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足摺海洋館 SATOUMI(高知) [水族館インプレッション]

水族館の新規オープンやリニューアルが続いている2020年。夏休みシーズンまで続いたそれらオープンラッシュをひとまず締めくくるのが、足摺海洋館だ。
新たに“SATOUMI”のサブネームも付けられた新生水族館としてフルリニューアル。高知最大、四国でも最大級規模の水族館へと生まれ変わった。
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近年できた新しい水族館というと、光、音、新技術、デジタル等々のワードが並ぶ、エンタメ路線な施設が多いような印象があるが、足摺海洋館SATOUMIはそういうのと一線を画する超正統派!!
竜串(地元)と海と足摺の海洋環境という明確なテーマがある県立の公営施設であるからして、イマドキ系施設にはなり様がないのだろうけど、期待していた人にとっては、期待を裏切らない内容。こうなるだろうと予測していた人には、その予測通りの内容になっている(と思う)。

つまらない、という意味じゃないよ。
美しく作りこまれた水槽はどれも、じっくり眺めたくなる魅力を備えているし、規模の面でも、ちょっと物足りなさがあった旧施設よりも格段に大きくなっていて、展示の幅も広がっているから見応えもある。
地元の海をテーマにした水族館を今作ったらこうなるよな、と思えるくらい、その作りは王道的。それが“期待通り”と評した部分だ。

基本コンセプト自体は旧施設時代から変わっていないが、展示はそれをより深化させたものとなっていて、山から川へ、そして黒潮が注ぐ竜串の海へ、その海の展示も竜串湾から外洋、深海と続き、地元の海のスケール感が表現されている…… のだけど、入館すると、いきなり森!! フロアの奥には滝も流れていて、その擬木の間を縫うように上階へ上がるエスカレーターへと進む順路……
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ここ、海遊館の最初のところに似てる!! エスカレーターに乗る順番こそ違うけど…
足摺海洋館の館長は海遊館の立ち上げにも携わったそうだが、まさかその影響!?
余談だが、この水族館唯一の“高知にいない生き物”であるユーラシアカワウソは、このエスカレーターを上がったところにいる。

それはともかく、新生・足摺海洋館ならではの展示と思えたのがサンゴのエリア。
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海洋館がテーマに掲げる竜串の海にはさまざまな種類のサンゴが生息しているが、旧施設にはほとんどなかったその展示にかなり力が注がれているようだ。
とは言え、今はまだサンゴも小さく、水槽内は広々。少々殺風景ですらある。
しかし、この先、3年、5年と経った時、成長したサンゴが水槽内を覆い尽くすようになる頃、ものすごく綺麗で見応えのある水景になっているのだろうと思う。
まさに水族館とともに進化していくような、新生水族館ならではの展示だと思った。

サンゴエリアを抜けると現れる大水槽も旧館時代とは大きく趣を変えている。
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水槽の背景がガラス張りになり、そのガラスの向こうは竜串の海。水槽の水面と海の水面が重なるように見える作り。写真に撮ろうとすると、綺麗に撮れないヤツね(笑)
黒潮の影響を受ける竜串の海を再現した大水槽には、南の海の魚と温帯の魚が入り混じって展示されているが、シノノメサカタザメを除けば泳いでいる魚は小ぶりなものが多く、魚を見るというより、水槽全体で“竜串湾を見る”という印象。
水槽の前は、観覧席? があって、そこに腰掛けてじっくり水槽を眺められるようになっている。

旧館時代の大水槽はハタや大型アジ類などが多く泳いでいたが、それらは新水槽に移されることなく、唯一、シノノメサカタザメのみを移動。
知らなかったのだけど、足摺海洋館ではずっとシノノメサカタザメの展示に力を注いできた歴史があるらしい。
それもあって、この大水槽の主役もシノノメだ。ほかに大型魚もいないので、旧館の大水槽よりも50tも大容量化されているが、いかにも主役といった感じ。
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本人もそれを分かっているのか、その存在を見せつけるかのようによく泳ぐ。
ただ、以前の大水槽を泳いでいた魚たちも好きだったから、シノノメ以外が新水族館に移れなかったことは少々残念に感じる。
あの子たち、どこ行ったんだろう?

竜串湾の大水槽を抜けると、小水槽が並ぶフロア、沖合、クラゲとウミウシ、そして深海へと至る作りになっているのだけど、館内通路は比較的広々としているのに、何故かこの最後の深海エリアだけやけに狭く、やや圧迫感。
出口手前なので、入館したすべてのお客がそこを通るのに加え、深海エリアの水槽は汽車窓式の小水槽が通路両側に並ぶ作りになっているので、混雑時には渋滞発生ポイントとなりそうな予感。混んでる時にはこのエリアの水槽をじっくり見るのは難しいかも知れない。

総じてとても綺麗な水族館だ。
サンゴエリアとか大水槽などから、竜串の海の多様さみたいなものもちゃんと伝わってくるし、何より、“水族館らしい水族館”であることも、魅力に思う人も少なくないのではないだろうか。
でも、惜しむらくは、その遠さ。
このリニューアルを機に、10年ぶりに足摺海洋館のある竜串まで行ったんだけど、空港からクルマで約2時間半。まぁまぁの遠さ。
水族館巡らーやマニアなら厭わないだろうその距離も、そうでない人たちや、ごく普通の観光客からすれば、ちょっとハードルが高いような気も。
これが高知市とか南国市あたりにあってくれたなら、もっと気軽に? 行けるような気がするのだけど……
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コメント 2

Kazu

確かに、王道の総合水族館という好印象を持ちました。最初のところは海遊館にも似ていますし、アクアトトぎふやアクアマリンふくしまのエスカレーターを上がったところだったり、こういった景色は、この先のワクワク感をかきたてますね。しかし、2時間半…私は四国には行ったことがないのですが、ハードルが高いですね…

by Kazu (2020-08-23 22:29) 

ミストラル

>kazuさん

そうなんですよね。遠いんですよ。
高知空港とか高知駅からものすごく離れているんですよね。

でも、小規模ですが、他施設もいくつかありますし、いつか行ってみてください!!
by ミストラル (2020-08-28 11:06) 

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