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串本海中公園(和歌山) [水族館インプレッション]

前日の大雨がウソのように、晴天に恵まれた遠征4日目。
目的地は、そんな日にこそ行きたい水族館である串本海中公園だ。
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水族館なんて屋内施設なんだから、天候関係ないでしょ? と思われるかも知れないが、ここの展示のメインはサンゴ。陽の光をエネルギーに生きるサンゴが綺麗に見えるのは、やはりこうした晴天の日だ。
活発に動き回るような生き物ではないけれど、生き生きとした姿を見せてくれるはずだからだ。

水族館のコンセプトは、ずばり“串本の海”。
串本の海は本州でありながら、黒潮の影響を強く受け、サンゴが多く育つ環境を有している。沖縄に行かずとも存在するそんな美しい海を紹介している。

水族館のオープンは71年。長い歴史のある旧いはずの施設なんだけど、館内も水槽も意外なくらい(←失礼)モダンな雰囲気で、魚名板や、水槽上の水槽を紹介するパネルにやや時代を感じさせるものの、古臭い感じがほとんどない。
旧い水族館の水槽というのは、往々にして暗いものだが、水槽の中に降り注ぐ、溢れんばかりの太陽光のお陰で水槽内も眩しいほどに明るく、その効果もあるんじゃないかと思う。
サンゴを育成していることもあるが、とにかくこの水族館の水槽は明るい。
だからこそ見ていて気持ちがいいし、どうせ行くなら天気のいい日がオススメだ。
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サンゴの中には、開館当初から40年近く飼育されているものも。

館内で飼われているものは、すべて地元産。それも、そのほとんどは目の前の海にいるものだという。
水槽には目の前の海から汲み上げられた水がそのまま注ぎ込まれ、ほとんどの水槽では水温調整なども行っていないという。加えて、先にも書いた自然さながら太陽光がしっかり入るため、水槽でありながら、自然に近い環境が再現されるらしい。
水槽内の生き物たちはほとんど病気になることもないそうで、なったとしても、勝手に治ってしまうらしい。しかし、水温の上昇など、海で起こる異変の影響も受けやすく、高い水温が続いたりすると、水槽内なのに、サンゴの白化が起こったりすることもあるのだとか。水槽によってはガラス面を掃除する以外、他は手を付けないと言うし、魚類の水槽に薬を使うこともないのだそうだ。良質の海水があれば、海の生き物、とりわけ魚は簡単に飼えてしまうようだ。

とは言え、ここの主役はやはりサンゴを始めとする無脊椎動物なのだろう。サンゴ以外にも小さなエビやカニ、貝類など充実しており、白浜水族館で驚かされたウニだけ、ナマコだけ、みたいな水槽がここにもあった。
数の多さもあるけれど、見られる種類の幅広さは、無脊椎ファンなら見逃せないのだろう。
サンゴが主役の順路前半の水槽にいる魚たちは脇役に過ぎないのだけど、海水の質の良さが効いているのか、綺麗な個体が多く、また、順路の最後にはトンネルのある大水槽もあって、そこは魚が主役。魚好きもちゃんとときめける。

無脊椎と並び、ここのもうひとつの主役はウミガメだ。
ウミガメは串本周辺の海でもよく見られるそうで、アカウミガメは産卵のための上陸も見られるとか。
水族館のプールにも小さな砂浜が付属していて、そこでは毎年のように産卵が行われており、アカウミガメ、アオウミガメが繁殖しているとか。
その繁殖率の高さは、水族館ではもちろんトップクラス。孵化した仔ガメは、1年育成し、海に放流しているそうだが、海中公園生まれのカメがその後捕獲されたという話はまだないらしい。生後1年以内の仔ガメの生存率は圧倒的に低いようだが、少し大きくしてから放流しても、仔ガメが海で生き抜くのは簡単ではないようだ。
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カメ池には珍しいアルビノのアカウミガメもいる。

水族館の存在意義のひとつに、ダイビングでもしなければ見られない世界が、服を着たまま、特別な装備もなく楽しめる、というのがある。串本海中公園は水槽の中に再現した海だけでなく、本物の海まで普段着のまま楽しませてくれる。
水族館前から海に突き出た海中展望塔、そして海中観光船で、本物の海を案内してくれる。
それこそが海中公園たる所以でもある。
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オレが行った時には、前日の大雨の影響か、海のうねりが強く、海中観光船は欠航していたため、海中展望塔からしか海を見ることができなかったが、水族館のすぐ目の前の海に、本当にサンゴが育っていることが確認できる。
水族館とは違い、小さな丸窓から覗く本物の海は、魚の密度が低く、水槽ほどの透明度もないけれど、サンゴが育ち、クマノミやチョウチョウウオなどが泳ぐ、南の海だ。
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とは言っても本州だから、沖縄ほどの派手さはないけれど、水族館がある場所(岸)からたった140mの地点で、これだけの光景が広がっていようとは!!
話で聞いて知ってはいても、実際にそれを目の当たりにすると、やはり驚くしかない。本州沿岸とは思えない目の前の景色を前に、ただただ黒潮の偉大さを実感するばかりだった。

海の中を覗き見た後、再び水族館に戻ってみると、サンゴや魚たちの見え方も違ってくる。
何より、うねりや濁りがなく、大きなガラス面がある水槽は、何て見やすいんだろう!! と、見たい魚がじっくりしっかり見られることに有り難みを感じた(笑)

串本の海の凄さ、素晴らしさをあらゆる方向から実感できる水族館だった。
スタッフ氏もとても親切だし、沖縄まで行かなくても、こんなに綺麗な海があることを知れただけでも、大きな収穫だった。
もっとも、東京から行くには、沖縄より不便なのが難点だけど…
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