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赤いイトウ@北の大地の水族館 [淡水魚]

ゴールデンウィーク頃の恒例? 北の大地の水族館の婚姻色を発したイトウの展示。
今年も4/27から始められているが、その最初の時、3年前のことだっただろうか、公開された写真を見た時の驚きは、今でもよく覚えている。

イトウも繁殖の時期には婚姻色を発して、それが赤っぽい色である、ということまでは知っていたし、水族館でも時折、ほんのりピンク色に色付いた個体を見掛けることもあったから、そういうものなのだろうと思っていた。
けれど、北の大地の水族館で展示されたものはというと、まさしく真っ赤!!
そこまで赤くなるとは思っていなかったので、心底驚いたし、惚れ惚れするほどのカッコよさに、これは実物を見てみたい!! そう強く思った。

すぐさま北見行きを手配しようとするも、ゴールデンウィークの北海道である。
航空券だけでなく、レンタカーやら宿やら、その暴騰した値段は、赤いイトウを“幻”とするのに十分だった。
そしてそのまま月日の流れと共に、赤いイトウのことは記憶の奥底にしまい込まれてしまっていたが、その翌年、再び“赤いイトウを展示しました”の案内を目にした時、忘れていたことを深く悔やむと共に、来年こそ!! と、固く誓った……

そして2018年。
ようやく念願の“赤いイトウ”を目にすることができた。
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カッコいい!!

写真などで、そのカッコよさは分かっていたつもりだったけれど、やはり本物はひと味どころじゃない違いがあった。
とにかくカッコよくて、夢中で写真を撮った。

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この赤い体色は婚姻色なので、燃えるような恋を全身で表現しました、と言ったところだろうか。
繁殖で死ぬことはないイトウの場合、それがサケのような“死に装束”という訳ではない。
有体に言えば、“モテたくて普段とは服装を変えた”みたいなことだけど、赤くなるだけでどうしてこんなにカッコよく見えるのか!?
もちろん、カッコよくなければモテない(子孫を残せない)訳だし、展示されているものは選び抜かれたイケメン揃いということも大いに影響していそうだけど、そのカッコよさは、春の北見に足を運ぶのに十分な理由だと思う。
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婚姻色に染まった真っ赤なイトウを見られるのは、この時期の北の大地の水族館だけだが、飼育中のものが色づいている訳ではなく、この展示のために朱鞠内湖の繁殖地から一時的に借りてくることで行われている。
飼育下のイトウがどうして赤くならないのかは分かっていないようだが、婚姻色の由来とされるカロテノイドの摂取が限られるため、様々な形でカロテノイドを摂取しているらしい野生個体のような体色にはならないのではないか、と、推測されている。
それでも、繁殖期を迎えるのは飼育個体も同じ。オスはほのかにピンク色っぽく見える程度には色付く。

わざわざ借りてきてまで展示を行っているのは、イトウは北の大地の水族館の看板的存在であることもあるのだろうけど、それ以上に、

「ボク(館長)が初めて見た時の強烈な衝撃と感動を、水族館に来る人にも味わってほしいんですよね」

という、山内館長の思いも大きいようだ。

いいよね、こういう理由。個人的には大好きだし、こういう話聞くと、見に行こうじゃないか、みたいな気分にさせられる。

山内館長の初めての時みたいに、自然環境下でそれを見られれば、もっと大きな感動が得られるのかも知れない。でも、水槽でも十分以上に衝撃的だったし、感動もできた。個人的には、2018年に水族館で見たものの最高峰だ。
留辺蘂まで行く必要はあるけれど、その時期に行きさえすれば間違いなく味わえる感動である。
もし、イトウに少しでも興味があるのなら、1度は見に行くことを強くオススメしておきたい。ゴールデンウィークも終盤となった今だが、展示期間はまだ少しあるはずだ。

婚姻色、つまりは繁殖シーズンということ。
水槽内でイトウの繁殖シーンが見られる、なんてことはないのだろうか?

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水槽のイトウたちを眺めていると、オス同士のポジション争いに加え、メスに近づいてブルブルっと産卵を促すアプローチも見られた。
また、メスもこぼすように無精卵を排出する瞬間も何回か目撃した。
実際、飼育中のイトウも、性成熟し、抱卵まではするらしい。

野生では、冬の厳冬期を乗り越え、水温の上昇に合わせて繁殖期が始まる。北海道では5月頃だそうで、その時期のオスは真っ赤な婚姻色に染まり、メスに対するアプローチを始め、メスは砂礫の川底に大きめの石で産卵床を作り、ペアになったオスと産卵、放精する。

水槽内でも冬は水温が下がるため、成熟には達するものの、産卵床を作れるような底床環境ではないことと、その場にいる個体数が多すぎることで縄張りが作れず、ペアリングに至らないらしい。

人工的に増殖されたイトウは珍しくないけれど、水槽内での自然繁殖は例がない? あっても極めて珍しいことのはず。
山内館長も「繁殖は狙ってみたいんですよね」と話してくれたが、もし、いつの日かそれが実現する機会が訪れたら、また慌てて温根湯に行くことになるんだろうな。
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