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クニマス展示館(山梨) [相当施設インプレ]

絶滅したはずの魚が再発見された……

もう7年も前の話だけど、かつて、秋田、田沢湖の固有種だったクニマスが、山梨の西湖で再発見されたというニュースを憶えている人もいるだろう。
クニマスが絶滅するより前、各地に移入されたものの内、西湖に放流されたものが細々と命をつなぎ続け、人知れず種としての絶滅を免れていたのだ。
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そんなクニマスを展示した水族館相当施設が、西湖のすぐ近くにあると聞き、行ってみた。
元を辿れば田沢湖の魚とは言え、今や、西湖にしかいない魚であるからして、その近くにクニマスの展示施設があるというのは、自然な成り行きと言えるのかも知れない。

クニマス展示館があるのは、富士の裾野の観光スポット? のひとつ、コウモリ洞窟のすぐ隣。正確には山梨ネイチャーセンターに隣接している。
真新しい建物にクニマス展示館の看板が提げられているので、そこまで行けばすぐに分かる。

ウミガメ上陸地にあるウミガメ博物館(水族館)と同じような成り立ちの施設だけれど、規模はそれらの数分の一程度のとても小さなもの。クニマスだけの資料館としては十分な情報量なのだろうけれど……

館内はクニマスに関するパネル展示や、液浸標本が並んだ博物館的な部屋と、生体を展示した部屋に分かれている。
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生体展示を行っているスペースには、主役のクニマスが入った水槽が2つと、これまた小さな水槽で西湖やその周辺に住まう魚と、ヒメマスが展示されている。
水槽はいずれも小さいので、水族館というよりは、企画展とかのイベントみたいな感じ。
そもそもこの建物が、クニマス展示を目的に作られたものではないのかも知れない。

それでも、主役たるクニマスは、比較的大きな個体と、小さな個体が2つの水槽で展示されていて、大きな個体がいる方の水槽は、擬岩でデコレートもされている。展示館の主役らしい扱い、と言ったところかな!?
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小ぶりなマスなので、見た目は地味だが、貴重な存在であることだけは確か。
絶滅したと思われていた魚が、常設展示されているのは田沢湖にもできたクニマス展示施設を除けば、ここだけなのだから。

深場に住まう魚らしく、大きい方の個体の水槽は暗くされていて、さらに見学者が側まで近寄れないようになっているので、少々見にくい。
また、これも仕方がないことではあるのだけど、展示されている個体はどれも、いかにも飼育下のサケ科魚類の短く丸い顔つき。
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クニマスならではの青みを帯びた体色は生体でなければ見られない反面、本来の精悍な顔つきは標本の方がそれらしいという、サケ科魚類ならではの残念さがあった。
ちなみに、大きい方の個体の体色は“真っ青”だが、これはライトの影響によるもので、流石にここまで青くはならない。通常の照明で展示されている小さな個体の色が、本来の体色に近いはずだ。
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ただ、先にも書いた通り、貴重な存在であることは間違いないし、並べて展示されているヒメマスと生きた状態で見比べれば、ずっと同じものとされてきたけれど、両者に差があることも分かるはずだ。
そんな比較観察ができてしまうのも、生体展示ならではの大きなメリットだ。そんな貴重な体験が、東京からそれほど遠くはない場所でできてしまうということが、この施設の何よりの価値だと思う。

山梨の水族館と言えば、富士湧水の里水族館があるけれど、道が混んでなければ、30分ほどで行けるので、両館のハシゴもオススメだ。
どちらの施設もほぼマスと淡水魚ばかりだが、本州でこれだけマス類が見られる水族館はそう多くないし、クニマスは北海道でも見られないので、淡水魚好きやサケ・マス好きは足を運んでおくべき施設、ではないかな?
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