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和歌山県立自然博物館で聞いたサンゴの話 [無セキツイ]

沖縄美ら海水族館の超ショッキングな話題から気を取り直して? 再び和歌山県立自然博物館の話。

水族館での一般的な滞在時間は1~2時間と言ったところだろうか?
和歌山県立自然博物館くらいの規模ならば、1時間少しくらいかな?
しかし、当然ながら、オレは違う(笑)
頻繁に来られる場所でもないし、帰りの飛行機の時間の都合もあったから、限られた時間の中で濃厚な展示をしっかり見ようと必死。

その間、館内を見回っていたスタッフ氏と何度かすれ違ったけれど、どのタイミングにもいるオレが不思議だったのか、「熱心に観察されてますね」と声をかけてきてくれた。
そのスタッフ氏の担当は、オレにとっては興味が薄く、ほとんど知らない無脊椎動物。
いろいろと話を聞かせてくれたのだけど、ほとんど知らないものが対象ということもあって、話してくれた内容のすべてが興味深く、楽しかった。
スタッフ氏は業務の合間。オレにもタイムリミットが迫っていたから、ある程度で失礼したけど、それでも1時間半ほど話を聞かせてもらえただろうか。
まったくありがたい限り。お陰で実に有意義な水族館訪問とさせてもらえた。

展示されているほぼすべての無脊椎動物がそのスタッフ氏の担当で、その展示と管理を一手に手掛けているという。
無脊椎と言えば、管理が大変だという話をしばしば耳にする。
例えば、同じカニでも、種類が違えばまったく違う飼い方を要求され、そのほとんどは頑ななまでに生活スタイルを変えないため、スペースが限られた水槽内にそのカニが生きられる環境を作り出さなくてはならないのだ。しかも、水族館である以上、ちゃんと見せられるようにしなくてはならないことも、飼育の難易度をより一層高めるのだという。

中でもとりわけ難しいのがサンゴだ。
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和歌山は造礁サンゴの生息域の北限にあたり、和歌山をテーマにした展示を行うなら、無くてはならないもののひとつである。
サンゴの育成には十分な光、清浄な水、適度な水流などが必要だが、それらを揃えるのは言葉で言うほど簡単ではないらしい。
ここの水族館は、海にせり出すように建っているから、水の心配はないのかと思いきや、同じ和歌山でも串本などと比べると、水質はサンゴに適したものとは言いにくいらしい。
和歌山県でも北部に位置する海南市は、季節によっては、大阪方面から流れてくる水の影響を受け、東京から行くと、十分綺麗に見える水も、サンゴには向かない水質になるらしい。また、水族館から沖合1㎞ほどの所にあるという取水場所も、内湾に位置しているため、塩分濃度が常に一定でないなどの難しさがあるそうだ。
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歴史のある施設のため、飼育設備も最新の、というワケにはいかないようで、かつてはサンゴの飼育、展示がうまくいっていなかった時期もあったとか。
現在はろ過設備にベルリンシステムを用いているが、それも市販品をそのまま使うのではなく、水族館の水槽や飼育生物に合わせて、スタッフ氏が手作りしたものなのだそうだ。
試行錯誤を繰り返し、現在はサンゴの展示も概ねうまくいっているとのことだが、それでも、種類によってはうまく飼えないものもいるらしい。

個人的にサンゴ以上に驚き、感動したのが、サンゴ水槽と並んで展示されていたウミシダの水槽だ。
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ウミシダ自体は珍しいものではないが、同じ水槽にいた白い色をしたこれ。
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ウミシダの1種? そんな印象だが、何か分かるだろうか。
答えはテヅルモヅル。
水族館でもしばしば見掛ける不思議生物だが、細かな腕が複雑に絡み合って、どんな形の生き物なのか分からないのが普通。
テヅルモヅルを知っている人でも、茹でる前の即席ラーメンみたいな姿を想像することだろう。
もちろん、それらのすべてが同じ種類ではないんだろうけど、実は、こんな綺麗な姿を見せてくれる(こともある?)生き物だったのだ!!

ウミシダやテヅルモヅルは暗い環境を好むものの、餌の匂いを水流に乗せてやれば、それにつられて、多少明るくても腕を広げた姿を見せてくれるという。
サンゴなどと比べると簡単に飼えるというこれらだが、難しい部分もあって、例えば、餌は何が最適なのかなど、頭を悩ますこともあるらしい。
海では微細なデトリタスを食べているこれらの仲間だが、水槽の中では魚に与えたオキアミの破片や、ブラインシュリンプなども上手に巻き取って食べてしまうらしい。
しかし、それらを消化することができず、体内で餌が腐り、破裂するようにバラバラになって死んでしまうのだとか。
綺麗に開かせるには餌が必要だが、その餌によって死んでしまうこともあり得る…
とは言え、自然界で食べているようなものを用意し、与えることは困難…
難しいなぁ。でも、ウミシダもテヅルモヅルも、とても綺麗な姿を見せてくれていたので、その辺も含め、うまく飼えているということなんだろうけれど。

話を聞かせてくれたスタッフ氏は、入ってすぐの所にあった水槽を他のスタッフ氏と共同で整備していた。
何でも、新たに中身をリニューアルしたのだと教えてくれた。
オレが行った時は、ゴールデンウィークを控えたタイミングということもあり、よりよい状態にしようと、岩組みを作り替えたり、大変な作業が行われていた。
「1年後にまた見に来て下さい。今よりもっとよくなっていますから」とそのスタッフ氏。
そんな風に言われちゃったら、行かないワケにはいかないよね。
というワケで、この続きはまた1年後に。
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