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沖縄美ら海水族館の気になる深海生物 [海の魚]

昨年12月に行った美ら海水族館には、ヒメイトマキエイが目的だった訳だけれど、行く直前、とんでもないニュースが飛び込んできた。

「オニキホウボウ」を展示しました、と。

待ち望んでいた対象ではないし、正直、好みのタイプでもない。
でも、それが凄いことであることくらいはよく知ってる。深海生物にそれほど興味のないオレでも名前だけで姿形が思い浮かぶくらいの魚だから。
これはとんでもないラッキーに違いない!! と、しっかり見てきた。
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標本では見たことがあったが、初めて見る生きた姿はそれまで抱いていたイメージを覆してくれた。
縁がギザギザした体が赤みがかった体色は想像通り。でも、ヒレのモザイク状の模様は“こんな柄があるんだ!!”と驚かせてくれた。
液浸標本に感じた気味悪さはなく、むしろ目がクリっとしていて可愛らしい。
平たくて棘だらけの体は、どことなくプレコの仲間を連想させるようで、やっぱり生きてると違うものだなぁ…… と実感させられた。
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水槽は結構明るくて、その姿がとても見やすかったのも有難い。
ほとんど動かないけれど、目が結構動くので、ちゃんと生きてることが分かる(笑)
何度も見に行ったお陰で、砂の上を滑るように動く様子も何度か見られた。

動画


生きた姿が目の前にいること自体も十分以上の驚きなのだけど、それ以上に驚いたのが、この個体がROV(無人潜水艇)のロボットアームによって捕獲されたということ。
ロボットアームは多少の力加減はできるそうだが、オニキホウボウの体が硬いことと、体の縁のギザギザがうまい具合にアームに引っ掛かったことで、握り潰されることなく捕獲できたのでは、と、立ち話した顔見知りの飼育スタッフ氏。
とは言え、そのスタッフ氏も、あの捕獲方法には驚いたそうで、“あんな方法で獲れるなんて!!”と、オレの驚きに大いに賛同してくれた。

なお、その捕獲時の様子は、オニキホウボウがいる水槽上部の壁に投影され、その様子も見ることができる。

オニキホウボウに限らず、ここ数年、美ら海水族館の深海エリアはとんでもなくスゴイ!!
いつ行っても、“見たことのない何か”に遭遇できる。
しかもそれらは、深海の住人だから、見た目からして珍しく、誰が見ても“これはスゴイ!!”みたいなものがずらりと並んでいる。

中でも、最近新種記載されたチュラウミカワリイソギンチャクは反響も大きかったらしい。
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何でも、長らく水族館のバックヤードにいた正体不明のイソギンチャクが実は未記載種で、新たに新種として記載されたことで注目を集めた。
呼称に“美ら海”の名前が入っていたことも、話題に影響していそうな印象だ。
マスコミは“新種”という言葉が大好きだ。しかもそれが長らく水族館のバックヤードにいたなど、しまい込まれていたものが実はお宝でした的な、いかにもマスコミ受けしそうなエピソードまであったこともよかったのだろう。
とは言え、深海のイソギンチャクみたいな、産業の対象(金)にならない生き物なんて、研究が進んでいないどころか、正体すら知られていないものも多く、恐らく、そのほとんどは未記載種、つまり“新種”だ。
美ら海水族館に限らず、深海生物の展示に力を入れている施設に行けば、そんな“未知の新種”に出会える機会もあるだろう。
そんな水族館では“新種”はそれほど特別なことではないような気がするのだけど……
まぁ、深海の生物の生きた姿が見られることは、十分特別なことではあるけれど。

白くヒラヒラした感じが綺麗なチュラウミカワリイソギンチャク以外にも、インパクトある見た目の深海生物は他にもいろいろいたのだけど、無脊椎動物に対する興味、関心が薄いオレにはその価値が今ひとつ伝わらず……
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気になる人は沖縄まで。深海生物好きなら、多少無理して行ったとしても、後悔はしないはず。

最後に魚をもう1種。
深海コーナーの最初の水槽。深海魚というか、やや深場に住まう魚たちが泳ぐ水槽。
美ら海水族館でも、個人的に好きな水槽のひとつでもある。
そこを泳ぐ魚たちを眺めていると、何やら見慣れない魚が。
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深海コーナーで展示されている魚には、似たような種類も多く、深場のハナダイ類とか、個人的に違いや価値が分からないグループだと見過ごしてしまうこともよくあるのだけど、この水槽のこの魚は運よく? 気が付くことができた。
さて、キミは誰だ? 魚名板も出ていない。
そこで、水族館HPの生き物図鑑を見てみると、いた!!
キンメヒメダイだそうである。

この写真では本来の体色も、名前の由来の金目も分からないが、とりあえず初めて見る魚であることは間違いない。
しかもそれが、オレでもある程度分かる種類、だったりすると嬉しさが倍増する。

しかし、美ら海水族館の深海コーナー、凄いな。
次は何が見られるだろうか。
とりあえず、このキンメヒメダイをちゃんと撮ることもだけど、次に行く時がこれまで以上に楽しみだ。
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