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エビスザメ@標津サーモン科学館 [サメ]

8月の終わり頃のことだっただろうか。
朝、携帯にメッセージが来たことを知らせる通知音が鳴った。
送り主は、早朝の乗船業務を終えて帰港したばかりの標津サーモン科学館の副館長だった。
「こんなの捕れました」の一文に添えられていた画像には何とエビスザメが!!
標津でも珍しいものだそうで、漁獲記録はなく、副館長も見るのは初めてだったとか。
そのエビスザメ、そのままサーモン科学館へと搬入され、その日の内に展示がスタート。すぐにアナウンスされたこともあって、その日のTwitterはサメ好きによってちょっとした“エビスザメ祭り”となっていた。

エビスザメは珍しいサメで、日本で展示されることは滅多にない。
オレが知るここ15年以内では海遊館の1例だけ(のはず)で、その展示が終了して以降、日本の水族館で見ることはもうないかも、と思っていたから、展示されたというニュースはかなりの驚きだった。
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しかし、その頃はコロナ感染者数も多く、すぐに駆け付けるのは無理。
実を言うと、その時はごく短期間の展示で終わってしまうだろうと思っていたから、移動制限がなかったとしても、すぐに駆け付けることをしなかったと思う。
しかし、事態は思いもよらない方へと動いた。何と、2匹めが搬入されたというのだ。
その時の2匹めは搬入時点で弱っていたようでごく短期間の展示に終わってしまったようだが(後日、さらにもう1匹が搬入され、2匹の展示は続けられている)、そんなニュースと前後して、遡上してきたカラフトマスやサケの話題が増えていく。
今年こそ見に行きたい。エビスザメもいることだし。
ということで緊急事態宣言が明ける9月12日に標津へ向かうことにした…… のだけど、緊急事態宣言は解除されることなく、さらに延長されてしまった。
その時点で、今年も行けなかった…… と例年以上に大きく落胆した訳だが、目的のひとつでもあったエビスザメはその時点でもとても状態がよさそうで、これなら来年でも間に合うかも、なんて淡い期待も。

緊急事態宣言が明けると、エビスザメを見てきた知人の話を見聞きするようになった。
それらの人は一様に“早めに行った方がいい”と言う。
サメで“早く”というワードが出てくる場合、考えられる理由は主に2つ。
調子が悪くなったか、水槽内で扱いにくくなってきたか、のどちらかだ。
伝わり聞こえてくる話では、状態はよさそう。だとすると、水槽内の厄介者になってる!?

そんなところに、再び副館長から連絡が。
「エビスザメ、展示するの止めるかも」と。

聞けば、展示中止が決まった、という訳ではないようだった。でも、来年行った時に見ようと思っていたオレの希望的計画が危うくなったことは間違いない。
ここで行っておかなければ後悔するだろうと標津へ行くことにした。
標津に行くのにその目的はサケではなくサメ。何だか間違ったことしているような違和感? があったのが自分でも不思議だった(笑)

2年ぶりのサーモン科学館に到着すると、出掛けようとする館長に遭遇。
オレの顔を見るなり「もう1時間予報出てますよ!!」と。11月のサーモン科学館と言えば産卵展示だ。その言葉に慌てるようにまずは魚道水槽へ。
水槽前に行くと、カメラを出す暇もなく産卵が始まってしまった。写真に収めることはできなかったけれど、2年ぶりの訪問を歓迎してくれているのだろうと解釈。いきなりいいものを見せてもらった。
でも、今回はサケではなくサメを見に来たのだから、目的のサメがいる大水槽へ。
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知ってはいたことだけど、2匹のエビスザメが泳ぐ様はやはり驚かずにはいられない。
その姿を見るのも9年ぶりのこと。しかも2匹。2匹の生きたエビスザメなんて、日本の水族館史上に残る出来事と言っていいんじゃないだろうか?
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8月からいる1匹めは見るからに調子がよさそうで、体もふっくら。さまざまな行動も観察されているそうで、非常にうまく飼えていることが見て取れた。


副館長によれば、水温や水槽内の造り、水流などの条件が合っているのだろう、とのこと。
珍しいサメがうまく飼えて、長期間展示されるというのはいいことだと思うのだけど、喜ばしいことばかりではないようで、どうやら同居魚を襲っているらしい、とのこと。
確かに、体に傷がついたサケやニシンがいたが……
でも、その時は“容疑”なだけで、襲う場面は目撃されていなかったそうだが、後日、カレイが捕食されるシーンが目撃されてしまったらしい。
サメ好き目線で見ると、混泳魚を襲うくらい元気がよくて良かった!! かも知れないが、館長以下、強烈なサケ愛を持つサーモン科学館の人たちからすれば、サケが襲われる可能性があるというだけで、まさしく“冗談じゃない!!”こと。そもそも、館長は搬入することすら強く反対していたらしい。
エビスザメが捕食したのがカレイではなくサケだったなら、水槽から引きずり出されてたかも知れない!?

個人的には、せっかくうまく飼えているのだから、そのまま展示を続けて欲しいと思う。
でも、サケが絶対的な主役の水族館で、それに危害を加える恐れのあるものを置くことはできない、というのも分かる。
この先、どこか他所の水族館でひょっこり再開、なんてことがあるのかも知れないが、ひとまずよく知った水族館で貴重な魚を見られたことに感謝したい。
このサメがいてくれたからこそ、今年は見られないと思っていたサケも何とか見られたのだしね。
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いつまで展示が続けられるのかは分からないが、見に行ける人は行っておいた方がいいと思う。あっ、でも、今休館中だね(汗)
サメに会いに行く計画を立てようという人は、営業期間とサメがまだいることを確認の上、出掛けることをオススメしておきます。
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コメント 2

Kazu

エビスザメを見ることができたのですね。うらやましい限りです。しかしながら、サケ愛…というのは考えさせられますね。主役?の生き物を守るため、水族館では餌に他の生き物を使ったりもしますが、サケ愛とサメ好き目線、どちらも生き物が好きなことには変わりなく、難しいところです。
by Kazu (2021-12-12 18:21) 

ミストラル

>kazuさん

見ることができました。よかったです。

日本で見るのが難しい種類ですし、標津に行くきっかけにもなってくれたのでラッキーでした。
またどこかで見られると良いのですけどねぇ……
by ミストラル (2021-12-17 18:22) 

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