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ドバイ水族館(アンダーウォーターズー)の気になる魚 [海の魚]

ドバイ水族館で見たものの中で一番驚いたのは、アンダーウォーターズーの入り口の水槽にいたイトマキエイだ。
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それがいたこと自体ももちろん、8匹以上はいた個体数の多さ、そしてそれらがそれほど大きくない水槽にいたことにも驚いた。
こんな水槽で飼えるんだ!! って。
水槽はハーフトンネル状になっていて、幅は10mくらい。奥行は5mくらいありそうだが、トンネルがあるので遊泳面積は実質、その半分くらい。一番広い水槽中腹あたりで3mくらいだろうか。トンネルの上は人の膝くらいの水深。
体盤幅1m少々と、大きな個体ではないけれど、各ヒレには擦った傷も見られ、やはり水槽の広さが足りないことが見て取れたが、そんな中で当のエイたちはグルグル回っていたり、個体同士で追いかけあったりしていた。
イトマキエイというと、これまで見てきた種類はいずれも、通常時はゆったりと泳いでいるような印象だが、ここにいたものはせわしなく泳ぎ回っていて、その大きさも相まって、ウシバナトビエイを見ているかのようだった。



この水槽が見えた瞬間、イトマキエイがいる!! と驚いたのだけど、2017年にここに来たという知人が“イトマキエイがいた”とSNSにあげていたのを思い出した。少なくとも3年はここで展示されているらしい。

そこで気になるのはその種類。とりあえずヒメイトマキエイではないことは分かった。
3年前に知人が見たものがそのまま展示されているとしたら、見たことないけど大型化するらしいM.mobularではないのだろうし、イトマキエイ(M.japanica)でもなさそうだ。
サイズと生息地からM.kuhliiかな!? なんて思っているのだけど、果たして…… !?
見た目で分かる特徴は、顔の横、目の後ろが銀色に光っていたくらい。餌の食べ方はマンタなどと同じ、その場でグルグル回転しながらだった。

このイトマキエイの正体は…!?

※2021年3月17日追記
このイトマキエイの正体はMobula hypostoma。
Youtube動画を見た人が気になって? 調べてくれたらしく、コメントを寄せてくれました。

大西洋産の種類だが、マイアミからイギリスを経由してドバイに運ばれたものらしい。
そんな遠くから!! と驚くと同時に、そんな長時間輸送を耐えられたことにも驚かされる。
どうやって運んだんだろう?

なお、M.hypostomaはレッサ-デビルレイと呼ばれる通り、Mobula属ではかなりの小型種。
Fishbaseによれば120㎝とあるから、展示されているものでほぼ成体と言っていい大きさなのだろうと思う。
コメントを寄せてくれた方、どうもありがとうございました。


イトマキエイが泳ぐトンネル水槽には、イトマキエイ以外にもこれまた日本では珍しいウチワシュモクザメがかなりの数いて、他にもイヌザメがいたりと、小型板鰓類がメイン。
しかし、そんな中をウロチョロしているアジみたいな魚の群れ。
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パッと見、アジかと思ったのだけど、あらためて見てみるとアジじゃない。それどころか、見たことのない魚。しかも、何の仲間なのかすぐに分からない。
でも、その正体は案外簡単に分かった。ボーグ(Boops boops)というらしい。
こんな形しているのに、タイ科!! 飼われ魚なのでふっくらしていてアジみたいだが、本当はもっとほっそりしていて、写真で見る限り、タカサゴみたいな感じ。
地中海とか大西洋とか、日本人には馴染みの薄いエリアに生息しているそうだが、オレがこの魚の正体が分かったのも、葛西臨海水族園の地中海水槽に似た魚がいたのを思い出したから。
ヒントとなったサレマもタイ科。タイの仲間も奥が深そう。ドバイ遠征でより興味が深まった気がしている。

無料で見られる水槽は、大水槽とイトマキエイとボーグのいる水槽、そしてアンダーウォーターズーのお土産ショップを取り囲むように配置された出口の水槽の3つ。
出口の水槽は奥行きがない薄い作り。まさに壁として機能しているのだけど、そこにもちゃんと? 魚がいる。
そこにいたのはアジ1種。でも、見たことがない種類。
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さて、種類は何だろうか?
マブタシマアジ属の何かかと思ったが、体の途中で湾曲する稜鱗を見ると違いそう。
テルメアジ? それともマテアジ? これまたどちらも見たことがないので何ともだが……

大きさは12~13㎝ほど。15㎝はないくらい。幼魚と言っていいサイズ感。
薄暗い水槽だから、色らしい色はなく、銀色1色。肩口に黒いスポット。
このアジの正体、分かる人、いるかな?

賑やかなところで、ひと際地味な水槽のせいか、目を止める人は少なかったが、最後の最後に、こんな意外な魚が置いてあるとは!! 油断できないな(笑)

アンダーウォーターズーの(入館しないと見られない)水槽からも、見たことない魚をいくつか。
先週も書いたように、アンダーウォーターズーでは世界の海の水槽展示があって、その中にはカリブ海の水槽もある。
ペルシャ湾の近くでカリブ海? カリブ海産の魚は、日本でもUAEでも外国の魚。外国で、さらに外国から来た魚を見るというのは何だか変な感じだが、見たことない魚に遭遇できた。
ところで、UAEと日本なら、どちらがカリブ海に近いんだろうか?

お初のカリブ海産魚、その1、ロングスパインスクレイルフィッシュ(Holocentrus rufus)。
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一部が長く伸長した背ビレを持ったイットウダイ科の1種。
日本の水族館では見たことがないと思うのだけど、特徴的なヒレを持っていたこともあり、すぐに正体が判明した。
カリブ海では普通種らしい。
1匹しかいなかったが、カリブ海地域の水族館に行けば、それこそ普通に見られるんだろうな。

同じ水槽にいたミッドナイトパロットも確実に初めましてな1種だったけれど、それ以上にショックだったのが、どうやらイタヤラ(ゴリアテグルーパー)を見ていたらしいこと。
このブログを書くのに、あらためて撮った写真を漁っていたら、あれ!?、これは……
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長らく見てみたかった憧れの魚のひとつでもあり、ようやく遭遇できたはずなのに…… 不覚にも“ちゃんと”見てなかった(涙)

イタヤラは大西洋におけるタマカイのニッチを占めるカウンターパート種。同じく巨大化し、姿形もよく似ている。
水槽にいたのはあまり大きくない個体だった。そのため、“あぁ、ここにもハムールがいるのね”と真面目に見なかったのだ。
ちなみにハムールとは、現地で人気(食用で)のチャイロマルハタのことで、ここに来る前、シャルジャ水族館で山ほど見たので、そのくらいのサイズのハタ=チャイロマルハタだと思い込んでた。今改めて(写真を)見ると、ハムールにしてはデカいのに、何で気付かなかったんだろう、と。

写真が残っていたのはせめてもの幸いだが、憧れの魚を初めて見たというのに、何の記憶もない。
畜生!! これもドバイの水族館に魚名板がないせいだ!! と他人のせいにしつつ(汗)、もし、次にどこかでイタヤラに遭遇できたらなら、今この瞬間の悔しさも込めて、しっかり見てきたいと決意を新たにしたのでありました……

という訳で、ドバイ10部作、これにて終了!! 長い間お付き合い、ありがとうございました。
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Kazu

今回もぱっと見るとクロオビエビスやカスリハタに見えましたが、やはり日本ではなかなか見れない種なんですね。憧れに後から気づかれたというのはとても残念でしたが、それでも未知の魚にたくさん出会えたドバイ紀行、とても楽しかったです。
by Kazu (2020-04-26 00:04) 

ミストラル

>kazuさん

ロングスパインも、最初は同じように思いました。
ただ、ヒレが伸びているのに気が付いて、あれ? これ見たことないヤツだ、と。
一方のイタヤラは、書いた通り、目の前で見ていながら気づいていないという失態をやらかしました。
幸い、これが見られる施設はいろいろあることが分かったので、行きたくてウズウズしてます。
ホントに行けるかは分かりませんが……
by ミストラル (2020-05-01 22:48) 

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