SSブログ

鬼、来たる!! @沖縄美ら海水族館 [エイ]

オレの長年の憧れにして、夢の魚のひとつでもあったオニイトマキエイ。
沖縄美ら海水族館で昨年11月16日より展示が開始され、夢がまたひとつ、叶ってしまった。
LY5A5128.jpg

昔から、何となく俗っぽい感じがするように感じていた“マンタ”という呼び名が好きじゃなかった。
反面、和名の“オニイトマキエイ”はカッコよく感じていて、好んで使っていた。

しかし9年前、マンタが実は2種類で、美ら海水族館やアクアパーク品川にいるものはManta alfrediという種類であることが発表され、新しい和名として“ナンヨウマンタ”が提唱された。
その時点で、知っていると、見たことがあると思っていたオニイトマキエイは未知の魚となり、好きこのんで使っていたオニイトマキエイという呼び名も使えなくなってしまった。
余談だが、そのMantaの属名もMobla属に統合され、今やその属名を持つエイはいなくなってしまったのだけど……

どんな魚なんだろう!?
オレの知ってるマンタ(ナンヨウ)とは何がどう違うんだろう?
できることなら、生きた姿を見てみたい……

好きな(興味のある)魚だけに思いは募る。
しかしそれが、外洋の、それも海外の住人である、という情報を目にして、“オニ”への思いは、次第に心の片隅で小さなものへと萎んでいった。

しかし、2014年、心の片隅にしまい込まれた、未知の魚への思いが再燃し始めた。

美ら海水族館の大水槽前で、マンタをワッチしていた飼育スタッフ氏にいろいろ聞かせてもらっていた時のことだ。
「オニイトマキエイをやってみたいんですよね」というひと言がきっかけだった。
そのスタッフ氏は実物も見たことがあって、搬入を前提とした移動にチャレンジしたとも話してくれた。
そんな話を聞いて、のけぞるくらいに驚いたと同時に、これは見られるかも知れない…
“夢”が“希望”へ、ほんの少しだけ現実味を帯びたような気がした。

その翌年の末、オレを心をざわつかせるようなニュースが飛び込んできた。
全身真っ黒のマンタが搬入されたのだ。
LY5A5377.jpg
今も展示が続けられているブラックマンタだが、オニイトマキエイは腹面の模様に特徴的なパターンがあるが、腹面全部が黒い個体なら、もしかすると“オニ”の可能性があるかも知れないと思ったからだ。
しかし、結果はご存知の通り、ナンヨウの黒い個体。
夢なんてそんな簡単に叶うものじゃないとは思いつつも、その直後にホオジロザメの生体を目にする機会を得て、これはオニも見られる日が来るかも知れない……

ブラックマンタの搬入から2年半後、そんな思いは、さらに確信へと近づいた。
美ら海水族館の生け簀にオニイトマキエイがいるらしい、という噂を耳にしたのだ。
それが本当なら、とうとう夢が叶う。あとはそれが無事に水族館の水槽に移送されることを願うのみ。
いつ移送がなされるのかも分からないまま、夢が叶う日を待ちわびる日々。
そして11月27日、ついに発表された。オニイトマキエイが水槽に搬入された、と。
それはもう行くしかないだろう。オレは沖縄へと飛んだ。

LY5A5466.jpg
水槽を泳ぐオニイトマキエイ。死ぬまでに叶えたい夢のひとつがクリアされた瞬間だった。

色、姿形、そしてサイズ感。そのすべてが、元から大水槽にいたナンヨウマンタに思った以上に似ていたが、それでもひと目でそれが夢の魚であることは分かった。
背中側の白い模様がナンヨウよりも大きく、くっきり際立っていて、その白さで“あれがオニだ!!”と瞬時に気づくことができた。
写真などで見て感じていた頭鰭の長さも、やっぱり長い気がする!!
LY5A5611.jpg

水槽に搬入されたオニイトマキエイは4.6m。
大水槽にいたナンヨウマンタの最大個体は3.6mなので、1m大きく、水槽最大。
しかし、あんまりその大きさを意識させられなかったのは、オニイトマキエイのヒレの形にあったのだろうと思う。

先に行くにしたがって細長く伸びたような形状で、航空機風に言うなら、主翼のアスペクト比はナンヨウマンタよりも大きい。緩やかに先細るヒレは、ボーイング787の主翼のよう。
もしかすると、同じ大きさのナンヨウマンタと同じ速度で泳いだ場合、オニイトマキエイの方がカロリー消費量(≒餌の量)が少なくて済む、なんてことがあるのかも!?
LY5A5139.jpg
その長い主翼を広げて、水中を滑空するのかと思いきや、柔らかく波打たせるような羽ばたきで、そこに擬音を当てるなら“ふわん”とか“ひらり”みたいな感じ。
ナンヨウマンタの羽ばたきの方がよっぽど力強さを感じさせる。
どうやら、その“ふわんふわん”した主翼の動きが血液循環にも影響しているらしく、そのことがオニイトマキエイの移動の難しさにもつながっているのではないか、と聞いた。
そこまでやるの? みたいな輸送作戦は、TVでも全国放送されたから、見たという人もいるかも知れないが、その輸送はナンヨウマンタとは比較にならないくらい困難なのだそうだ。

ずっと眺めていると、よく似た両者の様々な違いに気付かされる。
ここまで似ていることも、実物を見比べられたからこそ分かったことのひとつだけれど。
そうしたディティールのひとつひとつが、夢が叶ったんだ、という実感を高めてくれる。長いヒレがふわりと羽ばたく度に、喜びがじわじわと溢れ出てくるようで、あらためて水族館ってありがたいなぁ、と思わされた。
何しろ、沖縄周辺では稀少種なことに加えて、きわめて困難な輸送を乗り越えたなど、いくつものラッキーが重なったからこそ叶った夢だからね。

動画


長年の夢が叶ったのは、奇しくもクリスマスの直前。
行ったタイミングがたまたまそこだっただけの話ではあるんだけど、オレにとっては、間違いなく最高のクリスマスプレゼントだった。
nice!(0)  コメント(2) 

nice! 0

コメント 2

Kazu

明けましておめでとうございます。今年もブログ楽しみにしています。オニイトマキエイ、見れて良かったですね。海遊館にイトマキエイが展示されたときに見に行きましたが、初めてのものには本当に感動を覚えます。私も2月に美ら海に行きますので、運もありますが初対面できたらと思います。またバイカルヨコエビ情報、ありがとうございます!ヨコエビはいませんでしたが、やはりカサゴ系の初見は感動しました。再チャレンジしてみたいと思います。
by Kazu (2019-01-05 12:17) 

ミストラル

>kazuさん

あけましておめでとうごさいます。
今年もよろしくお願いします。

2月でしたら、オニには会えると思いますので、じっくり見てみてください。
他にも深海コーナーが激熱で要注目、オススメです!!
by ミストラル (2019-01-12 12:35) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。