型個体だ。そんなのがいるところに誰が手を入れる? なんて思っていたら、イタチザメが自分の真下にその姿を現した。
それを目の当たりにした時、正直、引いた。想像以上にデカかったのだ。
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3mは軽く超えていただろう。もしかしたら4m近くあったかも知れない。そんなサイズ感だ。
手を伸ばせば届いてしまいそうなところにそんなのが泳いでいるのだ。動きはゆっくりしていたし、飼われている個体だからか緊張感が漲る、みたいな感じでもなかった。それでも、言い知れぬ恐怖感に身体がゾワッとした。
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給餌棒に餌がセットされ、水面へと差し出されると、ゆっくりと近づいてきて、ガバッと食らいつく。
水面を割って飛び出す顔がまた大きく、感動と恐怖が入り混じったような感情が声と一緒に溢れ出してくるようで、サメが餌を食べる度に“うひょー”みたいな声を出していたような気がする。
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動画


巨大に育ったイタチザメの姿は、何とも感慨深かった。最後に見た時、2019年の水槽だったが、その頃はまだ2mだったのに、さらにその2年前、あんなひょろひょろの幼魚だったのに、それがこんなに大きくなったなんて!! 嬉しいような、信じられないような、いろいろな感情が行ったり来たり、まさにそんな気分だった。

それにしても、水槽だとうまく泳げなくなったりしてしまうイタチザメが、何故、生け簀なら飼えてしまうのだろうか。
壁は避けられなくても、網なら避けられるのか。はたまた、何か別の要因があるのだろうか?
いずれにせよ、ここまで大きくなってしまうと、再び水槽で、というのはもはや現実的ではないかも知れない。
この個体がこの先どこまで大きくなるのかは分からないが、これ以上大きくなるようなら、今の生け簀で飼い続けることだって難しくなるのだろうし、どうなっちゃうんだろう? みたいに気になってしまうところもあるが、この個体は産まれた日時まで正確に分かり、現在のサイズまでの成長過程がすべて分かっている世界唯一のイタチザメである。そこからもたらされる知見は計り知れない。
これからもずっと長く生きて、いろいろなことを教えて欲しいと思う。
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でも、そんなことよりも久しぶりに再会できたこと、そしてこんなに大きくなっていたことの2点を何よりも喜びたいと思う。

会えてよかった。しかも、こんなに大きくなった姿を見せてくれるなんて。
生け簀に来るのは久しぶりだったけれど、やっぱり楽しかった。
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浅虫水族館の気になる魚 Vol.3 淡水魚編 [淡水魚]

メインディッシュの後は美味しいデザートをもって満足感とともに終了するのがコースメニューだが、浅虫水族館の2Fの展示はまさにメインディッシュたる1Fの展示を見終えた後、その満足感をさらに高めてくれる極上デザートだ。
中でも、リニューアルされた古代魚の水槽は個人的にも大きな目的だった。展示に再登場した2種類のガーたちに誘われた、みたいな感じだろうか。

浅虫水族館で見られるのはニカラグアガーとアリゲーターガー、Atractosteus属の2種類。
ちなみにニカラグアガーというのは俗称で、トロピカルガーの1タイプでニカラグアに産するもの、と説明すればより正確だろうか。
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日本の水族館でも何か所か見られるところがあるが、「ニカラグアガー」として展示しているのは浅虫水族館だけだと思う。
ニカラグアガーは1994年に1度輸入されたきりで、今、日本国内にいるのはその時のものか、2014年に少数が流通した国内生まれの個体のみ。大変希少な存在だ。
それもあって、ニカラグアガーとしての展示は、この魚が希少な珍しいものであることを伝えてくれているようでとても好感が持てる。

同じ水槽の2匹のアリゲーターガーたちも、他魚に委縮することもなく、ガーらしいのんびりゆったりした動きを見せてくれている。
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ガー以外にはアロワナや肺魚も混泳しているが、種類が異なるアロワナたちも穏やかな性格の個体が揃っているのか、水槽の雰囲気は非常に穏やかなものだった。そのため、ガーのヒレや身体の傷みが少ない点も高ポイントだ。
アリゲーターガーというと、TVなどの影響で悪いイメージがついてしまったが、この水槽をじっくり眺めれば、そんなイメージが誤りであることを気付かせてくれるのでは、そんな風にさえ思った。
水槽の前にベンチでもあったなら、そこに座っていつまででも眺めていたい。そんな風に思うほどリラックス効果の高い水槽だとオレには感じられた。

ガーたちがいる水槽の隣も以前とはガラリとイメージを変え、大きな水草レイアウト水槽へと生まれ変わっていた。
水草を育成するための照明と、それに照らされた鮮やかな緑がまさしく目に眩しいような、とても綺麗な水槽だった。きっと、暗く長い冬がある地元の人たちにとって、まさしく癒しの水槽なのではないだろうか。
何でも、水草育成に長けたスタッフ氏がいるそうで、その人が主導して制作されたのだという。水草水槽の長期維持は大変なことも多いのだが、技術を持った人がいるお陰なのだろう。とても綺麗な状態だった。
中を泳ぐ魚は、南米産のテトラ類の他、マーブルやブラックなどのエンゼルフィッシュの改良品種が数多く入っていた。
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水槽が大きいこともあるのだろう。そんなエンゼルたちの綺麗さに大いに驚かされた。
大型のレイアウト水槽ではアルタムなどのワイルド種が入れられることはあるものの、改良品種がそういう使われ方をすることは少なく、加えて、小型水槽の人気が高い昨今、エンゼルフィッシュ自体の人気も下火らしい。
そんな状況もあり、最近、綺麗な改良エンゼルを見る機会はめっきり減っていたから、久しぶりに見る超ハイクオリティなエンゼルフィッシュたちには大いに感動させられた。
それなりのサイズの水槽でちゃんと飼えば綺麗になる。そんな超基本的なことを思い出させてくれるようだった。
遠目で見る水草水槽の綺麗さに感動した後は、水槽に近寄ってエンゼルたちの美しさにも驚いてみて欲しい。この水槽にいるほど綺麗な改良エンゼルはなかなか見られるものじゃないから!!

水草水槽や古代魚水槽の並びにある浅虫水族館有数の大型水槽。6年前には、ここにガーたちが入っていたが、現在はピラニアの水槽になっていた。

数は多く入っているが、それこそどこにでもいる種類(Pygocentrus nattereri)のみ。贅沢だが、見る分にはそれほど面白い水槽じゃないかも、と、素通りしようとした時、横目に泳ぐピラニアたちの姿が見えた。
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おっ!! ここのピラニア、やけに綺麗だぞ!! と立ち止まって見てみると、やけに色鮮やかな個体が多い。
赤の鮮やかさだけでなく、その面積も広い。産地などによっては、こうした鮮やかな個体群もいるようだが、そんな特別なものではないはず。違う種類かと思うほどの色鮮やかさに驚いたと同時に、その秘密が知りたくなった。餌? 水?
やけに綺麗に仕上がったエンゼルの例もある。やっぱり、青森は水がいいのかなぁ!?
良さそうなイメージはあるけれど……

2Fの展示は基本的に淡水魚だが、すべてが外国産という訳ではない。
地元や近隣に住まう魚もいる。
6年ぶりに見る日本の淡水魚を展示した水槽は、照明なども変わったようで、以前より見やすくなったような気がした。
そこにいたアルビノのイトウも気になる1匹となった。
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青森にイトウは自然分布していないが、養殖は行われているらしく、かなり大きな個体が2匹、展示されていた。その内の1匹がこのアルビノ個体だ。
作出されたものであること、しかも、見たことがない訳でもない。でも、この大きさ(1mくらいあった)でこの綺麗さはなかなかのものだと思う。
養殖のサケマス類は体型の崩れが激しく、イトウも例外ではないが、ここにいた個体はそれらしい体型がちゃんとキープされていて、ヒレなどの傷みも少ない。
養殖由来の個体でこれだけ綺麗ならそれだけで価値があると言ってもいい。しかも、見えやすい位置にいてくれたし。オススメの1匹です!!
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浅虫水族館の気になる魚 Vol.2 海の魚編 [海の魚]

6年ぶりに行った浅虫水族館では、地元の海の展示が大幅に拡大されていた、というのはひとつ前のブログでも書いた通りだが、そこにいた魚たちもいい個体が揃っていて、大いに楽しませてくれた。

カッコいい!! とやっぱり見惚れたマダラ。
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2回来て2回ともカッコいいマダラを見られているから、これはもう、浅虫水族館に来る楽しみのひとつと言っていいかも知れない。
むつ湾ではマダラは比較的浅いところにもやってくるそうで、そのため魚体へのダメージが少なく漁獲できるらしい。浅虫水族館で綺麗なマダラが見られるのはそういう事情もあるようだ。
同じ水槽にはマダラ以外にスケトウダラもいて、オレが行く少し前まではコマイもいたそうで、青森で見られるタラ科魚類3種が見られる水槽だったとか。
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スケトウダラと言えば、前回訪問時、その綺麗さに大いに感動した覚えがあったのだけど、今回見た個体は、綺麗には綺麗だけど、頭が上を向いた背中が沿ったようなフォルムにちょっとした違和感が。
聞けば、協力関係にある研究機関で産まれた繁殖個体なのだそうだ。体型は飼育下育ち特有のものなのだろうか?
CB個体ということもあってなのか、体型はがっしりしていて、どこか華奢な印象のあるスケトウダラのイメージを覆しそうなほど大きく健康そう。生まれ育った環境の違いでそういう差が出るのだとしたら興味深いところだ。

6年前、マダラがいた水槽にいたのはアブラツノザメ。
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青森では馴染み深い食材だそうで、だからこそ展示したい!! と努力を重ねた結果がこの水槽という訳だ。
例によって? 飼育が難しいそうで、長期展示は簡単ではないそうだが、移送方法などを工夫して展示に至ったとのこと。
青い照明で薄暗くされた水槽には、3匹ほどがこれまた食材としても馴染み深いカスベとともに展示されていた。
見たところ、状態もよさそうで、アブラツノザメによくある鼻先のキズもなくとても綺麗な姿で展示されていた。地元の人から見れば“美味しそう”に見えるのではないかな?
暗い水槽で、周囲の映り込みもきついので、写真を撮るのは簡単ではないけれど、ここもまた“地元スペシャル”な展示だからしっかり見ておきたいところ。

青森の海の展示はトンネルのある大水槽から始まる。
そこを抜けたところにあるのがアマモの水槽。水族館周辺の海でも茂っているのが見えたが、身近な環境を再現した水槽だ。
その水槽ではギンポたちがニョロニョロと存在感をアピールしていた。
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ありふれた魚、というイメージだからか、はたまた小さいからか、それほど注目することはなかったような気がする。
しかし、浅虫水族館のギンポたちはそれなりの大きさ。それが見えやすい位置で何匹もがクネクネと踊るように泳いでいればイヤでも目に入る。
ギンポと言えば、江戸前天ぷらの高級素材だが、ギンポの天ぷらを食べたことないオレは、前々から“あんな小さい魚、どうやって天ぷらにするんだ?”と思ってた。
でも、この水槽にいるくらいのサイズがあれば、ちゃんと食べた感のある天ぷらにできそうだ。
でも、驚いたのは大きさよりも意外な綺麗さ。“えっ!! ギンポってこんなに綺麗な魚だったの!?”と。婚姻色なのか、はたまた綺麗な個体はこんなものなのか。
水槽が明るいことに加えて、よく見える位置で動き回る様子は目を引きやすい。水槽の前を通る度に、しゃがみこんでその姿を眺めた当日のお気に入り水槽だった。

ギンポつながりでもう1種類。
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フサギンポ。それも5㎝くらいの幼魚。浅虫水族館生まれの個体だそうだ。
フサギンポ自体は水族館では珍しい魚ではなく、浅虫水族館でもある程度のサイズの個体が展示されていたが、こんな小さな幼魚となると話は別だ。
成魚の姿とは結びつかない色と形もさることながら、こんな魚が殖やせてしまうことに驚かされた。
浅虫水族館では以前、オオカミウオの繁殖に成功し、その幼魚の展示をしていたことがあったが、きっとこうした魚たちの繁殖が得意なのだろう。フサギンポ以外にもハタハタやクマガイウオなどの繁殖稚魚が展示されていた。そういえば、ひとつ前のブログに書いたアオリイカも自家繁殖個体だった。
こうした繁殖事例が少ない魚たちというのは、その育成も簡単ではないと思うのだけど、閉館が近づいた頃、給餌時間に遭遇したが、餌にがっつく幼魚たちはその育成がとてもうまくいってることを教えてくれているようで頼もしかった。
順調に育っていって欲しいと思う反面、こんな小さなフサギンポはなかなか見られないことを考えると、もうしばらくこのままでいて欲しいかも、とも。
とは言え、今回のように再訪するのが6年後だったりすると、どう転んでも成魚になってしまうのだけど。
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6年ぶりに浅虫水族館へ [水族館紀行]

浅虫水族館に行ってきた。

コロナの流行に阻まれたとは言え、2016年に初めて行ってから6年もの月日が流れていたが、その分、多くの展示が変わっていて、久しぶりの訪問で浅虫水族館の良さを再認識。めいっぱい楽しませてもらうことができた。

何が良かったって、規模のちょうどよさ。
小さからず、巨大すぎず、といった感じで、まさにちょうどいい。
情けない話だが、大規模施設や、上ったり下りたりが多い施設だと、ジジイは疲れてしまうのだ。しかし、浅虫水族館の展示は1Fに集中している。そのため移動は横方向のみ。それも適度な規模のお陰で、疲れ果ててしまうことはない。
上階は2Fだけで、上りはエスカレーター付きと、体力の衰えたジジイに優しい作り。
さらに、コインロッカーはお金が戻ってくるタイプ。カメラだけ持って、他の荷物はロッカーに入れてしまっても、必要に応じて何度でも出し入れできる。そのため、重いカメラバッグを持ち歩く必要もないから、余計にレンズを持っていても重さに悩まされることがない。次はもう1本持っていこう!!
そのため、最近では珍しく、11時くらいから閉館までと比較的長い時間を過ごしたが、疲労感は少なく済んだ。
これだけでも「浅虫水族館、いい!!」と大いに思った訳だけど、こんなショボい理由だけが好印象の理由じゃもちろんない。

大きな満足感の理由は、さらに濃度を高めた展示の“青森色”。
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遠く離れた地域から「青森の水族館」に来た者からすれば、そこで見たいのはやっぱり“そこならではのもの”。それが充実していて、しかも綺麗とあれば、満足感は自ずと高くなるというもの。
初めての時の好印象の理由もそこだったが、今回も同じだった。

6年の間に変わったのは展示だけでなく、照明などの小変更も多く行われた模様。
とりわけ、その効果に驚かされたのが鏡で覆われた大水槽のトンネルの鉄骨。
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以前は存在感を主張していた鉄骨。鏡貼りになったことは知っていたけれど、たったそれだけのことでウソみたいに存在感が薄れていたことには驚いた。
そうした工夫によって見やすくなっていたり、雰囲気がガラリと変わっていたりなど、見たことがあるはずの水槽も“違う水槽”になっていたところは他にも沢山あって、そんな変化も満足感を高めてくれる理由になっていた。

また、そうした数々の変化を、知ってる飼育スタッフ氏が意図やこだわりを含めつつ教えてくれたことも大きかった。
話を聞かせてくれた知人スタッフは、自身が担当している水槽やエリア以外についてもいろいろ聞かせてくれたので、より深く、それらの水槽が見えたように思う。
中でも強く印象に残ったのがアオリイカの話。
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浅虫水族館生まれの7㎝くらいの個体(6月初めの時点で)が展示されていたけれど、イカの通年展示というのは本当に大変なものなのだそうだ。
飼育の難しいイカの中では、アオリイカは比較的飼いやすい種類だそうだが、それでも卵からそれを育成するとなると、相当難しいらしい。
それ故、展示されていたのは7匹ほどと少数だったが、残ったそれらは手厚くケアされていて、幅3.5mほどの水槽に小さなイカが数匹だけという贅沢な飼育環境が与えられていて、給餌も何と1時間ごと。急成長するイカの幼体はとにかく多量の餌を必要とし、それが不足すると共食いを始めてしまうからだ。
幸い、浅虫水族館生まれのアオリイカたちは生きてない餌にも餌付いているため、餌の確保はそこまで大変ではないようだったが、日に何度も給餌しなくてはならない担当者は大変に違いない。でも、1時間おきに給餌時間があるお陰で、何度もそのシーンを見ることができた。
オレが行ってから既に3週間以上が経過しているから、今ではさらに大きくなっているのだろうと思う。

大きくリニューアルされたと聞いていた2Fの淡水魚の水槽も、浅虫水族館に行きたい大きな理由のひとつだった。中でも古代魚をテーマに生まれ変わった水槽はとりわけ見たかった水槽だ。
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水槽の背景に横たわる骨。ティラノサウルスをイメージしたものだそうだが、恐竜の骨と聞くと化石を想像するのが一般的だ。しかし、ここでは化石に見えないよう、明るい色合いにしたのがこだわりだったとか。
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水槽のテーマは古代魚。同じ時代に生きる恐竜が死んで白骨化した、みたいなイメージなのだ。だから化石ではダメなのだ。
現在のものになるまでには、化石風の色合いのものや、ティラノサウルス以外のものなども試作されたらしく、さらには骨ではなく恐竜そのものを試作したこともあったらしい。
ガーをメイン(オレ目線かも・笑)にアロワナや肺魚が泳ぐ水槽は、それぞれの魚がゆっくり泳ぐこともあり、非常に平和な雰囲気。見ていると、まさしく癒されるような水槽だった。見に行けてよかった!!

初めての時の印象が良かった施設は、期待値が高まっていることもあって、次に行くと、こんなもんだっけ? と印象がスケールダウンすることもしばしばある。
それが浅虫水族館では、1回めの好印象を上回ってきた。
先にも書いたように展示の地域色がより濃厚になっていたことがその主な理由だが、この先、変化していきそうな水槽もあったし、次に行くときは何を見せてくれるんだろうか? そんな期待もより高まった。
惜しむらくは、定期的に足を運ぶには少々遠いこと。でも、次は6年も間をあけずに行きたいなぁ……
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サンシャイン水族館の多国籍池 [淡水魚]

タイトルはちょっと“盛って”いるけれど……(笑)

サンシャイン水族館の屋外部分、空飛ぶペンギン水槽の向かい辺りにあるアロワナやドラドのジャンプ給餌が見られる水槽。
その水槽を取り囲むように作られた浅い部分、今回はそこの話。

以前からそこにグッピーやコリドラスがいることは知っていたけれど、わざわざそれらを見たり、意識したりすることはなかった。
でも、今年の2月に行った時のこと。アロワナやドラドを眺めていたら、下の部分にグッピーではない魚がいることに気が付いた。
知らない間に魚の数が増え、数量限定だが餌やりも楽しめるようになっていたらしい。
数日前、4か月ぶりにサンシャインに立ち寄ったのだけど、そういえば、この池の魚が増えていたんだよな、と、真面目に見てみることにした。
ちゃんと見てみると、思った以上にいろいろな魚が入っていて、ちょっとした驚きがあった。

多国籍軍の構成員その1。何かしらのモーリー。
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オレンジ色のもの、グレーのもの、ゴマ塩模様のもの、など。恐らく、グッピーと一緒に前からいたのだろうと思うのだけど、それらがまたずいぶんと大きくて、12~13㎝くらいありそうなサイズ感。あの池ではもっとも巨大な魚だ。
大きさからセルフィンモーリーかと思っていたんだけど、よくよく見ると尾ビレ下葉が伸びているものもいて、ソードテールなの!? と。
ソードテールにしては大きすぎる気がするのだけど、こんなに大きくなるものなのか!?
はたまた、何かしら他種の血が入って、ここまで巨大化したものなのか。
恐らく、普通に売られている“モーリー”で珍しいものではないはずだけど、ここまで大きくなるとは思ってなかったので驚かされた。

2月にこの池を見た時に、こんなのいるんだ!! と思ったのがコレ。
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レインボーシャイナー。北米産の小さなウグイみたいなコイ科の魚。
水族館ではあまり見掛けない、というか、日本の水族館だとサンシャインのこの池にいるもの以外、常設展示している施設はないかも?
観賞魚としてもそれほどメジャー種でもないし。
でも、なかなか綺麗な魚なのだ。この池にいるものも、背中側から見てもキラキラしてるのが分かるくらい綺麗な個体がいて、横から見えないのが少々残念。

コイ科の淡水魚と言えば、こんなのもいた。チェリーバルブ。
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元を辿ればスリランカに産する魚だ。
レインボーシャイナーとは違い、観賞魚としても古くからのメジャー種。
安く買えるけれど、綺麗になるとして費用対満足感の高い魚でもある。
そんなチェリーバルブもそこそこの数が入っているようなのだけど、不思議なのがオスらしきものの姿がなかったこと。
チェリーバルブと言えば、その名前の由来ともなった真っ赤な体色が特徴で、売られているものでもその色を発色していることは珍しくない。
ただ、赤くなるのはオスだけ。サンシャインの池にいるチェリーバルブは赤い体色のオスが全然見当たらないのだ。
まさか、メスだけ選んで持ってきた? 赤いオスがいると、目を引いてよさそうな気がするのだけど……

チェリーバルブのオスを探そうと、頑張って池の中を覗き込んでいると、グッピーくらいのサイズの、グッピーではない魚が数匹いるのが目に入った。
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何だこれ? よくよく見ると胸ビレが少し長く、尾ビレはライアーテール。ヒレの先はやや黄色味を帯びている。
もしかして、セレベスレインボーなのか?
上から見たことがないのでなかなか確信が持てなかったのだけど、どうやらセレベスレインボーらしい。
数が少なく、しかもそこそこ年齢もいってそうな雰囲気。探し出すのは少々厄介かもしれない?
それはともかく、この魚の原産地のことを「セレベス」と呼ばなくなって久しいけれど、この魚はいつまでたってもセレベスレインボーのままだね。

上記以外に5種類、全部で9種類の魚が確認できた。
魚名板もなく、上からしか見えない池だが、思った以上にいろいろいることに驚きながら、それらを探し出すのは楽しい作業だった。
今回は曇りの夕方で池の中はやや薄暗かったので、天気のいい日に再チャレンジしてみたいと思う。また何か違った種類が見つかるような気がするし。
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ゴビウスの大水槽とアリゲーターガー [雑談]

かにっこ館の翌日はゴビウスへ。11年ぶりの訪問だ。
のんびりと周辺施設も見学したりして、楽しい再訪となった。

順路最後に現れる宍道湖大水槽。通路を挟んで向かい合う左側(淡水側)に、本来宍道湖にはいないはずのアリゲーターガーが入っていた。
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90㎝弱くらいの、あまり大きくない個体だが、それ以前に顔が歪んでいて、ヒレも変形している。正直、かなり残念なクオリティの個体。
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水族館では、その魚本来の姿形からかけ離れた状態のものは展示して欲しくないと常々思っているので、その考えからすると“あり得ない”ものではあるのだけど、この個体に関しては残念さ以上に、飼育し続けてくれているゴビウスへの感謝が先に沸き立った。

この個体は松江市内の川で捕獲されたものなのだそうだ。
クソッタレ飼育者が不法に遺棄したもの、ということ。狭い水槽で無理な飼われ方をしていたのだろう。顔やヒレの変形は遺棄される前の飼い方に問題があったからなのだろうと推測する。

同じく外来の野良生活者でも、保護され、引き取り手を探してもらえるネコとは異なり、アリゲーターガーは見た目やイメージ、さらに特定外来指定種であることもあり、見つかれば捕獲され、殺処分されてしまうのが普通だ。
しかし、ゴビウスにいる個体は、保護され、安定した飼育環境を得るという、奇跡みたいなラッキーに恵まれた稀有なケース。
見つかったのが特定外来になる前だったから、というのもあるのだろうが、水槽は十分な広さがあるし、攻撃したりヒレを齧るような同居魚もいない。
恐らく死ぬまでこの水槽でのんびり暮らせるのだろうと思う。

この個体が産まれてこれまでに辿ってきた人(魚)生を想像すると、心の底から「よかったね!!」という思いが湧き上がってくるし、同時に、展示向きとは言えないクオリティの個体なのに、ちゃんとした環境で飼ってくれてありがとう。あらためてゴビウスに感謝したくなった。

ゴビウスに来る人にアリゲーターガーを紹介する存在となったのだから、本来のカッコよさを伝えられるような個体であって欲しかったともあらためて思うが、この個体だからこそ伝えられることもある。バカな飼育者がいたこと、こんな魚を非常識な安値で流通させた業者、そしてその結果、特定外来生物とされてしまったことなどの愚行の数々を。

アリゲーターガーを眺めながら、いろいろな思いを巡らせていると、背後から視線を感じる。振り返ってみると……
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クエ。30㎝くらいの小さな個体。
ずっと通路側を向いていて、オレのことを見てる? みたいな感じ。若い個体ならではのピカピカしたような肌つや感と、綺麗な目。
サイズの小ささもあって、“なんて可愛いんだ!!”と顔がにやけてしまう。

こういうのを見る度に思うのが、このくらいの大きさで止まってくれるならウチに連れて帰りたい…… というヤツ(笑)

もちろん、家でクエを飼うことはないが、大型ハタは大きくなると置物のようになってしまうから、そうなる前のこの可愛さをずっと楽しめるといいなぁ、と。
とは言え、この子がずっとこの大きさのままいてくれたとしても、ゴビウスは遠いのでそう簡単に会いに来ることはできないのだけど……

この可愛いクエも含め、その体色は派手と言えるようなものではなく、華やかさという点では一般的な淡水魚とも大きくは変わらないな、と。
淡水魚といえば、ネット記事などで度々“地味”と言われてしまい、それが主役の水族館というと地味だから面白くない、的な紹介をされてしまうことも少なくない。
ゴビウスは淡水魚専門の水族館ではないものの、それこそ地味と言われてしまいそうなハゼ類など小さな淡水魚も多く展示されている。
色味はたいして変わらないのに、どうして淡水魚はいつも地味だと言われてしまうのか。タイやスズキ、コショウダイなどが泳ぐ水槽を眺めながらふと思った。
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大きさ、なのかなぁ?

水槽にはマダイとクロダイとヘダイがいたが、40~50㎝はあろうかというそれらはじっくり眺めるまでもなく赤いのと黒いのと丸いの、くらいの区別ができる。
しかし、10㎝に満たないタナゴやモロコ、ヨシノボリなどが入った水槽で同じような3種類を見分けるには水槽を横目で眺めるだけでは無理で、しっかり観察しなくちゃならない。それ以前に水槽内を逃げ惑う小魚は観察することも簡単でないことも多く、興味が薄い人なら、色のない小魚が泳いでた、くらいの印象しか残らないかも知れない。

同じ銀色の魚でも簡単に見られて、区別もできる海の魚と、小さく見にくい淡水魚。
「淡水魚=地味」というイメージはそうしてできたものでは? なんてあらためて思ったのだけど、どうだろう?

水槽を眺めつつ、そんなことを考えていたら、目の前にひと際大きな魚が降りてきた。
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マツダイ。
水面に向かうエアーレーションの上で横になって漂っていたらしい。
個人的に好きな魚のひとつだが、水族館では意外と短命らしく、見掛ける機会のあまり多くない魚だ。
しかも、こんなに大きい個体となるとなおさらに。

でもさ、地味か派手かで言えば、やっぱり地味だよねぇ。海の魚だけど……
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とっとり賀露かにっこ館のズワイガニの話 [その他]

賀露かにっこ館の主役はズワイガニ(松葉がに)である!!

ここでしか見られないような珍しいものもいて、遠く鳥取まで行った甲斐もあった。そう思わせてくれたのはズワイガニだったから。
と言っても食べて得られる満足感ではなく、もちろん見る方の話だ。

ズワイガニ、とりわけベニズワイガニに関しては、鳥取県が日本一の水揚げ量を誇っているそうで、ある意味看板展示。
しかし、生体展示だけでなく、食材として流通するベニズワイガニはすべてオス。サイズの問題ではなく、メスは漁獲が禁止されているから。そのため、その姿を見たことがある人すらほとんどいないのだとか。
ましてやその生体となると研究者とかごく一部の人くらいしか見たことがないような超貴重なものなのだそうだ。
そんなベニズワイのメスを、かにっこ館では見ることができるのだ!!
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水槽を覗き込んでいると、通り掛かったスタッフ氏が「激レアですよ」とわざわざ声を掛けてきてくれた。メスの禁漁を知らなかったオレは、小さなベニズワイだと思っていたのだけど、ありがたみのある展示だったようだ。
もし、かにっこ館に行く機会がある人は、ここだけは見逃さずにしっかり見てくることをお伝えしておきたい。

同じスペースに並ぶ別の水槽では、ベニズワイガニとズワイガニのハイブリッド個体もいた。これもまた珍しいものらしい。
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見た目は黄色っぽいズワイガニ、といった感じ。その色味からなのだろう。黄金ガニと呼ばれたりもするようだ。普通のズワイガニよりも甲羅が分厚いようにも思ったが、それはオレの気のせいかも知れない。ズワイガニとは甲羅の形状などで見分けられるらしい。
天然のハイブリッドなので、希少なのは間違いなく、さらに展示されていたものは2㎏近くもあるというかなりの大型。こんなに大きなものは相当珍しいのではないだろうか。

激レアなベニズワイのメスやハイブリッドは公開されたバックヤードの一角に置かれた水槽にいたが、ズワイガニは展示スペースの一角、松葉ガニ牧場なる表札も付いた小部屋のようになった専用スペースで展示されていた。

入って正面の水槽にいたのが、ズワイガニの大型個体。
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ズワイガニと言えば超高級食材だが、鳥取ではサイズなどの決められた基準を満たし、さらに目利き人による選定を経たものを五輝星という特別ブランドで販売しているらしい。
基準を満たすものはかなり少ないようだが、その分、普通のズワイガニよりもずっと高価で、数百万の値が付いたこともあると解説されていた。
この個体は、まさにその五輝星の基準を満たしたスペシャル個体。水槽ではブランドタグは外されていたが、食材として流通させれば、ビックリ価格が付くようなものなのだろう。

きっと、美味しいのだろう。でも、普通のズワイガニとそんなに違うんだろうか?
食べてしまえば終わってしまうものに、数百万の値段は勿体ないと思ってしまうオレには到底縁のないものだが、こういう世界もあるのね!! と、オレの知らない世界を垣間見せてくれた個体だった。
このカニからすれば、漁獲されてしまった時点で不運だったはずだが、特別ブランドの基準を満たしていたにも関わらず、調理されてしまわれることなく水槽で生き永らえることができたのはラッキーだったのかも知れないね。

松葉ガニ牧場のズワイガニの展示水槽には、それはもう沢山の個体が。
大きなオスたちは小さなメスを巡る争いを繰り広げていて、メスを確保したオスはそれを挟んで振り上げ、他のオスから遠ざけようとするのを見られたのは面白かった。
人の感覚ではずいぶん乱暴な感じに見えるが、メスはおとなしく持たれていて、カニの世界ではそういうものなのだろうなぁ、と。
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そんなズワイガニたちのやり取りを見ていた時、ふと気付いたことが。
ズワイガニの甲羅には黒い粒(カニビルの卵)がくっついていることが多く、実入りの良さの証明、みたいに言われたりする。
それ自体、ちょっと気持ち悪かったりするけれど、そういうものとして意識することもあまりなかったのだけど、この水槽のズワイガニの背中には卵ではなく、細長いミールワームみたいなのが貼り付いていた。
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もしかして、これがカニビルなのか!?
黒い卵は何度も見たことがあったけれど、本体? を見るのは初めて。
カニの体液を吸うことはないのだろうけど、卵とは段違いの気持ち悪さ(笑)
気持ち悪いと言いながらも、見つけて以降、目はこのワーム状の何かにくぎ付け。
しかも、この1匹だけでなく、他のカニにもくっついていたりして、数匹がいた模様。
かにっこ館で見たものの中で、もっとも印象に残ったものかも知れない。

このワーム状の何かを見たのは、今から1カ月半くらい前のこと。
まだ元気で? カニに貼り付いているかは分からないが、他では見た記憶がないので、これもまたかにっこ館ならではのスペシャル展示なのかも知れない!?
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とっとり賀露かにっこ館(鳥取) [水族館インプレッション]

日本全国水族館巡りはこれでお終い!!

これまで何度か口にしてきたけれど、その度に「〇〇は?」とその他の水族館巡らーたちに突っ込まれ続けてきたオレの水族館巡り。
でも、今度こそこれで終わり。他の人たちみたいに“水槽巡り”までするつもりはないし、行っておかないと終わったと言えなさそうな最後の施設にようやく行ってきたから。
その最後の施設というのが、鳥取の「とっとり賀露かにっこ館」。ここに行ったお陰で、これまで行ったことのなかった鳥取県に足を運ぶことができたので、未踏の県は残すところ佐賀だけとなった。
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かにっこ館があるのは、鳥取市街から近い賀露というエリア。鳥取空港から歩けそうなほど近くて、クルマなら5分も掛からないくらい。有名な砂丘も近い。
それなのに、オレときたら、かにっこ館があるのは境港だと思い込んでいて、そのため米子空港に降りたんだけど、行く直前にあらためて調べたら“エッ!! 遠いじゃん!!” 鳥取県をほぼ横断するハメに。

かにっこ館はその館名からも分かるように、カニがメインの水族館だ。
行ってみるまで地元の水産会社とかがやってる小さな施設、みたいなものを想像していたのだけど、実際は思っていたよりもずっと立派な県立施設だった。

とは言え、水族館としての規模は小さく、展示されているカニの種類も多くはない。同じく甲殻類専門の水族館であるすさみエビカニ水族館と比べても見られる種類はずっと少なく、とにかく種類数を見たい甲殻類マニアにとっては物足りなさがあるかも知れない。
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それなら何が見られるの? と思うかもしれないが、主役はズワイガニだ。そこは日本海に面した水族館施設だし。その展示は産地のプライドも感じさせるものになっていた。
それが無料で見られるのだから、文句はないどころかありがたいくらいの話で、無料施設としては全国有数の規模と内容なのは間違いない。

ズワイガニが主役の水族館相当施設と言えば福井の越前ガニミュージアムがあるが、かにっこ館の方が規模が小さく、大きな水槽などもない反面、よりフレンドリーな印象。
フレンドリーな感じは、沢山ある分かりやすい解説の影響もあるかも知れない。
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ほぼすべての水槽に何かしら掲示された解説は、小さな水槽だと水槽に対して解説の数やサイズが大きすぎる? みたいに感じる部分もあったけれど、総じて読みたくならないほどの文字量ではないのに、ちゃんと伝えるべき内容が入っている“いい解説”だと思った。
そのすべてを一字一句残さず見た訳ではないけれど、言いたいことは伝わってくる、そんな印象を受けた。

魚は入館してすぐのところにあるこの施設最大の水槽で地元の魚が展示されているほか、小さい水槽でチンアナゴやクマノミなど、子供に人気がありそうなものがいくつか。
珍しいところでは、大水槽にいたヒラメの黄変個体。1m近くありそうな大きな個体だが、驚いたことにこのサイズで漁獲されたものらしい。
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明るい水槽にいるので、普通のヒラメに戻ってしまう可能性もあるから、黄色い間に見られたのはラッキーだったかも。

ヒラメと言えば、小さいヒラメに餌やりもできる。餌やり体験用の水槽があるのだ。

入場料も払っていないし、少しくらいはお金を使おうと餌やりしてきた。
料金の200円を支払うと、餌を持ってスタッフの人が事務所から出てきてくれて、餌を与えている間、付きっきりで解説してくれる。
200円しか払ってないのに、却って申し訳なかったような……
という訳でとってもお得な餌やり体験が楽しめます!!

餌やり用のヒラメ水槽には、15~20㎝くらいのヒラメが入っている。これらは通常、少し大きくなった時点で放流されてしまうそうだが、コロナの影響で放流イベントなどが実施できず、そのため通常よりもずっと大きく育ってしまったらしい。
餌のオキアミを投げ入れると、その瞬間、底砂がヒラメへと変貌。水槽の底床がすべてヒラメに置き換わってしまった。
付き合ってくれたスタッフ氏によれば、500匹入ってます。とのことで、砂よりヒラメの方が多いかも、とも。
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沢山いる個体の中に左右の鰭の付け根が白い個体がいたので、“えんがわちゃん”と呼ぶことにした個体を狙って餌を入れていたんだけど、これだけの個体数がひしめいてる中、特定の個体に食べさせるのは至難の業。加えて、えんがわちゃんはあまりがっついた性格ではないのか、目の前に落としても他の個体に奪われる始末。
こんな具合に、たったの200円で値段以上に楽しませてもらうことができた。

かにっこ館の周辺には観光市場などが並んでいて、食事や地域物産の買い物ができる。
観光客が多く訪れる場所のようだ。空港も砂丘も近いし。
その他の水族館とハシゴするのは困難そうだが、全国制覇を狙っている人、珍しいズワイガニを見てみたい人は是非!!
鳥取空港からは近いので、羽田からなら日帰りも可能だと思う。オススメはしないけれど。
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なかがわ水遊園の気になる魚 Vol.2 [淡水魚]

モロネを見るために行ったなかがわ水遊園では、モロネ以外にも企画展のお陰でそれまでここでは見られなかった多くの魚を見ることができた。
それはそれでよかったんだけど、やっぱり常設の水槽とそこにいる魚たちの素晴らしい仕上がり具合はもっと大きな満足感を与えてくれる。
やっぱいいいなぁ、ここの魚たち!!

瞬間ごとに目の前を横切る魚たちのどれもいいんだけど、あらためて“いいねぇ!!”としみじみ思わせてくれたのがタイガーショベル。
なお、この名前で呼ばれるナマズには複数種類があるのだけど、ここでは個別の種類については触れないでおく。
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個体No.1
ご存じの通り、タイガーショベルは日本の水族館では珍しいものではない。外国産の淡水魚の水槽がある水族館なら大抵いるのではないかと思うのだけど、綺麗な個体、というか、タイガーショベル本来の形をした個体というと、そう簡単には見られない。
でも、それは水族館のせいではなくて、手に入るものにちゃんとしたものが少ないから。
現在、日本で手に入るものはインドネシアなどでブリードされたものが一般的で、それ故に安価で買える(それはそれで問題だけど)のだけど、そうしたブリード個体は残念ながら体型が崩れてしまっていることが多い。中でももっとも変化が大きいのが顔つきで、そこが崩れてしまうと、タイガーショベルならではの魅力自体が損なわれてしまうようで残念なのだけど、何より、本来の姿形を知らない人に、“こういう魚なのね”と思われてしまうのことは、タイガーショベルがもっとも好きなナマズのひとつである者からするとひたすら残念でならない。

しかし、なかがわ水遊園にいるものなら大丈夫!! 本来の顔つきをしてるから。
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個体No.2
大水槽には4匹? がいるようで、小さめの1匹以外はそこそこの大きさがあって、見えやすい位置にいてくれる。それら3匹はいずれも“これぞタイガーショベル!!”という顔つきをしていて、本当にいい!! 小さい個体はいるのは分かったけれど、ほとんど見ることができなかったので、他の個体と同じくいいかどうかは分からなかった。
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個体No,3 ピンタード? 見えるけどまったく動かず、遠く離れた位置にいたのでひとまず証拠写真。

先にも書いたように、このレベルの個体はどこでも見られるものではない。なかがわ水遊園に行ったら、是非、その顔つきに注目してみて欲しい。

タイガーショベルは個人的に大好きな魚だから見とれるのは分かるが、自分では飼ったことも、飼おうと思ったこともないのに、ついつい見惚れてしまう魚がいる。
大水槽を泳ぐパクーはその筆頭だ。
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パクーと言っても、レッドコロソマではなく、ミレウスなどの方。
この手の魚は以前、なかがわ水遊園にも沢山いたのに、今では種類数、個体クオリティ、密度のどれをとってもアクアトトに水をあけられている感が強い。でも、なかがわにもアクアトトにいるものに劣らない個体もいる。
上記画像の個体なんかはその筆頭。何という種類なのかは知らないのだけど、なかがわでは1匹だけ? でも、この手の中では飛び抜けて大きいサイズもあり、その鮮やかさもあって目を引き付けられる。同じ種類はアクアトトにもいるが、それよりも黒っぽくワイルドな風合い。やはり太陽光の影響だろうか?
2年前に行った時には、浅いエリアにいたが、ピラルクーがいる深い方へ移動になったようだ。
体長だけでなく、体高もあり、さらに遊泳力も強い魚だから、水族館ならではの広い環境は如実に魚の仕上がりに好影響をもたらすのだろう。
個体自体の仕上がりの素晴らしさに加え、なかがわ水遊園ならではの大小さまざまな魚との組み合わせによるコントラストも素晴らしく、魚の良さをより引き立てる。
だからこそ惜しいのが、水槽の見えにくさ。この個体はピラルクーがいる側にいて、トンネルの周辺にいるので見ることができるが、浅いエリアにいる魚はそもそもアクリル越しに見る箇所が1か所ずつしかなく、見えない部分が多くあるのが本当に残念に感じてしまう。魚がいいだけにね。

浅いエリアの水槽を眺めていると、想像の中のアマゾン河を覗き込んでいるような気分になれる、というのはこのブログにも何度も書いてきた通りだが、いろいろな魚たちが広い水槽の中でそれぞれの生活をしてる様を見られるから、というのがその理由。
特に浅い方のエリアでは水中を見られるアクリルが少なく、小さいため、全体的に見渡すことはできないが、そのため、アクリルの前にふと現れる魚に“こんなのもいたの!!”と驚かされることになる。
そんな魚のひとつがレポレルス・ヴィッタートゥス。
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アノストムス科のマニアックなカラシンだが、比較的底床に近いところを泳ぎ回る生活をしているようで、同種、他種と追いかけ、追いかけられをせわしなく続けている。
観賞魚として輸入されることもあるが、その数は少なく珍種の部類。とりわけこの水槽にいるような30㎝くらいあるようなものはなかなか見られないのではないだろうか?

以前からいることは分かったのだけど、遠くで動き回っているのが見えただけ。今回はアクリルの近くまで来てくれたので、とりあえず写真に収めることができた。
あんまりいい写真じゃないけど、前々から気になっていた1匹が撮れたので。

結局のところ、なかがわ水遊園のアマゾン水槽はいいねぇ、という結論になるのですよ。
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