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マンタ・ジンベエの青春・2022 @沖縄美ら海水族館 [エイ]

美ら海水族館の大水槽で最後にマンタの繁殖があったのは、確か2015年だったと思う。
それまでの繁殖を考慮した個体構成から、比較的若いメスを中心とした展示メンバーへと変更になったのもこの頃から。
成熟オスの激し過ぎる追尾で、メスが大き過ぎるダメージを負ってしまうからだ。

しかし、時間の経過とともに、若い個体も成長する。大水槽のマンタたちもそういうお年頃なのか、オスがメスを追いかけるようなシーンをしばしば見掛けるようになってきた。

現在、大水槽のマンタ(ナンヨウ)は4匹でその内の1匹がオス。
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一番小さかったのに、メスの後を追うようになったようだ。
さらに、オニイトマキエイもオスである。同種のメスはいないが、同属のナンヨウマンタを追尾する様子がしばしば見られた。
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実はこのオニイトマキエイによるナンヨウマンタへの追尾は、一昨年くらいから見られていて、種類的なものなのか、個体の性格なのかは分からないが、ゆる~く追尾する、みたいな感じ。でも、今年は今まで見たよりもしつこく、頻繁に追尾をしているようで、そんなシーンを何度も見掛けた。
昨年まではお気に入りと思しき一番大きなメスばかりを追いかけていたオニだが、今シーズンはブラックも追尾対象となったようで、それを追うところも度々見られた。
ブラックマンタもほぼ搬入直後から見てきているけれど、その頃は小さかったのに、オスの追尾を受けるまでに成長したと思うと、感慨もひとしお。親戚のおじさんみたいな気分(笑)
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ピントのない写真だけど……
追尾が始まると急旋回、急潜航など遊泳軌道を極端に変える。オニはナンヨウほど小回りが利かないので、その動きにオニは着いて行けずに撒かれてしまう、みたいなことが繰り返される。
それ故に平和が保たれている部分もあるのかも知れないが、姿形はよく似ているのに、こういうところでも違いがあるのは面白い。
逆に、オニのメス、ナンヨウのオスの組み合わせならどうだったんだろう? すぐに捕まる? それとも体格差で撃退する? 想像は尽きない。



オニ、そしてオスのナンヨウマンタによる追尾は、かつていたオスほどには厳しくないものの、頻繁に見掛けるくらいにはしているようだ。
あんなに小さかったオスが追尾するようになったのか!! と、その成長ぶりを嬉しく思う反面、盛りの付いたオスの追尾の激しさを知っていると、メスたちが心配になってしまうのだ。
実際、黒のヒレには大きな傷がついていて、噛まれた跡であることは明かだ。
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この傷を付けたのがナンヨウのオスなのかオニなのかは分からないが、交尾していたり、なんてことがあるのだろうか。今回はそれを聞いてみることはできなかったが、オニと黒のハイブリッドなんてことがあり得てしまうんだろうか?
ハイブリッドとなると、もろ手を挙げて喜べるようなものではないが、搬入の頃から知ってる2匹の子となると、これまた親戚のおじさんモード発動間違いなしだ。
ここ数年、美ら海水族館でのマンタの繁殖はなく、個人的に“静かな夏”を過ごしているが、黒の仔となれば、駆け付けない訳にはいかないが、果たして……!?

繁殖とか性成熟とか追尾とか、そういう話題ならジンベエザメに触れない訳にはいかなさそうだ。
というのも、現在、大水槽に1匹でいるジンベエザメ、ジンタが絶好調。繁殖に関連するような行動が頻発しているからだ。

例えば、反転しながらクラスパーを交差させるなどの行動。以前も時々見られていたが、時期的なものなのか、今ではかなりの高頻度で見られるようだ。
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突然、目の前で始まったので、これまたピントのない写真だけど……

実際、今回の訪問でも何度かそんなシーンを目撃した。大水槽の周辺にいた時間なんて知れていたのに、である。
有り余る性衝動に突き動かされるのか、そうした衝動が高まると、水槽の周囲に貼られたシートを噛み、求愛するような行動も見られるのだとか。
盛りの付いた犬が人の足などにまとわりついて腰を振ってる、みたいな感じだろうか?
流石にそんな行動は見ることはできなかったが、常連の知人が撮った動画では確かにそんな行動が記録されていた。

当面、新たな個体は導入しないことが決定しているそうだが、確かに、ここに新たにメスを入れても、すぐさま激し過ぎる追尾や咬みつきを受けてしまいそうで、導入に慎重になるのは当たり前だろう。
もっともそれも、8.8mもある性成熟に達したオスのジンベエザメの追尾がどんなものか分かったからではあるのだけど、ジンタの成長とそれに伴う行動は、新たな知見をもたらしてくれるという意味で嬉しい反面、水槽内繁殖の成功という夢が正夢になるのはかなり難しそうだという現実も突きつけられているようで、複雑な気分だ。

ジンタの激しい追尾に耐えうる性成熟に達したメスがいれば、かなり高い確率で交尾までは成功すると思う。
しかし、そんなメスというと、恐らく10m前後はあるのだろうと思うが、そんな大きな個体があの水槽に入るのか? そもそも、生きたまま水族館まで運べるのか? 等々、課題は多そうだ。

それはともかく。
やっぱり、外洋性の超大型魚たちのこういう行動が見られたり、知らなかった何かを実際に見ることで知れたり、やっぱり美ら海水族館ってスゲェなぁ、ってあらためて思った。
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久しぶりの再会 水槽生まれのイタチザメ [サメ]

2017年に美ら海水族館のサメ水槽で産まれたイタチザメを覚えているだろうか?

約30匹が産まれた内の1匹が約2mまで成長し、2019年には産まれた水槽で展示もされた。
https://aquarium-mistral.blog.ss-blog.jp/2019-07-06(展示された時の話)

しかし、その後、調子を崩したとかで、水槽での展示は終了してしまった。
そういう発表≒個体の死亡であることがサメではとりわけ多いけれど、この個体に関しては違う。海上生け簀に移された後、元気を取り戻し、今も健在だ。
OSCの生け簀ツアーに参加すると、その姿を見られるということで会いに行ってきた。

生け簀の縁に下ろしてもらって、給餌を見学するのだけど「くれぐれも手は入れないでください」と注意される。
生け簀を覗き込むと、大きなオオテンジクザメの姿が見えた。それも3m以上あるかなりの大型個体だ。そんなのがいるところに誰が手を入れる? なんて思っていたら、イタチザメが自分の真下にその姿を現した。
それを目の当たりにした時、正直、引いた。想像以上にデカかったのだ。
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3mは軽く超えていただろう。もしかしたら4m近くあったかも知れない。そんなサイズ感だ。
手を伸ばせば届いてしまいそうなところにそんなのが泳いでいるのだ。動きはゆっくりしていたし、飼われている個体だからか緊張感が漲る、みたいな感じでもなかった。それでも、言い知れぬ恐怖感に身体がゾワッとした。
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給餌棒に餌がセットされ、水面へと差し出されると、ゆっくりと近づいてきて、ガバッと食らいつく。
水面を割って飛び出す顔がまた大きく、感動と恐怖が入り混じったような感情が声と一緒に溢れ出してくるようで、サメが餌を食べる度に“うひょー”みたいな声を出していたような気がする。
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動画


巨大に育ったイタチザメの姿は、何とも感慨深かった。最後に見た時、2019年の水槽だったが、その頃はまだ2mだったのに、さらにその2年前、あんなひょろひょろの幼魚だったのに、それがこんなに大きくなったなんて!! 嬉しいような、信じられないような、いろいろな感情が行ったり来たり、まさにそんな気分だった。

それにしても、水槽だとうまく泳げなくなったりしてしまうイタチザメが、何故、生け簀なら飼えてしまうのだろうか。
壁は避けられなくても、網なら避けられるのか。はたまた、何か別の要因があるのだろうか?
いずれにせよ、ここまで大きくなってしまうと、再び水槽で、というのはもはや現実的ではないかも知れない。
この個体がこの先どこまで大きくなるのかは分からないが、これ以上大きくなるようなら、今の生け簀で飼い続けることだって難しくなるのだろうし、どうなっちゃうんだろう? みたいに気になってしまうところもあるが、この個体は産まれた日時まで正確に分かり、現在のサイズまでの成長過程がすべて分かっている世界唯一のイタチザメである。そこからもたらされる知見は計り知れない。
これからもずっと長く生きて、いろいろなことを教えて欲しいと思う。
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でも、そんなことよりも久しぶりに再会できたこと、そしてこんなに大きくなっていたことの2点を何よりも喜びたいと思う。

会えてよかった。しかも、こんなに大きくなった姿を見せてくれるなんて。
生け簀に来るのは久しぶりだったけれど、やっぱり楽しかった。
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浅虫水族館の気になる魚 Vol.3 淡水魚編 [淡水魚]

メインディッシュの後は美味しいデザートをもって満足感とともに終了するのがコースメニューだが、浅虫水族館の2Fの展示はまさにメインディッシュたる1Fの展示を見終えた後、その満足感をさらに高めてくれる極上デザートだ。
中でも、リニューアルされた古代魚の水槽は個人的にも大きな目的だった。展示に再登場した2種類のガーたちに誘われた、みたいな感じだろうか。

浅虫水族館で見られるのはニカラグアガーとアリゲーターガー、Atractosteus属の2種類。
ちなみにニカラグアガーというのは俗称で、トロピカルガーの1タイプでニカラグアに産するもの、と説明すればより正確だろうか。
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日本の水族館でも何か所か見られるところがあるが、「ニカラグアガー」として展示しているのは浅虫水族館だけだと思う。
ニカラグアガーは1994年に1度輸入されたきりで、今、日本国内にいるのはその時のものか、2014年に少数が流通した国内生まれの個体のみ。大変希少な存在だ。
それもあって、ニカラグアガーとしての展示は、この魚が希少な珍しいものであることを伝えてくれているようでとても好感が持てる。

同じ水槽の2匹のアリゲーターガーたちも、他魚に委縮することもなく、ガーらしいのんびりゆったりした動きを見せてくれている。
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ガー以外にはアロワナや肺魚も混泳しているが、種類が異なるアロワナたちも穏やかな性格の個体が揃っているのか、水槽の雰囲気は非常に穏やかなものだった。そのため、ガーのヒレや身体の傷みが少ない点も高ポイントだ。
アリゲーターガーというと、TVなどの影響で悪いイメージがついてしまったが、この水槽をじっくり眺めれば、そんなイメージが誤りであることを気付かせてくれるのでは、そんな風にさえ思った。
水槽の前にベンチでもあったなら、そこに座っていつまででも眺めていたい。そんな風に思うほどリラックス効果の高い水槽だとオレには感じられた。

ガーたちがいる水槽の隣も以前とはガラリとイメージを変え、大きな水草レイアウト水槽へと生まれ変わっていた。
水草を育成するための照明と、それに照らされた鮮やかな緑がまさしく目に眩しいような、とても綺麗な水槽だった。きっと、暗く長い冬がある地元の人たちにとって、まさしく癒しの水槽なのではないだろうか。
何でも、水草育成に長けたスタッフ氏がいるそうで、その人が主導して制作されたのだという。水草水槽の長期維持は大変なことも多いのだが、技術を持った人がいるお陰なのだろう。とても綺麗な状態だった。
中を泳ぐ魚は、南米産のテトラ類の他、マーブルやブラックなどのエンゼルフィッシュの改良品種が数多く入っていた。
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水槽が大きいこともあるのだろう。そんなエンゼルたちの綺麗さに大いに驚かされた。
大型のレイアウト水槽ではアルタムなどのワイルド種が入れられることはあるものの、改良品種がそういう使われ方をすることは少なく、加えて、小型水槽の人気が高い昨今、エンゼルフィッシュ自体の人気も下火らしい。
そんな状況もあり、最近、綺麗な改良エンゼルを見る機会はめっきり減っていたから、久しぶりに見る超ハイクオリティなエンゼルフィッシュたちには大いに感動させられた。
それなりのサイズの水槽でちゃんと飼えば綺麗になる。そんな超基本的なことを思い出させてくれるようだった。
遠目で見る水草水槽の綺麗さに感動した後は、水槽に近寄ってエンゼルたちの美しさにも驚いてみて欲しい。この水槽にいるほど綺麗な改良エンゼルはなかなか見られるものじゃないから!!

水草水槽や古代魚水槽の並びにある浅虫水族館有数の大型水槽。6年前には、ここにガーたちが入っていたが、現在はピラニアの水槽になっていた。

数は多く入っているが、それこそどこにでもいる種類(Pygocentrus nattereri)のみ。贅沢だが、見る分にはそれほど面白い水槽じゃないかも、と、素通りしようとした時、横目に泳ぐピラニアたちの姿が見えた。
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おっ!! ここのピラニア、やけに綺麗だぞ!! と立ち止まって見てみると、やけに色鮮やかな個体が多い。
赤の鮮やかさだけでなく、その面積も広い。産地などによっては、こうした鮮やかな個体群もいるようだが、そんな特別なものではないはず。違う種類かと思うほどの色鮮やかさに驚いたと同時に、その秘密が知りたくなった。餌? 水?
やけに綺麗に仕上がったエンゼルの例もある。やっぱり、青森は水がいいのかなぁ!?
良さそうなイメージはあるけれど……

2Fの展示は基本的に淡水魚だが、すべてが外国産という訳ではない。
地元や近隣に住まう魚もいる。
6年ぶりに見る日本の淡水魚を展示した水槽は、照明なども変わったようで、以前より見やすくなったような気がした。
そこにいたアルビノのイトウも気になる1匹となった。
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青森にイトウは自然分布していないが、養殖は行われているらしく、かなり大きな個体が2匹、展示されていた。その内の1匹がこのアルビノ個体だ。
作出されたものであること、しかも、見たことがない訳でもない。でも、この大きさ(1mくらいあった)でこの綺麗さはなかなかのものだと思う。
養殖のサケマス類は体型の崩れが激しく、イトウも例外ではないが、ここにいた個体はそれらしい体型がちゃんとキープされていて、ヒレなどの傷みも少ない。
養殖由来の個体でこれだけ綺麗ならそれだけで価値があると言ってもいい。しかも、見えやすい位置にいてくれたし。オススメの1匹です!!
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浅虫水族館の気になる魚 Vol.2 海の魚編 [海の魚]

6年ぶりに行った浅虫水族館では、地元の海の展示が大幅に拡大されていた、というのはひとつ前のブログでも書いた通りだが、そこにいた魚たちもいい個体が揃っていて、大いに楽しませてくれた。

カッコいい!! とやっぱり見惚れたマダラ。
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2回来て2回ともカッコいいマダラを見られているから、これはもう、浅虫水族館に来る楽しみのひとつと言っていいかも知れない。
むつ湾ではマダラは比較的浅いところにもやってくるそうで、そのため魚体へのダメージが少なく漁獲できるらしい。浅虫水族館で綺麗なマダラが見られるのはそういう事情もあるようだ。
同じ水槽にはマダラ以外にスケトウダラもいて、オレが行く少し前まではコマイもいたそうで、青森で見られるタラ科魚類3種が見られる水槽だったとか。
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スケトウダラと言えば、前回訪問時、その綺麗さに大いに感動した覚えがあったのだけど、今回見た個体は、綺麗には綺麗だけど、頭が上を向いた背中が沿ったようなフォルムにちょっとした違和感が。
聞けば、協力関係にある研究機関で産まれた繁殖個体なのだそうだ。体型は飼育下育ち特有のものなのだろうか?
CB個体ということもあってなのか、体型はがっしりしていて、どこか華奢な印象のあるスケトウダラのイメージを覆しそうなほど大きく健康そう。生まれ育った環境の違いでそういう差が出るのだとしたら興味深いところだ。

6年前、マダラがいた水槽にいたのはアブラツノザメ。
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青森では馴染み深い食材だそうで、だからこそ展示したい!! と努力を重ねた結果がこの水槽という訳だ。
例によって? 飼育が難しいそうで、長期展示は簡単ではないそうだが、移送方法などを工夫して展示に至ったとのこと。
青い照明で薄暗くされた水槽には、3匹ほどがこれまた食材としても馴染み深いカスベとともに展示されていた。
見たところ、状態もよさそうで、アブラツノザメによくある鼻先のキズもなくとても綺麗な姿で展示されていた。地元の人から見れば“美味しそう”に見えるのではないかな?
暗い水槽で、周囲の映り込みもきついので、写真を撮るのは簡単ではないけれど、ここもまた“地元スペシャル”な展示だからしっかり見ておきたいところ。

青森の海の展示はトンネルのある大水槽から始まる。
そこを抜けたところにあるのがアマモの水槽。水族館周辺の海でも茂っているのが見えたが、身近な環境を再現した水槽だ。
その水槽ではギンポたちがニョロニョロと存在感をアピールしていた。
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ありふれた魚、というイメージだからか、はたまた小さいからか、それほど注目することはなかったような気がする。
しかし、浅虫水族館のギンポたちはそれなりの大きさ。それが見えやすい位置で何匹もがクネクネと踊るように泳いでいればイヤでも目に入る。
ギンポと言えば、江戸前天ぷらの高級素材だが、ギンポの天ぷらを食べたことないオレは、前々から“あんな小さい魚、どうやって天ぷらにするんだ?”と思ってた。
でも、この水槽にいるくらいのサイズがあれば、ちゃんと食べた感のある天ぷらにできそうだ。
でも、驚いたのは大きさよりも意外な綺麗さ。“えっ!! ギンポってこんなに綺麗な魚だったの!?”と。婚姻色なのか、はたまた綺麗な個体はこんなものなのか。
水槽が明るいことに加えて、よく見える位置で動き回る様子は目を引きやすい。水槽の前を通る度に、しゃがみこんでその姿を眺めた当日のお気に入り水槽だった。

ギンポつながりでもう1種類。
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フサギンポ。それも5㎝くらいの幼魚。浅虫水族館生まれの個体だそうだ。
フサギンポ自体は水族館では珍しい魚ではなく、浅虫水族館でもある程度のサイズの個体が展示されていたが、こんな小さな幼魚となると話は別だ。
成魚の姿とは結びつかない色と形もさることながら、こんな魚が殖やせてしまうことに驚かされた。
浅虫水族館では以前、オオカミウオの繁殖に成功し、その幼魚の展示をしていたことがあったが、きっとこうした魚たちの繁殖が得意なのだろう。フサギンポ以外にもハタハタやクマガイウオなどの繁殖稚魚が展示されていた。そういえば、ひとつ前のブログに書いたアオリイカも自家繁殖個体だった。
こうした繁殖事例が少ない魚たちというのは、その育成も簡単ではないと思うのだけど、閉館が近づいた頃、給餌時間に遭遇したが、餌にがっつく幼魚たちはその育成がとてもうまくいってることを教えてくれているようで頼もしかった。
順調に育っていって欲しいと思う反面、こんな小さなフサギンポはなかなか見られないことを考えると、もうしばらくこのままでいて欲しいかも、とも。
とは言え、今回のように再訪するのが6年後だったりすると、どう転んでも成魚になってしまうのだけど。
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6年ぶりに浅虫水族館へ [水族館紀行]

浅虫水族館に行ってきた。

コロナの流行に阻まれたとは言え、2016年に初めて行ってから6年もの月日が流れていたが、その分、多くの展示が変わっていて、久しぶりの訪問で浅虫水族館の良さを再認識。めいっぱい楽しませてもらうことができた。

何が良かったって、規模のちょうどよさ。
小さからず、巨大すぎず、といった感じで、まさにちょうどいい。
情けない話だが、大規模施設や、上ったり下りたりが多い施設だと、ジジイは疲れてしまうのだ。しかし、浅虫水族館の展示は1Fに集中している。そのため移動は横方向のみ。それも適度な規模のお陰で、疲れ果ててしまうことはない。
上階は2Fだけで、上りはエスカレーター付きと、体力の衰えたジジイに優しい作り。
さらに、コインロッカーはお金が戻ってくるタイプ。カメラだけ持って、他の荷物はロッカーに入れてしまっても、必要に応じて何度でも出し入れできる。そのため、重いカメラバッグを持ち歩く必要もないから、余計にレンズを持っていても重さに悩まされることがない。次はもう1本持っていこう!!
そのため、最近では珍しく、11時くらいから閉館までと比較的長い時間を過ごしたが、疲労感は少なく済んだ。
これだけでも「浅虫水族館、いい!!」と大いに思った訳だけど、こんなショボい理由だけが好印象の理由じゃもちろんない。

大きな満足感の理由は、さらに濃度を高めた展示の“青森色”。
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遠く離れた地域から「青森の水族館」に来た者からすれば、そこで見たいのはやっぱり“そこならではのもの”。それが充実していて、しかも綺麗とあれば、満足感は自ずと高くなるというもの。
初めての時の好印象の理由もそこだったが、今回も同じだった。

6年の間に変わったのは展示だけでなく、照明などの小変更も多く行われた模様。
とりわけ、その効果に驚かされたのが鏡で覆われた大水槽のトンネルの鉄骨。
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以前は存在感を主張していた鉄骨。鏡貼りになったことは知っていたけれど、たったそれだけのことでウソみたいに存在感が薄れていたことには驚いた。
そうした工夫によって見やすくなっていたり、雰囲気がガラリと変わっていたりなど、見たことがあるはずの水槽も“違う水槽”になっていたところは他にも沢山あって、そんな変化も満足感を高めてくれる理由になっていた。

また、そうした数々の変化を、知ってる飼育スタッフ氏が意図やこだわりを含めつつ教えてくれたことも大きかった。
話を聞かせてくれた知人スタッフは、自身が担当している水槽やエリア以外についてもいろいろ聞かせてくれたので、より深く、それらの水槽が見えたように思う。
中でも強く印象に残ったのがアオリイカの話。
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浅虫水族館生まれの7㎝くらいの個体(6月初めの時点で)が展示されていたけれど、イカの通年展示というのは本当に大変なものなのだそうだ。
飼育の難しいイカの中では、アオリイカは比較的飼いやすい種類だそうだが、それでも卵からそれを育成するとなると、相当難しいらしい。
それ故、展示されていたのは7匹ほどと少数だったが、残ったそれらは手厚くケアされていて、幅3.5mほどの水槽に小さなイカが数匹だけという贅沢な飼育環境が与えられていて、給餌も何と1時間ごと。急成長するイカの幼体はとにかく多量の餌を必要とし、それが不足すると共食いを始めてしまうからだ。
幸い、浅虫水族館生まれのアオリイカたちは生きてない餌にも餌付いているため、餌の確保はそこまで大変ではないようだったが、日に何度も給餌しなくてはならない担当者は大変に違いない。でも、1時間おきに給餌時間があるお陰で、何度もそのシーンを見ることができた。
オレが行ってから既に3週間以上が経過しているから、今ではさらに大きくなっているのだろうと思う。

大きくリニューアルされたと聞いていた2Fの淡水魚の水槽も、浅虫水族館に行きたい大きな理由のひとつだった。中でも古代魚をテーマに生まれ変わった水槽はとりわけ見たかった水槽だ。
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水槽の背景に横たわる骨。ティラノサウルスをイメージしたものだそうだが、恐竜の骨と聞くと化石を想像するのが一般的だ。しかし、ここでは化石に見えないよう、明るい色合いにしたのがこだわりだったとか。
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水槽のテーマは古代魚。同じ時代に生きる恐竜が死んで白骨化した、みたいなイメージなのだ。だから化石ではダメなのだ。
現在のものになるまでには、化石風の色合いのものや、ティラノサウルス以外のものなども試作されたらしく、さらには骨ではなく恐竜そのものを試作したこともあったらしい。
ガーをメイン(オレ目線かも・笑)にアロワナや肺魚が泳ぐ水槽は、それぞれの魚がゆっくり泳ぐこともあり、非常に平和な雰囲気。見ていると、まさしく癒されるような水槽だった。見に行けてよかった!!

初めての時の印象が良かった施設は、期待値が高まっていることもあって、次に行くと、こんなもんだっけ? と印象がスケールダウンすることもしばしばある。
それが浅虫水族館では、1回めの好印象を上回ってきた。
先にも書いたように展示の地域色がより濃厚になっていたことがその主な理由だが、この先、変化していきそうな水槽もあったし、次に行くときは何を見せてくれるんだろうか? そんな期待もより高まった。
惜しむらくは、定期的に足を運ぶには少々遠いこと。でも、次は6年も間をあけずに行きたいなぁ……
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