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串本海中公園の大水槽 [水槽]

串本海中公園の主役はサンゴなど無脊椎である、ひとつ前のブログにはそう書いた。
もちろん、そう感じたからそう書いたのだけど、サンゴが育つほどの水がある場所であるからして、魚だってかなり魅力的なものが揃っている。
大水槽と呼べそうな水槽は2つあって、そのひとつは入ってすぐの所にあるサンゴの水槽。
眩しいほどの光で溢れた、串本海中公園の水族館を象徴するような水槽だ。
サンゴの水槽とは思えないほど魚も沢山入っているが、この水槽の主役はあくまでサンゴ。
そしてもうひとつの大水槽が、順路最後にあるトンネル水槽。サンゴなどが入っていないこともあり、この水族館には珍しい暗い水槽となっている。個人的にはもう少し明るいと嬉しかったのだけど…
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水中トンネルは24m、容量は1250tとかなりの大きさ。完成した1988年当時は、日本最大の水槽だったらしい。
この水槽にも天然海水が常時注水されており、1日に水槽の1/3ほどが入れ替わっている。ほとんどの水槽では温度調整等もなされることなく、汲み上げられたそのままで注水されるが、この水槽には南方系の魚も入っていることから、寒い時期は2ヶ月ほどだが加温される。暖かい串本の海も、真冬には15℃ほどにまで水温が下がってしまうのだそうだ。

こちらの主役は完全に魚。もちろん、この水槽の住人たちも串本周辺で見られるものだけ。数は少ないものの、夏場にはメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)なんかも見られることがあるそうで、水槽にいるものも串本沖で捕獲されたものだとか。
他にも、マグロや大型アジ類、サメやエイ、珍しいヒメウミガメなんかも入っていたりする、かなり立派な混泳水槽だ。
大型魚ばかりでなく、マアジやマルアジなど、小さな魚も数多く泳いでいる。夏場から秋口にかけて、魚たちの活性が高まる時期には、食べられてしまうこともあるそうだが、襲われてしまうことは多くはないらしい。

こうした混泳水槽で小魚を襲う魚と言えば、誰もが連想するのはサメだ。
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この水槽にもドチザメやエイラクブカに加え、大きなヤジブカもいる。
メジロザメ類はやる、なんて評判を聞いたことがあったような気もするが、この水槽ではそのヤジブカも含め、サメたちが小魚を襲うことはないそうだ。
では犯人は? マグロ? ウミガメ?
答えはロウニンアジやギンガメアジなどの大型ヒラアジ類。
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これら大型アジ類はとにかくクセが悪く、大食漢の上、遊泳力が高いため、被害が大きくなるらしい。これらが他の魚を襲ってしまうという話は、余所の水族館でも聞いたことがあったような…
それでも、南方系の大型ヒラアジ類が同居魚を襲うのは、水温が高い時期だけ。温帯種のブリやカンパチはさらにクセが悪く、季節に関係なく同居の小魚を襲いまくるのだとか。かつては大水槽にもそれらが飼われていたそうだが、今現在展示されていないのは、それが理由らしい。
いかにも混泳魚を襲いそうなサメやマグロは、実はいいヤツ? なのだ!!

サンゴ水槽、トンネル水槽のどちらも、給餌時に解説が行われる。
トンネル水槽の給餌解説の時間に水槽の所に行ったら、オレと老夫婦の3人だけだったので、急遽、水槽上部へと案内され(トンネル水槽の上部バックヤードは常時開放されている)、そこでの解説となった。
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水槽への給餌もやらせてくれたけれど、一緒に上がった老夫婦は、水槽に何度か餌を撒くとそこで満足したようで、そのまま帰ってしまったので、給餌するスタッフ氏にいろいろ聞くことができた。オレにとってはとてもラッキーな給餌解説となった。

いろいろな魚が泳ぐ水槽だが、主役はクロマグロじゃないかと思うのだ。
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串本周辺は、マグロの畜養や養殖が盛んで、水族館で飼われているものもそんな畜養されていたものの一部。
小さな頃から生け簀で飼われていたため、水槽に順応しやすく、また、死んだ魚を餌に育っているため、生きた魚を襲うこともしないらしい。
ただし、神経質なことは間違いなく、飼うのは簡単ではないようだ。
その“飼いにくさ”の一端は、給餌時にも見て取れた。
マグロが泳ぐ辺り目がけて餌を投げ込むと、それに自慢のスピードで突っ込んでくるんだけど、餌を目前に突如急反転し、食べずに泳ぎ去ってしまうものを何度か見掛けた。
何でも、捕食体勢にある時、自分の遊泳軌道に他の魚が入るのを嫌うらしく、例えば、自分が食べようとした餌に、他の魚が向かってきているのを見ると、食べるのを止めてしまうのだそうだ。マグロしかいない水槽(生け簀)などでは問題がなくても、泳ぎ方が異なる魚との混泳水槽では、マグロにしっかり餌を食べさせるのは、思いの外難しいらしい。

同居魚を襲う大型アジ類の話も、実はこの時に聞いたもの。
与えた餌を食べなかったマグロが、お腹を空かせて混泳魚を襲わないのかという質問に対する答えだったのだ。

余談ながら、水温の高い夏場には、サメも南方系の種類が現れるそうで、イタチザメなども搬入されたことがあるらしい。しかし、飼うのが難しいイタチザメは、この水槽でも1ヶ月が最長の飼育記録とのこと。

串本=サンゴの海というイメージができあがりつつあった所に、この水槽である。
沖に出ると、この水槽のような光景が広がっているらしい。
サンゴが茂る海だけが串本の海じゃない!! そんなことを強く感じさせてくれる水槽だった。
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