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さよなら 須磨海浜水族園 [雑談]

リニューアルのため、須磨海浜水族園の段階的な閉館が始まった。
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イルカライブ館やアマゾン館など大半の展示館が2月いっぱいで閉館。本館は現状のまま営業が続くそうだが、それもあとしばらく。
本館もいずれ閉館するが、その時が即ち、これまで見知ってきた須磨海浜水族園の消滅である。

あと何年かすれば、同じ場所に新しい水族館がオープンするのは間違いない。
入館料の値上がりが話題になっていたが、規模もより大きくなるようだし、発表されている計画では、これまでの須磨水族園にはなかった展示などもできるようだ。
老朽化した現施設よりも、そっちの方が楽しみ!! という人もいるだろうと思う。
とは言えオレ個人は、新しい水族館への期待感よりも、現施設の消失する寂しさの方が強いなぁ、やっぱり。

生まれも育ちも東京のオレにとって、須磨海浜水族園は特別馴染み深い施設という訳ではない。
行った回数にしたって、1987年のオープン以降、10回にも満たないと思う。
それでも、どこか特別な思い入れがあるのは、オレが水族館デビューしたのが須磨海浜水族園の前身たる須磨水族館だったからだ。もう45年近く前の話だけれど。

1987年(昭和62年)にオープンした現施設、須磨海浜水族園は、1957年(昭和32年)に開館した須磨水族館を礎に、“同じ水族館”としての歴史を紡ぎ続けてきた。
しかし、新水族館計画とともに指定管理者が変わり、2020年4月からはそれまでとは別の団体による運営がなされるようになった。つまり、その時点で“別の水族館”になってしまったのだ。
例えて言うなら、着ている服が同じでも、それを着る人が変わってしまったような感覚だ。
新たな管理者は、これまでの古くなった服から、新しい服へと着替えようとしている。今回の閉館は、古くなった服を少しずつ脱ぎ捨てていく過程だ。

もちろん、指定管理者が変わるのが悪い訳じゃない!! 管理者が変わったことで、それ以前よりも良くなった施設もあるし、新しい管理者による須磨の新水族館だってこれまで以上に素晴らしいかも知れない。

でも、こういう形で知ってる水族館が無くなることもあるんだなぁ、と思い知ったのと同時に、何とも言えない寂しさが。
無くなってしまう前にオリジナルの須磨海浜水族園に行っておきたくて、指定管理者が変わる昨年3月、行く予定を立てた。しかし、非常事態宣言に阻まれ、水族館も閉館したまま管理者の変更を迎えてしまった。
行けないまま終わってしまったことは大変な心残りだが、閉館中にひっそり水族館を離れることになった関係者の人もいたのだろうなぁ…… なんて考えると、ちょっぴり切なくなる。

須磨海浜水族園と言えばコレ!! みたいな展示が個人的にいくつかあった。
新水族館にそれらが引き継がれることは恐らくないのだろうけれど、ノコギリエイの標本とロングノーズガーだけはできれば引き継いで欲しいなぁ、と思う。
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ノコギリエイの標本はオレが初めて行った頃からあって、その記憶も残っているが、以降、それを見る度に“須磨に来てるんだ”と意識させてくれる存在になってた。
昔からあったのは知っていたが、オレが生まれるより前(1971年)からあったそうで、ソマリアから来たものなのだそうだ。
ノコギリエイは生きたものを日本国内の水族館で見ることができるが、今現在、日本にいるものとは産地が異なるという点で、もしかしたらそれらとは違う種類かも知れないし、今となっては標本ですら海外から入手するのがほぼ不可能になってることを考えれば、貴重な財産と言っていい。

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そしてロングノーズガーは、1977年に須磨水族館で産まれた個体が現存している。須磨水族館時代にも展示されていたはずで、オレも見ているのだろうけれど、生憎その頃の記憶が残っておらず、須磨のロングノーズとしての認識は海浜水族園になって以降のこと。
しかし、産卵やふ化の日が明確に分かる個体が何年生きるのかが分かる貴重な例であることは間違いないし、あの大震災をも生き延びて展示が続けられていることなど、そういう意味でも“財産”ではないかと思う。

これらを残して欲しい理由はジジイが昔を懐かしみたいからというだけでなく、この2つは須磨水族館時代から展示され続けている“須磨の水族館”の歴史そのものだからだ。
あの場所にある須磨海浜水族園の後継施設として、その歴史も部分的にでも引き継いでもらえたらな、と思ってしまうのだが、それまでとは関係のない別組織によって“違う水族館”になってしまう以上、やっぱり無理な相談かなぁ?

現在発表されている計画では、これまでとはずいぶん雰囲気の異なる水族館になるようだし……
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