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しものせき水族館 海響館 ペンギン村 [その他]

海響館といえばフグ… なんだけど、最近はペンギンなのかも知れない。
昨年、巨額の費用を投じたペンギン専用の大規模施設、ペンギン村がオープンしたからだ。
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下関にフグの展示に特化した水族館があることは理解できる。しかし、何故ペンギン?
そのワケは、下関とペンギンが意外な縁? で結ばれていたかららしい。
かつて下関には、大手水産会社の本社があり、戦後以降の捕鯨が盛んだった頃には、一大拠点になっていたようだ。今でも調査捕鯨の船は下関を母港としているなど、捕鯨とは縁の深い場所だ。
南氷洋での捕鯨の副産物として捕獲されたのがペンギンたちで、捕鯨船によって連れ帰られたものが旧下関市立水族館で飼育、展示されていた、というのが“意外な縁”の正体。
とは言え、現在のペンギン村で見られる種類は、国内の他の水族館などでも見られる種類のみ。何しろ、商業捕鯨がなされていない今、南氷洋でペンギンが捕獲されることもない。

逆に驚くのは、飼育、展示されているすべてのペンギンがCB(飼育下繁殖個体)であること。
あれだけの個体が、すべて国内調達されているのだ。
もちろん、ペンギン村のオープン以前から海響館で飼われていた個体もいたはずだが、多くはオープンに合わせて集められたものだろうと思う。つまり、日本全国の水族館や動物園で生まれたものだけであれだけの数が揃えられるのである。しかも、ペンギン村がオープンする1年ほど前には、島根のアクアスにも立派なペンギン館がオープンしており、やはり各地の水族館などからペンギンが集められたというのに、だ。
あらためて、日本の水族館(動物園)のペンギン飼育・繁殖技術の高さを思い知らされる。
でも、ペンギン村を備えた現在の海響館なら、今後は、どこかにペンギンの新施設が作られる際には、今度は供給元のひとつに名を連ねることになるんだろうと思う。

ペンギン村は、入場ゲートを通って右側、ショースタジアムと向かい合うような場所にある。展示は室内の亜南極ゾーンと、大きな建物を取り囲むように配置された屋外のフンボルトペンギンゾーンの2つに分けられている。かなりの高額な施設であることも話題? になっていたが、実際、素人目にもそれが分かるくらいのゴージャスぶりだった。
オウサマ、ジェンツー、マカロニ、イワトビの4種類のペンギンと空を飛ぶインカアジサシが暮らす屋内の亜南極ゾーンには、水中のペンギンをあらゆる角度から観察できる700tもの大水槽がある。
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もちろん、ペンギン専用水槽としては最大だ。容量のみならず、6mの水深もペンギン水槽としては世界最深とか。正面から見た水槽はそうした数字から想像する通りの立派さ。水中部分にはチューブトンネルもあり、観客の上下左右をペンギンたちが泳いでいく。
陸地部分は想像していたほど広くなくて、“これがあの名高いペンギン村か!?”みたいに思ったのだけど、そのまま水槽の周りを取り囲むような順路を進み、水中部分へと進むと、そんな思いは一変した。“こりゃあ、スゲェ!!”って。

のとじま水族館でも実感した“ペンギンの水槽は大きい方がいい”ということを、ここであらためて確信した。
水面や陸上ではよちよちと歩き、可愛らしく観客の顔を覗きに来るジェンツーペンギンたちが、大袈裟ではなく、本当に目が追いつかないほどのスピードで縦横無尽に泳ぎ回っているのだ。あんなスピードで泳ぎ回れるのも、あの広く深いプールがあればこそ。
その姿を目の当たりにすれば、ペンギンの評価は“可愛い”から“スゲェ!!”に変わる。
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そのあまりのスピードとトリッキーな泳ぎに翻弄? され続け、結局、泳いでいる写真でまともだったのはたったの1枚だけ。オレのウデのなさも大きいが(←ほとんど)、あの水槽で泳ぐ様を静止画に収めるのはかなり難しいのではないだろうか?

亜南極ペンギンの展示ゾーンのスゴさは、ペンギンの驚くべき遊泳力を目の当たりにできること、だと思ったのだけど、屋外のフンボルトペンギンの展示ゾーンでも、これまたペンギンを見る目が変わりそうな凄さを発見できる。亜南極ゾーンの水槽もスゴイのだけど、ペンギン村の本当のメインは、実はこの屋外の展示ゾーンなんじゃないかな?
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ペンギン村の建物を取り囲むように配置された広い砂地が、フンボルトペンギン本来の生息地をリアルにイメージさせてくれる。
チリ政府公認の指定繁殖地というワケの分からないお墨付きまでもらっている
それを眺める観客や、施設や展示生物の魅力には何の関係も影響もないその手のお墨付きを欲し、有り難がるあたりは、何ともお役所的で公営らしさを感じさせるけれど、どこにでもいるフンボルトペンギンがこんなに広く、立派なスペースで飼育、展示がなされている所はどこにもないから、やっぱりスゴイのである!!
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盛り土のようなドーム状の巣箱の中にいたペアは、覗き込んだオレを強烈な目つきで睨んできた。まるで“それ以上近づいたら、容赦はしないぜ!!”と言わんばかりに。
愛想良く人に近寄ってくる印象のあった水族館のフンボルトペンギンが、こんな目をするんだ!! って思わされた。原産地を模した場所で見るからそう見えたのか、人に飼われたペンギンが、まるで野生個体のような力強さを感じさせる。
本来のペンギンの姿を垣間見たような気分になったことで、ふと思った。その恐ろしげな目つきこそ、ペンギン村が観客に見せたかったものなんじゃないか、と。

恐らく、日本人は世界一のペンギン好きだ。飼育されている数も世界一だろう。
水族館を訪れる人の多くは、ペンギンを見つけると、笑顔になり、反射的に“可愛い~!!”と声に出しながら、小走りでプールに駆け寄る。
ペンギン=可愛い という公式が完全に刷り込まれている。
もちろん、それに異論を唱えるつもりはないし、実際に可愛いと思うけど、本当のペンギンは可愛いだけじゃないんだぜ!! と、既成概念を覆し、真の姿を見せることを目的とした施設なんだろうと思う。それは、屋内の亜南極ゾーンでも、屋外の温帯ゾーンのどちらでもそう感じた。

それにしても、ペンギンの真の姿を見せるには、ものすごいお金が必要なのね~
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コメント 2

pomu.

フグといえば! の水族館になぜペンギン? と思っていたのですが
なるほど そういう事情があったんですね

トンネルのある大水槽、すごいですね!
人が通れるトンネルがすごく小さく見えます
この量の水が入っていて、こんな形に作ってあって、しかも透明なのに水が漏れないことに改めて感心してしまいます

泳ぐペンギンたちの姿は、「ペンギン」でイメージする姿とはまったく違っているんですね
水を得たペンギンたちに、わたしも翻弄されてみたいです^^
by pomu. (2011-03-30 21:35) 

ミストラル

>pomuさん

ここのトンネル水槽、スゴイです!!
上や左右はもちろん、自分の足の下を泳ぎ抜けていくペンギンも見られます。
水圧に耐えつつ耐震設計になっているのですから、すごいことですよね。

大型水槽で飼われているペンギンはひと味違います。
そういう水族館、あまりありませんが、是非、翻弄されてみて欲しいと思います!!
by ミストラル (2011-04-01 20:19) 

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