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空飛ぶアザラシ [鰭脚類]

三津シーパラに行った時、その日の午前中はあわしまマリンパークにも行ってきた。
この2館はクルマなら5分くらいで行けるくらいの距離にあるので、無理なくハシゴができる。
あわしまに行った目的は、カエル館でイシカワガエルの写真を撮ることだったんだけど、行けば行ったで、展示やショーも楽しんでしまうのだ。規模は大きくないけど、楽しい水族館だからね。

あわしまのアシカショーは素晴らしい。でも、ショーに登場するアザラシ、パルくんの前には、その素晴らしささえ霞んで見える。
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もちろん、アザラシだから、ひとつひとつの技はアシカほどの鮮やかさはないけれど、キリッとした表情に、ものすごい集中力。臆病な性質故にショーにはまず登場しないアザラシが、ここまでできるのか!! と、何度見てもその度に驚かされるのだ。
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アザラシのショーなんて、選ばれし存在であるパルくんだけのものかと思っていたら、他の水族館でも見られる所があるらしい。しかも、そのひとつは、あわしまからもさほど遠くない箱根園水族館でだ。

箱根園水族館には、オレが日本で一番素敵だと思うアザラシプールがあるけれど、久しぶりに行ってみたら、そこがショーの舞台となっていた。
もちろん、ショーの主役はバイカルアザラシたちだ。
アザラシがショーをすること自体が珍しいのに、バイカルともなると、日本ではここだけ。
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小さなバイカルも飛ぶ!!

披露されるパフォーマンスは、輪投げやターゲットジャンプ、バイバイなど、アザラシができるものに限られる。その点ではやはり、あわしまのパルくんほどのキレはないように思う。でも、ゴマフアザラシよりも小さいバイカルアザラシが、小さい体でバイバイなんてしてると、より可愛く見えるのも事実で、顔がほころんでしまうのだ。
余談ながら、個人的には、顔はゴマフアザラシの方が好みなんだけどね。

でも、選手層が厚い箱根園では、あわしまでも見られないとっておきの技がある。
ビリーくんによる、“温泉アザラシ”だ。
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頭に手ぬぐいを乗せて、桶を抱えるだけなんだけど、バイカルのオッサンっぽい顔も相まって、これがすごく可笑しい。ショーの中でも一番の見物になっているらしく、これが有名になったことで、入場者数も増えたのだとか。
でも、ビリーくん自体はパフォーマンスは嫌いなようで、この“温泉アザラシ”しかやらないのだそうだ。

アザラシショーは、トレーニングに時間がかかるため、見られる園館は少ないけれど、もしかすると、隠れた天才は他にもいるのかも!?
でも、どこででも見られるようになると、やっぱりアシカのパフォーマンスには見劣りがしちゃうだろうから、今くらいの珍しさでちょうどいいのかも知れないね。

可愛いのはアシカ? オットセイ? [鰭脚類]

海獣、それも鰭脚類の中で、オレが一番好きなのはカリフォルニアアシカだ。
その理由は、誰よりも綺麗な顔をしてるから。それは今でも変わらないけれど、可愛さでいえば、オットセイかも!? みたいに思っている。
以前、アクアマリンふくしまで保護されていたオットセイの仔を見た時、そのあまりの可愛らしさにすっかりやられてしまっていたからだ。
それまでは、鼻だけが前に突き出たようなオットセイの顔は、違和感があって、好きじゃなかったというのに。
その後、鳥羽水族館で見たオットセイの仔たちもやっぱり可愛かったから、いつからか、オレの中でオットセイは可愛い!! みたいなイメージができあがりつつあった。

三津シーパラダイスには、海を仕切ったプールにキタオットセイが沢山いて、毎年子供が生まれているので、いつ行っても可愛らしい姿を見ることができる。
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しかも今年は、死んでしまったラッコに代わり、ラッコ館のプールでオットセイの仔が展示されるようになったので、今まで以上にその顔をよく見られるようになっていた。
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ラッコファンや三津シーパラのスタッフさんたちには申し訳ないけれど、ラッコよりもオットセイの方がはるかに可愛いと思うオレからすれば、この展示替えは楽しみを増やしてくれたようなものだ。
大きな眼で、ガラスの前にいるオレを見上げるチビ・オットセイは、やっぱりすごく可愛くて、アシカよりもオットセイかも…!? みたいな気分になってくる。

ラッコ館を出て、再びオットセイのプールまで戻ってくると、給餌が始まる所だった。
オットセイの給餌は、同じプールで暮らすアシカ、アザラシとは別の場所で、違ったスタイルで行われる。
1頭ずつ手渡しされるアシカやアザラシとは異なり、数の多いオットセイには集団に向かって餌をばらまくようにして給餌する。
だから、我先に食べようと、オットセイたちは殺気立つ。
決まった量の餌がまかれた後もしばらくは、オットセイたちは殺気立っているのか、給餌場所の周辺を素早く泳ぎ回っている。
そんな所に、食事を終えたアシカたちが戻ってきて、何か落ちてこないかな? みたいな顔をして、こちらの方を見上げてくる。可愛らしい顔だね。
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同様にオットセイたちも、“もう少しくれよ”と言わんばかりに顔を出す。
その時の顔がこれ。
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オットセイ、かわい… くないよな。むしろ、気持ち悪いかも…
少なくとも、濁った海で目の前にこれが顔を出したら、溺れてしまうかも知れない。
写真に撮った個体がたまたまブサイクなだけなのか、成長すると可愛くなくなるのか。はたまた、餌の直後で殺気立っているからなのか。理由は分からないけど、可愛くないことだけは間違いない(笑)

やっぱり、No.1はアシカかねぇ!?

トドって可愛い!! アクアマリンの海獣類 [鰭脚類]

マニアというヤツは、興味の対象に対しては貪欲なのに、そうでないものに対しては無関心だったり、興味が浅かったりするものである。
つまり、視野が狭いのだ。
オレもそう。

今でこそ水族館に行けば、端から端までちゃんと見る努力をするけれど、興味や関心が薄いものは眺める時間が短かったり、混んでいたりすると素通りしてしまうようなことも結構ある。後から考えると、もったいない話だなぁ、と反省することしきり。
このブログに何度も書いている通り、オレは魚好きだから、ことさら目当ての大物がいたりすると、見逃してしまう展示も少なくない。
海獣類もそんな素通り率が高いもののひとつ。

先日、アクアマリンに行った時もそう。
元々、カジキが目的だったし、それが見られれば、それ以外は見られなくても… くらいの気持ちで出掛けていたから、黒潮水槽の前ばかりにいたし、他の魚を眺める時間も、その真剣度も、いつもよりは少なかったように思う。
そんなだから、混雑している海獣エリアはいつも素通り。

でも、閉館時間があと15分くらいに迫った頃。
ガラス張りの建物は外が暗くなるのと同じくして暗くなってくる。
混雑していた館内は、昼間の混雑がウソのようにひっそりとして、“まだいていいの?”なんて思うくらい、誰もいないオレだけの空間となる。
そんな中で、オレに熱い視線を送ってくるものが。
トドだった。
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07年に生まれた仔、シマ。
保護されていたオットセイが野生に還されたこともあってか、隣の水槽から引っ越してきたらしい。
正直、トドにはあまり、可愛いイメージはなかったのだけど、子供、それもメスとなると、やっぱり可愛い。
大きさは既に大人のアシカくらいあるのだけど、上目がちにジッと見つめてくるところとか、水槽の外のオレと競争? するのが好きだったりなど、アシカやオットセイの子供と同じ反応をする。
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顔の可愛いさだけなら、思わず抱きしめたくなってしまうオットセイほどではないけれど、アシカには負けてない。トドを見直した!!
以前保護されていたオットセイほどの愛想はないけれど、水槽前を立ち去ろうとすると、寂しげな目でジッと見つめてくるのは同じ。あの目で見つめられると、水槽前を離れるのにちょっとした罪悪感を感じてしまうのだ。
アシカ類の子供の可愛さは反則だね。

昼間は観客の相手をしてくれないセイウチたちも、閉館前はものすごく愛想がいい。
2頭揃ってオレの所にやってきて、手や口、顔を使って何かをアピールしてくる。
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セイウチと遊んでいると、背中に強烈にシマの視線を感じるので、セイウチ水槽の前にいたのはほんの数分だったのだけど、誰もいない水族館で海獣と遊べるのは、とてもスペシャルな時間なような気がする。
目的はカジキだったのに、なかなか楽しいおまけをもらってしまったような感覚だ。
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今は観客と遊ぶのが楽しいトドのシマも、もう少し成長すると人に対して興味をなくしてしまうだろうから、今年いっぱいなのか、はたまた来年も愛想がいいのか、いずれにしても期間限定の可愛さなのだ。
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アクアマリンの海獣類と遊びたければ、閉館前の30分が狙い目。
ひっそりとした水族館で、愛想のいいトドやセイウチを独り占めできるはずだ。

二見シーパラダイスの気になる海獣 [鰭脚類]

二見シーパラダイスといえば、やっぱり海獣なのである。
海獣のいるプールを見学するのではなく、観客がいる場所に海獣を連れ出してくるというスタイルはここがパイオニア。今でこそ似たようなスタイルで間近で海獣を見られる水族館もいくつかあるが、本家本元はここなのだ。

意外な規模に驚かされた植物園(淡水魚の展示エリア)を抜けると、ここのメインディッシュたる海獣広場に出る。
アザラシやセイウチ、イルカなどが暮らすプールが広場を囲むように配置されているが、思っていた以上の狭さに、想像以上に充実していた魚とは逆の驚きが。
実際、動物たちが暮らすプールやスペースも相当小さく、また、設備も古いのか、水の濁りが強かったり、プールを囲むアクリルがキズだらけだったりして、中の動物は絶望的なくらい見にくい。
きっと、だからこそ動物たちを観客の前に連れ出すことで、設備面での不具合をカバーしているのだろうね。災い転じて、ということだったのかも知れない。

すぐ目の前で見られたり、触れたりという部分ばかりが注目されるが、海獣に関しては“ここでしか見られない”がいる。
水族館の規模は小さいのに、飼っている海獣は大きいものが揃っていて、アシカ科最大種のトド、アザラシ科はおろか、鰭脚類でも最大種となるミナミゾウアザラシ、ゾウアザラシの次くらいに大きくなるセイウチと揃っているが、中でも、二見シーパラダイスを象徴する存在である“あっかんべーアザラシ”こと、ミナミゾウアザラシは、今やここにいる2頭の母子が日本で見られるすべて。
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残念ながら、2頭ともメスなので、ゾウアザラシならではの鼻の長い顔や、鰭脚類最大の巨大さはないが、それでもそれが目の前に出てくれば、十分ビックリできるくらいの大きさはある。
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行った時期は発情期に当たる頃で、娘の夢海子(ゆみこ)ちゃんは飼育スペースから出せないとのことだった。
プールの周辺には独特な臭いが漂い、当のゾウアザラシたちも神経過敏になったりしているらしい。
この時期だけのものとはいえ、何だか可愛そうだなぁ、と。
エノスイのミナゾウくん亡き後、彼女の発情を鎮められるオスのゾウアザラシは日本にはおらず、今後入ってくる可能性もほとんどないだろうから、これから先、死ぬまで無駄に発情期を過ごさなくちゃならないのだ。
発情期がない人間のオレには、それがどういうものなのかは想像しかできないのだけど、観客に向かってあっかんべーをしている2頭がとても不憫に思えた。

ここでしか見られないはもうひとつ。
ミナミゾウアザラシに比べれば小粒だが、向かいのプールにいるツメナシカワウソに会えるのもここだけだ。
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よく見られるコツメカワウソよりも大きく存在感があるが、落ち着きがなく、飼育スペース内をせわしなく動き回っているのは変わらない。
だが、観客に対する好奇心は強いようで、アクリル越しに広場や観客を眺めていることがしばしばあって可愛らしい。
ただし、アクリルがキズだらけで、写真を撮るにはちょっと難あり、なのだけど…

珍しいそれらの海獣類よりも、ここではよく見られるバンドウイルカの方が人気が高いかも知れない。
何せ、一緒に遊ぶことができるのだから、イルカ好きにはたまらないはずだ。
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イルカのプールにはいくつかのボールが浮かんでいて、イルカたちはそれをくわえて遊んでいるのだけど、プールサイドに観客がやってくると、そのくわえたボールを観客に向かって投げてくる。それをイルカに投げ返してやると、その後もそれを繰り返す。つまり、キャッチボールができるのだ。
ただ投げてやるだけではダメなようで、しっかり口にめがけて投げてやらないと、すぐにどこかに行ってしまう。
ある程度勢いのある球が好みなようで、イメージ的には“口の中に叩き込む”くらいの感覚で投げてやると、反応がいいように感じた。口にすっぽり挟まったボールを何度かくわえ直しながら、また投げ返してくる。
キャッチボールを長く続けるためには、投げ方や、球の勢いを変えたり、フェイントなんかもいいらしい。
ただ、イルカの気分が乗ると、いつまでも投げてくるので、止めるタイミングに困る、なんてことがあるかも知れない。

そういえば、気になったものがもうひとつ。オウサマペンギンだ。
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古い旅館の風呂場みたいな場所で暮らしているのだけど、メインは温帯種のケープペンギンで、それと一緒にマカロニペンギンが1羽、オウサマペンギンが2羽飼われている。
オウサマやマカロニなどの亜南極種は、冷房された部屋で飼われていることが普通なように思うのだけど、ここではケープと同様、窓を開け放した外気温の中で飼われていた。
行ったその日は結構蒸し暑い日だったのだけど、大丈夫なんだろうか?
もし、それで問題ないのなら、もっと多くの水族館でオウサマペンギンが見られるようになるんだけど……

余談になるが、ショーやパフォーマンスはセイウチとゾウアザラシが出てくる以外に、アシカショー、トドタイム、イルカタイム、ゴマちゃん(ゴマフアザラシ)タイムがある。トドやイルカ、アザラシは回数が少ないので、その回を見逃すと次はないことがあるため、見逃さないように注意して欲しい。ちなみにオレは… 残念ながらいくつか見逃してしまった。

あわしまマリンパークのスーパーアザラシ [鰭脚類]

オレのブログの、特に最近の流れで言うと、水族館レポートの次は“気になる魚”編へと続くのが定番パターン。
だけど、あわしまマリンパーク編では、魚よりも先に、アザラシを紹介したいと思う。
何故って?
魚よりも何より、オレを驚かせてくれたのがアザラシだったから。
というワケで、今回のブログの主役は、ゴマフアザラシのパルくんだ。
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あわしまマリンパークのアシカショーには、アザラシが登場する。
アシカショーに顔を出す程度ではなく、主役としてパフォーマンスを披露するのだ。
以前行った時も、今回も登場してたから、毎回アザラシの出番があるのかと思っていたのだけど、必ず出るとワケではないそうで、むしろ出番はそれほど多くないらしい。

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初めて行ったときも驚かされた。
アザラシがアシカみたいに、輪っかを拾ってきたり、ジャンプして輪っかをくぐったり、空中で宙返りをしたりと、“アザラシってこんなことできるんだ!!” って。
もちろん、アシカとは身体の構造が違うから、あんなにいろいろできるワケじゃないし、高くも飛べないし、陸上で速く動くこともできないけど、アシカに劣らない集中力と、理解力で、アザラシの能力の高さを見せてくれたような気がした。

アザラシは警戒心が強く、トレーニングがしにくいらしい。
何か新しいものや、見慣れないものに慣れるまでに数ヶ月かかってしまい、アシカに比べると、ショーに出せるようになるまでにものすごく時間がかかることに加え、アシカと同じことをさせても、派手さに欠けるため、ショーにアザラシを登場させている水族館はあまりない。
オレはてっきり、アザラシはアホなのかと思っていたのだけど、理解力や集中力など、身体のつくりとは関係ない部分のポテンシャルは、アシカと比べても遜色がないのだそうだ。

そこで、パルくんである。
パルくんは、あわしま生まれということもあるが、アザラシをトレーニングする上での障害である警戒心や恐怖心がほとんどなく、見知らぬ場所でも普段通りにいることができるし、見慣れない道具や人を警戒したり、怖がったりすることもほとんどないのだそうだ。そのため、道具を使ったパフォーマンスも問題なく行える。

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今年は“オッパッピーアザラシ”として、何度もテレビに出ているそうなのだけど、テレビクルーや機材にも臆することなく、カメラの前でいつも通りのパフォーマンスを披露。さらに、船に乗ってあわしまから出たり、どこかへ移動したりもまったく問題ないのだそうだ。やはり、並みのアザラシではないらしい。

いつもはひとりで行く水族館だが、今回は珍しく、友人と一緒。
しかも、その友人はアザラシを目的に水族館に行くアザラシ好きだから、パルくんの活躍ぶりにはテンションも高めだった様子。
結局、アシカショーは3回観たのだけど、午後のショーにパルくんは登場しなかったので、最終回のショーの前に、パルくんの登場の有無を聞きに行ってみた。
すると“観たいですか? じゃあ出します”と本来予定になかったにも関わらず、パルくんを登場させてくれることになった。

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さらにショー後、アザラシプールの前で話を聞いていた時も、次代を担う若いアザラシたちのパフォーマンスを披露してくれたりしていたのだけど、友人のアザラシ好きが向こうに伝わったのか“パルくん連れてきますね”とわざわざ出してきてくれたのだ。
そこでちょっとしたパフォーマンスを見せてくれたり、記念写真に応じてくれるなどのサービスぶり。これには特別アザラシが好きでなくても、嬉しくなってしまうのが普通だろう。すぐ目の前にいるアザラシにテンションを高めながら、すっかり楽しませてもらった。

スタッフの人は言ってくれた。
“希望があったら言って下さい。できることはやりますから”
その日が特別だったのか、いつもそうなのかは分からないけれど、こんな特別なショーを見せてもらえたとなると、そこで得られる満足感は並みじゃない。
パルくんの活躍ぶりもさることながら、支払った値段以上に楽しませてもらったお陰で、早くも“また行きたいなぁ” なんて思わされている。
タグ:水族館

下田海中水族館のアシカショー [鰭脚類]

下田海中水族館の話を最初にした時にも書いたけれど、ここへ行った目的はヒシダイとアシカの水中パフォーマンスの2つ。特にアシカの水中パフォーマンスは、3時間かけてでも行きたくなるくらい魅力的なのだ。

アシカショーは2頭のアシカによる2部構成で、オーソドックスなパフォーマンスの後、ここでしか見られない水中パフォーマンスへと移行する。

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言ってしまえば、アシカとトレーナーが水中を一緒に泳ぐ、というだけなのだけど、芸術性が高いというのか、見とれちゃうほど美しいのだ。
アシカだけ、トレーナーだけで泳いでいても、別に感動するようなものではないのに、アシカがトレーナーについて、ゆっくりと円を描きながら水中を移動する様は、ホント、ため息モノの美しさ。その日はアシカショーはすべての回を見たけれど、それでも見飽きることはないくらい魅力的だ。

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そのパフォーマンスを見せてくれるアシカにも驚かされる。
小さいメスのアシカで、通常のパフォーマンスもパキパキした動きで見ていて気持ちがいいのだけど、水中でのパフォーマンス中は、アシカは餌をもらわないまま、トレーナーの指示に正確に従い、いくつもの技を繰り出していく。
きっと、選ばれし天才アシカの1匹なんだろうな。
しかも、顔も可愛い。

通常のアシカショーや、その後に始まるイルカショーは、ショースタジアムの後ろの方の席が見やすいのだけど、水中パフォーマンスだけは最前列か2列目の、センター位置がオススメ。ちゃんと見ようと思うなら、水中パフォーマンスが始まる直前に、前の方へ移動することを強くオススメする。

ここでしか見られないものなので、余所のアシカパフォーマンスと比べてどう、とは言えないのだけど、ここだけでしか見られないこと、芸術性の高さなどを考えれば、国内屈指のアシカショーと言ってもいいと思う。
このパフォーマンスの美しさや魅力は、写真や文字だけでは伝えきれないと思うので、是非、見てみて欲しい。オレの言っていることに納得してもらえるはずだ。

アシカショー以外にも、カマイルカのショーや、入り江で行われるバンドウイルカのショーなど、ショープログラムは充実している。
だけどそれらは、アシカの水中パフォーマンスみたいな、ここだけのスペシャル、というものではない。
だけど、バンドウイルカのパフォーマンスで繰り出されるサーフィンは必見だ。
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トレーナーは余裕の笑顔だけど、イルカはかなりのスピードで泳いでる。

広い入り江が舞台ということも関係しているかも知れないが、イルカの背中に乗ってる時間と、移動距離が、他の比べてものすごく長くて、“スゲー”と思わされる。
広さに限りのあるプールでは、この迫力は出ないだろうから、それもここならではの見所と言っていいだろう。
タグ:水族館

平和な海獣類 [鰭脚類]

ラッコや海牛以外の海獣類って、混泳飼育されている場合が多い。
イルカなら、バンドウイルカとカマイルカ、ハナゴンドウやオキゴンドウが一緒に暮らしていることは珍しくないし、伊豆三津シーパラダイスや名古屋港水族館ではシャチとバンドウイルカが一緒に暮らしてた。
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ハナゴンドウとバンドウイルカ 新江ノ島水族館

鰭脚類だと、アザラシとアシカ類が一緒に暮らしていることも結構普通。
プールの両端とか、若干の棲み分けはあるようだけど、泳いでいる時にはそんなルールもなくなるみたいだし、種類の違いはもちろん、大きさの違いもそれほど問題ではないらしい。
先日行ったマリンピア日本海でも、そんな光景が見られた。

マリンサファリという、スペースの雰囲気からして動物園っぽいプールに、トド、アシカ、ゴマフアザラシが飼われていて、子供のトドとアシカ、アザラシは同じプールで暮らしていた。

こういう海獣類のコミュニティプールを見る度にいつも感じさせられるのが、海獣類たちの際立つ穏やかさ。
主食は魚とはいえ、アシカもアザラシも食肉目に属するれっきとした肉食獣である。
しかし、同種、異種同士で争うことがあまりなく、人間に対しても攻撃的ではない。
マリンピア日本海でもプールの掃除の光景に出くわしたが、ひとりの飼育スタッフが水の抜かれたプールに入り、ホースとブラシで掃除をしていた。
もちろん、動物はそこにいるままでだ。
いかに男性のスタッフとはいえ、大きなオスのトドに比べれば、1/7くらいの質量しかない人間に対し、トドは威嚇するでもなく、スタッフが近づくとヨタヨタとその場からよけていく。
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落水してた水が戻ってきて喜ぶアザラシ、アシカ、トド。マリンピア日本海

同じ食肉目の動物でも、陸上の連中ではそうはいかない。
どこの動物園でも、クマやライオンが入ったままのオリには絶対に入らないように決まっているし、飼育施設だってライオンとクマとオオカミを一緒に飼うような真似は絶対にしないはず。したとしても、平和な結果にはならなさそうなことは素人にだって予測できる。

海獣類が温厚なのは、基本的に縄張りを作らず、餌が豊かで、比較的簡単に手に入れられる海を生活圏にしているからなのだろうね。
そう考えると、海って凄いなぁ、とまるで違ったところに感心してしまうのだけど。
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アザラシとアシカ類の平和な共存が見られる鴨川シーワールド。

それにしても、アザラシとアシカ類が一緒に平和に暮らしている光景は、やっぱり見ていてほのぼのする。基本、魚好きなオレだが、そういう理由から、海獣類のコミュニティプールも好きな展示のひとつだったりする。
タグ:水族館

ハイイロアザラシのベビー [鰭脚類]

八景島シーパラダイスに出掛けた理由は、ひとつ前のブログにも書いた通り、生まれたばかりのハイイロアザラシを見るため。
と言うワケで、今回はその話。

興味のない人には特別刺さる話ではないのかも知れないけれど、ハイイロアザラシは日本ではあまり見られないちょっとした珍種で、八景島以外では鳥羽水族館、大分マリーンパレスの3館でしか見ることができない。
その中でも、繁殖に成功しているのは八景島だけ。つまり、子供の姿を見られるのは日本でここだけ。
そう聞くと、ちょっとスペシャルなものに聞こえてくるでしょ?
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アザラシの子供というと、真っ白のふわふわの、というイメージがあるけれど、そもそも氷の上で繁殖してる訳ではないハイイロアザラシの子供は、白い期間が極端に短く、数日で“普通のアザラシ色”に変化してしまうらしい。

八景島の赤ちゃんも、5/19に生まれたばかりで、オレが見に行ったのが5日後の24日。
なのに既にまだら模様になっていて、24日の1日だけでも朝と夕方では色が違っていたほど。
恐らく、26日あたりには子供ならではの白い毛はなくなっていたのではないだろうか?
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一緒に行ったアザラシ好きの知人によれば、昨年生まれた“いろは”よりも、身体が大きく、顔つきもしっかりしているとか。オスとメスの違いなのだろうか?
水槽脇で観察していたスタッフによれば、“元気すぎるくらい”とのことなので、小さなアザラシが楽しめる期間も短いか?

生まれたてだからなのか、あまり動き回ることはないのだけど、こちらを見上げる顔はやはり可愛いし、今後また見られるとは限らない貴重なハイイロアザラシの子供である。小さいウチに1度見ておくことをオススメしたい。
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タグ:水族館

一番好きな鰭脚類 [鰭脚類]

オレは魚好きだから、水族館に行く目的は魚をみること。
以前はどこの水族館に行っても、ショーや海獣を見たことはなくて、魚しか見なかった。
だけど、目的が魚から水族館になってからは、それらもきちんと見てる。
見てみると、意外と面白くて、今ではイルカなどの鯨類、アシカ、アザラシなどの鰭脚類も好きになった。魚ほどじゃないけど。

そんな鰭脚類の中で、オレが一番好きなのがカリフォルニアアシカ。
多くの水族館で飼われている、ショーをするアシカだ。
理由はその顔。ツンとした長い吻ととがった鼻先が、吻の長いイヌみたいでオレ好みなのだ。
だけど、それもメスと若い個体だけ。
成熟したオスは、額がポコンと盛り上がり、綺麗な顔じゃなくなるので好きじゃないのだ。
また、同じアシカ科でも顔がつぶれたみたいなオタリアや、吻の短いトド、やたら目ばかりが大きくて、鼻先のとがり方がカリフォルニアアシカとは逆スラントしたイタチみたいな顔のオットセイはあんまり好きじゃない。

しかしだ。カリフォルニアアシカが一番お気に入りだったはずのオレが、キタオットセイにときめいちまった。
オレの心を奪ったのは、アクアマリンで保護されている個体。
どうやら、かなり若い個体(子供?)のようなのだけど、そいつがメチャクチャ可愛くて、家に連れて帰りたくなった。もちろん、それが無理なのは百も承知なのだけど、せめて抱きしめさせてくれ!! そうものすごく思った。

水槽の前に立つと、オレの方へスイーッとやってきて、あの大きな目で顔をじっとのぞき込む。オレが動くと、そちらの方へ動き、オレが逆の方へ動くと、やっぱりそちらへとついてくる。極めつけは、水槽前の階段を上がると、ヤツも陸地へ上陸して、オレの近くに来れる位置まで走ってくるのだ。その間、他の観客もいるのに、そちらへはあまり行かず、オレにベッタリ。何て可愛いヤツなんだ!!
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オレが立ち去ろうとすると、水面からはね回ったり、ガラス面にへばりついて、何かを叫ぶのだ。その姿にそこから立ち去れず、トータルで3時間近くその場にいたように思う。アクアマリンがウチから1~2時間で行ける場所だったなら、間違いなく年間パスを買っただろうね。そのくらい可愛い。
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キタオットセイは国際保護動物であると同時に、日本の国内法でも飼育等が認められていない。公式に飼育が認められているのは、江ノ島水族館と伊豆三津シーパラダイスの2館のみ。アクアマリンの子も、怪我していたのを保護されたもので、展示はされているが、あくまで保護中の身。状況次第では、放流される可能性も高いのだ。

一番好きな鰭脚類は? と聞かれれば、今でもカリフォルニアアシカと答えるだろう。やっぱり綺麗な顔をしているし。
だけど、アクアマリンのキタオットセイは特別。ヤツはものすごく可愛い。
放流されてしまうのだとしたら、その前にもう1度、逢ってその顔をよく見ておきたいものだ。

映り込みが酷くて、写真は恐ろしく変だけど、雰囲気だけでも…
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最高のアザラシ展示は? [鰭脚類]

最近、ゴマフアザラシ(の展示)が熱い。
しながわ水族館のアザラシ館に続き、八景島のふれあいラグーンなど、ゴマフアザラシを立体的に見せる新しい展示プールがオープンしている。

そのきっかけになったのは、間違いなく旭山動物園の大成功だろう。
同じ動物でも、どう見せるかによって、その印象は全然違ったものになる。
ありふれた動物でも、見せ方次第ではとても魅力的な展示になるし、その逆にもなるということを証明してみせたのだ。
旭山はありふれた動物であるゴマフアザラシを、客の呼べる動物へと昇華させた。
つまり、ありふれた動物で、新しい鉱脈を掘り当てた。

当然、2匹目のドジョウを狙うところが出てくると思ったけれど、やっぱり出た。
それが上記の2館だ。
ふれあいラグーンなんて、まったく同じチューブトンネルがあったりして、節操ねぇなぁ、という感じ。まぁ、エプソン品川の例を見るまでもなく、それが西武系水族館のやり方なのかも知れないけど、個人的にはどちらの施設も評価しない。というかしてはいけない気がしている。

オレが今まで行ったことのある全国の30の水族館の中で、もっとも素晴らしい(とオレが思った)アザラシ展示をしているのは、箱根園水族館だ。
自然な雰囲気の岩組みプールの中を、とても楽しそうに泳ぎ回るアザラシたちがとても魅力的に見えて、それまで可愛いと思ったことのなかったバイカルアザラシが可愛く見えたほど。

しかし、昨日、アクアマリンふくしまに行って、箱根園のアザラシ展示No.1の座がちょっと揺らいでいる。

アクアマリンふくしまでは、2頭のゴマフアザラシを潮目の海水槽で飼育、展示しているが、一緒に沢山の魚などが入っている。
餌をもらっているとは言え、魚食性の動物を魚と一緒に飼えば、当然、捕食されてしまうものも出てくるワケで、それを良しとしているアクアマリンの姿勢に、まず拍手を送りたい。

アザラシプールとしては最高に広くて深い570tの容量の水槽を自在に泳ぎ回る2頭のアザラシ。それだけでも魅力的に見えるのだけど、ここではもっと魅力的に見える瞬間がある。
他でもない、捕食の瞬間だ。
一緒に入っているイワシやニシンを追いかけ、捕まえて食べてしまうのだけど、その瞬間はほのぼのとしたアザラシのイメージが覆されるほどのシャープさと、緊張感が見て取れる。
アザラシってこんなに速く泳げるんだ!! と、あまりの俊敏さに驚かされた。水中での彼らは、自在にどころか、ひらりひらりと身を翻し、逃げまどうイワシを追い詰め、捕まえるのだ。
何となく鈍重なイメージのあるアザラシ。泳ぐ魚なんてホントに捕まえられるのか? どこか半信半疑な部分が、すべて解消された。

餌となる魚と同居しているとはいえ、アザラシたちはちゃんと餌ももらっている。
だから、ハンティングは食欲を満たすためと言うより、遊び半分でやっているようで、捕まえたはいいが、食べる前に逃がしてしまうことも多く、水槽内には半死のイワシが数多く漂っている。
それらの体には生々しい噛み傷が刻まれており、あらためてアザラシが肉食獣であることを意識させられる。
恐らく、毎日沢山の犠牲が出るのだろう。掃除に潜ったダイバーは何匹ものイワシの死骸を拾っていた。

捕食の瞬間。そして半死のイワシ。
そこには取った取られたの命のやりとりがあり、可愛いアザラシが、ちゃんと補食性の肉食獣の顔を見せる。
真のゴマフアザラシの姿というのは、これなんだろうな。

そんなアザラシの姿が見られる水族館は、きっとここだけだろう。
凄いと思った。アザラシがどんな動物か理解するなら、ここ以上の施設は存在しないと思う。
野性的な面が見える反面、可愛さを求めるなら他の水族館の方がいいと思う。

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