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葛西臨海水族園のマグロ事件に思うこと [雑談]

遠い昔、オレがまだ高校生だった頃のこと。
バイト先だったペットショップの水槽で、ある日を境にネオンテトラが死に始めた。
それが1匹や2匹なら別段驚くような話ではないけれど、水槽の底に死体が積もるくらいの大量死。
結局、数日で全滅してしまった。
死に始める前日までは餌も食べていたし、むしろ、状態のいい水槽だったはずなのに…

記憶の彼方にしまい込まれていたそんな記憶を思い起こすことになったのは、葛西臨海水族園で起きたマグロ類の大量死事件がきっかけだ。
もちろん、ネオンテトラとマグロ類では、原因はまるで違っているのだろうけど、マグロ類の飼育、展示を25年も続けている葛西臨海水族園でも初めて起きるという大事件だ。
連日、新聞やニュースでも盛んに報道されているから、気になっている人も多いと思う。
もちろん、オレもそのひとりだ。
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マグロが死に始めたのは、12月上旬のことらしい。
報道などで大量死が伝えられたのが、その約1ヶ月後の1月14日頃。
その時点では死因は不明としながらも、死亡個体に骨折しているものが多いとの報道もあった。
マグロ類はとりわけ神経質で、ちょっとした光や振動でパニックを起こす。
飼育下でも激突して死んでしまう個体は少なくないという。
マグロ類を飼育、展示している水族館では、そんな事故が極力起こらないよう、細心の注意を払っているはずなのだ。
それでも骨折して死ぬ個体が多いのだとしたら、その原因となるような何かがあった。そう考えるのが自然な流れだろう。

思い当たるのは、昨年の12月10日から極地の生物のコーナーのリニューアル工事。
位置的にマグロ水槽に近い、というか、まさにマグロ水槽の真横にあるみたいな水槽群だ。
工事区間の真横にいるスマやハガツオが先に死に始めていることから、きっと工事が原因なのだろう!! あくまで想像、推測ながら、個人的にはそう考えた。

しかし、マグロ類の飼育を25年も続けてきた水族館が、そんな想定しうる理由で、水族館の顔とも言えるマグロを死なせてしまうだろうか。
また、パニックによる激突死なら、同じ大量死でももっと短期間の内に収束しそうなものなのに、約1ヶ月にも渡って、毎日ポロポロと死んでいく感じは、やはりパニックだけが原因でもないのかも、とも思える。
そこで冒頭の記憶を思い出すことになるのだけど、ちょうどそんな頃、死亡個体からウイルスが検出されたというニュースが。
検出されたウイルスがどういうものなのかはまだ分かっていないようだし、それが原因とも断定はされてない。しかし、それが原因である可能性が高いのだろうと思う。
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オレが見たマグロ水槽を泳いでいたのは、クロマグロ3匹とハガツオ2匹の2種5匹。
国内の水族館で3番目に大きな水槽に、入っている魚はたったの5匹。やはり異常事態である。
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クロマグロ
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ハガツオ
寂しいことに、ここに写っているものがすべて、なのだ。

しかし、思いの外、マグロたちは綺麗で、見た目にはいつもと違っている感じはない。
泳ぎも落ち着いているように見えるし、素人目には、異常があるようには思えなかった。
水質などにも特に問題は確認されていないのだそうだ。

餌も与えられていたが、沈んできたものをぱくりとやるものの、かつてのような先を争うようながっつき感はなく、活性が低い、そんな印象を受けた。
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もっとも、それまで群れの状態で飼われていたものが、急遽少数となってしまった状況は、マグロたちからすれば、正常な状態とは言えないのかも知れないけれど…

パニックによる激突の可能性はないものかと、リニューアル工事区間の周辺を中心に、壁に耳を付けて聞いてみたりしたけれど、少なくともオレにはそれらしい音や振動を感じることはできなかった。

生き物のことだから、何が起きるかは分からない。
コイヘルペスみたいな、特定の生物種だけに猛威を振るうような病原菌もいるのかも知れない。
仮にそうだとしても、25年間起きなかったことが、今になって何故起こったのか。
現時点では原因がはっきりしていないだけに、ちょっとしたミステリー現象のようにも思えてくるけれど、分かったことがひとつ。

水族館でマグロが見られるというのは、実はとんでもなくスゴイことだった、ということ。
飼育を続けていく上で、あんなに厄介な生き物を、ちゃんと飼育、展示ができる生き物にしてしまったのだから。
これまでも多くの難問にぶち当たり、それを乗り越えてきたからこそ今がある訳で、そういう意味では、今回の難問も、今までよりハードそうだけど、何とか乗り切ってもらいたいと思う。

葛西に行けばマグロが見られる。 そんな超スペシャルな“当たり前”が取り戻されるよう、1日も早い原因の究明と、対策が講じられることを願うばかりだ。
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