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すみだ水族館の東京大水槽 [水槽]

すみだ水族館のメインの水槽であり、魚類展示の中心的な役割を担っているのが東京大水槽だ。
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容量は300tと驚くほどの大きさではないものの、2フロアをぶち抜く背の高い水槽なので、その前に立って見上げると、数字で聞く容量よりも大きく感じる。

それにしても、東京大水槽である。東京に綺麗な海なんかないだろう、そう思う人もきっといると思う。
確かに、東京で暮らす人が、普段目にする海は確かに大して綺麗なものではないけれど、東京湾から出た先に広がる海も、実は東京の海。すみだ水族館の東京大水槽は、東京港から遠く1000㎞も離れた小笠原をテーマにした、小笠原大水槽ということなのだ。

水槽の前に立つと、中の岩が迫り来るようで、ちょっと圧迫感があるように思った。
でも、その岩は、磯で見るようなゴツゴツした感じが少なく、何だかツルッとしているようで、質量ほどの迫力がない…
でも、それも狙った上でのもの。実はこの岩は、小笠原の海中にあるものをそのまま再現したものらしい。
何でも、本物の岩を実際に型取りし、それを基に作ったというこだわりよう。もはや擬岩ではなく、レプリカといったできばえなのだそうだ。
そう言われてみると、ちゃんと石灰岩に見える。小笠原なんて行ったことないから、その水中世界をイメージするのは難しいけれど、海の中に広がっているのは、こんな光景らしい。
水槽横に設置されたモニターでは、そんな小笠原の水中映像と、大水槽を泳ぐ魚たちを採集する時の映像がエンドレスで流されているのだけど、そこに映し出された水中世界は、確かに水槽にあるものとよく似ている。

小笠原の海の再現へのこだわりは、もちろん岩だけではない。
ボニンブルーと呼ばれる海の色を再現するのに、照明にもこだわったという。
特徴的な岩、そして独特な青さ。実際に現場に行き、それを見てきた人間がこだわって再現した水景である。きっと、現地の海の中はこんな感じなのだろう。
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同じ東京とは言え、交通手段が船しかなく、そこに行くには25時間半もの時間を要する小笠原は、世界のどこよりも遠い場所と言われている。
そのため、そこに行く機会はおろか、伝わってくる情報等も、例えば沖縄などと比べれば限定的だ。
いつかは行きたいと思っているけれど、一生行かないまま終わってしまうかも知れない。
そういう意味では、未知の海、場所を感じさせてくれる貴重な水槽と言えるだろう。

そこまでこだわって再現された水槽だからして、そのこだわりは、当然、中を泳ぐ魚たちへも及んでいて、そのほとんどは実際に小笠原で採集され、運ばれたものだという。
話を聞かせてくれたスタッフ氏が「あれだけ小笠原を謳っていて、中の魚は沖縄や海外のものです、というのでは格好付かないでしょう!!」と話してくれたが、その言葉通り、相模湾や伊豆あたりでも獲れる魚も、ちゃんと小笠原産。運ぶリスクやコストを考えれば、手に入れやすい所から入手しても同じような水槽になったと思うのだけど、それをよしとしなかったこだわりには拍手を送りたいと思う。

小笠原からやってきた魚たちは、見知ったものも少なくないのだけど、気のせいか、ちょっと違って見えるような…!?
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フエフキダイの仲間は数多く泳いでいて、それらはどれもうっすら青く綺麗。写真はシロダイ。
案内してくれたスタッフの小林くんによれば「マニアなら喜べる魚が結構入ってるよ」と教えてくれたが、どうやらそれもただの自慢ではないようだ。

例えば、小笠原を代表する魚であり、日本固有のチョウチョウウオであるユウゼン。
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水槽内の至る所に泳いでいて、ずいぶんいるなぁ、なんて思いつつ眺めていたのだけど、何と!! 40匹も入っているらしい。ものすごく奮発したなぁ(笑)

水槽の上の方で群れているミナミイスズミもこだわって連れてきたもののひとつ。
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小笠原の個体群には、一定の割合で黄変個体が見られるそうで、現地の海の中よろしくノーマル体色に黄変個体が混じった群れをどうしても再現したかったとのこと。
一定の割合でいると言っても、少ないことは間違いないようで、これも大変な苦労を伴いつつ手に入れた魚なのだそうだ。それが大水槽には4匹もいる。
水槽の下の方にはあまり来てくれないが、黄色い体色は、大水槽の中でも目立つので、すぐにその姿が見つけられるはずだ。

そして、TVでも主役になっていたシロワニ。
これも小笠原ならではの魚として、同時に、大水槽の主役として迎え入れられたものだが、残念ながらオープン直前にバックヤードに下げられてしまったが、復調し次第、再び展示が再開されるとのこと。
シロワニの話もいろいろ聞いてきたので、展示が再開された時点で、その話もまた。

中を泳ぐ魚は幼魚や若魚も多く、それらが成長していけば、また違って見えてきたりもするはず。
そんなところも含め、この先も楽しませてくれそうな水槽であることは間違いなさそうだ。
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