ひとつ前のブログにも書いたように、白浜水族館では魚は系統ごとに分けられて展示されている。
あまり大きくない水槽にそれらがひしめいているから、ものすごく多くの魚を見たような気分になれる。実際、種類数はかなり多いと思う。
気になる魚も実はかなり沢山いて、5つに絞るのにはちょっと悩んだ(笑) 2回に分けることも考えたけれど、続きは実際に白浜水族館に行って、貴方の気になる1匹を見つけてみて欲しい!!

というワケで、オレが気になった最初の1匹は、コクテンアオハタ。
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白と黒(濃茶)のハッキリしたバンド模様を持ったなかなかの美魚で、オレは初めて見た。
黒い点を持ったアオハタ、という意味の名前だそうだが、同じ水槽にいたアオハタと見比べても、似てるようには思わなかったけど…
日本沿岸では少ない種類とのことながら、この水族館には2匹いた。
写真の個体は第3水槽室にいたもので全長25㎝くらいのもの。もう1匹は順路最後の413号水槽にいた大きな個体で、そちらは隠れていたので口先だけしか見えなかったが、かなり大きそうな感じだった。
写真の個体も隠れがちではあったけれど、時々出てきては、「今の内に撮って!!」と言わんばかりに少しの間ジッとしてくれていた。
そこでモタモタしていると正面から見えない定位置へ帰ってしまうのだけど、そんな部分も可愛らしい? 1匹だった。


同じ水槽には他にも魚が入っていて、よく泳ぐキツネベラがとりわけよく目立っていたのだけど、コクテンアオハタを撮るのに一生懸命になっていたオレの前を、カワハギが横切った。
ああ、ヨソギもいるのね!! なんて思ったのだけど、ヨソギにしては少々大きい。
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こんなに大きくなるの? と思いつつ、魚名板に目をやるとセンウマヅラハギとある。
あらためてよく見れば、体にはライン模様が入っているし、ヨソギでないのは明らか。
この魚もまた、初めて見る魚だった。
やや深い所に生息する種類だそうで、あまり獲れない稀種とのこと。
家に帰ってから図鑑やネットで調べてみてが、大した情報は得られなかった。
かなり珍しい種類で間違いないようだ。
コクテンアオハタといい、センウマズラハギといい、こういう地味に凄い魚がしれっといるのが白浜水族館の凄い所なんだろうね。


目を引くハギと言えばもうひとつ、オキハギもそうだった。
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こちらはフグ目の魚がひとまとめにされた水槽に1匹いたのだけど、その他の魚よりもひときわ大きく、すぐに目に留まった。
モンガラカワハギ科の魚らしく? こちらの方を結構意識するので、よく泳ぐ割に写真に撮りやすい位置には出てきてはくれなかった。
派手ではないものの、なかなか綺麗な柄をした魚だと思う。
分度器型の尾ビレも、高速遊泳タイプのサメみたいでカッコいい。
やや南方の種類らしく、そういう意味では紀伊半島周辺らしい1匹と言えそうだ。
この魚については見るのは初めてではなかったけれど、あまり見掛けないような気がする。
そういう意味では、ちょっと珍しいと言っていいのかも。


似たような種類が多いのは、フエダイ類も同じ。
水族館でも比較的よく見掛けるグループだが、白浜水族館にはそれらが多く揃っており、同じ水槽に同じ形、色をしたものが入り乱れているからややこしい(笑)
色や形に際立つ何かがあるワケではなく、大きいワケでもないこれらの魚は、○○ダイがひしめく水槽の中では、どうしても印象に残りにくい。
それでもまた、フエダイとかイッテンフエダイなら、模様がある分だけ、その他の魚との見分けも付きやすく、印象にも残るかも知れない。
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でも、オキフエダイはどうだろう?
体色に華やかさはなく、形もごくごく普通の魚。いかにも海の中の“その他大勢”といった感じ(笑)
逆に、地味すぎることが印象に残ってしまいそうな魚だ。
というワケで、当ブログであえてスポットを当ててみた。こんな魚もいるんですよ!!


この“○○水族館の気になる魚”のチョイスは、当然、オレの好みに大きく影響される。
動きの少ないカサゴ類や、小さなハゼ類、フグ類などは意識しなければ出てこない反面、よく出てくるのがハタ類だ。
やはり好みだからなんだと思うけれど、水族館で見た魚の中では意識に強く残りやすい。
しかも、隠れてなければ写真が撮りやすいのもいいしね(笑)

白浜水族館は、順路最後の413号水槽に大きくなったハタ類が何匹が展示されていて、眺めているのが楽しい水槽だったワケだけれど、最後の1匹はそこから。
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この写真の個体を見て、クエ? それにしてはちょっと違うような…!?
なんて思った人、鋭いです!!
この魚はクエ×ヤイトハタの交雑個体。

どちらも美味しい魚として養殖もなされており、白浜界隈はクエの産地としても知られているらしく、地元の宿泊施設ではクエを売りのひとつにしている所もいくつか見かけたし、駅周辺では白浜に来る目的のひとつとして、クエが紹介されていた。
養殖されたものは放流もなされているんだと思うんだけど、その中にヤイトハタとのハイブリッドも混じっているらしく、交雑個体がしばしば釣れるのだそうだ。
もちろん、自然下での交雑の可能性も否定できないが、どうやら養殖課程で交雑したものが混じって放流されてしまっているらしい。
この個体の魚名板にも、それに警鐘を鳴らすような注意書きがなされていた。

写真の通り、普通のクエとはちょっと違った色、柄を持っていて、クエでもない、ヤイトハタでもない魅力を持ったなかなか素敵な魚だ。
しかし、水族館で展示するだけなら、食べてしまうのなら、はたまた釣り堀にいるのなら、こんな魚がいるのも悪くない。
しかし、海に放流されたこうした雑種が、クエやヤイトハタと交雑してしまったとしたら…
人が理由で起こる、海の中の困った問題だ。
魚に罪はないんだけどねぇ…

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